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【大正冒険奇譚TRPGその6】

91 ◇u0B9N1GAnE ::2013/09/02(月) 22:48:09
>>90


「数百年?……君が?」

王の眼の色が変わった。
言葉通りの意味で――虹彩が濃褐色から金色へと。

王の姓は、天(ティエン)と言う。
天は五行の循環、世界を覆い統べる物――その血筋は五行全てに高い適性を持っていた。

特に王は火行と金行――火行の持つ『照らす』という概念と、
金行の持つ不変性、転じて『真理性』の概念を術として扱う事に、極めて優れている。
王は己の眼に火氣と金氣を宿す事で、見つめた物の情報を読み取る事が出来た。

「……君は良い子なのか、それとも頭が悪いのか……或いはその両方か……。
 ボクがさっきの彼らを呼び戻しはしないかと、考えなかったのかい?
 ……いや、まぁ、しないけどさ」

王は笑みを浮かべ直すと、それはさておき、と君達に視線を配り――

「どうやら君達への仕事はキャンセルだ」

そして、そう続けた。
完璧だった笑顔に不純物が混じる。
相手をからかうような、愉悦の色だ。

「なにせ、その子はいつでも何度でもボクと会えるらしい。十年後でも……百年後でも。
 つまりボクは既に不老不死だったのさ。大事な国民を犠牲にする必要はなかったみたいだ」

「……そんな訳ないよねぇ。不老不死だからって、二度と見られない物は沢山あるさ。
 そうじゃないように思えるのは……君がそういう風にしか見て来なかったからじゃないかな?
 それにね、見たくなくなる事と、見られなくなる事は、全く別の事だよ」

「それで……不老不死になりたい理由だっけ?決まってるじゃないか。ボクは王様なんだ」

「……国の為だよ」

ふと、彼の顔から笑みが消えた。

「清は大陸を統一した。だけど、それが何かの終わりって訳じゃない。
 英吉利、仏蘭西、独逸、露西亜、……そして日本も、中国大陸をパイみたいにバラバラにしたがるに決まっている。
 それを甘んじて受け入れる訳にはいかない。中国を制覇した以上、ボクには全国民を守る義務がある」

「呪災を最後の決め手にしたのは、その為だ。道術の呪いなら、欧米諸国は門外漢だ。
 ボクらが戦後の復興の主導権を握れる。清と、日本がね。……狙われているとしても、味方は必要だ」

「国を守り続ける……誰にも任せられる事じゃない。例え自分の子供にでもだ。
 だから、ボクは死ねない。……それが理由だよ」


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