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【大正冒険奇譚TRPGその6】
81
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:43:54
>「あんたがそそのかした男からの伝言だよ。"仕事を下りる"――ってさ。
おや?なんだい、その顔は?私達が無事に帰って来たことが、そんなに意想外だったかい?」
冬宇子の皮肉に、フーは何も言葉を返さない。
返答しようがしまいが、自分の一挙一動が彼女の苛立ちを招くに違いない。
だったら、余計な事を口走らぬように心がけた方が、まだマシと言うものだ。
彼はそう考えていた。
冬宇子はこれまでの返答を纏めると、懐から折り畳んだ紙を取り出した。
フーの眼の前に広げられたそれは、今いるこの都市の地図だった。
>「国防機密のど真ん中に触れる地図だが、堅いことは言いっこ無しだ。
だいたい、私が、"これ"を持ち出したこたァ、あんた、もう知ってる筈さね。
「……これが、どうかしたのかい?」
>見てみなよ、この一帯……×印――兵の派遣を取り止めた拠点が、四箇所あるだろ?
同じく、そのあたりにゃ難民のための避難所も設置されてなかった。
まるで、この一帯への人の出入りを、意図的に避けているようにも見えるじゃないか。
地図の片端を手に取り、目を凝らす。
確かに、この寺院とその周辺には、本来為されるべき派兵が行われていなかった。
>フー・リュウ…あんた、随分と軍にも顔が利くようだが、
軍が敷いたこの空白地帯についても、何か、心当たりがあるんじゃないのかい?」
「……なんだ、これは。俺は知らないぞ。こんな事……誰が、なんで……」
フーの表情には狼狽が色濃く浮かび上がっていた。
この派兵の取り止めは、つまりその一帯の住民を見捨てる事と同義だ。
彼自身も不死の法の為に呪災を起こし、多くの人を死なせているが――決して意図しての事ではない。
だが、これは違う。明らかに意図して民を見殺しにしている。
その事にフーは、心から衝撃を受けているようだった。
>「日本の嘆願所に、遺跡保護なんて名目の依頼を出したのも、あんたの差し金なのかい?」
「いや……違う。俺じゃない。……分からないよ、本当だ」
>「さてと、もう一つ……これだけは、どうしたって聞かなきゃねえ!
言っておくが、私だって術士の端くれ。無理に口を割らせる法なら心得てるよ。
私らの側は七人……これだけの数を向こうに回しては、流石の宮廷道士様とて、そう簡単に抵抗できまい?」
抵抗などするつもりはない。
その気があるなら、もっと距離がある時に事を起こしていた。
フーはここから逃げる訳にも、分の悪い勝負で殺される訳にもいかない。
そうなれば結界が維持出来ず、今ここにいる避難民達全員が死ぬ事になる。
自分が全ての発端だとしても、いや、だからこそ、彼らを見捨てる事がフーには出来なかった。
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