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【ネタのメモ帳】文章置き場

18生天目 ◆gX9qkq7FNo:2010/10/10(日) 15:18:09
――数日後――

ドルド・プラチナの真向かいのオフィスビルにて有沢由香子は編集の仕事に追われていた。
彼女は数日前に佐藤ひとみに出会ったことも忘れて企画会議にむけての資料を製作している。

実際には武田という男が鈴木幸子の霊を見たと勘違いして発狂し、自殺してくれたおかげで
有沢がベルトコンベア式に武田のポジションにつくことが出来たということらしいが、
この話にはちょっとした裏があった。

有沢由香子が鈴木幸子自殺の噂の真相を広めていたという事実と枕で有沢が武田の地位を奪ったという事実。
武田は有沢に負けたという敗北感と鈴木を自殺に追い込んだという罪悪感から自らの命を絶ったのだ。

ガシャコン。ため息と一緒にホチキスの音が止まる。
有沢は気分転換にドルド・プラチナ通りに視線をうつし、もう一度大きなため息をついた。

「はぁ…。…なんか虚しくなってきちゃった…」
陽射しが通行人と溶け合い馴染んでいる。いつも通りに広がる風景にさえ有沢は閉塞感を強めた。


ドルド・プラチナの店内では代休をとっていた佐藤ひとみがボーっと虚ろな目で窓の外を見つめている。
視線をオフィスビルの3階に移せば顔面を蒼白にして佐藤を指差す有沢の姿が窺えることだろう。

有沢由香子は絶叫していた。ガラス越しにも聞こえてくる。物凄い悲鳴だった。

数分後、救急車で運ばれていく有沢由香子。

担架の上から有沢はその震える人差し指でドルド・プラチナを指し示している。

「…た…武田…」

正確には佐藤ひとみの背後に立っている武田という男の姿を。


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