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【ネタのメモ帳】文章置き場
15
:
生天目
◆gX9qkq7FNo
:2010/09/28(火) 16:33:46
室内の蛍光灯で照らされた有沢由香子の驚きの顔はその表情とは正反対に酷く薄っぺらな印象を与える。
>「人違いじゃないですか?私は鈴木幸子さん…という方を存じませんが?」
「うそ?存じない?存じないの?そうね。存じないわよね…。よく見たら貴女は鈴木幸子じゃないもの。
鈴木幸子はもっと気弱で大人しい感じだったし…。ほんと、人騒がせな顔ね…」
有沢はズレたメガネを人差し指で元の位置に戻して
「あ…でもこれで繋がるわ。ちょっとした怪談みたいなものなんだけど」
そう言いながら佐藤ひとみに免許証を見せる。
「でも貴女がオバケの正体だったとしたら怪談は怪談でなくなっちゃうのよね。
まぁ単刀直入にはなしたら鈴木ちゃんをストーカーして自殺に追い込んだ武田が鈴木ちゃんの幽霊を見て
気が狂って自殺しちゃったって話なんだけど…。聞きたい?っていうか大まかに話しちゃったわ」
有沢は小鼻をふくらませて、まだ語り足りないかの様に佐藤を見つめていたが
我慢できなかったらしく勝手に話し始めた。
「鈴木ちゃんは本当に可哀相だったのよ。この不況の中、やっと好きな出版のお仕事に就けたっていうのに
武田にセクハラされて、言うこと聞かなかったらパワハラされて、会社を辞めてもストーカーされちゃって…。
どこの世界にでもいるじゃない?仕事はできるけど性格が悪いやつ。武田ってそんな男だったの。
武田って男は図太くって鈴木ちゃんが死んだあとも会社に来たわ。鈴木ちゃんと武田の関係を知らない社員はいなかったのに。
いけしゃあしゃあとした顔をしながらね。だから私は考えたの。
この女の敵を仕事でやっつけてやるって。そしたらある日、真向かいのドルド・プラチナって喫茶店から私たちの会社を
恨めしそうに見ている鈴木幸子がいるって噂が流れて武田は気が狂って死んじゃった。
結局はその鈴木幸子の霊って貴女だったかも知れないって話なのよ。貴女…ドルド・プラチナによく行かない…?」
雨がさらに強くなり窓を叩きつける。本当に武田は佐藤を鈴木の霊と見間違えて自殺したのだろうか。
窓ガラスには佐藤と有沢が映りこんで外の風景と室内が重なって見え二人はまるで土砂降りのなかに立つ亡霊のように窓に映った。
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