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【ネタのメモ帳】文章置き場

14よね ◆0jgpnDC/HQ:2010/09/26(日) 19:38:15
御前等がよね達と接触していた頃、北条市立病院にて。

薄暗い部屋でペンの走る音だけが辺りを占領している。
一部を除いては平和な北条市、病室に4つ配置されたベッドの内3つが空きである。

『ふう…こんなところかな』

綾和は手にしていたペンを置く。
何枚も重ねられた原稿用紙を順番にまとめる。

一枚目、タイトルは《深層心理とその影響》。
米綾和は十年前、九頭によってアブダクトされるまで北条市にある大学で心理学について教えていた。
その時にちょうど書きかけだった原稿を見つけたので、再び筆を執ったのだ。

そこには少なからず自身のスタンド能力の経験も生かされていた。
スタンドと精神、心理学と精神。いずれも関連性はあった。

(今、私のようなスタンドと呼ばれる能力を持つものは肉体の世界を超え、精神の世界に踏み込んでいる…
では、更にその先の世界…すなわち深層心理の世界に踏み込んだなら…スタンドはどう変化してしまうのだろうか)

綾和は自身の中で終わらない探求を繰り返していた。

(いずれにせよ、私にはもはやスタンド能力と呼べるほどの能力は残っていない…)

ほうっと大きな溜め息をつくと、ペンを手に取りそれを指の上でクルリと回してみた。
ペンが美しい円を描き再び手の中に戻る。

そうした刹那に米綾和はふと思い出すのだ。
九頭龍一の手駒として生きていた、生かされていた時の事を。
自身の能力が真に目覚めた時の事を。そしてその能力で自身の息子さえも九頭の操り人形にした事も。

なにも忘れたわけではない。思い出せぬわけでもない。
ただ、あのスタンドの感覚が、まるでもう一人の凶悪な自分が存在するかのような感覚がやけに恐ろしく感じられるのだ。

もしかするとあの時、"精神世界のそのまた向こう側"へと踏み込みかけていたのかもしれない。

そんな事を考えながら綾和は読みかけのSF小説を手にとって読み始めたのだった。


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