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TRPS雑談所ブンヒナ出張版

684尾張証明 ◆Ui8SfUmIUc:2010/02/19(金) 20:25:52
女はガラスを突き破り、そのまま


(馬鹿な)


偶然下を通りかかった空っぽの担架の上に落下した。
担架を運んでいた消防隊員があっけにとられたように見つめる中、流石に衝撃を殺しきれはしなかったのか、ふらふらしながら俺が入ってきた方の商店街の入り口に向かって走り始める。


『糞が!!』


吠える。吠えながら、女を追いかけて俺も走り出す。
追い付くどころか追い抜かなくてはならない。こちらはおよそ三階の高さにいるのだ。


(……)


銃をもう一度構えて、走りながらガラスの屋根に向かって引き金を引く。女の真上に破片が落ちるように計算して、


(後ろに目でも有るのか)


女は最初からそうなることがわかっていたかのようにガラスの雨を避けた。


(このままでは逃げられる)

入り口がどうなっていたかを思い起こす。三台の消防車が止まっているはずだ。

(消防車?消防車か……)


いける、かもしれない。問題は装機にいた頃より体力が落ちていると言うことと、アクロ
バットをするには自分が歳を取り過ぎていると言うことだ。


(ままよ)


商店街の入り口が迫る。屋根の終わりが見えてくる。
横に目を向ければ女と俺はほぼ並走していた。


浮遊感


屋根の縁を蹴り、飛ぶ、落ちる。
いくら受け身が上手くても三階から地面に叩きつけられればおしまいだ。

(届)

け、と

衝撃

受け身を取るまでもない。
梯子に足をとられそうになりながら、消防車の車体を駆け抜け、地面に降りる。

「なんとまあ」


俺から少し離れた所で、前屈みになって呼吸を整えていた女は呆れたように呟いた。


「でも私の方が上手ですね」

俺と女の間に、図ったようなタイミングで新たに来た消防車が割って入った。
逃がすかと一歩踏み出した所で、肩を叩かれる。


「ちょっと、君」


振り向くと、そこには憮然とした表情の消防隊員が三人。肩を叩いた男が、運転席の天井
がへこんだ消防車を指差す。


「公務執行妨害だ……逃げないでくれよ?」



もちろん、俺は逃げた。




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