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TRPS雑談所ブンヒナ出張版
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自分を含め、こんな所にいる奴が怪しくない訳がない。
『動くな』
言ってから、軽く舌打ちをした。面倒なことだ、畜生め。
白衣の女は両手を挙げたまま、しげしげとこちらを観察してきた。嫌らしい薄ら笑いがカ
ンに触る。直感がこいつと俺とは相容れないと判断する。
「へえ、凄いですね。声が……いや、音が出てないのか」
気づかない訳だ、と女は一人で勝手に納得して、にやけ顔のまま続けた。
「私が誰なのか気になりますか?私はね、兎ですよ。あなたは犬みたいですが、それとも
狼ですか?羊の皮を被った」
BMWっていい車ですよね。
訳がわからないことをペラペラと女は捲し立てる。
俺はと言うと、なるべく銃を持った腕を疲れさせないようにしながら、どうやってアーチ
を乗り越えて女を拘束するか頭を働かせていた。
「どうしてこんな世界に来たか気になりませんか?犬狼さん」
思考が弾き飛ばされる。アーチに向けていた目が女に引き戻される。
ニッコリと女は笑った。
「兎だから時間を気にする方でね」
片方の手を下げて、パチリ、と女は首から下げた金色の懐中時計を開いた。
「さてと、追いかけっこをしましょうか。君は狼で、僕は兎だ」
『動くな』
意味もなく俺は呟く。女はぐっと体重を前に掛けた。つまり、ガラスに向かって。
『自殺でもする気か?』
「そんな顔しなくとも大丈夫ですよ。僕には『文明』がある」
「とは言え、それに引っ掛からない君みたいなイレギュラーはいるんだけど。」
「捕まえてごらん」
俺が引き金を引く前に、女は思い切り勢いをつけてガラスに向かって倒れ込んだ。
【尾張証明:症状悪化、声のみならず自分のたてた音も周りに聞こえなくなる
事件現場を検証しに来た『視外戦術』“兎”に遭遇】
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