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TRPS雑談所ブンヒナ出張版
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>>98
遠回りしながら、真雪は彼に様々な質問をした。
そうして答えられたのは、あたりさわりの無い内容だった。
『公務員で、三十七歳。B型でRH-。娘が一人居て、犬を一匹飼っている。』
『そろそろ引っ越しをしようと考えていて、この街に住む事も視野に入れている。』
…らしい。
会話(で良いのだろうか)をしながら進んでいくと、
目的の二階建ての大型書店が見えてきた。
「あ、見えた」
真雪は呟いて、後ろで付いて来てもらった男性に振り返る。
「あの角にある二階建ての建物です。…あ、そうだ」
後ろを向き器用に歩きながら、真雪は名乗った。
「私はツキザキマユキ。ツキは満月の『月』で、ザキは川崎とか大崎の『崎』。
マが真実の『真』で、ユキは冷たい『雪』です。…あなたのお名前は?」
その男性は少し迷った挙げ句、メモ帳に『尾張証明』と書いた。
真雪はメモ帳を覗き込んで棒読みで声に出す。
「えーと、オワリ…ショウメイさん?」
読んだ瞬間、彼がぶっ、と吹き出した。
そしてメモ帳、名前の上に、読み仮名を書き込む。
「ああ、マサアキさんか! 間違えちった、ごめんね」
謝った後で、真雪は再び前を向いた。
目の前には、もう目的地。
「じゃあ、ここだから」
立ち止まった真雪を追い越し、尾張が頷いた。メモ帳に、サラリと書き込む。
『君ほど 善意溢れる子供に会ったことがない』
そして、メモ帳を閉じ、軽く頭を下げる。それは多分、有難うの意味。
それを見て、真雪は微笑んだ。
「ううん、良いよ。私も暇だったから。…じゃあね」
コクリと尾張が頷いて、書店に入っていく。
その姿が見えなくなるまで、真雪は見送った。
「わたし」
「そんな」
「イイコじゃないよ」
真雪の呟きは、風に消えた。
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