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TRPS雑談所ブンヒナ出張版
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>>64
ようやく違和感の一つが解消された。
背中にぶつかった女、こちらが謝ったと言うのに、不思議な反応をした。
(声が出ていなかったから、か)
眉間に僅かに力が入る。ますます厄介事が増えている。見知らぬ街、他人には聞こえない
自分の声、そして目の前の女学生。
この女学生の言葉には善意しか無い。それはよくわかる。
しかし純粋な善意から来る言葉ほど危険な物はない
(この娘は危険だ)
経験が耳元で囁く。混沌が喉の詰まる毒だとしたら、純粋さとは凶器だ。どんな物であれ、
極端に蒸留された物は周囲にとって害でしかない。その事はいつも自分の周囲が証明
してきた。
(この娘には関わらない方が良い)
いっそ狂人の振りをして誤魔化すか。それに実際、はっきり自分が狂人ではないと、言い
切れる自信はもはやないのだ。
自分は瀬戸際にいる。自己が崩壊しかかっている。
今の自分はバラバラになった内面が、ただ伸びきった外面に引っ掛かっているにすぎない。
とてもこんな危険な娘に関わっている余裕はない。
出来うる限り、穏便に帰ってもらおう。
(良いことをした、と思い込ませるか)
胸ポケットから手帳を取り出し、言葉を書き込んで、黙ってじっと返事を待っている娘に
差し出した。
『すみません この街の 本屋は どこにありますか?』
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