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ローファンタジー世界で冒険!避難所

574フロレア・ステンシィ ◆d/Florean2:2015/10/12(月) 00:19:41 ID:aQ0L7z220
列車の天井を突き破り、通路に鉄色の壁が現れていた。

「な、何っ!」「うきゃうっ」「きゃっ」「うっ」

地震のような衝撃と振動が列車を揺らし、エルフと錬金術師とステンシィ夫妻の四人が体勢を崩す。
異臭に気付いたルパイネドーラが、顔を上げると赤い飛沫が一面に広がっていた。
水の精霊たちの気配も、今は感じられない。
視界を塞ぐ鉄の壁は何なのか? 巨漢の獣人は壁の向こう側なのか?
状況が飲み込めず、精霊使いは仲間に問い掛けた。

「ダッジム?」

混惑する精霊使いの問い掛けには、事態を把握したパラケルススが答える。

「ルパイネドーラ殿、あの壁は巨大ロボットが振り下ろした剣のようだ。
 信じ難いが、あれもリノ少年の想像で創り出されたものであろう」

ルパイネドーラもフロレアもレナードも視線を窓の外に向け、謎の金属壁の正体を確認した。
先頭車両の通路を塞ぐ壁の正体が、体高三十メートル級のロボットが振り下ろした剣であると。
客車を一刀両断した二十メートルの刃を側面から目にした所為で、通路に壁が現れたかのように誤認したのだ。
ステンシィ夫妻は非現実的な光景に声も無い。
いや、巨大な人型ロボットの出現には誰もが戦慄を隠せなかった。
熟練の冒険者も、窓から外を見てしまった数百の乗客たちも。

「巨大ロボット……。
 あんなものを七歳の少年が異能で作れるって言うの!?
 でも、範囲を広げれば威力は落ちるはずじゃ……」

精霊使いは絶望に満ちた否認を口から漏らす。
三十メートル級のロボットは、一般的なアイアンゴーレムの四倍程度。
包丁を巨大化させたような剣など、振り降ろされれば斬られたでは済まない。
数十トンもの衝撃を受ければ、人の肉体など簡単に四散してしまうだろう。
異能を操る少年への攻撃意思が急速に萎え、恐怖と逃走の感情が頭を擡げるのも致し方ない。

猶、この巨剣の持ち主について改めて語れば、フェネクスの虐殺の場で召喚された異世界の人造兵器である。
全身が銀色で、背に翼を持ち、中世騎士の甲冑にも似たフォルムと大剣を持つ人型の機械。
それを、リノは恐怖と破滅のイメージとして記憶していて、この空間に再現したのだ。
外見を想像で模した物なので、本来の性能は再現されていないが、危険度の高さに変わりはない。

「彼我の力に絶対的な差があるようだ。
 力の規模が桁違いであれば、我らにとって膨大な量でも、リノ少年にとっては微小な減少率なのであろう。
 地を這う蟻では、象が犀に変わっていたとて判別など付くまい」

「そんな……何か手は無いの! このままじゃ殺されるわ!」

「力量の差は顕著。
 神経に干渉する事が出来ず、物理的にも止められぬ。
 もはや、打つ手は一つか……」

パラケルススは切り札の使用を決意したが、それを実行する暇までは無かった。

「ミ、サイルッ!?」

窓を見て、掠れた悲鳴を上げる精霊使い。
少年の想像で実体化するロボットは、容赦なくミサイルでの追撃を仕掛けてきた。
正確にはミサイルを模したエネルギーかも知れないが、どちらであっても結果など変わるまい。

「シルフッ!」

精霊使いの絶叫は、耳を劈く轟音と赤い閃熱の中へ消えた。


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