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ローファンタジー世界で冒険!避難所

570フロレア・ステンシィ ◆d/Florean2:2015/10/12(月) 00:09:48 ID:aQ0L7z220
女は獣人の説明に面食らったが、すぐさま不快げな表情を顔に出す。

「両親を亡くしたばかりの子供に虐殺を生き残ったから異能者、異変の容疑者とレッテルを押し付ける。
 自分がどれだけ差別的な行為を行っているかの自覚も無い態度には、呆れるばかりです。
 超能力に関する基礎データは? 無いですよね? 無責任な言い掛かりで決めつけてるだけですよね?
 御自分に異変を解決する能力が無い事を認めたくなくて?
 だから、他人に悪しきレッテルを貼って、それを解決する立ち位置を演じなければ、アイデンティティを保てない。
 さながら、魔女狩りのようです」

語調も荒く、否認するNGO職員。
理解しがたいものへの不審が、ありありと瞳に浮かんでいる。

「……言いたい放題だな。
 基礎データなんざ、あるわきゃねぇだろ。
 だが、あのガキが異能を持つのは間違いねえよ。
 精霊が異常な力を感知したらしいし、俺も危険な気配をビンビン感じたからな」

「隣に座っていた私は、何も感じせんでしたけど?
 それで、貴方がたはリノ君をどうするつもりです」

「決まってんだろ、オバハン。
 無理にでも異変を止めて貰うのさ。
 でないと、元の場所に戻れねぇし」

「貴方がたは不確かな推測を元に、罪の無い子供に暴力を振るうつもりですか?
 無知と混乱に付け込んで子供を傷つけるような事があれば、私たちは冒険者協会に厳重な抗議を致します」

「だから……まず、ガキの異能を止めるのが先だっつてんの!
 抗議も何も、空間が異界化してちゃ、電話なんか何処にも通じねぇだろ」

「では、私がリノ君と話して超能力者でない事と安全を確かめます。
 暴力での解決しか頭にないような方には、とてもではありませんが任せられませんので!」

冒険者への不信感からか、或いはオバハン呼ばわりが火に油を注いだのか、女は憤慨したように息巻く。

「止めとけ、ガキってのは獣に近い。
 暴力がうんたらかんたら言ってるが、その暴力を抑える理性は訓練しないと身につかねぇ。
 つまり、子供の異能者ってのは理性が働かねぇから猛獣と同じなんだよ。
 アンタにはあんのかい? 噛み殺される覚悟が」

「脅迫紛いのネガティブな先入観を周囲に植え付けて、暴力を正当化しようとする。
 まったく、最低そのものの態度ですね。
 尤も、リノ君は得体の知れない超能力者じゃありませんから、的外れな妄言ですけれど」

説得は聞き入れられない。
歴史ある魔術に比べて、超能力や異能に対する一般人の理解が薄い事も災いした。
NGOの女職員は獣人の話を疑い、止める間もなく先頭の座席へと踵を返す。
ダッジムの頭に、この女の腹に一発入れて気絶させてやろういう考えが浮かぶものの、すぐに霧散した。
炭鉱の金糸雀として消えて貰う方が、後腐れが無いと考えたのだ。

「熊に殺られる動物愛護団体のようにな」

「ダッジム殿、如何したか」

パラケルススが不審な顔で聞き返す。

「いや、あのオバハンの説得が成功したら良いなって祈ってただけだよ」

苛々した靴音が遠ざかると、入れ替わるようにしてステンシィ夫妻がやって来た。


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