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ローファンタジー世界で冒険!避難所
553
:
巡検司書アルサラム
◆FarahLxH6M
:2015/09/05(土) 20:52:50 ID:Aa/MmyRA0
「まぁ、そうやな。
フェネクス虐殺の前日辺りやったか?
ラングルード地区で大陥没が起きたのは覚えとるやろ」
「忘れる訳がない」
私立探偵の言う大陥没とは、バニブルのラングルード地区で起きた、類を見ない程に大規模な崩落現象である。
被害は地階数十層にまで達し、倒壊した建物や負傷者・行方不明者は数知れず、影響範囲も100平方キロ近くに及ぶ。
原因こそ調査中だが、近衛隊長ハーラルの報告からバニブル政府が推測するのは容易だった。
地下書庫の底にはダァト――――建国王フラター・エメトの手で強大な禍物が封じられていると言う。
その封印に綻びが生じたか、或いは解けてしまったと考えるのが自然だ。
「兄さんが行こうってしとる所は、枢要罪“憤怒”に最も近い場所でな。
先の大陥没も、そいつの力の一端が吹き出ただけぇって話や」
「それと俺に何の関係がある」
「で、だ――――その“憤怒”と兄さんは属性や相性が近いらしい。
つまり、禍物から影響を受けて、そっち側に染まられちゃ困るって話やな。
もし、そないなっちまったら、バニブルが受ける被害は大陥没の比じゃあらへん」
「その占い師の心配は無用のものだ。
俺の心は悪しき禍物の色になど染まらない。
運命の在り様は予言でなく、人の意志によって定まるものだ……退け」
「不可避《アドラステア》の称号を持つ予言者の予言やなけりゃ、ワシも聞き流したかもわかれへんがなぁ。
ま、口でぇ言うても無駄やちゅうこっちゃか、兄さん。
それやったら、ワシも破滅を防ぐ努力をせなあかんな」
私立探偵は黒宝玉を弄ぶ手を止めた。
口笛のような甲高い音を響かせて息を吸い込むと、彼は全身から薄墨色の陽炎を迸らせる。
蜘蛛《スパイダー》の通り名を表すが如く、暗い魔力の揺らぎは瞬く間に蜘蛛の形を取り始めた。
「予言は予言。
未来は己の手で切り開く。
正義の執行を阻むものがあれば、押し通るまで」
アルサラムもカードデッキを手にする。
付与魔術で特殊処理を施したクレド・マディラこそが、彼の最も使い慣れた武器だ。
ドイナカ村では虚霊炉の内臓魔力を用いてイラストを実体化させていたが、件の魔術具はラクサズの元で魔力の充填中。
従って、今は己の魔力だけでカードの絵を具現化しなければならない。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい! 待って! こ、この脳筋っ!
アルサラムが憤怒のアイン・ソフ・オウルに乗っ取られるのを防ぐだけなら、別に戦わなくてもいいでしょ!」
ヴァルンの制止が地下空間に響いた。
しかし、既に臨戦態勢の両者は止まらない。
「怪我をしたくなかったら下がっていろ」
アルサラムは同行者へ下がるように促すと、視界を埋め尽くす相手を眺めた。
呪力で作られた無数の影蜘蛛は、一匹一匹が中型犬ほどの大きさ。
それが、今やびっしりと石床を埋め尽くし、書架や天井にも張り付く。
実に悍ましい光景だが、普段から魔境染みた地下書庫を巡検する司書は鋼の意志を揺らがせない。
「ディオラオスの金狼――――進路を塞ぐ虫どもを蹴散らせ」
アルサラムが空中にカードを投げると、描かれた狼のイラストが抜け出す。
美々しい絵は、アルサラムの魔力で質量を備えて実体を持ち、象にも匹敵する巨躯の金狼となった。
イラストを失ったカードには『神に逆らって狼に変えられたディオラオス王の末裔たち』とのテキストだけが残る。
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