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ローファンタジー世界で冒険!避難所

551装幀司書ヴェクス ◆xNodesigng:2015/09/03(木) 22:39:24 ID:jhx5I9Ow0
舞台は再びドイナカ村の病院に戻る。
管理室のヴェクスは、モニターでミリアの様子を眺めていた。
現在、病室と廊下との境界には、破壊された鉄扉の代わりにkee poutと書かれたテープが張られている。
破るのは容易いテープではあっても、一応は障壁としての役割を果たしているようだった。
入浴後のミリアも暇を持て余すように寝転がり、監獄として定めた範囲からは出ない。
焦燥も緊張感も見せないのは、魅了したヨードルの動きを待っているからだろう。

しかし、ミリアの元に朗報など来ない。
彼女の尖兵は既に拘束されたのだから。
無論、ヴェクスも懇切丁寧に経緯を教えるつもりなど無い。
自分の試みが順調に進んでいると夢想させていれば、ミリアも動かないと考えて。
怠惰に寝そべる囚人を監視しつつ、看守の方は先程の映像に効果的な使い道が無いか検討していた。

(さて、この自殺案件の映像はどうすべきか。
 脅迫で動きを封じられればいいが、逆上して後先考えずに暴れられても堪らない。
 いや、そもそもリベンジポルノの真似事をすれば、地区警察に手を貸したバニブルまで名声を地に落とす。
 証拠が残るような方法で脅すのは好ましくないな)

ヴェクスは何かを思いついたようで、電話を掛けるべくタブレット端末を手に取り、指先を動かす。
彼は通話先の相手に幾つかの魔術具を送付するよう依頼し、程なく要件を終えて電話を切った。
続いて、コーデファーの検査が終わった頃を見計らい、アクノスにも電話を掛ける。

「やあ、コトン」

猫撫で声に生理的な嫌悪感を抱き、コーデファーは無言で通話を切った。
しかし、ヴェクスはあからさまな拒絶に引き下がることなく、即座に電話を掛け直す。

「いきなり電話を切るなんて酷いなぁ。
 そう邪険にしないでよ」

「わたし、何時間も検査を受けたばかりで疲れてるの。
 少しは気遣いなさい。
 ……で、何の用?」

コーデファーは面倒臭そうに言った。

「報復の絞首紐《リプリサル・ギャロット》を送るから、リンセル・ステンシィに装着させて欲しい」

「あれを保険にするつもり?
 其処まで外道な手段を使うっていうのも情けないわね」

「悪魔と戦う時は、悪魔よりも悪魔的にならねばならないって言うだろう。
 ともあれ、ブラフよりは実行性のある方が良い。
 まあ、世の中の為だからセーフじゃないかな」

「理念のためなら不法も正当化されるって論理、あの女も使ってなかった?」

「もちろん、使ってたよ。
 あらゆる侵略行為は、目的で手段の正当性を担保するものだからね。
 まあ、彼女の主張は裁判で聞くとして、まずはそれが可能な状況を作るのが肝要だ。
 罪を問う奴がいれば、そいつにミリアの管理をさせたい」

「まぁ、いいわ。
 せいぜい、お得意の口先で宥め賺して自暴自棄にさせないことね。
 それと、其方に覧界視が置きっぱなしになってるから、すぐに此方へ送って頂戴」

突き放した様子で言うと、コーデファーが通話を切る。
用を終えたヴェクスがモニターに目を移せば、医療用ロボットが病棟に夕食を運んでいた。
時刻も夜に差し掛かったのだろう。


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