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ローファンタジー世界で冒険!避難所

543装幀司書ヴェクス ◆xNodesigng:2015/08/13(木) 05:00:01 ID:n/j7HWKE0
ミリアには、淡いピンク色の病衣が着替えとして用意された。
反省の意を見せずとも、血のようなものがベットリ付いた服を着続けろとは言えない。
服の替えを運ぶのは、看護の意味を持つ自動搬送ロボット“プロセドリアー”だ。
看護婦を模した人型の機械だが、妙にアニメチックな造形である。
長い金髪と碧い瞳、不必要なまでのプロポーションの良さを持ち、気のせいか星の巫女にも似ていた。

「……まぁ、何とも言えないデザインだ」

検査室に置かれた機械人形を見て、異郷の魔術師は呆れたように言う。
如何に高性能医療機器でも、見た目が等身大のアニメフィギアでは異様な印象も否めない。
ドイナカ村の警備官も同意したように頷く。

「多分、院長の奴の趣味だろう。
 そう言えば、車に同じような絵を描いとる奴もおったな。
 痛車とか何とか言っとったが……何を考えとるやら。
 あぁ、俺は役場の様子を見てくるから此処は頼んでいいか」

「ええ、何かあったら連絡しますよ。
 何も無ければ、それに越した事はありませんが。
 三主教の方は此方の上司に連絡しますので、御案じなく」

ウィムジーが出てから数分後。
プラスチックのバスケットにタオルと服を詰めたプロセドリアーが、病棟の廊下を歩いてゆく。
人工知能の発達で近年の医療ロボットは生物の感情を認識し、高い判断能力を持つ。
細かい指示を下さずとも、大抵の事はやってくれるのだ。
頭の螺子が外れた相手でも、精神を擦り減らさないで会話出来る点から、特異病棟では特に重宝されている。

(千年前には付与魔術師しか為しえなかった神秘を、いとも容易く大衆が操る。
 まったく、堪ったものじゃないね)

現代の付与魔術師は浴室の前で佇む機械人形を見て、そんな感想を抱いた。
実際、ここ数百年の機械工学は進歩が目覚ましく、高度な人工知性を持つ機械も先進国では珍しくない。
例えばインペリア。彼の完全管理都市は機械を国家元首として戴き、市民を統治させている。

(機械が人の上に立つ光景なんか、ラクサズが見たら憤激しそうだ。
 ああ……教皇庁の内部にミリアの手先がいるかも知れない件は、今の内に連絡しておくか)

ヴェクスは魔術通信具を使って、ラクサズに必要事項を伝える。
それは手短で、プロセドリアーが浴室前の扉で佇む頃には終わっていた。

「ミリア君、着替えとタオルを用意したよ。
 浴室の外で看護用のロボットに持たせてるから、シャワーを済ませたら受け取ってくれ。
 ところで……まさか、シャワー音に紛れて壁なんか掘ってないよね?」

スピーカーで着替えの用意が整った事を伝えつつ、策謀の有無も問う
ミリアは魔力減衰帯でも魔術を使えるので、他人に悟られぬ時間を利用して何かしている可能性はあった。
強化魔術の使い手なら、爪を硬化させて壁を削るくらいは可能なはずだ。

「一応言っておくけど、他の部屋や廊下にもセンサーを備えた監視カメラがあるから。
 気づかれずに抜け出すのは不可能だよ」

内心では杞憂と思っていたが、それでもヴェクスは警告を行う。

(……機械人形の瞳にも監視カメラはある。念の為に起動させておくか)

プロセドリアーの撮影機能が起動して、管理室のモニター画面に撮影中の映像が転送された
今、重要視すべきなのはミリアの人権より、事件の解決だ。
だから、ヴェクスに疚しい気持ちは無い。おそらく。


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