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ローファンタジー世界で冒険!避難所

542装幀司書ヴェクス ◆xNodesigng:2015/08/13(木) 04:58:48 ID:n/j7HWKE0
ミリアが浴室に消え、監視用モニターに映るのは無機質な部屋だけとなった。
浴室とトイレにはカメラを設置されていないので、ミリアの様子も音でしか分からない。

「警備官殿。
 アクノス市警に連絡して医師団の全員を拘束できますか?」

ヴェクスはスピーカーでシャワー音を聞きながら、ウィムジーに話しかけた。

「アクノスに向かった医者の中にスパイがいるってことか、魔術師」

警察関係者だけあって、ウィムジーも相手の真意に気付いたようだ。

「ええ、聖堂騎士を三主教に引き渡すと言った時、彼女の表情には余裕が見えました。
 つまり、聖堂騎士が三主教の管理下に移される状況も、さして都合が悪くない。
 要するに外部協力者が存在するのでしょう。
 ミリアの魔力で魅了され、手先として動くものがね。
 おそらく、それは聖堂騎士を拘束している医師団か、引き渡される先の教皇庁の中にいる」

ミリアの反応を観察していたヴェクスは、彼女の表情に嘲笑うような余裕を感じていた。
魔術師も警備官も、世慣れていないミリアが簡単に出し抜けるほど甘い相手ではない。
それなりの洞察力を持ち、相手の出方を考え、手を打つという当然の事を行う。

「なるほど、話は通しておこう。
 上にも管轄が違うなどとは言わせん。
 しかしな、三主教の方はうちでも手が出せんぞ。
 教皇庁に要請して動いてもらわんと、どうにもなるまい」

「すぐに対処して貰いたい所ですが、確実に信頼できる相手を選んで話さなければ、悪化しかねないのが難点ですね。
 聖堂騎士の一人を魅了した事実がある以上、精神汚染の規模も思ったより広がっているかも知れませんし。
 ミリアがエヴァンジェルに滞在した時間を鑑みると、魅了被害者は最大で数十から百人以上の規模と考えるのが妥当かな。
 そこまで魔力が持つかという問題は、厄災の種が解決する」

「ううむ……信奉者が数十から百人か。
 ちょっとしたカルト教団だな。
 魔術ってのは、つくづく厄介なもんだ」

警備官は苦虫を噛み潰したような表情で吐き捨てる。

「確かに魅了は厄介な力ですが、あの女が持つ最強のカードじゃないでしょうね」

「ふゥむ、もっと厄介なもんといやぁ、さっきの植物みたいな結界か?
 普通の魔術じゃ破れんとか言っとったしな」

「あれも堅牢な障壁だとは思いますが、違いますね。
 いや、違う事もないかな?」

「おいおい、どっちなんだ」

「じゃあ、正解としておきましょうか。
 僕は、あの光の結界が、強固な意志や強い感情が生む副産物ではないかと推測してまして。
 心の壁というか、境界というか……要するに他者の価値観を拒み、己の常識を守る精神の具現ではないかとね。
 感情で世界を歪める存在について考えていたら、ふとそんなインスピレーションが湧いたんです」

「つまり、結界を作るような強い意志や感情が、一番強いカードってぇ事か?」

「ミリアに関しては、死んだ父親の理想を叶えようという意志、なのでしょう。
 彼女が事件を起こした動機にして、あらゆる不法を正当化する免罪符でもある。
 これを叩き潰さなければ、おそらく事件は解決しない。
 ですが、リンセル・ステンシィの命で揺らいだ程度の意志ですから、不落の要塞という訳でもないはず。
 希望的観測ではありますがね」


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