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なんでも投下スレin避難所2

288名無しさん@避難中:2013/07/27(土) 12:34:35 ID:dI5aCWCc0

「復讐の為なんかに人を殺すなよ。失ったものはもう、還ってこない」
「じゃあ、お前はなんの為に奴を殺すんだ」

「自分の心の平穏の為かな。奴だけはこの手にかけないと気が済まない」
「それを復讐っていうんじゃないのか」

「違う。少なくとも俺の中では。俺は殺されたあいつの為に奴を手にかけるわけじゃない」
「俺にはお前が綺麗事を吐いているようにしか思えんが」

「なんとでも言え。誰に何と言われようとも。俺は奴を殺す。
 それに他人の命を狩る事に正義などないさ。其処には厳然とした罪が在るだけだ」

「何故、俺に人を殺すな、などと、説いた」
「あんたに覚悟を問いたかった。あんたにその覚悟が在るんなら。共に罪人になろう」

「そんなものはないと言ったら」
「奴は俺が殺すから心配するなと、言いたかった」

「お前は大層なお人良しだな」
「よく言われる」

「だが、俺はお前とともに行くと最初から決めていた。お前の最期も見届けたいからな」
「望むところだ。共に事を成し、最果ての地へいこう」

 おわり

289名無しさん@避難中:2013/07/29(月) 22:24:27 ID:JU5nFkIA0
GO!GO!スワローズ!(デカ画像注意)

http://ux.getuploader.com/sousaku_2/download/521/IMGP4772.JPG
http://ux.getuploader.com/sousaku_2/download/522/IMGP4773.JPG

290名無しさん@避難中:2013/07/29(月) 22:46:12 ID:0VPo6HSc0
>>289
何かと思ったwwwwwwかわいいwwwww

291名無しさん@避難中:2013/08/15(木) 19:03:39 ID:.qBWsbOM0
>>289
スワローズwwwwwきれいに撮れてるなwwwwww

292名無しさん@避難中:2013/08/15(木) 19:17:42 ID:.qBWsbOM0
「わぁっ!」

眩しいほど、夏の太陽を反射する青色の海を見て、彼女は声を上げた。

「キレイー!!」

ああ、綺麗だな、とその横顔を見ながら声に出さず思った。

ラジオを付けると、ベースが効いた重快な夏のジャズが重苦しい車内の空気を押し流すように流れ出す。俺はボリュームを上げた。

「あ、そこ右!」
「うおっ!」

急ハンドルで、彼女の指示に従うと、車が軽く浮いた。
冷や汗がでたが、しかし、夏のように満面であははと笑う彼女を見ると、苦笑するしかない。

海岸沿いをしばらく走り回り、山沿いの畑の通りから、砂浜へと抜けることができた。

綺麗な砂浜だが、俺たちの他に人が居る様子はない。

適当に車を停めると、俺を置き去りにして、彼女は弾けるように海岸へと走り出した。

俺は慌てて乱暴にキーを抜くと、彼女を見失わないように走って追いかけた。

砂浜の向こうに走って行く彼女を見ると、
何故か、
ここで見失ったら二度と見つけられないような気がした。

「うわっ!うわわっ!水が気持ちいーよ!」
「……あんまり遠くに行くなよ」

息切れする自分自身に対し、年だなと思う。
彼女は相変わらず、子供っぽく元気なのに。

「ほーれ、水!」
「うわっ!てめっ!」

ぼんやりしていたら、海水をかけられた。
海水自体はそこまで冷たくないが、海風に触れた素肌が気持ちよく感じる。

「お返しだっ!!」
「キャー!!!」

それから二人で、ギャーギャーキャーキャー言いながら水を掛け合っていた。

293名無しさん@避難中:2013/08/19(月) 00:37:29 ID:X8tIiUQA0
>>292
良いね。
なにかのつづきな気がしたが・・・気のせいか

294名無しさん@避難中:2013/08/22(木) 22:28:31 ID:yAiQCuqM0
>>118
>>119
の続きです。
素敵な>>119を書いてくれた方に感謝です!

295名無しさん@避難中:2013/08/22(木) 22:30:09 ID:yAiQCuqM0
カラッと乾いた海風。
全てを焦がす灼熱の太陽と、青という言葉が相応しい空。
遠く、山脈の上に昇る城塞のような雲。
緩く弧を描く水平線に、白いワンピースの後ろ姿。

どこまでも、夏だった。

いつまでも続くように。
その生命力をありったけに主張するように輝いている。

それでも。

それでも全て、夏が終われば消えてしまう。
ああ、だからこそ、俺は。

「大丈夫?」

 突然、胸が苦しくなって立ち止まった俺を心配して、先を行っていた彼女が見上げてくる。 

「なんでもない、大丈夫だ」

 低い声で返す。震える声を誤魔化せたかは、わからない。
 大丈夫だ。俺は。大丈夫だから。
 こらえた涙が、視界を揺るがせた。

 この世界は思った以上に揺らぐ。
 秋になれば、この暑い風は止む。天高く広がる青空は、やがて美しい月夜へと取り替えられる。綺麗な入道雲も、やがて見れなくなるのだろう。
 永遠に続くものなど、きっとない。

「……心配させてすまない。暑さのせいだ。どこかへ、寄ろう」

 ともかく、こんな俺では彼氏失格だ。
 彼女の肩に手を置こうとして、

 その手が彼女をすり抜けた。

「……どこへも行けないよ。……もう、行かなきゃ」

 波音に消え入りそうな声で、彼女が言った。

296名無しさん@避難中:2013/08/26(月) 22:34:14 ID:uhooo7XQ0
――バカな。

まだ、日があるはずだ。永遠なんて言わない、けれどまだ早い、早すぎる。

待ってくれ、俺はまだ――







「大丈夫?」
彼女の顔。
心配そうに覗きこんでいる。

体を起こし、呼吸をしてみる。
なんでもない。
大丈夫だ、問題ない。

「びっくりしたぁ。タバコ吸い過ぎなんじゃないの?」

いたずらっぽく笑いながら、彼女は俺の胸元を小突いてみせる。


いったい何だったんだ? 今のは。
心臓を鷲掴みにされ、引き摺り込まれるような感覚。
引き摺り込まれた先は闇、真っ暗な死者の世界だ。


どうしちまったんだ、俺は。
“その日”を意識しないよう気をつけていたのに。

夏は、ダメだ。

現実とそうでないものの境目が、曖昧になる。

暑さで溶けちまってるんじゃないのか。
境目、仕事しろ。

297名無しさん@避難中:2013/08/26(月) 22:36:48 ID:uhooo7XQ0
↑こういうの難しいですねえ。でもお話のふいんき好きなので、勝手に続き。
無視で構わないので! 

5周年に向けた賑やかしになれば幸いどす

298名無しさん@避難中:2013/08/27(火) 16:50:52 ID:tcIaG4mA0
↑ 1年がかりのリレーGJ!
女性は最初からこの世のものではなさそうな不思議な雰囲気だったけど、男もなにか代償をはらっているか、むしろ男が……
いろいろ想像がひろがるや。
それに、去年の夏からのリレーって要素がくわわると、いつ崩壊するかわからない永遠の夏にしか存在してない男女って風にもみえてきます。

299名無しさん@避難中:2013/10/20(日) 22:49:08 ID:LxNY96WA0
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4598829.jpg

300名無しさん@避難中:2013/12/11(水) 22:57:41 ID:rsxb4WL.0
「僕たちの社会は君たちの社会とその始まりからともに在ったけれども、君たちはずっとそれに気づいていなかった。それは僕たちが気づかれないようにしていたからだけど、あるとき僕らの誰かが言った。
『彼らに僕たちを認めてもらおう』
 もちろん僕たちは最初は猛反対した。だけど彼の懸命な説得のおかげで僕たちも考えを改め、君たちに歩み寄る決心をした。
 君たちは僕たちがびっくりするほどにすんなり受け入れてくれたね撿撿ほんとうにありがとう。
 まぁ、そんなわけで僕たち吸血鬼は君たち人間とともに歩む時代を迎えたわけさ」
 かび臭く無機質な部屋のなか、中央に置かれた小さな丸テーブルの上に置かれたろうそくの炎は、青年の青白い顔を照らし出していた。
 狭苦しい部屋には窓は無く、出入口も青年の背後の壁にある重々しい鉄の扉がひとつだけ。その扉にも無骨な錠がかかっていて、この部屋がかつての刑務所か精神病院の一室であろうと推測させた。
「ねぇ、聞いてる? 」 
 青年はテーブルのそばに立ったまま、じろりともうひとりの人物を見下ろした。その人物は背もたれのない小さな椅子に腰かけ、さっきから身じろぎもせずに青年の話に耳を傾けていたのだった。彼の体は部屋の暗がりに半分以上が紛れていて、年齢や顔つきはわからない。ただ男性であろうということだけが体の輪郭からうかがい知れた。
「聞いているのかい? 」
 青年は小首をかしげてもう一度呼びかけた。男は無言のまま片手をあげ、億劫そうにまた下げる。
 青年はそれを見て満足げに頷いた。
「今じゃ街なかに僕たち専用の自動販売機が設置されるくらいだ。
 でもそれまではひどかったね。国は受け入れてくれたけど、人々のあいだの偏見まではなかなか払拭できなかった。
 『吸血鬼は不死身だ』『吸血鬼は日光を避ける』『吸血鬼は怪力や超能力を持つ』
 例を挙げればきりはない。僕たちはコミックの住人じゃないんだから、そんなスーパー・パワーなんて持っているわけないのに」
 そこまで言うと青年はくすくすと小さく笑った。男も力無く笑った。

301名無しさん@避難中:2013/12/11(水) 22:57:51 ID:rsxb4WL.0
「僕たちは」
 青年はぴたりと笑うのをやめ、男を見すえた。その顔はろうそくの明かりの具合のために恐ろしい怪物のようだった。
「君たちとちょっとだけ消化器の構造が違い、またちょっとだけ特定の歯がするどく発達しているだけだ。紫外線には少し弱いけれども、昼間に出歩くこともできる。
 君たちに迫害されつづけたために助け合いの精神はむしろ君たちよりも大切にしているし、医療の世界では君たちよりも成果をあげていることが多いんだぜ。
 僕たちは、君たちの思うような怪物じゃない……」 
 青年はうなだれる。顔は影になり、表情はわからない。男は無言で彼を見つめていた。
 しばらくの間があって、青年は口を開いた。その声は小さかった。
「……そりゃ、今はそんなことないさ。でもそれまではほんとうに辛かった。毎日毎日学校で殴られ、蹴られ、腕を折られたことだってあった……」
 ゆっくりと顔をあげる青年。彼はテーブルに手をつき、大声で言い放った。
「だからお願いだ! 僕たちを恐れるのをやめてくれ! 社会はすでに僕たちを受け入れ、同一化に向けて進んでいる。君たちの考えは異端なんだよ! 」
 その叫びには悲痛な色があった。狭い部屋を反響したその懇願はしかしすぐに闇にかき消える。
 しばしの沈黙があった。
 ふたりはただ見つめあっていた。彼らはお互いの瞳からお互いの想いを注いでいた。彼らは微動だにせず、相手を正面から受け止めていた。
 ……やがてろうそくがすっかり短くなったころ、男が静かに口を開く。
「……たしかに、俺たちの考えは今の社会に受け入れられていないかもしれない」
 静かな語り口は大声でわめきちらすよりも鋭く、深く、周囲の闇をえぐった。
「だが『異端』と言うにはどうなのだ?
 もともと俺たちは俺たちだけでうまくやっていた。だがしかしおまえたちが入り込んできたことによって何かが狂った。
 おまえらによって引き起こされたにちがいない過去の失踪事件も『やむを得ない事情のため』として捜査を打ち切られた。
 おまえたちが入ってきたことで血液が不足し、医療の現場では手術待ちの患者たちが涙をのんでいる。お前たちがその分野で頑張っているのは罪滅ぼしのためかしらないが、そんなことは彼らには関係ないんだ。
 これは俺だけの考えじゃない。お前たちを認めない人たちはごまんといる。
 おまえも、それがわかっているからこんなところに呼び出したんじゃないのか」
 男はそう言って悠然と立ち上がった。その仕草は彼の意思を言葉以上に雄弁に語っていた。青年は苦々しげに歯を食いしばり、拳を振り上げてますますわめいた。
「だからといって、夜道でいきなりうしろから僕らを殴りつけ、そのまま車で連れ去りるのはいかにも非人道的だろう! 僕らにも人権はあるんだ!」
「人権は『人』のためのものだろう。お前たちのどこが人なんだ。体の構造から違うじゃないか」
「法は僕らを認めた!」
「俺たちは認めていない。俺たちの社会の異端者どもはお前たちだ」
「だから殺すのか! か弱い僕らを!」
「俺たちの前に現れなければそうなることもなかったのに、殺されるのを選んだのはお前たちだ!」
「この異端者ども!」
「この異端者ども!」
 激昂したふたりは同時に互いに掴みかかり撿撿
 撿撿倒れたろうそくの火と一緒に、濃い漆黒の闇へと消えた。

302名無しさん@避難中:2013/12/17(火) 00:37:21 ID:CXLsTzf.0
らくがきハルトシュラ
http://imefix.info/20131217/141202/rare
しゅらしゅらー

303名無しさん@避難中:2013/12/17(火) 01:16:13 ID:/6tyNvqo0
軍服閣下?素敵ね

304名無しさん@避難中:2013/12/17(火) 11:45:59 ID:TDO1n7ws0
大雪が過ぎ、年の瀬も近づいてきたとある日のことである。
外は朝から少々吹雪いており、おかげでコタツから出る事が出来ない。
居候となった猫又も最早妖怪としての気概もなく、そこらにいる猫と同じようにコタツで丸くなっている。
このような日は家に篭っているに限る。はずなのだがそれが出来ぬのっぴきならない事情があった。
単刀直入に言おう。食料がないのだ。すっからかんである。とてもじゃないがキリギリスは笑えない事態なのだ。
これを解消するには外に出なければならない。しかし吹雪いている。明日も晴れるかわからぬ天気。
こういうときに私の阿呆な友人が来てくれればいいのだが悪天候の日は来ない。(ただし台風の日はなぜか来る。阿呆なのだ)
いつ晴れるかもわからぬ故にお湯をすすって過ごすわけにもいかぬ。まずはこのコタツから体を出さなければならない。
理性と本能の間で苦戦しているとチャイムが鳴った。前述した通り阿呆な友人は来ない。ということは郵便だろうか。
だがこの町(村とも言う)の郵便はひどい体たらくで天候が悪いと休んだりもする。この天候ではきっと休むだろう。
訪問客の目処が付かぬまま玄関の戸を開ける。
「こんにちわ」
「おや、桃花さんじゃないですか。どうしたのですか」
桃花さんとは町の外れにある大きな桜の古木の下に居を構えている何でも屋である。
見た目は十七ほどの麗しき女性に見えるのだが人間ではないそうでその実年齢は闇の中。
黒髪のポニーテールが特徴的で町の人間からは無限さん、桃花さん、何でも屋さん、女侍、妖怪ゴリラ侍と言われて親しまれている。
彼女の名誉のために言わせて貰うがその見た目は決してゴリラではない。小学生の言う言葉などあてにはならぬ。
桃花さんは持っていた袋を私の目線まで上げる。
「いいお酒が手に入ったんだ」
「ほう!」
恥ずかしながら私はアルコールの類に目がない。景色と塩を肴に一人でちびちび飲んでいることすらある。
ちなみにこのような飲み方は体に良くないのでまねしてはいけない。
早速上がってもらおうかと思ったが私は直面していた忌わしき問題を思い出す。
「桃花さん。実は今うちに肴になるものがないのですよ」
「全くか」
「ええ、すっからかんでオケラですよ」
このように向こうがお酒を持ってきた場合はこちらが肴を用意するのが礼儀である。故に肴は持ってきていないだろう。
桃花さんは暫し考えた後
「では買いにいくとしよう」
と提案した。しかし桃花さんはお酒を持って来てくれたのだ。さらに吹雪の中買いに行かせるわけにもいくまい。
すったもんだあった後、二人で買いに行き、全額私負担ということで決着した。
防寒着を着込み、猫又に出かけることを告げて、サイフをポケットにしまい、笠を被る。
ではと意を決して外に踏み出す。凍える風と雪が容赦なく私の体を攻撃する。
桃花さんは慣れたものでさっさと進んで行くので私も必死になって追いかける。
近くのコンビニに付く頃には体も暖まり、思わず服を脱ぎそうになるくらいだった。
閑散としたコンビニで肴を買い、吹雪の中を帰宅する途中。桃花さんが立ち止まった。
「どうかしましたか?」
「人が倒れている」
「人ですか……え、人が?」
思わず聞き返す。さきほど通った時は誰もいなかった。言われて見れば道の端っこに何かが横たわっているようだ。
それの元へさっさと行き、抱き起こす桃花さん。後から追いついた私はそれを見て驚いた。
真っ白なのである。髪も服も肌すらも。生気が感じられない。雪で出来た人形じゃないかと疑いたくなる。
「これは珍しい。雪女だよ」
「雪女ですか。道理で血の気がないようで」
「何ゆえに吹雪の中倒れているかわからんがとりあえず君の家まで運ぼう」
よっこいしょと雪女を背負う桃花さん。見たところ雪女のほうが背が一回りくらい大きいのだが物ともせず歩いていく。
やっぱり妖怪なのかなと思いつつも私はその後を必死に追いかけた。
家に着き、桃花さんはどういうわけか一番暖かい部屋に連れて行き、暖房をつけた。
「雪女ですよね。暖房付けたら溶けるのでは」
「そもそも吹雪の中倒れているような奴だ。寒さに弱いのかもしれない」

305名無しさん@避難中:2013/12/17(火) 11:46:20 ID:TDO1n7ws0
寒さに弱い雪女とはまた難儀な星の下に生まれてしまったものだと思いながら指示通りお湯を用意する。
彼女はグラスを用意して、持ってきたお酒をお湯割りにして雪女の口に注ぎ込む。
何口か飲ませたら雪女の頬に血の気が出てきた。それでいいのか。
「よし、後は休ませて置けばそのうち目覚めるだろう」
「これでいいのですか」
「これでいいのだよ。さて、次は我々の分だな!」
グラス一杯に酒を注いで乾杯をする。冷えた体が酒でぐんぐん暖まっていく。肴もうまい。
コタツにいた猫又が匂いだけで酔い始めた頃、雪女が目を覚ました。
とりあえず起きぬけに一杯飲ませて説明を聞くと山から下りてきたはいいもののお腹が減って倒れたそうだ。
まだ雪女としては半人前らしく寒さにもさほど強くないらしい。これから鍛錬を積むそうだ。雪女も楽ではない。
とりあえずお酒が飲めることはわかったので朝型まで飲んだ。猫又は静かに呻いていた。

翌日。二日酔いで倒れる雪女をコタツに置いて桃花さんを見送った。
桃花さんはどうせ彼女は行くあてもないだろうし家に置いてあげるといいと言われたので
雪女が起きた後、彼女にその事を告げると三つ指をついてふつつかものですがよろしくお願いしますと言われた。
かくして我が家は人間一人、雪女一人、猫又一匹という家族構成で大晦日を迎えつつあったのだった

306名無しさん@避難中:2013/12/17(火) 16:31:19 ID:PyypOkUU0
続きはよ

307名無しさん@避難中:2013/12/19(木) 12:22:57 ID:aC/zConY0
一方その頃俺の家では・・・

 ドコドコドン             ミ   ))←俺
       I    /            //        /
   _  ヽO丿    __      /O>      O セックス!!
  ( () ∧/ ←母  〔 TV 〕       __  /V \
   I ̄I   )       || ̄.||        |PC | /> ←父

308名無しさん@避難中:2013/12/21(土) 00:00:03 ID:t34TQ8PM0
↑姉はどこに居るんだ?

309わんこ ◆TC02kfS2Q2:2013/12/23(月) 18:56:39 ID:8Nr7Ajas0
  
   『さよならサンタクロース』


 サンタクロースの出で立ちをした泥棒が追い詰められた。

 身の軽さには自信のあった犯人は、俺としたことがと奥歯を噛み締めて石畳敷き詰められた夜の町を走った。
 バスはおろか、汽車もまだ生まれる前の話だ。この町で一番足が速いんだと、それだけを胸に。
 警察をかわし、町中を縫うように逃げるが、警察も威信をかけて犯人確保に息を巻く。裏の裏をかいて、また裏を読む。
さらに裏に返しては逆から考える。サンタクロースと逃走犯は冬の町を駆け抜ける。

 「市民の為にも、治安の為にも捕まえるんだ!」
 「しかし……、あれだけすばしっこいんです。馬車でも追いつけません」
 「ううむ」

 まるでネズミのようだ。地上で追うには不利と考えた警察は、犯人を屋根へと追い詰めた。石で出来た屋根は冷たい。
サンタクロースは孤独と意地に苛まれ、そのかいあって、犯人はとうとうサンタクロースの見てくれらしくある家屋の煙突の上に逃げた。
煉瓦造りの家からはうっすらとランプの明かりが滲んでいた。

 「煙突から家に入り、住人を人質にとる」

 オリオン座を背にサンタクロースは不敵な笑みを浮かべた。
 奥歯を噛み締めていた警察たちが「あっ」と声をあげたときのこと。
 ふと、気を許したせいか、サンタクロースはけ反り返り白い袋を担いだまま、煙突の中へと脳天から落ちた。

 家の暖炉から白い袋が飛び出てきた。転がった袋は居間へと闖入、一方招かざる客は石炭かすで煤けた炉の中で、
頭から赤い血を流し子供の声を聞いた。

 「あっ。サンタさんからだ!」

 サンタクロースが聞いた最後の言葉だった。
 同じく暖炉から顔を出した赤い帽子を見た子供はクリスマスを祝った。

   おしまい。

310名無しさん@避難中:2013/12/24(火) 07:59:54 ID:QA/.IqBUO
あ。冬なのに暖炉付けてなかったw
ごめんw

311名無しさん@避難中:2014/01/17(金) 00:31:19 ID:SowfPIIs0
キス待ち
http://imefix.info/20140117/31030/rare

影思いっきり間違えてるのに描き終わる少し前に気付いた……反省。

312名無しさん@避難中:2014/01/17(金) 00:55:18 ID:0Iva0aEc0
kiss待ちかよwwwwww

313名無しさん@避難中:2014/01/17(金) 23:55:01 ID:MjIH17RA0
だれのを待ってるんだwww

314名無しさん@避難中:2014/01/21(火) 22:41:23 ID:zdJoWwws0
大寒が過ぎ、寒さは峠を迎えている。
私が住むこの村でも連日吹雪が襲来しており、お天道様が見えぬ日々が続いていた。
寒いので布団に猫又を引きずり込めば「湯たんぽ代わりにするな」と怒られ、
じゃあ雪女でも引き込もうかと冗談で言うと顔を真っ赤にしながら
「あ、あの初めてなので至らぬ点もございますと思いますが……」と頭を下げてくる。
そもそも普段から私のことを「ご主人様」と言う時点でそれを狙っている節もあったのだが
あいにく私は生まれてこのかた純粋一途な乙女なのだ。男装など無論したことはない。
そんな具合に今日も雪女と同じ部屋に布団を並べ、夜中頃に寒いから布団に入れろと言う猫又を入れ、明けて翌朝。
妙な暑さを感じて目を覚ます。天気予報では確かに今日は暖かと言っていた気はするが前述したとおりそれを通り越して暑いのだ。
何事かといぶかしみ、雨戸を開けて驚いた。
なんと春が来ていたのだ。
草木は待ち望んだ春の到来を喜ぶかのように花を咲かしているし、はたはたとのんびり蝶まで飛んでいる。
いや、待て待てと携帯で日付を確認するが間違いなく一月だ。ふと庭を見ると野良のタヌキが歩いていた。
迷い家だの猫又だの雪女だのそういったことには慣れ始めていたがさすがに冬が一晩で春になるのは少々困り物だ。
ひとまずは惰眠を貪っている猫又と雪女を叩き起こし、意見を求める。
雪女は「買い物が楽になりますね」とずれたことを言っているので黙っている猫又を見ると日向で丸くなっていた。
なんだ、この緊張感のない怪異どもはと落胆していると、猫又が欠伸を一つして話し始めた。
曰く、例えば気象を多少変えるだとか狭い領域においての時節の変更などはさほど難しいものではないらしい。
いや、まさか神様がその辺に転がっているのかと言おうと思ったが真横に本来雪を降らせる妖怪がいることを思いだす。
しかし今回の場合においては見渡す限りの完全な春の到来であり、これほどの異変を起こせるのはそれこそ
崇め奉られるような存在になってしまう。そのような相手からすれば我々は米粒のようなものなのだから騒いでもしょうがない。
餅は餅屋。問題があれば相応の者が解決するから束の間の冬の中の春を楽しめばいいのだ、と仰る。
見た目は猫ではあるが私よりは遥かに長生きしているハズだ。ここは年長者の言う事を聞き、晴れている間に
洗濯物だと布団干しだの買い物だのに一日精を出した。
翌朝、目を覚ますと見慣れた雪景色と吹雪に戻っていた。どうやら異変は解決したようだ。
結局何ゆえの事象であったのかわからぬままであったが、数日後に雪女を連れて買い出しに出た際に
春を告げる鳥が迷い込んだという話を桃花さんに教えてもらった。彼女も鳥の捕獲に参加したそうだ。
その鳥を捕まえておけばその地は常春の地になるのかと問うとその通りであるが他の地の桜が咲かぬのは寂しいだろうと言う。
なるほど、さもありなんと私は納得した。

315名無しさん@避難中:2014/02/14(金) 00:48:43 ID:68Lwp/MQ0

    y'"'~"゙`゙''h、
   ;"       .',
  ミ  ,ノノノハヽ ゙:
  .゙,  .∪ ゚ ー゚ノ∪ .:
  ';  ⊂ヽ、、、,rつ ,,'
  ';  .(   ) ,,.'
   `゙''`じ'じ''"´

316名無しさん@避難中:2014/02/14(金) 00:52:23 ID:2yyCGXJc0
モフ神やないか!

317名無しさん@避難中:2014/03/02(日) 10:45:54 ID:xkap5u3MO
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4906559.jpg

318名無しさん@避難中:2014/03/02(日) 20:43:09 ID:0eh48KVk0
神々しいアホの子

319名無しさん@避難中:2014/03/07(金) 23:35:03 ID:./z9SNRQ0
かまいたちは今年もきっとてんきゅうさんにチョコを貰ったはず。
不器用そうな色男にホワイトデーが迫り来る。

http://imefix.info/20140307/31028/rare

320名無しさん@避難中:2014/03/08(土) 00:06:29 ID:iN0Xs/0U0
おちてるwww

321名無しさん@避難中:2014/03/14(金) 18:30:17 ID:tOhP6NAM0
      /|      ./|
    . /  !r-‐一--、/  !
    /          |
    | _,ノ   !!  ヽ、 |
    | /゜ヽ  /゜ヽ .|   < イヒヒヒヒヒ…
    | ,,,,⌒    ⌒,,,,, !
   ./.! \____//
   / ..!  \,ィ⌒ヽ/./
 /   \  `ヽ ノ/ |
/      \  ∪/ |
        .\/   .|

322名無しさん@避難中:2014/03/15(土) 13:15:23 ID:h0hUXO2QO
ペトロwww

323名無しさん@避難中:2014/04/01(火) 22:07:04 ID:RUGQCTLc0
いつだったかフーリャンが一人ぼっちになってしまった回は不覚にもウルッとしてしまったものです。

http://imefix.info/20140401/181055/rare

弱ったフーリャンを抱き締めたい!

324名無しさん@避難中:2014/04/01(火) 22:16:24 ID:38rHSyE.0
バカなフーリャンがこんなにしっとりした女なはずはうわなにするのやめ

325名無しさん@避難中:2014/04/01(火) 22:22:39 ID:CMUXIzIo0
やったーーーーー!!!!!!! ありがとうございます!!!!
もういつの話かも忘れちゃったけど!!!!!!!!!

326名無しさん@避難中:2014/04/01(火) 23:25:43 ID:Wi9p2lno0
うますぎわろりんぬ

327名無しさん@避難中:2014/04/10(木) 01:32:53 ID:lostXNiQ0
ksks

328名無しさん@避難中:2014/04/19(土) 23:52:56 ID:MH5tkCCA0
「『聴いてるだけでいいや』ってなったら、プレイヤーとして終わりだぜ」

先輩はそう言った。

毎日毎日、ロングトーンとスケール練習を欠かさない。

ああいうのを“天才”というのだろうな、と思う。

でも先輩。僕はそこまで強くないっすよ。
音楽は好きだけど、そこまでのめり込めないというか。
なんつーか、先輩のは“趣味”ってより“修行”という感じがしちゃって。

くだらない毎日の気晴らしに音楽やってるのに、そこでも努力が必要で、そんなの正直、息が詰まる。
かっこいい演奏を聴くたびに、あんなふうに吹けたら楽しいだろうな、と思う。
けどそこまで到達するのが大変だ。

高校生の頃からちっとも進歩しない、僕のトロンボーン。
いまだに低音域のピッチが甘く、芯の通ったフレーズが吹けない。

金管楽器と木管楽器の違いなんかよりもずっと以前の問題で、先輩のバリトンサックスは
まるでエレキベースのごとく、くっきりとハリのある低音を響かせる。

329名無しさん@避難中:2014/04/20(日) 00:04:03 ID:InwwvYqk0
「バンドやるぞ。手伝え」

言われた時、僕はまさかプレイヤーとして呼ばれているとは思わなかった。
音楽が好き、というだけで何の取り柄もない僕は音響機材の会社に就職し、マイクやら
ミキサーやらを放送局などに卸す営業をしていたのだ。

中学はユーフォニウム、高校でトロンボーン。
僕はとくに楽器に思い入れがないまま、人手の居ないセクションに収まった。
金管楽器は経験者優遇だったので、僕は他の楽器――つまり木管やら打楽器やら――に手を出すことはなかったのだ。

学校を卒業したあとは、本格的に音楽に取り組むこともなかった。
先輩に呼ばれたのは、きっとスタジオを安く貸せとかPAをボランティアでやってくれとか、そういったことだろうと思っていた。

「俺とお前の2フロント、ピアノレスのカルテットだ。どうだ、クールだろ」

深夜のスタバで先輩はiPod touchをスワイプしながら言った。

「……えっと、僕、吹くんですか?」

先輩は画面から顔を上げて、奇妙な生き物を見るような目で僕を見た。

「たりめーだろ! てめ、埋めんぞ!」

首を絞められている。これは通報すべきではないのか。
深夜とはいえ他に客がいるのに、みんな知らん振りだ。都会人は冷たい。

330名無しさん@避難中:2014/04/20(日) 00:13:47 ID:InwwvYqk0
「バリとボーンなんて、低音同士じゃないですか」
「だから良いんじゃねえか」

先輩はもう曲の構想に入っているようだった。
だが、ちょっと待って欲しい。大事なことを忘れていないだろうか。

僕は卒業して以来、まともに楽器を吹いていないのだ。
音を出すどころか、楽器の手入れすらしていない。
そんな僕が、先輩とバンドをやる?
冗談もたいがいにするべきだろうと思う。

それを力説したが聞く耳を持ってもらえなかった。
やっとのことで楽器の組み合わせに話を持っていったが、逆効果だったようだ。

「社会人になってからが本当の勝負なんだ」

4年生の追い出しコンパで、3年生だった先輩は4年生に聞こえないように呟いた。

それまでどんなに音楽にのめり込んでいたとしても、卒業と同時にみんな“大人”になって
楽器から、音楽から遠ざかっていく。
合宿に顔を出すOBで、社会人になっても音楽活動を続けている人は居ない。

「懐かしいな〜。学生に戻りてえ!」
「いいよね〜音楽って!」

そう言いながら、すっかり“社会人”になってしまったOBを、先輩は冷ややかな目で見ていた。

331名無しさん@避難中:2014/04/20(日) 00:25:59 ID:InwwvYqk0
会社帰りに久しぶりにCDショップに寄った。
ジャズのコーナーを眺めていると、見覚えのある名前。
“GrapeFruits”の新譜が出ていた。

トランペット、ギター、ベース、ドラムの4人編成のバンド。
ジャズを土台にしながらもクラブ・ミュージック的要素をかなり取り込んだ、学生の頃夢中になったバンドだ。

――大好きなバンドすら追わなくなっていたんだな。

僕は自分の中の何かが失われていっているのではないかと不安になった。

仕事は忙しく、終電でも帰れないこともある。
でもそれなりにやりがいを感じていたし、一生懸命仕事をするのは間違っていないと思っていた。

でも、本当にそれでいいのだろうか……?
僕はこの2、3年、仕事以外のことで何かに真剣に取り組んだり考えたりしたことがあっただろうか……


携帯が鳴った。

「俺だ」

コツガイ先輩だった。

332名無しさん@避難中:2014/04/20(日) 15:15:18 ID:nUUANCxkO
ずきずき痛む。
成長痛は社会人になっても続くことが身に染みる。
乙です乙です!

333名無しさん@避難中:2014/04/22(火) 14:13:26 ID:kNd6H19c0
おいおい続きはまだか
惹きこまれるな

334名無しさん@避難中:2014/05/02(金) 14:22:23 ID:ZLUp/5eg0
久しぶりに安価>>336

335名無しさん@避難中:2014/05/02(金) 17:40:16 ID:HsSiHdCI0
ksk

336名無しさん@避難中:2014/05/02(金) 17:41:05 ID:HsSiHdCI0
久々の悪魔メイド

337名無しさん@避難中:2014/05/03(土) 01:42:03 ID:jwf1Yf3A0
くそ地味に難しいな悪魔メイドwww

338久々の悪魔メイド:2014/05/06(火) 00:17:33 ID:S8.idhq.0
>>336が出来たけど先に断る。これはひどいw




 財布にお金がなかった。
 それがすべての始まりだった。
 世はゴールデンウィーク。曜日感覚など忘却の彼方へとすっ飛ばしていた私は、コンビニのATMの前で、そして普通の人が絶対知らないようなマイナー地方信金のシャッターの降りた入口の前で、二度絶望した。
 

 ゴールデンウィークの期間は口座の振込、並びに払い戻しはできません。


 そう表示されているにも関わらず、私は何度かATMにカードを突っ込み、そのまま吐き出されてくるカードをまた突っ込み、やっと現実を知った。
 財布にお金がない。金色に輝く大型硬化二枚が、今、私が持ちうる自由に使えるお金のすべてだった。
 くそっ。もっとメジャーなメガバンクにしておけば。
 ともあれ、現実と闘わねばならなかった。このままでは飢える。
 ここは不思議な世界の狭間、季節も祝日もあったもんじゃないけれど、現実の世界がそうならば、こちらの世界もそれに倣う。





    ※






「店長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」

 私は駆け出した。
 煤けたハゲ頭のおっさんを目で確認し、一目散に近づき、飛んだ。

「死ねやこのエロ親父がぁあああああああ!!!!!!」

 とび膝蹴りが店長の側頭部にキマッた。
 派手に転げて、持っていた段ボールから業務用のレトルトパックが床にぶちまけられた。
 店長は寝転んだまま側頭部を抱えて唸っていた。殺す気でやったのに、奴もなかなかタフだ。

「ふざけんなぁ! なんだこの衣装は!?」
「衣装じゃないよ制服だよ!?」

 涙目で店長が起き上がる。ハゲた頭に潰れたレトルトから噴き出したカレーがかかっていた。

「何が制服か! 完全に違うお店の衣装じゃねーか! 風営法引っかかるぞバカヤロー!」
「そういうお店じゃないよ!?」

 店長が制服と称する衣装。
 完全にミニスカで脇腹全開、それにエプロンとかいうあからさまななブツだった。

「だいたい前と同じ衣装ならいいよ、って話で臨時のバイト入ったんだよ!? 前回はもっとシックなメイドさんだったろ!」
「あー前ね。ちゃんとした悪魔メイドのエイ○ーでね」
「これはなんだ! R指定作品のメイドさんじゃねーか!」
「違うよ! ただミニスカにしただけだよ!」

 その割にはおかしい、ミニスカは最悪認めるとしよう。
 だが上半身がエプロン無かったらおへそ丸出しなのだ。季節的にまだ厳しい。ていうかそういう問題じゃなくおかしい。

「大丈夫だよ店内空調バッチリ」
「違う、そうじゃない」

 要は、前に短期のバイトで入った時のような衣装なら問題ないけど、いま着てるのがそれとはかけ離れているという事だ。
 前の衣装の時は着てて楽しかったから久々にやってみてもいいと思ったけど、これは違う。

「だってよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ生き残らなきゃいけねぇえええんだよぉぉぉぉぉぉウチはしょぼい居酒屋なんだよぉぉぉ何かしらの手を打っていかないとやべぇえええんだよぉぉぉ外食産業がお寒いって状況じゃ仕方ないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「うわ開き直った」
「というわけでそれ着てお願いね。やる事変わんないから。前みたいに接客してお皿下げてくれりゃいいから」
「待てよ。まだやるとは言ってないわよ」
「じゃーなんで着てるんだよ。どうせロッカーでほかの子に似合う―とか言われて調子乗って着てみたんだろ」
「うっ」
「まぁ言わせたんだけどな」
「おい」
「いや似合う似合う。それはほんとにそう思う」
「ほんとか?」
「ほんとほんと。足細いし長いし、素直に綺麗だと思うけど」
「ほうほう」
「その脚ならアホな酔っ払いを簡単にひっかけられるぞ! 店の外で呼び込みもやってくれないか!?」
「嫌よ」
「チッ」
「だいたいほかの子はなんで違う衣装なのよ! 全身ローブの顔面墨塗りとか居たぞ!」
「仕方ないだろ若い子がいないんだよババァばっかなんだよ!」
「さらりとすごい暴言吐くわね」
「それにさ、財布に金がないからって駆け込んできたのはそっちでしょ!」
「それはそうだけど……」

 連休中は居酒屋などは忙しくなる。
 しかし若い学生バイトは居なくなる。当然人手が足りない。
 短期のバイトを店側が欲しくなる時期で、短期で収入が欲しい私にはありがたい。前も一度、このお店でお世話になった。

339久々の悪魔メイド:2014/05/06(火) 00:18:30 ID:S8.idhq.0

「どうだ、日払いで時給千円だぞ!?」
「安いな! 前より安いぞ!?」
「バイトじゃマシなほうだろ!」
「いいや断る! やっぱり辞める! この衣装とじゃ割に合わないよ!」
「せ、千二百円! どうだ!?」
「駄目だ! 私の脚はそんなに安くない!」
「千五百円! 千五百円だ!」
「うーん……」
「千六百円! おまけに賄い付に余った食材お持ち帰り! これでどうだ!」
「乗った!!!!!」

 乗ってしまった。

「よっしゃぁあああああああああああ!」
「喜び過ぎでしょ」
「だってフロアが俺と君しかいないんだよ。裏の魔女みたいなババァは厨房から出せないよ」
「魔女みたいなコスしてるからじゃない」
「何はともあれこれでフロアは大丈夫だ! 君なにげによく動くから重宝するしね」
「厨房はいやよ」
「大丈夫だよ魔女みたいなババァに任せておけば」

 ババァに聞かれたらどうするつもりなんだろうか。
 ババァといいハゲ頭店長といいモブのくせにキャラが濃い。

「で、五時から開店だから、椅子もう下しておいてね、あと備え付けの物も交換してね」
「はいはい」
「僕はまだ仕込みがあるから裏に居るけどなんかあったら呼んで。ああ、あとついでに床も軽くモップかけといて」
「いきなり押し付けるわね」
「時給千六百円の高給取りが文句言わない」
「はいはい。お金欲しいしね、実際」
「そんじゃよろしく」
「ていうかさ、そんだけ短期のバイトにぽーんとお金出せるならもっと普段から長期で働く人募集すればいいじゃない。うちの姉さんとか暇だよ?」
「お客の前でございござい言われても困るでしょ。彼女の趣味も飲食店としては問題だらけで」
「あー、なるほど」
「別にいいんだけどねー、あの趣味さえなければ。君と違って柔軟そうだから衣装には文句言わなそう」
「まともな時ならすごい恥ずかしがると思うけどね」
「それに短期なら短期でサッと来てサッと辞める人が欲しいわけ。長期なら話が変わるよ」
「そういうものなんだ」
「あと、単純にミニスカ履かせて脚が見たかっ……げぼぉ!!!」

 もう一発、飛び膝を店長に叩き込んだ。

340久々の悪魔メイド:2014/05/06(火) 00:18:44 ID:S8.idhq.0
おわり

341名無しさん@避難中:2014/05/06(火) 00:24:02 ID:ex3iumAM0
乙!!
たしかに濃いモブ達だなwwwワロタww

342名無しさん@避難中:2014/05/06(火) 00:34:57 ID:lHMVFxok0
ございに飲食店はまかせられんわw

343名無しさん@避難中:2014/05/10(土) 19:35:24 ID:XbX5JF2o0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5052388.jpg

344名無しさん@避難中:2014/05/10(土) 19:47:55 ID:XbX5JF2o0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5052429.jpg

345名無しさん@避難中:2014/05/10(土) 20:17:44 ID:oMnCbNSg0
ワロタwww

346名無しさん@避難中:2014/05/10(土) 20:49:25 ID:lGtWDSHkO
ちょwwwwwぬるぬるのおじさんwwwwwwwwww
悟りモードの顔が狂気にみえるwwwww

347名無しさん@避難中:2014/05/19(月) 20:28:31 ID:gjB45ryw0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5070777.jpg

348名無しさん@避難中:2014/05/19(月) 20:51:47 ID:dqyj8fJ.0
天てれwwwww

349名無しさん@避難中:2014/05/19(月) 20:57:06 ID:A4/HcivE0
顔むかつくwwww

350名無しさん@避難中:2014/06/02(月) 22:27:59 ID:HRxUHPCQ0
テキパキ仕事をこなす後輩がいる。僕なんかより、ずっと速い。

速いのはいいことだ。雑な仕事だと思うことが多いけれど。
でも、上司いわく

「丁寧で遅い仕事と雑で速い仕事だったら、後者のほうが価値が高いんだよ」



――雑で、いいんだよ。

自分に言い聞かせる。

――ろくに吹けなくたって、いいんだ。難しく考えることなんかない。こんな僕を指名した先輩が悪い。ダメならとっととクビにしてくれりゃ気が楽だ・・・

逡巡しながらケースを開けた。


意外にも、中身はこれを仕舞った時と大差なかった。
サビもカビも見当たらないし、ヘンなニオイもしない。

楽器を取り出し、組み立ててみる。
何年も触っていなかったのに、感慨は何もない。
部活に出るときのように自動的に手が動く。

スライド部分は滑らかに動いた。
さすがにアパートで吹く訳にはいかない。

――音、出してみようかな。

僕はアパートの裏手にある川を思い出し、むき出しの楽器を持って出かけた。
深夜だから人目につくことはないだろう。

351名無しさん@避難中:2014/06/02(月) 22:44:35 ID:HRxUHPCQ0
橋の下に来ると、水音が大きくなる。
これなら消音できるだろう。

深夜なので怖い連中がいるはずだと思ったが、多少酔ってたのと自棄になっていたのとあって、
まったく無防備でここへ来た。結果として、誰もいない橋の下だ。

まずマッピを唇に当てて、軽くロングトーン。
何回もやらない。唇の状態を確かめたらすぐセットしてチューニング。
今までどおりだ。

チューナーは持ってきていない。適当でいい。
絶対音感なんて無いし、誰かと合わせる必要もない。

――こんなもんかな?

適当にチューニングして、スケールを吹いてみる。

――ここに先輩がいたら、怒られるだろうな。

チューニングとメトロノームには厳しい人だった。
いつもおちゃらけているくせに、それだけは外さなかった。

適当な事をやっていると
「お前さ、ナメてんの?」
急に凄みを見せる。眼はマジだった。

キレると怖い先輩、というのがコツガイ先輩の評判だった。
普段は気さくで明るく話しやすいだけに、それはキレさせた子達を中心に囁かれたが、変に尾ひれがついて広まることもなかった。

コツガイ先輩がどういう人か、みんな身をもって知っていたのだ。
誰に対しても裏表なく、取り繕うことなく付き合う。

それが、コツガイ先輩という人だった。

352名無しさん@避難中:2014/06/02(月) 22:52:44 ID:HRxUHPCQ0
Cから、チャーチ・モードを順に下から吹いてみる。
上行して下降。イオニアン、ドリアン・・・
そこまでして、やめた。

音が出ることは分かった。
でも、やっぱい酷い。

ピッチが不安定だし、トーンも悪い。

「トーンが悪い? お前、ちゃんと付き合ってやらないからカノジョに愛想つかされたんだろ」

先輩はよくそう言った。楽器を触っていないといい音で鳴ってくれない。
まさに、僕の今の状況だ。

学生の時も対して吹けなかったが、一生懸命練習して出した自分の音を、僕は気に入っていた。
それに、到底及ばない。
とても汚い音だ。

――ずっと触ってなかったのだから、こんなものだろう。

当然のことなのだ。僕に落ち度はない。

「やっぱ、ダメだな」

口に出して言ってみた。

なぜだか、とても寂しい気持ちになった。

353名無しさん@避難中:2014/06/02(月) 22:56:26 ID:HRxUHPCQ0
――もうやめよう。こんなの、使い物にならない。

――それは、この楽器が? それとも、僕自身が?

――使い物にならない・・・僕は、使えない。

ぐるぐる考えていると、不意に後輩の言葉が響いた。

『それやってて、意味あるんですか?』

意味・・・

――音楽なんてやっていて、何の意味があるのだろう?

354名無しさん@避難中:2014/06/27(金) 01:04:05 ID:DkcJd26U0
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5150506.jpg

355名無しさん@避難中:2014/06/27(金) 01:12:52 ID:sy/NBgiA0
やったー!!!!!!!!
ありがとうございます!!!!!

356名無しさん@避難中:2014/06/27(金) 01:13:00 ID:DkcJd26U0
もっと難しい構造だったか

357名無しさん@避難中:2014/06/27(金) 01:57:45 ID:DkcJd26U0
もうちょい自己流な考察。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5150583.jpg

358名無しさん@避難中:2014/06/27(金) 02:08:47 ID:sy/NBgiA0
おお…!
下はまさにイメージ通りです…!!!

359名無しさん@避難中:2014/07/01(火) 22:23:53 ID:TzW1cclk0
>>353
おいいい!?
え?・・・続くよね?
そのしみじみ来るのも立派な個性だとは思うけどw
そこで終わられるとやるせなさすぎる!

360名無しさん@避難中:2014/07/23(水) 00:14:59 ID:PfCsvLOY0
http://imefix.info/20140723/461022/rare.jpeg
天擬スレ記念日おめでとうございます
記念日関係ない絵だけどw

361名無しさん@避難中:2014/07/23(水) 00:21:28 ID:5FG/6qEw0
素晴らすぃー

362名無しさん@避難中:2014/07/23(水) 08:21:40 ID:y5ss./vY0
大正の喫茶店みたいで素敵

363名無しさん@避難中:2014/08/16(土) 17:59:31 ID:VHhj.bag0
七月八日 快晴

七時に目を覚ます。気温も丁度よく過ごしやすい日だった。
海鳥の卵料理を朝食に食べる。味が濃厚でなかなかおいしかった。
その後、宿を出て風乗り船の発着場に向かう。
動力を持たない風乗り船を見て、メルクゥがびどく怖がっていた。
しかし快晴だし、風の道も風量が安定している。何よりも安いからと説得し、乗ることになった。
風乗り船の離陸は変わっており、パチンコのようにして跳ぶ。
崖の手前につけられた二つの杭の間に収縮性の高い紐を張り、中央に機体をつけて引っ張る。
ある程度まで下がったら車輪止めをつけて、固定。離陸するときは全員が乗ってから車輪止めを外すという設計だ。
それを聞いて、再びメルクゥが怯え始めたがもうお金払ったからと無理やり乗船させた。
あの男は私と同じように剣術を倣っていると言うのに少し勇気がないように思える。
飛行場の係員の合図とともに固定が外され、機体がグンと前に進む。ガタガタと機体がひどく揺れる。
しかしそれも一瞬。気付けば機体は海の上、空の中へと放り出されていた。
最初は機体を安定させるためにすこし上下に揺れていたが、すぐに風の道の追い風を受けて安定化した。
素晴しい景色だった。海の青。空の青。遠くに見える緑の島に向かって、風の中を飛んで行く。
驚くほど機体は揺れず、まるで陸の上で椅子にでも座っているようだった。
頬に当たる風も気持ちよく、鳥になったような瞬間だった。
飛行時間は一時間ほどで終わり、目的地の島に辿り着いた。
お昼は飛行場のある町で済ませた。魚料理を食べた。おいしかった。
その後、ロロの町へと向かう。移動手段は徒歩。行程は三日ほどになる予定だ。
天候が安定していたおかげで予定よりも、多く進めた。ユグドの大木があったので今日はその下で野宿することにした。
夕食は干し肉と野草のスープ。悪くは無い。九時に就寝。メルクゥに先に夜番をしてもらう。
明日も天候が晴れることを祈ろう。

『とある旅人の手記より』

364名無しさん@避難中:2014/08/25(月) 00:01:08 ID:0V/e4SJk0
「全便欠航?」
港町に着いた私達はその足で船の発着場に向かった。この辺りには特に見学するものもないし
さっさと船で次の島へ行こうと思ったからだ。
しかしいざ発着場に着いてみると予想外の事実が待っていた。
「それはいつまでなんですか?」
「今のところは未定だな」
「おいおい、台風でも接近してるのか?」
メルクゥがそう問い詰めると発着場の受付がため息をついて、その理由を話した。
「台風ならまだ良かったんだがな。近くをシマクイが通ってるらしいんだ」
「シマクイ!?」
彼が驚くのも無理はない。事実私もひどく驚いている。
シマクイ。古代の二大国時代に生み出されたという生物。
姿は平たい骨格をした魚で体はちょっとした島ほどの大きさがあり、その体に見合った横に大きな口で島を食うと言う。
鈍感なのか丈夫なのかこちらの干渉に全く反応を示さず、思うままに進み島を食らうため『生物による天災』の一つになっている。
島を食い、排泄物が新しい島になる程度のことしかわかっておらず、寿命も既に生まれてから二万年は過ぎているのでわからない。
そのためシマクイ専用の監視隊が常に着いており、動向を近くの島に通知している。
無論そんなものが近くを通れば、船などひとたまりも無いだろう。
「つ、津波とか大丈夫なのか!? 避難したほうがいいんじゃないか!?」
「落ち着いてください。シマクイはとても静かに泳ぐので津波の心配はありません」
「そうなのか。ならいいんだが……いや、船が欠航しているのだからよくはないか」
「まぁそういうわけで海には出られないんだ。いつ出れるようになるかもわからんからまた明日来てくれ」
そういうことであれば仕方ない。メルクゥを連れておとなしく発着場を後にする。
予想外のアクシデントではあるがこの旅はそういったことも織り込み済みだ。とりあえずはここで一泊しよう。
それにここは流通のある港町だ。足りない物や痛んでいる物を買い換えるには丁度いい。
「イスゥはこれからどするんだ」
「宿を取ったら旅に必要な物を買い揃えるために市場を廻ろうと思います」
「そっか。じゃあ俺も一緒に行くかな」
「別行動でも構いませんよ」
「知らない町で一人は寂しいだろ!」
メルクゥは男の癖に寂しがりやだと思う。

365名無しさん@避難中:2014/08/27(水) 20:27:35 ID:z1w.pE3g0
私達を食べようと迫ってきた巨大昆虫を切り刻む。
紫色の体液を傷口から噴出させて、段々と動かなくなり、やがてそれは停止した。
剣に着いた体液を払い、腰に吊るした鞘にしまう。
「気持ち悪いなぁ。虫は苦手なんだよ」
「とりあえずここを離れましょう。屍骸の匂いに虫が寄って来てます」
つい今しがた死んだばかりなのに既に大小様々な虫が屍骸を食っている。
この森ではそう珍しい光景ではないようだ。
原始林と呼ばれる類の森であるここは木の一本一本がとても太く大きい。
私達が道として歩いているここも木の枝の一本で下を覗くと地面が見えないほどの高さにある。
上を見ても広がった葉が太陽を遮り、周りは少しばかり薄暗い。
そのような土地柄なので生息している生物は垂直な幹を這い上がり、逆さでも問題なく枝に掴まれて
生肉よりも死肉を漁ったり、樹液を吸う昆虫が多く生息している。というよりもここには動物はいない。
そのためか私達のような生き物は珍しいらしく、数少ない生肉捕食者が襲ってくるのだ。
先ほど殺した虫も玉のような胴体に細い足が六本と太い手が二本ついた生き物で
私達の近くに偶然いた昆虫を掴んで胴体にくっ付いている口に運んでバリバリ食べていた。
大きさは足を伸ばせば一本だけでもおそらく成人男性の人間六人分はあるだろう。
捕食された虫も私ぐらい……大体140シエム(約140センチ)ぐらいあったからそのぐらいのはずだ。
いくつかの枝を越えるとようやく私の目的地が見えてきた。
「なんだあれ?」
メルクゥもそれに気付く。
ヒトの手によって作られたとわかる燭台のようなものがぽつんと立っている。そこだけがヒトの文明を感じさせる。
周りを見渡しているが薄暗い森以外には何にも見当たらない。
私はその燭台を無視して、さらに奥へと進もうとする。
「待ちなさい」
どこからか声が聞こえた。メルクゥが咄嗟に剣を構える。私は鞄から封筒を取り出し、掲げる。
「私はあなたたちの同胞の子孫です。ここにその証拠もあります」
「同胞?」
視界の端のほうから音もなく、彼女たちが現れた。
薄い青色の肌だが人間の女性と同じ形の上半身と鱗に覆われた大きな尻尾の下半身。
目には布が当てられていて、髪の変わりに頭には小さな生きた蛇が蠢いている。
「メデューサ……!」

366名無しさん@避難中:2014/08/27(水) 20:28:01 ID:z1w.pE3g0
メルクゥが息を飲む。自分達の住処のある森から一切出る事の無い彼女たちは外では伝説や空想上の生物と
同列の存在だと思われていることが多い。彼もその一人だ
現れたメデューサは私の手から封筒を取り、中の手紙を読む。
読んでいくうちに口元が段々と楽しげなものに変わっていった。
「おお! お前が族長の妹の孫か! 小さいなぁ!」
「人間の血が混ざると最初のうちはこうなってしまうようです」
「そうかそうかぁ。混ざり子は初めて見るからなぁ」
「村に案内してもらえないでしょうか」
「いいぞぉ。族長も喜ぶ」
彼女が奥へと進んで行くのでそれに付いていく。
歩き始めたらすぐにメルクゥが肩を叩いてきた。
「おい、どういうことだ」
「言ってませんでしたっけ。私の母方の祖母はメデューサなんですよ」
「だって尻尾とか生えてないし、目だって普通じゃん」
「人間の血が二回入ってますしね。それでもまだ足が無かった頃の名残で
 足が短くそれに合わせて身長も低いですし、髪だってメデューサみたいにぼさぼさでしょ?」
「普通のくせげだと思ってた……。え、じゃあいつも体を隠しているのって鱗が生えてたりするから?」
「……メデューサは女性因子がとても強い種族なんです。なんで相当薄くならない限りは女性しか生まれません。
 体つきも女性の色がとても強いので体に不釣合いなぐらい胸部がでかいんです」
「……そ、そっか」
一瞬の間。その後の目線の泳がし方。男性だから致し方ないとはいえ、もう少し隠せないものだろうか。
だから嫌なのだ。体は小さいのに胸ばかり大きくて。そのためいつ頃からか体全体が隠せるような服ばかり着るようになった。
「そういえばそっちの男はお土産か?」
歩いていた……這っていたメデューサが振り向いて、聞いてくる。
「違います。一応旅の道連れです」
「そっかぁ。残念だなぁ。久しぶりに人間が食べれると思ったのに」
残念そうに前を向きなおした。
「メルクゥ。気をつけてください。メデューサは人間を食べるんで村で変なことすると捕食されますよ」
「こわっ! 気をつけるよ。村のメデューサもみんなあの格好なのか?」
「そのはずです。ちゃんと目隠しをしているので石化の心配はありません」
「なんで目隠ししてるのに迷わず進めるんだ。さっき手紙読んでたし」
「私達はこの付いている両目以外に感覚の目を持っているのさ」
メデューサが代わりに答えてくれる。
「肌の感覚や匂い。人間で言う五感の他のもので世界を見ているのさ。
 代わりにこの両目は何も見えやしないよ。代わりに見たものを石化させられるけど」
実際はもっと細かい。手紙を見たのも紙と筆跡の温度の僅かな温度の違いを見分けたからだ。
音を立てずに動くことが出来て、どんな闇の中でも獲物を発見できる。彼女たちは天然のハンターなのだ。
「あと私達は服なんて着ないからみんな裸みたいなもんだよ。もしも生きて村を出たければその子の言うとおり興奮しても
 何もしないことだね。私達としては襲われたら二回食えるわけだから誘惑する奴もいるだろうけど」
品の無いことを言って笑う一方で、メルクゥが「わらえねぇよ……」と絶望したような声で呟いた。

ここは六十行制限だっけか・・・

367名無しさん@避難中:2014/09/02(火) 23:46:45 ID:1AisE83s0
真面目な顔。
http://imefix.info/20140902/101044/rare

368名無しさん@避難中:2014/09/02(火) 23:54:33 ID:PwCBbFRQ0
かっこよすぎる!

369名無しさん@避難中:2014/09/03(水) 00:07:49 ID:IUFaE0Zs0
このままアメコミの表紙に使えそうw

370名無しさん@避難中:2014/09/03(水) 00:26:16 ID:VBJrRQ9s0
なんというマッチョ

371名無しさん@避難中:2014/09/04(木) 22:50:13 ID:nXfGOS/Y0
天に赤い月が昇っている。辺りには霧が出てきたが今日はそこまで深くは無い。
見張り番たちが火を絶やさぬように薪をくべている。初夏だと言うのに霧のせいか肌寒い。
どこかで獣の遠吠えが聞こえると、見張り番たちの間に緊張が走り顔が引き締まる。
今夜も長い夜が始まった。

「それで?」
「ですから兵と村民のためにも励ましの言葉を言っていただければと……」
その村の一室に四人の人影があった。頭の禿た老人とその横にいる鎧を着た兵士が二人。
そして窓際にある大きな机に足を乗っけて、老人の話を聞く女性。
髪は白いが整えておらずボサボサになっている。今は普通の布の服を着ているが机の脇には
ボロボロに傷ついた鎧一式が無造作に置かれていた。そして机の上には一振りの剣が置いてある。
彼女は一つため息を付いて、椅子に体重をかけてバランスを取る。
「なんで私がそんなことをしなければならんのだ?」
「前にも説明しましたがこの辺りで広まっている伝説にあるのです。
 人が困窮に追いやられた時、神は天より二人の神兵を大地に遣わすだろう。
 一人は月の騎士。もう一人が太陽の聖女。あなたこそが我々にとっては月の剣士なのです。
 伝説の英雄であるあなたの言葉は我々村民、いや、この世界中の人の励ましになります」
「下らん」
机から足を下ろし、立ち上がる。そして机の上にあった剣を取り、鞘から抜いた。
まだ汚れも刃こぼれもしていない。ランタンの光を照り返すと表面の僅かな凹凸が浮きあがる。
「剣はこれでいいだろう。鎧が見当たらないが?」
「……まだ出来ておりません」
「急ぐように言え。以上だ。下がれ」
「……騎士様」
「下がれと言っているのが聞こえんのか。人間」
老人の横にいた兵士が腰の剣の握り手に掴む。しかし老人がそれを手で制す。
「村長!」
「賢い判断だな。まぁ貴重な戦力を二人もここで失いたくはあるまい」
彼女がゆっくりと剣を鞘に戻す。兵士達が彼女を睨みつけているが気にしていないようだ。
「一応言っておくがな。私は亡霊だ。立場上で言えばあちら側の存在だ。
 私の気が変わればこんな雑魚しかいない村……一時間足らずで皆殺しに出来るわ」
ひゅんと空気が切れる音がした。三人にはそれしかわからなかった。
遅れて老人の着ていた服の一部が少しだけ裂ける。老人が膝から崩れ落ちた。
「こんな手応えの雑魚を狩っても仕方ないからここにいるだけのことを忘れるな。
 生きたければ私の顔色を伺って生きろ。わかったら下がれ」
恐怖に引きつった顔をしている老人を両脇から抱えて、兵士達も出て行った。
しかし去り際に兵士が殺意の篭った声で呟いた言葉は彼女は聞き逃さなかった。
「殺戮狂のシカ・ソーニャめ」
扉が閉まった後、彼女は窓から外を眺める。
この世界では空にかかる月はいつも赤い。かつては白かったらしい。
だから白髪の彼女は月の騎士などと意味のわからない言いがかりをつけられているのだ。
「『迷える人々を救え』か。何の恩義があってあんな傲慢な奴の命令を聞かねばならんのだ。
 くだらん。私は私のやりたいようにやるだけだ。まぁ再び現世に戻したことだけは感謝するがな」
霧が濃くなっていく。おそらくあと三十分もしないうちに数メートル先も見える霧に満ちるだろう。
そしてまた今夜も化け物たちが人間たちを狙ってやってくる。
彼女は腰に下げたまだ一回しか振っていない剣の鞘を握った。

372名無しさん@避難中:2014/09/06(土) 18:54:58 ID:WS5H9/is0
僅かな断末魔を残して、巨体が音を立てて地面に倒れる。
ソーニャは持っていた折れた剣を放り投げて、斃したばかりの死体に腰掛ける。
剣は折れたがどうにか仕留めることは出来た。その高さは優に大人三人分以上はあるだろう。
毛むくじゃらの人型の怪物。様子を見ていた感じではこの辺りの統率者か、あるいは今回の襲撃の首謀者クラスだろう。
周りにまだ魑魅魍魎が残っているがソーニャを襲おうとする奴はいない。力の差がはっきりしているからだ。
この辺りは人間よりも遥かに優れている。勝てない相手との勝負は避ける。生き残る上での鉄則だ。
息が整ったので村の様子を見に行く。戦闘の余波を与えないために村の外れにある森まで来ていたのだ。

森を抜けると背の低い木々と草、畑のある平地に出る。その先にあるのがソーニャが滞在していた村だ。
亡霊だからか、ソーニャは夜目が利く。しかし今回はそれが必要でないくらいはっきりと村の様子が見えた。
「ダメそうだな」
村には敵の侵入を防ぐための外壁が立てられている。先ほどの怪物よりかは低いが多少の襲撃なら防げる程度に頑丈だ。
しかし今はその外壁も一部は崩れ、さらに巨人が椅子代わりに腰掛けている。あんな馬鹿でかい怪物は今まで見た事が無い。
町は燃えているのか大きな焚き火のように煌々と闇の中で輝いている。あれで生存者がいたら奇跡というものだろう。
「こんばんは」
さて、どうしたものかと考えていると不意に声をかけられた。
振り返ると森の影から滲み出るように黒い布を纏ったそれが姿を現した。
人の言葉を操る怪物は珍しいものでもない。しかしこの声や姿からするとどうやら怪物ではなさそうだ。
「先ほどの戦いはお見事でした。よもやあれが斃されるとは……。噂に違わぬ実力です」
「何の用だ。人間」
かつてこの世界には魑魅魍魎の類は存在しなかった。人々は神を信仰し、穏やかに生きていたと言う。
しかしある日。一人の魔術師が禁術を持ちいて、生物の生死を、現実と幻想の境目をあやふやにしてしまった。
それ以来、この世界では死者が生きる者を襲い、魑魅魍魎が跋扈する世界となってしまったのだ。
そして生きる者の中には怪物たちに手を貸す者たちが少なからず存在した。
現に生物たちを生きたまま合成し、使役する魔術師もいる。
この黒布もまだ周りに弱いながらも魑魅魍魎が存在する中に平然といるというのはそういう立場の人間だからだろう。
「単刀直入に言います。我々に力をお貸しいただけませんか」
「構わんぞ」
「そうですか。それはありがたい」
黒布で顔も見えないが、声が嬉しそうだ。
「何がご要望の物はございますか? こちらで用意させていただきますが」
「うまい飯と丈夫で使いやすい装備。それと気持ちよく寝られる寝床。以上だ」
「なるほど。食事のほうはお口に合うかわかりませんが装備と寝床は大丈夫でしょう。
 よろしくお願いいたします」
そういうと黒布は深く頭を下げた。
村での生活はあまり心地よいものとは言えなかった。
食事は粗末なもので、肉はまず食べれなかった。あっても長期間の保存を目的とした干し肉で味が悪い。
装備も一応は祝福の魔法をかけて怪物たちには強いものになっているが根本的に丈夫さが足らず、すぐに壊れてしまう。
そして寝床は寝返りをうつたびにギシギシと軋み、布は常に湿っていて臭かった。
もう少し大きな町に行けば満たされたかもしれないが、少し距離があるため自分から行くには面倒だ。
今回、村も壊滅したし町に行こうと思っていたので、黒布の提案は渡りに船だった。疑問点に眼を瞑れば。

373名無しさん@避難中:2014/09/06(土) 18:55:31 ID:WS5H9/is0
なぜこんなに簡単に交渉が成立したのか。
ソーニャからすれば人間側に付く理由はないに等しい。だからこれはとてもうまい話なのだ。罠を張るにしても
暗殺を企てるなら今ここに別の戦力を持って来ればいいし、わざわざ勧誘するなどと周りくどいことをする必要はないはずだ。
大きな疑問点は怪物側だ。なぜこんなにもあっさりとソーニャを信用するのか。疑っているおくびもない。ふりをしているだけなのか?
噂に違わぬと先ほど言っていた事からするとソーニャが月の騎士かもしれないぐらいの話は聞いていてもおかしくない。
だとすれば交渉など成功する余地もないはずだ。伝説上では神に遣われし人間達の救世主なのだから。
むしろ破談どころかここで切り殺されてもおかしくはない。そんな危険を負ってまでなぜ勧誘に来たのか。
月の騎士ではないと確信していたのか? だとすれば何を証拠に。
「色々考えているようですね。疑問に思うのも無理はないと思います」
顔に出したつもりはなかったが黒布は察したらしく、ソーニャに語りかける。
「その答えは教えてもらえるのか?」
「その疑問が私の考えているものと同じかはわかりませんが、お答えしましょう」
沈黙が流れる。ソーニャたちを含めて周りに魑魅魍魎がいるが誰も声を出さない。身動ぎもしない。
「月の騎士が舞い降りました」

374名無しさん@避難中:2014/09/08(月) 19:40:34 ID:UuvOSXoc0
うおおおおおおおおおソーニャうおおおおおおおお

375名無しさん@避難中:2014/09/09(火) 18:36:53 ID:kbPFwMMw0
「シカ・ソーニャとお見受けするが相違ないな?」
町から撤退中だったソーニャに一人の男が話しかけてきた。
白髪に輝くような白い鎧。顔は中性的で不自然さを感じるほど美しい。
その声も静かながらに力強く、ソーニャが足を止めるだけの力を持っていた。
「その子を如何するつもりか」
男性はソーニャが脇に抱えている女子を指差す。金髪の髪は整っており、衣服も上等な布を使っているのが見ただけでわかる。
この世界における上流階級の人間だ。今は恐怖からか歯の根が合わず、震えている。
「貴殿もおそらくは神より遣わされた兵であろう。なのになぜ怪物たちに加担をする。
 人を救うことが我々の義務であろう」
「いきなりしゃしゃり出てきてガタガタうるせぇぞ」
ソーニャは抱えていた女子を離し、その場に立たせる。
「誰だよてめぇは。勝手に人の名前呼んでんじゃねぇ」
震えながらどうにか立つ女子。そして一閃の光と僅かな音が鳴る。
女子の体が前に倒れ、頭だけが後ろへと転がって行った。
「ほら、これで満足か。もうこの人間がどうなるか心配する必要はないぞ。喜べ」
「シカ・ソーニャ。なぜ神を抗い、人を斬る。貴様もこの世界の存在じゃなかろう。
 弱き人を守り、助けるためにこの世界に遣わされた存在のはずだ」
言葉の端々からすさまじい怒気を漏れだす。その形相も憎悪に満ちたものだ。
ソーニャが鼻で笑う。
「神だか創作者だか支配者だか知らないけどなんでそいつらに従わなきゃいけないんだよ。
 『人間を助けろ』なんて一種族贔屓の傲慢な存在のよお。
 私はそんな偏見なクズもそれを崇めて盲信するカスも自分で物を考えずただ従うだけノータリン
 も殺したいぐらい嫌いなんだ」
「神を侮辱するか、シカ・ソーニャ」
ソーニャが大きくため息を吐いて空を見上げる。大きな白い月が浮かんでいる。
今、目の前にいる月の騎士がこの世界に現れてから月は本来の色を取り戻した。
太陽の巫女が現れてからは夜霧が出るのも少なくなって北。
徐々に世界はこの二つの存在により、元の世界へと戻りつつある。
世界を支配すべき存在は誰が定めるのか。なぜ世界の創造主を名乗り神は人間の味方をするのか。
この世界は人間のために創造されたものだと言うならばなぜ怪物たちは存在するのか。
「自分の思うとおりに物事が進まなければ癇癪を起こして、無理やり捻じ曲げる。
 お前らの言う神様ってのは随分とガキみたいな性格してるようだな」
騎士が鞘から剣を抜いた。月の明りなのか剣がほのかに光を帯びているように見える。
周りには既に怪物たちの影は無い。町への被害も大きかったので追撃もされてはいないだろう。
ソーニャが感じたように騎士もソーニャのことをこの世界とは違う場所から来た存在だとわかっているから
あのようなことを言ったのだろう。事実ソーニャも人間を守れと命令された。
だがそれは気にするような事ではなく、今回挑発したのも思った事を述べただけに過ぎない。
ソーニャからすれば気持ちよく殺しあいが出来ればいいだけなので、少しでも納得出来る側に付いているに過ぎない。
「人に仇をなす怪物たちを駆逐する前に、まずは神へと反逆する貴様を斬る」
ソーニャも剣を構える。いかにして強敵と殺しあうか。理由など彼女にとってはどうでもいいものなのだ

376名無しさん@避難中:2014/09/11(木) 12:52:06 ID:ujprhexA0
シカたんぶれない安心w

377名無しさん@避難中:2014/09/12(金) 21:07:51 ID:HBZRUhKM0
「君はバカだナ」
「……」
「君はバカだナ」
「二回も言わなくていい」
「実際バカだロ」
「……」
「前々から君は殺しあうことしか脳みそにない獣にも劣る人間だと思っていたが
 今回の出来事ではっきりとわかったんだナ」
「……」
「君はバカだナ」
暗い森のどこか。生物の近寄らぬ暗澹とした地のさらに先に怪物たちの巣がある。
太陽がこの世界に戻ってから怪物たちは世界が闇夜に包まれるまでここで過ごしている。
かつては濃霧で昼なお暗く、時には太陽が厚い雲に覆われ、怪物たちも跋扈出来たのだが
太陽の聖女が戻ってからはそういった機会も極端に減った。
少しずつだが着実に怪物たちは形成逆転され追い込まれつつある。
「言ったはずだナ。神の兵たちはお前一人では勝てないト。なのに目の前に現れたものだから
 すぐに挑発して殺しあウ。向こう見ずの勇気は無謀なんだナ」
先ほどからソーニャをひたすら馬鹿にしている黒いローブを羽織ったソレは手に持った糸で
ソーニャの肩と切り離された腕を縫いつける。まるで子供の裁縫のように乱暴に縫う。
「左腕と右足の切断に腹部の裂傷。生物なら死んでる傷だナ」
「亡霊で助かったよ」
「助かってねーだロ! 誰が縫い付けてると思ってるんダ!」
持っていたを引っ張り上げて糸をきつく縫いつける。ぐちゃぐちゃではあるがとりあえずくっ付いているので
糸を切って、今度は足にとりかかる。
「よかったナ。お前を心配して戻る奴がいなかったら今頃完全な死を食らってたゾ」
「みんなには感謝してるよ」
「……今、やるカ」
「やめてくれ」
亡霊やゾンビといった死霊たちは普通に切り刻んでも完全に殺すことが出来ず、時間経過で再生してしまう。
そのため人間たちは対死霊用の完全な死というトドメを編み出した。
それは神に祝福された火、聖火で焼くというものだ。
聖火は液状の火で揮発性が高く、通常の火のように燃え広がることがない。そのためこれで焼くには一度対象を動かなくする必要がある。
無論戦闘中にかけることも出来るが多少かけた程度では一時的に再生出来なくする程度にしかならない。
左腕と右足を斬られた上に内臓が食み出るほどの怪我を負ったソーニャはあやうくトドメを刺されるところだったが
幸いにも仲間たちに助けられて無事生還することが出来た。
「後は腹だナ。食み出た内臓を適当に押し込んで……腹圧で戻らないナ。こんなモノ無理やり詰めればどうにか……」
「丁寧に扱ってくれ」
「そんな繊細な体してないだロ! 痛くないのかヨ」
「幸いにも痛みは少ししかない」
「悶え苦しめばいいのニ」
その後、内臓をぎゅうぎゅうと戻され、雑に縫われたソーニャは魔術儀式で傷を完治することが出来た。
そして先の戦いで月の騎士に完全敗北を喫したソーニャは復讐を強く誓った。

378名無しさん@避難中:2014/09/12(金) 21:16:12 ID:EcRlsL3c0
負けたのか

379名無しさん@避難中:2014/09/13(土) 08:28:26 ID:CV9FOJoQ0
雑な生き返えらせ方だw 桃花由来だからやはり死ぬのか、いやもう死んでるか……

380名無しさん@避難中:2014/09/13(土) 21:03:01 ID:E7tyOfUg0
「我々は現在危機的状況に陥っている。これを覆すには神の兵たちを殺さなければいけない」
流暢な人間の言葉を喋る吸血鬼が演説をしている。
吸血鬼と言っても見た目は普通の人間の男性にしか見えない。貴族の服を着ているし、怪物の毛など全くない。
実際演説している吸血鬼はとある地方の正真正銘の領主であり、長い間彼の一族は正体を隠して土地を治めてきた。
吸血鬼は通常の怪物と違い、人間としての性質を強く持っているためか野山や森の中で暮らすことを嫌がる者が多い。
しかし同時に人間の血を定期的に飲まなければならない体質なので、町で暮らしていると正体が露呈して殺されることが多かった。
そこで彼の先祖が土地を治め、吸血鬼を匿い、彼らの社会を築こうと考えたのだ。
その試みは成功し、この世界のほとんどの吸血鬼は彼の領地に住まい、ひそかに人間の血を与えられて生きてきた。
だが神の兵が降臨した影響で太陽の下での活動が出来なくなり、さらに聖女の占いにより全てが暴かれ、彼の領地は焼け野原となった。
散り散りになってしまった吸血鬼たちを彼は使い魔を行使して集めているがもうほとんどの者は殺されてしまったという。
最早風前の灯となってしまった血族の復興のために彼は精力的に情報収集に努め、怪物たちの中でも上位の地位に就いている。
「神の兵の降臨により、現在境界は閉じられている。死者は蘇ることなく、闇の中より怪物たちが出てくることもない。
 我々は残存兵だけで最低でも片方を殺さねばならない。だが知っての通り、奴らの強さは折り紙付きだ。
 先日の件でみなも良く知っていると思う」
演説を聞いていた怪物たちがソーニャたちを見る。ソーニャは居心地悪く、そっぽを向いて頭をかいた。
「彼女はあんなのでも実力だけは我々の中でもトップクラスだ。その彼女がズタボロにされたことから考えると月の騎士に勝てる
 者は我々の中にはいない。残念ながらそう判断せざるを得ない。しかしもう片方の太陽の聖女は都市の中央にある城のさらに最も深き
 場所で厳重に警備されているという。我々の兵ではおそらく辿り着くことすら出来ないだろう。したがって殺すとすれば月の騎士だ」
「だけど月の騎士に勝てる者は我々にはいない、と。困りましたね」
聞いていた魔術師の一人が相槌を打つ。
「だがそれは一体一での話だ」
「ちょ、ちょっと待て!」
ソーニャが口を挟む。
「あいつは私が殺すんだぞ。手を出すんじゃねぇ!」
「ソーニャ。君が負傷した前回の襲撃で我々は戦力のおおよそ四割を投入し五大都市で最も攻略確率が高いところに挑み、
 ほとんどの成果を得られなかったところか多くの仲間を失ったのだぞ。最早一騎打ちなどと言っている場合ではないのだ」
「嫌だ嫌だ嫌だー! 私が殺す! 殺すのー!」
「おい、誰か黙らせておけ。前回の戦いで頭を負傷したという話は聞いていないが」
「元からこいつの頭はおかしかっただロ」
「それもそうだな。話を戻そう。最早我々には戦力を温存しつつ、都市を襲う余力は残されていない。
 散発的に襲撃してもこちらの戦力を失うだけだということが前回の襲撃でよくわかった。
 故に次の戦闘では我々全戦力を投入し、最低でも月の騎士を殺さなければいけない」
「モゴー! モゴモゴー!!」
「例え代償として九割の戦力を失っても、奴を殺す価値はある。境界が再び失われ、赤い月が戻れば時間が我々の兵士を増やしてくれる。
 そうなれば再び時を待ち、一つずつ人間の都市を落として行けばいい」
「モゴー!!」
「全ての兵士達に伝えろ。明日の太陽が沈んだら、再び攻撃を開始する。この一戦が我々の雌雄を決するだろう」

381名無しさん@避難中:2014/09/14(日) 06:07:18 ID:fZ7pWv2c0
シカたんワガママ娘になっとるww

382名無しさん@避難中:2014/09/14(日) 21:33:09 ID:tyJUkO8c0
人々は暗闇の中で沈黙を保ち続けた。乳飲み児すらその人ごみの中で泣かずにいた。
外から聞こえる逃げ遅れた人々の悲鳴や建物が倒壊する音、そして化け物たちの叫び声から耳を塞ぐ者もいる。
教会の地下に作られた避難所は明りもなく、決して居心地のいい場所ではない。
人々の体温や吐息が地下の温度と湿度を上げていくが、唯一外に通ずる扉を開けることは出来ない。
時折頭上よりミシミシと足音が聞こえる。そのたびに誰かが息を飲む音がする。
先の戦いでこの都市の被害は軽微であった。
太陽の聖女の予言により、月の騎士が遣わされ事前に情報が伝えられたからだ。
おかげで襲撃の備えが出来て、なおかつ神の遣いがいることで兵士の士気も非常に高かった。
今までで最高の戦果という言葉は化け物たちの死体がそれを裏づけ、人々に勇気と希望を多いに与えた。
だから今回の戦いも月の騎士が予言を携えてやって来た時、その内容が前回よりも遥かに多い軍勢だというものにも
関わらず、絶望することなく兵士たちは武器を取り、来る試練への覚悟を決め、勝利を確信していた。
しかし戦闘が始まり、すぐに多くの者が前回と違う戦いを強いられていることを知った。
前回、月の騎士は都市中を疾走し、雑魚は斬り払い強敵は瀕死に追い込むだけでトドメは人兵士たちが行っていた。
これが出来たのは怪物たちの目標が町であり、月の騎士の待機や町民の戦闘準備が予想外であったことが原因となる。
月の騎士はまさしく一騎当千とも言うべき力を有し、いかに人を食らう怪物たちであっても多大な戦力と被害を持ってしてまで
討伐するべき対象ではなく、むしろ囮を使い戦場から離し、その間に町を襲撃するだろうと予測されていた。
これには月の騎士も同意し、前回と同じように討伐数を稼ぐのではなく、被害を抑えるように戦闘するということになっていた。
怪物たちは違った。少しでも月の騎士との正面衝突を避けるべく、戦力を分散して都市を襲うこともなく、一点集中して襲撃して来たのだ。
これにはすぐさま月の騎士が反応し、迎撃に向かった。そしてそれを待っていたかのように怪物たちでもおそらく族長クラスの怪物たちが
次々と月の騎士に遅いかかったのだ。大量の怪物たちと兵士の戦いは乱戦となったため、避難所にいる人間たちはその後どうなったのかはわからない。
ただ全ての避難民は信じていた。次、この扉が開いたときこそが我々の勝利が伝えられるときであると。

コツコツと足音がする。怪物たちではない。二人分の人の歩く音だ。足音は迷うことなく、避難所の上まで来る。
暗闇で隣の者も見えない。それなのに避難所が歓喜に湧いているように感じた。多くの人間たちの顔に笑みが零れた。
扉がガタガタと揺れる。敵に気付かれないように表には取っ手やそういったものはつけられていない。床と床の隙間に細い物を刺し、こじ開けるのだ。
万が一のことも考えて、こちらからは開けてはいけないことになっている。避難民はこれを見守るしかない。
やがて揺れが治まる。うまく開かない様だ。何かが転がる音がした。装備品にしては重い音のようだが大きな盾でも投げたのか、もしくはは
扉の近くにあった机を蹴り飛ばしたのかもしれない。
その時、ザクと扉に何かが刺さる音がした。すぐに扉は外され、光が避難所を照らす。
「ほー、結構人がいるなぁ。まぁ私にとってはどうでもいいんだけど……」
若い女性の声だ。おそらく持っているであろうランタンの光が闇に慣れていた人々の目に突き刺さる。
何か丸い物が投込まれ、人々の間に入り込む。近くにいた人間がそれを掲げる。
「お届け物だよ」
光に段々と目が慣れてきた避難民は、それの姿をようやく確認することが出来た。
暗がりの避難所でランタンの光に照らされたそれは月の騎士の首だった。

383名無しさん@避難中:2014/09/14(日) 23:03:33 ID:.CpJ/WNIO
\(^O^)/

384名無しさん@避難中:2014/09/14(日) 23:11:42 ID:waFrMEt60
勝ったか

385名無しさん@避難中:2014/09/16(火) 21:23:13 ID:F8YEMhYA0
「神の遣いがいるってことは神ってのもいるのかね」
ソーニャの質問に吸血鬼が羊の肉を切っていたナイフを止める。
「『いる』か『いない』かだけで答えるならば『いる』だ」
「含みのある言葉だな。いるならその神とやらも殺さなければ怪物たちの勝利にならないんじゃないか?」
そう言って羊の肉を香草と共に焼いた物を噛み千切る。付いていたソースが飛ぶのを見て、吸血鬼が眉をひそめる。
「もう少し綺麗に食べれないのか。実に汚らしいぞ」
「別にいいじゃあねえか。むしろこうやってナイフとフォーク使って食べる奴の方が少ないんだぞ。私たちの場合は」
「貴様が毛むくじゃらの奴らと同じ生物だというならば文句は言うまい」
「黙ってたけど実はそうなんだ」
大口を開けて、残りの肉を頬張る。見ようによっては口に餌を溜め込む動物のそれに見えるが人間のやる事ではない。
「そもそも亡霊のはずなのになんで食事を取るんだ」
「腹が減るんだから仕方ないだろ。それよりもさっきの質問」
諦めたかのようにため息を吐く。
「……それを語るにはこの世界の歴史を語らねばならん。書物には残されていないが我々の一族の口伝だけでも
 人間と怪物の歴史は数万年以上に渡っている」
「でも境界ってずっと閉じられていたんだろ? この世界に普段かいる怪物ったって吸血鬼とかそのぐらいじゃないのか?」
「正確には前回開けられてからだ。おおよそ千年ほど前に開いている」
「もしかしてこの世界って数万年間ずーっと同じようなことしているんじゃないか?」
「その通りだ。全て予測の域から出ないが境界はおそらく千年周期で開けられていると思われる。そしてそのたびに今回のような
 怪物たちの大規模侵攻が発生し」
「そのたびに神の遣いが現れて怪物たちを撃退した、と?」
「そうだ。人類と怪物たちその発展と衰退はそうやって繰り返されてきた。この世界の文化が進化しないのも怪物の侵攻により
 発展してきたものが打ち砕かれるからだろう」
「でもなんでそんなことが起きるんだ?」
「おそらくは一つの勢力による支配を抑えるためだ。人類が、あるいは怪物がこの世界全てを支配するのを良く思わない存在がいる。
 ひとつの生物のためにではなく、世界全体の安定を望む者だ。時には人に遣いを、時には人に境界を開ける魔術を与える存在」
「それが……神か」
「私は……我々の一族は人々が神と崇めるその存在を調停者と呼んでいる。そして遠い昔より調停者やその周りについて研究してきた」
「なるほど。確かに人々の言う神は存在している、と。でも見た事はないんだろ? あくまで推測で」
「無論最初に言った通り全ては口伝とそれから予測される話だ。だがそこまで的は外れていないと思うぞ。それに貴様は調停者を感じた
 ことがあるだろ? お前に命じたはずだ。『人類を助けよ』と」
「じゃあなんだ。私は本当に月の騎士だったというのか」
「おそらくはな。出で立ちからしてもそうであってもおかしくはない。そしてお前は怪物に寝返ったから調停者は別の世界から新たな騎士を
 呼び寄せてこの世界に送りこんだ」
「全てはこの世界の安定のためにか。この戦いも全てあいつの掌の上でしかないっていうのか」
「今回は最初の騎士は寝返り、二人目の騎士は討伐出来た。都市も残るは二つ。戦力も十二分にある。このままであれば我々は
 人類を制圧し、この世界を支配するだろう」
「だが調停者は必ず遣いを送り、それを阻害してくる。もしくは調停者自身が……」
「ここからが二つ目の質問の回答だ。もしも調停者が実在するならば何も他の世界の人間を引っ張ってくるのではなく、本人が来れば
 済ませることが出来るはずだ。ではなぜ来ないのか」
「本人が弱いから?」
「他の次元から手下を呼び寄せて世界を安定化させている存在だ。本人に戦闘能力がなくても軍勢の王として来ることも出来る」
「……この世界に来れない理由がある?」
「そして我々がその存在を予測していながら手を出せなかった理由。それは調停者がただの存在でしかなく、生死というものを持たないからだ」
「なるほどね。そりゃ殺せないわけだ。じゃあ私たちは結局敗北に繋がるための勝ち戦をしてるってわけだ」
「まぁ……そうなるかもしれないな」
ソーニャは机に突っ伏し、吸血鬼はグラスに入った血液に口をつけた。

386名無しさん@避難中:2014/09/17(水) 20:48:31 ID:MqIOO.So0
望遠鏡を覗いて都市の様子を確認する。防壁の上を兵士達が走っているのが見える。
五大都市の一つを月の騎士と一緒に落とすことが出来た怪物勢は続いて二つの都市も制圧することに成功した。
月の騎士がいなくなったことにより再び月は赤くなり、境界はあやふやとなって怪物たちの時間が戻ったのも勝因の一つだ。
都市にいた大量の人間からはゾンビ、死霊が生み出され、僅かに残った人間は吸血鬼によって管理されている。
兵力の差は歴然となり、何事もなければ残る都市二つと太陽の聖女を抹殺することが出来る、はずだった。
「パッと見ただけでも四人ぐらいいるように見えるな」
「目に見える結界なんて初めてだゾ。どれだけいるんダ」
草木の影から都市の様子を望遠鏡で見ているソーニャと先日ソーニャを縫い付けた魔術師が話す。
怪物達側の偵察としてここに来たのだが先日から状況は悪化の一途を辿っている。
吸血鬼の言う調停者は人間側の圧倒的な不利を覆すための何かしらをするだろうという予測はしていた。
が、まさか月の騎士と太陽の聖女を数十人も送りこんでくるのは想定外であった。
今、残った二つの都市はどちらも邪気を払う結界がされている。最早近づくことすらも叶わない。
その上、月の騎士が徘徊しているこの状況にはさすがにみなお手上げのようだ。
「月の騎士がお前よりも弱かったらいいんだけどナ。全部が前回の月の騎士ぐらい強かったら死ぬだけだナ」
「私程度でもあれだけいたら無理だろ。どうしたものかな……あ、来たぞ!」
都市の門から数人の人間が馬に乗ってこっちに接近している。聖女の捜査網に引っかかったのだ。
魔術師は舌打ちをして、影をねじり闇に変えて移送の門を開く。暗闇の門に魔術師が飛び込み、ソーニャもそれに続く。
視界は一瞬暗転し、見慣れた仄暗い本拠地を映した。
怪物の一匹がのそのそと近づいてくる。六本足の狼のような形をした奴だ。
「ドウダッタンダ」
「どーもこーもねーヨ。死ぬ前にやりたいことやっとけヨ」
怪物達の士気は低い。当然だろう。一人ですらてこずった騎士が数十人はいるのだ。もうどうしようもない。
「私達の選択肢は二つだナ。抵抗して死ぬカ、逃亡して死ぬカ」
誰も喋らないし唸り声も上げない。ゾンビたちですら声を出さずにいる。それだけ全ての怪物達が悟っているのだ。
この戦いは既に雌雄を決した、と。
「……なぁ、質問なんだけど」
みんなの視線がソーニャに注がれる。
「境界の向こう側へ帰ればいいんじゃないか?」
それを聞いて怪物達が渋そうな顔をする。ソーニャも長く怪物達と付き合ってきてなんとなく表情がわかる
ようになってきたがこんな表情は初めて見た。
「お前はあっち側に行った事ないのカ。あっちはひどいゾ」
「何がだ?」
「飯はまずいシ、そこら中臭いシ、地面がぬるぬるしてるシ、怪物達がこっちに来るのも納得出来る場所ダ」
「そうなのか」
ソーニャはもっと曖昧な世界を想像していたのだがあちらはかなりはっきりとした劣悪な環境のようだ。
しかし殺されるのとそこのいるのがどっちがマシか言われたらやはり劣悪でもそこのいたほうが良いのではないだろうか。
「というか今境界閉じてるから帰れないシ」
「あー……」
太陽の騎士の復活により当然境界は閉じられている。そしてこの状況だと開けるのも難しいだろう。
「でもここに居ても殺されるんだろ? だったらどうするんだよ」
「だからそれを今考えているんだロ。能無しメ」
「なんだと」
「やるカ!」
「待つんだ」
どこかで見ていたのか吸血鬼がやってきて仲裁に入った。
「実は一つ、秘策があるんだ」
「さすがは最古の怪物の一族だナ。その方法ってのは」
「……和平交渉だ」

387名無しさん@避難中:2014/09/17(水) 21:34:19 ID:3uVNsryY0
ぜったいシカ嫌がるwww


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