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【能力ものシェア】チェンジリング・デイ 避難所2【厨二】
79
:
◆VECeno..Ww
:2012/06/06(水) 20:31:11 ID:mJseLIAU0
“幻の能力者”図解(ネタバレ注意)
http://ceno.me.land.to/novels/Worldlines.jpg
※慎也編の前編と後編は共通する台詞があるものの別々の並行世界。
※ドグマ編の鞍屋にゃんはギリギリ死んでません。
80
:
名無しさん@避難中
:2012/07/02(月) 21:59:04 ID:LzOgHuo60
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3156699.jpg
81
:
名無しさん@避難中
:2012/07/02(月) 22:21:50 ID:47c/cd420
なにこれかわいい
82
:
名無しさん@避難中
:2012/07/02(月) 23:49:56 ID:8eEvc/gc0
かわいいw 峰子さんと比留間博士かな
83
:
名無しさん@避難中
:2012/08/13(月) 15:28:49 ID:1YQkHspc0
>>77
バジレウス強いですね〜
血でタイツ透過したり、能力を自分に使ったりと。
UNSAID化け物ぞろいかw
しかし、今回も戦闘描写うまくて参考になりますねw
84
:
◆BY8IRunOLE
:2012/08/13(月) 21:51:27 ID:.vIk0zWU0
創発4周年祭の前座という理由をつけて、個人的趣味丸出しなスピンオフを投下しちゃいます
……能力カンケーナイとか言わないで!w
↓
85
:
1/6
:2012/08/13(月) 21:53:18 ID:.vIk0zWU0
夢うつつの中、ベッドから何者かによって引き摺り下ろされた。
床に叩きつけられ、しばし状況把握に脳みそを動員する。
次に、起き上がって枕元の時計を確認するのだが――。
理解したのち、舌打ちする。
――ちっ……まだ6時じゃねーか。
俺の安眠をかくも乱暴な方法で破る存在は、一人しかいない。
「お父さん! 今日はバンド練の日だよ! 遅刻したら大変! 早く起きて!!」
「……あのなぁ」
まだ頭がボーっとしている。
そこから絞り出すように、今伝えたいメッセージだけを吐き出す。
「アイリン。バンド練は10時からなんだよ。つまり、早過ぎるんだ。だから、あと1時間――」
「だめだめ! そんなこと言ってたら寝過ごしちゃうよ。 ほら、今日はわたしが朝ごはん作ったし」
どうやら聞く耳を持ってくれなかったらしい。
あー……アタマ痛ぇ……
+ + +
86
:
2/6
:2012/08/13(月) 21:54:35 ID:.vIk0zWU0
「ぜったい、大人しくしてろよ。うざったくなったら、すぐつまみ出すからな」
シンバルケースを肩に担ぎ、俺は地下鉄を待っている。
傍らには、スネアケースを持った娘。
自分が作った、と得意げな朝食のメニューは、俺がいつも供しているお茶漬けだった。
――ったく、コーンフレーク&ミルクみたいなもんだろ、こんなのは……
と思いつつ、娘の意欲を損ねるのも気が引けたので、ありがたく頂戴した。
「わかってるもん。コドモじゃないんだからさぁ、何回も言わなくたって」
俺を見上げて口を尖らせる。
――充分、コドモだよ。
そのコドモは、今日はポニーテールの髪型をしている。
近頃は一人でリボンも結べるようになった。
おっと、誤解の無いように言っとくが、正真正銘、俺の娘だ。
最近、ますます“あいつ”に似てきたと感じる。
バンドの練習に従いていくと言ってきかないので、仕方なく連れてきた。
ま、荷物持ちが増えて助かるかと思ったのだが……
スネアドラム、シンバル2枚、キックペダル、スティックケース。
数ある荷物の中で、10歳の女の子が持てる物は、数えるくらいしか無い。
結局スネアケース一つを任せることにした。
娘は意気揚々とケースを担いでいるが、ぶつけたり地面に擦ったりしやしないかと気が気でない。
ペダルにしとけばよかったかとも思うけれど、そっちの方が精密器械なので、リスクが高い。
+ + +
87
:
3/6
:2012/08/13(月) 21:56:22 ID:.vIk0zWU0
「おーっす」
スタジオに着くと、すでに二人の人影が見えた。
「やっと来たかにゃ。もう、待ちくたびれたにゃ」
猫娘は、そう言いながらギブソンES-335のチューニングを続ける。
赤い髪の中からのぞいた猫耳が、くいっくいっと、揺れる。
「練習は10時からだろ。あと10分もあるじゃねぇか」
俺は荷物を下ろし、ペットボトルの水を飲んだ。
ギターを持った猫娘の向こうに、高校生くらいの少年が高いスツールに腰掛けている。
手に持って眺めているのは……たぶん、今日合わせる曲のコード譜。
けれどそれを見ている“ふり”をしながら、所在無げに壁を見たり、俺を直視せずに観察したりしている。
「……そいつが、例のペット(※)か?」
とりあえず水を向けた。
こういう場合、多少不躾でもそうした方が、お互いにとって良い。
「にゅ、忘れてたにゃ。トランペットの『ヨシユキ』にゃ」
猫娘が振り返る。
少年はスツールから降りかけ、その中途半端な姿勢のまま、
「ども。ヨシユキっす。ペット吹くのはかなーり久しぶりだけど、よろしく」
首から上だけを突き出すようような格好で、ニコリともせずお辞儀をする。
パッと見は普通の高校生のようだが、顎や目付きは引き締まっている。ギラついた眼光が、なんだか世の中すべてに
ケンカを売っているような雰囲気を持っていた。
――いいんじゃねぇか。ジャズのペットは、こうでねぇとな。
「で、そっちの幼女は何にゃ? 誘拐事件に巻き込まれるのだけは、勘弁して欲しいにゃ」
猫娘が俺と娘を指さす。
俺はそれをいなし、スツールの高校生に声をかける。
「俺はパウロ、ドラムだ。このバンドの中じゃいっちゃん歳くってるけど、呼び捨てで構わないぜ。
こっちは俺の娘。連れてくるつもりは無かったんだが、どうしてもってきかねぇから……
隅で大人しくさせとくから、今日だけ頼む」
そう言って、娘にも頭を下げさせる。
(※ペット……トランペットの略称。侮蔑的なニュアンスは無く、普通に使われる)
+ + +
88
:
4/6
:2012/08/13(月) 21:58:08 ID:.vIk0zWU0
「で、例によってヤツが一番遅いわけだが」
ブースに入ってドラムセットのチューニングを終え、時計をみると10時を5分ばかし過ぎていた。
「アイツに今日のスタジオ代全額出させるにゃ。まったく、やっとフロントが見つかったってのに……」
ルロー ――猫娘の名前だ――は、335の音量を絞って『Four on Six』のイントロをパラパラ弾きながら愚痴る。
その時、スタジオのドアが開いた。
ふわりとタバコの匂いが漂ってくる。
メガネをかけた青年が、エレキベースを背中に担いで現れた。
「やー、ホントアッツイよなぁ! 来る途中でアイス二個も買っちった」
鉄哉――遅刻したベーシストの名前だ――は椅子にどっかりとへたりこんで、アイスを齧っている。
「テツ、さっさと準備するにゃ。今日はトランペットが居るんにゃから」
その声に、鉄哉は無精髭を撫でながらヨシユキに一瞥をくれ、にっこり笑って
「よろしくなっ♪」
と言って手を上げ、ケースからベースを取り出した。
ところどころ塗装の剥げた、フェンダー・ジャズベース。60何年製だからしい。
フレットが抜かれている、いわゆる「フレットレス」仕様だ。
「ルロー、Aくれ」
二つの弦楽器のハーモニクス音が響きわたる。
ピッチの微妙なズレを示す音の揺らぐ間隔が、徐々に長くなっていき、ほぼ均一になる。
そこで鉄哉は、他の弦をそれに合わせた。
+ + +
89
:
5/6
:2012/08/13(月) 21:59:17 ID:.vIk0zWU0
トランペット、ギター、ベース、ドラム。
この4人のカルテットで、ジャズを演奏する。
ピアノが居ないのは、弾くヤツが居なかったから。
サックスが居ないのも、同じ理由。
料理とバンドは似ている。
そこにある素材だけで、とりあえず形を作る。
その点でジャズは、柔軟性の高い音楽だ。
「夏だし、ボサを演るにゃ!」
ルローがそう宣言したとき、俺が真っ先に思ったのは、ボーカルをどうするのか、という問題だった。
ボサノヴァのインストゥルメンタルも多くあるが、やはり唄があったほうが断然サマになる。
「当然、可愛い女のコが歌ってくれるアテがあるんだろーな?」
俺の疑問を、かくも露骨なかたちでテツが代弁してくれる。
しかしルローは、不敵な笑みを満面にたたえ、ゆっくりと言い放った。
「任せておくにゃ。目ん玉飛び出るような大物ゲストと交渉中にゃ……にひひひひひ!」
こういう時、俺は本気で不安になる。
この猫娘が、マトモな“交渉”をしてきたためしは、一度だって無いからだ。
+ + +
90
:
6/6
:2012/08/13(月) 22:02:54 ID:.vIk0zWU0
ストリートでやるときは、テツはウッドベースを弾き、俺はカホン(※)を叩く。
この暑いのに、と愚痴を言いながらも、テツはウッドベースを抱えてバスに乗る。
二人分の運賃を払おうとすると、運転手のおっちゃんが
「いいよいいよ、今日は人少ねぇから」
といって手を振る。
ラッキー、とテツは口笛を鳴らして奥の座席へ向かう。
俺も、ケースに入れたカホンを担ぎながらあとに続く。
で、その後には……
「50円ね、お嬢ちゃん」
もたもたと財布からカネを出すのは、我が娘。
後ろに三人くらいつかえている。
鈍くさいのは母親譲りだなぁ……と思う。
麻衣子も、慣れない路線で乗り換えとか切符の精算とかになると、とたんにパニクっていた。
普段はしっかり者キャラのくせに、アドリブに弱い。
※カホン(cajon)……パーカッションの一種。
木箱の中に響き線が張られていて、打面や叩き方をかえることで様々な音色を得られる。
箱の上に跨るか足の間に挟んで演奏する。ここではドラムセット代わりに使っている。
+ + +
91
:
◆BY8IRunOLE
:2012/08/13(月) 22:05:52 ID:.vIk0zWU0
↑ここまでで
……オチは無いんですよね。スンマセン
趣味にまかせて書いたもので……
なんつーか、こーいうパロディ?もどきにもチャレンジしようかと思った次第です
ラジオ聴けないし (´;ω;`)
いいなーみんな楽しそうだなー
92
:
名無しさん@避難中
:2012/08/15(水) 11:10:59 ID:lEAl7FDo0
パロディいいですねw
いつもと違う組み合わせで新鮮です。
ラジオ私は偶然聞けてラッキーでした。
父と娘の紹介もありましたよ〜
93
:
名無しさん@避難中
:2012/08/18(土) 23:38:22 ID:frHmoDeY0
元の因縁を考えると平和だなw
94
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 12:49:50 ID:rGGfQ/qQ0
プリンセス・オブ・フェアリーテイル 〜カラーギャング潰し〜
「なぁソラ。『カラーギャング潰し』の噂、知ってるか?」
「ふわぁ……からーぎゃんぐ、つぶしぃ……?」
桂木忍から問われた鈴本青空――カラーギャング《ブラッディ・ベル》現総長――は、泣く子も黙る鬼総長とは思えぬ可愛い欠伸を漏らした後、寝ぼけ眼で問い返した。
忍はそんないつものソラの様子に愛しさの籠もった苦笑を漏らし、自分が昨日仕入れてきたばかりの情報を反芻しつつ説明を始めた。
「知っての通りブラッディ・ベル以外にもカラーギャングは各地にいるけど、その悉くが最近、何者かの襲撃を受けてるらしいんだ」
ブラッディ・ベルと日夜抗争を繰り広げているカラーギャングは、この周辺だけでも3つはある。
しかし、そのどれもがこの一週間以内に壊滅的なまでの被害を受けているというのだ。確かに思い返せば、最近の《夜》は抗争相手とまったく遭遇していない。
そのせいで暴れられないソラのストレスは最高潮に達し、ブラッディ・ベル構成員であるモヒカンや赤髪の男たち――忍は名前を記憶していない――が腹いせにノックアウトされるという悲劇すら起こってしまっている。
こうも立て続けにカラーギャングが狙われるとすれば、次の標的になり得るのは我らがブラッディ・ベルなのではないか。
忍はそんな危機感を覚えてソラに注意を喚起しようと考えていたのだが……。
「……むにゃ」
「昼間に言う事じゃなかったか……はは」
対するソラは昼能力《超睡眠》のせいで半ば夢の世界の住人と化している。
これではいくら言葉を並べようと徒労だ。また夜に話そう――忍はそう考えて、ソラの小さな体に毛布を掛けてやった。
「んにゃ」と声を漏らすソラは、柔らかな感触がむず痒いのか、毛布の中でもぞもぞと体を動かしている。
まるで小動物を思わせる昼間の姿からは、夜間の鬼のような姿は想像もつかない。が、そのギャップもまた面白いものだ。
ソラの頭を二、三度撫でた後、忍はすぐ側に放り投げてあった愛用のナイフをポケットにねじ込み廃ビルの部屋を後にした。
部屋の入り口近くに陣取る女構成員にソラの警護を頼み、忍は廃ビルの朽ちかけた階段を静かに下っていった。
95
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 12:50:20 ID:rGGfQ/qQ0
廃ビルを背に歩き出した忍は、周囲に注意を払いながら歩を進めていた。
まったくそんな自覚はないが、忍は対外的にはブラッディ・ベルの副官、ナンバーツーと認識されている。
つまり夜能力の《お姫様》があろうとなかろうと、襲われる時は等しく襲われてしまう危険があるのだ。
故に集中は切らせない。廃ビルが集中するブラッディ・ベル本部周辺は人通りも少なく、一度奇襲を許せばそのままやられてしまうのは必至。
とはいえ、対抗勢力の殆どが壊滅しているという現状ではそんな可能性は極めて低いのだが。
「注意しておくに越したことはないよな」
呟き、忍は視線を巡らせる。
右手はコートのポケットに突っ込まれたまま。中にあるナイフを握っては離しを繰り返しつつ忍は進む。
このナイフは彼の直接の武器ではない。忍は、ナイフを扱いカラーギャングらを圧倒するような技量は持ち合わせていない。
では何のためのナイフなのか。これは、昼能力《騎士の血盟》発動のために必要なものであった。
忍の昼能力は、流れ出た血液を武器へと変質させるもの。このナイフは自分を傷つけるための物に他ならない。
昼は忍がソラの騎士となり、夜は姫たる忍をソラが守護する。出来すぎた感も若干ある能力だ。まったく。
何事もなく廃墟群を抜けた忍は、ようやく人通りの多い繁華街へ出た。
忍が外出した理由は1つ。とにかく情報を収集することが目的であった。
忍はブラッディ・ベル――ひいてはソラ自身の身に危険が及ぶのを避けたいと考えている。
ソラはもう、忍にとっての家族だ。家族に危害が加わりそうな状況を静観している訳にはいかない。
故に、信頼できる情報屋から《カラーギャング潰し》に関する情報を得ねばならない。対策を練るのだ。
ブラッディ・ベルは総長の戦闘力は元より、構成員の力も他のカラーギャングと比して一歩抜けている。
カラーギャング潰しなど、返り討ちにしてやらねば。
96
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 12:50:32 ID:rGGfQ/qQ0
「おい「アウッ!」坊や。ちょっと「ばうばうっ」聞きたいことがよ、あるんだけど「アオォォォン」よォ?」
「わんわんっ!」
「うるせえよ! 犬を黙らせろ! しまらねえだろ!」
「すまん兄貴! まだ手懐けられてねえんだ!」
「……またかお前らは」
ソラの役に立とうと意気込んでいた忍の耳に、聞き覚えのある声が入る。あと犬の声。
視線をそちらに向ければ、人通りの少ない路地で一人の少年を囲んでいる三人+犬の姿が見えた。
赤髪の男が犬のリードを持ち――犬はそこそこ大きい――その傍らにモヒカンの男、最後に呆れ顔のスキンヘッドの大男。
彼らには見覚えがある。皆が皆ブラッディ・ベルの構成員だ。名前は覚えていないが。
目を凝らせば、ストレスの溜まったソラにぶん殴られたためか赤髪とモヒカンは包帯を巻いているのがわかる。
「殴られた腹いせにカツアゲか……? はぁ、止めなきゃな」
ブラッディ・ベルはカラーギャング。総長はただ強者との戦いにしか興味のない戦闘狂。
では下の者たちはどうかと言えば、とりあえず様々だ。ご覧の通り不良を地でいくのやら、ソラ萌え、忍萌えの構成員など。
皆憎めない相手であるのだけは確かだが……。
「おーい、そこの三人!」
「あん……? あっ、姫さん! ちっす!」
忍の接近に気付いたモヒカンが、少年に対する高圧的な態度とは一転、殊勝な態度を見せる。
「おっす。あのさ、お前らソラに殴られて鬱憤溜まってるのはわかるけど……カツアゲは止めろよな」
「べ、別に鬱憤溜まってるってワケじゃないっス! むしろ姉御に殴られて嬉しいって言うか……」
「ばうっ!」
「……え、なにそのカミングアウト……いらない……」
両手を体の前で振りながら弁明する赤髪、そして一吠えする犬。
それはそれでおかしいセリフだが問題はそこではない。いや問題なのか……?
「というか、別にカツアゲをしている訳ではないぞ」
スキンヘッドが言葉を続ける。
「あ、そうなの?」
「そっスよ。最近噂のカラーギャング潰しについて情報を集めようとしてたんス」
彼らの目的がカツアゲでないことに驚く忍に対し、モヒカンがさらに続ける。
「この坊や、ギャング潰しの現場を見たらしくて」
「ふーん、そうなんだ……」
三人から視線を外すと、不良の印象を抱かせない忍の登場に安堵した表情を見せている少年の姿が視界に入った。
「……なあ君、話を聞かせてくれないか」
「あ、は、はい……」
「なんで姫さんだと素直に話すんだよテメェ」
「どう考えてもお前らが怖いからだろ……」
後ろでぶつくさ文句を言うモヒカンに呆れ声でツッコミを入れた後、忍は少年が口を開くのを待った。
続く
97
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 12:51:28 ID:rGGfQ/qQ0
お久しぶりです
鈴本青空、桂木忍、ブラッディ・ベル。全てが懐かしい……
というわけでまたぼちぼち書かせて貰います
まずは色々読まないとね……
98
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 13:55:32 ID:4UdkICss0
おー久々!
wktk
99
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 19:57:28 ID:AXBeqtek0
>>94
わぁい!(←深い意味は無い)
久しぶりじゃないっすかー
ROMとしては嬉しいね!
いろいろ読んでると、過去作品とのクロスオーバーネタ出てくるだけでニヤニヤできるしww
もちろんご新規書き手&描き手さんも大歓迎!!
♪wikiをさっと流し読みして、
♪自分の能力を構成したら
♪チェンジリングの世界へDIVE!
100
:
名無しさん@避難中
:2012/08/19(日) 20:36:23 ID:aRVc295s0
>>98
お久しぶりです〜
忍姫と空姉御の作者の人かっ!
モヒカンのカミングアウトわろたwww
性癖かっ!
何やら事件の匂いがしますのう。
続き期待!
101
:
名無しさん@避難中
:2012/08/20(月) 08:52:10 ID:jIlMMsZY0
みなさんお久しぶりですー
つーわけでプリンセス・オブ・フェアリーテイルの続きです。2レスだけど
◆
忍の要望に応じて情報を提供してくれた少年は、一刻も早く関わりを避けたいと言わんがばかりの勢いで路地を後にしていった。
走り去るその後ろ姿を視界の端に捉えながら、忍は手に入れたばかりの情報を脳内で繰り返しつつ傍らの三人に問うた。
「なあ、どう思う? 学ランを着た男が不良を潰してたらしいけど」
「学ランってこたぁ、学生っスかね」
腕を組みながらモヒカンが言う。
少し考えれば誰でもわかりそうな情報をさも得意げに口に出すモヒカンに内心冷たい視線を送りながら、忍は他の二人の言葉を待った。
「学ランなんすよね? だったら夜見坂の生徒ではなさそうだ」
「うん。夜見坂はブレザーだもんな……けど」
ようやく従順になった犬の頭をわしわしと撫でながら、赤髪。
モヒカンよりもまともなその意見に頷き、忍はこの近辺に存在する学校をいくつか思い浮かべた。
しかしまず第一に頭に浮かび上がってくるのは、赤髪との会話の中で可能性を除外された私立夜見坂高校だった。
なにせこの夜見坂はとにかく有名だ。比較的高めの偏差値と、夜見坂独自のカリキュラムは世間的な関心も高い。
が、忍が夜見坂を想起したのは、そのような表の顔に関する話題についてではない。
忍も望まぬ形とはいえ(別に脱退を希望しているわけでもないが)ブラッディ・ベルに籍を置く身。
そのような立場にいると、『裏』の話や噂も耳に入ってくることが多々ある。
大抵の噂が都市伝説の域を出ない類の物であったりするのだが、そんな裏の話の一つに『夜見坂はとある組織の実験場である』というものがあった。
夜見坂で事実そのような研究が行われているとして、能力研究の実験台にカラーギャングが相手にされているとすれば、一応の辻褄は合う。
カラーギャングは言わば社会の爪弾き者。いてもいなくても――いやむしろ、消えた方が世のためとなるような存在だ。
そんな相手ならいくら傷つけようとも問題はない……そんな思惑が絡んでいたりはしないだろうか。
「……いや、考えすぎだよな」
忍はかぶりを振って、自身の下らない妄想を振り払った。
いくら何でも馬鹿馬鹿し過ぎる。脳内でそう一蹴し、改めて『学ランの男』について想像を巡らせる。
夜見坂の他に思い浮かぶ学校はそう多くない。
忍やソラの通う(最近は二人とも欠席が多い。これで不良の仲間入りか)戸契学園や、その他近辺の中学校など。
戸契は私服校だから学ランを着ている生徒がいてもおかしくはないだろうが、忍にそんな生徒の記憶はない。
では中学生がギャング潰しだとして、いくら強力な能力を持っていたとしても、同じく能力持ちである凶暴なカラーギャング数十人を相手に立ち回ることが出来るとも思えない。
「なんか……わかんなくなってきたぞ」
「注意すべきは学ランを着た男だ。それがわかっただけでも収穫だろう」
首を傾げる忍に対し、泰然とした声でスキンヘッドが声を掛ける。
確かに、相手の正体を探るのが目的ではなく、あくまでギャング潰しへの対策が主旨なのだ。
少し勘違い。まずいまずい。
忍はぽりぽりと頬を掻き、照れ隠しに笑みを浮かべた。
「……ちょっと腹減ったし、昼飯にしない?」
「姫さんの奢りっすか!?」
赤髪がいの一番に反応する。
財布の具合がよろしくないのか?
自分より年上の男のそんな反応に苦笑しながら、忍は「構わないよ」と首肯した。
102
:
名無しさん@避難中
:2012/08/20(月) 08:53:02 ID:jIlMMsZY0
◆
「デパートってやっぱペット禁止っすか」
「当たり前だろ……」
忍とブラッディ・ベルの三人は、路地裏を抜けた後、繁華街のとあるデパートへその足を向けた。
人波を掻き分けながら徒歩数分。三人はデパートの入り口にある『ペット禁止、盲導犬可』の張り紙の前で立ち往生している最中であった。
「ペス……お前とはここでお別れしなきゃなんねーよ……。俺の昼飯のために」
「ワウぅ……」
項垂れる赤髪、尻尾を下げる犬。まるで良い飼い主と、彼との別れに耐えようとする忠犬の図である。
飼い主の方が不良じみた若者であるからか、周囲の目はどこか生暖かいものがある。
不良がいいことしたら褒められる、みたいなノリで。
「どうでも良いからその寸劇は止めろ!」
「腹が減った。いくぞ」
「その犬ってお前のペットじゃないんだろ?」
だが赤髪に対し、モヒカン、スキンヘッド、忍の対応は冷ややかであった。
既にこの四人の中での序列は覆せぬものになっているらしい。
「ちょ、みんなヒデーな!」
「うるせぇ行くぞ!」
「あーっ、ペスーっ!」
モヒカンに首をひっつかまれ引き摺られていく赤髪。
そして彼の手からペスのリードは離れ、忠犬ペスは一目散に昼間の雑踏の中に消えていった。
「……効果切れたんだ」
「らしいな」
忍とスキンヘッドは犬を見送った後顔を見合わせ、デパートに入っていった二人を追った。
赤髪とモヒカンの二人にはすぐに追いつき、四人はエレベーターにすし詰めになりながら目的地のレストランがある階へと向かい、
そして。
「いらっしゃいませ〜。お客様、何名様ですか〜?」
「4名様だ」
間延びした声で客を迎えるウェイトレスに対し、自信満々に答えるモヒカン。
「いるな、こういう奴」
「兄貴……その受け答えはちょっと……」
「知性の欠片も感じない」
彼に対し、忍、赤髪、スキンヘッドは思い思いの(割と酷い)感想を述べた。
「うるせぇよ!」
「お客様、店内ではお静かに願います〜」
「あ、すんません」
素直に謝るモヒカンからはカラーギャングの覇気を感じないが、それはともかく。
四人は見晴らしの良い窓際の席に案内され、そこに腰掛けるのであった。
「…………高っ!」
メニューをパラパラと捲った忍がその値段に悲鳴を上げたのは、それから数十秒後のことだった。
つづく
103
:
名無しさん@避難中
:2012/08/20(月) 08:53:57 ID:jIlMMsZY0
赤髪、モヒカン、スキンヘッドのブラッディ・ベル構成員三名が結構好きです
憎めない感じが……あるかなって
104
:
名無しさん@避難中
:2012/08/25(土) 13:11:40 ID:hJxYNisM0
四名様wwww
……一回、自分も言ったことあったな……orz
学ラン誰だろうか。
忍とのバトル見られるのだろうか。楽しみだぜっ!
105
:
そろそろお鍋の季節ですね
:2012/10/15(月) 00:06:58 ID:Pc8TSgts0
「ただいまぁ」
3ウェイバッグを背負った少女が、玄関に飛び込んでくる。
ロイヤルミルクティーの髪は、ひと目でハーフの子だと分かる。
少女は鼻をくんと動かすと、嬉しそうに台所に駆け込んだ。
「あ、おでんっ!?」
「おかえりアイリン。手は洗った?」
女子校生、吉野小春がにっこり笑うと、アイリンは「洗ってくる!」と言ってカバンを下ろし、洗面台に向かった。
「ねえねえ、お餅の入ったやつ、ある?」
嬉しそうに聞くアイリン。
「ざーんねん。今日はおでんではありません。でも、似たようなもんかな」
きょとんとするアイリンに、小春は意味有りげな笑顔を見せた。
@ @ @
「おつかれっすー」
会社を出ると、すっかり日が暮れて暗くなっていた。
風がひんやりと冷たい。思わずスタジャンの前を合わせる。
「急に寒くなりやがったよな……」
秋山幸助は、肩を縮めて駅のほうへ歩き出した。
(今夜は……あの材料からすると、ポトフあたりか)
昨夜のことを思い出す。
風呂あがりに台所に入ると、シンクの脇にじゃがいも、玉ねぎ、キャベツ、人参、ソーセージが並んでいた。
同居する小春は、それらを前にして腕を組み「よし!」と頷く。
おおかた明日の夜の献立を決めたのだろう、幸助はさして気にもせず、冷蔵庫からビールを取り出したのだった。
電車を待つ間、ホームに寒風が吹き抜ける。
ポトフならありがたい、ちょうど鍋ものが食いたくなる寒さだ。幸助はそう思い、小春のカンの良さに、心の中で拍手を贈った。
@ @ @
106
:
そろそろお鍋の季節ですね
:2012/10/15(月) 00:11:53 ID:Pc8TSgts0
「 じゃーん!! 」
満を持して、小春が夕食のテーブルに載せた鍋は……
見た目はポトフ、匂いはおでんという、なんとも形容しがたいシロモノであった。
「おでんだと思った? ポトフだと思った? 残念、小春特製『和風ポトフ』でした!(ドヤァ)」
「微妙だな……」
絶句する幸助。
「お餅のやつ、ない……」
放心状態のアイリン。
「あ、あれ? いや、美味しいって! この前テレビでやってたし!」
ほらほら、と促し、とりあえず食事が始まった。
「ん、意外とフツーだな」
「ソーセージ美味しい!」
「でしょお〜? やっぱりわたし、天才☆だから」
(さいの字は“災い”だと思うが、黙っとこう)
皮付きのじゃがいもを箸でほぐしながら、幸助は思った。
――たしかに違和感なくマッチしている。小粒のじゃがいもを皮付きのまま煮こむのもいい……煮崩れないし、皮の旨みが味わえる。
しかし、いかんせんダシが弱いな。おでんと違って練り物が入らないからな……やはり練り物のチカラはあなどれん。
これを補うには、煮干しか昆布でダシをブーストするか……
「こーちゃん、美味しい?」
「んあ? あ、あぁうん、美味しい……」
(あぶねー、うっかりそのまま喋っちまったら興ざめもいいとこだった)
最近押し付けられたグルメ記事――といってもラーメンだが――を書く時のノリになってしまっている自分に気づき、幸助はかぶりを振った。
「こーちゃんはリアクション薄いから作りがいがないなー。アイリン、おかわりあるからね」
「今度はお餅のやつ、入れよーよぉ。ぜったい美味しいよ!」
「餅巾着ね。おっけー、次にやるときね」
(食欲の秋、か……)
楽しげに箸を動かす女子二人を、幸助はぼんやりと見ていた。
107
:
名無しさん@避難中
:2012/10/15(月) 00:15:57 ID:Pc8TSgts0
↑ここまで投下
能力カンケーない? (∩ ゚д゚)アーアー(ry
しかし、「じゃがいも 小さい」でググると……けっこう怖いなぁw
あたったこと無いけど。みなさんも要注意ですぞ!
108
:
名無しさん@避難中
:2012/10/15(月) 00:17:59 ID:Pc8TSgts0
あ、↑↑のは某所のネタを拾ったものです
109
:
名無しさん@避難中
:2012/10/15(月) 16:53:06 ID:hJeoJEjk0
ほのぼの系いいなぁ
ポトフか
個人的には蒸し野菜料理系大好き
110
:
名無しさん@避難中
:2012/10/15(月) 23:46:50 ID:z8a8fxPE0
おつおつ
平和っていいね
111
:
名無しさん@避難中
:2012/12/31(月) 01:37:11 ID:Nhe/lTPY0
晶「えっと・・・びゃ、白夜ちゃんは、大晦日はどうしているの?」
白夜「・・・はぁ? そんなものに何の意味があって?
いいこと、暦なんてものは、人間が勝手に定めた物に過ぎないの。
12月31日を境に世界が変わるわけでもなし、人間は自然を侮りすぎだわ」
晶「あっ……ゴ、ゴメンなさい(なんかメンドくさい!)」
白夜「でもいいわ、もしも貴方が大晦日に一抹の寂しさを覚えるなら……
除夜の鐘だの初詣だのの庶民的儀式に、つ、付き合ってあげても、別にいいけど」
晶(そんなこと言ってない言ってない、AA略)
晶(まあでもこういう振りが来るということは)
晶「そうなんだ! じゃあ白夜ちゃん、一緒に初詣行こ! 陽太のバカも連れてくから」
白夜「……あ、そう。うん……まあ、いいわ。別に」
晶(あ、なんか嬉しそう。良かった)
ラジオ聴けないけど期待してます
良いお年を!
112
:
名無しさん@避難中
:2013/06/09(日) 03:37:41 ID:51zhd76s0
意味もなく久々にage
113
:
名無しさん@避難中
:2013/06/09(日) 03:38:29 ID:51zhd76s0
ってageてなかったw
114
:
ヘ ノ
: ヘ ノ
ヘ ノ
115
:
ヘ ノ
: ヘ ノ
ヘ ノ
116
:
ヘ ノ
: ヘ ノ
ヘ ノ
117
:
名無しさん@避難中
:2014/04/10(木) 01:35:05 ID:/MEWnGUk0
ksks
118
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:00:51 ID:94qVXB4w0
新シリーズいきます
119
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:02:14 ID:94qVXB4w0
世界が変わったあの日(チェンジリング・デイ)から十余年……
瓦解した社会秩序の狭間に、1つのアウトローな“文化”が誕生した。
それは……
“ 異 能 力 バ ト ル ”
120
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:04:06 ID:94qVXB4w0
Changeling Day ─ 魔王編 ─
121
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:05:01 ID:94qVXB4w0
異世界に建てられた巨大闘技場「パンデモニウム」。
それは、世界中から集まった猛者達が賞金と名誉を懸けて日夜戦いを繰り広げる夢のステージ!
その試合ではあらゆる武器、技術、そして“能力”の使用もが許されるッ!
闘う意志さえあれば、国籍、年齢、地位問わず誰でも「パンデモニウム」の闘士として登録可能! この闘技場に言語の壁など存在しないッ!!
そして、出場者が試合で受けたいかなるダメージも、試合の後には何事も無かったかのように完治する事が保証されているッ!!!
122
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:07:31 ID:94qVXB4w0
「選手入場! 西サイドから姿を現したのは……
ドイツ生まれの黒魔術師、“RN(リングネーム):シュヴァルツシルト”!」
実況者の高らかな声と共に、スタジアムの一角に設けられた門が開き、
盛大に焚かれたスモークの中から、ベルトと鎖で飾られた服に身を包んだ金髪の男が姿を現した。
男は眉一つ動かさず、重力を無視してふわりと浮き上がり、スタジアムの中央付近へと滑るように移動した。
「対する東サイドは……
日本から来た熱き雷龍、“RN(リングネーム):ヘルカイト”!」
アナウンスに合わせて、先程とは反対側の門から別の男が入場した。
ぼろぼろのジーンズに、猛る龍が大きく描かれたタンクトップというワイルドな服装。
その顔には、これから始まる闘いへの楽しみを抑えきれない為か、不敵な笑みが浮かんでいた。
123
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:13:06 ID:94qVXB4w0
「パンデモニウム」では、試合が始まるまでの間に、誰にも危害を加えない範囲でのパフォーマンスの時間が与えられている。
ヘルカイトの掌の上に光が灯る。光は瞬く間に成長し、火花をまき散らす火球となった。
サッカーボール大にまで成長したそれを、ヘルカイトは手のスナップ動作を以って上に放り投げる。
火球は龍の如く長い尾を曳きながら真っ直ぐと空へと昇っていき、上空40m程の位置で爆発した。
強力なエネルギーが周囲の大気を揺るがし、雷のような轟音がスタジアム全体に響き渡った。
一瞬遅れて、観客席からの拍手と歓声が会場を満たす。
稲妻の花火に照らし出された異界の空は、見知らぬ星座で満たされ、今が真夜中である事を示していた。
124
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:14:48 ID:94qVXB4w0
「今回実現したこの試合は、『重力使い』と『電磁力使い』の夢の対決であります。
物理学を代表する2つの力、果たして勝つのはどちらか?
実況はこの私、“フェニックス”、そして解説は私の隣の“パイモン”がお送りして参ります!」
「はい、よろしくお願いします」
フェニックスの声に続いて、小さく柔らかい声が響いた。
ワンピースにフリルつきのカチューシャを着た可愛らしい子供がフェニックスの隣に座っていた。
125
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:17:15 ID:94qVXB4w0
実況席に座る2つの人影、そして観客席からの無数の目線からの注目を浴びながら、
二人の闘技者は同時に、スタジアム中央に設置されたステージの中へと入った。
「試合時間は1時間、相手を1分間以上の無抵抗状態にするか、
この一辺約50メートルのステージから追い出した者が勝者となります。
今回の試合では、床は石畳製、ステージの端は高さ1m程の鉄柵で取り囲まれています。
この地形は今回の闘いにどういった影響を及ぼすのでしょうか?」
両者の距離が20m程まで近づいた所で、両者は歩みを止めた。
試合が始まるまで、相手に危害を加えてはならず、“能力”も使ってはいけない(自動的に発動してしまうものは除く)ルールになっている。
126
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:19:14 ID:94qVXB4w0
ステージの中で発せられた能力は、ステージの周囲に張り巡らされた“結界”により外に漏れない。
さらにステージと観客席の間には充分な距離が設けられ、観客席の前面には厚い防弾ガラスが立ちはだかる。
これらの多重防護によって、観客は安全に試合を見守る事が可能となっている、という仕組みだ。
「悪いが、勝たせて貰うぜ」
ヘルカイトがファイティングポーズを取った。
「無理だな」
シュヴァルツシルトは冷淡に返す。
「それでは、Ready... Fight!!!」
.
127
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:22:53 ID:94qVXB4w0
試合開始の掛け声と同時に、シュヴァルツシルトは無造作に左腕を突き出した。
ヘルカイトは周囲の空気が重くなるのを感じた。
《グラール》 … 『重力を発する能力』
数秒遅れて、石畳が軋み始める。
見えない重力の網がヘルカイトを含む広範囲の空間を捉えていた。
「出ましたッ! シュヴァルツシルトの重力操作!
空間を支配するにも等しいこの能力、ヘルカイトに対抗手段はあるのかー?」
実況者、フェニックスはそう叫びながらも、このままでは終わらないだろうと確信していた。
“異能力バトル”はそんなに単純ではない。
そもそもあっけなく終わるようなマッチなど、最初から組む気はない。
「"Gravitationsbindung"
──このまま自重に潰され沈め」
シュヴァルツシルトは突き出した腕に力を込めると、重力はさらに増していった。
ヘルカイトの脚下の石畳が割れ、脚が沈み込む。
体全体に強力なGが掛かる。常人ならば意識はとっくに飛んでいてもおかしくはない異常重力。
128
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:25:19 ID:94qVXB4w0
が……
「なァにが、『重力』だ……」
シュヴァルツシルトは目を疑った。
「そんなモノ……
『自然界の四つの力』の中では最弱じゃねーか」
ヘルカイトの体がゆっくりと持ち上った。
まるで重力を無視するかのように。
「俺の……『電磁力』の……敵じゃねぇッ!」
ヘルカイトの体はついに宙へと浮いた。
その髪の毛は「怒髪天を衝く」という日本の諺そのままに帯電して逆立っている。
129
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:33:17 ID:94qVXB4w0
「これは、一体何が起こっているんでしょーか!?」
ヘルカイトの闘いぶりを何度も観てきたフェニックスも、何が起きているのかが分からなかった。
「分子間力…」
その隣で、パイモンは呟いた。
『悪魔的な知性を持つ』この解説者には、この現象が理解できていた。
「…『重力』『電磁力』なんて異なった名前がつけられているけれど、
ここが物理世界である以上、結局は『どちらにどれだけ動くか』に集約されます。
──それは、理論上、相殺が可能という事。
ヘルカイトは強力な磁場を作り出して自分の体を空中に固定しているのです。
シュヴァルツシルトの重力場を上回るパワーで」
「磁力にそんなパワーが?」
「可能です。意外に思えるかもしれないけれど……
電磁力の最小単位である光子1つ分のエネルギー量は、重力子のそれの100000000000000000000000000000000000000(10の38乗)倍と言われています。
地球1つの重力を覆すには、ちっぽけな磁石1つで充分。リニアモーターカーは、自由落下の終端速度よりも速く走る事ができる。
それが、この世のパワーバランスです」
「電磁力も馬鹿にならないというわけですね。
……しかしそれだと2つの力に挟まれてぺしゃんこに潰れてしまいませんか?」
「体全体を纏めて動かすならそうですが……
体を構成する分子を1つ1つ固定していれば、体組織の構造を維持したまま移動できるはずです。
分子間力も電磁力の一種だから、彼は生み出した電磁波にそれに近い働きをさせている」
130
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:36:40 ID:94qVXB4w0
「つーわけだ。聞いてたか?」
「ほう、単なる重力には屈さぬか」
宙に浮かびあがったヘルカイトの背中から、磁力線に沿って光の粒子が噴き出す。
観客席からはそれが白い竜の翼のように見えた。
「俺のターンだ」
《ドラゴンプラズマ》 … 『電磁力を発する能力』
ヘルカイトの光の翼から稲妻が放たれる。
秒速200kmのエネルギーの奔流がシュヴァルツシルトに襲いかかる。
しかし、その前にシュヴァルツシルトは素早く右手を自分の背に回し、杖を取り出していた。
突き出された杖の先端から空間の歪みが広がる。あたかも持ち主を守る盾のように。
131
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:39:09 ID:94qVXB4w0
歪んだ空間に接触した稲妻は四方へと散った。
「"Blitzableiter"
──私の優位は揺らがない。何故なら…」
逸れた稲妻はステージの周囲を覆う結界に当たり、バチバチと音を立てながら幻想的な模様を描いた。
「…地球上には障害が多すぎるからだ。電磁力が最も力を発揮できるのは真空中に限られる」
「これは……重力で空間を歪めて稲妻を逸らしたのか? 恐るべし“シュヴァルツシルト”!」
「いいえ、それではエネルギー効率が悪すぎます。彼の言葉から考えるに……
歪めているのは、空間よりもずっと操るのが簡単な大気圧です。
重力で空気の密度を操って、稲妻を誘導しているのでしょう。
空気は強力な絶縁体で、電流に対する影響は極めて大きいのです」
132
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:41:41 ID:94qVXB4w0
「やっぱり“Aランク”同士の戦いは凄ぇな」
「本当に1ヶ月であんなのを倒せるようになる気?」
激しい闘技に沸きあがる観客席の中に、日本人の少年少女3人の姿があった。服装はいたって普通。さながら友達同士で集まって観光旅行中、といった格好だ。
鞄類は何処かに預けてあるらしく、ほとんど手ぶらに近い。
「もちろん、倒してやるさ。夏休みは1ヶ月しかないんだからな」
手のひらから夏ミカンを生み出しつつ自信満々に答えたこの少年、名を岬陽太という。
『食べ物を生み出す能力』の持ち主。現在高校一年生。しかし、永遠の中二病だった。
133
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:44:13 ID:94qVXB4w0
「そして、訂正なさい。『倒せるようになる』のではなく、
私達は既に『倒せるだけの潜在能力を秘めている』。
後は闘いを通じて、それを開花させるだけ。そう心得なさい」
少年の後に続いて発言したのは朝宮遥。三人の中では一番おしゃれな、黒を基調としたゴスロリ風のドレスを着ている。
彼女は陽太の手から夏ミカンの皮を受け取ると、自分の付けていた髪留めにピタリと当てた。
『万物を合成する能力』。
夏ミカンの皮と髪留めは彼女の掌の中で融け合うように混ざり、芳しい柑橘類の香りを仄かに纏う金属製の髪飾りが誕生した。
134
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:46:37 ID:94qVXB4w0
「そう……なら、いいけど」
呆れたように答えたのは水野晶。ボーイッシュな格好をしているが、れっきとした女性だ。
彼女は自分の能力を見せるようなそぶりは無かった。使う気にならなかったからだ。
“能力”が当たり前になった世界では、能力を持っているというだけでは、大した自慢にもならない。彼女はそう考えていた。
しかし、彼女はこの2人の行く末を見守らなければならない義務のようなものを感じていた。
その理由は、ひと月ほど前に彼女達が見た、ある不吉な夢にあった……
135
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:48:42 ID:94qVXB4w0
「
わ は 魔王
創りし 世界
侵略する
ヶ月の後 軍団を従え
お前達 世 へと
それまで 己を鍛え がよい
楽し ように
るがよい
を 願って
」
136
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:49:36 ID:94qVXB4w0
Fortsetzung Folgt(続く)...
137
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:52:18 ID:94qVXB4w0
キャラクター紹介。
まずは新登場キャラから。
【シュヴァルツシルト(ユベル・ズィーベンシュテルン/Uebel Siebenstern)】
「パンデモニウム」闘士の一人。
劇中では「ドイツ生まれの魔術師」とアナウンスされている。
冷静な性格だが決断力は高く、静かに闘いを進める様が根強い人気を誇る。
物静かだが力強い語り口が特徴。
基本的に自分の肉体を信用しておらず、特に夜は移動にも脚ではなく能力を使用する。
*昼の能力
未登場。
*夜の能力
《グラール/Grarl》
【意識性】【具現型】
『重力を発する能力』
いわゆる重力操作能力。
自然界の四大相互作用の1つ、重力を自在に生み出して利用する事ができる。
発動し続けるほど出力が上昇していく特性がある。
138
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 21:54:41 ID:94qVXB4w0
【ヘルカイト(雨田 龍/Amada Toru)】
「パンデモニウム」闘士の一人。
劇中では「東洋から来た熱き雷龍」とアナウンスされている。
その能力と戦闘センスとテンションの高さから、彼の試合は常に盛り上がる展開を見せ、一流の闘士として人気を博している。
血の気の多い性格で、正義などという綺麗事は信頼せず己の道を行く、熱血漢タイプ。
闘技場に来る前の社会的地位は「社会のクズ」「ゴロツキ」といった類のものだったが、
本人のポテンシャルは高く、本人もそういう評価を下した社会の方がクズだと思っている。
*昼の能力
未登場
*夜の能力
《ドラゴンプラズマ》
【意識性】【具現型】
『電磁力を発する能力』
自然界の四大相互作用の1つ、電磁気力を自在に生み出して利用する事ができる。
空間にエネルギーを集中させ高温状態を作り出す。物体に強磁性を持たせ強引に操る。電磁気力を光の形態にしてレーザーを放つなど、使い方は多彩。
また、自分を構成する分子群を電磁力で固定し浮遊させる事により、異常重力の中でも平気で行動が可能。
敵が強ければ強いほど、出力(と本人のテンション)が上昇していく特性を持つ。
139
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:01:19 ID:94qVXB4w0
【フェニックス(デヴィン・フェニックス/Devin Phoenix)】
「パンデモニウム」運営局のメンバー。
20代の男性。能力を活かし救護班として在籍している。
「パンデモニウム」のルールの出場者の安全は絶対的に保証される、というくだりは概ね彼の能力に起因している。
また実況役も兼任。
*昼の能力
未登場
*夜の能力
《リカバーバック/Recover Back》
【意識性】【操作型】
触れた対象を以前に触れた時点の状態に巻き戻す能力。
記憶を含む全ての状態が触れた時点まで巻き戻される(対象が死んでいても生き返る)。
対象が完全消滅している等の場合、その対象が最期にあった場所に触れる事で発動可能。
140
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:04:26 ID:94qVXB4w0
【パイモン(グレゴリウス・デウィット/Gregorius DeWit)】
「パンデモニウム」運営局のメンバー。
能力を活かして解説役を務める。男の娘。
*昼の能力
未登場
*夜の能力
《カルテューヘルト/Cultuurheld》
【無意識性】【変身型】
『悪魔的な知性を備える能力』
観察力・思考力・記憶力などが極端に上昇し、大抵の事象は一目見ただけで何が起こっているかを把握できる。
いわゆる天才の極限型を体現する能力。
141
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:06:49 ID:94qVXB4w0
以下、他編からのシェアードキャラ
【月下(岬 陽太/Misaki Yota)】
自分を「この世の理に背く男」と信じてやまない永遠の中二病。
魔王編の時点では高校1年生(「月下の魔剣」編から約2年後)。
白夜、晶と共に夢の中で「魔王の予言」を聞き、魔王の侵攻に備えて己を鍛える為に闘技場「パンデモニウム」を訪れる。
*昼の能力
《万物創造(リイマジネーション)》
【意識性】【具現型】
過去に食べた事のある菓子・軽食などを自分の手の上に生み出す。
串や容器なども同時に作られる。
反動として、相応に空腹になる。すなわち脱水・栄養失調・餓死のリスクを伴う(質量保存則的なものなのかは不明)。
*夜の能力
《叛神罰当(ゴッドリベリオン)》
【意識性】【具現型】
過去に食べた事のある食べ物の食材を自分の手の上に生み出す。
やはり反動として相応に空腹になる。
142
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:08:41 ID:94qVXB4w0
【白夜(朝宮 遥/Asamiya Haruka)】
真っ黒なゴスロリ服を愛用する中二病少女。
陽太達とは二年前に妙な因縁で知り合った。
*昼の能力
《天導者の詩(エコーズオブフォールン)》
【意識性】【操作型】
『耳鳴りを発生させる能力』。
黒板を爪で引っ掻く音をさらに酷くしたようなノイズを、対象の聴覚に直接働きかけて聴かせる。
音量は使用者の意思である程度調整できる。
*夜の能力
《異形錬金(ヘレティックアルケミスト)》
【意識性】【操作型】
『万物を合成する能力』。
2つの物質を掛け合わせ、それぞれの特徴を併せ持つ別の物質を作り出す。
掛け合わせるもののどちらも有していない性質が付加されることはなく、
また完成品へのイメージが不完全だと得体のしれない物質が出来上がってしまうため、使用には注意を要する。
143
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:10:32 ID:94qVXB4w0
【水野 晶/Mizuno Akira】
ボーイッシュな性格・外見をした岬陽太の幼馴染。中二病ではない(重要)。ボクっ娘(超重要)。
魔王編の時点では高校2年生(「月下の魔剣」編から約2年後)。
陽太達と共にある不吉な夢(陽太達は「魔王の予言」と呼んでいる)を見てしまった事から、
陽太の見守りも兼ねて「パンデモニウム」への遠征にしぶしぶ同行する羽目になった。
*昼の能力
《動物読心》
【無意識性】【変身型】
『動物の心を視る能力』。
付近にいる動物の心は常に視えているが無視している。 また、集中することでより鮮明に心を視ることができる。
何故か人間の心は視ることができない。
*夜の能力
《伝心》
【意識性】【操作型】
『意思を伝える能力』
人間や動物に自分の意思を直接伝えるテレパス能力。
強い意思を示せば動物に命令し従わせる事も可能。
144
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:19:01 ID:94qVXB4w0
なお、今回は「パンデモニウム闘技場」という新たな物語の舞台が登場しています。
能力ものシェアワにこういうバトル空間があった方がいいかなと思って用意してみました。
以下に基本的設定を晒しておきます。
【「パンデモニウム」/The Pandemonium】
異空間に建てられた巨大な闘技場。
日々、異能力者バトルが催されている。
無国家的組織“ゴエティア”によって運営されており、いかなる他権力との癒着も受け付けていない。
異空間にあるため、一日が26時間(昼13時間、夜13時間)になっている(昼夜の切り替わるタイミングが違うだけで時間の流れる速度は同じ)。
各所に設けられたゲートで現実世界の各国と繋がっており、タイミングを選べば時差ゼロで移動可能。
パンデモニウムにいる限り、試合参加者の安全は絶対的に保証される。
試合内で受けたいかなるダメージも試合後に完璧に治療され、試合外で深刻な怪我等を負った場合も試合直前に治してくれる。
たとえ死んでも生き返らせられる。(ただし、この治療を受けた場合、記憶も一緒に巻き戻される。)
能力による攻撃の被害を防ぐため、能力を通さない不可視不可触のバリアが各所に張られている。
もちろん試合が行われるステージの周囲にもバリアは張られている。
特に運営に関わる重要区域には部屋毎にバリアが存在する。
闘技場の中には、試合場の他にも宿泊施設・商店街・娯楽施設などが存在し、長期間の滞在も可能。
闘技場では一般に、運営局の1人が作り出した共通言語「バベル語」が使用される。
「バベル語」は誰にでも直感的に意味が分かる特性を持つ。
このため闘技場内では言語の壁は存在せず、自由にコミュニケーションが可能。
145
:
◆VECeno..Ww
:2014/08/31(日) 22:20:44 ID:94qVXB4w0
投下終了!
次回もお楽しみに!
146
:
名無しさん@避難中
:2014/09/01(月) 01:46:49 ID:ViFu/cQ20
新作きたこれ! 乙です!
147
:
【魔王編】
◆VECeno..Ww
:2014/11/25(火) 00:08:30 ID:VDKCBDh.0
岬陽太は不気味な空間にいた。
数百体の怪物を中に閉じ込めたまま固まった氷の床。
黒い刺だらけの有機質の壁にとりつけられた、亡霊のように青く光る電燈。
洞窟めいた砂岩質の天井には、巨大な何かの足跡が遺されていた。
奥からはこの世の物とは思えない、おどろおどろしくも幻想的な音楽が響いていた。
陽太は音のする方へ、一歩一歩、足元を確かめながら歩いていた。
その手には彼の能力《リイマジネーション》で創り出された、長さ1メートル程の巨大な焼き串が握られていた。
中東の料理シシュケバブは、彼が生み出せる「食べ物」の中では最も強靭な武器を伴う代物だった。
「大丈夫。俺は死なない」
陽太は自分を励ますように心の中で呟いた。
心臓が強く脈打っていた。
大気は塩気と甘味を含んでべたつき、ぞっとするような不穏な気配で満たされていた。
148
:
【魔王編】
◆VECeno..Ww
:2014/11/25(火) 00:11:06 ID:VDKCBDh.0
先へ進むとやがて視界が開け、壮麗なホールが陽太を包み込んだ。
足元には黄金の草原が広がり、春の花の香りが来訪者を迎えた。
外周を水晶、琥珀、青銅、玉髄、硫黄、トルコ石……各々異なる素材で作られた20本余りの玲瓏な柱がぐるりと取り囲んでいた。
頭の遥か上を幾つもの惑星や恒星が禍々しい光を放ちながら静かに周回していた。天井は高く、蒼黒く霞んで一番上まで見通す事はできなかった。
そのホールの中央、一段高くなっている円形の舞台に設置された巨大なオルガンじみた器械が、
その頂点に取りつけられた風車をゆっくりと回転させながら、先ほどから続いている魔界の組曲を吐き出していた。
不意に、音楽が止んだ。
オルガンのふもとに1つの椅子があった。
そこに1つの人影が座っていた。
その人物は、たった今まで人知を超えた楽器を奏でていたその両の手をオルガンの鍵盤から離すと、立ち上がって陽太の方を向いた。
その存在感に、陽太の意識から、このホール全体の風景が一瞬で押し退けられた。
不滅の輝きを帯びたプラチナブロンドの長い髪。
水銀色の銀河がきらびやかな文様を描く黒檀色のドレス。
精巧に作られた人形のごとき悪魔的美貌。
彼女(そう、それは女性に見えた)が口を開くと共に、響き渡る格調高い声が空間全体を満たした。
149
:
【魔王編】
◆VECeno..Ww
:2014/11/25(火) 00:13:01 ID:VDKCBDh.0
「わらわはS.ハルトシュラー。
世界を創りし者達の世界に在る魔王である」
「魔王だって?」
魔王。その言葉は、陽太が彼女に対して抱いた印象を的確に表していた。
世界の深淵に隠された不可思議な宮殿の主。強大で冒涜的な力を持つ強大な神性。
陽太の言葉を無視して魔王は続けた。
「わらわは、お前達の世界を侵略する事にした。
次なる秋、わらわは恐るべき軍団を従え、
お前達の世界へと現れるだろう」
陽太の心臓は高鳴った。
世界を作りし者? 侵略?
この世界に何が起ころうとしている?
150
:
【魔王編】
◆VECeno..Ww
:2014/11/25(火) 00:15:26 ID:VDKCBDh.0
「で、そのお偉い魔王サマが俺に何の用だ?」
陽太は手に持った焼き串……もとい聖剣シークカバーブを魔王に向けながら言った。
魔王は自分に向けられたそれを、まるで何の興味もないかのように、ただ見た。
宇宙のように深く冷たい瞳で。
「わらわは知らせに来ただけだ。小さな勇者よ」
「俺が勇者に選ばれたって事か?」
魔王直々に出向いて来るとは、なんてふざけた態度だ。と陽太は思った。
なぜ自分が勇者に選ばれたのかという疑問は抱かなかったのは如何にも彼らしかった。
「“月下”、──神の理に叛く者とやらよ。
しかしその力がわらわの前でどれほどの役に立つと思うか?」
魔王の言葉と共に、陽太の武器は砕け散り、無数の熱い火花へと変わって弾けた。
陽太は驚いて火花を振り払った。右手を酷く火傷した事が感覚で分かった。
火花は線香花火のように宙を舞って消えた。
151
:
【魔王編】
◆VECeno..Ww
:2014/11/25(火) 00:17:27 ID:VDKCBDh.0
「次にわらわと相見えるまでに、
せいぜい己を鍛えておくがよい」
魔王は踵を返すと、火傷の痛みに手を押さえる陽太を尻目に、後ろへ去っていった。
「待て!」
陽太は叫んだ。
魔王の後を追いかけようとしたが、体が動かなかった。
足元はいつの間にか悪臭を放つ沼地へと変わり、柔らかい泥と腐った植物の蔓が両脚を捉えていた。
「せいぜいわらわの楽しみとなれるよう…」
閉幕
陽太の視界を黒いカーテンが遮った。
「…さもなくば祈るがよい。お前達の世界に、
わらわを止められる者がいる事を願って」
真っ暗な闇の中、魔王の言葉の響きと火傷の疼きのみが残った。
152
:
【魔王編】
◆VECeno..Ww
:2014/11/25(火) 00:19:17 ID:VDKCBDh.0
Fortsetzung Folgt...
153
:
名無しさん@避難中
:2014/11/25(火) 00:34:16 ID:nmrEOH9M0
圧倒的存在感の魔王様かっこいい…
6周年クロス乙です
154
:
名無しさん@避難中
:2014/11/25(火) 01:49:01 ID:w6MtYXwo0
焼き串www
いや、ケバブは美味いよ! マジで!
155
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:47:36 ID:kE6z4aJo0
「ふむ……似た夢を3人同時に見るとは、確かに不思議な出来事だね」
比留間博士は陽太達の話を聞き終えると、ソファに座りながら考え込んだ。
岬陽太、水野晶、朝宮遥。3人が(それぞれ細部は違えど)同じ内容の夢を同じ日に見たという。
ハルトシュラーと名乗る魔王が現れ、数ヶ月後に侵攻してくるという話を告げる夢。
そこで3人は手掛かりを掴む為に、比留間博士の能力研究所を訪れたのだった。
幸運な事に、比留間博士はたまたま研究所にいて、直々に面会の時間を設けてくれた。
「博士、隠していないかしら? 何か重大な事を」
遥は、研究所から3人に振る舞われたレモネードのような飲み物を一口飲んだ後、
いつものように独特なリズム感で博士に訪ねた。
「いや、何も無いよ。君達に関連しそうな事は。
“ハルトシュラー”という名前も聞いた事が無い」
156
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:48:21 ID:kE6z4aJo0
「夢を操る能力とか、そういうのは考えられませんか?」
晶は至極真っ当な推理をした。
「考えられなくもない。でも心当たりはないな。そういう人物には……」
「気が抜けた回答ね。この飲み物みたいに」
遥は飲み物のグラスを揺らして弄びながら言った。
確かに、陽太も自分の分を飲んでみたが、炭酸は入っているものの、微炭酸よりもさらに弱い、ぼんやりとした味だった。
数種類の果汁の配合、そして隠し味の塩味は中々良い線を行っているとは思えるのだが、
「そうか、美味しくないか。
実験を兼ねて作った飲み物だったが、失敗だったかな」
博士は苦笑いしながら答えた。
「実験?」
「大した事はないよ。創作料理だ。君達の健康にも害はないだろう…
157
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:49:48 ID:kE6z4aJo0
…さて、どこまで話したかな?」
「夢を操る能力者」
「そう、僕の手持ちのデータ上では、そういう能力を持つ者は、この町には1人もいないはずだ。
一番近い働きをするのが、水野君の『伝心』かな…」
博士は晶の方を見やる。
「…寝ている相手にテレパシーを送れば、夢に干渉できる可能性はある。
でも、水野君がそういう夢を見せる動機はあると思うかい?」
「ないな……」
陽太は考えた。
仮に水野晶が自分に隠し事をしているとしたら、自分と一緒にこの研究所まで足を運ぶか?
能力研究のエキスパートに自分のトリックが見破られる危険を冒して?
「というわけで、この件は何か未知の要素が絡んでいると僕は考える。
事態が進展するまで、あまり口外はしない方がいいだろう」
、
偶然の一致で片づけようとしても、恐らくこの子達は納得しないだろう。
と、比留間博士は思った。
158
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:50:46 ID:kE6z4aJo0
「博士でも分からないか……これはいよいよ大ごとになってきたな」
陽太は真剣な口調で言った。
発想が常に“中二病”な方向へ飛躍する、それが陽太だった。
そして遥がそれに乗る。あるいはその逆、お決まりのパターンだ。
「次の秋、ね。それまでに私達が為すべき事は?」
「決まってんじゃん。レベルアップだ。
博士、能力に詳しいんだろ。俺達の能力を強化する方法は無いか?」
「陽太やめなさいよ、タメ口になってるわよ」
陽太の口調に突っ込みを入れたのは晶だった。
彼女はこの3人の歯止め役にあたるのだろう、と比留間博士は思った。
「いいよいいよ。僕は口調くらいで機嫌を損ねる人間じゃない」
礼儀の問題で言い争うなど会話の中では一番無意味なものだ。
というのが博士の持論だった。
159
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:54:52 ID:kE6z4aJo0
「一般論としては、【意識性】の能力については、集中力を鍛える事で能力の質を高める、というものが挙げられる。
集中しすぎると予想外の事態に咄嗟に反応しづらくなるデメリットもあるが……
いつでも高いレベルで『集中できる』訓練を積んでおく事は損ではない。
海外の“能力者”部隊でも実際に採用されている訓練だ」
陽太と遥は博士の話を熱心に聞いている。
晶は持ってきたノートにメモを取っている。まるで授業のような光景だ。
「あとは、工夫によって応用力を高める事もできる。
例えば陽太君の食べ物を生み出す能力は、応用の幅が非常に広い。
闘うなら、武器として使える食べ物もあるだろう」
「トウガラシとか?」
「そうだ。トウガラシの成分カプサイシンは、催涙ガスに使われる危険な物質でもある。
フリーズドライの食材を使った料理を食べていたら、凍った食材を生み出せるかもしれない。
そういう食べ物を覚えていって、状況に応じて使い分けるといい。
必要なら応用できるような料理を新しく作ってもいい」
「なるほどね」
その発想は無かった、と晶はつい無意識に手を打ってしまった。
陽太の昼の能力の場合は、基本的に食べた時の状態でジャンクフードが出てくる事は知っていた。
しかし夜の方の「食材」は、いつの時点での状態なのかが不明だった。ひょっとしたら自由に調整できるのかもしれない。
160
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:57:00 ID:kE6z4aJo0
「もっとも、僕の話は理論的なものだから、そのままでは実践に応用しづらいかもしれない。
また、正確な理論を得るには、能力についての情報をできるだけ多く得る必要がある」
「ここには、訓練場はないのかしら?
実戦経験を積める、地獄のような練習場は」
遥が口を挟んだ。
「何しろ、ここは研究所だからね。秘密基地じゃない」
「私にとっては大差ないわ。秘密基地も、研究所も」
遥の発言はいつも通り半分以上意味が分からない。
思考回路が陽太よりも一層飛び抜けている。
と、晶が呆れていると──
161
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 14:59:42 ID:kE6z4aJo0
「ある」
その声は、その場にいた4人の誰が発した物でも無かった。
3人は身構えた。比留間博士も一瞬反応したが、すぐにソファに腰を落ち着けなおした。
「君か」
「悪い悪い、話を聞かせて貰っていた」
陽太達は博士の目線の先を見た。
応接室の中に、いつの間にか女性の姿があった。
地味な柄のスウェットに小洒落たキャミソール、足元は靴下で、靴を履いていない。
軽くウェーブしたブラウンの髪。現代的なノンフレームの眼鏡。
「紹介しよう。彼女は」
「紹介しなくていい。私は比留間博士の友人でね。
“サイファー”とでも呼んで貰おう。本名は秘密だ」
博士の言葉を遮って、女性は紹介になっていない自己紹介をした。
「そう友人だ。そして凄腕の情報屋でもある」
比留間博士は付け加えた。
162
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:01:56 ID:kE6z4aJo0
そりゃ、凄腕だろう。
晶は思った。
音どころか気配一つなく、まるで最初からそこにいたかのように、彼女はこの部屋に出現していた。
部屋の入り口近くに置いてあった水槽の魚ですら、彼女が部屋に入ってきた事に気付かなかった事を、晶の能力《動物読心》は告げていた。
「能力者か?」
陽太はまだ身構えていた。
「そう身構えなくてもいい。
『何処にでも存在し、かつ、何処にも存在しない能力』──
ここに私の実体はない。君達に害を加える事もない」
「うふ。素敵な、趣味の悪い能力ね」
遥は微笑みながら言った。
「褒め言葉と受け取っておく」
サイファーは意地の悪い笑みを浮かべた。
163
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:03:11 ID:kE6z4aJo0
「本題に入ろう。
丁度、君達のレベルアップに都合のいい場所がある」
「都合のいい場所?」
「“パンデモニウム”を知っているか?」
一時、その場が静かになった。
遥は周囲を一瞥すると、ゆっくりと答えた。
「万魔殿、地獄の都ね。天界を追放されし天使ルシファーが築いた、地の底の城」
こういう知識は遥の得意分野だった。
「そうだ。もっともその話はジョン・ミルトンの創作だが……
近年、その名を関した闘技場が作られたようでな」
「闘技場?」
「コロシアムだ。武器・能力の使用を含め、何でもアリの決闘を行う。
観客はそれを観て楽しむ。あるいは誰が勝つか賭ける。
そういう施設だ」
「危険そうな所ね」
遥は楽しそうに言った。
「この国の法律に照らし合わせれば完全な違法だ。
ただし、運営に治癒系の能力者がいて、闘技者の身の安全は保障される。
すなわち、いくら死んでもやり直せる」
164
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:05:12 ID:kE6z4aJo0
「どこにあるんだ? それは」
「『何処にも無い場所』だな。この世界とは違う空間に属している。
私の能力では侵入できない」
「行き方は?」
「全世界の13ヶ所に存在する“ポータル”から入る事ができる。
その場所なら全て把握している」
「そうか、教えてくれ。早速行こう」
「待ちなさい」
早まる陽太を晶が制止する。
165
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:06:22 ID:kE6z4aJo0
「何で?」
「学校の授業とかどうするの? 日帰りできるような場所じゃないでしょ?」
「そうだ。パンデモニウムは“精神と時の部屋”ではない。
時間の経過速度は地球上と変わりないと聞いている。
一番近いポータルが大阪だから、修業は泊りがけの旅行になる」
「むむ…」
陽太は唸ってしまった。今は6月。1ヶ月半後の夏休みまで連休はない。
「学生として生きるのも、大変ね」
遥はクスッと笑った。そしてサイファーの方に向き直る。
「さて、“サイファー”さん。
貴方の望みは何かしら?」
「望み?」
「そう。私達に情報を教えた見返りに、貴方は私達に何を望むのかしら?」
166
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:07:49 ID:kE6z4aJo0
「情報だ。私は君達にパンデモニウムまでの行き方を教える。
君達には修業がてら、闘技場にいる能力者達の情報をレポートしてきて欲しい」
「情報交換、というわけか」
サイファー自身はパンデモニウムに行く事ができない、という話を陽太は思い起こしながら言った。
「その通りだ。それと、私の存在をパンデモニウムの誰にも明かさない事。
この条件で請けてくれるか?」
サイファーは陽太と目を合わせた。
「いいぜ。その代わり……」
「その代わり?」
「夏休みの宿題を代わりにやっといてくれ」
「いいだろう」
「呆れた……」
サイファーの代わりに、晶が嘆息した。
167
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:08:31 ID:kE6z4aJo0
夏休みを利用して闘技場で修業し、秋に来たる魔王を迎え撃つ。
かくして1ヶ月余後、陽太達は慎重に練った計画の上、パンデモニウムを訪れる事になる──
168
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:09:43 ID:kE6z4aJo0
Fortsetzung Folgt...
169
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:11:05 ID:kE6z4aJo0
登場人物
【比留間 慎也/Hiruma Shin-ya】
世界的に有名な“能力”研究の第一人者。ICSU(国際科学会議)に所属。
“能力”に関する膨大なデータを掌握しており、人間関係は幅広い。
研究所の1つが陽太達のいる町に存在する。
陽太達とは数年前の一件もあって因縁の仲である。
黒の短髪で、白衣がトレードマーク。
性格は天才肌で自信過剰気味だが、親切な一面も。
一人称は「僕」。
*昼の能力
《極夜》
【意識性】 【力場型】
周囲を「夜」にする能力。
“能力”を発動することで周囲の者は本来の時間帯の“能力”が使えなくなり、対応する時間帯の“能力”が使えるようになる。(体内時計をセットし直す効果もある)
効果範囲は最大で半径20m程度で、ある程度の調整が可能。任意のタイミングで解除することが可能。
「周囲」なので自分自身は影響を受けない。本来の時間帯で日の入りが起こると解除される。
*夜の能力
《白夜》
【意識性】 【力場型】
周囲を「昼」にする能力。
“能力”を発動することで周囲の者は本来の時間帯の“能力”が使えなくなり、対応する時間帯の“能力”が使えるようになる。(体内時計をセットし直す効果もある)
効果範囲は最大で半径20m程度で、ある程度の調整が可能。任意のタイミングで解除することが可能。
「周囲」なので自分自身は影響を受けない。本来の時間帯で日の出が起こると解除される。
170
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:12:18 ID:kE6z4aJo0
【サイファー(物集女 黎曖/Modzume Reia)】
比留間慎也博士の友人と名乗る女性。素性は現在の所不明。
現代的な服を好み、縁無しの眼鏡がトレードマーク。
博士曰く「凄腕の情報屋でもある」。
*昼の能力
《ユビキタス》
【無意識性】【変身型】
『何処にでも存在し、かつ、何処にも存在しない能力』。
実体を失う代わりに、あらゆる場所に出没する事が出来る。
昼の間は一切の物に触れる事が出来ず(周囲の様子は分かる)、
人間や知性ある生命体にのみ、極めてリアルな幻覚・幻聴としてコンタクト可能。
夜と定義されている領域に出現した場合、実体が現れて夜の能力に切り替わる。
能力により作られた亜空間等は「何処でも無い場所」と判定されるらしく、進入不可能。
*夜の能力
未登場
171
:
◆VECeno..Ww
:2014/12/31(水) 15:16:29 ID:kE6z4aJo0
追記:
あ、推敲ミスにより初回と2回目で魔王の預言の文面がちょっと違っちゃってます。
「次なる秋」の方が一応正式という事でおながいします。
あと今回【魔王編】って名前に入れ忘れたw
172
:
名無しさん@避難中
:2015/01/04(日) 22:00:06 ID:Lwo7H/9Q0
乙!
宿題www
173
:
名無しさん@避難中
:2015/12/26(土) 00:03:53 ID:z7rpJDvs0
http://dl6.getuploader.com/g/6%7Csousaku/901/minedaikon.jpg
174
:
名無しさん@避難中
:2015/12/26(土) 01:40:45 ID:MPCgII.k0
大根! 大根じゃないか!!
175
:
名無しさん@避難中
:2015/12/28(月) 01:14:26 ID:z2dcU/v.0
>>173
みねこサンタかわいい
さっそく保存したw
176
:
名無しさん@避難中
:2016/02/06(土) 19:03:09 ID:54kHb6F60
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org727517.png
177
:
名無しさん@避難中
:2016/02/06(土) 21:40:48 ID:KY8Qvz4g0
そんな格好をいったい誰に見せるというのか!!
178
:
名無しさん@避難中
:2016/06/29(水) 18:22:42 ID:Q02b.l4k0
ksks
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