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みんなで世界を作るスレin避難所2つめ

732白狐と青年「相聞歌」 ◆mGG62PYCNk:2011/12/22(木) 22:47:11 ID:4ssjZwL.0
 しばらく目を合わせていると、匠が僅かに目を逸らし、
「だから、その……なんだ」
 そう口の中で呟き、手遊びのようにクズハの頭を二、三度軽く叩いて、
「どこにも行くな。少なくとも今は。……できれば、これからも」
「え……?」
 都合よく受け取ってしまいたくなる言葉に対して、クズハはとりあえず、という形で疑問の言葉を発した。
 匠はクズハに言葉の意味が通らなかったと思ったのか、言葉を探すように眉を寄せ、
「だからだな。この一連の事件が全て収まるまでは……できればその後もずっと俺の傍に居てくれってことだ。
クズハが良ければなんてもう言わない。俺の為に居てくれと、そう頼みたいんだ」
「え……な、なんで……?」
 心の方は匠の今の言葉に頷いている。しかし匠の傍にいる資格が自分には無いとクズハは思う。
故に、クズハは心を押し殺して、自らに対する否定の言葉を口にした。
「お役に立てませんよ? いえ、そればかりか迷惑ばかりかけてしまっています……今だって、ほら」
 そう言ってクズハは周囲を示す。そこにはつい先ほどまで争いを起こしかけていた人々の姿がある。クズハの軽率な行動の結果だ。
 それらを見て匠は頷き、
「人付き合いなんてこんなもんだ。俺だってクズハに迷惑も心配もかけてる。それと、この件については気にするな。悪いのはクズハじゃない」
 匠はそれに、と言葉を続ける。
「クズハの料理は美味い」
「……?」
 意味を受け取りかねてクズハは首を傾げた。その反応に怯んだように匠は一瞬目を泳がせ、
「あー……クズハの飯がずっと食べたいとか、そんな感じで、だな……」
 尚も視線を彷徨わせながらつらつらと言葉を並べる匠の背後から、彰彦が声をかける。
「しまらねえなぁ。いいからもうストレートに言えよ馬鹿」
 言われた匠は困った風に頭を掻き、改めてクズハを見据えた。
 一つ咳払いをして、
「クズハ、お前が好きだ。離れたくない。ずっと傍に居てくれないか?」


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