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みんなで世界を作るスレin避難所2つめ

222甘味処繁盛記 感謝編:2010/07/13(火) 19:14:45 ID:LcoC8npo0
か細い声であった。
元の活力精力を取り戻した桃太郎にあるまじき、小さな声音。
もう一度、桃太郎が真達羅たちが横たわっているのを確認して、

「あいつらとはもう、家族みたいなもんだから、だ」

照れを隠せずこう言った。

「……そうか」
「なに笑ってやがる」
「お前のそういう表情は、始めて見るな」
「恥ずかしがり屋なんだよ」
「厚顔のくせによく言う」

桃太郎が笑う。
門谷も笑った。

さて、存在感が二つ、増す気配。
見やれば真達羅と摩虎羅が人の身に化けていた。
怪鳥の本性、妖猿の正体と比べて随分と縮んだが、しかし分かる。
疲労困憊してた先程よりも圧倒的に元気になっている事が。

桃太郎が作る果実は異形にとって極上の栄養だ。
異形そのものを果実に変えているに等しいのだから当然と言えば当然なのだが、
桃太郎以外の異形が摂取しても問題ない。

この性質を利用し、かつて瀕死の真達羅たちを、自分を後回しにして完全に回復せしめている。
これもまた真達羅たちが桃太郎を慕う理由の一つだろう。

三騎がそろって桃太郎の後ろに控えた。
桃太郎の頭が下がる。
同じく、三騎も。

「最後に迷惑をかけた。そして、……俺の命を助けてくれて感謝する」
「最後……?」
「和泉に来たのはな、割りと体力がカツカツだったからなんだよ。それもさっき戻った」
「……つまり」
「また旅に戻るさ」
「……行く先は」
「さて、な。言ったろ、真達羅たちは最初転々としてたって。それと同じさ」
「何? 待て、それじゃあ、お前ら、異形だから、旅してるってのか」
「そうだ」
「なぜだ?」
「異形だから、だ」
「そうじゃねぇ。なぜ京に留まってない」
「……いろいろあってな。真達羅たちの仲間に龍がいる。こいつが二次掃討作戦中に暴走してな、俺が封印はしたがいずらくなっちまったんだ。留まっているのは封印を見ている虎だけだ」
「……なぜ、和泉に留まらねぇ」
「異形だから、だ」
「理由にならねぇ。おい、なぜ俺がお前を助けたか分かるか?」
「番兵だから、だろう」
「そうだ。番兵だからだ。番兵は誰を守るか、分かるか?」
「……身内だ」
「つまりお前らは、もう身内だっつってんだよ」

桃太郎が、目を閉じる。
三騎は口を挟まない。


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