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獣人総合スレ 避難所
434
:
太陽とケモノ
◆TC02kfS2Q2
:2010/05/10(月) 22:10:17 ID:hvdRUvLI0
電車は間もなく目的地である駅へと到着する兆しをみせる。時間は午前11時半すぎ。
重いモーターの音とはしばしのお別れ。ハンドルを握る運転者が、慌しく運転席の窓を開くと古い設備を操作して扉を開ける。
「狗尾ー、狗尾ー。狗尾高校前ー。電車とホームに隙間がございます。降りる際にはご注意ください」
あっ。
「ぼく、ここで降りますっ」
席を立って扉の前にぼくが立つと、泊瀬谷先生がぼくに隠れるように側に立っていた。
緩いカーブの上に建つホーム。泊瀬谷先生は無邪気に電車とホームの隙間を跳ねる。
そこまでして跳ぶ隙間ではないが、アナウンスに素直な先生の後姿が初々しい。
狗尾駅のホームは、二つに並んだ線路の間に浮かぶ。こせん橋は無く、駅構内の踏切で線路を渡って改札口に向かう古いタイプの駅だった。
駅から伸びる草にまみれた線路は、再び一つにまとまり、知らない遠くの街へと繋がっていた。
ぼくらが乗ってきた電車が駅を出る寸前、構内の踏切が警報音を巻き散らせて、ぼくらの歩みをさえぎる。
「寄り道しちゃった……。いいよね?」
「……はい」
早くここから歩き出したいのに、意図せぬ足止めが泊瀬谷先生を意地悪くくすぐる。
駅から出ると潮風が心地よい、海岸沿いの道に当たる。
見ていて気付いたのだが、泊瀬谷先生は初めてここに来たような感じではない。
すいすいと足取り軽く、目的地である狗尾高へと吸い込まれそうな勢いだった。
パンプスの音がいつもより軽く聞こえる。ぼくは黙って泊瀬谷先生の後を追った。
「先生の住んでいた町もこんな感じだったんだよ」
「そうなんですか」
「うん。懐かしいな……。まだ、あのタバコ屋さんあったんだ」
駅で降りるとき「寄り道しちゃった」と言っていた。暮らしていた町ではないけれど、どこか先生にとっては思い出深い町なのには違いない。
もしかして、これから向かう狗尾高と関係があるのかもしれないが、あまり深い詮索はよろしくない。
休日の昼前。人通りはぼくら以外にいない。
「ヒカルくーん。着いたよ!」
泊瀬谷先生が手を振って居る場所は、狗尾高の正門でも通用門でもない。海岸近くの細い道を歩く。遠くには漁協の建物。
グランドの脇を通る細い路地。確かに狗尾高の側にいるのだが、金網のフェンスがぼくらをさえぎる。
しかし、学園の息吹は予期せぬ来訪者であるぼくらに確かに届いていた。
「本当だ」
「うん。わたしが初めて来たときとちっとも変わってないね」
グラウンドでは、野球部員たちが海風と砂埃にまみれて練習に明け暮れていた。
金網越しに彼らを見ると、本当だ。イヌ、イヌ、イヌ……。
誰も彼もぼくと同じイヌの男子生徒ばかり目に付く。白球追う彼らの姿は、ぼくら「ケモノ」ではなく、野性に返った「獣」のよう。
ただ、尻尾の動きは「ケモノ」のときを忘れていない。純粋に、純粋に、そして純粋に。
本当に愚直とも揶揄できるぐらいに、彼らは一握りのボール目掛けて走っていた。
愚直も過ぎると美しく見える。汚れがない分に本能のまま、競技の魂に導かれる分、混じりけがないスピリッツ。
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