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男「異世界でも戦争とは醜いものだな」
1
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/19(土) 01:22:13 ID:LIrZGc4k
・思い付き更新
・書き溜めなし
・不定期
・出戻り
自分の創作意欲のはけ口なので、良作は期待しないで頂きたひ。
6
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/02/19(土) 12:36:42 ID:HIgVZmm.
句読点の使い方が独特やけど内容は期待してるで乙
7
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/19(土) 22:34:40 ID:LIrZGc4k
句読点は脳内変換してくれると助かる。
出来るだけ・・・で統一するように気を付けるが、勢いで書くと。。。とか現れるのでよろしく、、、←
8
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/20(日) 01:13:22 ID:jZ/Ro86c
調査団は兵士大隊(500〜600人)と、50人程の研究者で構成されていて、俺はその中の小隊に属している。
まあ、殆どが国の衛兵や軍人で、傭兵で参加しているのは少ないだろう。
男「よっ、さっきはすまないな。今日はどこへ向かうんだ?」
女軍人「今日は、龍の遺跡よ。500年前に絶滅した古龍のコロニーがあった場所へ行くわ。」
男「なるほどね。確か今は、魔王が復活させた龍しか居ないんだったっけ?」
女軍人「ええ。今現在炎、氷、地、天、闇の5体だけしか存在していないと結論付けられてるわ。その個体たちも封印、もしくは討伐されてるけどね」
龍。ドラゴンとはまた別の存在。ドラゴンと比べ、大きさ、速さ、パワー、どれをとっても数段の上位互換といえる。
並みのドラゴンであれば、A等級冒険者や兵士がいれば10人とかからず倒すことができるだろう。
9
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/20(日) 01:21:50 ID:jZ/Ro86c
しかし、龍であれば、そうは行かない。昔から龍は、自然災害の一種として捉えられてきた。
古文書には、龍によって滅ぼされた国が多くあると記されている。
現に前の大戦で、劣化版古龍とも謳われた龍相手に、7万を超える死者を出した。
硬い鱗は剣を通さず、鋭い爪と牙は人肉を切り裂いた。さらには魔法まで使えるー・・・
そんなチートみたいな奴が龍だ。俺も前世ではファンタジーとして憧れはしたが、いざ実物が居るとなると認識の甘さを実感した。
まあ、そんなチート野郎を5体も復活させたってんだから魔王ってやつも相当やばいよな。
女軍人「第3小隊!これより危険区域へ入る!総員注意を怠るな!!」ザッ
・・・どうやら目的の土地は近いようだな。
10
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/20(日) 01:46:26 ID:jZ/Ro86c
亀裂の入った岩のような、大きな山。まさに龍が出る山、って感じだ。
どこからか、ごおぅ、と爆音のような風の音が聞こえている。
足元には枯れ葉が落ちていて、踏むたびにザクッと心地よい音がする。
前世でも踏んだ、秋の始まりの音・・・しかし、そんな楽観的な気持ちになれないのは、この異様な空気を放つ山のせいだろうか。
男「・・・なんか臭くね?・・・いや臭いな・・・硫黄・・・え、臭くね・・・」
女軍人「硫黄の濃度が高いようだな」
男「・・・温泉でもあるのか?」
女軍人「・・・さあな。油断はするなよ」ザッザッ
11
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/20(日) 01:57:52 ID:jZ/Ro86c
この世界も惑星の形成のされ方は同じらしい。地下にはマントルがあり、常に動いている。
地震もあるし、噴火だってする。つまり温泉だってあるわけで、化学言語はこちらでも通用するらしい。
一つ大きな違いがあるとするなら、『魔力』の存在だ。自然の理に反する力。これのおかげで、様々な種が多様化したし、同時に争いを生んでいる。
普通の人間は魔力を少量しか持っておらず、大規模な魔法が使えるのは冒険者や魔導士になる。
転生やったぜポイントではあるのだが、如何せん魔力による差別もある。今の社会は貴族社会。かなり身分格差が酷く、貧富の差が激しい。
ちなみにこの小隊を率いているそこの女軍人。こいつは良い所の貴族の出で、なかなかにエリートだ。
三女らしく、こんな前線へ来ては居るが、貴族は貴族。高いプライドと上品さはある。
正直、苦手なタイプだ。
12
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/02/20(日) 02:11:23 ID:jZ/Ro86c
とかなんとか考えていたら、どうやら調査地点についたみたいだな。これから学者と兵士で小隊を組み、それぞれ散開して調査を進める。
何かあれば魔導士が念話もしくは魔法で情報の伝達を行うらしい。なかなかに便利だよな。
魔力は自然にも大量に存在していて、一説によると高濃度の魔力があるところでは強い魔物が生成されるらしい。
女軍人「私たちの小隊は、渓谷近くまで行くぞ!」
どうやら山の裂け目は大きな渓谷となっているらしい。勘弁してくれ、俺は高所恐怖症だ。
背筋がゾクッとした・・・なんだか嫌な予感がする。
女軍人「何をやっている、男!早く来い!置いていくぞ!!」
へいへい、と呟いて付いていく。小隊のメンツはどんどん奥へ入っていく。よく行けるな・・・。
14
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/02(水) 01:34:00 ID:zjsYCfr2
>>13
( ^ω^)・・・?
15
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/02(水) 02:15:05 ID:zjsYCfr2
下のほうがなんだか明るい。・・・溶岩だ。しかも熱風が吹き上げている。不気味な音の正体はこれか。
渓谷の壁には所々に窪みがあり、ここに龍が休んでいたと考えると、納得する。
研究者たちは魔法も使いながら次々に何かをメモしたり、スケッチを取っている。
兵士たちは周りの様子を眺め、暇を持て余しているようだ。
・・・もちろん、俺もその一人なんだが。
女軍人「調査には何日か掛かる。この後は本隊と合流してキャンプ地を決めるぞ。どこか使えそうな場所を考えて置け、野営のプロだろ?」
男「アマチュアだよ。ただの傭兵なんだから」
そもそも、転生する前なんて、普通の会社員だったし。
16
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/14(月) 03:26:59 ID:WJh/nlQU
何だかんだで調査は進み、あとちょっとですべての区域が調べ終わる、という所でその事件は唐突に・・・そう、本当に、突然に。
女軍人「・・・何?ある区域の小隊が全滅したらしいだと???」
小隊「・・・っ・・・!?」ザワ・・・
どよっ・・・と小隊が怯む。そりゃそうだろう。今回の作戦には各部署からエリートが集められ、各小隊が高い戦力を持っている。
そこらの魔物では、どうこうできるものは居ないだろう。それに、魔術師の念話もある。全滅されたとなると、その魔術師も即死・・・
どうやら、不測の事態が起きているのは確かなようだ・・・。
指令としては、本隊に集まり、防御態勢を整えるとのことだ。
敵の戦力が分からない今、無暗に分散するのは危険か・・・。
17
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/14(月) 03:34:37 ID:WJh/nlQU
その後俺たちの小隊はなんとか本隊に合流することができた。
野営は中々緊張感のある状態だったが、深夜にそいつが姿を現すことはなかった。そう、奴が姿を現したのは夜明けー・・・
ドオン!!!!!
爆音が鳴り響き、地面が激しく揺れる。兵士たちは一斉に飛び上がり、何か叫んでいる。
しかし俺は。ある気配を感じ取り動けないでいた。
この、威圧感。重厚感。緊迫感。そして・・・膨大な魔力!!
男「・・・!?!?!?こ、・・・」
奴が、我々の目の前に、姿を、現すー・・・
18
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/14(月) 03:41:00 ID:WJh/nlQU
男「古龍・・・!」
銀色に輝く鱗。灼熱の炎のように赫い眼。その巨躯は25メーター程にも30メーター程にも見え、そしてなにより・・・
美しかった。
奴は、じろりと辺りを一瞥すると、その重厚感がありながらも流麗な尾を持ち上げー・・・
そんなこと、思ってる場合じゃねえ。
男「全員逃げろ!!!!!」
その瞬間、閃光が走る。
19
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/14(月) 03:46:46 ID:WJh/nlQU
男「っ」
キィン、と小さな耳鳴り。先ほどまでの轟音は聞こえない。
体に力を入れると、ギシ、と軋む音がした気がする。
じわっ、と全身に鈍痛が走った。衝撃も、ドン、と今感じた。
視界が、色を取り戻してきた。・・・脳が、思考を取り戻すー・・・
男「・・・ヒュッ」
ゲホ、と何か口から出た。血だ。そして代わりに空気が入ってくる。
俺は呼吸をしていなかったのか?どうやら相当な力で叩きつけられたらしい。
20
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/14(月) 03:53:45 ID:WJh/nlQU
男「・・・はっ」
おい、ぼーっとすんな。龍は。古龍は。他の奴らは。動け、俺。
男「・・・!!!」
そこにあったのは、血。誰のかも分からない、腕。臓物。洞窟の岩が潰したのか。
まさに地獄絵図。死骸が、四肢が。そこら中に散っていた。そして、血の匂い。
そこに鎮座する、古龍・・・。逃げなければ。戦うのは無理だろう。勝ち目などない。
生存者は。俺は運が良かった。一人でも運べる状態の人が居るのなら、共に逃げなければ。
男「・・・ッツ!!!」
21
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/03/14(月) 11:40:54 ID:YjIIKZP.
乙
ここまでの情報からドラゴン≠龍で龍≠古龍でパワーバランスはドラゴン<<<<龍<<<<古龍みたいな感じかな?
魔王が復活させたのは龍で、五体いたその何れも封印か討伐されていて在野の龍は存在しない(古龍は言及なし)
っていうのがこの世界での一般認識って事でよろしかったかな?
22
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 01:25:52 ID:Nuf6K3k6
>>21
合っているで候。解説助かる。
拙者、文で世界観説明するのが下手なもので、ガチで分からなくなったら書き込んで頂きたいで候。
23
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 01:33:45 ID:Nuf6K3k6
しかし辺りを見回し、その行動は不可能だという事をすぐに理解した。
周りは大きな岩や破片によって荷物が散乱し、人はとてもじゃないが生存者を判別できなかった。
そして何より、洞窟の出入り口には、古龍が座している。
絶滅したとされていた、伝説。
一説には、種族としての能力が高くなり、累代することを辞めたが為に、神に滅ぼされたのだとか。
森羅万象、この世の理に反する存在となったのだろう。
まだ生き残りが居たのか・・・それとも、ここはまだコロニーとして使われているのか・・・
奴はこのミンチと化した人間を眺め、次の一撃を放つべきか決めているのだろう。
24
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 01:39:19 ID:Nuf6K3k6
眼を細め、どこかを注視していた。
動くなら、今か。足に力を込めた、その瞬間。
「う・・・ぅぐ・・・」
生きている。人が。思考が鈍る。このまま逃げるべきか、助けに向かうべきか。
本当に生きているのか。致命傷を負った者なら、見に行くだけ無駄ー・・・
うるさい。俺は、男だろうが。人を助けると、決めたんだ。あの時から・・・!
うめき声がした方へ顔を向けるが、相変わらず土砂と化した野営地が広がるだけだ。
集中しろ。魔力を辿れ。生きている魔力と死んでいる魔力では、明らかな差が出る。
25
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 01:43:53 ID:Nuf6K3k6
男「・・・!」
この魔力、知っている。小隊長の女軍人だ。魔力の反応も強い。そこか・・・!
最新の注意を払い、魔法で土砂をよけ、岩を粉砕する。
どうやら岩の下に空洞があり、そこに挟まれているようだ。
男「おいっ!大丈夫か!!?」
出てきた顔目掛けて叫んでみる。気を失っているようだった。
男「クソッ!!」
すぐさま下半身に覆いかぶさっている岩をどかし、女軍人の体を引き上げた。
26
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 01:50:49 ID:Nuf6K3k6
さぁて、さらに条件は厳しくなった。相手は古龍。対して戦力は満身創痍の俺と、絶賛気絶中の女軍人。
何ならお荷物だ・・・。ぺちぺち、と軽くたたくも、反応しなー・・・
女軍人「ん・・・んん・・・」
あ、起きた。とにかく早く目を覚まして自分で立ってもらわないとな。
女軍人「!?古龍!?・・・!?・・・!??・・・お姫様だっこ!?!?」
オイ、古龍と周りの状況に驚くのはわかるがそれは今いいだろうが。
男「見ての通りだよ。これから逃げる方向に古龍。戦力は今んとこ俺らのみ」
女軍人「え、ええそうね・・・。私は今とても混乱しているわ。先に起きたらしい貴方の考えがあるなら教えて頂戴」グルグル
27
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 01:57:56 ID:Nuf6K3k6
なんてこったい。まったく・・・死ぬかもしれないんだから、というか死ぬ可能性が高いんだからもっと焦ってくれないか。
男「・・・古龍は大半を一撃で殺し、それから攻撃してきていません。別に鼠の一匹や二匹逃がしても構わないと思っていることに賭けて・・・」
・・・・・・
男「走りましょうか」
女軍人「・・・分かった。死なばもろとも。乗ったわ、その賭け」
そう言った瞬間から、二人とも身体強化の魔法をかけ、走り出していた。
道が悪い。死体もあるし、瓦礫もある。だがとにかく走るしか、ない・・・!!
グォォォオオオオォォォオオオ!!!!!!!!
28
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/15(火) 02:02:56 ID:Nuf6K3k6
女軍人「気付かれたわよ!!!」
男「もうどうしようもない!!!走り抜けろ!!!」
女軍人「ッッ・・・!!!」ダッ
古龍の尾が撓るー・・・
男「大振り!!!来るぞ!!!!!」
男「!!!」
早い!!そして、鋭い・・・!!あの巨躯から繰り出される攻撃とは思えない程精密で、俺の急所すら狙ってくるような・・・
・・・!!!クソッ、間に合わない、避けられない、間違いなく、当たるー・・・!!!!
29
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/03/21(月) 13:31:48 ID:CfPELI8c
続きはまだかな
30
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/27(日) 20:41:54 ID:nZl2s5Ts
・・・何故我らを拒絶するのか・・・力をもってすれば、奴など敵では無いというのに・・・
うるせえな。
・・・そうやって過去に閉じこもり、哀れな加害者を続けるつもりか?・・・
うるせえっつってんだろ。
・・・その女も死ぬぞ・・・
お前らに力を借りるよりはマシだ。
・・・貴様は、人を助けると、誓ったのではないか?・・・
っ・・・
31
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/03/27(日) 21:02:37 ID:nZl2s5Ts
でも、また・・・あの人のように、俺は人を傷づけるかもしれない
・・・ハハハ・・・小さなことを気にする奴だな・・・
だから・・・俺はお前らに力を借りない。
・・・何か勘違いしているようだから教えてやろう。・・・これはお前の力だ。お前の内部のな・・・
・・・お前はあの女を傷つけたことを後悔しているようだが、あの時お前が剣を取らなければ、何十万という人間が死んでいた・・・
・・・それでもなお、お前は剣を取らなければ良かったと思うのか?お前の正義は、そんなものか・・・
分かり切ったことを言うなよ・・・そんな簡単じゃないんだ
・・・ならば、剣を取れ。お前に懺悔する時間などはない。転生したからには、この世で転生者として、責務を全うすることで罪を、償えー・・・
32
:
以下、誤字が深夜にお送り致します
:2022/03/27(日) 21:20:44 ID:nZl2s5Ts
男「・・・何だ今の」
ズドオォォォオオン!!!!!
女軍人「うっ!!!??」
・・・
女軍人「・・・?」
33
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/21(土) 20:29:21 ID:eonz4ZEI
ただ私の故郷を侵略してきた貧弱な生き物を。
何時ものように潰す。ただそれだけなはずだった。
私はこの世に最強の種族として生まれ、最強として育った。
小さき生き物共は私を崇拝し、畏怖し、魔族共は近寄ろうとしなかった。
最強。何も寄り付かぬ私には、その言葉しかなかった。
今日も、小さき侵略者のほぼ全ての生命が一撃で吹き飛び、目の前には小さな生物の反応が2粒ほどあるだけだった。
次で、終わる。小賢しく逃げようというのだろうが、無駄な事。
いつもの事だ。 ・・・そう、思っていた。
34
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/21(土) 20:50:29 ID:eonz4ZEI
突然感じた、遥か昔。私が最強を冠する前・・・?
これは、いつの記憶で、この感覚は何か・・・。私の思考能力と記憶能力を以てしても「懐かしい」という感覚以外の何の情報をも思い出すことが出来ない。
こんな事は数百年を生きて来て初めてだ・・・。全ての記憶が・・・フラッシュバックする。
遡れ、この感覚は何なのか。腹の底が業火に焼かれるような焦燥感。私は何に、焦っている・・・
古龍の記憶は、この世に生を受けた、"583年前の″この場所まで遡った。
・・・これは。まさか。そんな事が。
その一瞬、古龍は軽く絶望にも似た感情を覚えた。
この感覚、いや、この予感は・・・「死」である・・・。
35
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/21(土) 21:33:23 ID:eonz4ZEI
走馬灯とは、生物が死に直面した時に見ると言われる人生の記憶である。
しかし、実際は、思い出しているのである。人生の中で最も貧弱で、死に近かったあの時を。
生命が生まれた、その時を。
そして古龍が思い出したのも、正にその瞬間。
神が仲間を屠り去り、種を残す為、古龍の絶滅をかけ、この世に生まれてきたことを。
・・・しかし、それを思い出すには、あまりにも・・・
そう、遅かった。
36
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/21(土) 21:34:17 ID:eonz4ZEI
安定の不定期投稿定期。
37
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/05/23(月) 00:13:50 ID:rZ/p5rs2
乙乙
38
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/23(月) 01:04:35 ID:wkrKqumI
遥か下の地面を這っていた下等生物だったはずのものが目の前に現れ、閃光が目を覆う。
これは・・・神の光。
この小さき生命体から、膨大な力を感じる。
私の力など、神の足元にも及ばなかったというのか。
神とは、どんなものか。
是非一度、私の、この目で・・・見てみたかったものだ。
しかし、流石は私の同胞を滅ぼしたものの一端。
・・・美しい。
39
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/23(月) 01:12:54 ID:wkrKqumI
私たちは、古龍に殺されたはずだった。
最後に古龍が放った攻撃、あれは間違いなく男を狙ったものだった。
鋭く、早く、すべてに置いて完璧と言える攻撃。
当たれば即死、そして近くに居た私も、共に死んでいただろう。
しかし、その攻撃が男に届くことは・・・無かった。
古龍の動きが、耳をつんざく爆音と共に、ピタリと、止まったからである。
目の前で起こっている理解不能な状況に対し、私は何故か冷静だった。
40
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/23(月) 01:21:46 ID:wkrKqumI
まるで、それが当たり前だと、脳では理解出来なくとも、本能で理解しているような。
そんな気がした。
当の男は、いつの間に取り出したのか、腰の剣を抜いている。
古龍は、まだ動かない。
心臓が高鳴る。静寂に、自分の心臓の音だけが響いている気がして、少しだけ焦る。
何故古龍が止まったのか?男は、無事なのか?疑問と情報が一気に押し寄せ、何をするべきなのか、分からなくなる。
・・・そして気が付いた。
古龍は、止まったのではなく、死んでいるのだと・・・。
41
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/05/31(火) 00:23:03 ID:1ZzvG9BQ
その後、男はゆらゆらと動き出し、古龍を気にも留めず(もちろん私にもだが)、本国の方向へと歩みを進め始めた。
一言も交わさず、夕暮れがやって来た。
こちらへ来る時のような大隊はもう居ない。ここは魔物の住まう土地。
あの古龍のように、何が起きてもおかしくは無い場所なのだ。
あの後急いで野営用の荷物を探し、テント等の簡易用品だけは持ち出すことが出来たが、食料等は無いに等しい。
厳しい道のりになるだろう。そして、男は以前何も喋らない。
常に何かを思案しているように思え、話しかける事はしなかった。話しかけてはいけない気がした。
・・・ちょっと腹が立ってきた。
42
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/06/11(土) 02:22:20 ID:gdmfLYeo
つい、衝動を抑えられず男目掛けて蹴りを入れる。
「ごぇっ」と変な声を漏らし、その場に崩れる男。
しまった・・・一応、命を助けてもらった事に対する恩義は感じているつもりだ。
「すまない、大丈夫か?」
そう声をかけて覗き込む。なんだかびっくりしたような顔をしている。やはり急に蹴ったのは失敗だったか。
しかし、男は変な事を言い出した。
何も、知らないような顔をしながら。
「・・・ここはどこだ?」
43
:
以下、七瀬が深夜にお送り致します
:2022/06/11(土) 02:50:23 ID:gdmfLYeo
〜〜〜〜〜〜〜
なんだか、懐かしい夢を見ていた気がする。
気が付いたら魔物の土地で、上司だった女軍人と二人きりだった。
本当に記憶がなくて、ここはどこだと聞いたら、大隊は壊滅し、俺が一人で古龍を殺したとかいう妄想みたいなことを言い出した。
俺はその事を否定し、今は王国のアパートへと帰ってきている。
因みに、部隊の壊滅と古龍の死は本当だったようで、俺は敵前逃亡で解雇、無事に無職(冒険職)に逆戻りだ。
まぁ、俺には団体行動は向いていないから良かったのだと思うが。
最近は同期の女と一緒に、雑用や討伐依頼をクリアする仕事ばかりだ。
44
:
以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 01:59:51 ID:JNSg.M8k
同期「・・・コラ、ぼーっとしない!」ぺしっ
男「え、あ、あぁ、すまん」
同期「まーったくもー・・・何か君、ヘンだよ?あの日からずーっと気が抜けてるっていうか・・・集中力?が無いっていうかー・・・」
男「それは・・・いや、すまん・・・」
同期「はーいはい、私には話してくれないんでしょ、分かった分かった!だけど手は動かしてよね?君ってば考え事する時手まで一緒に止まるんだもん」
男「・・・」
同期「最近じゃここら辺も危険な魔物が出るようになったし、それで私たちもパーティー組んでるんだから、いざという時反応出来るようにしてよね!」プンスコ
男「そうだな、少し集中力が欠けていたと思う。すまない」
45
:
以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 02:10:05 ID:JNSg.M8k
・・・あの日の事ばかり考えてしまう。蘇る記憶。感覚。
そしてまた苦虫を嚙み潰したような苦痛が襲ってきて、死にたくなる。その繰り返しだ。
精神がイカれてしまったんだろうか。自分は。こんなに卑屈な人間ではなかったはずなんだがな。
なんだか、心の中で天使と悪魔が喧嘩しているみたいだ。
調子が良い時は良いし、悪い時は悪い。中間が無いんだ。やっぱり、疲れてんのかな、俺は。
まぁそう思って、緑が沢山あるところで、薬草やお花摘みー・・・ってわけだ。
立ち込める爽やかな草木の香り、温かい木漏れ日。近くの川はどこまでも澄み切っているし、鳥のさえずりは華やかだ。
まぁ、最近は異常な様で、危険度がG-からE+まで上がってるんだが。リラックスさせろよ。俺に。
46
:
以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 02:19:21 ID:JNSg.M8k
同期「ほーら、見てよこれ!」ガサッ
同期がどや顔と共に満杯になった薬草入れを俺に向ける。
同期「君はそ〜の空っぽのかごを持ってどうするのかなぁ〜?」
・・・ふと自分の薬草入れに目を向ける。・・・空っぽではないだろ、空っぽでは。
男「ちゃんと入ってるだろ・・・・少し」
同期「ぜーんぜん入ってないじゃないのさ!!!どーすんの!!今回のクエスト報酬は私のだかんねー-!!?」
まぁ、今日くらいは良いか。別にそこまで金に困っているわけでは無いんだ。
同期「・・・さては君、今日くらいは良いか、とか思ってるんでしょー!!」ズイッ
47
:
以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 02:27:36 ID:JNSg.M8k
エスパーか、こいつは。・・・念のため自分に反心読術の魔法をかける。・・・読まれては、無いな。やはりエスパーか。
同期「君は金持ちで良いな!まったく!私は毎日君との稼ぎでやっとだよ!」
前から思っていた事が、うっかり口から滑り出る。
男「・・・お前は少し食う事を自重したらどうだ?」
同期「・・・!!!」カチーン!!!
やっべ。
同期「食事ってのはねぇ!!生きる活力であり、生きるのに必要不可欠なんだよぉ!??君だって食べないと元気出ないよね!?いっぱい食べて力が出せないと困るでしょ!?それにご飯食べれば頭も良くなるって研究結果だってあるしさぁ!!よく食べる娘はモテるんだよ!?食べることは生きることだってどこかのエライ=ヒトも言ってたし!!大体食事ってのは・・・!!!」
暴走モードだ。こいつの食への探求心、忘れていた・・・。
48
:
以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 02:34:08 ID:JNSg.M8k
こいつは食べ物に金をかけすぎるんだ。一般女性が何にどれくらいのお金を使うのかは分からないが、Bランク等級の冒険者は中々稼ぎがある方だ。
それを8割方食費につぎ込むんだから4〜5倍にはなるだろうな・・・。
しかし、そんだけ食う割には痩せてるよな・・・怪しい薬とかやって無ければ良いが。
同期「・・・って事で食べることは人生において最も重要なんだよ!分かった!?」
男「・・・おう、分かった」
同期「よろしい」
食について語らせたら大陸一だろうな。間違いなく。俺が戦場で昔、虫や魔物を食っていたって知ったら、発狂するんじゃねぇかな、こいつ。
今度話してやろう、と密かに思ったところで、俺たちは気が付いた。
49
:
以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 02:41:34 ID:JNSg.M8k
同期「・・・囲まれてる?」
男「・・・そのようだな」
この位置になるまで気が付かなかった。気配を消すのが上手い。・・・もしくは単に弱すぎる魔物か。
まぁ等間隔に8体で囲んできているところから察するに知能がある。前者だろう。
俺と同期は背中を合わせ、360度全てを監視する。同期は腰の中剣ではなくサイドから短剣を取り出し、両手に構えている。
この森は意外と木が密集している。恐らく機動性重視だろう。流石の判断と言える。
俺はバックから魔石を取り出しつつ、腰の剣を抜く。これしか持ってないんだよ、戦闘用の武器。
同期「私の方が先!!こっち、来るッ!!」チャキッ
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以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 02:56:40 ID:JNSg.M8k
振り返ると、なんか赤と黒のかっこいい奴。なんだこれ。
頭に真っ先に浮かんだのは、『魔族』・・・だが、こんな魔族、見たことがない。
黒色の体に、筋に沿って赤色が目立つ。・・・!!!・・・予想の数十倍は速い!!
同期「きっもち悪い色してんなぁ!!!お前ら!!!!うおぉぉおりゃっ!!!!」ジャッ!!!
だが、同期の攻撃の方が速かったようだ。飛び出してきた二体の魔族のようなものは、同期の二本の短剣で一瞬のうちにしてバラバラになっていく。
流石だな。・・・おっと、見とれてる場合じゃねえや。俺の正面からも3体飛び出してくる。
未知の魔物だとしたら、やはりこれは出しておいて良かった。
左手に持っていた魔石を前に突き出し、唱える。「くたばれ」
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以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 03:03:57 ID:JNSg.M8k
その瞬間、目の前の3体は行動を停止、その場に倒れこんだ。
男「・・・こいつら、俺よりレベル低いな」
同期「君よりレベル高い魔物なんて居るの???」
今のは、某ゲームの二フ●ムもどき。俺より能力が低い奴らには、魔力を消費して即死魔法になる。まぁ、某二●ラムはレベルや能力値関係ないらしいけど。
因みにこの世界には別にレベルといった概念が存在しないため、俺が勝手に作った魔法だと言える。便利だ。
同期「あと3体!!君、そっちの1体ね!!!」ダッ
男「分かった。これで薬草はチャラな」ヒュッ
同期「それはズルい!!!」ズバッ!!
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以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 03:08:22 ID:JNSg.M8k
同期「・・・チャラにはしないからね」
男「ダメだったかー・・・」ヒュンッ チャキ
同期「見た目の割に弱かったねぇ、こいつら」
男「・・・いや、相当じゃないか?普通に単体がAランク討伐等級になってもおかしくは無いと思う」
同期「・・・まぁ、私らの敵じゃないよね!」
男「・・・そうだな。相手が悪かったと思うぞ。な、元勇者」
同期「・・・へへ、そうだね、男」テレ
男「・・・奇麗めな奴の死骸、持って帰って提出するか・・・」ゴソ
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以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 03:13:58 ID:JNSg.M8k
同期「・・・」ムスッ
男「・・・何だ・・・?」アセ
同期「久しぶりに男って呼んであげたのに・・・もうしーらない!!」プイ
男「・・・いい年して拗ねんなよ・・・」
同期「うるせいやい!!私はそいつ、持たないからね!!」
男「はーいはい、最初から持つ気無いでしょどうせ」
同期「・・・でも、奇妙な奴らだよね。見たことない魔物なんて・・・」
男「・・・新魔王の手下・・・だったりしてな。ハハ」
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以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 03:17:04 ID:JNSg.M8k
同期「・・・」
男「・・・じょ、冗談だ」
同期「・・・いや、そうかもしれない」
男「忘れてくれ」
同期「君、知ってる?私たち冒険者は、大半がもうすぐ戦場に駆り出される」
男「・・・え?」
同期「どうやら、また・・・大戦が始まるみたいなんだ。今度は、7か国程参戦するらしい」
男「っ・・・・」
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以下、ナナッセが深夜にお送り致します
:2022/07/29(金) 23:23:20 ID:JNSg.M8k
また暫く不定期更新定期でやっていきます。生き延びて。
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