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縁壱「遅れて申し訳ございません、兄上。…え? 姉上?」

411:2021/08/25(水) 20:13:51 ID:oNIuq.qU

過分なことを言われ、頬が赤くなった。しかし、鸞凰と例えられたことを、手放しに喜

ぶわけにはいかなかった。まるで騙しているように感じ、気が引けた。隠していても私

たちは実の姉弟で、それは変えようのない事実なのだから。

「ええ、本当に。大事にして差し上げて。お互いにね」

それから、ふたりで別れの挨拶をし、子供たちに手を振られながら、御夫妻の前を辞し

た。

        ※                 ※

421:2021/08/25(水) 20:14:24 ID:oNIuq.qU

「ところで、なぜお前が縁壱殿の姉君の名を知らないのだ?」

「あの後ろ姿をご覧なさい。今のあなたの姿勢と同じでしょう? 左の腰に刀を差して
 いないと、軽いせいで、左肩が上がるところがそっくりで。本人は隠していましたけ
 れどね。それに、あの男のようなしゃべり方…」

「なるほど」

「よほどの仔細があるとお見受けして、自分から名乗るまでは無理に訊かないことにし
 たのです。女たちにもそう言いつけました」

「そうか…。いろんな事情がある者が集まってくるからなぁ。賢い奥をもらって本当に
 助かっている」

「感謝していただけるのはよいですが、閨はもうほどほどにしてほしいです。決まりが
 悪かったですわ。祝言を上げて、何年経ったと思っているのです?」

「それはお前がいつまでも美しいからだろう」

「まあ!」

        ※                 ※

431:2021/08/25(水) 20:15:00 ID:oNIuq.qU

「良い御夫婦だったな」

帰り道、先ほどのことを思い出しながらしみじみと口にしたが、縁壱は他のことが気に

かかっていたようで、無言だった。そうして、家に着くなり、

「姉上、他の者に『姉上』と呼ばせるのは、止めてください」

私の肩をつかみ、そう懇願してきた。

「たとえ童にでも、姉上が『姉上』と呼ばれるのは嫌です」

「そうは言っても、私には男名前しかないのだぞ。あれはしかたなく…」

「嫌です!」

急に駄々をこねる子供のようになってしまった。

「では、お前が名付けてくれ。女としての私の名を」

すると、縁壱はぐっと言葉を詰まらせた。

「そんなことをしたら、姉上が姉上ではなくなってしまいそうです。とても、おそれお
 おくて…」

何を不安に思っているのか推し量れなかったが、私は縁壱の頬に手を添えた。

「家名は捨てた。私に新しい人生をくれたのはお前なのだから、お前が名付けてくれ。
 お前自身はこれからも『姉上』と呼べばいいだろう」

441:2021/08/25(水) 20:15:37 ID:oNIuq.qU

縁壱は、頬に添えた私の手をその大きな手で包むように握った。

「はい、姉上…」

「それと、今朝はすまなかった。私を求めてくれたのに、無理に中断させてしまって。
 お前は命を懸けて戦ってくれているというのに。大切な者がいつ死ぬかわからない。
 その重さを実感できず、浅はかな考えでお前を拒んだ私を許してくれ」

縁壱は、じっとこちらを見つめてきた。

「私は、姉上がとても大切です。姉上にとっても、私は大切な者になれたのでしょうか?」

「? なぜ、言うまでもないことを? わざわざ訊くほどのことか、それは?」

思わず首を傾げてしまった。

縁壱はやっと安心したような顔になって薄く笑い、さぁ、夕餉をいただきましょう、と

言った。

        ※                 ※

451:2021/08/25(水) 20:16:35 ID:oNIuq.qU

一刻後、湯浴みから上がった私は、胡座をかいた縁壱の上に後ろ向きに座らされていた。

中を太い男根に深々と穿たれて。

「あ、あ…、は…ん…、…いて、お願…だから…、動いて…」

縁壱は、乳房と肉芽と耳を背後から同時に嬲り、時々揺すり上げて子宮を小突いてくる。
そうして、わななく肉襞の微妙な収縮を楽しんでいた。もどかしさに涙を溜める私にか

まわず。

暗い室内。乳房を揉みしだく手が、肉芽を挟んで愛撫してくる指が、本当に縁壱の物か

と少し不安になる。

「動いてくれ…、縁壱…、頼むから…! 動いて…ぇ…」

だいぶ前から懇願しているが、一向に聞き入れてくれない。

「お前だって…、辛い…はず…」

「私は中がびくびく締まるのと、姉上の艶声だけで充分ですので。こうしているだけで
 姉上の子宮の入り口がコリコリと魔羅の先に当たって、気持ちいいです」

ああ、でもご安心ください、と言いながら、私の腹を愛おしそうに撫でた。

461:2021/08/25(水) 20:17:09 ID:oNIuq.qU

「いずれ、私の子を孕んでいただく大事な宮ですから、手荒くはいたしません」

縁壱が子を欲しがっている。嬉しい、そんなことはいけない、泣きたい、悲しい。涙が

噴き出て、視界がゆがんだ。諸々の感情が一気に襲ってくる。姉弟の関係にある者にと

って、決して望んではいけないことだ。それなのに、私は子を作る行為を自ら浅ましく

受け入れている。拒めない。

ぱたたっ、と続けざまに涙が胸に落ちた。

それを、ついに強い快感が欲しくて耐えられなくなったと思ったのか、

「では、『ご褒美をください』と言ってください」

と、縁壱は耳元で囁いた。

「お前…、何を?」

「日中ずっと、女陰(ほと)を濡らして熱い身体を持て余し、私の魔羅が欲しいと我慢
 していたので、ご褒美をください、と」

「やはり今朝のことを…、あ…、根に持っていたな…」

せめてもの抵抗に身体を捩ったが、男の力にあっさりと封じ込められる。

471:2021/08/25(水) 20:17:45 ID:oNIuq.qU

「さあ、どうでしょう?」

ぢゅっと首筋に強く吸い付かれた。

「ひゃ…う!」

またも軽く達してしまった。何度目かわからなかった。肉襞が敏感になりすぎ、痛いほ

ど充血していた。先ほど襲った悲しみは肉欲の前にあっけなく押し流され、淫乱な本性

を暴かれてしまったように感じられた。

「あ…、や…、反省したと…伝えたではないか…」

「それはそれとして、身体にも教え込みませんと」

縁壱が、うなじをぬるりとした舌で舐め上げてくる。ぞくりと快感が込み上げた。

「嫌…、焦らさな…で…。意地悪しないで…」

返事はなく、無言で乳首をひねり上げられた。

「んあぁっ!」

仕方なく、呼吸を喘がせながら途切れ途切れに言葉をつないだ。もう限界だった。

「…ください…。ご褒美…。女陰(ほと)が疼いて…、しかたなかった…。本当は、縁
 壱のことばかり考えて…、子供たちの前なのに淫らな想像ばかりして…、濡れすぎ
 て…、もし外に染み通って…知られてしまわないかとずっと…心配して…」

481:2021/08/25(水) 20:18:15 ID:oNIuq.qU

実際そうだった。子供たちの面倒をみると自ら言い出したことを少し後悔していた。

「胸を吸おうとした子を…かばって…、お前のほうを蔑ろにして…、ごめんなさ…、本
 当は…、すぐに帰ってお前に抱かれたかった…のに…」

ぽろぽろと涙が流れた。

「あ…」

前方に身体を倒され、手を突かされて、四つん這いの格好にされた。

腰をがっしりと掴まれ、男根が抜かれそうになったかと思うと、深くまで一気に押し入

ってきた。

「ああああぁぁぁっ!」

突かれながら下を覗くと、中で分泌された粘り気のある愛液が、漏れ出てねっとりと腿

を伝っていた。恥ずかしい。

獣のような格好で目合うのは、初めての時以来だった。怖れが沸き起こる。

「ん…、縁い…ち…、イク…、も…イ…ク…」

まるで漏らしたように大量の愛液が分泌され、布団を濡らしていく。

491:2021/08/25(水) 20:18:51 ID:oNIuq.qU

「あっ! あっ! イク、イクッ! …!」

背をのけぞらせて達した。快感が激しすぎて喉がひきつったようになり、かえって叫び

声が出なかった。

休む間を与えられず、腰を激しく打ち付けられ続けた。規則正しいぱんぱんというその

音と、ぐちゅぐちゅといやらしい音と、私の喘ぎだけがこの場を満たすものだった。

「縁壱…、あ…、縁壱…」

今自分を抱いているのが縁壱だと確かめたくて、何度も名を呼んだ。

「姉上、こんなに激しく腰を動かして…、いやらしいですね」

やっと聞けた縁壱の声に安心して、また達してしまった。今度は縁壱も息を詰めて、奥

深くに精を放った。射精しながら数度突き上げて、熱い精を全て私の中に出し尽くした。

しかし、当然これで終わってはくれなかった。後ろからのあまりの突き上げの激しさに

腕で身体を支えていられなくなった私は、布団の上にへたり込んだ。

「あ…、や…」

布団に乳首が擦れる刺激に驚き、とっさに腕に力を込めて浮かせるが、すぐにまたへた

り込んでしまった。私がうまく動けなくなると、縁壱は肉芽を責め立てた。

501:2021/08/25(水) 20:19:25 ID:oNIuq.qU

「あ、あ、やぁっ! いやぁっ! いやぁっ!」

興奮して尖り切った肉芽は敏感で、指の間に挟み込まれた瞬間、ぶしゃっと愛液を撒き

散らした。そのまま執拗に責め立てられながら、なおも腰を打ち付けられ続け、私が再

び達すると同時に、縁壱も果てた。

息が整うまで、布団に沈んでいた。甘く痺れた頭で、とにかく深く息を吐いた。腰だけ

高く上げたまま、まだ身体はひくひくと痙攣していた。

男根を抜かれ、丁寧に身体を返され、仰向けに寝かされた。

「姉上、今日はもうお休…?」

やっと縁壱の顔を見れて安心し、自分から首に腕を絡めて引き寄せ、唇を合わせた。

互いに口を吸い舌を絡めたまま、縁壱が何かを訊ねてきた。当然、もごもごと声は籠も

り、明瞭な言葉にはならない。「続けてよいのですか?」だったか、「まだお休みにな

らないのですか?」だったか。

返事の代わりに唇を合わせ続けると、敏感な下の淫唇に熱い物が押し当てられ、ぐぷり、
と再び中に侵入された。

        ※                 ※

511:2021/08/25(水) 20:20:03 ID:oNIuq.qU

激しかった目合いが終わり、ぼぅっとした頭を縁壱の腕枕に預け、けだるさに惚けてい

ると、

「姉上、そういえば、煉獄殿が言っていた『鸞凰』とは何ですか?」

と訊かれた。

「…知らないのか?」

「学がないもので。鬼狩りになってから字を覚え、兵法書などは借りてずいぶん読んだ
 のですが、基本的なことや世間並の教養となるとかなり心許ないのです」

縁壱の告白をとても意外に思った。侍としての立ち居振る舞いも、言葉遣いも、堂に入

ったものだと感じていたからだ。普段話していて、知っている言葉が不足しているとも

思えなかった。

「教えてください。子供らのように、私にも」

真剣に願われたが、そのまま答えるのは先刻のように気が引けた。逡巡の末、密かに耳

打ちをする。

縁壱は、嬉しくてたまらないというふうに私を抱き締めた。


(続)

521:2021/08/25(水) 20:21:33 ID:oNIuq.qU

今回はここまで。

姉上の名前は、このSS中には出す気はない。

縁壱視点の短い過去編を明日うpする。
本編は明後日。

531:2021/08/26(木) 21:11:46 ID:QeXEQgrM
投下する。

子供の時の縁壱視点。短い。
笛を渡されて、まだ耳が聞こえず口も利けないと思われていた時期。

541:2021/08/26(木) 21:12:27 ID:QeXEQgrM

兄上。

兄上は、骨がちがう。自分とはちがう骨格と身体のつくり。

どうして誰も気付かないのだろう。いつも不思議だった。

それに、いい匂いがした。母上に似ているけれど、少しちがうどきどきする匂い。

特に兄上が汗をかいていると、どきどきする。

兄上は優しくて、俺のせいで父上に殴られて青紫に顔が腫れても、それでも笛を作って

持って来てくれた。

俺が笛を手にとって嬉しくてまじまじと見ていると、兄上は、俺が寝起きしている三畳

の部屋に上がってきて、笛の吹き方を身振りで教えてくれた。

触りたい。触ってみたい。俺とはちがう兄上の身体に。

「試しに吹いてみろ」というふうに差し出された笛を無視して、兄上の着物の合わせ目

から手を差し入れて、すべすべした肌に触れた。

「うわっ!」

勢いに押されて兄上は後ろに倒れ、俺はその上に乗っかって、さらに着物を開き、小さ

な桃色の乳にしゃぶりついた。

551:2021/08/26(木) 21:13:05 ID:QeXEQgrM

乳首は、甘くないのに甘い味がした。それが不思議でおもしろくて、夢中で吸った。

「ひもじいのか? こんな下手な笛より食べる物のほうがよかったか。…あっ!」

兄上は俺の身体の下で、もじもじと足を動かした。舌で乳首を転がすと、ぴくりと身体

を跳ねさせた。

しっとりと汗ばんできて、いい匂いが強くなってくる。

それが楽しくて、いつまでも吸い付いていた。

口を放すと、兄上は手の甲を噛んでずっと耐えていたようで、歯の形に血が滲んでいた。

「まったく、私は母上や乳母のように女ではないのだから、おっぱいは出ないぞ」

兄上は俺に言い聞かせたが、俺はぷっくりと赤く腫れてしまった乳首にばかり目が行っ

ていた。

「ああ、聞こえないのだったな。諭そうとしても、通じないのか。難儀なものだな。
 つい忘れてしまう」

頭をぽんぽんと優しく叩かれた。

「待っていろ。菓子か何か食べる物を持ってくる」

兄上が狭い躙り口に向かい、這って出て行こうとする。

561:2021/08/26(木) 21:14:01 ID:QeXEQgrM

お菓子いらない。まだ行かないで。

兄上の袴をつかんで引き留めた。すると、兄上は前のめりに倒れ、ずるりと袴が脱げて

しまった。

兄上のつるんとした丸い腰つき、ふんどしを濡らす透明な染み、心がざわざわする良い

匂い。

理由はわからないけれど、胸が苦しくなった。

自分はまだ子供だから、続きはできない。それだけは理解できた。

兄上はその場で着物を直して出て行った。

その日は戻ってこなかった。

次の日来たときにはお菓子を持ってきてくれたけれど、顔の赤紫の腫れが増えていた。

諦めなければいけない。父から言われたように、自分は忌み子なのだから。

どんなに兄上の傍にいたくても、諦めなければ、兄上がいたぶられてしまう。

そう思って諦めた。

571:2021/08/26(木) 21:14:32 ID:QeXEQgrM

それから、剣の稽古をしている兄上の周りをうろうろし始めた。

せめて、剣で遊びたい。兄上の大好きな遊びで。一緒にいられる間に。

俺が寺にやられる前に。

楽しい思い出が作れれば、兄上とお別れしても、きっと生きていける。

兄上は剣が上達するのがいちばん嬉しくて楽しそうだったから、

「兄上の望みはこの国で一番の侍になることですか?」

と訊いた。

兄上はなぜか木剣を取り落とし、それから、兄上はあまり遊んでくれなくなった。

楽しい思い出を作るのも、俺は諦めなければならなかった。

(終)

581:2021/08/26(木) 21:14:53 ID:QeXEQgrM

今回はここまで。

59以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/27(金) 00:22:11 ID:KTkQGWHg
一気読みした。続き楽しみにしてる。

601:2021/08/27(金) 20:25:03 ID:ohkR6qHQ
>59
見てくれてるやつがいるとは思わなかった。
励みになる。ありがとう。

611:2021/08/27(金) 20:25:33 ID:ohkR6qHQ

投下する。

621:2021/08/27(金) 20:26:32 ID:ohkR6qHQ

今朝、ふと鏡台に目をやると、花札のような縁壱の耳飾りが置かれていた。

珍しく着け忘れていったのかと思い、届けてやろうと、身支度を整え家を出た。という

理由は建前で、本当は昼の縁壱の働きぶりを見てみたかった。本人からは、新参の者に

基礎的なことを教えているとだけ聞いていた。

あそこへ行くのは、縁壱に抱かれて初めて鬼狩りの所へやって来た時以来だったが、道

は覚えていた。

剣道場の庭に居並んだ隊士たちが掛け声とともに一斉に木剣を振るっている。懐かしく

感じられた。

いつの間にか、剣も私をあの家に縛り付けていたものの一つと考え、すっかり遠ざかっ

てしまっていたが、こうして眺めていると、私はただ純粋に剣の道が好きだったことを

思い出した。

こちらを見てざわざわ言い出した隊士たちに混じって、熱心に教えていた縁壱もこちら

に視線を向けた。

631:2021/08/27(金) 20:27:36 ID:ohkR6qHQ

「どうしてここに?!」

縁壱は羽織を脱ぎながら急いで駆け寄ってきて、私に自分の羽織を着せた。私は理由を

伝えて耳飾りを差し出した。

「ええ、それはわざわざありがとうございます」

なぜか少し慌てた様子の縁壱に、礼もそこそこに回れ右をさせられ、

「ここは危ないのです。血気盛んな者たちばかりなのですから」

と耳打ちされた。

足早に道場の外れまで送り出された。

追い返されてしまったようで少しおもしろくなく、縁壱の視界からはずれた、離れたと

ころから稽古を見物した。やっとうの規則正しい声の響き、素振りが空を切る小気味よ

い音、じゃりっ、と地を鳴らす力強い踏み込みの音に、耳を楽しませた。ちらちらとこ

ちらを見てくる隊士たちが、私がまだここにいることを縁壱に知らせないように願いな

がら。

しばらくそのままでいたが、ふと気が付くと、厳しい顔つきをした一人の剣士が、早く

帰れといわんばかりの険しい目を向けてきていた。

641:2021/08/27(金) 20:28:15 ID:ohkR6qHQ
        ※                 ※

屋敷に帰ると早速胸にさらしを巻いて、縁壱が素振りに使っている木剣を借りて庭に出

た。

剣を振るう懐かしい感触。

たちまち玉のような汗が滲んできて暑くなってきた。肩を抜いて、上衣を脱いだ。

人目を気にせずのびのびと剣を振るえるのが気持ちよく、夢中になって素振りを続けた。

じゃり…、と地を踏む音が背後から聞こえ、目をやると、一人の男が近づいてきていた。

良からぬ考えを持った不埒者であることは、にやついた顔からすぐにわかった。

先手を打って踏み込み、腹に一撃を見舞う。男は、うつ伏せに崩れ落ちた。呻き、痛み

に腹を抱えて蹲る。

もう一人が背後から突進してくるのを気配で察した。飛びつこうとするその男に、木剣

の柄を使って、やはり腹を突き、瞬時に動きを止めた。

三人目が抜き身の刃を構えて出てきて、そちらに向き直った。だが、顔に焦りが見える。

仲間二人を瞬く間に動けなくされたのが予想外だったのだろう。たとえ相手が真剣だろ

うと、使い手の腹が据わっていなければ、難なく弾いて打ち据えられる。そう思った。

651:2021/08/27(金) 20:28:47 ID:ohkR6qHQ

じりじりと歩を進めた。思った通り、相手は気圧されて後ずさった。

慢心であり、油断だった。

まだまだ蹲っているはずの最初の男が、這いつくばって密かに背後から近づき、着物の

裾が掴んでめくり上げた。とっさに着物を押さえようとして、私は体勢を崩した。

「剥け! とにかく、剥け!」

男が叫ぶ。勇気を得た他の二人も迫ってくる。

最初の男、なぜ動けたか。とっさに退いて衝撃の逃したか。今さら考えてもしかたない

ことだが、自分の甘さに歯噛みした。

「運べ! 運べ!」

三人の男に身体を捕らえられると、家の中に引き込まれてしまった。

手荒く畳の上に投げ出される。障子戸を閉められ、外からは見えなくなった。

仰向けの姿勢で腕をがっちりと押さえつけられた。上半身は、さらしを巻いただけの無

防備な状態だった。

661:2021/08/27(金) 20:29:14 ID:ohkR6qHQ

「なあ、こんなでかい乳揺らして、犯されたくて来たんだろ? そうなんだろ?」

男の一人が荒い息を吐きかけながら、さらしの上から両の胸を鷲掴んだ。悦に入った表

情で強く揉みしだいてくる。私は眉根を寄せて、口を引き結んだ。

「悠長なことしてんじゃねぇ! 急げ!」

「お、そうだな」

さらしを強引に引き下ろされ、ぶるんと乳房が零れ出る。

「あっ! 嫌ぁっ!」

「いーい悲鳴だぁ」

三人の男が争い、奪い合うように代わる代わる乳房を掴む。力の加減もなく、痛みが走

る。醜い指の跡が赤く残っていく。

潰されるかもしれないという恐怖で身が竦んでしまった。

ヒヒッ、という下卑た笑いが降ってきた。逆さまの顔が間近に寄ってくる。

「なぁ、俺にもあんたの観音様、拝ませてくれよ。毎日毎日、鬼にいつ殺されるんじゃ
 ねぇかと、怖くてしかたねぇんだ」

「ずりぃよな! 絶対に鬼に殺されそうもねぇいちばん強ぇのが、こんないい女にぶち
 こんで犯りまくってるなんてよ!」

671:2021/08/27(金) 20:31:12 ID:ohkR6qHQ

「そうだぜ! いつ死ぬかわからねぇ哀れな俺たちが観音様のお慈悲を分けてもらって
 も、バチは当たらねぇよなぁ!」

下衣に手をかけられ、脱がされそうになる。「馬鹿が! 破れ!」と他の一人が怒鳴っ

た。

ビイィィ!と布を裂く音。

犯される。私の奇怪な身体が晒されてしまう。  

あの家にいた頃に怖れていたことが現実になる。逃れられなかった。これから起こるお

ぞましい陵辱に対して、感覚が遮断されて目の焦点がぼやけ、現実感が失われた。

急に、押さえつけてくる重さがなくなった。

一瞬のうちに全員まとめて吹き飛ばされたようだった。現実から一時逃避した頭がはっ

きりと正気づくと、視界の横で、縁壱が不埒者たちを目にも留まらぬ速さで殴り続けて

いた。拳がみるみる血にまみれていく。

屈強な男三人を、抵抗を許さず、逃げ出す初動を的確に封じ、同時に折檻している。そ

んなことが可能なのか? 襲われそうになった恐怖も忘れ、ただ茫然と見ていた。

681:2021/08/27(金) 20:31:43 ID:ohkR6qHQ

男たちが動かなくなり、縁壱は荒々しく障子を開けて放り出した。男たちは、悲鳴を上

げながら縁側から庭へ落ちた。

「無事か!」

「間に合ったか?!」

「これはひどい有様だな。当然の報いだ、この恥曝しどもめ!」

外から駆け来る音と、数人の声が聞こえた。

縁壱が自分の身を盾にして中を覗けないようにしていたので、外の様子はわからなかった。

「いつかこうなるのではないかと危惧していたのだ、日柱。お前は少々浮き世離れが過
 ぎて、抜けているからな」

「面目ない。姉上を介抱してから戻る」

「応。乳繰り合うのはほどほどにな。それから、大事な細君に、鬼狩りの男どもの前に
 姿を晒すのは、狼の群に喰われに飛び込むようなものだとよく言い聞かせておけ!」

「すまなかった」

「私たちはこいつらを引っ立てて行く。…貴様ら、お館様の顔に泥を塗りおって! 
 相応の報いを受けさせてやる!」

691:2021/08/27(金) 20:32:15 ID:ohkR6qHQ

その声から、縁壱に抱かれて初めて鬼狩りたちと顔を合わせた場にいた、厳しい顔つき

の男だとわかった。

先刻、さっさとこの場からいなくなれといわんばかりの態度だったのは、あれは下卑た

男たちの視線から私を遠ざけようとする意図からだったか。そういえば、初めて会った

時も、とにかくあの場から私を遠ざけたそうだった。

縁壱がぴしゃりと障子を閉じた。

「姉上、さっきの言の通り、みだりに男たちの前に姿を現さないようにしてください」

抑制の効いた声で言いながら、懐紙を取り出し血塗れの手を拭った。真っ赤に染まる薄

紙、返り血の飛んだ鬼気迫る横顔と、先ほどの人間業とは思えない殴打。救ってくれた

という感謝や安心より、頼もしさより、怯えのほうが勝った。

そして出たのは、縁壱への非難がましい言葉だった。

「お前があそこまで人を傷つけるなんて…」

かつて、袋竹刀で人を打ちつける感触すら不快で、剣に興味がなくなったのではなかっ

たのか。それが、拳で滅多打ちに殴るとは。幼い頃とは想像もつかない姿だった。

701:2021/08/27(金) 20:32:57 ID:ohkR6qHQ

「姉上を穢そうとしたのです。あのくらい当然です。いえ、姉上を怖がらせただけで、
 万死に値します。それに、こういうのは見せしめが肝心ですから」

「だが…」

あの者たちとて死が怖かったのだ。それで女に乱暴するという蛮行が許されるわけでは

ないが。次の瞬間、はっとした。なぜ愚かにも、自分を犯そうとした輩をかばい立てす

るようなことを口にしてしまったのか。

縁壱は目を眇めて私を一瞥し、無言で袴を下ろして男根を取り出し、私の破れかけた下

衣を完全に裂いて、膝裏を持って足を開かせた。

「こんなに肉芽を尖らせて」

「え…?」

その一連の動作がやはり目にも留まらない素早さで、何をされるのか頭が追いつかなか

った。

「蜜壺が口を開いて、泡まで吹いていますよ」

そう口にしながら、先端を押し当て、いきなり無遠慮に打ち込んできた。

711:2021/08/27(金) 20:33:26 ID:ohkR6qHQ

「ひ…、いやああぁぁっ!」

背が仰け反った。広げられることなく、太い男根を膣内に飲み込まされた。痛みはなか

った。犯されそうになった私は、すでにぐちゅぐちゅと音が鳴るほど中を濡らしていた。

「あのですね、姉上。私は任務で夜、この屋敷を空けることもあるのですよ」

激しく動かしながら、縁壱が淡々としゃべり続ける。中を犯す男根は焼けるように熱い

のに、口調は冷たかった。

乳房が上下に大きく揺さぶられ、強く握られた時の痛みがぶり返す。

「嫌だ! やだ…! 抜いてくれ! 抜いて…! 痛…! あ、あぁっ!」

首を振って懇願した。これでは、あの続きと大差がないではないか。肩に手を当てて押

し返そうとしたが、男の力に抗えるはずがなかった。

「あの者たちがさらに無頼の徒を加えて大挙して襲いに来たらどうするのですか」

「やあああっ! あ、あ、やぁっ!」

「精にまみれた姿で、帰った私を出迎えるつもりですか?」

その想像に、ひく…、と喉がひきつった。うまく息ができなくなる。

721:2021/08/27(金) 20:33:59 ID:ohkR6qHQ

「このいじらしい肉芽とて、私のように大事に扱ってくれるとは限らないのですからね」

乾いた指で尖りきって敏感になった肉芽を挟み込まれ、鋭い痛みが走る。そのままひね

り上げられ、指で弾かれ、やわく押しつぶされて、痛みと恐怖で涙が滲んだ。

「女陰(ほと)を犯されるだけではすみません。この麗しい唇にも、尻の穴にも、不浄
 な魔羅をねじ込まれて、次から次に新たな男たちに休むことなく犯され続けるのです
 よ」

その言葉を聞いて、何度も襲われそうになった過去を思い出してしまった。

四方八方から手が伸びてきて、着ている物を剥がれ、全身を露わにされ、あと一歩及ば

ないところで撃退してきたはずの無数の手がびたびたと無防備な肌に貼り付いて、ぞわ

ぞわ撫で回してくる。

目を閉じていると、縁壱ではない誰かに犯されている想像をしてしまう。そう、好いて

もいない男にこうされていてもおかしくはなかったのだ。

「そんな恐ろしい想像をさせないでくれ…」

背筋が冷える。なのに、男根を咥え込む肉襞は想像に煽られて、さらに中を潤ませ、も

っとと熱く欲しがっている。あまりに淫らな自分の肉体が嫌で、私はみっともなく泣き

出してしまった。

731:2021/08/27(金) 20:34:45 ID:ohkR6qHQ

「すいません、前もって注意しておかなかった私の手落ちです。姉上は何も悪くありま
 せん」

灸を据えすぎたと思ったのか、縁壱が急に弱気になり、涙をこぼす私を慰めた。

「そのように泣かないでください。可愛くて…、腰が止まらなくなってしまいます。戻
 らなくてはいけないのに」

頬を撫でられ宥められても涙は止まらず、私はなおも泣き続けた。

泣き出してからはためらいがちに突いていた動きが、再びどんどんと激しさを増してい

く。

「や…っ! 縁壱…、激し…、ふ…、ぐすっ…、あ、あっ! ん…、あ…!」

揺らされるままに、嗚咽の混じる喘ぎ声が漏れた。

「すみません、姉上…」

縁壱が謝る。しかし、怖れで緊張していた身体は解れ、次第に汗ばんでくる。安心か

ら、快感を素直に受け取れるようになっていた。

「あ、あぁ…、い…ぃ…、よ…、い…ち…、も…、イク…!」

741:2021/08/27(金) 20:35:19 ID:ohkR6qHQ

自分の足を男の腰に絡めてぎゅっと引きつける。びくん、と腰が跳ね、私たちは同時に

果てた。強く抱き合い、いつまでも長い余韻の続く中で、いつ終わるか知れない射精を

受け止め続けた。

息が整うと、私は手の甲で目と頬を拭い、無理矢理、涙を止めた。

「戻って、務めを果たしてこい。私は大丈夫だ」

「ですが…」

縁壱はまだ心配して、去りがたそうだった。

「悪いと思っているなら…、夜は優しくしてくれ」

恥ずかしさから、顔を背けながらそう言った。

「ええ、必ず」

そうして、縁壱は着衣の乱れを整えると、私に貸した羽織を着て、再び出かけていった。

        ※                 ※

751:2021/08/27(金) 20:36:22 ID:ohkR6qHQ

その夜は、縁壱の腕が泣きたくなるほど優しくて温かくて、いつしか感情が堰を切って

溢れ、気付けば思い切り泣きじゃくっていた。

あの家にいた頃、父に見放され、どれだけ孤独で、日々襲われそうになる恐怖に怯えて

いたかを、しゃくりあげる中で途切れ途切れに告白した。

ひとしきり語り終えると、私は涙を止めた。

「もうこのことでは泣かない。めそめそした私を気遣ってくれて、すまない。お前に我
 慢をさせてしまった。かなり辛いのだろう?」

中でどくどくと激しく脈打つ男根が、もうだいぶ前から硬くて、はちきれそうで、限界

の近い凶暴さを主張し、絡む肉襞を通して伝えてきていた。

761:2021/08/27(金) 20:36:57 ID:ohkR6qHQ

「私の不安を全て拭い去ってくれたのは姉上です。このくらい、当然のことです」

「お前がそこまで言うほど、私に何ができたのかは知らないが…」

縁壱とひたと目を合わせた。

「お前になら何をされてもかまわない」

「姉上…」

気遣いと、愛しさと、雄の欲望がせめぎ合う、何とも言えない熱っぽさをこめて呼ば

れ、強く抱きすくめられた。

好いた男から欲をぶつけられるのは嬉しいものなのだということを、私はこの時初めて

知った。


(続)

771:2021/08/27(金) 20:37:26 ID:ohkR6qHQ

今回はここまで。

781:2021/08/29(日) 20:55:20 ID:Em11gPg6

投下する。

791:2021/08/29(日) 20:55:50 ID:Em11gPg6

それから、一、二ヶ月が経ち、ある時、不意に縁壱が淡泊になった。

その頃はやたらと眠気が強く、最初のうちはありがたかった。眠いのは新しい環境

に変わった疲れが今になって出たためだと思っていた。

徐々に物足りなくなってきたが、「もっとしてほしい」とは、はしたなくてとても伝

えることができなかった。身体を疼かせて縁壱の帰りを待ち、しかし、抱かれても淡

泊な交わりには満足できず、疼きが毎日持ち越されてしまう。

それが続くうち、持て余した熱を懸命に立ち働くことと、木刀を振るうことで誤魔化

した。ふとした折りに、「もしや飽きられたのだろうか?」と気鬱にもなった。思え

ば、極端に心の持ちようが上下するこのこと自体がおかしかったのだが、自分では気

付けなかった。自分の身体のことだというのに。

賄い方で手伝いをしている最中、いつも通りに味付けしたはずの料理が、かなりおか

しな味に感じられた。それを女中頭に伝えると、あらあらまあまあ! と大げさに驚

かれ、

「ここはもういいから! 自分のことだけ考えて身体を大事にね!」

と強く念を押され、帰されてしまった。

801:2021/08/29(日) 20:56:58 ID:Em11gPg6

自分が気付いていないだけで、何か深刻な病を得てしまったのだろうかと、さらに気

鬱になった。

        ※                 ※

「姉上、大事な話があります」

翌日の夜、日々積み重なる違和感のせいで不安になっていたところに、縁壱からこう

切り出された。

様々な理由が頭の中に渦巻いた。やはり、双子の姉を妻にしていることに心が咎める

のか。それとも、私のような奇怪な身体の女ではなく、普通の身体の女のほうがよく

なったか。あるいは、未遂に終わったとはいえ、複数の男の手が肌に触れた私を汚ら

わしい物と許せなくなったか。

思い当たることが多く、縁壱が淡泊になるのも無理はない。別れを告げるつもりなの

だろう。夢のような生活は、終わるときも夢のようにあっさり終わる。仕方のないこ

とだ。私はすでに覚悟を決めていた。

811:2021/08/29(日) 20:57:37 ID:Em11gPg6

けれど、縁壱の口から出たのは、予想外のことだった。

「姉上は、祝言を上げたいですか?」

思わず、ぽかんとしてしまった。

「私は、こういったことには不調法なもので」

言葉の意味が頭に染み通る前に、縁壱は続けた。

「煉獄殿から言われたのです。煉獄殿は奥方と女中頭から、早く私に確認させるよう、
 せっつかれたそうですが」

『内心は祝言を上げたくとも、女のほうから言い出すのは恥ずかしいのかもしれぬ。
 あの風情と教養。姉君はかなりの家柄の出と見受けられる。奥ゆかしさから口に出
 せないならば、男のほうからちゃんと訊いてやるべきだ』

「それから、祝言を上げるならば、お腹が大きくなる前がよい、とも。なので、姉上
 の本心をお訊きしたいのです。私と祝言を上げてくださいますか?」

「『お腹が大きく』…?」

縁壱がこくりと頷き、嬉しそうに告げた。

「孕んでおられます」

驚きのあまり、私はつい大声を出してしまった。

「なぜ今まで言わなかったのだ?!」

821:2021/08/29(日) 20:58:22 ID:Em11gPg6

「姉上が自覚されるまでは、まだふたりだけの睦み合いを楽しみたかったので。とは
 いえ、最初の大事な時期ですから、お身体に負担をかけないようにはしましたが」

「だとしたら、ずいぶん前からではないか!」

「ええ。それに双子ですので、これからが大変かと」

色々なことが腑に落ちた。気鬱が跡形もなく散じ、大きく安堵の溜め息を吐いた。嬉

しさと多幸感がわき上がってきて、自然と腹に腕を回し、ぎゅっと抱き締めた。そう

して、しばらく喜びを噛みしめた。私たちの間に、温かく満ち足りた沈黙が流れた。

しばらくして、縁壱が期待を込めた声で訊いてきた。

「話は戻りますが、私と祝言を上げてくださいますか?」

その途端、すっと頭が冷え、小さく身体が震えだした。

「…嫌だ」

絞り出すように喉から声が出た。私の様子がよほど異様だったのだろう。とっさに縁

壱が身を乗り出して私を抱き締めた。

「姉上、どうされたのです?」

「祝言は上げない。それは…、駄目だ」

831:2021/08/29(日) 20:58:57 ID:Em11gPg6

「なぜですか?!」

縁壱がらしくもなく語気を強める。私が身籠もっていなければ、肩をつかんで揺さぶ

っていただろう。

「私たちは姉弟なのだぞ。もしそのこと明かしたら、素直に祝ってくれる者はいまい。
 黙っているだけとはいえ、周りを騙しているのと変わらないのだ。申し訳なくて、手
 放しに祝われるわけにはいかない」

ここに来てから出会った者、一人一人の顔を思い出す。良い人が多いだけに心苦しかっ

た。

縁壱はじっと私の顔を見つめていたが、やがて肩を落とした。

「姉上のお気持ちはよくわかりました。止めることにいたしましょう。煉獄殿への断
 りは、私がいたします」

縁壱が私を強く抱き寄せ、自分の胸に私の頭を押しつけた。

「それでも、人に姉上を私の妻として紹介すること、私が姉上の夫として名乗ること
 は、許してくださいますね?」

縁壱の腕の中で、こくりと頷いた。

それから、私たちは深く長い口付けを交わした。

841:2021/08/29(日) 20:59:28 ID:Em11gPg6

名残惜しく唇が離れると、まじまじと見つめ合った。縁壱の目の奥に残念そうな色が

湛えられていた。

祝言を望んでいたのは、実は縁壱のほうだったのではないか、と感じた。もしかした

ら、縁壱にとって大事なことだったのかもしれない。諦めさせてしまったことを申し

訳なく思った。

「今夜はこのままお休みになりますか?」

「え…?」

「大事な時期ですから」

立ち上がる縁壱の単衣の裾にとっさにすがりついて引き留めた。

孕んだことを告げられはしたが、未だに実感がない。身体は毎日疼きを蓄積したまま

だった。

「そうはいっても…、お前は…、溜まっているのだろう…?」

本当は自分がしたくてたまらないだけなのに、浅ましくも、私は縁壱のほうに理由を

押しつけた。

851:2021/08/29(日) 20:59:59 ID:Em11gPg6

「それは…、そうですが…」

歯切れが悪い。やはり、縁壱のほうも熱を持て余しているのだとわかって、私は思い

きって言った。

「教えてくれれば…、私でも手の技でお前を満足させてやることができる…か…?」

「姉上がそのような」

私は縁壱の言葉を遮った。

「お前の優しさに甘えてばかりなのだ。できる限りのことはさせてくれ。つわりが始
 まれば、このようなことはできなくなるのだから」

それでも逡巡していたが、誘惑に負けた縁壱がついに帯を解く。私は立て膝になって、

目の前に現れた男根が、半勃ちの状態から天を向いて膨張していく様を間近で眺め、下

が濡れるのを感じた。

どくどく脈打つそれに、おそるおそる手を伸ばす。握り込むと、心臓が激しく打った。

縁壱の指示通りに力を加減し、ゆっくりと上下に動かす。たちまち先端から透明な液

体が漏れ、私の指に絡み、ぬちぬちといやらしい音を立てた。

861:2021/08/29(日) 21:00:29 ID:Em11gPg6

「姉上、もっと速く…」

言われた通りにした。男根がまた一段と大きくなり、私の期待を煽った。尖った肉芽

が布地に擦れる。

「あ…」

激しく扱くと、私自身の身体も大きく揺れる。上下に扱く動きにあわせて腰をよじら

せて肉芽を刺激してしまう。乳首も硬くしこり、同じように擦れ、快感が身体を貫い

てくる。

「もっと…、お前が気持ちよくなれる方法はあるか…?」

自分ばかりが気持ちよくなってしまい、これでは本末転倒と、縁壱に訊いた。縁壱は

また「姉上にそんなことはさせられません」とためらっていたが、軽い押し問答の末、

「口に含んでください…」

と半ば諦めたような、期待で嬉しいような、微妙な声音を発し、やっと折れた。

ところが、いざ口の中にくわえようとしても、男根が大きすぎて、先端ぐらいしか口

の中に包めなかった。ぬるぬるした苦い体液の舌触りと味が口の中に広がる。

871:2021/08/29(日) 21:00:56 ID:Em11gPg6

「いいのですよ。無理をしなくて。姉上は口が小振りなのですから」

優しく頭を撫でられた。

上を見上げると、縁壱は生殺しを我慢している、とても辛そうな表情になっていた。

「どう…したらいい? どうすれば、お前は満足できる?」

「胸に、姉上の胸に、挟んでください」

余裕のない上擦った声で懇願された。

縁壱があまりにも苦しそうで、私は焦って単衣の前を開いた。いつ見てもはしたない

と恥ずかしくなる大きな乳房が、ぶるんと零れ出る。

乳房を支え持って熱い男根を挟んだ瞬間、うっとりとした溜め息が聞こえてきた。

男を包み込んだ乳房を、支えた手で横から男根にぎゅっと押しつける。胸の谷間は、さ

きほど噴き出した先走りでもうぬるぬるになっていた。大きく上下に動かし、男根の

先端が口に近づくたび、それを吸った。

「ん…、ちゅ…、んん…、ふ…、ちゅ…、ん…」

そうして擦りながら、自分でも乳首を刺激し、より肉芽が擦れるように腰を動かした。

私自身も夢中になっていた。

881:2021/08/29(日) 21:01:26 ID:Em11gPg6

「姉…、上…」

縁壱が呻いて、勢いよく白い精が飛び出した。口元を中心に顔にねっとりとした精液

がかかる。

びくびくと痙攣しながら大量の精を吐き出す男根の迫力に圧倒され、これを中で味わ

いたいと願ってしまった。生々しい雄の匂いに包まれながら。

「あ…」

腰が砕け、立て膝の格好から畳に座り込んだ。

顔を精液まみれにし、全く萎えない男根を見上げて凝視しながらしばらく惚けている

と、縁壱に抱き取られて、丁寧に布団に寝かされた。

「あんっ! ひゃ…う!」

いきなり乳首に強く吸い付かれた。

「あ…、やぁ…、な…で…?、急に…?」

「あと少しで赤子の物になってしまいますから、今のうちに楽しみませんと」

さっきまでのためらいはどこにいったのか、縁壱は無遠慮に胸を弄んできた。好き勝

手に揉み、吸い、甘噛みを繰り返す。

891:2021/08/29(日) 21:01:54 ID:Em11gPg6

縁壱の大きな手。その指の間からはみ出す乳房の肉。

今まで大きな胸をはしたないと恥じてきたが、こんなにも縁壱が喜んでくれるなら、と

私も嬉しく感じられた。

「ん…あぁ…、ああ…、ふ、あぁ…」

乳首をやわく噛まれ、刺激が直接下腹に届いて疼かせる。さらに一気に愛液が分泌され、

動いてしまいそうになる腰を必死で押しとどめた。

やがて縁壱が口を離し、「堪能しました」といわんばかりに、その唇を舌先でぺろり

と舐めた。

「縁壱、入れて…、入れ…てぇ…、お願…だから…」

私は自分から帯を解き、足を広げ、恥じらいも何もかなぐり捨てて懇願した。もう女

陰(ほと)が充血して痛いぐらいだった。

「ですが、姉上の負担になってしまいます。指でして差し上げますから…」

「嫌…、奥で…、奥に欲しい…のだ。奥がいい…」

奥、奥、と何度も譫言のように繰り返した。

901:2021/08/29(日) 21:02:23 ID:Em11gPg6

身体を気遣ってくれる縁壱の優しさに泣きたくなるが、自分の淫らさにも羞恥を煽ら

れ涙が出る。

目尻の涙を唇で拭い取られ、男根が入り口に押し当てられると、ゆっくりと入ってき

た。最奥に行き当たり、そこで止まる。

「あ、い、い…、そこで…、ゆっくり小刻みに動かしてくれ…」

縁壱はその通りにしてくれた。男にとっては充分な快感が得られず生殺しだろうに。

「あ、あ、あ…、ああああぁっ!」

極限まで興奮しきっていた私の身体は、あっけなく達してしまった。奥で達けた満足

感に浸っていると、息を乱した縁壱が急にずるりと抜いた。

仰向けの私の目の前で激しく男根を扱く。ぬちぬちという音が響き、先端から垂れる
透明な液体が私の顎にかかる。いつ爆発するかと視線が釘付けになってしまった。

「…! 姉上…っ!」

縁壱が動きを止めた数瞬後、放たれた精が顔に大量に降りかかってくる。身を震わす

度にぱたぱたと落ちてくる。白い子種が私の顔を覆い、溺れそうな錯覚を覚えた。

911:2021/08/29(日) 21:02:52 ID:Em11gPg6

絶頂の余韻もまだ引かず、私がはぁはぁと息を吐いていると、縁壱が私の顔に付いた

精液を指ですくって、口元へ持ってきた。私はその指に吸い付いた。ごく自然にもっ

たいないと思ってしまい、指をしゃぶって舐めとり、飲み下す。それを繰り返した。

あらかた綺麗になると、縁壱が訊いてきた。

「姉上…、もっとしたいですか?」

私はこくこくと何度も頷いた。これで終わりでは私のほうも生殺しだった。一度達し

ただけで満足できるわけがなかった。

「では、うつ伏せになってください。そう、そして腰を高く上げて…」

素直に従う。後ろから激しく犯されるのを期待した。

「足をぴったりと閉じて…」

尻の肉をさわさわと撫でられ、尻たぶをつかんで左右に広げられた。

「ふ、あああっ?!」

足の付け根と女陰(ほと)に挟まる場所に男根を挿入された。愛液でぬるぬるになっ

たそこはずるりと男根を通し、前側に先端が顔を出した。

921:2021/08/29(日) 21:03:20 ID:Em11gPg6

「腿で締めてください。ええ、そうです。上手ですよ…」

最初は驚いたが、意図がわかると、私は懸命に内腿に力を込めた。

女陰(ほと)の表面の媚肉も充分すぎるほど敏感になっていた。さらに、通過する度

に亀頭と肉芽が接触して擦れ、雁の段差で肉芽が弾かれる。

「あんっ…、ひゃ…、う…、あ…は…、ああ…」

腰を打ち付けることはせず、しかし素早い律動で股の間を犯される。

「あ、やぁっ!」

同時に、両の乳首をつままれてくりくりと刺激された。上体を支えていた腕から力が

抜け、顔が布団に突っ伏す。

「あんっ!」

尻たぶを軽く叩かれ、背が仰け反る。

「ひゃっ…! う…!」

もう一度叩かれ、きゅっと腿に力を入れ直した。少しでも気を取られると、力が緩ん

でしまう。

931:2021/08/29(日) 21:04:11 ID:Em11gPg6

私は脚の間に手を伸ばした。男根の先端が顔をのぞかせるたびにぬるぬるのそれを握

り、肉芽との摩擦を大きくする。それから、縁壱から教わった手技どおりに敏感な雁

首を刺激した。

「姉…上…、それは気持ちよすぎます…」

上擦る縁壱の声。余裕のないそれがたまらなく嬉しい。

「縁い…ち…、あ…あ…、あ、あ、あ…」

限界が近いのか、動きが激しくなっていく。弾かれる肉芽の刺激で、私も昇り詰めて

いった。

「あ、いい…! イク…、縁壱…、イク…!」

「姉上、一緒に…!」

「! い…、ああああっ!」

達した瞬間は、むしろ腿がぎゅっと締まった。縁壱が私の手の中で射精した。

熱く粘る精が迸るのをこぼさないように手で受け止めた。

941:2021/08/29(日) 21:04:39 ID:Em11gPg6

それから、力が抜けて布団に突っ伏した。蕩けた思考の片隅で、開いた脚の間で湯気

を立てた女陰(ほと)がひくひくとわなないている様を見られてしまっているだろう

と思いながら。

「ん…、ん…」

精液の絡んだ指先をしゃぶった。濃いところは喉に引っかかって一度には飲めないの

で、少しずつ口に入れて唾液と混ぜて飲み込もうとした。

「姉上、あなたという人は、どこで男を煽る媚態を覚えてきたのです?」

そんなつもりはなかったのに、縁壱に腰を引き起こされた。また女陰(ほと)に男根

をすり付けられ、私は脚を閉じた。

それから、何度も何度も、お互いため込んでいた熱を吐き出し絞り尽くした。


(続)

95以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/29(日) 21:05:17 ID:Em11gPg6

今回はここまで。

あと2回で終わる。

961:2021/08/31(火) 18:59:55 ID:AXOzmq/c

投下する。

971:2021/08/31(火) 19:00:26 ID:AXOzmq/c

季節がふたつ過ぎた頃、私は玉のような男の双子を産んだ。

どちらも縁壱そっくりで、同じ場所に似たような痣があった。

産婆が慣れた手つきで産湯に入れ、おくるみに大事に包んでくれた我が子を見て、縁壱

は何度も私に感謝し、たいそう喜んだ。赤子をその腕に抱き締めると急に静かになり、

無言ではらはらと涙を流した。

深くは訊くまい、と私は思った。

双子ともに幸い丈夫で病気もせず、小さい時の縁壱のように大人しかった。気構えてい

たのに、拍子抜けするぐらい赤子の世話は楽だった。「もっと手をかけたいのに」と独

りごちたのを、訪ねてきて色々教えてくれる奥方と女中頭に聞かれ、「男の子は動き出

してからが大変よ」などと脅かされたりした。

そうして、子煩悩で世話好きな縁壱とともに、のどやかな日々はあたたかく過ぎていっ

た。

981:2021/08/31(火) 19:00:55 ID:AXOzmq/c

出産から一ヶ月余りを過ぎた頃、寝所の襖を細く開け、今夜だけ隣の部屋に寝かせた子

供たちがよく眠っているのを確かめた。

安らかな呼吸を繰り返す無垢な寝顔を眺めていると、あの子たちとそっくりだった縁壱

を生まれた時に殺すつもりだった父の気持ちは到底理解できなかった。また、人形のよ

うに大人しかった母がそのことに怒り狂った気持ちがよくわかった。

大事に育てようと誓った。

襖を閉め、向き直る。延べた布団の上に座る縁壱に近づく。

「よく眠っている」

「姉上のおかげです。子らが健やかで、本当に元気なのは」

そういって縁壱は、立っている私を抱き寄せ、腹部に頬を押し当てた。

「ずっと抱きたくて焦がれていましたが、今宵は無茶はいたしません。子を産む試練に
 耐え、これからは子を育てていく尊い身体ですから」

「大げさな。お前は私を崇めすぎだ」

「決して大げさではありません。姉上は私の望む物を全て与えてくれました」

991:2021/08/31(火) 19:01:17 ID:AXOzmq/c

そして、私を見上げ、

「何でもいたします。姉上の悦いように」

まっすぐにこちらを見つめる目が気恥ずかしくて、視線をそらした。

「願いを聞いてくれるなら、今夜はただの女に堕としてくれ…」

潜めた声で希望を伝え、片手を縁壱の頬に添えた。

「待ち焦がれていたのは私も同じだ。無茶を…してくれてかまわない」

縁壱はすっと立ち上がり、顎を取って私を上向かせ、覆いかぶさるように口付けを落と

した。大きな男の肉体に包み込まれて母としての意識が脆く去り、女としての自分が目

覚めていく。

縁壱が軽く呼吸を乱しながら、首筋に舌を這わせていく。肌が馴染んで触れ合った箇所

同士がもう離れがたい。

逞しい男の腕の中で私も身体を火照らせ、広い背中に腕を回して存在を確かめた。縁壱

が生きていてくれてよかったと心から思った。

再度舌を絡めながら私の帯を解き、肩を抜いて単衣を床に落とした。がっしりとした腕

が腰を抱いて支え、無骨で太い指が女陰(ほと)に忍び込んでくる。

1001:2021/08/31(火) 19:01:46 ID:AXOzmq/c

私も縁壱の帯を解いて、単衣の前を開いた。上向いた男根が熱く下腹部を叩く。焦る指

の動きでぐずぐずに蕩かされ広げられる膣が、期待でますます濡れ、しとどに溢れる愛

液が足首まで垂れた。

押し当てた乳房の頂も硬く勃ち、白く半透明の母乳が滲んで互いの間を濡らす。

縁壱が指を抜き、腰を落としてそのまま布団の上に座り、私の腕を引いて胡座の上に腰

を下ろすよう促す。

私は自ら手を添え、男根の先端を充血した媚肉に押し当てた。

待ちかねていた雄を迎え入れる。侵入してくるそれは、すぐに甘い快感を呼び起こした。

中程までは簡単に入った。そのまま重みによってより深く受け入れようとした。くらく

らと酔うような心地だった。

「…ひぅっ!」

ところが、突然、奥にぴり…とした刺激が走った。とっさに縁壱の頭を胸に抱え込み、

それを支えに腰を浮かす。

1011:2021/08/31(火) 19:02:42 ID:AXOzmq/c

「わぷっ?!」

奥の異常に驚き、思わず縁壱の顔に胸を押しつけてしまった。母乳を出すためにふた回

りも大きくなった乳房に埋まった縁壱に、乳首を口に含まれ、じゅっ、と強く吸われた。

「あんっ?!」

はしたない声をあげてしまう。縁壱は私にかまわず乳首に吸いついたままで、口の中に

母乳が溜まると、ごくりと飲み下した。

「どうしたのですか、姉上? 痛いのですか?」

白い乳で濡れた顔が、胸の谷間から私を見上げてくる。

「痛いわけではない。奥が…おかしいのだ…」

「ああ、これは…」

言いながら、軽く数度小突いてきた。

「やっ! いやっ、乱暴にしないでくれ…」

縁壱はすぐに止めてくれた。

「私の形をすっかり忘れておいでで」

そんなことがあるのか、と思ううち、ゆっくり後ろに押し倒された。

1021:2021/08/31(火) 19:03:10 ID:AXOzmq/c

「あ…」

「荒療治ですが、無茶をしてもいいと許しをいただいてますので」

息を弾ませた縁壱に膝裏に手を添えられて、脚を大きく開かされる。奥のあたりを数

度、小刻みに強く突かれた。

「あ…、あ…、ひ…ぃ…! あぁ!」

ごりごりと硬い男根が、閉じていた大事な場所を暴いていく。

「だ、駄目…、んあ…、ああっ! ふ…、ああっ!」

ずぐ…、とこじ開けられる音が、体内で響いた気がした。

「やっ、ああぁっ!」

子宮の入り口に先端が届いた。こりこりした入り口を小突かれ、肉襞がいやらしく男根

に絡みついていく。まるで、欠けていた物が埋まるのを喜んでいるようだった。

「もう大丈夫のようですね」

内壁の淫らな変化が縁壱にも伝わったのか、容赦のない突きが始まった。

「あぁっ! あぁっ! ん、あっ! ひ、…ん、ああっ!」

さほど時間がかからず、互いに溜め込んでいた熱はすぐに放出された。

1031:2021/08/31(火) 19:03:37 ID:AXOzmq/c

久しぶりの中での絶頂にのたうつ身体に、大量の精が注ぎ込まれる。

「あぅ…、ひ、あ…、待て…、待って…、縁壱! やあっ!」

余韻を味わう間も許してくれなかった。激しく出し入れされ、さきほど注ぎ込まれた精

が、白く泡立って繋がった部分から漏れる。

「お願…、もっと…、ゆっく…り…、あ…、い、やああぁっ!」

二度目も、縁壱とともにすぐに達してしまった。

「あ、あ…、ん…」

溢れる雄の粘液が内側を撫で回していく。懐かしいその感触を心ゆくまで味わった。

隙間なく抱き合って少し落ち着いた頃、

「子を産むと具合が良くなるというのは、本当なのですね」

縁壱が満足げなため息をつきながら呟いた。

久方ぶりの子種を浴びて喜んでいる子宮と内壁が、きゅんと締まった。生殖の本能に突

き動かされ、さらに縁壱から搾り取ろうとする淫らな動きを始める。それを悟られるの

が恥ずかしく、身を離して男根を抜いた。熱い精液が外に溢れ、内股を伝い落ち、布団

を汚していく。

1041:2021/08/31(火) 19:04:10 ID:AXOzmq/c

縁壱が怪訝そうな顔をする。

「またすぐにできたら、困る。その…、次も丈夫な子が産まれるとは限らないのだし…」

私は歯切れ悪く弁解した。抜いた途端に肉襞が淋しがり、男根を追いかけ収縮していく。

もっと子種が欲しいと叫んでいるようで、恥ずかしかった。

「何より…、身籠もっている間ずっと、満足にお前と目合えないというのが…」

これは本心だった。子を腹の中で育んでいる最中に、何度縁壱の股間の辺りを物欲しげ

に見つめてしまったことか。すぐに目をそらしはしたものの、きっと気付かれていただ

ろう。

「もう中に出してしまいましたが」

「そうすぐには孕まない…、と思う」

言いながら、下腹を軽くさする。乳が出ている間はできにくいと聞いた。

「そうですか。では…」

縁壱が、つぷ…、と中に指を入れ、敏感な部分を探り当てる。

1051:2021/08/31(火) 19:04:38 ID:AXOzmq/c

「ん…っ! あっ! あ、はぁ…っ! あああぁっ!」

そこばかりを擦られ、軽く叩かれ、ぶしゃっ、と透明な体液が噴き出す。漏らしたのか

と思ったが、これが潮吹きというものだと後から知った。

それを淡々と事務的に続けられ、何度も立て続けに達かせられた。

自分ばかりが発情した獣のような痴態を晒しているようで、激しい羞恥にさいなまれた。

「なんで、あ…、私…ばかり…。怒ったのか…?」

「怒ってなどいません」

「お前も気持ちよくなってくれ…。頼むから…入れて…」

懇願したが、返事はなかった。器用に、指の愛撫のみで私を達かせ続ける。

久しぶりの目合いに水を差してしまったことに機嫌を損ねたのか?

そう考えている間にも、身体はどんどん絶頂を迎える。腰から下の感覚は、もう快感し

かなかった。縁壱の意図が読めなかった。

「そろそろよろしいでしょうか」

やっと縁壱が指を抜いて、待ちかねた男根をくれた。ぐぶりと膣肉を押し分けて、硬い

それが入ってくる。

1061:2021/08/31(火) 19:05:03 ID:AXOzmq/c

けれど、縁壱は動かず、

「女陰(ほと)がここまで緩くなれば、もう大丈夫ですね」

そう言って、後ろに指を忍ばせた。私はやっと意図を理解し、身体から血の気が引いた。

「ああ、逃げないでください」

逃げようとしても無理に決まっていた。身の内深くに楔を打ち込まれているようなもの

なのだから。それでも、抵抗せずにはいられなかった。

「大丈夫、大丈夫ですから。怖がらず、力を抜いていてください」

まるで小さな童をあやすように、空いた手で背を撫で、あくまで優しい声をかけてくる。

その声音と、これから私の身に起こるだろう予測との隔たりが激しく、恐怖でうなじが

そそけだった。

縁壱の太い指に強く押され、愛液と精液にまみれているそこは、簡単に指を受け入れた。

「う、あぁっ!」

思わず、叫んだ。実際の感覚よりも、精神的な衝撃のほうが大きかった。縁壱の身体に

しがみついて、ぶるぶると身体を震わせた。

1071:2021/08/31(火) 19:05:30 ID:AXOzmq/c

おかまいなしに指が増えていき、後ろをこじ開けていく。薄い壁をはさんで、指と男根

が触れ合うのを感じる。丁寧に広げられる長い時間、涙を滲ませ荒い息を吐きながら、

ひたすらに耐えた。

「姉上…、入れますよ」

縁壱が、しがみついていた私の身体を布団に押さえつけ、膣から抜いて、間髪入れず、

ぬらぬらした男根を後ろの穴に打ち込んできた。

大きな物が、ずるん、と一気に入ってくる。

「…! いや、やあっ! ん…、ふ…、く…、あぁっ!」

「すごい…ですね…。どこまでも入っていって…」

ぐいぐいと押しつけられるままに、指よりも奥へ、どんどん男根が侵入してくる。

「根元まで入ってしまいました。思ったとおり、ちょうど良い締まり具合です」

血の気が引いた身体に、一気に熱が戻ってくる。

「嫌ぁ…っ! 苦し…っ!」

呻く私に、縁壱は軽く口づけを落とした。

「やだ、苦しい…、やだ…、抜い…っ、抜いてくれ…!」

1081:2021/08/31(火) 19:06:00 ID:AXOzmq/c

指どころではない大きさと太さに陵辱され、ぼろぼろ涙を流した。指の届かなかった奥

を拡張してくる質量におののく。

「お望み通り、しばらく子を作らないならば、こちらも使えるようにしておきませんと」

縁壱はそう言って、私の腹を優しく撫でた。

「私たちは双子でしたし、子たちも双子で、姉上は双子腹かもしれないですね。毎回双
 子を孕んで大きなお腹を抱えるのは大変でしょう」

顔中に口付けを降らせてくる。

「子供は好きですが、私も姉上に何度も子を産む負担をかけるのはしのびないので」

思いやりに満ちたことを口にするが、その実、欲望むき出しの眼がこちらを視ていた。

「ちゃんと日を数えて、孕みそう日はこちらを使わせていただきます」

「いやっ、いやあっ! ひど…い…、う、あぁ、あう…!」

こんなことは望んでいない。

縁壱になら何をされてもいいと思っていたが、この羞恥と苦しさはとても耐えられそう

になかった。

「姉上の泣き顔はすごく可愛いですね。前にも言った気がしますが、本当に…、腰が止
 まらなくなってしまいます」

1091:2021/08/31(火) 19:06:38 ID:AXOzmq/c

目を細め、穏やかに笑う。だが、その眼には、やはり猛る欲望が宿っていた。

どれだけ懇願しても受け入れてはくれない。無慈悲な現実に絶望した。

確かに「堕としてくれ」と口にしたのは自分だが、ここまでされるとは思っていなかっ

た。

縁壱は優しい。いつも私を気遣ってくれる。その優しさ故に、解放された雄の情欲を甘

く見ていた。

後ろを突きながら、膣の中にも指を入れられた。さっきのように敏感な所を擦られ、さ

らに親指で肉芽を嬲られる刺激も追加された。

「ひっ! あああぁぁっ!」

身体が跳ね上がり、男根が抜けそうになる腰を押さえつけられる。

「は…、苦し…い…。気が…狂う…。止めてくれ…」

びくん、びくん、と大きく痙攣し、噴いた潮を撒き散らす。あられもなく浅ましい姿を

さらしてしまう。

「おかし…くなる…、身体がおかし…なるから、もう…!」

肉芽を軽く押しつぶされる。なぜか乳首から母乳が漏れた。

1101:2021/08/31(火) 19:07:40 ID:AXOzmq/c

「ああ、う…あぁ…、駄目…、駄目ぇ…」

無駄とわかっていても、せめて内壁と肉芽をいじる手を遠ざけようと手首を掴む。中を

ぐりっと強めに抉られた。

「止めて! 止めて…! 嫌…! 嫌! いやああああぁっ! いっ、ひぃっ!」

また大きな波に襲われ、びくん!と身体が跳ねて痙攣する。

同時に、粘つく精液を中にぶつけられた気がした。が、朦朧とした頭では定かではなか

った。ずっと絶頂している状態だった。

それから、縁壱が満足するまで幾度も後ろに出された。白い精が奥深くをどろどろに浸

していく。

あられもない格好で泣き叫んで、「止めて」と乞い願って、それでも止まらなかった。

1111:2021/08/31(火) 19:08:07 ID:AXOzmq/c

何度も潮を噴き、乳房を鷲掴まれて母乳が噴き出、涙、汗、愛液、唾液、精液、延べた
布団があらゆる体液を吸っていく。

赤子が泣いてくれれば子煩悩な縁壱は止めてくれる。藁にも縋る想いだった。

涙で歪んだ視界の中、隣の部屋へ続く襖に向け、無意識に救いを求めて手を伸ばした。

しかし、残酷なことに私の叫びが届かないほどぐっすり眠っているらしく、朝まで泣き

声が聞こえることはなかった。

        ※                 ※

1121:2021/08/31(火) 19:08:59 ID:AXOzmq/c

どれほど時間が過ぎたのか、身体は汗みずくになり、いつしか私は涸れた喉で甘い声を

上げるようになっていた。

「あ、ふ、あぅ、ああ…、ん、ん…」

局部ばかりを刺激され、嵐のように抱かれた後、今度は全身を包み込まれるように愛撫

されていた。

ひどい、怖いなどの思いは、強い本能によって、些末な感情として押しのけられていた。

再び縁壱の子を宿したいという本能に。

朦朧とした意識の中、力強く逞しい縁壱の肉体を見上げ、こんな男はどこにもいない、

という考えが頭に浮かぶ。

はやく次の子を孕みたい。なりふりかまわずそう思う。とても苦しかった陣痛の記憶さ

え、遠くに霞む。

「縁壱…」

この上なく優秀なこの雄に全てを任せてしまいたかった。そうすれば、どれほど楽で幸

せだろう。

同時に、ぐずぐずにとけた頭の片隅で、そういうわけにもいかない、と淋しく思った。

1131:2021/08/31(火) 19:09:41 ID:AXOzmq/c

なぜ双子の姉弟などに生まれてしまったのか。血の近さを恨んだ。母の腹の中で同じ羊

水に浸った弟に抱かれている現状を、人としての理性が否定する。

「姉上…」

こちらを気遣う声。縁壱が何かを察したのか、抱き締めてくれた。その腕は、あまりに

あたたかかった。互いに汗と体液塗れのぬめった身体が触れ合い、ふわふわとぬるい液

体に浸かり浮いているような心地にほっとする。

なのに、荒淫で疲れ切ったはずの身体に淫らな波が起こり、先ほど生じたわずかばかり

の理性が霧消する。

縁壱の首に腕を回し、顔を引き寄せ口付けた。

「姉上…」

嬉しそうな声。男根が私の中で再び大きくなる。

そうして、ひと晩かけて私の心も肉体も完全に堕とされてしまった。

(続)

114以下、名無しが深夜にお送りします:2021/08/31(火) 19:10:07 ID:AXOzmq/c

今回はここまで。
次回、最終回。

1151:2021/09/02(木) 20:04:07 ID:TSfvhTlA

投下する。

1161:2021/09/02(木) 20:05:03 ID:TSfvhTlA

あれから、また子が欲しいと縁壱に何度か訴えたが、逆にたしなめられてしまった。

また双子が生まれ、四人もの子を抱えて、もし私がいなくなったらどうするのです、と。

いくら縁壱が強いといっても、鬼狩りは常に命の危険と隣り合わせの生業だ。

縁壱はこの件では頑なだった。

血の近い者同士で子を作ると心身が弱い子ができやすい。

このことを、縁壱は、子たちが生まれてから初めて目合った後、知った。私は、当然

縁壱が不具の子が出来る可能性を知った上で、それでも私との子を望んでいたと思い

込んでいたので、たいそう驚いた。以前に、「基本的なことや世間並みの教養となる

とかなり心許ないのです」と言っていたが、こういうことかとその時初めて実感した。

あの時の縁壱は常になく顔色を白くして、平謝りに謝ってきた。

たしかに、子たちが健康に生まれてきてくれたのは僥倖だった。私も生まれてくるま

ではとても不安だったのだ。 

それでも、また子が欲しかった。理性や理屈でなく、なぜかそうしなくてはいけない

と思った。「この男の血を残さねば」という女としての使命感とでも言えばいいのだ

ろうか。自分でも不可解な衝動だった。

1171:2021/09/02(木) 20:05:37 ID:TSfvhTlA

私の訴えに子供好きな縁壱はだいぶ迷ったようだが、

「せめて、鬼狩りの悲願が成り、この世から鬼がいなくなるまで駄目です」

と、言い切られてしまった。私はそれ以上、主張できなくなった。理性が勝る時には、

言い募った自分のはしたなさと浅はかさを恥じた。

それでも、縁壱は毎晩のように抱いてきた。子ができないよう注意しながら。時々、

私の腹のあたりをじっと見る。生き物の身体が透けて見える縁壱には、子が出来る時

期かどうか正確にわかるのかもしれない。

毎晩雄を受け入れ、身の内深くに子種を浴びせられているはずなのに、一向に孕まな

い。

その感覚の齟齬が早く身籠もりたくて焦れる本能を刺激した。肉体がより感じやすく

より男を惹き付けるように変容していく。

縁壱のほうにも、女を孕ませるべく、同じような変化が起こっていると感じた。一度

に吐き出される子種の量が多くなり、達する回数も多くなった。逞しさも、さらに増

したように感じる。

それに縁壱も私も抗えず、獣のように互いの肉体に耽溺していった。

1181:2021/09/02(木) 20:06:10 ID:TSfvhTlA
        ※                 ※

さらに半年ほど経ち、子供たちは這い這いができるようになった。

「男の子は動き出してからが大変よ」の言葉どおり、確かに動き回るようになってか

らが大変だと思った。

といっても、ふたりとも聡い質なのか、ごちんと頭をぶつけるなどの痛い目に遭うと、

すぐ覚えて次からちゃんと避けるようになる。こちらが肝を潰す思いをすることは少

なかった。

それよりも大変だったのは、お腹が減るとふたりして私の身体をよじ登ってきて乳に

吸い付こうとすることだった。

力強いのは頼もしいし、子の成長は嬉しいが、重みで着物が乱れてしまう。

着物がはだけて半裸のまま授乳していたのを、訪ねてきてくれた奥方に見られ、たい

そう気まずい思いをした。

1191:2021/09/02(木) 20:06:33 ID:TSfvhTlA

その時も、いつものように子供たちから乳を求められた。

足元にまつわりついて、よじ登ってこようとする様子を見て、もうそんな時間なのか

と傾きかけた太陽にふっと目をやり、家事に勤しむ手を休めた。着物を乱される前に、

赤子ふたりを連れて、部屋に引っ込む。

「んー、んー!」

着物の前をくつろげ、赤子を抱いて乳首を吸わせると、もう一人が正座の上に乗ろう

としながら不満げに声を漏らした。双子を育てているため仕方がないが、常に片方を

待たせてしまう。あまりに乳が欲しそうに瞳を潤ませて訴えてくるので、ひもじいの

か、と可哀想に思った。

私は横着して、両腕にそれぞれ赤子を抱え、左右の乳を同時に含ませた。両の乳首に

強く吸いついてくる。

それぞれが小さな両手を乳房に添えて搾り、少しでも多く飲もうとしている仕草がい

じらしかった。

乳が出なくなれば、自然に口を離すはずだった。そして、満腹になった心地よさでう

とうとと眠り出すのが常だった。これまでは。

1201:2021/09/02(木) 20:06:58 ID:TSfvhTlA

しかし、成長し身体が大きくなったことで足りなくなったのか、凄い力で吸い付いて

くる。どうしても乳が出ないと気付くと、乳首を舌で弄んできた。そうやって刺激す

れば、また乳が出ると信じているかのように。

沸き起こるぞくぞくする感覚に戸惑った。母としての意識が、淫らなものに侵食され

る。

赤子たちの力は強く、すでに力が抜け始めた腕では引き離せなかった。

縁壱そっくりの赤子たちの顔を見て、小さい頃にやはり縁壱に吸い付かれた記憶がよ

みがえる。あの時は手の甲を噛む痛みを頼りに必死に耐えたが、今は両手とも塞がっ

ていた。唇を噛もうとしても、吐息が漏れてそれも叶わなかった。

あの時と同じように肉芽が尖って下衣に触れ、擦れてしまう。

思えば、生まれて初めてどうしようもないほどの淫心が起こったのは、幼い日に縁壱

に乳を吸われた時だった。あの後、誰かの告げ口によって縁壱に構ったことがばれ、

父に殴られた。だが、そのおかげで強い痛みで気が散じて、かえって助かった。今、

その痛みをくれるものはない。身体からはどんどん力が抜けていく。

ともかくも、両手を使ってひとりずつ離すしかない。

1211:2021/09/02(木) 20:07:37 ID:TSfvhTlA

そう考え、身体を後ろに倒して仰向けに寝そべり、片方の赤子を支えている腕を外し

た。身体の上に乗っていた赤子が横にずり落ちそうなる。しかし、咥えた乳首を放し

てはくれない。乳房が引っ張られ、痛みが走った。慌てて抱き留め、元の位置に戻す。

これ以上何もできず、八方塞がりだった。

幸いなことに、半裸で授乳していたのを奥方に見られて以来、この屋敷には男を近づ

けないように配慮してくれていた。以前は下男が運んできた食事の膳も、今は厨で一

緒に働いていた女たちのうちの誰かが運んできてくれる。

それでも、もし縁壱以外の男に見られたら、と思うと背筋が冷えた。かつて襲われそ

うになった過去を思い出して焦った。私だけでなく、子たちにも危害が及ぶかもしれ

ない。

何とか起きあがって子たちを寝かせ、身なりを整えなければ。

そうはやる心とは裏腹に、女陰(ほと)はどんどん潤ってくる。少しでも身動けば、

ぬるりとした愛液の広がりを自覚してしまう。もう尻たぶと内腿のほうまで濡れてい

た。

1221:2021/09/02(木) 20:08:06 ID:TSfvhTlA

複数の男たちに犯されそうになった記憶から、その後縁壱に意地悪く抱かれたことを

思い出すと、自然と腰が動き出してしまった。肉芽をますます布地に擦り付けてしま

う。止めようといくら心に念じても、止められなかった。

情けなさと恥ずかしさで涙が滲んだ。仰向けになって、股間を濡らして身悶えている

この状況に。

膣の入り口が男を欲しがってぱくぱくと口を開けているのがわかる。空気が出入りし

て、泡を噴き弾ける感触が断続的に続く。敏感になりすぎた媚肉にはその刺激すら強

い。背が弓なりに反ってしまう。

心臓が音高く鼓動し乳房も揺らすほどだが、子供たちはお構いなしにひたむきに乳首

を吸った。時間の経過で多少分泌された母乳を飲み、それが尽きると舌で転がすの繰

り返しだった。

太陽の角度が変わり、影が伸びてゆく長い時間、「嫌…、嫌…」と恥ずかしさに喘ぎ

ながら、無邪気な赤子たちに弄ばれていた。

1231:2021/09/02(木) 20:08:36 ID:TSfvhTlA

そこに縁壱が帰ってきた。玄関の戸を開く音がする。

「姉上、今帰りました」

と呼びかけられても、当然返事はできなかった。

しばらくの沈黙。そして、

「姉上! 姉上!」

と、急いで草履を脱ぎ、上がり込む足音。焦って私を呼ぶ声に、大股に廊下を進む足音。

玄関に近い部屋から次々障子戸を開けていく音が聞こえ、ついにこの部屋に到達した。

「あ、縁壱…、助けてくれ…」

私の姿を見ると、縁壱は安心したように大きく息を吐き、畳にひざまずいた。そして、

丁寧に赤子を引き剥がしてくれた。事情を察して何も訊かない縁壱がありがたかった。

子供たちは乳首から口を放すときに少し抵抗したが、縁壱の腕に抱き取られるとすぐ

にふたりともうとうとした顔になった。

縁壱は、赤子たちを寝かしつけるために寝所に連れて行った。

1241:2021/09/02(木) 20:09:00 ID:TSfvhTlA

私は自分の身体を見下ろした。赤く腫れてつんと立つ乳首。乳輪の周りは歯のない口

でしごかれて、やはり赤い跡が丸く付いている。胸元を戻そうとしたが、布地が触れ

ただけで痛くてできなかった。おまけに、完全に腰がくだけて立ち上がれない。

「ふたりとも、寝ました。ご安心ください、姉う…え…?」

戻ってきた縁壱から驚いた様子が伝わってきた。

せめて、腕で隠そうとしても少しでも乳首に触れると鋭い痛みが走った。

縁壱の喉が大きく動いた。私の傍にひざまずき、

「姉上、いつから動けなかったのですか?」

「一刻ほど…だ。思った以上に力が強くて…。動けなくて…」

顔から火が出るようだった。

縁壱が腿の辺りから着物の合わせ目に手を入れ、奥の湿り具合を確かめた。

「あ…」

尖って露出した肉芽に指が当たって腰が痺れ、さらに愛液が分泌される。

縁壱は、着物の裾を大きく割って、私の脚も開かせた。

1251:2021/09/02(木) 20:09:37 ID:TSfvhTlA

「! 待て…! このままでは着物が汚れてしまう!」

そのまま抱こうとする縁壱を止めた。

縁壱は私の股間の下辺りの布地に手をやった。自分でもわかるほど湿った音が耳に届

いた。

「表まで染み通っていますから、これはいけません。洗ったとして染みが落ちるとは
 思えませんし、新しいのを仕立てましょう」

かぁっと身体がさらなる熱を帯びた。縁壱の前に痴態を晒したことなど数え切れない

が、今回は子の面倒を見ている最中のことだ。母親として、どんな言い訳もできない。

全く違う類の恥ずかしさだった。

呆れられても仕方ないところだが、縁壱もその気でいてくれることがむしろ救いだっ

た。これが冷めた目で見られていたら、本当に死んでしまう。

袴からいきり立った男根が取り出される。

「姉上、本当に…、気を付けてください。赤子らにまで襲われるなんて…」

窘める台詞とは裏腹に、声は熱を帯びていた。入り口に押し当てられ、肉壁をこじ開

けて、ぐぷり…、と硬い男根が入ってくる。

1261:2021/09/02(木) 20:10:31 ID:TSfvhTlA

「ふ…、あ…、う…、ん、あ、あ、あっ! あぁっ!」

性急に奥へ到達した男根が今度は引かれ、雁首が熟れ切った肉襞をめくる。呼吸を止

めて行われる速い抜き差しに合わせ、私も激しく腰を動かした。さして間を置かず、

他愛もなく達してしまった。絶頂の強い収縮に刺激され、縁壱も精を放った。

「ん、ん、あ…、熱…」

「少しは落ち着きましたか、姉上?」

そう言って縁壱は口付けをしてこようとした。が、覆い被さられた時に乳首に触れてし

まい、私は苦痛の呻きを漏らした。

「痛っ…、痛い!」

思わず、縁壱の肩を突いて押し返してしまった。

「そんなに痛いのですか?」

こくこくとうなずく。上下に揺れる乳房が空気と触れる、その摩擦ですら痛い。しか

し、それを口にしては優しい縁壱は止めてしまうのではないかと危惧し、黙っていた。

「これでは抱き締めることもできませんね」

1271:2021/09/02(木) 20:11:01 ID:TSfvhTlA

縁壱はつかの間動きを止め、乳首を避けて両手でそれぞれの乳房を包んで、そっと握

った。

「早く赤子の物でなくなればいいのに」

乳が出ている間は乳房は固くなっていて、正直、触り心地は良くない。そのことを言

っているのだろう、と思った。軽いやきもちとわかっているが、なぜかぞっとする恐

ろしさを感じた。けっこう嫉妬深い質なのだろうか。

縁壱は畳に両手を突いて、身体を支えると、めちゃくちゃに突いてきた。気遣いも優

しさもなく、私の内部をかき回す。

「あぁ、あっ! 縁壱、縁壱…!」

何度も名を呼んで縁壱へ腕を伸ばした。強い快感に一時乳の痛みを忘れた。抱き締め

てもらいたかった。

「姉上…、姉上!」

縁壱の腕が伸びてくる。が、感極まって私を抱き締めようとした腕は止まった。代わ

りに、膝裏に手をつかえて腰を上げさせ、上から突き下ろすように犯してきた。

1281:2021/09/02(木) 20:11:28 ID:TSfvhTlA

「あ、あっ! あ、そんな…! 激し…! う、ああっ!」

あまりに激しい責めに、私は身体をよじって身悶えた。噴き出すように溢れてくる愛

液と、さっき出された精液が混じって、幾筋も私の腹に垂れてくる。何より、繋がっ

ている部分が丸見えだった。抜かれる時にめくれた内壁が膣の入り口からわずかにの

ぞく。赤く充血した肉襞が男を逃がさないようにいやらしく絡みついている様を見せ

つけられた。肉芽が限界まで尖って敏感になり、痛む乳首と同じように空気との摩擦

で感じてしまう。

「こんな…、あっ、うぅ! やあああっ!」

自分の肉の淫らさを目の当たりにして、頭がじんと痺れた。

いつもは包み込むように抱いてくれる縁壱が、今のように局部でしか繋がれない状況

に焦れているのが伝わってきた。着ていた物をもどかしげに脱ぎ捨てる。

何度も何度も激しく突きまくられた。私が達しても、自分が果てても、まだ足らない

と叫ぶように。

1291:2021/09/02(木) 20:12:07 ID:TSfvhTlA

「あっ、やあああああああああぁっ!」

何度めかわからない絶頂。同時に精が中にぶちまけられて、私はひときわ高く、尾を

引いて長く叫んだ。

痙攣を繰り返す私の上で縁壱が正気に戻り、現実感が遠くなってぼぉっとしている私

の頬を軽く叩いた。反応を返せないままでいると、縁壱は着物一枚を肩に引っかけ、

慌てたように部屋から出ていった。

とにかく気怠く、指一本動かせない。膣からごぽごぽと精液が流れ出ていく。腰と内

腿はまだひくついていた。

水を汲んだ手桶と手拭いを持って縁壱が戻ってきた。私は縁壱が出て行ったときの姿

のままだった。

縁壱は手ぬぐいを水に浸して絞ったが、数瞬動きが止まると、それを手桶の縁にかけ

た。そして、私の頬に手を添え優しく撫でると、

「姉上、すみません…」

と謝って、また私の中に入ってきた。

1301:2021/09/02(木) 20:12:33 ID:TSfvhTlA
    ※           ※


日々は過ぎていった。

縁壱があいかわらず私を「姉上」と呼び続けたので、子たちが最初にしゃべった言葉

が「姉上」だった。それに縁壱が嫉妬したこともあったが、子供たちから初めて「父

上」と呼ばれた時には、これ以上ないほど相好を崩した。それから、母乳が終わり、

柔らかくなった私の乳房に縁壱が喜んだりと、他愛のない日常が流れていった。

子供たちはといえば、顔と強さは縁壱にそっくりで、剣が好きなのは私の気質に似た

らしい。

棒を振るって遊ぶようになった三歳の時から、私が剣の稽古を授けた。侍としての立

ち居振る舞いと作法も併せて教えた。子たちは苔が水を吸うように吸収し、五歳で大

人の鬼狩りたちに混じって鍛錬をするようになった。縁壱の使う「日の呼吸」という

ものを早々と習得し、驚異的な上達ぶりだと、煉獄殿から教えられた。

よく食べ、すくすくと育ち、七歳の時には十二歳ぐらいの体格に成長していた。食べ

る物に差を付けられていなければ、縁壱もこのように大きくなっていたのだろうかと

思った。

1311:2021/09/02(木) 20:12:56 ID:TSfvhTlA
    ※           ※

不穏な風の吹き出した夕刻のことだった。

縁壱が夜間鬼を討伐する任務に出かけようとした時、普段は聞き分けよく大人しい子

供たちが、「父上についていく!」と強硬に言い張った。

生まれて初めての子供たちの突然のわがままを怪訝に思いながらも、当然私は反対し

た。

縁壱自身も最初は許さなかったが、常にない必死な子たちの様子に、そのうち精悍な

顔つきになり、何事か考え込むと連れて行くと決めた。

「必ず私が守りますから」

そう縁壱は請け合ったが、厳しい顔は崩れなかった。私を安心させるために無理にも

表情を和らげる余裕さえないということか、と思った。

ただ事ではないのだな、と直感した。身も心も引き締まる想いがし、私も決心した。

念入りに、子たちの戦支度を整えた。まだ早いと思っていたが、子供たちの日輪刀を

打ってもらっていたのが、今はありがたかった。

三人の後ろ姿を見送ったが、身をちぎられる想いがした。

1321:2021/09/02(木) 20:13:18 ID:TSfvhTlA

ひとり屋敷に残され、どんどん夜は更けていった。忌まわしい夜だった。

不安がひたひたと押し寄せ、胸騒ぎがした。

何かが一つ間違えば耐え難いことが起こると予感させた。子たちを行かせたのはその

間違いを正す要素のひとつだった。正すのか、防ぐのか、いずれであるかは判然とし

なかったが。
私の決断は正しかっただろうか。

夜を徹して起きていることに決め、寝間着には着替えず、得物を近くに置いて部屋の

真ん中に端座して帰りを待った。

    ※           ※

1331:2021/09/02(木) 20:13:52 ID:TSfvhTlA

夜明けに少し早い時刻。庭のほうが騒がしくなった。

子供らの声が、「二百!」「ちがう! 百五十!」と何かの数を言い争いながら、走

って近づいてくる。

はやる心で縁側へ通じる障子戸を開けると、目の前の閉じた雨戸ががたがたと揺さぶ

られていた。外から雨戸が外され、子供たちが顔を覗かせる。

子供たちの背後から、真っ暗な夜が薄く明けてきて、誇らしげに輝く表情が見えた。

無事を喜ぶ間も与えずに、子供たちは今夜の討伐について、はしゃぎながら勢い込ん

で私に話し出した。

後から縁壱が生け垣を飛び越えて庭へ走り込んできた。

「お休みのところ、騒がせてすみません。どうしても、『母上に真っ先に報告したい』

と子供らがいうので」

子供たちは無邪気に目を輝かせて、「どんなふうに悪い奴をやっつけたか」の話を続

けた。

縁壱はその間にすべての雨戸を繰って開けた。家の中に光が射し込む。

1341:2021/09/02(木) 20:14:50 ID:TSfvhTlA

子供たちが数を言い争っていたのは、どちらが多く斬ったかを競ってのことだったら

しい。

その時は、ただ初めての鬼討伐の成功にはしゃいでいるのだろうと思っていた。子供

らしく、大げさに誇張してしゃべっているのだろう、と話半分に聞いていた。

「父上はすごいんだよ!」

合間合間に、子供たちが興奮して何度もそう言った。

庭を飛んだり跳ねたりして何度も繰り返す実演を見せられながら、縁壱と縁側に座っ

て微笑ましく聞いているうち、にわかに周囲が騒がしくなってきた。

縁壱が羽織を脱いで、私に着せた。

複数の鬼狩りたちが息を切らせて駆け込んできた。

「戦っている間に、鬼どもが急に崩れて消えた!」

突然そう言われても、とっさには意味が飲み込めなかった。

「おい、日柱! お前、まさか、やったのか! お前が報告したという『着流し姿の
 若い男、角なし』とは、鬼舞辻だったのか?! 倒したというのか?!」

厳しい顔の若い鬼狩りが、縁壱に向かって問いつめるように叫ぶ。

1351:2021/09/02(木) 20:15:28 ID:TSfvhTlA

煉獄殿も、奥方と女中頭とともに慌ただしくやって来た。

縁壱が答えるより先に、子供らが胸を張って説明した。皆驚いて聞いていた。

周囲の色めき立ちようから、鬼狩りの悲願達成を成し遂げたらしい。

「そんなすごいことをやってのけたのか」

私は、半ば茫然と呟いた。

ただ、子たちと夫が無事に帰ってきてくれて嬉しいという一事だけが重要で、そんな

大事が成されていようとは微塵も思っていなかった。思えば、縁壱は自分の強さをひ

けらかすようなことを一切言わないのだ。

「姉上のおかげです」

縁壱が私の身体に腕を回す。

「あっ!」

私は驚いて声を上げた。

曙光が射し始めた庭で、縁壱がその逞しい腕に私を抱き上げ、人目も構わずくるくる

と回った。

1361:2021/09/02(木) 20:16:03 ID:TSfvhTlA

「姉上が来てくれたおかげです。全てうまくいきました」

縁壱が声を上げて笑っているのを初めて見た。周囲も意外だったらしく、しばらくあ

っけに取られていたが、突如、爆発したように喜びに沸いた。

「いよっ! 日本一!」

年嵩の鷹揚そうな鬼狩りがはやし立てる。

「まさに鸞鳳! 瑞兆そのものであったな!」

煉獄殿が感に堪えたように言い放つ。

「まぁ、おめでたい! さあさあ! お祝いの宴のお料理を作らなくっちゃ!」

女中頭が腕まくりをする。

1371:2021/09/02(木) 20:16:34 ID:TSfvhTlA

「そうだわ! この機に祝言も上げてしまいなさいな!」

奥方がぽんと手を叩き、「今度は逃がさないわよ」とばかりに艶然と微笑む。

「臆面もなく人前で細君を抱き上げて浮かれるとは。侍の風上にも置けん奴だ」

先ほどの厳しい顔をした男が、表情を和らげて苦笑する。

「父上、悪い奴をやっつけて、鬼のいない世になったのですよね?」

「お約束通り、早く弟か妹をください!」

双子の子たちの願いに、周囲がどっと笑い崩れた。

私は真っ赤になった。恥ずかしいから下ろしてくれという私の願いも聞かず、縁壱は

笑って回り続けた。

「姉上、これからもずっと、お傍にいさせてください」


(終)

1381 ◆SkTaT1ovNw:2021/09/02(木) 20:17:41 ID:TSfvhTlA
最終回。
ここまで読んでくれたお前らに感謝する。

今後の参考のために、どのエロシーンがいちばんエロかったか教えてくれると助かる。
感想もくれると嬉しい。単なる質問や批判も可。
久しぶりなんで、いろいろ意見が欲しい。
スレが落ちるまでは見てる。

139以下、名無しが深夜にお送りします:2021/09/02(木) 22:37:38 ID:5ddVl2Ec
乙!めちゃくちゃ良かったありがとう!
個人的に好きなエロシーンはおねだり言わされるところとパイズリとアナル開発されるところかな。普段は男口調の姉上が無茶苦茶されると女口調になっちゃうのがいい…

あと、ここ全然人がいないから渋とかもっと見てもらえそうな所にも上げた方がいいんじゃない?

1401 ◆SkTaT1ovNw:2021/09/03(金) 06:12:24 ID:40Vl7zEM
>139
ありがとう。参考にする。

読者層のちがう所で反応をみたかったんだ。
いろいろな事情で姉上の性格を雌にした結果、ほぼオリキャラになったからな。


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