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ドラゴンレポート「西方白龍録」

8パイロン:2022/03/07(月) 21:31:11 ID:xwfFvBVs0
三:「DRAGON BOY」






東の大国、華国(中国)の西方白龍の血を引く家系の当代の後継者。パイロンが幼い時、始祖であるロンファと一緒に東の国、本国(ほんこく)(日本)へと向かった時があった。

遠い親類である龍の一族から久々に合おうと呼ばれたのである。

本来はロンファだけが向かうことになっていたが、私の血を最も色濃く引く後継者を見せたいと言うロンファに連れられてパイロンも一緒に向かうことになった。

連れられて向かったのは、本国で最も大きい湖である琵琶湖だった。

まるで海と錯覚するその大きさにパイロンも驚いていたのを覚えている。


そして、そこに住んでいる一族の姫であるオリョウと他の親戚一同から聞いたのは、この琵琶湖の南にある山、三上山を支配していた「三上山の大百足」の伝承だった。

伝承によっては、大蛇や龍と敵対する相手に巨大な百足の妖怪がいるが、この大百足も例に漏れず、この琵琶湖に住んでいる龍の一族をつけ狙っていたのである。

ロンファや親戚の話によると、今、龍及び蛇と百足はそれぞれの長が闘いを望まず、利害も一致したことからかなり昔から休戦中とのことだが、この百足だけは違った。

争いを好み、三上山を根城…もとい台座にでもしたような形で堂々と龍の住処の近くへとやってきていた。

その百足は巨大で、三上山を七巻き半する、およそ数十kmの体長に2000本の脚、凝固で真っ赤な外骨格も持っていた。

そのため、オリョウや親類達もどうにか最後の砦、琵琶湖を護るための防御をするのが精一杯で、やむを得ず怪物を恐れない勇敢な人間を探して頼ることになったという。

その方法は、一族の姫であるオリョウが代表となって大蛇の姿に化け、交通の要所である橋に横たわって、この橋を恐れずに渡る人間を探したのだそうだ。

そして、そこに通りかかった俵藤太という武将が物怖じすることなく大蛇の腹の上を跨いで渡り切ったため、選ばれたのだそうだ。


「それで…オリョウ様、その百足は?」

「…ええ、退治してくれましたよ。その人間の方、トウタ殿が。」

「そうだったんですね。じゃあ、もうこれで安心…」

「と、思うでしょう?パイロン。でも実は、そうでもないのよね…」


その後聞いた話の続きは、予想だにしないことだった。

その後、三上山をトウタとその部下と共に一族が揃って山狩りをしたそうだが…そこで新たに恐ろしい事実がわかった。


「百足はね……もう一匹いたのよ。」

「……え?一匹だけじゃなかったんですか?」


三上山には、トウタが倒した百足以外に、もう一匹大百足がいた痕跡を山の中で見つけたのだという。

すでに逃げていたのか、その百足自身はいなかったものの、倒された百足に比べるととても小さいが、それでもかなりの大きさを誇っていたのがはっきりと確認できた。

一体何処へと消えたのかは未だにわからないという。


「三上山にいた大百足は、その凶暴さから百足の長も手を焼いていたらしくてね。この百足に限り、蛇や龍が命を奪っても構わない、と言われていたほどの厄介者だったのよ。」

「もう一匹いた痕跡があったことを、姫である私が百足の長に伝えたんだけど…長もどうやら知らなかったみたい。とても驚いていた…」

「きっと、あの大百足の仲間や家族で、何処か別の国へと逃げたのよ。……龍、蛇、そして人間に復讐するために。」

「オリョウ、きっと、華国の私がかつていた龍のいた世界を襲撃したのも、その百足だと思う…」

「そんな、ロンファ様…」

「そうなの?ロンファ…」

「ええ、きっとそう。ある日、突然とても巨大な百足の妖怪が空を飛んで襲撃してきたの。私を含めてそこにいた仲間の龍たちは逃げるので精一杯だった。後から皆と再開できたから、皆なんとか逃げられたみたいだけど…」


まさか、本国だけではなく、華国にも来ていたとは。パイロンは驚きを隠せなかった。

ロンファはかつて、傷を負って倒れている所を後に夫となる人間の男性、フェイフーに助けられたことがきっかけで、大切な伴侶と出会うことになったと聞いたが…まさしくこの襲撃事件がそのきっかけだったことを知る。


「そんな…許せない…その百足…」

「僕が…倒す。…必ず……」


パイロンは思わず呟いていた。


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