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コテと名無しの2025初夏から夏 雑談もチラ裏も 3
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かつて仙台の片隅に、娘の才能にすべてを賭けた男がいた。
名前は、福原武彦。職業は不動産業。けれど、心のどこかでは、ずっと「監督」だった。
彼が娘に贈った最初の言葉、それが「BB」だった。
【BB=Bounce & Believe】
愛がまだ3歳のころ、ラケットもろくに握れない彼女に、父はボールを手渡しながらこう言った。
「な、BBって知ってるか? “Bounce and Believe”。ボールが跳ねる限り、信じる気持ちを切らしたらあかん。何回ミスっても、また跳ね返るやろ?」
娘は意味も分からずに頷き、その言葉はやがて合言葉になった。
1000本のラリーを終えるたび、武彦は娘に向かってウインクして言った。
「よし、今日のBB、完了や。」
【BB=Back and Break】
時は流れ、愛はスターになり、父と娘の距離は少しずつ離れていく。
経営の失敗、家庭のすれ違い、そして別れ——
娘の背中を見ながら、男は心のなかでこう呟いた。
「BBや… “Back and Break”。一度戻って、壊さなきゃならん時もある。」
戻れぬ日々に背を向け、父は静かに闘病生活に入った。
【BB=Bittersweet Blessing】
そして2013年、彼はすい臓がんでこの世を去った。
5年ぶりに届いた娘からの言葉は、短く、そして優しかった。
「お父さん、BB。Bittersweet Blessing──苦くて甘い、私の原点。」
卓球台の向こう側には、いつだって父がいた。
ミスを恐れず、泣きながらも打ち返す強さをくれた人。
🌱エピローグ
今、どこかの体育館で、少女が小さな声でボールを弾ませながら言う。
「BB、いっくよー!」
それは、父から娘へ、そして次の世代へとつながるリズム。
跳ね返るたびに、信じる気持ちを思い出す魔法のことば。
「BB」──Bounce and Believe。
ラリーの先に、きっと答えがある。
こうして「BB」は、福原家だけの合言葉から、卓球を通して夢を信じる人たちの心に響く言葉へと生まれ変わったのだった。
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