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【百合色の】東方の百合カップリング談義54【幻想郷】
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「こんにちはー! バレンタインの為に台所貸してください!」
袋を担いで家《うち》に来たあうんちゃんの言葉である。
奥側に居る私からは見えなかったけれど、お姉ちゃんの表情が強張っている事は想像に難くなかった。
「……バレンタイン」
「御存知無いですか! 親しい人達にチョコレートを贈る日ですよ!」
「知ってるけど」
姉さんと私は、これで結構流行りものに聡いのだ。外界の風習もそれなりに知っている。
その風習が微妙に間違っていることも。
「前から早苗さん達のお話を聞いてて、一度やってみたかったんです! 日頃お世話になってる方々に!」
気持ちは解らなくもない。
私もこうして人の姿になった時には、色々してみたいことで溢れていたから。
「――っていう話を神社でしてたら、隠岐奈さんから手作り用のチョコレートと、飾りに使える木の実を貰いまして」
「ふうん」
「これを一度溶かして好きな形に固めて、上にちょんと乗せるだけなんですが」
お手軽だ。
「厨房はよそで貸してもらいなさいって言われてしまって」
「で、ここ」
「はい!」
さっきからお姉ちゃんの声が低くて怖い。
あうんちゃんも流石に違和感を覚えつつある顔だけれど、まだその理由には思い至らない様だ。
「……あ」
何かに気付いたらしい。
「もちろん、静葉さんと穣子さんにも渡しますよ!」
ああ、うん。駄目なやつだ。
「要らないわ」
「え」
「台所は使って良いから。物の場所とかは穣子に聞いて」
言うだけ言って、お姉ちゃんは画室の方へ引っ込んでしまった。
一人になりたい時は、いつもあそこに篭るのだ。
あうんちゃんは随分困った様子で、ちらちらと私の方を見ながら、担いできた袋を机に置いた。
「あッ……!」
気もそぞろに置いた所為で、袋が転んで中身がこぼれる。
言っていた通りのチョコレートと、木の実の入った透明な小袋。それから、沢山の小さい流し型に……。
「ちょっと、あうんちゃん」
「はい?」
他より抜きん出て大きい型が一つ。
「ちゃんと本命《おねえちゃん》のも用意してるなら、どうしてそう言わないの」
問い詰めると、あうんちゃんは「ん」っとビターな鼻声を洩らして、もじもじしながら目を逸らした。
「……穣子さんの御前だし、控えなきゃと思って……」
この不器用な律義者に、戸棚に隠してあるお姉ちゃんの本命チョコを思いっきり投げ付けてやりたい。
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