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【嫁と過ごす】東方キャラとイチャつくスレ36【この時間】

454名無し妖精:2016/01/25(月) 08:26:45 ID:CAmI/xcM0
>>>453
苗字呼びが名前呼びになって、やがては敬称も抜けていくかもしれない……
そんな初々しい、一歩ずつ前進してゆく関係、素敵だと思います

「ふぅ、雨凄かったねぇ」
「急に来たからね。傘、ありがとう」
「んふ。○○、嬉しそうだねぇ、折角のデートだったのに」
「小傘が、嬉しそうだからね。それなら、僕も嬉しい」
逢瀬は突然の雨に降られて相合傘。でも自慢げに傘を拡げ掲げる吾が愛妻は
見ていて誇らしく、頼もしく、最高に輝いていた。
不気味だ時代遅れだ言われる化け傘も、骨太でなんと頼もしいことか。
取っ手に二人の手を重ねて、小傘の手の温かいことに、
少し初心に帰ってドギマギしてたら、道中小傘に笑われてしまった。
「ねぇ、小傘?」
「ん?」
「僕は、小傘の役にたってるか?」
雨風から守ってくれた傘を拡げて、部屋干しの準備を始めるなか――僕はポツリと呟く。
「いきなりどうしたの」
ポツリ、雨の雫のように小さな心の声だったかもしれない。故に、小傘はそれを逃さない。必ず、掬い上げてしまう。
「小傘は、いつも僕の為に、僕の役に立とうとしてくれてるよね」
「そりゃあ、付喪神ですから」
「でも僕は、小傘に何か、してあげることが出来ているのかなって」
「ふふ」
僕の声は、自分でも分かる位に不安に満ちていた気がする。事実、不安だった。
隠してただけで、今までずっと不安を抱いていた。曝け出すのは、恥かしかった。
そんな僕に、小傘は優しく微笑んでくれた。雨の日の君の笑顔は、より優しい。
「○○」
「はい!?」
「こっち、おいで」
名前を単発で呼ばれ、思わず素頓狂な声を挙げてしまった。ナイーブだったかもしれない。
続けて小傘は、両手を拡げて僕を招き入れる。
「こうでいいのk……っ!?」
「う〜ん、○○の体温かぁい……雨で体、冷えちゃったよ〜」
ぎゅむぅと抱きつかれる。いきなり柔らかいぼでぃで抱きしめらてびっくり、彼女の臓腑を少し満たしたかも。
……僕の体が温かい? 嘘だろう、小傘の体はとても温かくて――なら僕の体は、もっと冷え込んでいるんだ。
「温かいよ、○○……ありがとう。温めてくれて」
「小傘っ……」
○○は私の役に立っているよ、と。小傘はそう言いたいのだ。本当に?
今、僕はこんなにも温かくて、柔らかい体に抱きしめられるのが心地よくて、幸せなのに、
小傘から熱を奪って幸せになっているのに、これは僕が小傘に何かしてあげているのだろうか?
だから僕は……
「んっ……ぁ」
「小傘……大好きだ」
抱きしめ返した。その体を。胸のドキドキが少しでも体を火照らせて、温かくしてくれることを願いながら。
小傘に注いで貰った熱をお返し出来るように。
「小傘の役に立ちたい、小傘のモノになりたい」
「人間が、道具の怪のモノになるの?」
だってそれは、小傘が僕に教えてくれた生き方なんだ……好きな人の役に立つ、好きな人のモノになる。
好きな人に喜んでもらえる喜びを、生き方を、小傘は教えてくれた。
小傘が生きる意味を一つ、与えてくれたんだ。
「小傘は、いつも僕の為に何かしてくれて、喜んで僕のモノになってくれた」
「そりゃあ、道具の付喪神ですから」
「でも違う。夫婦だから……小傘が僕のモノであることを譲らないなら、僕も譲りたくない」
「うん」
小傘の優しげな笑みからは、ちょっと感情が読み取れない。
きょとんとしているようにも、僕の心情を深く理解しているようにも、あるいは案外何も考えていないのかもしれない。
「教えて……小傘が僕に教えてくれた生き方をもっと、どうしたら……好きな人に喜んでもらえる?」
「えへへ……」
やがて小傘は、何か思い起ったように微笑むと、
「ぁ……」
「じゃあ、ずっと一緒に、傍に居て。離れないで……もっと、愛して」
微かに強く、僕を抱きしめる。
頭と背中に回された手は、道具の怪が人間に抱いた、独占欲の証。
誰よりも使われるモノ、役に立ちたいと願うモノの気持ちを知っているから――
――だからその抱擁は、誰よりも優しい。誰よりも、僕の扱いに長けているのだろう、優しく丁寧に扱うのだろう。
「ああ、ずっと一緒にいる……僕を傍において、僕をもっと使って……もっと、愛したい」
「んふ……」
応えるように、小傘を抱きしめる。二人の熱は平衡に達して、どちらかが冷めることなく、互いを温め合う。
もっと愛して――小傘が与えてくれた、僕にできること。小傘の役に立てること、幸せに出来ること。
愛することから始めよう、今まで以上に。だって、小傘が始めにくれたものが、優しい雨のような愛だったから。




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