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( ^ω^) 願いが叶うようです
254
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:43:36 ID:vdbcco3Q0
その分、失ったものが大きくて、耐え切れなくて、僕は泣いた。
見慣れた景色が、美しく見えて泣いた
思い出の場所が懐かしくて泣いた。
祭りの残り香を嗅いで泣いた。
支えていたものが全て失ったんだ。
当然だ。
むしろ、首を括ってないだけ偉い。
だからどんな事があろうと、僕は僕の願いの為に、一歩一歩足を進める。
そして、ようやっと着いた廃墟。
それはショボンと初めて出会った時と何も変わらない様相で佇んでいた。
ただ、あの頃とは違うことがある。
それは、このひんやりとした空気だった。
風呂上がりにクーラーが効いた部屋に入るかのような感覚。
僕には身に覚えがあった。
それは、初めて"あの場所"に行った時だ。
暗黒な空間に、天まで上ってしまいそうな階段と、厳かに存在する扉。
まるで異世界。
今まさに、その異世界に僕は行こうとしている。
255
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:44:04 ID:vdbcco3Q0
その冷気に導かれるままに、僕は階段に足をかけた。
少しずつ強まる冷気が、僕の肌に刃物を向ける。
だが、それにも無関心に階段を上がる。
それは、僕の心が空っぽだから。
ただ、願いを叶えるという目的のだけに動く機械。
己が目的の為ならば、どんな犠牲だって厭わない。
ドス黒く、ブラックホールのような欲望が僕にはあった。
なんの躊躇いもなく着いた四階。
前回は激しい頭痛や、爆音のノイズがあったが、今回は何もなかった。
すんなりと屋上に向かう階段に向かうことができた。
そして、その屋上への扉は僕を待っていたとばかりに開く。
金属の叫ぶ音。
それがフロア全体に広がっては反響する。
初めて行った時より、冷気は感じなかった。
じゃっかん早くなった鼓動を抑えて、僕は屋上に向かう。
天に上るときは、こんな感覚なんだろうか。
僕自身が幽霊になって、自ら天国に向かう。
そんな感覚を覚えていた。
そんな時、後ろから声が聞こえる。
もう二度と聞くことはないと思っていた声だ。
256
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:44:27 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「ブーン!」
川;゚ -゚)「待て!早まるな!」
(;'A`)「なぁ…少し話さないか…?俺達やり直す必要あると思うんだよ…」
川;゚ -゚)「ブーンの事…何もわかってなかったんだ…だから…こっち来てくれないか?」
二人は信じられないと言った顔だった。
恐らく、この冷気にだろう。
僕は二人を一瞥して屋上に目線を向ける。
そして、その二人の悲鳴が聞こえたのは、僕の想像通りだった。
(;'A`)「あああああ!!!あ、頭がっっ…」
川;゚ -゚)「な、なんだこれはッッ!!!」
僕も最初に味わったあの地獄だ。
周りの事なんて考えられない。
這いつくばって時間をやり過ごすことしかできない。
そんな地獄だ。
僕は最後の階段を踏みしめる。
257
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:44:50 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「ぶ、ブーン!待ってくれ!!お、おれはお前に死なれたくない!」
何を今更。
クーと仲良くやってたじゃないか。
僕なんて必要ないだろ。
川;゚ -゚)「いっかい三人で話しあおう!そうすれば…何か変わるだろう!?」
何も変わらない。
この関係も、家族も。
そして、これからも。
(;'A`)「俺、知らなかったんだよ!!おまえの、か、家族のこと!!だから…いっってええ」
川;゚ -゚)「ッッ!!!私達は!幼馴染だろう!?この世に三人しかいない!!大切な幼馴染だ!!だから」
屋上に着いた僕は、二人を上から見下ろした。
無様にあの痛みの中、よく言葉を発せると思った。
そして、扉が自動で閉まり始める。
嫌な音をたてながら断絶する扉は、三人の関係全てを否定し、拒絶するかのようだった。
最後、もう二人もほぼほぼ見えなくなる程に閉まった扉。
僕はいつも通りの表情で二人に向かって呟いた。
258
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:45:13 ID:vdbcco3Q0
( ;ω;)「サヨナラ、だお」
ガコンと閉まる扉。
僕はもう後戻りはできない。
本当の意味で、僕は孤独になった。
自分が求めていたもの。
その望みが叶ったというのに、僕は声を上げて泣いていた。
声は一切の反響もせず、星一つない暗闇に全て吸い込まれていた。
259
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:45:40 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:伽藍堂〜〜〜
爪で黒板を引っ搔くような音がする。
それは、あの扉が閉まる音だ。
早く行かなきゃ。
アイツのところに行かなきゃ。
じゃないと、もう二度と会えなくなるかもしれない。
そんなの嫌だ。
だけど、この頭痛も、凍える寒さも、耳鳴りも。
何もかも意味が解らなかった。
今夏だぞ?
なんでこんなに寒い。
なんで体が動かない。
あと少しでアイツに触れられるのに。
その距離が余りにも遠い。
遠い星を素手で掴むような。
少しでも話せたら、ケロっと考えを改めてくれる。
なんて浅い。
なんて青い。
なんて楽観的。
もっと考えを改めなきゃいけないのは俺の方だ。
260
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:46:08 ID:vdbcco3Q0
アイツは一人で抱えてた。
ずっと。
何も誰にも言わずに。
俺達なら大丈夫、ってどこかで思ってたんだ。
そんなことなんて一つもないのに。
なぁ、何で扉閉まってるんだ?
止めてくれ。
そこが閉じたらアイツはどこに行くんだ?
明らかに異常なところだろう。
屋上だろ?
なんだよ後ろの白いの。
なんでそこに居るんだ?
ダメだよ、戻ってこい。
そんでもう一回、一緒に祭り行こうぜ?
おい、まだ閉まるな。
今俺がそこに行くから。
待て。
待ってくれって。
まだ、アイツにごめんって言えてないんだよ。
一言も謝れないのに、会えなくなるのか?
嫌だよそんなの
いつ帰ってくるんだよ
分からないんだろ?
なら、ほら、こっちだよ。
261
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:46:32 ID:vdbcco3Q0
「サヨナラ、だお」
…おい、こんな時に冗談じゃない。
ふざけんな、俺はまだお前と居たいだけなんだよ。
三人でまだ一緒に居たいんだよ。
バカ。閉まるなって。
なんで立てないんだ。
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
262
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:46:54 ID:vdbcco3Q0
…あ、足動く
起き上がれる
(;'A`)「ブーン!!!!」
動くとわかった瞬間、俺は階段を駆け上がった。
閉まる寸前の屋上の扉に思いっきりタックルした。
扉は空いたんだ。
なのに。
さっきまでの寒さはおろか、ブーンの姿も、さっきの景色も。
何もなかった。
あるのは、見慣れた景色。
廃墟からの見た屋上。
蒸し暑い空気。
それだけだった。
263
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:47:20 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「…なぁ、悪い冗談だって言ってくれ」
(;'A`)「これ、何かのモニタリングだろ…?」
(;A;)「ブーン…?どこにいるんだよ?さっきまでここに居たじゃないか…」
(;A;)「…そ、そうだ。下に飛び降りたんだ。それしかないよ」
(;A;)「下に居るさ、ブーンはイタズラ好きだから…」
川 ; -;)「ドクオ…」
ゆっくりクーが屋上に上がってきた。
その顔は救いようがないほど、絶望に染まっていた。
俺たちは共犯だ。
ブーンの気持ちも知らないで、俺たちはアイツを一人っきりにしてしまった。
こういう時、一番に傍に居なきゃいけないはずなのに。
264
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:47:47 ID:vdbcco3Q0
知らなかったでは済まされない。
もう、ブーンはこの世に居ないんだ。
帰ってくるかどうかも分からない。
本当に、永久にアイツの顔を拝めない。
そんなこともありうるんだという。
そんなところに向かわせてしまった俺たちは…
なにで償えばいい?
もし、何年も帰って来なかったら?
このまま、ブーンが居ない世界で生き続けるなら?
この記憶も年を重ねる度薄れてしまったら?
どうなる?
俺は一生アイツに謝れもせず、ずっと生き永らえるのか?
(;A;)「そんなの…あんまりじゃないか…」
川 ; -;)「…」
俺はその場で蹲って泣いた。
ひたすらに、声を上げて。
そんな俺を抱きしめて、涙を流すクー。
お互いに同じ思いの下泣いている。
265
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:48:11 ID:vdbcco3Q0
それは。
懺悔。
後悔。
未練。
そのどれもがグチャグチャになった物だった。
もう遅い。
当り前に居た存在が、塵も残さずこの世から消えた夜。
満月が俺達を嘲るように照らし続けていた。
266
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:48:46 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:願いが叶う場所〜〜〜
ひとしきり泣いた後、僕はこの氷原のような世界を見た。
前に見た時と同じだった。
無限に広がる空の暗闇。
どこからともなく降ってくる花弁雪。
豪勢な装飾が入っている純白の階段。
そして、誰も寄せ付けないであろう、白銀の扉。
僕は無心で階段に足をかける。
( ^ω^)「…すげーお…これ…」
足が触れたところから水紋が浮かび上がる。
だが、沈むことはなく、質感は大理石のような高級感があった。
上るだけでも心が休まる。
そんな気がした。
僕はそんな光景を楽しみながら、階段を上る。
一番上は見えない程に高い。
まだまだ先は長い…
267
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:49:29 ID:vdbcco3Q0
(;^ω^)「いくら何でも長すぎだろうお…」
なん十分もかけて上った階段。
もう足も限界のようで震えていた。
そして、目の前に現れるこの…
(;^ω^)「スケールがデカ過ぎるお…」
表現ができない程に高く、厳かで、何者も通さないような扉。
…どうやって入るんだ?
辺りを見渡しても、何もない。
あるのは扉だけ。
…何か入るのに特殊な条件が?
と、おどおどしている中、ほぼ無音でその扉は空いた。
僕が入れるだけのちょっとの隙間。
強い光が僕を縦に切り裂いている。
火に入る夏の虫のように、その光の先に足を進めた。
( ^ω^)「…」
僕は扉の中に入った。
そして白い光に包まれて実感した。
ここから全て始まるのだと。
( ^ω^) 願いが叶うようです
第一章 365/7days 完
268
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 22:01:00 ID:vdbcco3Q0
作者です。
第一章ということで、一通り書き切りました。
コメント付けてくれた方、すごい嬉しいです。ありがとうございます。
趣味で妄想を書いていたら、誰かに見せたい欲求が増えてきてしまって衝動的に投稿しました。
自分はブーン系に少し疎いので、読みづらいかもしれないですが、改善点等々あれば教えていただけると幸いです。
どうせ書いているなら自分も読んでて楽しいものにしたいので、良ければ是非お願いします。
第二章、只今書いています。
小出しにちょこちょこ投稿するか、一気に投稿するか迷っています。
拙い語彙かもしれませんが、完走する気でいます。
それでは。
269
:
名無しさん
:2025/02/23(日) 00:23:07 ID:8Bz1l0sk0
いいぞー
270
:
名無しさん
:2025/02/23(日) 22:14:50 ID:uMroyrPI0
まだ読めてないけど投下ペースすごい!
追いつくぞー
271
:
名無しさん
:2025/02/24(月) 20:58:57 ID:MhqGGWoU0
追いついたぜ
内心や関係性の描写が丁寧でみんな好きになれた。続きが待ちどおしい
ところであの名作が基礎?になっているという了解でいいのかな
272
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/27(木) 09:17:35 ID:5g8rHrZI0
>>269
ありがとうございます。
続きも期待していただけると嬉しいです。
>>270
思いつくがままに書いてるので投下ペースは結構曖昧です。
早い遅いとかありますか?
もしあれば教えてくれるとすごく助かります…
>>271
一章読んでいただいてありがとうございます。
物語のベースの作品はあります…
凄く好きなのですが、全被りしないようにはしたいなとは思ってます。
先の事が分かってると面白くないと思うので。
自分も読んでて楽しめるようにしたいなと思います。
期待していただけると励みになります。
273
:
名無しさん
:2025/02/28(金) 23:15:53 ID:Mp4Vd6pE0
>>272
投下ペースは作者の都合第一でいいと思うけど、投下分が読み終わってから更新が来ると付いていきやすいな
1章は自分としては早いと感じた
274
:
名無しさん
:2025/03/06(木) 23:57:28 ID:Lsr3vNzs0
楽しみにしてるお
275
:
名無しさん
:2025/03/10(月) 05:47:28 ID:N9u5t9.A0
してる
276
:
名無しさん
:2025/06/11(水) 02:37:56 ID:Q2yqvG4Y0
楽しみにしてるよ
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