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( ^ω^) 願いが叶うようです
1
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/11(火) 04:29:48 ID:mAAfnS1U0
初めて小説を書きます。
拙い語彙かもしれませんが、何卒よろしくお願いします。
175
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:48:11 ID:R8dbB6ec0
('A`)「ツカレタ」
バーカバーカ
エロ親父ー
まっさかねぇ?www
え、今から泊りに行くだけですけど?w
未だかつて二人っきりの女の子の家だけどぜーんぜん
そんなことないですけど?www
あるわけないじゃーんそんなことねぇ?www
ないじゃんねぇ?www
さてと、クーの家に着いた。
もう疲れてるけどいいや、ちょっと喋って寝よう。
うん、それがいいよ。
ピンポーン
ないない。
ありえない。
幼馴染と?そんなことないから本当に。
あーあ俺も拗らせすぎてるなーほんとに
お、足音聞こえるし、気づいたかな。
うーんなんか緊張してきたな。
さ、俺が泊りに だ け 来ましたよー
カチャ…
川*- -)「…待ってた」
…ないよな?
176
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:50:39 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:鈍感だった俺〜〜〜
とりあえずキモイくらい冷静になった俺。
さっきまでミセリちゃんと三人で居たけど、今は二人っきり。
…うん!
何もないな!
('A`)「あ…風呂入るの忘れた…」
川 ゚ -゚)「そんなに急いで来たのか?通りで早いと思った」
('A`)「なんか…急いじゃった…」
川 ^ -^)「ふふ、なんだそれ」
クーのやつ…こんな顔もするんだな。
少し意外だ。
この歳になっても初めて気づくこともあるんだなぁと。
川 ゚ -゚)「ならお風呂入ったらどうだ?今日一日疲れただろう
ミセリちゃんもいたことだしな」
('A`)「いいのー?なんか申し訳ないな」
川 ゚ -゚)「いいさ、当分親は帰ってこない。それに、呼んだのは私だし…お湯、浸かるか?」
('A`)「なら、お言葉に甘えて。シャワーだけでいいよ」
川 ゚ -゚)「バスタオルは右の棚の二列目だ、好きに使ってくれ」
('A`)「はぁーい、ありがと」
177
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:50:59 ID:R8dbB6ec0
洗面所…あぁダメだ。
できる限り最速で、余計なものを見ない様に!だ!
いいかドクオ、今俺は俺に言っている。
無暗に手を出して嫌われたりでもしてみろ!
そんなことがあった日には、自作絞首台を2秒で作成してそれでお前は終わりだ!
分かったなドクオ!マジで!ごめんなさい!!
…
(-A-)(あー生き返る)
(-A-)(風呂というのはこの世で最高なもんだと思う、温めのシャワーに当たってるだけで幸せだ)
(-A-)(今日は…というか最近はゴタゴタが多すぎるよ)
(-A-)(平和が一番だ…何事においても…)
(-A-)(一番心配な俺の情欲は音沙汰なし、クーにもその様子はなし)
(-A-)(…ちょっとだけガッカリしてみる…)
(-A-)(…ブーンにも連絡しなきゃ)
「ドクオ?」
(;'A`)「わ!びっくりした!」
「制服、洗濯するか?」
('A`)「あー…」
「明日帰ってくる頃には乾いてると思う。どっちでもいいよ」
(-A-)「あいがとーーー」
「ゆっくり浴びればいいさ、洗濯しておくよ
ドライヤーも置いておく」
(-A-)「あーーー」
(-A-)(…なんか良いな。こういうの)
178
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:51:30 ID:R8dbB6ec0
そうして何事もなく、風呂に入った俺。
まるで自分の家かのように使ってしまった。
朝入ったとはいえ、夏だ。
俺は家に帰ったらすぐに入りたい派。
でも、今日はなんだかんだ長引いちゃったから、余計気持ちよさ倍増だ。
髪乾かしてさっと出よう。
…
('A`)「おまたせ」
川 ゚ -゚)「うん、おかえり」
クーはリビングのソファーの上で体育座りしていた。
うん、やっぱダメかも、俺。
川 ゚ -゚)「私もお風呂行ってくる、まぁ暇つぶしててくれ。」
('A`)「ブーンに明日の事言っておくよー」
ありがとう。
洗面台からクーは答えた。
はぁ…何でここに居るんだろ、俺。
眠さもちょっとある。
全身脱力しながらも、携帯をいじる。
すると、ブーンから連絡が来ていた。
179
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:51:56 ID:R8dbB6ec0
『二人共この前はごめんお』
『明日祭りだお?全部僕の奢りでいいから一緒に行ってほしいお』
どんだけ責任感じてるんだって感じの文章だ。
思わずニヤけちゃったじゃん。
まー全部奢りにはさせないさ。
ただお互いに、全員ごめんって言えばいいだけの話。
『元気してたかー?明日いつものところで18時。その後ショボン兄妹を学校に迎えに行くぞ』
『奢らなくていいから明日はちゃんと来てくれーーーーー』
っと、こんなもんかな。
問題ないんだよ、一度や二度の喧嘩なんて。
大事なのは、その後だと思う。
ごめんって言えばいいだけさ。
各々思うことはあるかもしれないけど…それでもいいんだ。
なんてったって俺らは思春期だから!
あーあ、早く三人で遊びてーなー…
……
…
180
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:52:20 ID:R8dbB6ec0
「ドクオ?」
(-A-)「ん…」
川 ゚ -゚)「そんなところで寝てたら風邪引いてしまうぞ?」
('A`)「あ、あぁ…寝落ちてたのか…」
川 ゚ -゚)「眠るなら私の部屋に行こう」
('A`)「え…うん」
川 ゚ -゚)「明日は皆で祭りだからな、ちゃんと眠っとかないとまた疲れてしまうぞ?」
('A`)「…」
今なんて言った?
クーの部屋?
キャミソールと短パンだけの格好に目が行ってて全然言葉が…
寝惚けた頭がグルグル回ってる。
え、部屋?
…いいんすか?
(*'A`)(ここが…女子の部屋…)
質素だけど、匂いとかが全然違う。
なんかこの家の匂い慣れたかなって思ったけど、それよりもっと濃かった。
クーはいつも通りといった感じでベッドに腰かけている。
あぁ、俺、今まで生きてきて良かった。
相手、幼馴染だけど。
川 ゚ -゚)「ブーンに連絡ありがとう。来てくれるといいのだけど…」
('A`)「あぁ、いいよ。普通に来るだろ多分」
川 ゚ -゚)「そうだといいのだがな…ま、いいさ」
川 ゚ -゚)「寝落ちてたくらいだ、眠いんだろう?ほら、もう布団入ってしまえ」
181
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:52:47 ID:R8dbB6ec0
あ
うん、これ夢だ。
間違いない。
だってほら、ベッド一つしかないヨ。
そこに入れって手ポンポンしてるし。
夢です。これは。
とっても質のいい夢です。
あぁでもありがとうございます。
なんかとっても幸せな気持ちなんですよ今俺は。
川 ゚ -゚)「ほら…こっち」
(;'A`)「わっ!」
手を引っ張られ、クーと一緒に布団に倒れ込んでしまった。
あぁ、これは不味い。
夢だと思おうと思ったのに、手強く握られちゃってる。
握手のような形なのに、かつてない程早く脈が暴れてる。
手アツい。風呂上がりだからかな。俺の手汗大丈夫かな。
さっきまで何も感じなかった情欲さんがまたフツフツと音を立ててるよ。
あー早く収まれ心、落ち着いて…
…クーさん、何?その顔。
川 ^ -^)「…ふふ」
俺の顔、今どうなってるかな。
さっき歯磨いたし、こんな近くに顔あっても大丈夫…だよね?
川 ^ -^)「やっと捕まえた」
182
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:53:11 ID:R8dbB6ec0
クーさん?どういう…
いきなり立ち上がってどうし…
あっ今部屋暗くするの?
寝る?
寝るなr
あっあっクーちょっとそんな…
…ヤバい。心臓痛い…
「…わかる?」
「な…何が?」
吐息が耳に当たって擽ったい。
「私の…心臓の音」
「…」
「…ふふ、そっちの方が早いね」
「こんな私にも…ドキドキしてくれてる?」
「…うん…」
胸から胸へ伝わってくる鼓動。
「…嫌じゃない?」
183
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:53:31 ID:R8dbB6ec0
「うん…」
「重くない?」
気づいた時にはなってた恋人繋ぎ。
「…私はね…ずーっと前からこうしたかった」
「…なんで?」
「この気持ちは…ブーンに相談してた時もあったよ」
「…気づかなかった」
「…だろうね、ずっとアピールしてたんだけどな」
「…ごめん」
「いいの」
甘い言葉の応酬で脳が震える。
「この後…どうしたい?」
「多分…このまま目を閉じたらよく眠れると思うよ?」
「…」
「でも…望んでくれるなら…いいよ…」
184
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/18(火) 00:54:11 ID:R8dbB6ec0
相手が自分のどこに、ナニを押し付けてるか分かる。
「前に撫でてくれたこの手…おっきいの好き…」
「ッ…」
これ以上は動かないつもりだった。
相手が動かない限り。
でも、体は少しずつお互いを求めていたらしい。
「ふふ、男の子だね…?」
淡い陰影の裏で感じる濃い感触。
二人の晩夏は、果てしなかった。
___________________
185
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:37:41 ID:j2dxepV.0
6days
今日は夏休み初日。
僕は惰眠を貪った。
起きることも今は億劫だったから。
大きく欠伸をした。
僕はどのくらい眠ったんだろう。
閉め切ったカーテンから漏れる橙色。
それでも眩しいくらいの光。
それは、僕が寝すぎたからだろうか。
寝惚けた目を擦ってとりあえず上体を起こす。
眠りすぎたせいで、全身に血液が流れる感覚がした。
…今日は祭りに行く日。
しばらく会えてない二人が恋しかった。
とは言っても、2.3日だけだけど。
学校でも一緒に居るからか、そういう感覚は抜けない。
時間が経つにつれ、二人の偉大さを感じた。
ドクオとクー、そして、ショボンとその妹。
久々に会えることに嬉しさを感じているのと同時に…
気まずさもあった。
最後に会話したのが…というか、僕が全面的に悪いのだが…
あーなんて謝ろう。
どうしたら許してくれるかな。
多分っていうか絶対怒ってるよなぁ…
だから引き合いに出した全奢り。
でもなぁ、ちゃんと傷つけちゃったよなぁ…
あー…本当に申し訳ないことをした。
…携帯の連絡帰ってきてるかな?
恐る恐るグループを見てみた。
186
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:38:23 ID:j2dxepV.0
『元気してたかー?明日いつものところで18時。その後ショボン兄妹を学校に迎えに行くぞ』
『奢らなくていいから明日はちゃんと来てくれーーーーー』
『 絶 対 に 来 い 』
そうだ、昨日風呂に入ってから連絡待たないで眠ってしまったんだ。
やらかしたーと思いつつ、優しい二人に感謝した。
今日はちゃんと謝らないと。
とりあえず、行く旨を返答した。
現在時刻は16時半。
もう少し眠ってたら完全に遅刻してるところだった。
危ない危ない。
とりあえず、床に投げ捨ててある紙、もとい宿題を机に並べた。
昨日からずっと眠ってたんだ、体が気持ち悪い。
風呂を溜めてる間、キッチンにある菓子パンを頬張る。
テレビを付けてボヤっと眺めていた。
今日は今年一暑いらしい。
それを見ながら、コップに水道水を注いだ。
もう外から子供の声が聞こえる。
祭りは始まっているらしい。
仄かに香る焼きそばの匂いが、菓子パンを食べる手を早める。
こんな感じで気持ちが上がると、次第に眠気も無くなってくるのも必然だった。
一袋の菓子パンを胃にいれたところで、風呂が溜まったようだ。
さ、早めに入らないとまた遅れちゃう。
楽しいことを予感しつつ、僕は準備を早めた。
187
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:38:56 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同日:残煙の俺〜〜〜
俺は目を開けたくなかった。
二度寝したいから、と言われたらそうなんだろう。
だが、その答えはバツだ。
何故なら、片腕が痺れていて、その上に…髪の感触があるから。
うん、触ったことある感触してる。
それに…なんか服の感覚が全然ない。
その代わりにその…全体的に凄く…柔い…
…いやいやいや、ねぇ?
そんなことないよーさすがに。
全身から伝わる情報はね?
そうだと思うよ?
だが聞いてくれ、俺が目を開けない限りはそれがどうかもわからないだろ?
シュレディンガーの猫ってやつだよ。
開けてみないと分からないってあれ。
それに、今俺の隣で可愛い寝息を立ててる相手も誰だか分からない。
俺が目を開けない限りはどっちかなんてわからないんだよ。
だからな、俺はこのまま自分の息の根を止めようと思うんだ。
188
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:39:16 ID:j2dxepV.0
そうすれば永遠にこのまま真っ暗な視界で、正解なんて分からない!!
よし!死のう!今すぐに!
いやぁ、ここまで生きてきて良かったなぁ。
ブーンとは仲直りできなかったけど、まぁあとはどうにかなるでしょ!
そうと決まれば
「…んう…」
ッッッ!!
…起きちゃった…?
「…すぅ…」
…セーフ!セーフです!
わたくしドクオはセーフを勝ち取っています!
何とかして目を開かないという偉業を成し遂げたのです!!
よし!まだ俺には猶予があるってことだ!
さて!舌を嚙み千切る準備は-------
「…どーっくん?」
…汗
「おーきーて?」
…なんて甘ったるくてウィスパーな…声してんのこの人
「…確かめるね?」
あっなに、ちょっとあんまり動かないであっ
息近いちょっまあっあっ
189
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:39:39 ID:j2dxepV.0
(;;'A`)「あああああ!!ごめんなさい起きてます起きてますううう!!」
ベッドから転げ落ちた。
それと同時に目を開けてしまった。
川*- -)「…おーはーよ」
布団で身を隠す寝起きでポヤポヤしてるクーの姿。
シュレディンガー作戦失敗と共に、全て思い出してしまった。
俺は、今日という日を一生涯忘れることはないだろう。
そんでもって、ごめんなさい。
……
…
お互いの服を着なおして、態勢を整える。
俺達は夜が明けてちょっとしても起きてた。
…うん、あれです、絵本とか読んでたんだよ。
クーの気恥ずかしさがマックスで感じる。
俺もそうだし。
全身が痛かった。
まともに目を合わせたのは、起きた時だけ。
うーんどうしたらいいかな…
とりあえず準備でもしようかな…ゆっくり…
なんだかんだ時間は16時半。
携帯をパッと見る
190
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:40:15 ID:j2dxepV.0
『今日はちゃんと行くお』
ブーンからの連絡を確認して安堵した。
そのまま風呂を借りた。
全部脱衣し終えて鏡を見たら…
oh…見事な桜吹雪が描かれていた。
だから痛かったんだ…エグイ色してんな。
脳みそが勝手に妄想をするのを阻止してシャワーを浴びる。
あーなんか罪悪感が…
早く洗っちゃおう。
シャンプー…
良い匂いするなぁ…女の子って感じだ。
…ちょっと嗅ぎなれたな…
(-A-)(…もしかしてすごいことをしちゃったのでは…?)
(-A-)(なんか本当に夢みたいな…)
(-A-)(…?なんか音がする)
ガチャン
(-A-)(…ん?)
「痒いところはないですかー?」
「わああ!なんで入っ」
「ウルサイ…時短だ、時短…それに」
「この状態はもうお互いに見ただろう?
…気にするな」
「状態ってなんかそんな!」
「はいはい、綺麗に洗ってやるからなー」
「…!!!!!」
「……」
「…」
「」
191
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:40:48 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同日:いつもの待ち合わせ場所にて〜〜〜
(;^ω^)「…」
僕はそわそわしている…
それも、猛烈に。
酷いことを言ってしまった。
それから謝れもせず数日経った。
あぁこれほど気まずいことはないだろう。
さっきからウロチョロしないと気が済まない。
暑さからくる汗は多分今はない。
ただただ、冷や汗ばかりだった。
心臓が痛むくらいドクドク音を立ててる。
そんなことをし続け数分。
二人の姿が見えた。
今日一番の鼓動が全身に脈を打った。
寒気すらする。
まずはごめんなさいを----
…あれ?
なんかあの二人…雰囲気違うような…
('A`)「ちゃんと来てるじゃん」
川 - -)「…ソウダネ」
('A`)「…」
川 - -)「…」
え、なにこの空気。
前もあった気がするけど…
192
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:41:11 ID:j2dxepV.0
ってそうじゃない!!
(;^ω^)「この前は二人共ごめんお!!あんな酷いこと言っちゃって!」
ほぼ90°直角に曲げた腰。
一発くらい殴られる覚悟はしてきた。
そのくらいの事をしたと思ってるから。
だから目を閉じてその態勢をキープした。
(;^ω^)「…?」
…でも反応はなかった。
恐る恐る二人の顔を見る。
うん、なんかやっぱりおかしいよこの二人。
なんか空気感全然違うもん。
おかしい。
(;^ω^)「な、なんか二人共空気おかしくないかお…?」
(;'A`)「え!いつも通りだよ!通常運転!これ!通常だから!!
ちょっと会わなかっただけで忘れたか?普通だよ!な!クー!」
川*- -)「ふ…ふふ、そうだね」
(;^ω^)「やっぱりおかしいお!特にクーが!僕のせいで喧嘩しちゃったお!?それなら全力土下座を!!」
(;'A`)「そうじゃない!それは絶対に違うんだけど、あのーなんかこのー」
川*- -)「ふふ…慌てたところも…可愛いね?」
(;'A`)「今それやめて!?こしょばいってば!心が!」
(;^ω^)「絶対何か違うお!距離感近すぎっ…」
193
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:41:40 ID:j2dxepV.0
…
…あ
( ^ω^)「ドクオ、ちょっと来いお」
('A`)「…はい」
( ^ω^)「正直に答えるお…いいかお?」
('A`)「はい…」
( ^ω^)「…した?」
(;'A`)「…黙秘権を行使します」
(;^ω^)「ちょっ!!おまっ!!お前!!」
(;'A`)「あああああ違うんです違うんです!!これには深い訳がありましてそうでしてあああああ」
川*- -)「ふふふ…前も言ったじゃないか…女は猛獣なんだよ…?」
(;^ω^)「前々から聞いてたけど!!そのアカラサマなの辞めてくれお!!どう接していいか分からんお!!」
(;'A`)「俺だってわからねーーよぉーー頭揺らさないでぇーー」
川*- -)「さ、さっきので…いいじゃないか…もうバレてるんだし…ふふ」
おまええええええええええ
ちがうんだってぇぇぇぇーーー
……
…
194
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:42:02 ID:j2dxepV.0
こうして、いつも通り?ではないけど。
でも、この雰囲気になっていたことは凄い嬉しかった。
少し申し訳なかった。
ショボン兄妹を迎えに行く道中、ずっとこんな感じだった。
仲良くなれてよかったのかな…いろんな意味で、ね。
クーの恋心は前から聞いていた。
それこそ、虐められていた時から最近まで。
鈍感なドクオも多分、嫌いではないと思ってた。
だけど、こんなに雰囲気違うなんて…
なんかチクチクする。
でもいいんです、クーの願いが叶って嬉しいと思ったから。
ドクオもまんざらでもない顔してるし。
( ^ω^)「ドクオ、クーのことは任せたお」
(;'A`)「何度も言ったけど、それすげープレッシャーだからやめてって!」
川*- -)「…嫌だったか?」
(;'A`)「これも何度も言ったけど、そうじゃないって!」
川*- -)「私のこと…守ってね…?ふふ…」
( ^ω^)「お似合いだおー」
195
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:42:22 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「…何がだい?」
ミセ*゚ー゚)リ「あっ!おにーさんとおねーさん!」
そこでショボン兄妹と合流。
妹ちゃんの方は何やらドクオとクーを知ってるようだった。
( ^ω^)「初めまして妹ちゃん。僕はブーン。名前は何て言うんだお?」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリ!きのうおにーさんとおねーさんとあそんでもらったの!」
(´・ω・`)「そうだったんだね、お兄さんとお姉さんの正体は二人だったか」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!おもしろいの!ねー!おねーさん!」
川*゚ -゚)「おぉ、ミセリちゃん。我が天使よ」
('A`)「ショボンお疲れ、ありがとな」
(´・ω・`)「ううん、こちらこそだよ。祭りって結構近くだったんだね」
( ^ω^)「そうだおー大きくはないけど、小さくもない感じだお」
(´・ω・`)「ブーン君、夏バテは大丈夫かい?最終日学校に来てなかったから心配だったんだ」
( ^ω^)「…大丈夫だお!今は元気になってるおー」
196
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:42:44 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「…僕は明日行くよ」
( ^ω^)「分かってるお」
ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんなにはなしてるの?」
(´・ω・`)「今日楽しもうって話さ、二人は?」
ミセ*゚ー゚)リ「おもしろいよ!みてみて!」
川*- -)「…む、娘ができたら…きっと…あんな感じなんだろうね?」
(;'A`)「俺らまだ学生だし…まだ気が早いんじゃ…?」
川*- -)「"まだ"…ね?楽しみだねーどっくん?」
(;^ω^)「おっ…」
(;^ω^)(隠す気も何もねーお…)
(´・ω・`)(何か進展あったな)
ミセ*^ー^)リ「おねーさんたちおもしろーい!」
こんな話をしつつ、僕は祭りの中に足を踏み入れていた。
赤提灯と屋台の匂い。
子供たちの声、汗ばむ肌。
五感で夏という概念を感じている。
この雰囲気は僕から現実感を消失させる。
197
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:43:12 ID:j2dxepV.0
ミセリちゃんは甘いのものが好きみたいで、綿飴と林檎飴を両手に持ってる。
口回りがべたべたになったのか、ショボンに拭いてもらっている。
彼が本当は魔法使いだと知ったら、ミセリちゃんはどんな反応をするんだろう。
クーとドクオは、あんなにあたふたしていたのにしっかり恋人つなぎをして見慣れた景色を堪能してる。
きっと関係性が変わると、いつもの景色も違って見えるんだろう。
二人の照れ笑いを後ろから見てて、ちょっとだけ僕も照れくさい。
一方僕は…
そんな四人を見てるだけ。
しばらく後ろからみんなを見てた…だけだった。
得も言われぬ感情に胸がひどく痛んだ。
人の幸せを見ているだけで、何か悪意のようなものを感じた。
多分、心という臓器があるなら、全体に擦り傷に覆われてただろう痛み。
僕は、こんなに人の幸せを祝えない人間だっけ。
分からなくなった。
だから僕は、気づかれずに四人と離れた。
198
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:43:36 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同日別所:未熟なジレンマ〜〜〜
大きくはないが、小さくもない。
そんな規模だ。
気ままに今は、歩きたい。
この痛みが治まるまでは。
先生は言ってた。
願いの形は違うと。
それと同じように、幸せの形も違い、その姿も変わっていくのだろう。
僕にとっての幸せは、幼馴染と、家族と一緒に居ることだった。
けど…もうあの二人の幸せの中にいて、僕が入る余裕はなさそうだった。
あぁ、なんか。
言葉にできないなぁ。
心も、息も…苦しいなぁ…
嬉しいはずなのになぁ…
人の願いが叶うことって、こんなに辛いものなのかなぁ…
この目に映る景色が次第にボヤけていった。
僕は泣いているのだ。
この人混み、黄色い声が聞こえる場所で。
祭りってこんなに悲しいものだっけ。
なんだっけ、幸せって。
199
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:44:01 ID:j2dxepV.0
そんなことを一人で考え、歩いていた。
祭りを感じない場所へ逃げたかったんだ。
今、僕がここにいたらダメだと思った。
このドス黒い感情に支配されてしまいそうだったから。
あの時と一緒だった。
図書室でクーとドクオに向けたあの感情だ。
ダメなんだ、こんなこと思ってしまったら。
だって、二人は幸せなんだから。
そう思えば思うほどに、この心は孤独を望んだ。
誰か近くにいたら、僕はきっと耐え切れなくなってしまうだろうから。
幸せは他者から見たらなんと惨いことか。
僕は自分を不幸せだと思ってるんだ。
実際に、トーチャンは家を出ていった。
カーチャンは倒れて搬送されてしまった。
僕とは真反対な二人を見て、絶望した。
嬉しいことのはずなのに。
僕も望んでいたことなのに。
あの幸せな姿が、に自分の首を絞めることになるとはだれが思っただろう。
もう、今は何も考えたくない。
離れよう。
あの祭囃子からは。
200
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:44:22 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻:俺〜〜〜
川*- -)「どーっくん、あーん」
('A`)「自分で食べられるよ」
川*- -)「…いや?」
('A`)「いやじゃないけど…しょうがないなぁ」
クーの手から俺の口にお好み焼きが渡された。
ソースが濃くって、紅ショウガが良いアクセントを際立たせる。
あーうめーなぁ。
なんか、甘さもあるなぁ。
俺、マジでこの夏を忘れられないな。
隣でニコニコ笑うクー。
こんな笑顔を見るのは初めてだった。
なんか…全部がキラキラして見える。
この空間全て俺のためにあるんじゃないかと思うくらいに。
世界に俺とクーだけの世界が、確かにここにある。
お好み焼きを食べ終わって、ごみを捨てに行く。
ちょっと離れたところで、ショボン兄妹を見かけた。
二人は金魚すくいをしてるみたいだった。
傍から見たら、なんて微笑ましい光景だろうと、誰もがそう見るだろう。
でも、その実二人には深いと一言で片づけるには軽すぎる程の傷がある。
きっとミセリちゃんは全てを理解してない。
だが、ショボンは全部を背負っているんだ。
両親の死。
ミセリちゃんの言葉からの推測だけど、たぶん目の前で見てる筈なんだ。
そんなことを感じ取らせない空気。
あの空間もまた、二人だけの幸せなんだろう。
201
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:44:45 ID:j2dxepV.0
…そういえば…ブーンは?
('A`)「ブーンどっか行っちゃった?」
川*- -)「わかんない…ずっとどっくん見てたから」
(;'A`)「もう少し景色とか周りとか見なよ」
川*- -)「うん…でも、私が今見てるものが、今の私の全部だからいいの…」
(*'A`)「クー…」
あぁなんて可愛いんだ。
何でもっと早く気付かなかったんだ。
鈍感な俺のバカ。
この手の繋ぎ方も、もう板についてきた。
でも…ブーンがいないのはちょっと物足りない気もする。
『ブーンはぐれちゃったか?今どの辺にいる?』
一つ連絡を送る。
それを見たクーが俺の携帯を覗き込む。
川 ゚ -゚)「…浮気は嫌だぞ」
(;'A`)「ブーンに連絡しただけだよ」
久々に見たなこの顔。
202
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:45:16 ID:j2dxepV.0
遠くでミセリちゃんが俺らを呼んでた。
どうやら上手く金魚をとれたみたいだ。
一匹だけだったけど、ミセリちゃんは嬉しそうにその中を見てる。
ミセ*゚ー゚)リ「わぁ…」
キラキラ光るその目を見たらわかる。
この幼女は全てが純粋で、全てが新鮮なんだ。
俺らもこんな時もあったよなぁ。
一緒にこうして祭り行った時も。
初めて見る海で大はしゃぎした時も。
公園まで行って雪ダルマを三人で作った時も。
きっと同じ目をしてた。
色んな思い出が溢れてきて、俺は嬉しかった。
今年も一緒に三人で居られるんだから。
まぁ、一人は今現在近くにいないが。
('A`)「…あれ、お兄ちゃんは?」
ミセ*゚ー゚)リ「ぶーんをさがしてくるって!」
('A`)「ブーンって呼んでるのか…まぁ、とりあえず俺たちについておいで」
川*゚ -゚)「天使確保したぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「ふたりとてーつなぐ!」
真ん中にミセリちゃん。
その両隣に俺らで挟んで手を繋いだ。
まるでその姿は、若い家族のような。
幸せのプールに浸っているような。
そんな感覚だった。
203
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:45:36 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻:願う二人〜〜〜
( ω )「…」
どうしようもなくなった心。
それを落ち着かせる為に向かった廃墟。
あの日、願いが叶う場所に繋がった4階で一人黄昏ていた。
祭りが学校から近いのもあって、比較的行きやすい場所だった。
不思議と頭痛もなく、耳鳴りもなく、変な声も聞こえなかった。
僕を一人にしてほしいという気持ちを汲んでくれたのかもしれない。
そよ風が僕を撫でる。
その時、声が後ろから聞こえた。
(´・ω・`)「…皆心配してたよ」
ショボンだった。
何でこの場所に来たのか。
何で知っていたのか。
この際どうでもよかった。
彼は魔法使いなんだから。
ある程度落ち着いた心で、言葉を吐き出す。
204
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:46:06 ID:j2dxepV.0
( ^ω^)「…いいんだお、これで」
(´・ω・`)「…やっぱり、あの二人かい?」
( ^ω^)「そうだけど、そうじゃないんだお。僕はもうクーとドクオを邪魔しちゃいけないんだお」
(´・ω・`)「きっと一緒に居たいと思ってるさ。何があったかは、僕は知らないけど」
( ^ω^)「…いいんだお」
(´・ω・`)「僕は、三人が仲良くしてるところ見てたいんだけどね」
( ^ω^)「幼馴染だからこそ、わかるものもあるってもんだお」
(´・ω・`)「まぁそういうなって、ほら」
ショボンが渡してきたのはコーラだった。
さっき買ってきたのだろうか。
それとも、僕の体が火照っているからだろうか。
この世で一番冷たく感じたコーラだった。
プシュっと音を立てて一口飲む。
夏夜の上に煌々と輝く月。
明日は満月らしい。
( ^ω^)「そういえばミセリちゃんはどうしたんだお?」
(´・ω・`)「二人に預けてきたよ。ミセリが懐いてくれてたおかげさ」
( ^ω^)「おっおっお、純粋だおね」
(´・ω・`)「あぁ…直視できないくらいにはね」
( ^ω^)「ショボンは家族と祭りは行かないのお?」
(´・ω・`)「…出張でね、今は居ないんだ」
( ^ω^)「そうなのかお…残念だおね」
親の出張でこっちに引っ越してきたと考えたら、この時期に転校してきたのは頷ける。
大変なことだと思いつつ、コーラを一口飲む。
205
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:46:26 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「これ飲んだら、戻ろうか」
( ^ω^)「…僕はいいお」
(´・ω・`)「意地張ってないでさ。子供の喧嘩じゃないだろ?」
( ^ω^)「…幸せな奴にはわからないお、僕のことなんて」
(´・ω・`)「…一体君に何があったっていうのさ」
( ^ω^)「…トーチャンが出て行って、カーチャンが倒れたんだお。だから…」
そこから先は声が出なかった。
事実を口にすること。
目を逸らしていたことが、増々現実味を帯びてしまうから。
(´-ω-`)「…いいじゃないか…別に。探せば会えるんだろう?」
(#^ω^)「…おっ」
その言葉に反応して、立ち上がりショボンのいる方向を見た。
…だが、彼の姿はなかった。
その代わり、優しく温い風が僕を掠めた。
怒りの矛先を失った僕は、これ以上ないほど拳を握りしめた。
206
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:46:51 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻:フィナーレの所作〜〜〜
('A`)「もう21時か…そろそろ祭りも終わりかな」
ミセ*゚ー゚)リ「もっとふたりといるー!」
川*゚ -゚)「ミセリちゃんが良ければ永久に一緒に居てやろうじゃないか」
('A`)「クー、一応人の妹だ」
ミセ*゚ー゚)リ「ふたりともぱぱとままみたい!」
川*- -)「そ、それって…ふうふ…ふふふ」
('A`)「…」
クーは今頭がお花畑で顔が真っ赤になってる。
だけど、俺は別のことを考えてた。
ミセリちゃんの両親はもういないんだ。
だから、この子が将来大人になったら何と思うんだろう。
そんなことを考えていた。
正直気まずいことをこの子は言っている。
川*- -)「ど、どっくん…ふ、ふうふだよ…ふふ」
今のクーにとっては全然そんなことないみたいだった。
なんだよ、心配損かよ。
207
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:47:28 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「ごめん、二人とも」
('A`)「おー…ブーンは居なかったか」
(´-ω-`)「…うん、はぐれちゃったみたいだね」
('A`)「迷子センターにでもいんじゃないかな」
(´・ω・`)「そうだったら面白いね」
ミセ*゚ー゚)リ「あ!おにーちゃん!みて!あたらしいぱぱとまま!」
そう指を俺たちに刺す。
子供のいうことは100%悪気がないだけにタチが悪い。
変な汗をかく。
川*- -)「す…すまない…ショボン…ふうふ…だよ…」
あぁ、クーはもう全部を忘れてるわ。
全然気にもしてない。
自分の世界入っちゃった。
(´・ω・`)「…ミセリはクーちゃんとドクオ君は好きかい?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!だいすき!ぶーんも!」
(´・ω・`)「そうならいいんだ、嬉しいよ。ありがとう二人とも」
ミセ*゚ー゚)リ「おねーさん!」
川*゚ -゚)「我が天使よ、おいで」
208
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:47:50 ID:j2dxepV.0
('A`)「…いいよ全然、ミセリちゃんいい子だし。それにクーにも懐いてるみたいだし」
(´・ω・`)「ドクオ君にも懐いてるみたいだよ。昨日ミセリが帰ってきてから沢山話してくれたからね」
('A`)「まぁ特に何もしてないよ、アイス買ってあげたくらいかな」
(´・ω・`)「…そんな君たちに一つだけお願いがあるんだ」
('A`)「できることなら」
(´・ω・`)「…僕、明日から少し家を空けるんだ。だから、その間ミセリを見ててほしいんだけど…どうかな
無茶を言ってるのは承知で言っているよ」
('A`)「…なら条件が一つある…いいか?」
(´・ω・`)「僕に答えられることならなんでも」
('A`)「前に言ってた…叶えたい願い?だっけか。それって何なんだ?多分そのためにどこか行くんだろ?」
(´-ω-`)「…そうだね」
(´-ω-`)「…ミセリの願いを叶えに行くんだ。兄として。家族として」
('A`)「濁すの上手いよなぁ、まぁいいんだけどさ」
('A`)「…それは、叶うもんなのか?」
(´・ω・`)「叶えてみせるさ。じゃないと、僕が生きている意味がないからね」
209
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:48:12 ID:j2dxepV.0
それは力強い目だった。
俺も言葉を濁しているから人のこと言えないんだけどな。
誰がどう考えても無理なことを、ショボンは面と向かって叶えるというのだ。
マッドサイエンティストでもない限り無理だ。
そんなことを容易く言ってのける。
だから俺はその言葉を信じて、ミセリちゃんを預かることを承諾した。
宛はない。
でもまぁ、うちの家族なら何とかなるだろうと高を括ってる。
一方のクーは、ミセリちゃんとイチャついている。
あれって百合っていうんだろうか。
('A`)「…ブーン、お前どこいるんだ?」
幸せと狂気と不安が俺の周りで渦巻いた瞬間だった。
突然強烈な光と、爆発が俺を襲った。
俺は心臓が飛び出そうな反応をした。
焦った顔で俺は三人の方を見る。
すると、空を見上げていた。
周りの人も同じく同じ方角を見ていた。
そこには、空に満開の火花が花弁を大きく広げていた。
パチパチと音を立てて、優雅に散るその爆弾は、俺の五感の全て盗んでいた。
いつの間にか隣にいたクーが手を握ってきた。
それを返すように俺も同じ力で握る。
クーと火薬の匂いが混じって俺を包む。
この胸の暑さは、気温のせいではなかった。
210
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:48:34 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻廃墟にて:爆弾〜〜〜
飲み干したコーラの缶をただジッと見ていた。
喪失感、悲壮感、無力感。
ズタボロになった心の代わりに、空に咲いた大華。
あの時と同じ顔をして、散っては咲き続ける爆弾に見惚れていた。
もし、トーチャンが出ていかなければ。
もし、カーチャンが倒れてなければ。
もし、クーとドクオがあんな風にならなければ。
僕はもっと素直にこの景色を見れてたのだろうか。
大きな音がこの街を包む度に、僕の心が形を崩していくのが分かる。
昔、僕の泣きっ面を壊してくれたあの華は。
今は僕の心を壊してくれている。
あぁ、なんて助かるんだろう。
未練がなければ、楽に命を張れる。
今、僕を繋ぎとめているモノは何一つない。
この願いに迷いがなくなった瞬間だった。
これで、いいんだ。
もう、戻れない。
僕はあの華が一つ残らず散るのを見守った後、足早に家路についた。
211
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:51:44 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻祭りにて:得るモノ、失うモノ〜〜〜
最後の火花が打ちあがり、周りの人たちは拍手を空に送る。
それと同時に真っ暗になる視界。
それは、この祭りの終わりを告げていた。
人込みに少し流されて、ショボンとは少し離れてしまった。
クーの手は暖かい。
それに、遠くでミセリちゃんは大はしゃぎでショボンに抱き着いている。
ショボン、お前はきっとその笑顔を守るために願うんだろ?
叶えるんだろ?
俺には到底考えられないことだよ。
俺は、変に理性的に考えてしまう。
だから、幽霊とか、そういうオカルトチックのに興味があるんだ。
無理なものは無理、と割り切ってしまうのがクセ。
そんな俺から見たショボンの背中は、今まで見たどの人間より背中が大きく見えた。
きっと俺は嫉妬してるんだ。
そんなかっこいい顔してるくせに。
あんな重たい過去を背負っているのに。
何でそんな夢物語を言えるんだ?
不思議で仕方なかった。
何か宛があるのか?
教えてほしかった。
212
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:52:06 ID:j2dxepV.0
川*- -)「…どうした?考え事か?」
('A`)「あぁ、うん」
('A`)「明日からショボンが長い期間家を空けるらしいんだ…理由は知らない
だからミセリちゃんを預かることになったんだけど…どうしようかなって思ってな」
川*- -)「…それなら、ウチに置くさ。女の子だし…それに…」
('A`)「それに?」
川*- -)「…どっくんは今日泊ってくれる…だろ?」
('A`)「え…母さんと父さんは…?」
川*- -)「…いないよ。伝えておくさ」
(;'A`)「…」
なんてことだ。
一夜で終わるはずの泊りが、まさかの二日目に移行しようとしていた。
そんなことがあるのか?
あるんだよな?
今そうだもんな?
213
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:52:36 ID:j2dxepV.0
川*- -)「…ダメだった?」
(;'A`)「い、いいなら…」
川*- -)「…来てほしい」
そう言ってクーは俺に顔を寄せてきた。
少し背伸びした彼女を支えるように、自然に腰に手をまわした。
俺は、初めてクーの睫毛の長さを知った。
川*- -)「…さ、帰ろう?」
(*'A`)「う、うん」
そして、二人を探して近づく。
俺たちは帰る旨を伝えて挨拶をした。
どうやらショボン達は明日もここに来るらしい。
だから、明日も同じ時間に集合しよう、という流れになった。
(´・ω・`)「ブーン君によろしく伝えておいてほしい。明日ははぐれないといいね」
('A`)「本当だよー心配だし、結局見つからなかったし」
ミセ*゚ー゚)リ「おねーさん!あしたからいっしょだって!」
川*゚ -゚)「うむ、ずっと一緒だ。私の家だけどいいか?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!ねこのようふくきる!おにーさんもいっしょなんだよね?」
('A`)「あー…そうだよ。ショボンの代わりにならないだろうけど」
214
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:53:41 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「いいんだ、迷惑かけてごめん」
川 ゚ -゚)「迷惑だと思ってないさ。むしろそっちは大丈夫なのか?」
(´・ω・`)「うん、早めに帰ってくるようにするよ」
川*゚ -゚)「だからおねーさんといっしょだぞぉー」
そういってクーはミセリちゃんの頭を撫でる。
ニコニコしながら一心にその手のひらを頭でを味わうミセリちゃん。
ここのカップリングでいいんじゃないかな、もう。
(´・ω・`)「それじゃあ僕らは帰るよ。遅くまでありがとう。また明日」
('A`)「またなー」
川*゚ -゚)「また明日だよミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!ばいばーい!」
元気よく手を振ってくれるミセリちゃんに応えて俺らも手を振る。
姿が段々と小さくなっても、あの兄弟の姿は幸せそのものだった。
二人と距離が離れていくにつれて、僕らの距離は近づいていた。
もう手を繋ぐのはお決まりになっていた。
そして、もう慣れて来ている俺がいる。
川*- -)「今日…すごい楽しかった」
('A`)「あぁ、ブーン途中からいなかったのだけ悔しいな」
川 - -)「…うん、あとで連絡入れとくね」
('A`)「俺からも連絡しておくよ。明日、回れなかったところ行こうか」
215
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:54:04 ID:j2dxepV.0
『ぶーーーーーん祭り終わちゃったよーーー』
『明日同じ時間に同じ場所で待ち合わせなー!次ははぐれるなよーー』
『 絶 対 来 い 』
俺らの帰り道はそんな話題で持ち切りだった。
なんか、クーこうなってから時間が経つのが早く感じる。
少しだけ話したと思っていたら、もうクーの家に着いていた。
そのくらい、俺は夢中になってたんだと思う。
('A`)「ただいまーおかえりー」
川*- -)「おかえり…ただいま」
二日目だからか、どことなく慣れてしまった自分がいる。
いいことなのか悪いことなのか。
鼻が慣れたのか、少し家の匂いを感じなくなったところだった。
川*- -)「お風呂入ろ?」
(;'A`)「い、一緒に?」
川*- -)「朝入ったし…いいでしょ?」
(;'A`)「…恥ずかしいんですけどそれは…」
「洗ってあげるから…ほら、手上げて?」
「ちょ、ちょっと!?いきなり過ぎない!?」
「いーから…ふふ、まだ痕ついてるね」
「そ、そりゃぁ…」
「…見て?私も」
「あれぇ!?俺もしたっけ!?」
「…男の子だなぁ、って思ったよ」
「〜〜〜〜!?」
「……」
「」
216
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:54:32 ID:j2dxepV.0
('A`)「…」
川*-〜-)「ん〜」
これはもう半同棲なのでは?
とクーの髪を乾かしながら思う。
サラサラでツヤツヤ。
俺より髪乾くの早いんじゃないんかな。
乾かすの下手だと思うけどいいんかな。
あー色々考えてしまう。
なんとなく、どっと疲れが来た。
川*- -)「ありがと」
('A`)「乾いてなかったらすまん」
('A`)「あー…なんか祭り後って疲れるよな」
川*- -)「…もう寝る?」
('A`)「明日も一応あるからなーそうするかー」
川*- -)「うん…お布団、行こ」
…あ
一緒の布団で寝るんだった。
217
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:54:55 ID:j2dxepV.0
(;'A`)「…ちょっと心の準備ほしい」
川*- -)「昨日一緒に寝たのに?」
(;'A`)「そーだけど…なんか緊張しちゃって…」
川*- -)「いいよ…遠慮しないで」
川*- -)「…おいで?」
布団に腰かけて手を広げるクー。
俺は、カチコチの体を無理やり動かして近づく。
川*- -)「よくできました」
そのまま俺に抱き着くクー。
腰の辺りに、熱と感触が俺に伝わってくる。
全部柔い…懐かしさすら感じる。
川*- -)「…電気消して?」
そのまま暗闇の中、布団に寝転がる。
横になるだけで、今日の疲れが一気に噴き出してきた。
心地いい匂いと、ベッドの柔らかさに飲み込まれそうになっていた。
218
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/19(水) 22:55:29 ID:j2dxepV.0
「…今日楽しかったね」
「うん…めっちゃ疲れた気がする…」
「…そう?」
「私は…もっと一緒に居たいな」
「うん…」
体温が上がってきたのが分かる。
「ねぇ…」
「ッ…」
考えたことが全てどうでも良くなる熱。
悩みなんて、この空間には必要ない。
理性も、意味も、ここでは無力だった。
ただ、ひたすらに目に見えるものを受け入れるだけだった。
二人は熱く、蕩けた夜を貪った。
___________________
219
:
名無しさん
:2025/02/21(金) 22:27:57 ID:DJb2A7IA0
おつおつ
220
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:22:30 ID:vdbcco3Q0
7days
時間は夕方。
僕はカーチャンの見舞いに来ていた。
もう永遠に戻ってこれないかもしれないから。
"向こうの世界"に行く前の、最後の挨拶だ。
死ななければいいだけの話なのだが。
それでも、カーチャンと二度と会えなくなるのは怖かった。
死ぬことも、あの扉の先に行くことも、全て。
だけど、僕がこんな気持ちになっているのは、間違いなくあの時からだ。
トーチャンが出て行って、カーチャンが倒れた。
あの日から、僕の歯車は狂い、正常に機能していなかった。
だから、あの事象全て無くしてしまえば、きっとこんな気持ちもなかった。
昨日の祭りも、一人ではなれることはなかった。
それがなくなってしまえば、僕は元通りになるだろう?
だから、僕は行く。
願いを叶えに。
221
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:22:59 ID:vdbcco3Q0
J('ー`)し「…ブーン?」
( ^ω^)「おっ、どうしたお?」
J('ー`)し「最近何か思い詰めてない?」
( ^ω^)「おっおっおっ、僕に限ってそんなことないお」
J('ー`)し「…なら、なんで目が腫れてるのよ」
( ^ω^)「…夜更かしのし過ぎだお」
J('ー`)し「なら…いいのだけど、宿題もちゃんとやらないとダメよ?」
J('ー`)し「でも、ブーンが強がっているのは分かるわ。何かあったんでしょう?」
カーチャンは全て見通しているかのように言う。
バレているのだ、僕がもう壊れていることに。
( ^ω^)「…カーチャン、心配し過ぎだお」
J('ー`)し「本当に何もないのね?」
( ^ω^)「…何もないお」
222
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:23:31 ID:vdbcco3Q0
僕は嘘を吐いた。
きっと言っても意味がないから。
これから死ぬかもしれないけど、願いを叶えに行く!
って、誰が信じるというのだろう。
だから、ショボンは誰にも言わないのだ。
きっと彼も僕と同じくらい、無理な願いを持ってるだろうから。
( ^ω^)「カーチャン、僕はそろそろ行くお」
J('ー`)し「…分かったわ、無理はしないでね。絶対に」
( ^ω^)「分かったお」
J('ー`)し「…」
そういって、僕は病室を出た。
家に帰って準備をしなければいけないからだ。
ドクオとクーからの連絡は見たが、返事は返してない。
それすらも邪魔になると思ったから。
それに、もうあの二人には僕は必要ないのだ。
だから、これでいい。
そう思った。
もう帰って来れないかもしれない。
もう見ることはできないかもしれないこの見慣れた景色を堪能した。
黄昏るには、寂しすぎる景色だった。
223
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:24:17 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同日別所:私〜〜〜
私はずっと不安だった。
見えない何かに刺されるような感覚。
こんな気持ちになったのは、ブーンから拒絶されたように避けられてからだ。
あの時から、私はずっと変だ。
私が私じゃないように思えた。
私には大事な柱が二つある。
ドクオと、ブーンだ。
それ以外はない。
その片方が容易く崩れ去ったのだ。
あの時、私はただ頼ってほしかっただけなのに。
それすら何も言ってはくれなかった。
恐怖だった、離れられたことが。
こんなにも人との関係は千切れてしまうのだと。
だから、ドクオには避けられたくなかった。
傾いた天秤の方に、全てを捧げてしまっている。
こんな私をメンヘラというのだろうか。
分からない。
でも幸せなことは確かだった。
目を覚ませば、そこには愛しの人がいる。
スースーと寝息を立てて、私にしがみついている。
その光景だけでも、私は嬉しかった。
それだけでいいと思った。
それ以外は全て怖かったから。
224
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:24:37 ID:vdbcco3Q0
私はこのままでいいのだろうか。
ドクオに負担と思われてないだろうか。
心の奥底で何を考えられているかなんてわからない。
あの時ブーンは、何で私を見てくれなかったのだろう。
私のことが嫌いになったんだろうか。
それとも、もう愛想が尽かれたのだろうか。
もう何も失いくなかった。
今の私には、ドクオしかいないんだから。
(-A-)「ん-…」
あぁ愛おしい人よ。
貴方だけは離れないでほしい。
もう私は、これ以上耐えられそうにないんだ。
どんな関係になろうとも…私のことを見ててほしい。
('A`)「…」
川*- -)「…起きた?」
('A`)「…おはよ」
川*- -)「おーはーよ」
溢れる感情が体を動かした。
そのまま軽い口づけをする。
ドクオは固まってしまってるけど、それでいい。
そのまま純粋でいてほしい。
そう思った。
225
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:25:00 ID:vdbcco3Q0
今日は半分無理に家に呼んだから、ドクオは着る服を家に取りに行くみたいだった。
明日からミセリちゃんが家に来る。
両親は旅行中なので、帰ってくるのは当分先だ。
汚さないように、気づかれないように家を使えば大丈夫。
…ドクオも一緒に居られる。
ほとんど同居だった。
私は、この日々を忘れられないだろう。
色々と行き過ぎた妄想に駆られる時もあるけど…
('A`)「んじゃーまたあとでな」
川*- -)「うん…またね」
ドクオは家を出た。
久しぶりの一人の時間。
私は無性に寂しくなった。
こんなに心が人を求めることは今までなかったから。
やっぱり私はメンヘラなんだろうか。
私の顔、赤くなってる。
どんなことがあろうと、やっぱり私はドクオが好きだ。
それは昔から。
ブーンに相談してたくらいだから。
だから、今の現状は凄く幸せなんだ。
ブーンという穴を埋めるように、私は彼に全てを求めてしまった。
二日も連続して。
淫乱だと思われてないかだけが心配だ…
もう準備する時間も少し過ぎてる。
今日も祭りに行く。
早めに準備しちゃわないと…
226
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:25:23 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:俺〜〜〜
俺はクーの家を出た。
寝起きのキスにびっくりしてボーっとしてたら時間が過ぎてた。
DTすぎワロエナイ。
いや、もう違うのか…
あーーあーあーーあー
一旦忘れよう。
ここ二日間くらい夢見てる気がする。
ありえなかったことが起こりすぎてるんだよな。
こんな幸せでいいのか俺。
あ、なんかクーの匂いが…
…風呂も一緒に入ったんだしそらするか…
今日の祭り、大丈夫かな…抑えるのも必要なんだぞ?俺よ。
…なんか家に帰ってくるの久しぶりだな。
227
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:25:48 ID:vdbcco3Q0
('A`)「ただいまー」
「あら、おかえりなさい」
('A`)「あれ、どっか行くの?母ちゃん」
「うん、ちょっとね」
('A`)「俺もすぐ行くよ、今日も祭りでな」
「そう…あら?」
('A`)「どうしたの?」
「…ドクオも大人になったのね」
(;'A`)「な、なんで?」
「ふふ、お父さんみたい。やっぱり親子ね」
あたふたするのもおかしいか。
分かるよな、そりゃ。
あーなんか恥ずかしい。
死ぬほど。
「気を付けてね」
('A`)「あーい」
228
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:26:08 ID:vdbcco3Q0
そのまま俺と入れ替わりで出ていく母ちゃん。
俺はせっせと準備をする。
…あぁ、そうだ。
明日からミセリちゃんがクーの家に預かることになる。
だからその準備も兼ねてしないと。
ちょっとした荷物になっちゃったけど、少ないよりはいいだろう。
足早に家を出る。
ブーンのことも心配だった。
来てくれてたらいいんだが…
昨日連絡してから、ブーンの返答はなかった。
…何かあるなら言ってくれればいいのに。
そんなに気にすることでもないだろうに。
('A`)「…まぁ、何とかなるか」
集合時間。
いつもの場所。
そこにブーンの姿はなかった。
229
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:26:40 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜別所:花も折らず実も取らず〜〜〜
学校まで着いた俺たちは、ショボンと合流した。
ブーンが居ないことに少し悲しい顔をしたミセリちゃんを、クーが頭を撫でて慰めている。
ブーンめ、次会ったらちゃんとミセリちゃんに何かしてあげなきゃだめだぞ?
昨日と同じ祭りだ。
大して変わり映えはしないが、それでも楽しいことは間違いない。
俺たち四人は昨日できなかったことをやるつもりだ。
ミセリちゃんはクーに付きっきりだ。
きっと本当の姉と思ってるんだろう。
クーはお面を買ってあげている。
それを付けて喜んでいるミセリちゃん。
俺が百合好きじゃなくて心底良かったと思った。
あの二人は危険だ。
一方俺たち男組は、他愛もない話をしている。
片手にデカいウィンナーを持つ俺と、焼きそばを頬張るショボン。
こう見ると、普通の同い年だと思う。
重い過去があるということを忘れてしまいそうなくらいだ。
230
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:27:00 ID:vdbcco3Q0
ショボンは前の学校でも成績は良かったようで、得意科目は理数系なのだそう。
俺はどちらかと言えば文系なので、話の相性は悪くない。
お互いのあるあるを話し、苦手なところは教え合う。
みたいな話をしている。
祭りまで来て勉強の話か…とは思うが、案外知らないことを話してもらうのは面白い。
それに、都会の話も少ししてもらった。
俺も将来はそっちに住む予定だからだ。
この夏が終われば、そういうことにも目を向けていかないといけくなるからね。
早めに知ってて損はない。
アレコレ聞いてる間に、女子の二人組が帰ってきた。
ミセリちゃんは林檎飴を買ってもらっている。
本当に甘い物が好きなんだなぁと思った。
クーは狐のお面を頭に被り、かき氷を食べてる。
この蒸し暑い夜も、まだ本気じゃないっていうのに驚きだ。
噎せ返るような焼き鳥の煙にそそられてお腹が減る。
手に持つウィンナーも、あと少しというとこか。
こういう時の食欲は、自分でもびっくりする。
立ち上がり、焼き鳥を買いに行く旨を三人に伝える。
ショボンもお腹が減ってるようで、一緒に付いてくる。
231
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:27:26 ID:vdbcco3Q0
('A`)「ショボンって結構食べるよなぁ」
(´・ω・`)「まぁ折角のお祭りだからね、お腹減る匂いで食べちゃうんだ」
('A`)「そうだなぁ…俺も割と食べてる気がするわ」
(´・ω・`)「ドクオ君、ここは僕が出すよ。さっき焼きそば奢ってもらっちゃったしね」
('A`)「そんくらいいいのにーまぁ、お言葉に甘えましょうかね」
仲良くなるのが早い。
いや、ショボンが溶け込むのが早いのか。
もう違和感なく一緒に居られている。
どことなく安心するような雰囲気なのは、兄という立場があるからだと思う。
俺たちは幼馴染だから、上下関係も何もないからな。
こういうところは少し羨ましくなる。
全員一人っ子の三人が集まっても友達にしかならないわな。
あーあ、早くブーン来ないかなぁ。
そんなこんなを繰り返しているうちに、時間が過ぎ去って行った。
232
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:27:49 ID:vdbcco3Q0
俺とショボンで射的をして、何も取れなかったり。
ミセリちゃんが水風船を頑張って抄ってるところだったり。
クーが輪投げに本気になりすぎてたり。
俺が引いたくじ引きで、人形が当たったからミセリちゃんにあげたり。
その人形をクーに見せて小さい頭を撫でてたり。
屋台のおっちゃんにお酒を勧められてたショボンだったり。
色んな事をしてた。
そして、時間も良い感じになってきた。
ミセリちゃんはこのまま、俺らの方に来るらしい。
もう眠たそうにしてるミセリちゃん。
まぁ、二日も祭りに居たら疲れちゃうよな。
俺も結構疲れている。
…クーがあんまり寝かせてもらえなかったからね。
233
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:28:13 ID:vdbcco3Q0
('A`)「みんなのゴミ捨ててきちゃうわ、貰っちゃうよ」
(´・ω・`)「ありがとう。ほら、ミセリも」
ミセ*゚ー゚)リ「おねがいしまーす!」
川*゚ -゚)「元気だねミセリちゃん、偉い偉い」
ミセ*゚ー゚)リ「へへへ」
('A`)「…なんか…女の子同士って良いのかもしれない」
(´・ω・`)「ドクオ君ってそういう趣味だったの?」
(;'A`)「そういうわけじゃないです!!捨ててきます!!」
失言を誤魔化すように足早にゴミ箱を探す。
辺りを見渡してみると、中々見つからなかった。
だけど、その代わりに違うモノを見つけた。
234
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:28:33 ID:vdbcco3Q0
('A`)「…あれ、ブーンじゃね?」
のような後ろ姿だった。
それが本人かはわからない。
だけど、本人にそっくりだった。
遠くからでも、同じ時間を何百も一緒に居たから、多分ブーンだ。
気になった。
そのあたりにあるゴミ箱に投げ捨てて追いかけた。
祭りに居たのに、連絡も寄こさず一人でいるのはおかしいけど…
それでも、本人なら。
ソイツは祭りのない方角に歩いて行った。
でもなぜ?
分からないけど、確かめずにはいられなかった。
次の角を左。
人混みを押しのけて素早く行った。
そこにはさっき見た後ろ姿があった。
そしてソイツは、どんどん人気のない道に歩いていく。
確信した。
アイツはブーンだ。
235
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:29:02 ID:vdbcco3Q0
追いかけてくうちに、祭りの騒音からは遠い場所に来た。
そこは開けていて、暗い場所だった。
('A`)「…ブーン?」
( ^ω^)「…ドクオかお」
('A`)「なぁーんで連絡も無視してたんだよ。心配だったんだからな」
( ^ω^)「…そうかお」
ブーンはこっちを向いてはくれない。
まるで図書室の時のようだった。
たが、それよりも黒く、淀み、渦巻いている気がした。
('A`)「…なんでここに来たのに連絡もなかったんだ?」
( ^ω^)「…気づかなかったんだお。ごめんお」
('A`)「そんなわけないだろ。いつもはすぐに返事来るくせに。ミセリちゃん、ちょっと悲しそうだったぞ?」
( ^ω^)「…ごめんお」
何故かその態度にムカついた自分が居た。
いつもならこんなことでは何も感じないのに。
236
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:29:33 ID:vdbcco3Q0
('A`)「なぁ、言いたいことあるなら言えって。そろそろその感じ辞めてもらっていいか?」
( ^ω^)「いつも通りだお」
('A`)「昨日もいきなりいなくなって、今日居たと思ったらそれかよ。何がそんなに不満なんだ」
( ^ω^)「別に何もないお。はぐれちゃっただけだお」
(#'A`)「何かあるからそんな態度なんだろ!」
俺は声を張り上げた。
比較的静かな場所だったから俺の声が反響する。
(#'A`)「いい加減にしてくれ!いったい何なんだ前から!俺たちが何かしたかよ!」
(#'A`)「今までそんなことなかったろうが!俺達を避けるのも意味わかんねーっつーの!」
(#'A`)「言いたい事ありゃ言えば良いだろ!何をそんなに」
( ^ω^)「うるせーお。勝手に追いかけてきて何怒ってんだお。嫌ならクーの元に戻ればいいだろうお」
(#'A`)「お前っっ…」
殴りかかろうと拳を振りかざした。
だけど、後ろから止められた。
237
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:29:59 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「な、何なんだ!いったい!」
俺の拳を止めたのはクーだった。
そのまま羽交い締めにされる俺。
それでも、ブーンに対しての苛立ちは収まらなかった。
川;゚ -゚)「中々帰ってこないと思ったら…!声を上げて殴り合いか?」
川;゚ -゚)「ブーン!なんでそこにいるんだ!」
( ^ω^)「クーかお、そこの連れて帰れお。迷惑なんだお」
(#'A`)「迷惑被ってるのは俺の方だろうがっ!」
( ^ω^)「だから、お前は勝手に着いてきて好き勝手言ってるだけだお
僕は何も望んじゃいないお」
(#'A`)「てめええええええ!!」
川;゚ -゚)「ドクオ、落ち着け!!ブーンも煽るな!!」
流石にクーの力には叶わなかった。
だが、一発カマしてやらないと気が済まない。
何なんだ、アイツは。
( ^ω^)「…幸せな奴はおめでたいことだお」
( ^ω^)「もう…僕に関わるなお」
238
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:30:29 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「おい!ブーン!どうしたっていうんだ!
私達が何かお前にしたというのか!?」
( ^ω^)「してないお。僕は…」
スルっとクーの腕から抜ける俺の腕。
そして、握りしてめていた拳をそのままブーンの顔に叩きつけた。
時間の流れが遅くなる。
そのまま倒れこむブーン。
クーはびっくりしてるのか、声は聞こえない。
少しの間、全宇宙の動きは止めていた。
( A )「…なぁ、俺達の関係はそんなものか?そんなに頼り甲斐がないか?
俺は…俺は、どうしたらいいんだよ?」
初めての事だった。
勿論喧嘩は三人で何度もした。
それでも、こんなに険悪な空気になったことはなかった。
俺らは本当の意味で、初めての喧嘩をしているのだ。
( A )「確かによぉ…俺とクーに進展はあったさ。でもそれを望ん出たのはお前でもあるだろ」
( A )「それが気に食わないなら言えば良い。他の不満だって同じだろ」
( A )「なにがお前を」
( ω )「じゃあどうしろっていうんだお!!!」
239
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:30:58 ID:vdbcco3Q0
俺の言葉を遮ったのは、今まで聞いたことのないブーンの怒号。
今日初めて見せた感情は、余りにも冷たく、溢れるほどの怒りだった。
( ω )「家からトーチャンが出て行って、カーチャンは倒れて入院した!!
僕が知らない間に二人は幸せになってた!!!」
( ω )「あぁ望んだお!二人の幸せを!!だからもう二人の中には入れないと思ったんだお!!
僕にはもうどこにも居る場所なんてねーんだお!!
家族とこの三人しか僕にはなかったから!!」
( ω )「こんなこと言っても幸せに浸ってる奴が僕のことなんてわかるはずがねーだろお!!!
家に帰れば家族がいる!!手を繋げる恋人がいる!!お前らなんかに!!!
だから僕は二人の幸せを見れない!!見たくない!!憎いとすら思うお!!」
( ;ω;)「僕は…僕はもう無理なんだお!!二人の傍に居るのも!!家に帰ることすらも!!
だってもう誰も居ない!!前までの日常は僕にはどこにもないんだお!!」
( ;ω;)「もう…元には戻らないんだお…何もかも…全部…」
( ;ω;)「どうしようもないんだお…だから…」
( ;ω;)「だから…放っておいてくれお…」
足早にどこかに行くブーン。
打ち上る火花が、その足音すら俺の耳に入らせないようにしていた。
大華がうるさく音を立てる度に、俺の拳の痛みを再認識させてきた。
真っ黒な空に鳴り響く爆弾は、俺たちの関係を破壊して綺麗に咲いていた。
240
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:31:34 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:後の祭り〜〜〜
確かに、ある。
変だったところ。
なんかいつもと違ったこと。
ここ一週間くらいずっとそうだった。
焦りながら、俺は昨日送った三人の連絡を見た。
ブーンからの返事は、なかった。
何かが繋がった。
それは嫌なことだらけだった。
俺は一心不乱に走った。
夏蝉が俺を焦らせるように鳴いている。
嘘だと思うことだらけだ。
ブーンがおかしく見えた時からずっとだ。
俺はそれに気づいていながら、アイツの事なんて何も知らなかったんだ。
それを無視して、俺は一人で幸せに浸ってたんだ。
舞い上がってた分、落とされた時の衝撃は異常だった。
もっとアイツを見てやってられてたら。
もっと話を聞いてやれてたら。
そんなことばかり考えている。
最低な野郎だ俺は。
アイツの幼馴染だろ、俺は。
ずっと一緒に居るって思ってた仲だろ。俺は。
何してるんだよ。
一秒でも早くブーンを探さないといけない。
241
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:32:07 ID:vdbcco3Q0
全ての辻褄が合う。
図書室でクーの問答を有耶無耶にしたのも、俺の前で明確に拒絶したのも。
多分あの時より前からだ、ブーンの両親に何かあったのは。
昨日祭りからいなくなったのも頷ける。
あれははぐれたんじゃない。
自分でいなくなったんだ。
だから、俺らに言わなかったんだ。
いや、言えなかったんだろう。
だから抱えてたんだ。
全部を一人で。
(;'A`)「少しくらい、頼れよ!俺らのことくらい!馬鹿野郎!」
手当たり次第、心当たりがあるところを走る。
何度も三人で遊んだ公園。
近くのコンビニ。
いつもの待ち合わせ場所。
とっくに息は上がってる。
それでも、一目会って謝りたかった。
アイツの心境なんて何も知らなかったんだ。
何かあれば言ってくれるだろうって軽んじてた。
そんな浅はかな考えで、俺に何も言ってくれないことに対して不信になってた。
馬鹿は俺だ。
何も知らないクセに、全部知った気でいた。
祭りが終わり、昨日以上に人で溢れていた。
到底見つかりそうもないけど、どこかにいる。
携帯を見る。
依然として、ブーンからの連絡はなかった。
242
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:32:46 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:盲目〜〜〜
私はしばらく動けずにいた。
ブーンの口からきいたものが信じられなかったからだ。
そんなことをいきなり言われたところで、飲み込むには大きすぎる。
目の前の幸せにうつつを抜かして、それ以外はどうでもいいと見栄を張った。
ブーンが祭りから姿を消したことすら、私は目を背けていた。
その罰なのだろう。
この感情は。
どうして言ってくれなかった?
どうして察してやれなかった?
どうして見限った?
ごちゃ混ぜになった感情が、私の全てを支配した。
どうしようもない自分への憤り。
もう戻らない過去。
私は愚か者だ。
たった一度の拒絶を、永遠だと思ってしまった。
この絆を軽く見ていたのは私だ。
取り戻せるとは思っていない。
だが、今ならまだ間に合ってくれる。
何度も炎症を繰り返した私達の関係は、まだ治せる。
今しかない。
243
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:33:06 ID:vdbcco3Q0
そう思った時には私はドクオの後を追いかけるように走った。
体力なら自信はある。
一直線に学校に向かおう。
とにかく、今は走れ。
直会が満ちるこの街を。
飽きる程見たこの景色を。
走れ。
川;゚ -゚)「ブーンすまない…どこにいるんだ…!お前は!」
川;゚ -゚)「一度でいい、許さなくていい…だから…」
学校に着くなり、そこに人影を見た。
相手はショボンだった。
もうミセリちゃんと待っていたみたいだった
(´・ω・`)「あれ…遅かったね、ドクオ君は?」
川;゚ -゚)「今はそれどこじゃない!ブーン見なかったか?」
(´・ω・`)「…見てないね。どうしたんだい?」
ミセ*゚ー゚)リ「おねーさんあせだく!」
川;゚ -゚)「…ブーンに嫌な予感がするんだ。何か知ってないか?」
244
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:33:31 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「…言いずらい質問だね」
川;゚ -゚)「…知っているんだな。話してくれ」
(´・ω・`)「…それはできない」
川;゚ -゚)「なぜだ、そんなに大事なことか」
(´・ω・`)「あくまでも、僕の口からはって意味だ」
(´・ω・`)「でもこれだけは言える。生きているさ」
川;゚ -゚)「…なぜそう断言できる」
(´・ω・`)「…彼には願い…命に代えても叶えたい願いがあるから…かな」
(´・ω・`)「そんなに焦ってるってことは…何かあったんだろう?教えてくれないかな」
川;゚ -゚)「…ただの喧嘩さ…だが、初めての…な」
(´-ω-`)「そっか…」
245
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:34:00 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「多分、居るところは分かるよ」
川;゚ -゚)「なら!教えてくれ!頼む!!」
(´・ω・`)「…だけど、クーちゃんには知らなきゃいけないことが沢山ある
きっと残酷なことだと思うけど…聞けるかい?」
川;゚ -゚)「なんだっていい!!今は時間がない!」
ミセ;゚ー゚)リ「お、おねーさん?」
(´-ω-`)「…ミセリごめん。少し眠っててくれ」
そういうと、ショボンはミセリちゃんの目を撫でる。
するとミセリちゃんはぐったりと眠っていた。
川;゚ -゚)「な、なんだ…今のは…」
(´・ω・`)「きっとドクオ君も同じだろう?彼も迎えに行こう…その前に…
ミセリをクーちゃんの家に送るけど、いいかな?」
そして、周りの影が蠢くようにショボンの足元に集まる。
まるでCGを現実で見ているかのようだった。
その影は私にも纏わりついて、全身に広がった
246
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:34:22 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「どうなって---」
(´・ω・`)「少しだけ、眩暈がするよ。ごめんね」
影に顔まで包まれた私。
ショボンの声が聞こえると、脳が揺れた。
倒れかけた瞬間、視界が広がる。
そこは私の家だった。
呆然とした。
これではまるで魔法じゃないか。
そう感じるを得なかった。
そんな私を気にも留めずに、ミセリちゃんを私の家のソファーに寝かせた。
(´・ω・`)「…これで大丈夫」
川;゚ -゚)「いったい…何がどうなってるんだ…?」
247
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:34:44 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「…言ったろう?クーちゃん、ドクオ君には知らなきゃいけないことがあるんだよ」
(´・ω・`)「何も知らない状態でブーン君を見つけたところで、きっと意味はないだろうね」
川#゚ -゚)「…私達の何が分かる。ショボン」
私はその一言にムカついた。
それはほとんど八つ当たりに近かった。
(´・ω・`)「わかるさ。そのくらい残酷で、夢物語で、雲を掴むような話なのさ」
(´・ω・`)「じゃあ、ドクオ君のところまで行こうか。また眩暈がするよ」
そして、さっきのように影が私を包む。
ぐわんっと揺れる。
私は、ショボンの言葉を信じきれないでいた。
248
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:35:10 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:心なんて誰にも〜〜〜
(;'A`)「くっそ、どこ行ったんだ…ブーン!」
俺は手当たり次第に走り回ったが、ブーンの姿は一向に見つからなかった。
電柱にもたれかかって、座り込んでしまった。
いくら田舎とはいえ、広大な土地がある。
一人の人間を探すことは不可能を極めた。
俺はただ、謝りたかっただけなのに。
そんな簡単なことが俺にはできないでいた。
情けない。
余りにも不甲斐ない。
諦めかけた時、周囲の影が気味悪く蠢く。
疲れすぎて頭イカれちゃったのか?
俺はもう自分がおかしくなったんだ。
そう思い、その影を見ていた。
段々と形を成すその黒色は、見覚えのある姿になった。
249
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:35:31 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「!!!ドクオ!!」
それはクーだった。
そして。
(´・ω・`)「よし、これで揃ったね」
ショボンだった。
(;'A`)「な、なんだよ。幻覚でも見てんのか?」
川;゚ -゚)「バカ!私だ!」
そう言って俺に抱き着くクー
もう何度も確かめたその感触は本人そのものだった。
(;'A`)「で、でもどうなってるんだ」
(´・ω・`)「まぁそれは後で話すよ。さ、話の舞台は整ったけど…準備は大丈夫かい?クーちゃん」
(;'A`)「話の流れが見えないんだが」
(´・ω・`)「平たく言えば、ブーン君の話さ。多分今のまま会っても意味がないと思ったからね」
250
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:35:59 ID:vdbcco3Q0
川 ゚ -゚)「さっさと話せ、もう私は時間をかけたくないんだ」
(´・ω・`)「そうだね…じゃあ、話そう」
(´・ω・`)「簡単に言おう、ブーン君は今、自分の願いを叶える為に命を張るつもりだ」
('A`)「…おい、冗談言ってる場合じゃねーんだが?」
(´・ω・`)「まぁ、信じるも信じないも好きにしてもらって構わない。到底信じるには難しい話だからね」
(´・ω・`)「二人は"願いが必ず一つ叶う場所"の話は知ってるかな?」
('A`)「…あの学校裏の廃墟のことじゃないのか?」
川 ゚ -゚)「確か…恋人と一緒に願うと叶うっていう…なんの信憑性もない話だ」
(´・ω・`)「そうだ。そして、僕はその願いを叶える為にその場所に行ってたんだ
それが、学校に広がった黒い幽霊の正体だね」
('A`)「つまり…俺達が見たかった幽霊っていうのは」
(´・ω・`)「僕だ。まぁ、そんなつもりは全くなかったんだけどね
ちなみに、あの不良達もイレギュラーだった」
251
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:36:27 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「もう一ついうと、あの時の風も僕が原因さ。今二人には見てもらったけど…
早い話、魔法ってやつだよ」
(´・ω・`)「僕が願いを叶えに行ったあと、どうしてもミセリが心配だったから一度途中でこっちに戻ってきた
そして、君たち三人に会ったんだ
ミセリを二人に預けるのは、僕もそっちに今夜行くからだね。もう戻って来れるか分からないから…」
(´・ω・`)「そして、願いを叶える代償として、命を落とす場合もある
それはブーン君に限らず、僕も含めて。だから戻って来れる保証は…ないんだ」
(;'A`)「その…"向こう"っていうのは…」
(´・ω・`)「分かりやすくいえば異世界さ。動物も環境も種族も違う
正直なところ、どうやったら願いが叶うかは僕も分かってない
だけど、魔法を使えるようになった。向こうで傷つけられた傷もある
だから夢でも何でもないんだ。僕目線はね」
川;゚ -゚)「…ブーンは帰って…来るのか?その異世界から…」
252
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:36:49 ID:vdbcco3Q0
(´-ω-`)「それは…わからない」
(´・ω・`)「向こうの世界で死んだら、多分そのまま帰ってこないだろうね
死んだままだと思うよ」
(;'A`)「そんな…ゲームみたいな…」
(´-ω-`)「信じるかどうかは、二人次第だ…」
(´-ω-`)「僕からは以上だ。あとは二人の好きにしたらいい
僕はミセリに最後の挨拶行くから。ごめんね」
川;゚ -゚)「おい!ブーンの場所は!ショボンはどうなるんだ!」
(´・ω・`)「願いが叶う場所だと思う。後は、言わなくても分かるね?」
(´-ω-`)「じゃあ、また会えることを祈っているよ」
そう言って影に吞まれたショボン。
残された俺たちは、話されたことを信じる他なかった。
実際に移動して来た影の正体も、何も分かっちゃいない。
全部が夢のように感じる。
さっきブーンと喧嘩したことも、俺たちの歯車が狂い始めたのも、何もかも全部。
それでも、信じるしかなかった。
どちらともなく、同じ方向に向かって走り出した。
学校裏に佇むあの廃墟に。
253
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:37:12 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:向日葵に雪〜〜〜
僕はドクオに殴られた痕をさすりながら、廃墟に向かっていた。
不思議と苛立ちはない。
代わりに中身をくり抜かれて、薄皮しかない心が無駄に暴れていた。
もう臓物もないだろうに、この目から落ちる涙は止まることを知らなかった。
分かっている。
僕が強がったばっかりに、二人に不信感を与えてしまったこと。
見栄を張ったばっかりに、二人が感情的になったこと。
全部僕のせいだ。
だけどこれでよかった。
僕を繋ぎ止めるものはこれで無くなった。
変な情や関係性があるから、願いを叶えるということにブレが生じた。
後は、僕が頑張って願いを叶えるだけ。
例え、道半ばで僕が死のうと。
こっちの世界に戻って来なくなろうと二人は大丈夫だろう。
僕は悪役でいい。
僕は邪魔者でいい。
それを考えるだけで気が楽になった。
254
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:43:36 ID:vdbcco3Q0
その分、失ったものが大きくて、耐え切れなくて、僕は泣いた。
見慣れた景色が、美しく見えて泣いた
思い出の場所が懐かしくて泣いた。
祭りの残り香を嗅いで泣いた。
支えていたものが全て失ったんだ。
当然だ。
むしろ、首を括ってないだけ偉い。
だからどんな事があろうと、僕は僕の願いの為に、一歩一歩足を進める。
そして、ようやっと着いた廃墟。
それはショボンと初めて出会った時と何も変わらない様相で佇んでいた。
ただ、あの頃とは違うことがある。
それは、このひんやりとした空気だった。
風呂上がりにクーラーが効いた部屋に入るかのような感覚。
僕には身に覚えがあった。
それは、初めて"あの場所"に行った時だ。
暗黒な空間に、天まで上ってしまいそうな階段と、厳かに存在する扉。
まるで異世界。
今まさに、その異世界に僕は行こうとしている。
255
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:44:04 ID:vdbcco3Q0
その冷気に導かれるままに、僕は階段に足をかけた。
少しずつ強まる冷気が、僕の肌に刃物を向ける。
だが、それにも無関心に階段を上がる。
それは、僕の心が空っぽだから。
ただ、願いを叶えるという目的のだけに動く機械。
己が目的の為ならば、どんな犠牲だって厭わない。
ドス黒く、ブラックホールのような欲望が僕にはあった。
なんの躊躇いもなく着いた四階。
前回は激しい頭痛や、爆音のノイズがあったが、今回は何もなかった。
すんなりと屋上に向かう階段に向かうことができた。
そして、その屋上への扉は僕を待っていたとばかりに開く。
金属の叫ぶ音。
それがフロア全体に広がっては反響する。
初めて行った時より、冷気は感じなかった。
じゃっかん早くなった鼓動を抑えて、僕は屋上に向かう。
天に上るときは、こんな感覚なんだろうか。
僕自身が幽霊になって、自ら天国に向かう。
そんな感覚を覚えていた。
そんな時、後ろから声が聞こえる。
もう二度と聞くことはないと思っていた声だ。
256
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:44:27 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「ブーン!」
川;゚ -゚)「待て!早まるな!」
(;'A`)「なぁ…少し話さないか…?俺達やり直す必要あると思うんだよ…」
川;゚ -゚)「ブーンの事…何もわかってなかったんだ…だから…こっち来てくれないか?」
二人は信じられないと言った顔だった。
恐らく、この冷気にだろう。
僕は二人を一瞥して屋上に目線を向ける。
そして、その二人の悲鳴が聞こえたのは、僕の想像通りだった。
(;'A`)「あああああ!!!あ、頭がっっ…」
川;゚ -゚)「な、なんだこれはッッ!!!」
僕も最初に味わったあの地獄だ。
周りの事なんて考えられない。
這いつくばって時間をやり過ごすことしかできない。
そんな地獄だ。
僕は最後の階段を踏みしめる。
257
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:44:50 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「ぶ、ブーン!待ってくれ!!お、おれはお前に死なれたくない!」
何を今更。
クーと仲良くやってたじゃないか。
僕なんて必要ないだろ。
川;゚ -゚)「いっかい三人で話しあおう!そうすれば…何か変わるだろう!?」
何も変わらない。
この関係も、家族も。
そして、これからも。
(;'A`)「俺、知らなかったんだよ!!おまえの、か、家族のこと!!だから…いっってええ」
川;゚ -゚)「ッッ!!!私達は!幼馴染だろう!?この世に三人しかいない!!大切な幼馴染だ!!だから」
屋上に着いた僕は、二人を上から見下ろした。
無様にあの痛みの中、よく言葉を発せると思った。
そして、扉が自動で閉まり始める。
嫌な音をたてながら断絶する扉は、三人の関係全てを否定し、拒絶するかのようだった。
最後、もう二人もほぼほぼ見えなくなる程に閉まった扉。
僕はいつも通りの表情で二人に向かって呟いた。
258
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:45:13 ID:vdbcco3Q0
( ;ω;)「サヨナラ、だお」
ガコンと閉まる扉。
僕はもう後戻りはできない。
本当の意味で、僕は孤独になった。
自分が求めていたもの。
その望みが叶ったというのに、僕は声を上げて泣いていた。
声は一切の反響もせず、星一つない暗闇に全て吸い込まれていた。
259
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:45:40 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:伽藍堂〜〜〜
爪で黒板を引っ搔くような音がする。
それは、あの扉が閉まる音だ。
早く行かなきゃ。
アイツのところに行かなきゃ。
じゃないと、もう二度と会えなくなるかもしれない。
そんなの嫌だ。
だけど、この頭痛も、凍える寒さも、耳鳴りも。
何もかも意味が解らなかった。
今夏だぞ?
なんでこんなに寒い。
なんで体が動かない。
あと少しでアイツに触れられるのに。
その距離が余りにも遠い。
遠い星を素手で掴むような。
少しでも話せたら、ケロっと考えを改めてくれる。
なんて浅い。
なんて青い。
なんて楽観的。
もっと考えを改めなきゃいけないのは俺の方だ。
260
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:46:08 ID:vdbcco3Q0
アイツは一人で抱えてた。
ずっと。
何も誰にも言わずに。
俺達なら大丈夫、ってどこかで思ってたんだ。
そんなことなんて一つもないのに。
なぁ、何で扉閉まってるんだ?
止めてくれ。
そこが閉じたらアイツはどこに行くんだ?
明らかに異常なところだろう。
屋上だろ?
なんだよ後ろの白いの。
なんでそこに居るんだ?
ダメだよ、戻ってこい。
そんでもう一回、一緒に祭り行こうぜ?
おい、まだ閉まるな。
今俺がそこに行くから。
待て。
待ってくれって。
まだ、アイツにごめんって言えてないんだよ。
一言も謝れないのに、会えなくなるのか?
嫌だよそんなの
いつ帰ってくるんだよ
分からないんだろ?
なら、ほら、こっちだよ。
261
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:46:32 ID:vdbcco3Q0
「サヨナラ、だお」
…おい、こんな時に冗談じゃない。
ふざけんな、俺はまだお前と居たいだけなんだよ。
三人でまだ一緒に居たいんだよ。
バカ。閉まるなって。
なんで立てないんだ。
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
262
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:46:54 ID:vdbcco3Q0
…あ、足動く
起き上がれる
(;'A`)「ブーン!!!!」
動くとわかった瞬間、俺は階段を駆け上がった。
閉まる寸前の屋上の扉に思いっきりタックルした。
扉は空いたんだ。
なのに。
さっきまでの寒さはおろか、ブーンの姿も、さっきの景色も。
何もなかった。
あるのは、見慣れた景色。
廃墟からの見た屋上。
蒸し暑い空気。
それだけだった。
263
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:47:20 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「…なぁ、悪い冗談だって言ってくれ」
(;'A`)「これ、何かのモニタリングだろ…?」
(;A;)「ブーン…?どこにいるんだよ?さっきまでここに居たじゃないか…」
(;A;)「…そ、そうだ。下に飛び降りたんだ。それしかないよ」
(;A;)「下に居るさ、ブーンはイタズラ好きだから…」
川 ; -;)「ドクオ…」
ゆっくりクーが屋上に上がってきた。
その顔は救いようがないほど、絶望に染まっていた。
俺たちは共犯だ。
ブーンの気持ちも知らないで、俺たちはアイツを一人っきりにしてしまった。
こういう時、一番に傍に居なきゃいけないはずなのに。
264
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:47:47 ID:vdbcco3Q0
知らなかったでは済まされない。
もう、ブーンはこの世に居ないんだ。
帰ってくるかどうかも分からない。
本当に、永久にアイツの顔を拝めない。
そんなこともありうるんだという。
そんなところに向かわせてしまった俺たちは…
なにで償えばいい?
もし、何年も帰って来なかったら?
このまま、ブーンが居ない世界で生き続けるなら?
この記憶も年を重ねる度薄れてしまったら?
どうなる?
俺は一生アイツに謝れもせず、ずっと生き永らえるのか?
(;A;)「そんなの…あんまりじゃないか…」
川 ; -;)「…」
俺はその場で蹲って泣いた。
ひたすらに、声を上げて。
そんな俺を抱きしめて、涙を流すクー。
お互いに同じ思いの下泣いている。
265
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:48:11 ID:vdbcco3Q0
それは。
懺悔。
後悔。
未練。
そのどれもがグチャグチャになった物だった。
もう遅い。
当り前に居た存在が、塵も残さずこの世から消えた夜。
満月が俺達を嘲るように照らし続けていた。
266
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:48:46 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:願いが叶う場所〜〜〜
ひとしきり泣いた後、僕はこの氷原のような世界を見た。
前に見た時と同じだった。
無限に広がる空の暗闇。
どこからともなく降ってくる花弁雪。
豪勢な装飾が入っている純白の階段。
そして、誰も寄せ付けないであろう、白銀の扉。
僕は無心で階段に足をかける。
( ^ω^)「…すげーお…これ…」
足が触れたところから水紋が浮かび上がる。
だが、沈むことはなく、質感は大理石のような高級感があった。
上るだけでも心が休まる。
そんな気がした。
僕はそんな光景を楽しみながら、階段を上る。
一番上は見えない程に高い。
まだまだ先は長い…
267
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 21:49:29 ID:vdbcco3Q0
(;^ω^)「いくら何でも長すぎだろうお…」
なん十分もかけて上った階段。
もう足も限界のようで震えていた。
そして、目の前に現れるこの…
(;^ω^)「スケールがデカ過ぎるお…」
表現ができない程に高く、厳かで、何者も通さないような扉。
…どうやって入るんだ?
辺りを見渡しても、何もない。
あるのは扉だけ。
…何か入るのに特殊な条件が?
と、おどおどしている中、ほぼ無音でその扉は空いた。
僕が入れるだけのちょっとの隙間。
強い光が僕を縦に切り裂いている。
火に入る夏の虫のように、その光の先に足を進めた。
( ^ω^)「…」
僕は扉の中に入った。
そして白い光に包まれて実感した。
ここから全て始まるのだと。
( ^ω^) 願いが叶うようです
第一章 365/7days 完
268
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/22(土) 22:01:00 ID:vdbcco3Q0
作者です。
第一章ということで、一通り書き切りました。
コメント付けてくれた方、すごい嬉しいです。ありがとうございます。
趣味で妄想を書いていたら、誰かに見せたい欲求が増えてきてしまって衝動的に投稿しました。
自分はブーン系に少し疎いので、読みづらいかもしれないですが、改善点等々あれば教えていただけると幸いです。
どうせ書いているなら自分も読んでて楽しいものにしたいので、良ければ是非お願いします。
第二章、只今書いています。
小出しにちょこちょこ投稿するか、一気に投稿するか迷っています。
拙い語彙かもしれませんが、完走する気でいます。
それでは。
269
:
名無しさん
:2025/02/23(日) 00:23:07 ID:8Bz1l0sk0
いいぞー
270
:
名無しさん
:2025/02/23(日) 22:14:50 ID:uMroyrPI0
まだ読めてないけど投下ペースすごい!
追いつくぞー
271
:
名無しさん
:2025/02/24(月) 20:58:57 ID:MhqGGWoU0
追いついたぜ
内心や関係性の描写が丁寧でみんな好きになれた。続きが待ちどおしい
ところであの名作が基礎?になっているという了解でいいのかな
272
:
◆vcE6GeyAY2
:2025/02/27(木) 09:17:35 ID:5g8rHrZI0
>>269
ありがとうございます。
続きも期待していただけると嬉しいです。
>>270
思いつくがままに書いてるので投下ペースは結構曖昧です。
早い遅いとかありますか?
もしあれば教えてくれるとすごく助かります…
>>271
一章読んでいただいてありがとうございます。
物語のベースの作品はあります…
凄く好きなのですが、全被りしないようにはしたいなとは思ってます。
先の事が分かってると面白くないと思うので。
自分も読んでて楽しめるようにしたいなと思います。
期待していただけると励みになります。
273
:
名無しさん
:2025/02/28(金) 23:15:53 ID:Mp4Vd6pE0
>>272
投下ペースは作者の都合第一でいいと思うけど、投下分が読み終わってから更新が来ると付いていきやすいな
1章は自分としては早いと感じた
274
:
名無しさん
:2025/03/06(木) 23:57:28 ID:Lsr3vNzs0
楽しみにしてるお
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