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( ^ω^) 願いが叶うようです

101 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:02:26 ID:uiQUQz.g0
( ^ω^)「高いビルとかに上ってみたいお」

(´・ω・`)「僕の地元よりもっと中心地に行けば沢山あるさ。景色は良いかどうかはわからないけどね」

('∀`)「俺は将来大出世する予定だから、みんな来てくれよな
    ブーンが言う高いビルで仕事するんだ俺は」

( ^ω^)「将来かおー…僕はみんなと一緒にこうして遊ぶ以外は考えたことなかったお」

川 ゚ -゚)「私達もそろそろ将来を考えねばいけないだろうな。私は何も思いつかん」

('A`)「クーは心配だから勉強してくれ。馬鹿のままじゃ何もできなくなっちまうぞ」

川 ゚ -゚)「それなら私は玉の輿を狙うさ」

( ^ω^)「如何にもクーが考えそうなことだお…
       ショボンは何か考えてるお?将来は」

(´-ω-`)「…僕には叶えたい願いがあるんだ。それを乗り越えないと考えられそうにもないかな」

( ^ω^)「ドクオみたいな夢があるのかお?」

(´-ω-`)「いや…願い、だよ。それも、でたらめで荒唐無稽な…ね」

川 ゚ -゚)「…」

102 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:02:51 ID:uiQUQz.g0
ショボンは表情をほとんど変えずに話していた。
だけど僕には分かる。
多分、クーも気づいている。
ショボンの少しの変化に。

彼の過去のことは何も知らない。
だけど、"あの場所"に居たのだ。
願いが一つ叶う…その場所に。
彼はそのでたらめで荒唐無稽な願いを叶える為に、あそこに居たんだろう。

その願いが分かるようになるには、まだ彼との心の距離が遠すぎる。
こうして違和感なく一緒に居られるとはいえ、出会ってまだ数日なのだ。
誰も彼の心情は分からない。
でも、少しずつ気持ちが沈んでしまっているのだろう。
いつもより、覇気がないように見えた。

103 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:03:20 ID:uiQUQz.g0
( ^ω^)「…ショボン、今ちょっといいかお?」

僕はショボンを呼び出した。
いいよ。と二言返事で彼は着いてきてくれた。
クーとドクオをその場に残して。

昼休みはグラウンドで遊ぶ人、教室で駄弁る人様々だ。
僕は人気のない場所で、彼と話したかった。
内容を聞かれたら、変だと思われるかと思ったからだ。

そこは学校の屋上だった。
陰になるものはない…が、人はほとんど来なかった。
本当は来ちゃいけない場所だからだ。
今は夏時の昼。
太陽が真上に佇む時間帯。
暑さはこの時期のピークに達するだろう。
それでも、彼と二人っきりで話したかった

( ^ω^)「…率直に言うと、僕、叶えたい願いが見つかったんだお
       だから、その叶え方教えてくれお」

単純な問いかけだった。
僕の願いは昨日の件があってから、頭が捻じれる程考えた。
少なく若い脳みそをこねくり回して出た答えは、"あの場所"で叶えてもらう。
それが僕の僕の最善の答えだった。

104 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:03:50 ID:uiQUQz.g0
(´・ω・`)「…どうやら本気のようだね」

( ^ω^)「出来たんだお。急にできた願いだけど、それでも確かにこの心から願っているお」

(´・ω・`)「…分かった、正直に話そう。願いの叶え方…それはブーン君のその目で、その体で感じるしかない」

( ^ω^)「どういうことだお?」

(´・ω・`)「…いいかい?先ず"向こうの世界"に行ったら、こっちに戻れる保証はないということ
       僕はたまたま、こっちに戻れる…そんな力を授かったんだ」

( ^ω^)「"向こうの世界"っていうのは…」

(´・ω・`)「ブーン君も見たはずだ、空まで長く続く階段を登り切った…あの扉だよ。
       その扉を開けた先の世界さ」

( ^ω^)「扉の先…」

(´・ω・`)「実のところ…僕はあと一度、向こうの世界に渡ったらこっちに帰れる保証はないんだ
       だからあの夜、廃墟から教室に移動させた時に言ったんだ
       これが最後の学校になるかもしれない…ってね」

(´-ω-`)「これは思い出作りなのさ。
      また向こうに行ったら、この場所にも、君たちにも…妹にも会えないかもしれない
最後になるかもしれないんだ。だから、妹には思い出を作りたかった
      だからこそ、一番信頼できる君たちに声をかけたんだ」

105 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:04:11 ID:uiQUQz.g0
( ^ω^)「いつ扉の先に行くんだお?」

(´・ω・`)「祭りは土日にあるんだろう?楽しんだら、家で妹を寝かせてから行くつもりだよ
       あと3日後、だね。本当に最後になるかもしれないから…」

( ^ω^)「それだけ分かれば大丈夫だお
       勿論、祭りは一緒に楽しむつもりだお。妹ちゃんに挨拶したいからお」

(´・ω・`)「早とちりは良くない…まぁ、最後まで聞いてよ
       …ブーン君が叶えたい願い…それは、命を懸けられる程の願いかい?」

(;^ω^)「い…命…かお?それは、生死に関わってくるんだお…?」

(´-ω-`)「勿論そうさ。だからこそ、願いが叶うんだよ。ブーン君
      …例えその願いが雲をつかむような願いだとしても、だ」

(´・ω・`)「君が思っているより向こうの世界は酷く厳しい、それに痛みも、苦痛も、もちろん感じる
       ゲームじゃないからね」

(´-ω-`)「だからこそ、もう一度問おう…君のその願いに、命を懸けられるかい?」

僕は甘く見ていた。
お賽銭を投げ入れて、祈れば、叶う。
そんなことを考えていた。
真夏の熱風が僕らを断つように通り抜けた。

106 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:04:33 ID:uiQUQz.g0
(;^ω^)「ぼ、僕は…」

答えは、もちろんイエスだ。

だが…

(;^ω^)「…っ」

声にはならなかった。

(´-ω-`)「…少なくとも、あの場所に行れたということは…君の願いの強さはホンモノなんだと思う
      だけど、その程度の覚悟で来ちゃだめだ」

(´・ω・`)「君には素敵な二人がいるじゃないか。たかだか数日だけど君たちを見てた…
       それだけでも、ドクオ君とクーちゃんと居れることは…ブーン君にとって幸せなんじゃないかな?
       それを放っておいてまで、叶えたいと思える願いなのかい?」

(´・ω・`)「僕は端から見てただけだけど…羨ましいよ。ものすごくね
       だからこそ、だ。僕は君に死んでほしくないんだよ」

それはまるで子供をあやすような諭し方だった。
そして、それを語る彼の目は真っ直ぐ僕を刺した。

107 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:04:54 ID:uiQUQz.g0
(;-ω-)「僕も人のこと言えたものじゃない…けど、ショボンが居てくれたから思ったんだお
      僕はショボンともこれからを過ごして居たいんだお
      ショボンの過去に何があったかは分からないけど…死んでほしくないのは僕も一緒だお」

(´-ω-`)「そう思ってくれるだけでもいいんだ。それは最大の褒め言葉だよ
      でもブーン君、僕には命を懸けてまで叶えたい願いがあるんだ…
      それが叶わないなら、僕は生きている意味がない」

(;-ω-)「ショボンは死ぬことが怖くないのかお!?」

(´・ω・`)「…怖いさ。それでも…行かないといけないんだ」

(´・ω・`)「ブーン君の願いがどういうモノかはわからない。だけど、決めるのは君だ
       僕は君に、三人に生きてほしいと思ってる
       …だけど、今の幸せを捨ててまで、自分の命に代えてまで叶えたい願いがあるなら…」

あの扉の先に行くと良い。

108 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:05:16 ID:uiQUQz.g0
そういってショボンは去っていった。
一人残された屋上から見える、あの廃墟。
この景色は何も変わらない。
僕がこのまま行動せずとも、全てを失ったわけじゃない。
僕にはカーチャンがいる。
ドクオがいる。クーがいる。

それでも…この胸に空いた穴は、到底埋まるとは思えなかった。

今日を含めて残り3日。
それを過ぎたら、ショボンは居なくなるかもしれない。
永遠の別れになるかもしれない、という意味を含めて。

昼休みが終わるチャイムが響き渡り、湿った風が僕を掠めた。
ショボンの姿は、もう見えない。

___________________

109 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:05:40 ID:uiQUQz.g0
それからの授業は何も頭に入らなかった。
夏休みも手前。
先生たちも雑談が多くなる。
そんな中、僕は一人自問自答を繰り返した。

死ぬかもしれない。
だが、願いが一つだけ叶う。
そんなアニメのような話はない。
だが実際、"あの扉"の先に行ったという彼は…魔法を使っていたんだ。
風を呼び起こし、瞬間移動のようなこともしてみせた。
体験して、見て、触って感じたんだ。
あれは夢なんかじゃなかった。
それに、本人が言うのだから間違いないだろう。

僕はあの台風のような風は起こせない。
瞬間移動だってもちろんできない。
だからこそ、だ。
願いが叶うという話に拍車がかかる。
その願いが叶うという条件は?
何故生死が関わるんだ?
扉の先はどんな世界なんだ?
溢れる疑問。
きっと考えても分からないから、彼は言ったのだ。
自分の目で見ろ、体で感じろ、と。

110 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:06:05 ID:uiQUQz.g0
彼は自分の死すら厭わない。
はっきりと言ってみせた。
その時の目を思い返すだけで…体が強張った。
家を出ていくと言ったトーチャンと同じ、底なしの黒さを孕んでいたから。
彼の願いは…何なのだろうか。
命に代えても叶えたい願いなのだという。
いつでも即答できる程、硬く強い意志があるのだろう。
だけど、僕は…

( -ω-)「…」

その答えは時間を費やす毎に疑問を産んで、消えていく。
僕には彼のような意思がないのだろうか。
自分でもわからない。
曖昧、どっちつかず、優柔不断。
そんな言葉が、今の僕にはお似合いだった。

111 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:06:27 ID:uiQUQz.g0
('A`)「…ブーン、なんか悩んでんなぁ、昼休みの時もそうだったけど、あの後ショボンと何話してたんだ?
    今日は一段と元気ないように思うけど」

川 ゚ -゚)「…私も知らない。でも…」

('A`)「いつもの嫌な予感か?女の勘ってやつか?」

川 ゚ -゚)「私は二人とずっと…二人と一緒に居た、だからなんとなくわかるんだ」

('A`)「良く気づくな…
    クーは俺らのこと良く気づいてくれてたもんな。俺らがもやもやしてた時とかは特に」

川 ゚ -゚)「まぁ…その他からは気味悪がられたことの方が多かったさ
     二人だけだよ、こうして傍に居てくれるのは」

('A`)「俺らは助かってたよ。裏表がないのがクーの良いところさ」

川 ゚ -゚)「…そうだといいんだが…な
     ブーンのあの目は…少し怖い。なにか胸騒ぎがする」

112 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:06:56 ID:uiQUQz.g0
('A`)「…俺には分からない。ブーンも話してくれればいいのに」

川 ゚ -゚)「ドクオはもう少しその鈍感なところを直してくれ。そんなのでは女子は振り向かんぞ?」

(;'A`)「うっ…心にダメージが…」

川 ゚ -゚)「そんなメンタルでは、私以外の女子は付き合ってくれないだろうな」

(;'A`)「クーさん!?俺の心もうボロボロなんですが!?」

川 - -)「…ドクオ、そういうところだ」

(;'A`)「ええ!なんで!!」

113 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:07:21 ID:uiQUQz.g0
〜〜〜授業の合間:私〜〜〜


…私は、どうしたら良かったかわからなかった。
あんな顔のブーンを見たのは初めてだったから。
ドクオがいつも通りというのは、幾分心が休まった。
私には、二人しかいないのだから。
なんとかしたいと思った。

幼馴染唯一の女である私は、元々厄介な女だ。
それはそれは面倒な女だった。

クラスに馴染めないで、孤立するのが日常。
時には虐められたこともあった。
理由は、誰彼構わず思ったことを口に出すような性格からなんだと、今更ながらに思う。
多分、鬱陶しかったのだろう。私という存在が。
理由はいくらでも後付けできるだろうから、意味を探すことはない。
そんなこともあって、私は自ら他人と親しくなろうとすることを諦めていた。

私はそれで良いと思った。
自分が気に食わないことは、例え上級生でも、先生だろうが言う。
自分が間違っていると思ったら、気が済むまで話し合う。
嫌なら嫌と言えばいい。
思っていることがあるなら、素直に言えばいい。
おかしいことを、おかしいと言えないのは…おかしいだろう?

114 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:07:48 ID:uiQUQz.g0
…その考えが間違いだと気づけるようになるまでは、時間が必要だった。
どうやら人は、本音を言えば良いわけではないらしい。
例えそれが完全なる正論だったとしても、人は傷つき、落ち込み、離れていく。
それに気づけなかった時は、周りに合わせられない異端児になっていた。
何度も精神的な病気を疑われた。

腹の底に本音を隠す。
簡単なはずなのに…私にはそれが苦痛だった。
そして、それは大人になるのに必須だと知った時には絶望した。
…私は建前が苦手だった。
相手に嘘は吐きたくなかったから。
思ってもないことを言うのは、相手に対して失礼だと思ったから。

そんな厄介女の傍に居てくれたのは、ブーンとドクオだった。
多分幼馴染というのもあるのだろう。
それでも、虐めの標的となっている人間に親しくするのは誰もしないだろう。
私に救いの手を伸ばせば、次のターゲットにされることもあるからだ。
私は…二人が虐められるのは嫌だった。
だからその救いの手を払いのけたんだ。
何度もね。

115 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:08:16 ID:uiQUQz.g0
でも二人は、校内でお構いなしに話してくるし、着いてくる。
一度、トイレの中まで着いてこようとした時は流石に声を大にして怒った。
そこのボーダーラインは越えちゃダメだよ、絶対に。
いくら幼馴染とは言え、私の事なんて学校くらいはほったらかしで良いのに。
…たまに外で遊んでくれたら、私はそれだけで良かったのに。

厄介な私のことを二人で賑やかすものだから、クラスの人間は引いてた。
あれは完全なるドン引きだった。
担任の先生があんなに目を見開いたのは、あれが最後だろう。

季節が一つズレた頃、気づいたら虐めっ子は姿が見えなくなっていた。
その代わりに、私達三人のいかがわしい噂があちこちで立っていた。
私は…笑顔が増えた。
二人が、私の世界を変えてくれた。

そんな二人の迷惑にならないように、私は察することを身に付けた。
その察する力は、意外にも私にフィットしたようで、今となってはいろんなことに使える。
例えば…
今、ブーンが思い悩んでいることが、余りにも重そうだということ。
そして…このままだと取り返しがつかなくなりそうなことだということ。

いつも通り接してくれる二人が私は大好きだ。
だから、いつも通りのブーンに戻ってほしかった。
いつだって私達は一緒なのだから、そんな抱え込むことがあるなら言ってくれたらいいのに…
…私は間違っているだろうか?

116 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:08:46 ID:uiQUQz.g0
川 ゚ -゚)「…まぁ、時間があるときにでも話してみるさ
     人間気持ちが上下するのはしょうがないことだ
     思春期なんてそんなものだろう」

('A`)「クーも思春期真っ只中だろうに」

川 ゚ -゚)「全員が同じ時期に思春期が来るならそうだろうな」

('A`)「…なんか俺だけ子供みたいじゃんか」

川 ゚ -゚)「何を言うか、ドクオは将来をちゃんと考えているじゃないか。都会に行くのだろう?
     私から見たら大人なのはドクオだよ。ちなみに私は将来なんて考えてないぞ」

(;'A`)「なんかしらは考えててくれよ。本当に何もないのか?」

川 ゚ -゚)「ふむ、そうだな…強いて言うのなら…」

117 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:09:11 ID:uiQUQz.g0
川 - -)「私は…二人とずっと…仲良くしていたい…かな」

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「まぁ、私のことはいいさ。ブーンのことだ、きっと何か考えがあるのだろう
     今はそうだと思うことにしよう。"お互いに"」

('A`)「…俺の心の中、読んだ?」

川 ゚ -゚)「さぁな、全部は分かりかねるさ。誰の心の中も、な」

私達に蟠りがあるわけではない。
ただ、私はこういうのに敏感すぎるだけなんだ。
何もないなら、何もないでいい。
むしろそれがいい。
きっと、私の思いは独り善がりなのだろう。
それでも、気になってしまったものはしょうがない。
私はどうしたら最善かを模索した。
この悪い予感が的中しないように願いながら。

118 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:09:34 ID:uiQUQz.g0
〜〜〜放課後:深淵を覗く〜〜〜


ショボンと話してから同じ問答を何度も反芻した。
それでも、考えていることに正解はなかった。
誰も答えは教えてくれない。
だからこそ、僕は動けなかった。
こうしてる間にも、遠く輝く太陽は身を潜め始めていた。

上の空だった。
教室から誰も居ないことに気づかず、僕は窓からグラウンドを見ていた。
隙間風がカーテンを揺らして、暑くぬるい風が張ってあるポスターを揺らして音を出す。
どこからともなく聞こえる蝉の歌。
遠くで靡いた風鈴。
この季節だけのオーケストラ。
勝手に入ってくるそれらを、抵抗せず受け入れている時だった。

川 ゚ -゚)「ブーン、話がある。立て」

突然後ろからクーの声が聞こえた。
僕の反応は薄かった。
呆然とする僕の服を強く掴んで、クーは歩き出した。
多少強引過ぎるくらいの力で僕をどこかに連れて行く。
それに、話がある、と言ったんだ。
帰ろう、が正しいんじゃないか?

119 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:09:58 ID:uiQUQz.g0
僕を離さず前を歩く彼女は、こっちに振り返る素振りはない。
どうやら、本当に帰るつもりはないらしい。

そうして連れてこられた放課後の図書室。
外からの部活動の声と、濃いオレンジと黒のコントラストが心地よいノスタルジーを歌っていた。
普通に話すには少し大袈裟な場所だった。
いつもの他愛もない話ではない。
そう感じるを得なかった。

僕を服を離すと同時に、彼女は振り返る。
その表情は、いつも通りの顔だった。

川 ゚ -゚)「ブーン、単刀直入に聞こう。何か悪いこと…嫌なことあっただろう?」

クーの切り出しは、余りにも僕の核心を突いていた。
彼女の勘の鋭さには驚いてしまう。
女の勘って奴だろうか。

120 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:10:20 ID:uiQUQz.g0
( ^ω^)「…何の話だお?僕はいつも通りだお」

川 ゚ -゚)「分かってるよ、お前がこういう時に強がるやつだって事はな
     それを知った上で聞いてるんだ…何かあっただろう?
     それも、特別に悪いこと…」

全ては知らずとも、彼女は知っているのだ。
僕の事も、僕がこうやってはぐらかすのも。

( ^ω^)「…クー、今僕が正直に全てを話せば、きっと僕は後悔することになるお
       誰が悪いとかいう話じゃないんだお。しょうがないことなんだお
       知らないことの方が良いこともあるんだお」

川 ゚ -゚)「なら、その荷物を私が一緒に背負ってやることはできないのか?」

( ^ω^)「…どうしようもないんだお。覆水盆に返らず、だお
       何度も昨日考えてたお、でもこれしか方法はないんだお
       …僕一人で抱えるしか」

川 ゚ -゚)「…そうか。それなら、もう一ついいか?
     転校生とどういう関係だ?」

( ^ω^)「転校生の友達って以外ないお。それ以上でも、以下でもないお」

僕は隠すのが下手なんだろうか。
彼女の問いに淡々と答えた。
拳を強く握っているのが見えた。
多分、誤魔化している僕に苛立っているのだ。

121 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:12:06 ID:uiQUQz.g0
それでも、僕は真実を言わない。
今の悩みを打ち明けたところで何も解決しないからだ。
それに…クーやドクオだって悲しんでしまうから。

川 - -)「…なぁ、ブーン。お前は変わってしまったのか?それとも、変わらない私が悪いのか?」

川 - -)「ブーン、お前は何かを私に隠してる。
     大人になるってそういうことなのか?それとも、私が馬鹿なだけなのか?」

川 ゚ -゚)「ブーン、分かるだろ?私には…お前らしかいないんだ
     かつて、虐められてた私に手を差し伸べてくれただろう?
     恩返しというつもりは毛頭ないさ。ただ、私は同じことをしたいんだよ
     だから私はお前が抱えてるモノがどれほど重かろうが、持つつもりだ
     それはドクオにも同じ気持ちだ。私達は三人一緒だろ?」

川 ゚ -゚)「私は…二人のことは嫌でも分かってしまうんだよ。ブーンの目が…今日は黒く淀んで見えるんだ
     何か…取り返しがつかないことでも考えてるんじゃないかって…不安なんだ
     そんなに、私が…私達が信用できないか?」

表情は変わらない。
その分、声に震えがあった。
きっと堪えているのだ。

( ^ω^)「…信用してないわけじゃないお
       でも…ごめんお」

122 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:12:43 ID:uiQUQz.g0
そういうと、クーは俯いた。
濁った空気が僕らの間で色濃く生まれるのがわかる。
蟠り。
今まで三人の中で一度も感じなかった感情だった。
気分が悪い。
こんなことは思いたくなかった。
それ以上何も発さないクーを一瞥して一人で図書館から出た。
閉めるドアの音がいつも以上に大きく音を立てた。

その廊下にドクオが突っ立っていた。
僕達の会話を聞いていたんだろうか。
ドクオの目が、僕をじっと見つめていた。
多分、僕は今苛ついている。
だから、なにも言わずに一人で帰ろうとした。
今は…誰とも話したくない。

そんな彼の横を通り抜けた時、背中越しに声がかかった。

('A`)「…随分と怒ってるじゃんか。告白失敗したか?」

僕は振り向きもせず答える。

123 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:13:05 ID:uiQUQz.g0
( ^ω^)「そんな話はしてねーお」

('A`)「あーそうだったな。なんの話だ?」

( ^ω^)「…ドクオは知ってるだろうお。そんなはぐらかさないで言いたいなら直接言えお」

('A`)「クーが聞いたことには真面目に答えないくせに、お前はそのスタンスで行くのか?」

('A`)「俺はクーが何を話したかなんてのは知らない。でも、想像は付くさ
    あいつの事だ。きっとドストレートに聞いたんだろ?それが嫌だったってことはなんとなく分かる」

('A`)「でも…クーがあんなにムキになってたんだ。教えてやってもいいんじゃね?」

…うるさい

('A`)「割と鈍感な方の俺でもわかる。お前が最近変なことくらいは」

うるさい

('A`)「なぁ、少しでいいから話してくれな」

124 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:13:30 ID:uiQUQz.g0
ドォン!!!!

彼の言葉を断ち切るように、壁を殴った。
そこから流れる僕の血。

「…」

お互いの荒い呼吸が廊下に反響した。
遠くから蝉の声が聞こえる。
こんな醜悪な感情を剝き出しにしたのは初めてだった。

(  ω )「お前らには関係ないお」

言葉を吐き捨て、僕は歩き出した。
僕も、彼も、どんな顔をしていたかはわからない。

僕らを繋ぐナニかが爛れていた。
今までできたことがない程に深く、凄惨な傷が新たに出来上がった。

拳の痛みに耐えながら、足早に校内から出た。

125 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:13:56 ID:uiQUQz.g0
学校からの帰路。
それからというものの、僕はズタズタな心の中で二人に謝っていた。
ただ、今は誰とも話す気分にはなれない。
余りにも青く、心が弱かった。

夕暮れが真っ赤に街を染める。
その光を全身で浴びながら、歩を進める。
ちょっと前もこんな赤色をしてた。
ほんの少ししか経ってないはずなのに、なんて遠く感じるだろう。
もう今日はさっさと眠ってしまいたい。
今日はごめん。
明日になったら謝ろう。
とびっきりのお菓子を用意して。

心が複雑に絡まって現実感がまるでなかった。
家までかなりの距離があるのに、歩いた時間をゴッソリ切り取ったように家に着いた。
あんまり記憶がない。
思い出したくもない。
自分が悪いのは分かってるはずなのに、素直に頷けない自分に無気力さを感じた。

そんな気力で家の鍵を開ける。
ただいまーと、小さく呟いた。
そのくらいの元気しか今はないから。

126 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:14:16 ID:uiQUQz.g0
玄関で靴を脱ぐ時に違和感を感じた。
リビングでピーッピーッと音が鳴っていたから。
目覚まし時計?それとも、洗濯機?
そのどれもとは違う音と…カレーの匂いと、異臭。

…強盗?

そう思った僕は、玄関にある傘を持って音を立てずにゆっくりリビングに向かう。
クーラーの冷風を感じながら僕は慎重にドアを開けた。

リビングには…誰もいなかった。
不自然なほど赤い斜陽が部屋を照らし、照明の色をかき消すように見えた。
安心したが、それでもこの機械音と異臭は収まってない。
それと、カーチャンの姿が見えなかった。
いつもの机にもいない。
不穏に感じていた。

机に向かおうと足を出したと同時に、トンっと、足に何かが当たる。
驚いて、キッチンを見た。
そこには作りかけのカレーと、車椅子から倒れているカーチャンの姿があった。

127 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:14:48 ID:uiQUQz.g0
〜〜〜同日昼休み:俺〜〜〜


「私は…二人とずっと…仲良くしていたい…かな」

('A`)「…」

その願いは幼く、小さなモノだった。
それ故に純粋で、綺麗だと思った。
クー、君は誰よりもピュアで、馬鹿だ。
だからこそ、その言葉は何よりも嬉しかった。
俺だって同じだからだ。

俺が大人?
冗談じゃない。
ブーンやクーのように秀でる才能がないだけさ。
平たく言えば、夢も言えないような弱い男なんだ。

俺は、弱者だ。
自分のことが嫌いだ。
自分のことが嫌いで嫌いで仕方がない。
常に隣の芝生が青く見えて、気が狂いそうになる。

128 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:15:17 ID:uiQUQz.g0
顔が良いわけじゃない、何か自慢できるものもない。
そんな醜い嫉妬と、自己嫌悪から逃げる為に勉強してるんだ。
その時だけは目の前の問題だけに集中できるから。
捻くれてるんだと思う。
変に背伸びした高いプライドと、承認欲求が混ざったキモイ人間が俺だ。
俗に言う中二病だった。

こんな人間にも、大切なモノが出来た。
それが二人だ。

ブーンみたいに、視野が広くて気配りが出来るような男じゃないし
クーみたいにイジメを耐えられる心の強さはないし、人の心に敏感じゃない。
俺は羨ましく思ってる。
現に今も。
でも…二人の傍に居ると…俺は自分のことが好きになれる気がしたんだ
少なくとも、二人と居る自分は嫌いじゃない。

別に二人に何か特別なことをしたことはあっても、されたことなんてないさ。
ただ、傍に居てくれる。
それだけだ。
それだけで、捻じれ縺れた俺の世界を変えてくれたんだ。

129 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:15:40 ID:uiQUQz.g0
勝手に二人に感謝してるだけ。
勝手に一緒に居たいだけ。

二人は俺の気持ちなんて知らなくていい。
二人は俺を傍に置いててくれればいい。

だから、何かあった時には遠慮なく頼ってほしいんだ。
何故かって?
そんなの簡単な話。

か っ こ つ け た い か ら 。

悪いな中二病で。
俺なんかと一緒に居てくれるからだよ。
それ以外の理由?ないね。

身勝手で中二病臭い俺の願いさ。

なぁ、ブーン。お前は今何を考えてるんだ?
俺はクーに言われるくらいには、人の気持ちに鈍感さ。
そんな俺でも、最近のブーンに何かあったことくらい分かる。
今までそんな顔、俺らに見せたことなかったじゃないか。

130 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:16:05 ID:uiQUQz.g0
ドォン!!!!

…なんだよ、それ。
手から血出てんじゃんか。
そんなにこうやって話すのが嫌だったか?
そんなに…俺らが嫌いになったのか?

「お前らには関係ないお」

('A`)「…」

俺は何も言えなかった。
多分初めてブーンからあんなにはっきりと拒絶された。
だから、言う言葉が見つからなかった。

そのままどっか歩き出すもんだからさ、追いかけられないじゃんか。
なんか、血も滴ってるし…
絆創膏でも貸しときゃよかった。

ちょっとボーっとしちゃってたけど、まだ図書室にクーがいるんだ。
迎えに行かなきゃ…

131 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:16:26 ID:uiQUQz.g0
古臭いドアを開けた先には、静かに一人で座るクーが居た。
少し埃っぽい室内だけど、なんて絵になるんだこいつは。
綺麗な横顔に、隙間風で靡く黒髪。
沈みかけている太陽が作り出すオレンジと、影の黒の中に佇むこいつを見て俺は思った。

('A`)「絵画かよ」

川 - -)「…何がだ?おちょくるならタイミングを考えてくれ」

('A`)「そういった意味で言ったわけじゃない、そう思ったから口に出ちゃっただけだ」

川 - -)「褒め言葉と受け取っておこう。だけど、今じゃない」

おいおい、クーに表情筋ができたみたいだ。
なんて悲しい顔してんだ。
これが演技だとしたらハリウッド映画で引っ張りだこになるだろうな。

なぁ、ブーン。
さっきの言葉、お前の本音か?
クーにこんな寂しそうな顔させるなよ…
俺だって寂しくなるだろ。

132 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:16:48 ID:uiQUQz.g0
川 - -)「…ドクオ、一つ聞かせてくれ」

('A`)「TPOに沿うように答えるさ」

川 - -)「…私は、間違っているか?」

('A`)「偶然だな、俺も同じこと考えてたよ。なんか間違ってたかなって」

('A`)「でも、俺が思うに…多分誰も間違ってないよ。ブーンも、クーも、俺も」

川 - -)「…」

('A`)「はぁ…思春期真っ只中だな、俺らは
    本当ならもっと明るい青春を夢見てたんだが…
    でも、こう考え込むことも一つ二つ必要なんだと思うよ…もう駄々こねるような歳じゃないだろ?」

川 - -)「…ドクオ」

('A`)「ん?もう帰るか?それもいいけどカバン忘れてr

133 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/14(金) 02:17:10 ID:uiQUQz.g0
(;'A`)「ってクー!?こんなシリアスな空気で抱き着くなんて画面の前のTPO警察がry」

川 - )「時と場合と場面…だろ?そのくらいわかる…」

(;'A`)「なら」

川 ;-;)「なら…今はこうしててくれ…」

(;'A`)「…」

ブーン、お前重罪だぜ?
極刑だ、極刑。
こんな可愛い俺たちの幼馴染を泣かせたバツだ。
明日、ちゃんと謝らせるからな。

…暑っついなぁもう



___________________

134名無しさん:2025/02/16(日) 01:27:56 ID:HElRi7NM0
あっついぜ

135名無しさん:2025/02/17(月) 13:13:41 ID:IGhSaLQ60
最新話に追いつけてないけど文章好きだ
ゆっくり読ませてもらいます。乙

136 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:28:36 ID:R8dbB6ec0
day5


時間は9時過ぎ。
あの後、僕は病院のベンチで座り込んでいたが、いつの間にか落ちてしまってたようだ。
看護師さんが僕を起こしに来た。
どうやら、カーチャンの意識が戻ったようだった。

305。それがカーチャンのいる病室だった。
もう枯渇した体力だったが、一段飛ばしで階段を上がる。
そして、病室を思いっきり開けた。

(;^ω^)「カーチャン!!!」

 J('ー`)し「…あんまり大きい音出さないの…
      ごめんね。カーチャン疲れちゃってたみたい」

とりあえずカーチャンの命は無事だってこと。
料理を作ってる際にガスが出続けていて、それが原因で倒れたとのこと。
家に帰った時の異臭はガスだったらしい。
大事ではないものの、数日病院で検査をするという診断だった。
元々下半身の自由が利かないカーチャンにとって、これ以上良いことはないだろう。
僕はほっと胸をなでおろした。

( ^ω^)「…今は大丈夫なのかお?」

 J('ー`)し「先生が言うには、大丈夫だって。少し、色々と抱えちゃってたからね…
      ブーンには申し訳ないことしたね。ごめんね」

( ^ω^)「…カーチャンが無事なら…いいんだお」

 J('ー`)し「学校は?」

( ^ω^)「電話したお。落ち着いたら向かうって」

こんな他愛もない会話の中でも、カーチャンは無理してる。
何が少し、なのか。
カーチャンは抱えてたじゃないか。

137 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:29:37 ID:R8dbB6ec0
僕にも、クーやドクオの家族にも言わないで。
とてつもなく重く、非情な決断をしたじゃないか。
謝らないでくれ。
それ以上、優しい顔をして僕に笑いかけないでくれ。

いつもの元気なカーチャンの顔は隈が酷くなっているように見えた。
今まで抱えたものが、全て爆発してしまったのだろう。
きっと、僕より傷ついているのはカーチャンの方だ。
…多分トーチャンも。

何が悪かったんだろう?
何をしてたらこうならなかったんだろう?
自己嫌悪にも似た感情が、僕の心を黒く染め上げた。

( ^ω^)「何日くらい…入院なんだお?」

 J('ー`)し「2.3日…長くて一週間かな?
      それまでには元気になるからね!
      カーチャンが何とかするわ!」

138 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:30:04 ID:R8dbB6ec0
明らかに空元気だった。
目が笑ってないとはこういうことを言うんだろう。
碌に寝れてないんだろう。
そんなに強がらなくてもいいだろ?
辛いなら吐き出してしまえばいい。
息子だろうと頼ってしまえばいい。
なのにカーチャンは、僕に心配をかけないように振舞っている。
大人っていうのは隠すのが本分なんだと思った。
それでも、この悲しい顔を見るのは…もう耐えられなかった。

それと同時に、僕の願いは少しずつ確証を帯びてきた。
"幸せだった頃の家族に戻してもらう。"
それが、僕の願い。
そうすればきっと、トーチャンが出ていくこともなかった。
そうすればきっと、カーチャンがこうなることもなかった。
そうすればきっと、僕があんな思いすることはなかった。

笑ってしまうほどの独り善がり
僕はどこまでも子供なんだということを実感した。
自分の宝物はずっと大切に、自分の手の中に入れておきたい。
僕は、僕が好きな人たちが悲しい顔するのが嫌だった。
だからこそ、だ。
カーチャンとトーチャンの子供の僕が間を取り持つのはいいことだと思った。

139 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:30:29 ID:R8dbB6ec0
願い、よりも"呪い"
そのくらい強く、確実に芯を太くした。

「君のその願いに、命を懸けられるかい?」

あの時は答えを躊躇った僕だったけど、今なら彼に即答できる。
闘志が沸々と湧き上がる。
そうと決まれば、情報収集から始めないと。

ショボンに頼るのは最後でいい。
今は出来ることを探す。
彼が出発するのにあと2日。
それまでに、何かできることをしなければ。

140 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:30:51 ID:R8dbB6ec0
 J('ー`)し「…ブーン?」

(;^ω^)「おっ、おん?」

 J('ー`)し「なんか考え事してた?すごい顔してたけど…」

( ^ω^)「…カーチャンが無事でよかったって思ってただけだお」

 J('ー`)し「ちょっとの間迷惑かけちゃうけど…ごめんね
      わからないことがあったら、いつでも連絡してね」

( ^ω^)「おっおっおっ。ちょっとの間の1人暮らし程度、何とかしてみるお」

 J('ー`)し「早めに治して、すぐ家に戻れるようにするからね」

その会話を最後に、僕は学校に戻る。
今日は休み前最終日だから、午前中に授業が終わる。
けどプリントとかは取りにいかなきゃいけない。
既に12時は過ぎてたから、学校行く準備をしないと。
昨日あのままの格好で病院まで着いて行ったのだ。
体中気持ち悪かった。

141 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:31:24 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日朝:いつもの待ち合わせ場所にて〜〜〜



('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

気まずい

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

なんでブーン来ないんだ?
昨日の事まだ引き摺ってるのか?

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

普段の俺(私)ならとっくに軽口叩いてるはずなのに。

(;'A`)「…」

川;゚ -゚)「…」

こうしてブーンを待ってる間ずっとこうだ。
何故か心臓が爆速で鳴ってる…
原因は分かってる。
昨日の…あの…あの…

142 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:31:47 ID:R8dbB6ec0
(;*'A`)

川*- -)

あのせいだ!!!!!!!

(;*'A`)(思春期とは言ったけど、まさかあのまま結構な時間そのままだとは思わないじゃん!!
    無意識にちゃんと頭撫でちゃったじゃん!!誰も来なくてよかったわマジで!!
    慣れてるわけないだろ!!!DTの拗らせを数千回重ねたような俺だぞ!?
    なんかああいうのってジャ●プ漫画あるあるだよねーみたいな感じだったじゃん!
    制服に着いた匂いとか!!サラサラな髪質とか!!残って眠れなかったろうが!!!
    あの柔らか…あの感触がまだ腹部に残ってるんですけどおおお!?夢!?あれ全部夢!?)

川*- -)(ドクオの手…おっきかった…)

(;*'A`)(ああああカミサマ!!!!)

川*- -)(すごい落ち着いた…!)

あ り が と う ご ざ い ま す !

………
……


143 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:32:07 ID:R8dbB6ec0
俺はギクシャクしながら学校へ向かった。
あんなことがあった後だからこんなこと言うのもなんだけど、ブーンいなくてよかった。
本当に。
クーはと言うと…なんか素っ気ない。
あーあ、全部夏のせいだよ。
責任取ってくれよ、カミサマ。

今日も晴天。
雨の気配はなし。
だけど、遠くに積乱雲が見える。
夏の様相が顕著になってく。
これから本格的になってくこの暑さは、どこまで俺達を惑わせてくれるんだろう。

途中寄ったコンビニで、クーは紙パックのレモンティーを買った。
俺はスポーツ飲料と、少しのお菓子を買った。
ストローを刺したレモンティーを飲むクーが…なんか、その…キラキラしてるように見えた。
こんなこと思う俺は幼馴染失格だ。
あーあ全部夏のせいだよ。
ありがとう、カミサマ。

144 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:33:57 ID:R8dbB6ec0

暑さを凌ぎつつ教室に到着。
外も中も大差はないけど、日差しがないだけまだ涼しいと感じた。
そんな中、やけに涼しい顔をしたやつがいた。
そいつは俺達を見たと思ったら、ゆっくり近づいてきた。

(´・ω・`)「おはよう、二人とも」

ショボンだった。
こんな夏になんてクールな顔してやがんだ。
その冷やかさ俺に分けてくれよ。
でも話しかけてきてくれてGG。
タイミング最高だよ。

('A`)「…あーおはよー」

川 ゚ -゚)「…ん、おはよう」

(´・ω・`)「…なんかあったかい?ぎこちない気がするけど…」

(;*'A`)「そそ、そんなことはないっ!ないよ!なにも!」

川*゚ -゚)「ナニモナイデスヨ、ゼンゼン」

(´・ω・`)(…何かあったのかな?)

145 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:34:19 ID:R8dbB6ec0
(´・ω・`)「そういえば、ブーン君まだ来てないようだけど…今日も寝坊かな?」

('A`)「あー…そうかもね。夏バテしちゃったんじゃないか?」

(´・ω・`)「そうなのかな。一応明日、祭りがあるんだろう?
       時間とかどうしようかなって思ってね」

川 ゚ -゚)「もう明日になるのか。今日が休み前最後の学校だというのに
     ついてないやつだ」

('A`)「一応調べてはあるよ。祭り自体のスタートは16時、終わりは22時だ
    天候が今日くらい良けりゃ終わる前に花火だな」

(´・ω・`)「二人とも何時くらいに集合するんだい?合わせられると思うよ」

('A`)「俺達はいつも18時くらいに集合してる。ショボンはどのあたり住んでるんだ?」

(´・ω・`)「三人とは逆方向かな。そっちの方面はからっきしわからないんだ」

川 ゚ -゚)「なら、学校集合が安パイか?18時半くらいならいけると思うぞ?」

(´・ω・`)「何から何までありがとう。祭りに一緒に行けるって妹に言ったら喜んでたよ
       人見知りだから少し迷惑かけちゃうけど、よろしくね」

川 ゚ -゚)「妹ちゃん、名前なんて言うんだ?」

146 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:34:51 ID:R8dbB6ec0
(´・ω・`)「未だのミに、食べ物の芹で、ミセリだ。引っ越してから元気なかったんだ
       けど、新しく友達ができる!って喜んでたよ」

川 ゚ -゚)「ふふん、可愛いな。ミセリちゃん、ね
     お姉さんが色々と教えてやろうじゃないか」

('∀`)「変なこと教えるなよ?可愛い子が力自慢にでもなったら大変だ」

川#゚ -゚)「ほう…?その力とやら見てみるか?」

(;´・ω・`)(あ)

(;'A`)「あ、それは違くてですね
    クーのような凶悪的な可愛さをそんな歳から覚えてしまったらあれだと思いまして」

(;´-ω-`)(南無三っ!)メツムリー

(;´-ω-`)(…)

(;´・ω-`)(…?)

川*- -)「…カワイイとか…いうな…バカ…」

(;*'A`)「…ハイ…」

(´・ω・`)(何かあったな…)

147 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:35:15 ID:R8dbB6ec0
丁度よく鳴るチャイムの音。
ドラマみたいなタイミングだった。
あーあ、もう見る目変わっちゃったじゃん。
俺はね、チョロイんです。
ごめんなさい。クー。

今日は夏休み前最終日ということもあって、午前中で授業が終わる。
そういう時程、時間の進みが遅く感じる。
次ここに来るのは一か月後。
長いんだか、短いんだが。
今のうちに、教室から聞こえる夏の知らせを堪能した。

結局、時計の針が真上を指してもブーンは来なかった。
心配もあるけど、きっと大丈夫でしょ。
…多分。

148 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:35:50 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:お見舞い後の僕〜〜〜



自分の影が真下に落ちる14時過ぎ。
実質もう夏休みだというのに、僕は閑散とした学校に一人向かっていた。
同じ制服を着た人をちょこちょこ見つける。
プリントを取りに行かなければならなかったから。
まだ気温は本気を出してないらしい。
遠くの方で積乱雲が見える。
この季節の代名詞を一通り見まわしながらこの猛暑の中、学校に向かう。
汗が引くことはなく、民家から鳴る風鈴がそれらをより一層引き立てた。

(;^ω^)「やーーっと着いたお…」

校内も外と似たような気温になっている。
これから向かう職員室は格別に涼しいから、少しだけ息抜きできる。
そう思ってドアをノックした。

(;^ω^)「すいませんお、ホライゾンですお」

「はいよー」

担任の先生が出てくれた。

「ちょっと涼んでいきな。お母さん、大丈夫だったか?」

(;^ω^)「ありがとうございますお、とりあえずは無事でしたお」

にらんだ通り、職員室は涼しかった。
外から来たばっかりなのもあって、少し寒いくらいだ。

149 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:36:23 ID:R8dbB6ec0
「災難だったな…とりあえず、宿題とプリントだ」

いつの夏も思う。
この紙束は人が解くような枚数じゃない。

「…お前の家庭の話、ちょっとお母さんから聞いたよ…その…なんだ」

「俺はたかが教員だから、少し積極臭くなっちまうが…強く生きろよ
 俺達職員はそういうところもちゃんと見るっていうのが仕事で、役割だ」

「だから、もし何かあったときは…遠慮なく言え 
 俺も家庭を持つ身だ。少しくらいは力になれると思う」

この時、今まで気にしてなかった先生の薬指が、やけに光って見えた。
先生も僕の歳頃の心情をわかっているのだ。
誰にも頼れない、信用できないような子供の心を。

( ^ω^)「…それなら先生、質問があるお」

「おっ、なんだ?」

( ^ω^)「…先生は、"命に代えても叶えたい願い"って何だと思いますかお?」

「なんだそりゃ」

がーっはっはとデカい笑い声が職員室に響く。
まぁ、大方予想通りだ。
だけど、少しずつ真剣な表情に変わっていくのがわかった。

150 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:36:43 ID:R8dbB6ec0
「…先生な、お前くらいの時は音楽をやりたかったんだよ
 ヘヴィーメタルってジャンルさ、そこで一発名を馳せてやろうとおもったんだ」

「その時は思ったよ、この夢を諦めるくらいなら死んだ方がマシだ!ってな
 でも、そんな簡単にはいかなかった。夢のない話だけどな」

「才能もいる、金もいる、継続する努力もいる。その中で選ばれた小指のササクレくらいの人間だけが夢を叶えていく
 俺の同級生で同じ夢を持ってた奴は、今はそのジャンルで名を馳せて、世界でツアーなんてやってる
 …すげーよな。敵わないと思ったさ。今でも尊敬してる」

「だけど、その時の夢が今"命に代えても叶えたい願い"かというと、そうじゃない」

「今俺は、家庭を持てた。倅ももう6つになる。順風満帆、とはいってないが…俺は今幸せなんだ」

「多分、いやきっと。音楽をやってた俺がそのお前の質問されたら…迷わず<音楽で成功したい!>だったろうな」

「でも、願いは形を持ってる。その形は固定されてるわけじゃない…と思うんだ」

「歳を食えば考えは変わる。季節が過ぎただけでも願いは変わる。
 暑いの嫌だから、早く冬が来てほしいと思うのと同じようにな」

「だから…そうだな…今自分が選択したことに後悔はない!と胸を張っていられることが
 "命に代えても叶えたい願い"…なんじゃないか…な??」

「…すまん、こういうのは苦手なんだ」

151 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:37:07 ID:R8dbB6ec0
段々と声が小さくなる先生に、僕は苦笑した。
それでも、なんとなくわかる気がする。
先生は"後悔しない選択をしろ"と言っているのだ。
時間が経てば考えが変わる、というのもわかる。
これは、感覚でしか伝わらないと思った。

( ^ω^)「なら、今の"命に代えても叶えたい願い"ってなんだお?」

「そうだな…今は、家庭が今以上に幸せになれば俺はそれでいい
 …が、命に代えるというなら、倅が将来道を踏み外さないこと…
 それが俺の願いで、叶えたいこと」

「それと、お前みたいな生徒の質問に完璧に答えられるって願いかな」

( ^ω^)「先生、途中で言葉詰まってたお」

そうだな!
そう言って、また一つ大きな笑い声が響いた。

「まぁ、あれだ。もしお前が何かに迷っているのなら、後悔しない方に行けよ
 少なくとも、俺ならそうする。」

「でもな、命があってこその願いだっていうのは忘れるなよ
 願いを叶えた先、お前が居なかったら意味がないからな」

( ^ω^)「そうだおね…ありがとうございますお」

「よし!夏休み存分に楽しめ!あと、宿題はやれ!」

いつの間にか引いていた汗だったが、宿題のことを言われてまた少し汗をかいた。
これは暑さのせいじゃなかった。

ありがとうございますおー
と言って、職員室を後にする。
休み前最後の学校は、何とも不思議な感覚だった。
もやもやが一つ、晴れた。
そんな気がした。

152 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:37:30 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:帰路の二人〜〜〜



('A`)「あ〜〜つ〜〜い〜〜お〜〜も〜〜い〜〜」

川 ゚ -゚)「やめろ、熱気が移る」

('A`)「クーは暑くないのー?」

川 ゚ -゚)「暑いさ、もう飲み物もなくなってしまった」

('A`)「宿題重い」

川 ゚ -゚)「毎年嫌になるな、これだけは」

なんだかんだで、私達は帰る途中。
行きに寄ったコンビニで、アイスを買って齧っていた。
今日は一段と暑さが増していた。
コンビニの影で休んでいる最中、そこに一人の少女が寄ってきた。

ミセ*゚ー゚)リ「あいす!」

可愛らしい声だった。
というより、全部可愛かった。

153 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:37:56 ID:R8dbB6ec0
川*゚ -゚)「あららーどうしたのー迷子ー?」

('A`)「なんで声が高くなるんだ」

川*゚ -゚)「可愛い子には弱いんだよーねーぇ?どこから来たのー?」

('A`)「今まで聞いたことのないような声だ…」

ドクオには分からないのだ、この子猫のようなクリクリとした目。
汗ばんだ四肢、赤い髪飾り。
全部可愛い。
お姉さん連れ去っちゃうぞ?

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんがっこういったからひま!
      だからおさんぽちゅ!」

川*゚ -゚)「そーなんだねぇ!偉いねぇ!何の味のアイスが好きなのー?」

ミセ*゚ー゚)リ「あいすすき!」

川*゚ -゚)「そーなんだねぇ。お姉さん買ってあげるから一緒に食べよっか!」

ミセ*゚ー゚)リ「いっしょたべる!!おねーさんやさしい!」

川*゚ -゚)「お姉さんは優しいよー怖くないよー」

('A`)「俺から見たら怖い。見たことなさ過ぎて」

そうして少女にアイスを買ってあげた。
フルーツ味の小さいやつだ。
袋から取ってあげて、少女に渡すと満面の笑みを向けてくれた。
あぁ、これが天使か。
今、私の目の前に肉眼で見える天使が居る。
奥で神妙な顔して座っているドクオ。
そんな目で見るな。

154 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:38:29 ID:R8dbB6ec0
ミセ*゚ー゚)リ「おねーさんありがとう!おいしい!」

川*゚ -゚)「その顔だけで私は十分だよー可愛いねー
     お名前なんて言うの?」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしミセリ!!」

('A`)「え、ミセリ?それって…」

川 ゚ -゚)「ショボンの…妹!?」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ?おにーちゃんのおともだち?」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんとふたりでおひっこししたの!
      おともだちとはなれちゃったからさみしかったしすることもないからおさんぽ!」

川 ゚ -゚)「そうなんだねぇ…ミセリちゃんはいつからここにきて、どこから来たの?」

ミセ*゚ー゚)リ「ん-とね…2かげつ?まえくらい!××てところ!
      まえのところはいっぱいたてものあったけどこっちはないんだねー」

ミセ*^ー^)リ「きれいでこっちもすき!」

('A`)「随分と遠い場所から来たんだなぁ…本当に都会じゃん…
    そんな都会人から地元褒められるのってなんか嬉しいな…」

('A`)「そういえば、多分もうお兄ちゃんも家帰ってると思うぞ?
    俺達と同じ学校だから」

ミセ*゚ー゚)リ「そうなの?おにーちゃんかえってくるのおそいの
      だからおさんぽよくしてるんだー」

川#゚ -゚)「こんな可愛い子を置いて…帰ってこないだと…?
     ショボン…許せん…!」

('A`)「おねーさん顔怖いデスヨー」

川;゚ -゚)「おっと、こんな天使を前になんて顔を…」

('A`)(表情自体は変わってないけど…)

ミセ*^ー^)リ「おねーさんたちおもしろーい!」

155 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:38:51 ID:R8dbB6ec0
天使が微笑んでいる。
それにしても、ショボンの妹…か。
興味がある。

川 ゚ -゚)「ミセリちゃん、どうせ暇なら私の家来ないか?
     両親は二人とも仕事で今日はいないんだ、外だと暑いしな」

('A`)「それって誘拐なんじゃ…」

ミセ*^ー^)リ「いいの!?いく!」

('A`)「いいのか…?」

川 ゚ -゚)「…ドクオも来るんだ」

('A`)「…え?」

川 - -)「家にこの子を呼ぶんだ…お前が居た方が…都合がいいだろ…」

(;'A`)「…いいの…?」

川*- -)「…女子に同じことを言わせるな」

(;*'A`)「アッ…はい…」

ミセ*^ー^)リ「おねーさんたちおもしろーい!」

天使が笑ってる。
だから魔が差したんだ。
…そういうことにしておこう。
本当に…今日は私らしくない。
夏の魔法には敵わないな。

はぁ…今日も暑いな。

156 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:39:20 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:渇望の僕〜〜〜



学校からの帰路。
僕はカーチャンの心配をしつつ、ゆっくり家に帰ってきた。
毎年思うこの物の多さは何なんだろう。
無造作に置いた荷物が床に散らばっている。

本当なら、多分トーチャンが家に居て。
カーチャンの料理を三人で食べてた。
何気ない、いつも通りの幸せだった。
当たり前にあったものが、忽然となくなるこの虚無さは言葉では言い表せない。
酷く静かなこの家には、僕一人しかいないのだ。

今日帰ってからリビングには行ってない。
虚しくなるのがわかってたから。
毎日帰ってる家のはずなのに、どこか異質な雰囲気が漂っていた。
感じたこともないこの気持ちは、どこに吐き出せばいいんだろう。

…あの二人は元気にやってるかな。
図書館の後から、会うことはなかった。
今までにないくらいの気まずさと、寂しさ。
素直に連絡して会えばいいだけなのに、それがどうしてもできなかった。
全く持って可愛げがない。
今までの喧嘩とは違ったのもある。

157 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:39:43 ID:R8dbB6ec0
僕は隠している。
今の家庭の現状を。
それを言ったら、ドクオとクーの家族全員から心配されるに決まってる。
だからカーチャンは学校には言えど、他には言ってないんだ。
だから、僕もその覚悟を持とう。
誰に言われたわけでもないけど、それが今僕にできる親孝行だった。

夕方前に帰って来たというのに、僕はベッドから動けないでいた。
先生との会話を何度も咀嚼していた。
後悔しない方に行け。
命があってこその願いだ。
間違ったことは言ってない。
大人として綺麗な意見だった。
眩しくて、直視できないくらいには。
見れないのは、僕が子供だからなんだろう。
先生は遠まわしに"大人になれ"と言っているのだ。
僕には…僕には、成功者の言葉を素直に受け入れるだけの懐は今なかった。

…先生、今もう一つ質問があります。
どっちの選択肢を選んでも後悔しそうなときは…どうしたらいいですか?

158 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:40:06 ID:R8dbB6ec0
眠るわけでもなく、何かしてるわけでもない。
ただ天井の模様を薄目を開けてみてた。
…もう外も日が暮れる。
それを確認したときに、カーチャンから電話がかかってきた。

『…もしもし?』

「カーチャン、具合は?」

『心配しなくても元気よ!少し、長引いちゃうかもしれないけれど…』

「いいんだお。カーチャンが元気になってくれるなら、僕はいつでも待つお」

『…何度も言うけど、ごめんね』

「何がだお?」

『私達…私は、ブーンに普通を上げられなかった
 だから、カーチャンね、申し訳なくて…』

「…」

声が震えていた。
きっと抑えているのだ、感情を。

『だけどね、ブーンが何か思い詰めていないか…心配で…』

「カーチャン、僕は待ってるお
 だから心配しないでいいんだお」

『ありがとう…じゃあ、またね』

159 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:40:29 ID:R8dbB6ec0
プツッっと通話が切れた。
僕はいつの間にか涙が溢れていた。
早く…僕の願いを叶えなければいけない。
カーチャンにあんなこと言わせるこの世界は間違ってる。
トーチャンが居ないこの家は間違ってる。
そうじゃなかったら、二人とだってあんな空気にならなかったはずだ。
だから…早く…あの場所に行かないと…

誰に対する怒りでもなく、僕はベッドを殴った。
昨日壁を殴ったことを忘れていて、その痛みで涙は引っ込んだ。
その分、僕の決意は硬かった。

160 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:40:54 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:室内の三人〜〜〜



川 ゚ -゚)「ただいま。靴そこに置いてていいからねー」

ミセ*゚ー゚)リ「おじゃましまーす!」

(;*'A`)「お、おじゃま…します…」

初めて入る女子の家。
なんで玄関がこんなにいい匂いがするんだ?
建物から芳香剤がでてんのか?
幼馴染だからって興奮しないわけがない。
あーやっぱり昨日から俺変だ。

川 ゚ -゚)「…ドクオ、玄関で突っ立ってないで中入ってこい。飲み物とか冷やさないと」

('A`)「あ…うん」

情けない返事だなー俺。
クーは…やっぱり何とも思ってないないんだよな。
今更男女で意識するっていうのもおかしな話か。

さっきのコンビニで買った色々を、クーと閉まってリビングに行った。
涼しいのもあるけど、なんか落ち着く。
…俺の欲情だけ暴れてるが、これも落ち着くでしょきっと。

161 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:41:24 ID:R8dbB6ec0
川 ゚ -゚)「ちょっと着替えに部屋に行く。待っててくれ
     ミセリちゃんもこっちおーいーでー」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」

…ん?
着替えっすか!?
男ここにいるんですけど!?
え、忘れてる!?
俺が男なの忘れてる!?
…って思ったけど、流石に長い年月一緒に居るもんだから忘れてるよなー
幼馴染となんかハプニングあるのは薄い本だけなんだな。
あ…二人の話し声と…布の擦れる音が聞こえる…
いやいやいやいやいやだめだめだめ
一旦落ち着こう?ドクオさん?

…それにしても、クーの家ってもの少ないんだなぁ…
あ、あの写真、三家族で遊園地行った時の写真だ…
俺がお化け屋敷でギャンギャン泣いた時かぁ…懐かしい…
なんかその反動でオカルトハマったんだよなー…
こういうの見ると、仲いいんだよなって改めて思うなぁ。

162 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:42:36 ID:R8dbB6ec0
クーの家に来るのは初めてじゃないにしろ、この歳になってからはなかったなぁ。
いつも俺の家に皆来るのが定番だったし…
ブーンの母ちゃんは下半身大変だし。
クーは一応…ちゃんと女の子だもんな、幼馴染とはいえ、ほいほい家に上げるのなんて慣れさせちゃだめだ。
俺に娘が今いるならそうする、絶対に。

そういえば、最近ブーンの母ちゃん最近何してんだろう。
父ちゃんは結構忙しそうだったし、元気にしてるんだろうか。
明日から夏休みだし、タイミングが合えば会いたいなぁ。
っていうか、今年の夏は三家族でどっか行くのかな。
行くだろうなー俺は行きたいし。
今年は海がいいな。

その前に…とりあえず俺達三人の仲を取り戻そうの会を開かないと。
たまには喧嘩くらいするだろう。
俺は別に怒ってない。
ただちょっと…悲しかっただけだ。
クーはどう思ってるか分からない…けど、話せばわかるだろ。きっと。
グーパン一発くらいは覚悟しておけよ…ブーン…

163 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:43:02 ID:R8dbB6ec0
川 ゚ -゚)「…ドクオは一人の時でも表情豊かなんだな。羨ましいよ」

(;'A`)「え!見られてた!?」

川 ゚ -゚)「あぁ、見てたよ。待たせてしまったかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーさん!わたしねこ!!」

(*'A`)「え、可愛い」

え、可愛いんだが。
あれ?クー部屋着くらい見慣れたはずなんだけど…
うん、薄手のパーカーにキャミソールに短パン…
え!なんかイヤラシイ!
なんで!あれ!

川 ゚ -゚)「私の昔のやつだ、ミセリちゃんに着せてやった
     懐かしいだろ」

(*'A`)「あ、うん…可愛いよ…すごく…」

川 ゚ -゚)「…なんで私の目を見て言うんだ?」

(;'A`)「あ、ミセリちゃんね!可愛いよ!懐かしい!」

川*- -)「バカ」

ミセ*゚ー゚)リ「おねーさんたちおもしろい!」

164 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:43:24 ID:R8dbB6ec0
慣れた動きでテレビを付けるクー
そうして和気あいあい?と始まった謎のメンツで遊び。
まぁ、イカガワシイことは何一つとしてないんだが、こうして遊ぶのも久々だ。
また昔に戻ったみたいで。

あぁ、前はこんな感じだったよ。
他愛もない話をずっとしてるんだ。
三人とも違うベクトルのもの好きだったから、話題は尽きなかった。
帰るってなった時は泣きべそかいたりしてさ。
もうそんな歳でもないけど、あの時の事は今でも鮮明に覚えてるもんだ。

ミセ*゚ー゚)リ「あっ!わたしのいえ!」

突然テレビを指さして反応したミセリちゃん。
家?地元じゃなくて?
普通のニュースみたいだけど…

≪先々月1*日------≫

('A`)「…これミセリちゃんの地元?」

ミセ*゚ー゚)リ「ううん!わたしのいえなの!これ!」

よくよくニュースを見てみる。
その内容は惨い内容だった。

165 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:43:56 ID:R8dbB6ec0
≪一家に押し入った強盗殺人事件にて 1*歳男の子、及び*歳の女の子は無事保護された模様≫

川;゚ -゚)「強盗…殺人…?」

それに気づいた時、本当に時が止まった。
さっきまで心地よかったクーラーが、突然氷点下に温度を下げたようだった。

ミセ*゚ー゚)リ「なんかね、わたしのおうちのまえにいっぱいひとがいたの
      いろんなひとがおっきいこえだしてて、かめらのピカピカいっぱいだったの
      だからこのときおうちにはいれなかったんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「あかいえのぐでよごれたおにーちゃんがないてたんだけど…かなしいことあったのかな?」

≪犯人は既に捕まり、犯行理由として≫

ミセ*゚ー゚)リ「ぱぱもままもおしごとあるからしばらくおうちにかえってこないんだってー…
      おねーちゃんのぱぱとままもおしごといそがし?」

≪『幸せを破壊したかった』などと供述しており≫

俺はミセリちゃんの話を無視してテレビの電源を落とした。

ミセ*゚ー゚)リ「あれ?てれびけしちゃったの?つまんなーい」

ミセリちゃんは内容についてちゃんと理解してなかったのだけが救いだった。
まさか。
まさかだ。
ミセリちゃんが言う"あかいえのぐ"それは十中八九…血だ。
さっきの話が全て真実だとしたら…ミセリちゃんの…ショボンの、両親は…もう

166 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:44:19 ID:R8dbB6ec0
(;'A`)「あ、ミセリちゃん。」

ミセ*゚ー゚)リ「なーにー?」

(;'A`)「お兄ちゃんと二人…だけで住んでるのかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!おうちかえってくるのおそくなるのはねー
      わたしのおねがいごとかなえてくれるからなんだって!」

ミセ*^ー^)リ「ぱぱとままにはやくあいたい!っておねがいごと!」

そういえばショボンは何か言ってた気がする。
俺達が将来の話をしてた時だ。
あの時の表情は、自分の願いに思い耽っていわけじゃなかったらしい。
あの目の奥にあったのは…憎悪だ。

川;゚ -゚)「でたらめで…荒唐無稽な…願い…」

暗雲が立ち込める部屋で、俺達はミセリという少女をただ見つめることしかできなかった。
祈り、祈祷、願い、希望。
それらがどんなに脆いか、俺は感覚で味わった。

遠雷と蝉時雨だけが俺達を支配した。
明日はこの街に祭囃子が木霊するらしい。

167 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:44:47 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:バウンダリー〜〜〜


そういえば、明日は四人で祭り行くんだった…
忘れてた訳じゃないけど、ここ最近色んなことが起き過ぎた。
疲労が溜まってて、何も気づかなかった。
なんなら、今日学校に行けてない…
あー
と、一人の家で声を出した。
何をしてるんだろう、僕は…

でも明日は約束したんだ。
だから、行かなきゃ。
そう思って、携帯を手に取って、三人のグループに連絡を一つ入れた。

『二人共この前はごめんお』

『明日祭りだお?全部僕の奢りでいいから一緒に行ってほしいお』

入れた連絡の返答を待つ間、風呂場に向かった。
ぬるま湯の風呂を貯めてる間、ふと、リビングの方を見た。
そうしたら、そこにカーチャンが居る気がしたから。
現実は、誰もいなかった。
当たり前だ。
そこに居てくれている。
そんな当たり前すらも今はないんだ。

僕は浴槽に沈んだ。
ぬるくて、心地よくて。
このまま体と水の境界線なんて無くなってしまえばいい。
僕を取り巻く幸せも不幸も絶望も希望も全部。
消え去ってしまえばいい。

168 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:45:12 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同刻:懐疑思案の俺〜〜〜



あの後、俺達はミセリちゃんを途中まで送っていった。
ミセリちゃんは楽しんでくれたようで、最後の方は眠たそうだった。
別れ際、手を振る姿も元気いっぱいだったが、夜は危ないから早めに帰した。
それに…あんなことを聞いてしまった後だ、あの子を少し不気味がったのもある。
俺は、だけど。
今はその帰り道。
段々とオレンジになる空を見上げて二人で歩いている。

それにしても…だ

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

変な空気が俺達を纏っていた。
慣れないことをしたから、だと思っていた。
けど、違った。
考えてるんだ、多分クーも同じことを。
ミセリちゃん…そしてその兄のショボン。
あの二人は、あんなことがあったから夏休み前に転校してきたんだ。
迅速な対応が求められたのだろう。
だから、こんな都会とはかけ離れた場所まで来た。
あのタイミングで。

169 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:45:38 ID:R8dbB6ec0
でも幾つか疑問が生まれていた。
ショボンは願いを叶える、と言っていた。
それも、でたらめで荒唐無稽な。
九分九厘それはミセリちゃんの願いだった。
両親を生き返らせる。
おおよそこれだろう。

だが、どうやって?
人は生き返らない。
それは人の、いやこの世の理だろう?
ミセリちゃんは言ってた、叶えるために何かしている。
それは何だろう?
ミセリちゃんを安心させる為の嘘とも思える…

('A`)「うーん…」

川 ゚ -゚)「なんだ、そんな思い悩んだ顔をして」

('A`)「いやぁ…なーんか腑に落ちないなーって思って」

川 ゚ -゚)「ふむ、ドクオが考えてることは多分わかるが…私達には理解が及べないだろう」

('A`)「そーなんだけどなぁ…」

川 ゚ -゚)「考えても難しいさ…ミセリちゃんがあの内容がどういったものか分かってなかったのが救いさ」

('A`)「それは確かに…俺があの立場だったらと思うと恐ろしいよ」

川 ゚ -゚)「中々に考えたくないな…私も」

('A`)「ショボンの見方変わっちまったなぁ…あんなクール気取ってんのに…かっこいいじゃねーか」

川 ゚ -゚)「兄としてというところもあるんだろう…多分な」

('A`)「主人公かよ…明日も会うし、とりあえず今日は解散しようか」

170 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:46:00 ID:R8dbB6ec0
そう、明日はショボン兄妹と俺達で祭りに行く。
ブーンには帰ってから連絡しないと。
来るかどうかはわからんが…
と、考えてる時、クーに服を引っ張られた。

('A`)「ん?なんか話すことでもあったか?」

川 - -)「…」

無言。
え、ナニコレ怖い

('A`)「クーーさーん」

川 - -)「…帰っちゃうのか?」

('A`)「まだ全然時間あるからいいけど、どうした?」

川 - -)「…今日…親は帰って…こない…」

川 - -)「それに…今日ドロボウが家に入ってきたら…私危ない」

ん?
話しが見えないんだが?
さっきの話聞いて怖くなっちゃったってこと?
話し相手くらいはなれるけど。

171 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:46:22 ID:R8dbB6ec0
川 - -)「だから…その…泊って…」

(;'A`)「エッ」

川 - -)「いや…か?」

(;'A`)「…い、いいョ」

川*゚ -゚)「…!」

川*゚ -゚)「本当か…?」

(;'A`)「…うん」

川*゚ -゚)「うれしい。明日の荷物だけ取ってきてくれたら助かる」

(;'A`)「わ、わかりました…」

川*゚ -゚)「じゃあ…私は家で待ってる」

(;'A`)「…」

172 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:46:53 ID:R8dbB6ec0
クーが背を向けてる…
あれ。
なんかとんとん拍子で話が進んでしまった。
あれ?
これってつまり…親のいない間に…ッテコト!?
あ、家に帰る足が速い。
早歩きになってる。
あっれぇ?
なんか体がオート操縦になってるなぁこれ。
ん-どうしよう取り合えず着替え…寝巻…
明日の服…と?
と…
え、なに。
マジ?
えー?本当に?
あ、家に着いた。
鍵落した!
あーあーあーそんな急がなくても
ん-緊張してる?俺。
あ、本当にオートで体動いてる。
すげー怪しい動きを実家でしてる。
あ、母ちゃんだ。

「ドクオおかえりなさい。何そんなに急いでるの?」

今ごめん、それ一番聞かれたくないんだよね。
自分でもなんで動いてるかわかってない。
あ、動悸すごい。

「あ、あの、今からと、泊りに」

噛み過ぎてて草。

173 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:47:21 ID:R8dbB6ec0
「あー明日ブーン君とクーちゃんでお祭り行くのよね?」

「あ、そそうです」

「何でそんなに挙動不審なのよ…まぁ、いいわ。気を付けてね」

親父が母ちゃん越しになんか…変な動きしてる…
あれ、何してんだろう…

え、親父。そんな怖い顔でこっち来てなに、あっあっ
肩そんな強く掴まなあっあっ

「…ドクオ…いくら隠してもな…父ちゃんには分かるぞ…」

「な…何がデスカ?」

「それはな…俺も男だからだ…
 お前に…これを託す…」

え、なんで?
泊まりに行くだけだよ?違くない?
…今要るの?コレ。
必要?コレ。
っていうかなんで持ってんの?コレ。

174 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:47:45 ID:R8dbB6ec0
「…妊娠はさせるなよ」

あああああああああああくぁwせdrftgyふじこlp
言うないうな!!あああああああああああ
うわあああああああああああ

「ちょっと父さん!余計なこと言ったでしょ!?ドクオの体捻じれちゃってるじゃない!!」

「母さん違うんだ、これは一男として真面目な…」

「…ん?母さん?何故戦闘態勢に入っているんだい…!?」

「母さん!?一応息子が目の前に居るんですけど!?それは流石に死っ」

「ああああドクオおおおおおおおお!!!!」

「あああああああうるせえ!!!!!ドエロ親父ぃ!!!」

うわあああああああああああ
ああああああああ


175 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:48:11 ID:R8dbB6ec0
('A`)「ツカレタ」

バーカバーカ
エロ親父ー
まっさかねぇ?www
え、今から泊りに行くだけですけど?w
未だかつて二人っきりの女の子の家だけどぜーんぜん
そんなことないですけど?www
あるわけないじゃーんそんなことねぇ?www
ないじゃんねぇ?www

さてと、クーの家に着いた。
もう疲れてるけどいいや、ちょっと喋って寝よう。
うん、それがいいよ。

ピンポーン

ないない。
ありえない。
幼馴染と?そんなことないから本当に。
あーあ俺も拗らせすぎてるなーほんとに
お、足音聞こえるし、気づいたかな。
うーんなんか緊張してきたな。
さ、俺が泊りに だ け 来ましたよー

カチャ…

川*- -)「…待ってた」

…ないよな?

176 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:50:39 ID:R8dbB6ec0
〜〜〜同日:鈍感だった俺〜〜〜


とりあえずキモイくらい冷静になった俺。
さっきまでミセリちゃんと三人で居たけど、今は二人っきり。
…うん!
何もないな!

('A`)「あ…風呂入るの忘れた…」

川 ゚ -゚)「そんなに急いで来たのか?通りで早いと思った」

('A`)「なんか…急いじゃった…」

川 ^ -^)「ふふ、なんだそれ」

クーのやつ…こんな顔もするんだな。
少し意外だ。
この歳になっても初めて気づくこともあるんだなぁと。

川 ゚ -゚)「ならお風呂入ったらどうだ?今日一日疲れただろう
     ミセリちゃんもいたことだしな」

('A`)「いいのー?なんか申し訳ないな」

川 ゚ -゚)「いいさ、当分親は帰ってこない。それに、呼んだのは私だし…お湯、浸かるか?」

('A`)「なら、お言葉に甘えて。シャワーだけでいいよ」

川 ゚ -゚)「バスタオルは右の棚の二列目だ、好きに使ってくれ」

('A`)「はぁーい、ありがと」

177 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:50:59 ID:R8dbB6ec0
洗面所…あぁダメだ。
できる限り最速で、余計なものを見ない様に!だ!
いいかドクオ、今俺は俺に言っている。
無暗に手を出して嫌われたりでもしてみろ!
そんなことがあった日には、自作絞首台を2秒で作成してそれでお前は終わりだ!
分かったなドクオ!マジで!ごめんなさい!!



(-A-)(あー生き返る)

(-A-)(風呂というのはこの世で最高なもんだと思う、温めのシャワーに当たってるだけで幸せだ)

(-A-)(今日は…というか最近はゴタゴタが多すぎるよ)

(-A-)(平和が一番だ…何事においても…)

(-A-)(一番心配な俺の情欲は音沙汰なし、クーにもその様子はなし)

(-A-)(…ちょっとだけガッカリしてみる…)

(-A-)(…ブーンにも連絡しなきゃ)

「ドクオ?」

(;'A`)「わ!びっくりした!」

「制服、洗濯するか?」

('A`)「あー…」

「明日帰ってくる頃には乾いてると思う。どっちでもいいよ」

(-A-)「あいがとーーー」

「ゆっくり浴びればいいさ、洗濯しておくよ
 ドライヤーも置いておく」

(-A-)「あーーー」

(-A-)(…なんか良いな。こういうの)

178 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:51:30 ID:R8dbB6ec0
そうして何事もなく、風呂に入った俺。
まるで自分の家かのように使ってしまった。
朝入ったとはいえ、夏だ。
俺は家に帰ったらすぐに入りたい派。
でも、今日はなんだかんだ長引いちゃったから、余計気持ちよさ倍増だ。
髪乾かしてさっと出よう。


('A`)「おまたせ」

川 ゚ -゚)「うん、おかえり」

クーはリビングのソファーの上で体育座りしていた。
うん、やっぱダメかも、俺。

川 ゚ -゚)「私もお風呂行ってくる、まぁ暇つぶしててくれ。」

('A`)「ブーンに明日の事言っておくよー」

ありがとう。
洗面台からクーは答えた。
はぁ…何でここに居るんだろ、俺。
眠さもちょっとある。
全身脱力しながらも、携帯をいじる。
すると、ブーンから連絡が来ていた。

179 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:51:56 ID:R8dbB6ec0
『二人共この前はごめんお』

『明日祭りだお?全部僕の奢りでいいから一緒に行ってほしいお』

どんだけ責任感じてるんだって感じの文章だ。
思わずニヤけちゃったじゃん。
まー全部奢りにはさせないさ。
ただお互いに、全員ごめんって言えばいいだけの話。

『元気してたかー?明日いつものところで18時。その後ショボン兄妹を学校に迎えに行くぞ』

『奢らなくていいから明日はちゃんと来てくれーーーーー』

っと、こんなもんかな。
問題ないんだよ、一度や二度の喧嘩なんて。
大事なのは、その後だと思う。
ごめんって言えばいいだけさ。
各々思うことはあるかもしれないけど…それでもいいんだ。
なんてったって俺らは思春期だから!
あーあ、早く三人で遊びてーなー…
……


180 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:52:20 ID:R8dbB6ec0
「ドクオ?」

(-A-)「ん…」

川 ゚ -゚)「そんなところで寝てたら風邪引いてしまうぞ?」

('A`)「あ、あぁ…寝落ちてたのか…」

川 ゚ -゚)「眠るなら私の部屋に行こう」

('A`)「え…うん」

川 ゚ -゚)「明日は皆で祭りだからな、ちゃんと眠っとかないとまた疲れてしまうぞ?」

('A`)「…」

今なんて言った?
クーの部屋?
キャミソールと短パンだけの格好に目が行ってて全然言葉が…
寝惚けた頭がグルグル回ってる。
え、部屋?
…いいんすか?

(*'A`)(ここが…女子の部屋…)

質素だけど、匂いとかが全然違う。
なんかこの家の匂い慣れたかなって思ったけど、それよりもっと濃かった。
クーはいつも通りといった感じでベッドに腰かけている。
あぁ、俺、今まで生きてきて良かった。
相手、幼馴染だけど。

川 ゚ -゚)「ブーンに連絡ありがとう。来てくれるといいのだけど…」

('A`)「あぁ、いいよ。普通に来るだろ多分」

川 ゚ -゚)「そうだといいのだがな…ま、いいさ」

川 ゚ -゚)「寝落ちてたくらいだ、眠いんだろう?ほら、もう布団入ってしまえ」

181 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:52:47 ID:R8dbB6ec0

うん、これ夢だ。
間違いない。
だってほら、ベッド一つしかないヨ。
そこに入れって手ポンポンしてるし。
夢です。これは。
とっても質のいい夢です。
あぁでもありがとうございます。
なんかとっても幸せな気持ちなんですよ今俺は。

川 ゚ -゚)「ほら…こっち」

(;'A`)「わっ!」

手を引っ張られ、クーと一緒に布団に倒れ込んでしまった。
あぁ、これは不味い。
夢だと思おうと思ったのに、手強く握られちゃってる。
握手のような形なのに、かつてない程早く脈が暴れてる。
手アツい。風呂上がりだからかな。俺の手汗大丈夫かな。
さっきまで何も感じなかった情欲さんがまたフツフツと音を立ててるよ。
あー早く収まれ心、落ち着いて…

…クーさん、何?その顔。

川 ^ -^)「…ふふ」

俺の顔、今どうなってるかな。
さっき歯磨いたし、こんな近くに顔あっても大丈夫…だよね?

川 ^ -^)「やっと捕まえた」

182 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:53:11 ID:R8dbB6ec0
クーさん?どういう…
いきなり立ち上がってどうし…
あっ今部屋暗くするの?
寝る?
寝るなr
あっあっクーちょっとそんな…

…ヤバい。心臓痛い…

「…わかる?」

「な…何が?」

吐息が耳に当たって擽ったい。

「私の…心臓の音」

「…」

「…ふふ、そっちの方が早いね」

「こんな私にも…ドキドキしてくれてる?」

「…うん…」

胸から胸へ伝わってくる鼓動。

「…嫌じゃない?」

183 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:53:31 ID:R8dbB6ec0
「うん…」

「重くない?」

気づいた時にはなってた恋人繋ぎ。

「…私はね…ずーっと前からこうしたかった」

「…なんで?」

「この気持ちは…ブーンに相談してた時もあったよ」

「…気づかなかった」

「…だろうね、ずっとアピールしてたんだけどな」

「…ごめん」

「いいの」

甘い言葉の応酬で脳が震える。

「この後…どうしたい?」

「多分…このまま目を閉じたらよく眠れると思うよ?」

「…」

「でも…望んでくれるなら…いいよ…」

184 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/18(火) 00:54:11 ID:R8dbB6ec0
相手が自分のどこに、ナニを押し付けてるか分かる。

「前に撫でてくれたこの手…おっきいの好き…」

「ッ…」

これ以上は動かないつもりだった。

相手が動かない限り。

でも、体は少しずつお互いを求めていたらしい。

「ふふ、男の子だね…?」

淡い陰影の裏で感じる濃い感触。

二人の晩夏は、果てしなかった。



___________________

185 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:37:41 ID:j2dxepV.0
6days


今日は夏休み初日。
僕は惰眠を貪った。
起きることも今は億劫だったから。
大きく欠伸をした。
僕はどのくらい眠ったんだろう。
閉め切ったカーテンから漏れる橙色。
それでも眩しいくらいの光。
それは、僕が寝すぎたからだろうか。
寝惚けた目を擦ってとりあえず上体を起こす。
眠りすぎたせいで、全身に血液が流れる感覚がした。

…今日は祭りに行く日。
しばらく会えてない二人が恋しかった。
とは言っても、2.3日だけだけど。
学校でも一緒に居るからか、そういう感覚は抜けない。
時間が経つにつれ、二人の偉大さを感じた。

ドクオとクー、そして、ショボンとその妹。
久々に会えることに嬉しさを感じているのと同時に…
気まずさもあった。
最後に会話したのが…というか、僕が全面的に悪いのだが…

あーなんて謝ろう。
どうしたら許してくれるかな。
多分っていうか絶対怒ってるよなぁ…
だから引き合いに出した全奢り。
でもなぁ、ちゃんと傷つけちゃったよなぁ…
あー…本当に申し訳ないことをした。

…携帯の連絡帰ってきてるかな?
恐る恐るグループを見てみた。

186 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:38:23 ID:j2dxepV.0
『元気してたかー?明日いつものところで18時。その後ショボン兄妹を学校に迎えに行くぞ』

『奢らなくていいから明日はちゃんと来てくれーーーーー』

『 絶 対 に 来 い 』

そうだ、昨日風呂に入ってから連絡待たないで眠ってしまったんだ。
やらかしたーと思いつつ、優しい二人に感謝した。
今日はちゃんと謝らないと。
とりあえず、行く旨を返答した。

現在時刻は16時半。
もう少し眠ってたら完全に遅刻してるところだった。
危ない危ない。

とりあえず、床に投げ捨ててある紙、もとい宿題を机に並べた。
昨日からずっと眠ってたんだ、体が気持ち悪い。
風呂を溜めてる間、キッチンにある菓子パンを頬張る。
テレビを付けてボヤっと眺めていた。
今日は今年一暑いらしい。
それを見ながら、コップに水道水を注いだ。

もう外から子供の声が聞こえる。
祭りは始まっているらしい。
仄かに香る焼きそばの匂いが、菓子パンを食べる手を早める。
こんな感じで気持ちが上がると、次第に眠気も無くなってくるのも必然だった。

一袋の菓子パンを胃にいれたところで、風呂が溜まったようだ。
さ、早めに入らないとまた遅れちゃう。
楽しいことを予感しつつ、僕は準備を早めた。

187 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:38:56 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同日:残煙の俺〜〜〜


俺は目を開けたくなかった。
二度寝したいから、と言われたらそうなんだろう。
だが、その答えはバツだ。
何故なら、片腕が痺れていて、その上に…髪の感触があるから。
うん、触ったことある感触してる。
それに…なんか服の感覚が全然ない。
その代わりにその…全体的に凄く…柔い…

…いやいやいや、ねぇ?
そんなことないよーさすがに。
全身から伝わる情報はね?
そうだと思うよ?

だが聞いてくれ、俺が目を開けない限りはそれがどうかもわからないだろ?
シュレディンガーの猫ってやつだよ。
開けてみないと分からないってあれ。
それに、今俺の隣で可愛い寝息を立ててる相手も誰だか分からない。
俺が目を開けない限りはどっちかなんてわからないんだよ。
だからな、俺はこのまま自分の息の根を止めようと思うんだ。

188 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:39:16 ID:j2dxepV.0
そうすれば永遠にこのまま真っ暗な視界で、正解なんて分からない!!
よし!死のう!今すぐに!
いやぁ、ここまで生きてきて良かったなぁ。
ブーンとは仲直りできなかったけど、まぁあとはどうにかなるでしょ!
そうと決まれば

「…んう…」

ッッッ!!

…起きちゃった…?

「…すぅ…」

…セーフ!セーフです!
わたくしドクオはセーフを勝ち取っています!
何とかして目を開かないという偉業を成し遂げたのです!!
よし!まだ俺には猶予があるってことだ!
さて!舌を嚙み千切る準備は-------

「…どーっくん?」

…汗

「おーきーて?」

…なんて甘ったるくてウィスパーな…声してんのこの人

「…確かめるね?」

あっなに、ちょっとあんまり動かないであっ
息近いちょっまあっあっ

189 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:39:39 ID:j2dxepV.0
(;;'A`)「あああああ!!ごめんなさい起きてます起きてますううう!!」

ベッドから転げ落ちた。
それと同時に目を開けてしまった。

川*- -)「…おーはーよ」

布団で身を隠す寝起きでポヤポヤしてるクーの姿。
シュレディンガー作戦失敗と共に、全て思い出してしまった。
俺は、今日という日を一生涯忘れることはないだろう。
そんでもって、ごめんなさい。

……


お互いの服を着なおして、態勢を整える。
俺達は夜が明けてちょっとしても起きてた。
…うん、あれです、絵本とか読んでたんだよ。
クーの気恥ずかしさがマックスで感じる。
俺もそうだし。
全身が痛かった。
まともに目を合わせたのは、起きた時だけ。
うーんどうしたらいいかな…
とりあえず準備でもしようかな…ゆっくり…

なんだかんだ時間は16時半。
携帯をパッと見る

190 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:40:15 ID:j2dxepV.0
『今日はちゃんと行くお』

ブーンからの連絡を確認して安堵した。

そのまま風呂を借りた。
全部脱衣し終えて鏡を見たら…
oh…見事な桜吹雪が描かれていた。
だから痛かったんだ…エグイ色してんな。

脳みそが勝手に妄想をするのを阻止してシャワーを浴びる。
あーなんか罪悪感が…
早く洗っちゃおう。
シャンプー…
良い匂いするなぁ…女の子って感じだ。
…ちょっと嗅ぎなれたな…

(-A-)(…もしかしてすごいことをしちゃったのでは…?)

(-A-)(なんか本当に夢みたいな…)

(-A-)(…?なんか音がする)

ガチャン

(-A-)(…ん?)

「痒いところはないですかー?」

「わああ!なんで入っ」

「ウルサイ…時短だ、時短…それに」

「この状態はもうお互いに見ただろう?
 …気にするな」

「状態ってなんかそんな!」

「はいはい、綺麗に洗ってやるからなー」

「…!!!!!」

「……」

「…」

「」

191 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:40:48 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同日:いつもの待ち合わせ場所にて〜〜〜



(;^ω^)「…」

僕はそわそわしている…
それも、猛烈に。
酷いことを言ってしまった。
それから謝れもせず数日経った。
あぁこれほど気まずいことはないだろう。
さっきからウロチョロしないと気が済まない。
暑さからくる汗は多分今はない。
ただただ、冷や汗ばかりだった。
心臓が痛むくらいドクドク音を立ててる。

そんなことをし続け数分。
二人の姿が見えた。
今日一番の鼓動が全身に脈を打った。
寒気すらする。
まずはごめんなさいを----

…あれ?
なんかあの二人…雰囲気違うような…

('A`)「ちゃんと来てるじゃん」

川 - -)「…ソウダネ」

('A`)「…」

川 - -)「…」

え、なにこの空気。
前もあった気がするけど…

192 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:41:11 ID:j2dxepV.0
ってそうじゃない!!

(;^ω^)「この前は二人共ごめんお!!あんな酷いこと言っちゃって!」

ほぼ90°直角に曲げた腰。
一発くらい殴られる覚悟はしてきた。
そのくらいの事をしたと思ってるから。
だから目を閉じてその態勢をキープした。

(;^ω^)「…?」

…でも反応はなかった。
恐る恐る二人の顔を見る。

うん、なんかやっぱりおかしいよこの二人。
なんか空気感全然違うもん。
おかしい。

(;^ω^)「な、なんか二人共空気おかしくないかお…?」

(;'A`)「え!いつも通りだよ!通常運転!これ!通常だから!!
    ちょっと会わなかっただけで忘れたか?普通だよ!な!クー!」

川*- -)「ふ…ふふ、そうだね」

(;^ω^)「やっぱりおかしいお!特にクーが!僕のせいで喧嘩しちゃったお!?それなら全力土下座を!!」

(;'A`)「そうじゃない!それは絶対に違うんだけど、あのーなんかこのー」

川*- -)「ふふ…慌てたところも…可愛いね?」

(;'A`)「今それやめて!?こしょばいってば!心が!」

(;^ω^)「絶対何か違うお!距離感近すぎっ…」

193 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:41:40 ID:j2dxepV.0


…あ

( ^ω^)「ドクオ、ちょっと来いお」

('A`)「…はい」

( ^ω^)「正直に答えるお…いいかお?」

('A`)「はい…」

( ^ω^)「…した?」

(;'A`)「…黙秘権を行使します」

(;^ω^)「ちょっ!!おまっ!!お前!!」

(;'A`)「あああああ違うんです違うんです!!これには深い訳がありましてそうでしてあああああ」

川*- -)「ふふふ…前も言ったじゃないか…女は猛獣なんだよ…?」

(;^ω^)「前々から聞いてたけど!!そのアカラサマなの辞めてくれお!!どう接していいか分からんお!!」

(;'A`)「俺だってわからねーーよぉーー頭揺らさないでぇーー」

川*- -)「さ、さっきので…いいじゃないか…もうバレてるんだし…ふふ」

おまええええええええええ

ちがうんだってぇぇぇぇーーー

……


194 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:42:02 ID:j2dxepV.0
こうして、いつも通り?ではないけど。
でも、この雰囲気になっていたことは凄い嬉しかった。
少し申し訳なかった。
ショボン兄妹を迎えに行く道中、ずっとこんな感じだった。
仲良くなれてよかったのかな…いろんな意味で、ね。

クーの恋心は前から聞いていた。
それこそ、虐められていた時から最近まで。
鈍感なドクオも多分、嫌いではないと思ってた。
だけど、こんなに雰囲気違うなんて…
なんかチクチクする。
でもいいんです、クーの願いが叶って嬉しいと思ったから。
ドクオもまんざらでもない顔してるし。

( ^ω^)「ドクオ、クーのことは任せたお」

(;'A`)「何度も言ったけど、それすげープレッシャーだからやめてって!」

川*- -)「…嫌だったか?」

(;'A`)「これも何度も言ったけど、そうじゃないって!」

川*- -)「私のこと…守ってね…?ふふ…」

( ^ω^)「お似合いだおー」

195 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:42:22 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「…何がだい?」

ミセ*゚ー゚)リ「あっ!おにーさんとおねーさん!」

そこでショボン兄妹と合流。
妹ちゃんの方は何やらドクオとクーを知ってるようだった。

( ^ω^)「初めまして妹ちゃん。僕はブーン。名前は何て言うんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリ!きのうおにーさんとおねーさんとあそんでもらったの!」

(´・ω・`)「そうだったんだね、お兄さんとお姉さんの正体は二人だったか」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!おもしろいの!ねー!おねーさん!」

川*゚ -゚)「おぉ、ミセリちゃん。我が天使よ」

('A`)「ショボンお疲れ、ありがとな」

(´・ω・`)「ううん、こちらこそだよ。祭りって結構近くだったんだね」

( ^ω^)「そうだおー大きくはないけど、小さくもない感じだお」

(´・ω・`)「ブーン君、夏バテは大丈夫かい?最終日学校に来てなかったから心配だったんだ」

( ^ω^)「…大丈夫だお!今は元気になってるおー」

196 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:42:44 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「…僕は明日行くよ」

( ^ω^)「分かってるお」

ミセ*゚ー゚)リ「おにーちゃんなにはなしてるの?」

(´・ω・`)「今日楽しもうって話さ、二人は?」

ミセ*゚ー゚)リ「おもしろいよ!みてみて!」

川*- -)「…む、娘ができたら…きっと…あんな感じなんだろうね?」

(;'A`)「俺らまだ学生だし…まだ気が早いんじゃ…?」

川*- -)「"まだ"…ね?楽しみだねーどっくん?」

(;^ω^)「おっ…」

(;^ω^)(隠す気も何もねーお…)

(´・ω・`)(何か進展あったな)

ミセ*^ー^)リ「おねーさんたちおもしろーい!」

こんな話をしつつ、僕は祭りの中に足を踏み入れていた。
赤提灯と屋台の匂い。
子供たちの声、汗ばむ肌。
五感で夏という概念を感じている。
この雰囲気は僕から現実感を消失させる。

197 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:43:12 ID:j2dxepV.0
ミセリちゃんは甘いのものが好きみたいで、綿飴と林檎飴を両手に持ってる。
口回りがべたべたになったのか、ショボンに拭いてもらっている。
彼が本当は魔法使いだと知ったら、ミセリちゃんはどんな反応をするんだろう。

クーとドクオは、あんなにあたふたしていたのにしっかり恋人つなぎをして見慣れた景色を堪能してる。
きっと関係性が変わると、いつもの景色も違って見えるんだろう。
二人の照れ笑いを後ろから見てて、ちょっとだけ僕も照れくさい。

一方僕は…
そんな四人を見てるだけ。
しばらく後ろからみんなを見てた…だけだった。

得も言われぬ感情に胸がひどく痛んだ。
人の幸せを見ているだけで、何か悪意のようなものを感じた。
多分、心という臓器があるなら、全体に擦り傷に覆われてただろう痛み。
僕は、こんなに人の幸せを祝えない人間だっけ。
分からなくなった。
だから僕は、気づかれずに四人と離れた。

198 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:43:36 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同日別所:未熟なジレンマ〜〜〜



大きくはないが、小さくもない。
そんな規模だ。
気ままに今は、歩きたい。
この痛みが治まるまでは。

先生は言ってた。
願いの形は違うと。
それと同じように、幸せの形も違い、その姿も変わっていくのだろう。

僕にとっての幸せは、幼馴染と、家族と一緒に居ることだった。
けど…もうあの二人の幸せの中にいて、僕が入る余裕はなさそうだった。
あぁ、なんか。
言葉にできないなぁ。
心も、息も…苦しいなぁ…
嬉しいはずなのになぁ…
人の願いが叶うことって、こんなに辛いものなのかなぁ…

この目に映る景色が次第にボヤけていった。
僕は泣いているのだ。
この人混み、黄色い声が聞こえる場所で。
祭りってこんなに悲しいものだっけ。
なんだっけ、幸せって。

199 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:44:01 ID:j2dxepV.0
そんなことを一人で考え、歩いていた。
祭りを感じない場所へ逃げたかったんだ。
今、僕がここにいたらダメだと思った。
このドス黒い感情に支配されてしまいそうだったから。
あの時と一緒だった。
図書室でクーとドクオに向けたあの感情だ。

ダメなんだ、こんなこと思ってしまったら。
だって、二人は幸せなんだから。
そう思えば思うほどに、この心は孤独を望んだ。
誰か近くにいたら、僕はきっと耐え切れなくなってしまうだろうから。

幸せは他者から見たらなんと惨いことか。
僕は自分を不幸せだと思ってるんだ。
実際に、トーチャンは家を出ていった。
カーチャンは倒れて搬送されてしまった。

僕とは真反対な二人を見て、絶望した。
嬉しいことのはずなのに。
僕も望んでいたことなのに。
あの幸せな姿が、に自分の首を絞めることになるとはだれが思っただろう。
もう、今は何も考えたくない。
離れよう。
あの祭囃子からは。

200 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:44:22 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻:俺〜〜〜



川*- -)「どーっくん、あーん」

('A`)「自分で食べられるよ」

川*- -)「…いや?」

('A`)「いやじゃないけど…しょうがないなぁ」

クーの手から俺の口にお好み焼きが渡された。
ソースが濃くって、紅ショウガが良いアクセントを際立たせる。
あーうめーなぁ。
なんか、甘さもあるなぁ。
俺、マジでこの夏を忘れられないな。
隣でニコニコ笑うクー。
こんな笑顔を見るのは初めてだった。
なんか…全部がキラキラして見える。
この空間全て俺のためにあるんじゃないかと思うくらいに。
世界に俺とクーだけの世界が、確かにここにある。

お好み焼きを食べ終わって、ごみを捨てに行く。
ちょっと離れたところで、ショボン兄妹を見かけた。
二人は金魚すくいをしてるみたいだった。
傍から見たら、なんて微笑ましい光景だろうと、誰もがそう見るだろう。

でも、その実二人には深いと一言で片づけるには軽すぎる程の傷がある。
きっとミセリちゃんは全てを理解してない。
だが、ショボンは全部を背負っているんだ。
両親の死。
ミセリちゃんの言葉からの推測だけど、たぶん目の前で見てる筈なんだ。
そんなことを感じ取らせない空気。
あの空間もまた、二人だけの幸せなんだろう。

201 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:44:45 ID:j2dxepV.0
…そういえば…ブーンは?

('A`)「ブーンどっか行っちゃった?」

川*- -)「わかんない…ずっとどっくん見てたから」

(;'A`)「もう少し景色とか周りとか見なよ」


川*- -)「うん…でも、私が今見てるものが、今の私の全部だからいいの…」

(*'A`)「クー…」

あぁなんて可愛いんだ。
何でもっと早く気付かなかったんだ。
鈍感な俺のバカ。
この手の繋ぎ方も、もう板についてきた。

でも…ブーンがいないのはちょっと物足りない気もする。

『ブーンはぐれちゃったか?今どの辺にいる?』

一つ連絡を送る。
それを見たクーが俺の携帯を覗き込む。

川 ゚ -゚)「…浮気は嫌だぞ」

(;'A`)「ブーンに連絡しただけだよ」

久々に見たなこの顔。

202 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:45:16 ID:j2dxepV.0
遠くでミセリちゃんが俺らを呼んでた。
どうやら上手く金魚をとれたみたいだ。
一匹だけだったけど、ミセリちゃんは嬉しそうにその中を見てる。

ミセ*゚ー゚)リ「わぁ…」

キラキラ光るその目を見たらわかる。
この幼女は全てが純粋で、全てが新鮮なんだ。
俺らもこんな時もあったよなぁ。
一緒にこうして祭り行った時も。
初めて見る海で大はしゃぎした時も。
公園まで行って雪ダルマを三人で作った時も。
きっと同じ目をしてた。

色んな思い出が溢れてきて、俺は嬉しかった。
今年も一緒に三人で居られるんだから。
まぁ、一人は今現在近くにいないが。

('A`)「…あれ、お兄ちゃんは?」

ミセ*゚ー゚)リ「ぶーんをさがしてくるって!」

('A`)「ブーンって呼んでるのか…まぁ、とりあえず俺たちについておいで」

川*゚ -゚)「天使確保したぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「ふたりとてーつなぐ!」

真ん中にミセリちゃん。
その両隣に俺らで挟んで手を繋いだ。
まるでその姿は、若い家族のような。
幸せのプールに浸っているような。
そんな感覚だった。

203 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:45:36 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻:願う二人〜〜〜


(  ω )「…」

どうしようもなくなった心。
それを落ち着かせる為に向かった廃墟。
あの日、願いが叶う場所に繋がった4階で一人黄昏ていた。
祭りが学校から近いのもあって、比較的行きやすい場所だった。
不思議と頭痛もなく、耳鳴りもなく、変な声も聞こえなかった。
僕を一人にしてほしいという気持ちを汲んでくれたのかもしれない。

そよ風が僕を撫でる。
その時、声が後ろから聞こえた。

(´・ω・`)「…皆心配してたよ」

ショボンだった。
何でこの場所に来たのか。
何で知っていたのか。
この際どうでもよかった。
彼は魔法使いなんだから。
ある程度落ち着いた心で、言葉を吐き出す。

204 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:46:06 ID:j2dxepV.0
( ^ω^)「…いいんだお、これで」

(´・ω・`)「…やっぱり、あの二人かい?」

( ^ω^)「そうだけど、そうじゃないんだお。僕はもうクーとドクオを邪魔しちゃいけないんだお」

(´・ω・`)「きっと一緒に居たいと思ってるさ。何があったかは、僕は知らないけど」

( ^ω^)「…いいんだお」

(´・ω・`)「僕は、三人が仲良くしてるところ見てたいんだけどね」

( ^ω^)「幼馴染だからこそ、わかるものもあるってもんだお」

(´・ω・`)「まぁそういうなって、ほら」

ショボンが渡してきたのはコーラだった。
さっき買ってきたのだろうか。
それとも、僕の体が火照っているからだろうか。
この世で一番冷たく感じたコーラだった。
プシュっと音を立てて一口飲む。
夏夜の上に煌々と輝く月。
明日は満月らしい。

( ^ω^)「そういえばミセリちゃんはどうしたんだお?」

(´・ω・`)「二人に預けてきたよ。ミセリが懐いてくれてたおかげさ」

( ^ω^)「おっおっお、純粋だおね」

(´・ω・`)「あぁ…直視できないくらいにはね」

( ^ω^)「ショボンは家族と祭りは行かないのお?」

(´・ω・`)「…出張でね、今は居ないんだ」

( ^ω^)「そうなのかお…残念だおね」

親の出張でこっちに引っ越してきたと考えたら、この時期に転校してきたのは頷ける。
大変なことだと思いつつ、コーラを一口飲む。

205 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:46:26 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「これ飲んだら、戻ろうか」

( ^ω^)「…僕はいいお」

(´・ω・`)「意地張ってないでさ。子供の喧嘩じゃないだろ?」

( ^ω^)「…幸せな奴にはわからないお、僕のことなんて」

(´・ω・`)「…一体君に何があったっていうのさ」

( ^ω^)「…トーチャンが出て行って、カーチャンが倒れたんだお。だから…」

そこから先は声が出なかった。
事実を口にすること。
目を逸らしていたことが、増々現実味を帯びてしまうから。

(´-ω-`)「…いいじゃないか…別に。探せば会えるんだろう?」

(#^ω^)「…おっ」

その言葉に反応して、立ち上がりショボンのいる方向を見た。
…だが、彼の姿はなかった。
その代わり、優しく温い風が僕を掠めた。

怒りの矛先を失った僕は、これ以上ないほど拳を握りしめた。

206 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:46:51 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻:フィナーレの所作〜〜〜



('A`)「もう21時か…そろそろ祭りも終わりかな」

ミセ*゚ー゚)リ「もっとふたりといるー!」

川*゚ -゚)「ミセリちゃんが良ければ永久に一緒に居てやろうじゃないか」

('A`)「クー、一応人の妹だ」

ミセ*゚ー゚)リ「ふたりともぱぱとままみたい!」

川*- -)「そ、それって…ふうふ…ふふふ」

('A`)「…」

クーは今頭がお花畑で顔が真っ赤になってる。
だけど、俺は別のことを考えてた。
ミセリちゃんの両親はもういないんだ。
だから、この子が将来大人になったら何と思うんだろう。
そんなことを考えていた。
正直気まずいことをこの子は言っている。

川*- -)「ど、どっくん…ふ、ふうふだよ…ふふ」

今のクーにとっては全然そんなことないみたいだった。
なんだよ、心配損かよ。

207 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:47:28 ID:j2dxepV.0
(´・ω・`)「ごめん、二人とも」

('A`)「おー…ブーンは居なかったか」

(´-ω-`)「…うん、はぐれちゃったみたいだね」

('A`)「迷子センターにでもいんじゃないかな」

(´・ω・`)「そうだったら面白いね」

ミセ*゚ー゚)リ「あ!おにーちゃん!みて!あたらしいぱぱとまま!」

そう指を俺たちに刺す。
子供のいうことは100%悪気がないだけにタチが悪い。
変な汗をかく。

川*- -)「す…すまない…ショボン…ふうふ…だよ…」

あぁ、クーはもう全部を忘れてるわ。
全然気にもしてない。
自分の世界入っちゃった。

(´・ω・`)「…ミセリはクーちゃんとドクオ君は好きかい?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!だいすき!ぶーんも!」

(´・ω・`)「そうならいいんだ、嬉しいよ。ありがとう二人とも」

ミセ*゚ー゚)リ「おねーさん!」

川*゚ -゚)「我が天使よ、おいで」

208 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:47:50 ID:j2dxepV.0
('A`)「…いいよ全然、ミセリちゃんいい子だし。それにクーにも懐いてるみたいだし」

(´・ω・`)「ドクオ君にも懐いてるみたいだよ。昨日ミセリが帰ってきてから沢山話してくれたからね」

('A`)「まぁ特に何もしてないよ、アイス買ってあげたくらいかな」

(´・ω・`)「…そんな君たちに一つだけお願いがあるんだ」

('A`)「できることなら」

(´・ω・`)「…僕、明日から少し家を空けるんだ。だから、その間ミセリを見ててほしいんだけど…どうかな
       無茶を言ってるのは承知で言っているよ」

('A`)「…なら条件が一つある…いいか?」

(´・ω・`)「僕に答えられることならなんでも」

('A`)「前に言ってた…叶えたい願い?だっけか。それって何なんだ?多分そのためにどこか行くんだろ?」

(´-ω-`)「…そうだね」

(´-ω-`)「…ミセリの願いを叶えに行くんだ。兄として。家族として」

('A`)「濁すの上手いよなぁ、まぁいいんだけどさ」

('A`)「…それは、叶うもんなのか?」

(´・ω・`)「叶えてみせるさ。じゃないと、僕が生きている意味がないからね」

209 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:48:12 ID:j2dxepV.0
それは力強い目だった。
俺も言葉を濁しているから人のこと言えないんだけどな。
誰がどう考えても無理なことを、ショボンは面と向かって叶えるというのだ。
マッドサイエンティストでもない限り無理だ。
そんなことを容易く言ってのける。

だから俺はその言葉を信じて、ミセリちゃんを預かることを承諾した。
宛はない。
でもまぁ、うちの家族なら何とかなるだろうと高を括ってる。

一方のクーは、ミセリちゃんとイチャついている。
あれって百合っていうんだろうか。

('A`)「…ブーン、お前どこいるんだ?」

幸せと狂気と不安が俺の周りで渦巻いた瞬間だった。

突然強烈な光と、爆発が俺を襲った。

俺は心臓が飛び出そうな反応をした。
焦った顔で俺は三人の方を見る。
すると、空を見上げていた。
周りの人も同じく同じ方角を見ていた。

そこには、空に満開の火花が花弁を大きく広げていた。

パチパチと音を立てて、優雅に散るその爆弾は、俺の五感の全て盗んでいた。
いつの間にか隣にいたクーが手を握ってきた。
それを返すように俺も同じ力で握る。
クーと火薬の匂いが混じって俺を包む。
この胸の暑さは、気温のせいではなかった。

210 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:48:34 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻廃墟にて:爆弾〜〜〜


飲み干したコーラの缶をただジッと見ていた。
喪失感、悲壮感、無力感。
ズタボロになった心の代わりに、空に咲いた大華。

あの時と同じ顔をして、散っては咲き続ける爆弾に見惚れていた。
もし、トーチャンが出ていかなければ。
もし、カーチャンが倒れてなければ。
もし、クーとドクオがあんな風にならなければ。
僕はもっと素直にこの景色を見れてたのだろうか。

大きな音がこの街を包む度に、僕の心が形を崩していくのが分かる。
昔、僕の泣きっ面を壊してくれたあの華は。
今は僕の心を壊してくれている。

あぁ、なんて助かるんだろう。
未練がなければ、楽に命を張れる。
今、僕を繋ぎとめているモノは何一つない。
この願いに迷いがなくなった瞬間だった。
これで、いいんだ。
もう、戻れない。

僕はあの華が一つ残らず散るのを見守った後、足早に家路についた。

211 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:51:44 ID:j2dxepV.0
〜〜〜同時刻祭りにて:得るモノ、失うモノ〜〜〜



最後の火花が打ちあがり、周りの人たちは拍手を空に送る。
それと同時に真っ暗になる視界。
それは、この祭りの終わりを告げていた。

人込みに少し流されて、ショボンとは少し離れてしまった。
クーの手は暖かい。
それに、遠くでミセリちゃんは大はしゃぎでショボンに抱き着いている。
ショボン、お前はきっとその笑顔を守るために願うんだろ?
叶えるんだろ?
俺には到底考えられないことだよ。

俺は、変に理性的に考えてしまう。
だから、幽霊とか、そういうオカルトチックのに興味があるんだ。
無理なものは無理、と割り切ってしまうのがクセ。

そんな俺から見たショボンの背中は、今まで見たどの人間より背中が大きく見えた。
きっと俺は嫉妬してるんだ。
そんなかっこいい顔してるくせに。
あんな重たい過去を背負っているのに。
何でそんな夢物語を言えるんだ?
不思議で仕方なかった。
何か宛があるのか?
教えてほしかった。

212 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:52:06 ID:j2dxepV.0
川*- -)「…どうした?考え事か?」

('A`)「あぁ、うん」

('A`)「明日からショボンが長い期間家を空けるらしいんだ…理由は知らない
    だからミセリちゃんを預かることになったんだけど…どうしようかなって思ってな」

川*- -)「…それなら、ウチに置くさ。女の子だし…それに…」

('A`)「それに?」

川*- -)「…どっくんは今日泊ってくれる…だろ?」

('A`)「え…母さんと父さんは…?」

川*- -)「…いないよ。伝えておくさ」

(;'A`)「…」

なんてことだ。
一夜で終わるはずの泊りが、まさかの二日目に移行しようとしていた。
そんなことがあるのか?
あるんだよな?
今そうだもんな?

213 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:52:36 ID:j2dxepV.0
川*- -)「…ダメだった?」

(;'A`)「い、いいなら…」

川*- -)「…来てほしい」

そう言ってクーは俺に顔を寄せてきた。
少し背伸びした彼女を支えるように、自然に腰に手をまわした。
俺は、初めてクーの睫毛の長さを知った。

川*- -)「…さ、帰ろう?」

(*'A`)「う、うん」

そして、二人を探して近づく。
俺たちは帰る旨を伝えて挨拶をした。
どうやらショボン達は明日もここに来るらしい。
だから、明日も同じ時間に集合しよう、という流れになった。

(´・ω・`)「ブーン君によろしく伝えておいてほしい。明日ははぐれないといいね」

('A`)「本当だよー心配だし、結局見つからなかったし」

ミセ*゚ー゚)リ「おねーさん!あしたからいっしょだって!」

川*゚ -゚)「うむ、ずっと一緒だ。私の家だけどいいか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!ねこのようふくきる!おにーさんもいっしょなんだよね?」

('A`)「あー…そうだよ。ショボンの代わりにならないだろうけど」

214 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:53:41 ID:j2dxepV.0

(´・ω・`)「いいんだ、迷惑かけてごめん」

川 ゚ -゚)「迷惑だと思ってないさ。むしろそっちは大丈夫なのか?」

(´・ω・`)「うん、早めに帰ってくるようにするよ」

川*゚ -゚)「だからおねーさんといっしょだぞぉー」

そういってクーはミセリちゃんの頭を撫でる。
ニコニコしながら一心にその手のひらを頭でを味わうミセリちゃん。
ここのカップリングでいいんじゃないかな、もう。

(´・ω・`)「それじゃあ僕らは帰るよ。遅くまでありがとう。また明日」

('A`)「またなー」

川*゚ -゚)「また明日だよミセリちゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!ばいばーい!」

元気よく手を振ってくれるミセリちゃんに応えて俺らも手を振る。
姿が段々と小さくなっても、あの兄弟の姿は幸せそのものだった。

二人と距離が離れていくにつれて、僕らの距離は近づいていた。
もう手を繋ぐのはお決まりになっていた。
そして、もう慣れて来ている俺がいる。

川*- -)「今日…すごい楽しかった」

('A`)「あぁ、ブーン途中からいなかったのだけ悔しいな」

川 - -)「…うん、あとで連絡入れとくね」

('A`)「俺からも連絡しておくよ。明日、回れなかったところ行こうか」

215 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:54:04 ID:j2dxepV.0
『ぶーーーーーん祭り終わちゃったよーーー』

『明日同じ時間に同じ場所で待ち合わせなー!次ははぐれるなよーー』

『 絶 対 来 い 』

俺らの帰り道はそんな話題で持ち切りだった。
なんか、クーこうなってから時間が経つのが早く感じる。
少しだけ話したと思っていたら、もうクーの家に着いていた。
そのくらい、俺は夢中になってたんだと思う。

('A`)「ただいまーおかえりー」

川*- -)「おかえり…ただいま」

二日目だからか、どことなく慣れてしまった自分がいる。
いいことなのか悪いことなのか。
鼻が慣れたのか、少し家の匂いを感じなくなったところだった。

川*- -)「お風呂入ろ?」

(;'A`)「い、一緒に?」

川*- -)「朝入ったし…いいでしょ?」

(;'A`)「…恥ずかしいんですけどそれは…」

「洗ってあげるから…ほら、手上げて?」

「ちょ、ちょっと!?いきなり過ぎない!?」

「いーから…ふふ、まだ痕ついてるね」

「そ、そりゃぁ…」

「…見て?私も」

「あれぇ!?俺もしたっけ!?」

「…男の子だなぁ、って思ったよ」

「〜〜〜〜!?」

「……」

「」

216 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:54:32 ID:j2dxepV.0
('A`)「…」

川*-〜-)「ん〜」

これはもう半同棲なのでは?
とクーの髪を乾かしながら思う。
サラサラでツヤツヤ。
俺より髪乾くの早いんじゃないんかな。
乾かすの下手だと思うけどいいんかな。
あー色々考えてしまう。
なんとなく、どっと疲れが来た。

川*- -)「ありがと」

('A`)「乾いてなかったらすまん」

('A`)「あー…なんか祭り後って疲れるよな」

川*- -)「…もう寝る?」

('A`)「明日も一応あるからなーそうするかー」

川*- -)「うん…お布団、行こ」

…あ
一緒の布団で寝るんだった。

217 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:54:55 ID:j2dxepV.0
(;'A`)「…ちょっと心の準備ほしい」

川*- -)「昨日一緒に寝たのに?」

(;'A`)「そーだけど…なんか緊張しちゃって…」

川*- -)「いいよ…遠慮しないで」

川*- -)「…おいで?」

布団に腰かけて手を広げるクー。
俺は、カチコチの体を無理やり動かして近づく。

川*- -)「よくできました」

そのまま俺に抱き着くクー。
腰の辺りに、熱と感触が俺に伝わってくる。
全部柔い…懐かしさすら感じる。

川*- -)「…電気消して?」

そのまま暗闇の中、布団に寝転がる。
横になるだけで、今日の疲れが一気に噴き出してきた。
心地いい匂いと、ベッドの柔らかさに飲み込まれそうになっていた。

218 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/19(水) 22:55:29 ID:j2dxepV.0
「…今日楽しかったね」

「うん…めっちゃ疲れた気がする…」

「…そう?」

「私は…もっと一緒に居たいな」

「うん…」

体温が上がってきたのが分かる。

「ねぇ…」

「ッ…」

考えたことが全てどうでも良くなる熱。

悩みなんて、この空間には必要ない。

理性も、意味も、ここでは無力だった。

ただ、ひたすらに目に見えるものを受け入れるだけだった。

二人は熱く、蕩けた夜を貪った。



___________________

219名無しさん:2025/02/21(金) 22:27:57 ID:DJb2A7IA0
おつおつ

220 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:22:30 ID:vdbcco3Q0
7days


時間は夕方。
僕はカーチャンの見舞いに来ていた。
もう永遠に戻ってこれないかもしれないから。
"向こうの世界"に行く前の、最後の挨拶だ。
死ななければいいだけの話なのだが。
それでも、カーチャンと二度と会えなくなるのは怖かった。
死ぬことも、あの扉の先に行くことも、全て。

だけど、僕がこんな気持ちになっているのは、間違いなくあの時からだ。
トーチャンが出て行って、カーチャンが倒れた。
あの日から、僕の歯車は狂い、正常に機能していなかった。
だから、あの事象全て無くしてしまえば、きっとこんな気持ちもなかった。
昨日の祭りも、一人ではなれることはなかった。
それがなくなってしまえば、僕は元通りになるだろう?
だから、僕は行く。
願いを叶えに。

221 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:22:59 ID:vdbcco3Q0
 J('ー`)し「…ブーン?」

( ^ω^)「おっ、どうしたお?」

 J('ー`)し「最近何か思い詰めてない?」

( ^ω^)「おっおっおっ、僕に限ってそんなことないお」

 J('ー`)し「…なら、なんで目が腫れてるのよ」

( ^ω^)「…夜更かしのし過ぎだお」

 J('ー`)し「なら…いいのだけど、宿題もちゃんとやらないとダメよ?」

 J('ー`)し「でも、ブーンが強がっているのは分かるわ。何かあったんでしょう?」

カーチャンは全て見通しているかのように言う。
バレているのだ、僕がもう壊れていることに。

( ^ω^)「…カーチャン、心配し過ぎだお」

 J('ー`)し「本当に何もないのね?」

( ^ω^)「…何もないお」

222 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:23:31 ID:vdbcco3Q0
僕は嘘を吐いた。
きっと言っても意味がないから。
これから死ぬかもしれないけど、願いを叶えに行く!
って、誰が信じるというのだろう。
だから、ショボンは誰にも言わないのだ。
きっと彼も僕と同じくらい、無理な願いを持ってるだろうから。

( ^ω^)「カーチャン、僕はそろそろ行くお」

 J('ー`)し「…分かったわ、無理はしないでね。絶対に」

( ^ω^)「分かったお」

 J('ー`)し「…」

そういって、僕は病室を出た。
家に帰って準備をしなければいけないからだ。
ドクオとクーからの連絡は見たが、返事は返してない。
それすらも邪魔になると思ったから。
それに、もうあの二人には僕は必要ないのだ。
だから、これでいい。
そう思った。

もう帰って来れないかもしれない。
もう見ることはできないかもしれないこの見慣れた景色を堪能した。
黄昏るには、寂しすぎる景色だった。

223 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:24:17 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同日別所:私〜〜〜


私はずっと不安だった。
見えない何かに刺されるような感覚。
こんな気持ちになったのは、ブーンから拒絶されたように避けられてからだ。
あの時から、私はずっと変だ。
私が私じゃないように思えた。

私には大事な柱が二つある。
ドクオと、ブーンだ。
それ以外はない。
その片方が容易く崩れ去ったのだ。
あの時、私はただ頼ってほしかっただけなのに。
それすら何も言ってはくれなかった。
恐怖だった、離れられたことが。
こんなにも人との関係は千切れてしまうのだと。

だから、ドクオには避けられたくなかった。
傾いた天秤の方に、全てを捧げてしまっている。
こんな私をメンヘラというのだろうか。
分からない。
でも幸せなことは確かだった。

目を覚ませば、そこには愛しの人がいる。
スースーと寝息を立てて、私にしがみついている。
その光景だけでも、私は嬉しかった。
それだけでいいと思った。
それ以外は全て怖かったから。

224 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:24:37 ID:vdbcco3Q0
私はこのままでいいのだろうか。
ドクオに負担と思われてないだろうか。
心の奥底で何を考えられているかなんてわからない。
あの時ブーンは、何で私を見てくれなかったのだろう。
私のことが嫌いになったんだろうか。
それとも、もう愛想が尽かれたのだろうか。
もう何も失いくなかった。
今の私には、ドクオしかいないんだから。

(-A-)「ん-…」

あぁ愛おしい人よ。
貴方だけは離れないでほしい。
もう私は、これ以上耐えられそうにないんだ。
どんな関係になろうとも…私のことを見ててほしい。

('A`)「…」

川*- -)「…起きた?」

('A`)「…おはよ」

川*- -)「おーはーよ」

溢れる感情が体を動かした。
そのまま軽い口づけをする。
ドクオは固まってしまってるけど、それでいい。
そのまま純粋でいてほしい。
そう思った。

225 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:25:00 ID:vdbcco3Q0
今日は半分無理に家に呼んだから、ドクオは着る服を家に取りに行くみたいだった。
明日からミセリちゃんが家に来る。
両親は旅行中なので、帰ってくるのは当分先だ。
汚さないように、気づかれないように家を使えば大丈夫。
…ドクオも一緒に居られる。
ほとんど同居だった。
私は、この日々を忘れられないだろう。
色々と行き過ぎた妄想に駆られる時もあるけど…

('A`)「んじゃーまたあとでな」

川*- -)「うん…またね」

ドクオは家を出た。
久しぶりの一人の時間。
私は無性に寂しくなった。
こんなに心が人を求めることは今までなかったから。
やっぱり私はメンヘラなんだろうか。

私の顔、赤くなってる。
どんなことがあろうと、やっぱり私はドクオが好きだ。
それは昔から。
ブーンに相談してたくらいだから。
だから、今の現状は凄く幸せなんだ。

ブーンという穴を埋めるように、私は彼に全てを求めてしまった。
二日も連続して。
淫乱だと思われてないかだけが心配だ…

もう準備する時間も少し過ぎてる。
今日も祭りに行く。
早めに準備しちゃわないと…

226 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:25:23 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:俺〜〜〜


俺はクーの家を出た。
寝起きのキスにびっくりしてボーっとしてたら時間が過ぎてた。
DTすぎワロエナイ。
いや、もう違うのか…
あーーあーあーーあー
一旦忘れよう。
ここ二日間くらい夢見てる気がする。
ありえなかったことが起こりすぎてるんだよな。
こんな幸せでいいのか俺。

あ、なんかクーの匂いが…
…風呂も一緒に入ったんだしそらするか…
今日の祭り、大丈夫かな…抑えるのも必要なんだぞ?俺よ。

…なんか家に帰ってくるの久しぶりだな。

227 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:25:48 ID:vdbcco3Q0
('A`)「ただいまー」

「あら、おかえりなさい」

('A`)「あれ、どっか行くの?母ちゃん」

「うん、ちょっとね」

('A`)「俺もすぐ行くよ、今日も祭りでな」

「そう…あら?」

('A`)「どうしたの?」

「…ドクオも大人になったのね」

(;'A`)「な、なんで?」

「ふふ、お父さんみたい。やっぱり親子ね」

あたふたするのもおかしいか。
分かるよな、そりゃ。
あーなんか恥ずかしい。
死ぬほど。

「気を付けてね」

('A`)「あーい」

228 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:26:08 ID:vdbcco3Q0
そのまま俺と入れ替わりで出ていく母ちゃん。
俺はせっせと準備をする。
…あぁ、そうだ。
明日からミセリちゃんがクーの家に預かることになる。
だからその準備も兼ねてしないと。

ちょっとした荷物になっちゃったけど、少ないよりはいいだろう。
足早に家を出る。
ブーンのことも心配だった。
来てくれてたらいいんだが…
昨日連絡してから、ブーンの返答はなかった。
…何かあるなら言ってくれればいいのに。
そんなに気にすることでもないだろうに。

('A`)「…まぁ、何とかなるか」

集合時間。
いつもの場所。
そこにブーンの姿はなかった。

229 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:26:40 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜別所:花も折らず実も取らず〜〜〜


学校まで着いた俺たちは、ショボンと合流した。
ブーンが居ないことに少し悲しい顔をしたミセリちゃんを、クーが頭を撫でて慰めている。
ブーンめ、次会ったらちゃんとミセリちゃんに何かしてあげなきゃだめだぞ?

昨日と同じ祭りだ。
大して変わり映えはしないが、それでも楽しいことは間違いない。
俺たち四人は昨日できなかったことをやるつもりだ。

ミセリちゃんはクーに付きっきりだ。
きっと本当の姉と思ってるんだろう。
クーはお面を買ってあげている。
それを付けて喜んでいるミセリちゃん。
俺が百合好きじゃなくて心底良かったと思った。
あの二人は危険だ。

一方俺たち男組は、他愛もない話をしている。
片手にデカいウィンナーを持つ俺と、焼きそばを頬張るショボン。
こう見ると、普通の同い年だと思う。
重い過去があるということを忘れてしまいそうなくらいだ。

230 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:27:00 ID:vdbcco3Q0
ショボンは前の学校でも成績は良かったようで、得意科目は理数系なのだそう。
俺はどちらかと言えば文系なので、話の相性は悪くない。
お互いのあるあるを話し、苦手なところは教え合う。
みたいな話をしている。
祭りまで来て勉強の話か…とは思うが、案外知らないことを話してもらうのは面白い。
それに、都会の話も少ししてもらった。
俺も将来はそっちに住む予定だからだ。
この夏が終われば、そういうことにも目を向けていかないといけくなるからね。
早めに知ってて損はない。

アレコレ聞いてる間に、女子の二人組が帰ってきた。
ミセリちゃんは林檎飴を買ってもらっている。
本当に甘い物が好きなんだなぁと思った。
クーは狐のお面を頭に被り、かき氷を食べてる。
この蒸し暑い夜も、まだ本気じゃないっていうのに驚きだ。
噎せ返るような焼き鳥の煙にそそられてお腹が減る。
手に持つウィンナーも、あと少しというとこか。
こういう時の食欲は、自分でもびっくりする。

立ち上がり、焼き鳥を買いに行く旨を三人に伝える。
ショボンもお腹が減ってるようで、一緒に付いてくる。

231 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:27:26 ID:vdbcco3Q0
('A`)「ショボンって結構食べるよなぁ」

(´・ω・`)「まぁ折角のお祭りだからね、お腹減る匂いで食べちゃうんだ」

('A`)「そうだなぁ…俺も割と食べてる気がするわ」

(´・ω・`)「ドクオ君、ここは僕が出すよ。さっき焼きそば奢ってもらっちゃったしね」

('A`)「そんくらいいいのにーまぁ、お言葉に甘えましょうかね」

仲良くなるのが早い。
いや、ショボンが溶け込むのが早いのか。
もう違和感なく一緒に居られている。

どことなく安心するような雰囲気なのは、兄という立場があるからだと思う。
俺たちは幼馴染だから、上下関係も何もないからな。
こういうところは少し羨ましくなる。
全員一人っ子の三人が集まっても友達にしかならないわな。
あーあ、早くブーン来ないかなぁ。

そんなこんなを繰り返しているうちに、時間が過ぎ去って行った。

232 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:27:49 ID:vdbcco3Q0
俺とショボンで射的をして、何も取れなかったり。
ミセリちゃんが水風船を頑張って抄ってるところだったり。
クーが輪投げに本気になりすぎてたり。
俺が引いたくじ引きで、人形が当たったからミセリちゃんにあげたり。
その人形をクーに見せて小さい頭を撫でてたり。
屋台のおっちゃんにお酒を勧められてたショボンだったり。
色んな事をしてた。

そして、時間も良い感じになってきた。
ミセリちゃんはこのまま、俺らの方に来るらしい。
もう眠たそうにしてるミセリちゃん。
まぁ、二日も祭りに居たら疲れちゃうよな。
俺も結構疲れている。
…クーがあんまり寝かせてもらえなかったからね。

233 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:28:13 ID:vdbcco3Q0
('A`)「みんなのゴミ捨ててきちゃうわ、貰っちゃうよ」

(´・ω・`)「ありがとう。ほら、ミセリも」

ミセ*゚ー゚)リ「おねがいしまーす!」

川*゚ -゚)「元気だねミセリちゃん、偉い偉い」

ミセ*゚ー゚)リ「へへへ」

('A`)「…なんか…女の子同士って良いのかもしれない」

(´・ω・`)「ドクオ君ってそういう趣味だったの?」

(;'A`)「そういうわけじゃないです!!捨ててきます!!」

失言を誤魔化すように足早にゴミ箱を探す。
辺りを見渡してみると、中々見つからなかった。
だけど、その代わりに違うモノを見つけた。

234 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:28:33 ID:vdbcco3Q0
('A`)「…あれ、ブーンじゃね?」

のような後ろ姿だった。
それが本人かはわからない。
だけど、本人にそっくりだった。
遠くからでも、同じ時間を何百も一緒に居たから、多分ブーンだ。

気になった。
そのあたりにあるゴミ箱に投げ捨てて追いかけた。
祭りに居たのに、連絡も寄こさず一人でいるのはおかしいけど…
それでも、本人なら。

ソイツは祭りのない方角に歩いて行った。
でもなぜ?
分からないけど、確かめずにはいられなかった。

次の角を左。
人混みを押しのけて素早く行った。
そこにはさっき見た後ろ姿があった。
そしてソイツは、どんどん人気のない道に歩いていく。
確信した。
アイツはブーンだ。

235 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:29:02 ID:vdbcco3Q0
追いかけてくうちに、祭りの騒音からは遠い場所に来た。
そこは開けていて、暗い場所だった。

('A`)「…ブーン?」

( ^ω^)「…ドクオかお」

('A`)「なぁーんで連絡も無視してたんだよ。心配だったんだからな」

( ^ω^)「…そうかお」

ブーンはこっちを向いてはくれない。
まるで図書室の時のようだった。
たが、それよりも黒く、淀み、渦巻いている気がした。

('A`)「…なんでここに来たのに連絡もなかったんだ?」

( ^ω^)「…気づかなかったんだお。ごめんお」

('A`)「そんなわけないだろ。いつもはすぐに返事来るくせに。ミセリちゃん、ちょっと悲しそうだったぞ?」

( ^ω^)「…ごめんお」

何故かその態度にムカついた自分が居た。
いつもならこんなことでは何も感じないのに。

236 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:29:33 ID:vdbcco3Q0
('A`)「なぁ、言いたいことあるなら言えって。そろそろその感じ辞めてもらっていいか?」

( ^ω^)「いつも通りだお」

('A`)「昨日もいきなりいなくなって、今日居たと思ったらそれかよ。何がそんなに不満なんだ」

( ^ω^)「別に何もないお。はぐれちゃっただけだお」

(#'A`)「何かあるからそんな態度なんだろ!」

俺は声を張り上げた。
比較的静かな場所だったから俺の声が反響する。

(#'A`)「いい加減にしてくれ!いったい何なんだ前から!俺たちが何かしたかよ!」

(#'A`)「今までそんなことなかったろうが!俺達を避けるのも意味わかんねーっつーの!」

(#'A`)「言いたい事ありゃ言えば良いだろ!何をそんなに」

( ^ω^)「うるせーお。勝手に追いかけてきて何怒ってんだお。嫌ならクーの元に戻ればいいだろうお」

(#'A`)「お前っっ…」

殴りかかろうと拳を振りかざした。
だけど、後ろから止められた。

237 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:29:59 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「な、何なんだ!いったい!」

俺の拳を止めたのはクーだった。
そのまま羽交い締めにされる俺。
それでも、ブーンに対しての苛立ちは収まらなかった。

川;゚ -゚)「中々帰ってこないと思ったら…!声を上げて殴り合いか?」

川;゚ -゚)「ブーン!なんでそこにいるんだ!」

( ^ω^)「クーかお、そこの連れて帰れお。迷惑なんだお」

(#'A`)「迷惑被ってるのは俺の方だろうがっ!」

( ^ω^)「だから、お前は勝手に着いてきて好き勝手言ってるだけだお
       僕は何も望んじゃいないお」

(#'A`)「てめええええええ!!」

川;゚ -゚)「ドクオ、落ち着け!!ブーンも煽るな!!」

流石にクーの力には叶わなかった。
だが、一発カマしてやらないと気が済まない。
何なんだ、アイツは。

( ^ω^)「…幸せな奴はおめでたいことだお」

( ^ω^)「もう…僕に関わるなお」

238 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:30:29 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「おい!ブーン!どうしたっていうんだ!
     私達が何かお前にしたというのか!?」

( ^ω^)「してないお。僕は…」

スルっとクーの腕から抜ける俺の腕。
そして、握りしてめていた拳をそのままブーンの顔に叩きつけた。
時間の流れが遅くなる。

そのまま倒れこむブーン。
クーはびっくりしてるのか、声は聞こえない。
少しの間、全宇宙の動きは止めていた。

( A )「…なぁ、俺達の関係はそんなものか?そんなに頼り甲斐がないか?
    俺は…俺は、どうしたらいいんだよ?」

初めての事だった。
勿論喧嘩は三人で何度もした。
それでも、こんなに険悪な空気になったことはなかった。
俺らは本当の意味で、初めての喧嘩をしているのだ。

( A )「確かによぉ…俺とクーに進展はあったさ。でもそれを望ん出たのはお前でもあるだろ」

( A )「それが気に食わないなら言えば良い。他の不満だって同じだろ」

( A )「なにがお前を」

(  ω )「じゃあどうしろっていうんだお!!!」

239 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:30:58 ID:vdbcco3Q0
俺の言葉を遮ったのは、今まで聞いたことのないブーンの怒号。
今日初めて見せた感情は、余りにも冷たく、溢れるほどの怒りだった。

(  ω )「家からトーチャンが出て行って、カーチャンは倒れて入院した!!
       僕が知らない間に二人は幸せになってた!!!」

(  ω )「あぁ望んだお!二人の幸せを!!だからもう二人の中には入れないと思ったんだお!!
       僕にはもうどこにも居る場所なんてねーんだお!!
       家族とこの三人しか僕にはなかったから!!」

(  ω )「こんなこと言っても幸せに浸ってる奴が僕のことなんてわかるはずがねーだろお!!!
       家に帰れば家族がいる!!手を繋げる恋人がいる!!お前らなんかに!!!
       だから僕は二人の幸せを見れない!!見たくない!!憎いとすら思うお!!」

( ;ω;)「僕は…僕はもう無理なんだお!!二人の傍に居るのも!!家に帰ることすらも!!
       だってもう誰も居ない!!前までの日常は僕にはどこにもないんだお!!」

( ;ω;)「もう…元には戻らないんだお…何もかも…全部…」

( ;ω;)「どうしようもないんだお…だから…」

( ;ω;)「だから…放っておいてくれお…」

足早にどこかに行くブーン。
打ち上る火花が、その足音すら俺の耳に入らせないようにしていた。
大華がうるさく音を立てる度に、俺の拳の痛みを再認識させてきた。

真っ黒な空に鳴り響く爆弾は、俺たちの関係を破壊して綺麗に咲いていた。

240 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:31:34 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:後の祭り〜〜〜


確かに、ある。
変だったところ。
なんかいつもと違ったこと。
ここ一週間くらいずっとそうだった。
焦りながら、俺は昨日送った三人の連絡を見た。

ブーンからの返事は、なかった。

何かが繋がった。
それは嫌なことだらけだった。
俺は一心不乱に走った。
夏蝉が俺を焦らせるように鳴いている。

嘘だと思うことだらけだ。
ブーンがおかしく見えた時からずっとだ。
俺はそれに気づいていながら、アイツの事なんて何も知らなかったんだ。
それを無視して、俺は一人で幸せに浸ってたんだ。
舞い上がってた分、落とされた時の衝撃は異常だった。
もっとアイツを見てやってられてたら。
もっと話を聞いてやれてたら。
そんなことばかり考えている。
最低な野郎だ俺は。
アイツの幼馴染だろ、俺は。
ずっと一緒に居るって思ってた仲だろ。俺は。
何してるんだよ。
一秒でも早くブーンを探さないといけない。

241 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:32:07 ID:vdbcco3Q0
全ての辻褄が合う。
図書室でクーの問答を有耶無耶にしたのも、俺の前で明確に拒絶したのも。
多分あの時より前からだ、ブーンの両親に何かあったのは。
昨日祭りからいなくなったのも頷ける。
あれははぐれたんじゃない。
自分でいなくなったんだ。
だから、俺らに言わなかったんだ。
いや、言えなかったんだろう。
だから抱えてたんだ。
全部を一人で。

(;'A`)「少しくらい、頼れよ!俺らのことくらい!馬鹿野郎!」

手当たり次第、心当たりがあるところを走る。
何度も三人で遊んだ公園。
近くのコンビニ。
いつもの待ち合わせ場所。

とっくに息は上がってる。
それでも、一目会って謝りたかった。
アイツの心境なんて何も知らなかったんだ。
何かあれば言ってくれるだろうって軽んじてた。
そんな浅はかな考えで、俺に何も言ってくれないことに対して不信になってた。
馬鹿は俺だ。
何も知らないクセに、全部知った気でいた。

祭りが終わり、昨日以上に人で溢れていた。
到底見つかりそうもないけど、どこかにいる。
携帯を見る。
依然として、ブーンからの連絡はなかった。

242 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:32:46 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:盲目〜〜〜


私はしばらく動けずにいた。
ブーンの口からきいたものが信じられなかったからだ。
そんなことをいきなり言われたところで、飲み込むには大きすぎる。
目の前の幸せにうつつを抜かして、それ以外はどうでもいいと見栄を張った。
ブーンが祭りから姿を消したことすら、私は目を背けていた。
その罰なのだろう。
この感情は。

どうして言ってくれなかった?
どうして察してやれなかった?
どうして見限った?
ごちゃ混ぜになった感情が、私の全てを支配した。
どうしようもない自分への憤り。
もう戻らない過去。

私は愚か者だ。
たった一度の拒絶を、永遠だと思ってしまった。
この絆を軽く見ていたのは私だ。

取り戻せるとは思っていない。
だが、今ならまだ間に合ってくれる。
何度も炎症を繰り返した私達の関係は、まだ治せる。
今しかない。

243 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:33:06 ID:vdbcco3Q0
そう思った時には私はドクオの後を追いかけるように走った。
体力なら自信はある。
一直線に学校に向かおう。
とにかく、今は走れ。
直会が満ちるこの街を。
飽きる程見たこの景色を。
走れ。

川;゚ -゚)「ブーンすまない…どこにいるんだ…!お前は!」

川;゚ -゚)「一度でいい、許さなくていい…だから…」

学校に着くなり、そこに人影を見た。
相手はショボンだった。
もうミセリちゃんと待っていたみたいだった

(´・ω・`)「あれ…遅かったね、ドクオ君は?」

川;゚ -゚)「今はそれどこじゃない!ブーン見なかったか?」

(´・ω・`)「…見てないね。どうしたんだい?」

ミセ*゚ー゚)リ「おねーさんあせだく!」

川;゚ -゚)「…ブーンに嫌な予感がするんだ。何か知ってないか?」

244 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:33:31 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「…言いずらい質問だね」

川;゚ -゚)「…知っているんだな。話してくれ」

(´・ω・`)「…それはできない」

川;゚ -゚)「なぜだ、そんなに大事なことか」

(´・ω・`)「あくまでも、僕の口からはって意味だ」

(´・ω・`)「でもこれだけは言える。生きているさ」

川;゚ -゚)「…なぜそう断言できる」

(´・ω・`)「…彼には願い…命に代えても叶えたい願いがあるから…かな」

(´・ω・`)「そんなに焦ってるってことは…何かあったんだろう?教えてくれないかな」

川;゚ -゚)「…ただの喧嘩さ…だが、初めての…な」

(´-ω-`)「そっか…」

245 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:34:00 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「多分、居るところは分かるよ」

川;゚ -゚)「なら!教えてくれ!頼む!!」

(´・ω・`)「…だけど、クーちゃんには知らなきゃいけないことが沢山ある
       きっと残酷なことだと思うけど…聞けるかい?」

川;゚ -゚)「なんだっていい!!今は時間がない!」

ミセ;゚ー゚)リ「お、おねーさん?」

(´-ω-`)「…ミセリごめん。少し眠っててくれ」

そういうと、ショボンはミセリちゃんの目を撫でる。
するとミセリちゃんはぐったりと眠っていた。

川;゚ -゚)「な、なんだ…今のは…」

(´・ω・`)「きっとドクオ君も同じだろう?彼も迎えに行こう…その前に…
       ミセリをクーちゃんの家に送るけど、いいかな?」

そして、周りの影が蠢くようにショボンの足元に集まる。
まるでCGを現実で見ているかのようだった。
その影は私にも纏わりついて、全身に広がった

246 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:34:22 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「どうなって---」

(´・ω・`)「少しだけ、眩暈がするよ。ごめんね」

影に顔まで包まれた私。
ショボンの声が聞こえると、脳が揺れた。

倒れかけた瞬間、視界が広がる。
そこは私の家だった。

呆然とした。
これではまるで魔法じゃないか。
そう感じるを得なかった。
そんな私を気にも留めずに、ミセリちゃんを私の家のソファーに寝かせた。

(´・ω・`)「…これで大丈夫」

川;゚ -゚)「いったい…何がどうなってるんだ…?」

247 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:34:44 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「…言ったろう?クーちゃん、ドクオ君には知らなきゃいけないことがあるんだよ」

(´・ω・`)「何も知らない状態でブーン君を見つけたところで、きっと意味はないだろうね」

川#゚ -゚)「…私達の何が分かる。ショボン」

私はその一言にムカついた。
それはほとんど八つ当たりに近かった。

(´・ω・`)「わかるさ。そのくらい残酷で、夢物語で、雲を掴むような話なのさ」

(´・ω・`)「じゃあ、ドクオ君のところまで行こうか。また眩暈がするよ」

そして、さっきのように影が私を包む。
ぐわんっと揺れる。
私は、ショボンの言葉を信じきれないでいた。

248 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:35:10 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:心なんて誰にも〜〜〜


(;'A`)「くっそ、どこ行ったんだ…ブーン!」

俺は手当たり次第に走り回ったが、ブーンの姿は一向に見つからなかった。
電柱にもたれかかって、座り込んでしまった。
いくら田舎とはいえ、広大な土地がある。
一人の人間を探すことは不可能を極めた。
俺はただ、謝りたかっただけなのに。
そんな簡単なことが俺にはできないでいた。
情けない。
余りにも不甲斐ない。

諦めかけた時、周囲の影が気味悪く蠢く。
疲れすぎて頭イカれちゃったのか?
俺はもう自分がおかしくなったんだ。
そう思い、その影を見ていた。
段々と形を成すその黒色は、見覚えのある姿になった。

249 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:35:31 ID:vdbcco3Q0
川;゚ -゚)「!!!ドクオ!!」

それはクーだった。
そして。

(´・ω・`)「よし、これで揃ったね」

ショボンだった。

(;'A`)「な、なんだよ。幻覚でも見てんのか?」

川;゚ -゚)「バカ!私だ!」

そう言って俺に抱き着くクー
もう何度も確かめたその感触は本人そのものだった。

(;'A`)「で、でもどうなってるんだ」

(´・ω・`)「まぁそれは後で話すよ。さ、話の舞台は整ったけど…準備は大丈夫かい?クーちゃん」

(;'A`)「話の流れが見えないんだが」

(´・ω・`)「平たく言えば、ブーン君の話さ。多分今のまま会っても意味がないと思ったからね」

250 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:35:59 ID:vdbcco3Q0
川 ゚ -゚)「さっさと話せ、もう私は時間をかけたくないんだ」

(´・ω・`)「そうだね…じゃあ、話そう」

(´・ω・`)「簡単に言おう、ブーン君は今、自分の願いを叶える為に命を張るつもりだ」

('A`)「…おい、冗談言ってる場合じゃねーんだが?」

(´・ω・`)「まぁ、信じるも信じないも好きにしてもらって構わない。到底信じるには難しい話だからね」

(´・ω・`)「二人は"願いが必ず一つ叶う場所"の話は知ってるかな?」

('A`)「…あの学校裏の廃墟のことじゃないのか?」

川 ゚ -゚)「確か…恋人と一緒に願うと叶うっていう…なんの信憑性もない話だ」

(´・ω・`)「そうだ。そして、僕はその願いを叶える為にその場所に行ってたんだ
       それが、学校に広がった黒い幽霊の正体だね」

('A`)「つまり…俺達が見たかった幽霊っていうのは」

(´・ω・`)「僕だ。まぁ、そんなつもりは全くなかったんだけどね
       ちなみに、あの不良達もイレギュラーだった」

251 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:36:27 ID:vdbcco3Q0
(´・ω・`)「もう一ついうと、あの時の風も僕が原因さ。今二人には見てもらったけど…
       早い話、魔法ってやつだよ」

(´・ω・`)「僕が願いを叶えに行ったあと、どうしてもミセリが心配だったから一度途中でこっちに戻ってきた
       そして、君たち三人に会ったんだ
       ミセリを二人に預けるのは、僕もそっちに今夜行くからだね。もう戻って来れるか分からないから…」

(´・ω・`)「そして、願いを叶える代償として、命を落とす場合もある
       それはブーン君に限らず、僕も含めて。だから戻って来れる保証は…ないんだ」

(;'A`)「その…"向こう"っていうのは…」

(´・ω・`)「分かりやすくいえば異世界さ。動物も環境も種族も違う
       正直なところ、どうやったら願いが叶うかは僕も分かってない
       だけど、魔法を使えるようになった。向こうで傷つけられた傷もある
       だから夢でも何でもないんだ。僕目線はね」

川;゚ -゚)「…ブーンは帰って…来るのか?その異世界から…」

252 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:36:49 ID:vdbcco3Q0
(´-ω-`)「それは…わからない」

(´・ω・`)「向こうの世界で死んだら、多分そのまま帰ってこないだろうね
       死んだままだと思うよ」

(;'A`)「そんな…ゲームみたいな…」

(´-ω-`)「信じるかどうかは、二人次第だ…」

(´-ω-`)「僕からは以上だ。あとは二人の好きにしたらいい
      僕はミセリに最後の挨拶行くから。ごめんね」

川;゚ -゚)「おい!ブーンの場所は!ショボンはどうなるんだ!」

(´・ω・`)「願いが叶う場所だと思う。後は、言わなくても分かるね?」

(´-ω-`)「じゃあ、また会えることを祈っているよ」

そう言って影に吞まれたショボン。
残された俺たちは、話されたことを信じる他なかった。
実際に移動して来た影の正体も、何も分かっちゃいない。
全部が夢のように感じる。
さっきブーンと喧嘩したことも、俺たちの歯車が狂い始めたのも、何もかも全部。
それでも、信じるしかなかった。
どちらともなく、同じ方向に向かって走り出した。
学校裏に佇むあの廃墟に。

253 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:37:12 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:向日葵に雪〜〜〜


僕はドクオに殴られた痕をさすりながら、廃墟に向かっていた。
不思議と苛立ちはない。
代わりに中身をくり抜かれて、薄皮しかない心が無駄に暴れていた。
もう臓物もないだろうに、この目から落ちる涙は止まることを知らなかった。

分かっている。
僕が強がったばっかりに、二人に不信感を与えてしまったこと。
見栄を張ったばっかりに、二人が感情的になったこと。
全部僕のせいだ。
だけどこれでよかった。

僕を繋ぎ止めるものはこれで無くなった。
変な情や関係性があるから、願いを叶えるということにブレが生じた。
後は、僕が頑張って願いを叶えるだけ。
例え、道半ばで僕が死のうと。
こっちの世界に戻って来なくなろうと二人は大丈夫だろう。
僕は悪役でいい。
僕は邪魔者でいい。
それを考えるだけで気が楽になった。

254 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:43:36 ID:vdbcco3Q0
その分、失ったものが大きくて、耐え切れなくて、僕は泣いた。
見慣れた景色が、美しく見えて泣いた
思い出の場所が懐かしくて泣いた。
祭りの残り香を嗅いで泣いた。

支えていたものが全て失ったんだ。
当然だ。
むしろ、首を括ってないだけ偉い。
だからどんな事があろうと、僕は僕の願いの為に、一歩一歩足を進める。

そして、ようやっと着いた廃墟。
それはショボンと初めて出会った時と何も変わらない様相で佇んでいた。
ただ、あの頃とは違うことがある。
それは、このひんやりとした空気だった。

風呂上がりにクーラーが効いた部屋に入るかのような感覚。
僕には身に覚えがあった。
それは、初めて"あの場所"に行った時だ。
暗黒な空間に、天まで上ってしまいそうな階段と、厳かに存在する扉。
まるで異世界。
今まさに、その異世界に僕は行こうとしている。

255 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:44:04 ID:vdbcco3Q0
その冷気に導かれるままに、僕は階段に足をかけた。
少しずつ強まる冷気が、僕の肌に刃物を向ける。
だが、それにも無関心に階段を上がる。
それは、僕の心が空っぽだから。
ただ、願いを叶えるという目的のだけに動く機械。
己が目的の為ならば、どんな犠牲だって厭わない。
ドス黒く、ブラックホールのような欲望が僕にはあった。

なんの躊躇いもなく着いた四階。
前回は激しい頭痛や、爆音のノイズがあったが、今回は何もなかった。
すんなりと屋上に向かう階段に向かうことができた。

そして、その屋上への扉は僕を待っていたとばかりに開く。
金属の叫ぶ音。
それがフロア全体に広がっては反響する。
初めて行った時より、冷気は感じなかった。
じゃっかん早くなった鼓動を抑えて、僕は屋上に向かう。

天に上るときは、こんな感覚なんだろうか。
僕自身が幽霊になって、自ら天国に向かう。
そんな感覚を覚えていた。

そんな時、後ろから声が聞こえる。
もう二度と聞くことはないと思っていた声だ。

256 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:44:27 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「ブーン!」

川;゚ -゚)「待て!早まるな!」

(;'A`)「なぁ…少し話さないか…?俺達やり直す必要あると思うんだよ…」

川;゚ -゚)「ブーンの事…何もわかってなかったんだ…だから…こっち来てくれないか?」

二人は信じられないと言った顔だった。
恐らく、この冷気にだろう。
僕は二人を一瞥して屋上に目線を向ける。
そして、その二人の悲鳴が聞こえたのは、僕の想像通りだった。

(;'A`)「あああああ!!!あ、頭がっっ…」

川;゚ -゚)「な、なんだこれはッッ!!!」

僕も最初に味わったあの地獄だ。
周りの事なんて考えられない。
這いつくばって時間をやり過ごすことしかできない。
そんな地獄だ。
僕は最後の階段を踏みしめる。

257 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:44:50 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「ぶ、ブーン!待ってくれ!!お、おれはお前に死なれたくない!」

何を今更。
クーと仲良くやってたじゃないか。
僕なんて必要ないだろ。

川;゚ -゚)「いっかい三人で話しあおう!そうすれば…何か変わるだろう!?」

何も変わらない。
この関係も、家族も。
そして、これからも。

(;'A`)「俺、知らなかったんだよ!!おまえの、か、家族のこと!!だから…いっってええ」

川;゚ -゚)「ッッ!!!私達は!幼馴染だろう!?この世に三人しかいない!!大切な幼馴染だ!!だから」

屋上に着いた僕は、二人を上から見下ろした。
無様にあの痛みの中、よく言葉を発せると思った。
そして、扉が自動で閉まり始める。
嫌な音をたてながら断絶する扉は、三人の関係全てを否定し、拒絶するかのようだった。

最後、もう二人もほぼほぼ見えなくなる程に閉まった扉。
僕はいつも通りの表情で二人に向かって呟いた。

258 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:45:13 ID:vdbcco3Q0
( ;ω;)「サヨナラ、だお」

ガコンと閉まる扉。
僕はもう後戻りはできない。

本当の意味で、僕は孤独になった。
自分が求めていたもの。

その望みが叶ったというのに、僕は声を上げて泣いていた。

声は一切の反響もせず、星一つない暗闇に全て吸い込まれていた。

259 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:45:40 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:伽藍堂〜〜〜


爪で黒板を引っ搔くような音がする。
それは、あの扉が閉まる音だ。
早く行かなきゃ。
アイツのところに行かなきゃ。
じゃないと、もう二度と会えなくなるかもしれない。
そんなの嫌だ。

だけど、この頭痛も、凍える寒さも、耳鳴りも。
何もかも意味が解らなかった。
今夏だぞ?
なんでこんなに寒い。
なんで体が動かない。
あと少しでアイツに触れられるのに。
その距離が余りにも遠い。
遠い星を素手で掴むような。

少しでも話せたら、ケロっと考えを改めてくれる。
なんて浅い。
なんて青い。
なんて楽観的。
もっと考えを改めなきゃいけないのは俺の方だ。

260 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:46:08 ID:vdbcco3Q0
アイツは一人で抱えてた。
ずっと。
何も誰にも言わずに。
俺達なら大丈夫、ってどこかで思ってたんだ。
そんなことなんて一つもないのに。

なぁ、何で扉閉まってるんだ?
止めてくれ。
そこが閉じたらアイツはどこに行くんだ?
明らかに異常なところだろう。
屋上だろ?
なんだよ後ろの白いの。

なんでそこに居るんだ?
ダメだよ、戻ってこい。
そんでもう一回、一緒に祭り行こうぜ?
おい、まだ閉まるな。
今俺がそこに行くから。
待て。
待ってくれって。
まだ、アイツにごめんって言えてないんだよ。
一言も謝れないのに、会えなくなるのか?
嫌だよそんなの
いつ帰ってくるんだよ
分からないんだろ?
なら、ほら、こっちだよ。

261 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:46:32 ID:vdbcco3Q0
「サヨナラ、だお」

…おい、こんな時に冗談じゃない。
ふざけんな、俺はまだお前と居たいだけなんだよ。
三人でまだ一緒に居たいんだよ。
バカ。閉まるなって。
なんで立てないんだ。
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ
なんでだ

262 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:46:54 ID:vdbcco3Q0
…あ、足動く
起き上がれる

(;'A`)「ブーン!!!!」

動くとわかった瞬間、俺は階段を駆け上がった。
閉まる寸前の屋上の扉に思いっきりタックルした。
扉は空いたんだ。

なのに。

さっきまでの寒さはおろか、ブーンの姿も、さっきの景色も。
何もなかった。

あるのは、見慣れた景色。
廃墟からの見た屋上。
蒸し暑い空気。
それだけだった。

263 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:47:20 ID:vdbcco3Q0
(;'A`)「…なぁ、悪い冗談だって言ってくれ」

(;'A`)「これ、何かのモニタリングだろ…?」

(;A;)「ブーン…?どこにいるんだよ?さっきまでここに居たじゃないか…」

(;A;)「…そ、そうだ。下に飛び降りたんだ。それしかないよ」

(;A;)「下に居るさ、ブーンはイタズラ好きだから…」

川 ; -;)「ドクオ…」

ゆっくりクーが屋上に上がってきた。
その顔は救いようがないほど、絶望に染まっていた。
俺たちは共犯だ。
ブーンの気持ちも知らないで、俺たちはアイツを一人っきりにしてしまった。
こういう時、一番に傍に居なきゃいけないはずなのに。

264 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:47:47 ID:vdbcco3Q0
知らなかったでは済まされない。
もう、ブーンはこの世に居ないんだ。
帰ってくるかどうかも分からない。
本当に、永久にアイツの顔を拝めない。
そんなこともありうるんだという。
そんなところに向かわせてしまった俺たちは…
なにで償えばいい?

もし、何年も帰って来なかったら?
このまま、ブーンが居ない世界で生き続けるなら?
この記憶も年を重ねる度薄れてしまったら?
どうなる?
俺は一生アイツに謝れもせず、ずっと生き永らえるのか?

(;A;)「そんなの…あんまりじゃないか…」

川 ; -;)「…」

俺はその場で蹲って泣いた。
ひたすらに、声を上げて。
そんな俺を抱きしめて、涙を流すクー。
お互いに同じ思いの下泣いている。

265 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:48:11 ID:vdbcco3Q0
それは。
懺悔。
後悔。
未練。
そのどれもがグチャグチャになった物だった。
もう遅い。

当り前に居た存在が、塵も残さずこの世から消えた夜。

満月が俺達を嘲るように照らし続けていた。

266 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:48:46 ID:vdbcco3Q0
〜〜〜同刻:願いが叶う場所〜〜〜


ひとしきり泣いた後、僕はこの氷原のような世界を見た。
前に見た時と同じだった。
無限に広がる空の暗闇。
どこからともなく降ってくる花弁雪。
豪勢な装飾が入っている純白の階段。
そして、誰も寄せ付けないであろう、白銀の扉。

僕は無心で階段に足をかける。

( ^ω^)「…すげーお…これ…」

足が触れたところから水紋が浮かび上がる。
だが、沈むことはなく、質感は大理石のような高級感があった。
上るだけでも心が休まる。
そんな気がした。

僕はそんな光景を楽しみながら、階段を上る。
一番上は見えない程に高い。
まだまだ先は長い…

267 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 21:49:29 ID:vdbcco3Q0
(;^ω^)「いくら何でも長すぎだろうお…」

なん十分もかけて上った階段。
もう足も限界のようで震えていた。

そして、目の前に現れるこの…

(;^ω^)「スケールがデカ過ぎるお…」

表現ができない程に高く、厳かで、何者も通さないような扉。
…どうやって入るんだ?
辺りを見渡しても、何もない。
あるのは扉だけ。
…何か入るのに特殊な条件が?

と、おどおどしている中、ほぼ無音でその扉は空いた。
僕が入れるだけのちょっとの隙間。
強い光が僕を縦に切り裂いている。
火に入る夏の虫のように、その光の先に足を進めた。

( ^ω^)「…」

僕は扉の中に入った。
そして白い光に包まれて実感した。

ここから全て始まるのだと。




( ^ω^) 願いが叶うようです




第一章 365/7days 完

268 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/22(土) 22:01:00 ID:vdbcco3Q0
作者です。

第一章ということで、一通り書き切りました。
コメント付けてくれた方、すごい嬉しいです。ありがとうございます。
趣味で妄想を書いていたら、誰かに見せたい欲求が増えてきてしまって衝動的に投稿しました。
自分はブーン系に少し疎いので、読みづらいかもしれないですが、改善点等々あれば教えていただけると幸いです。
どうせ書いているなら自分も読んでて楽しいものにしたいので、良ければ是非お願いします。

第二章、只今書いています。
小出しにちょこちょこ投稿するか、一気に投稿するか迷っています。
拙い語彙かもしれませんが、完走する気でいます。
それでは。

269名無しさん:2025/02/23(日) 00:23:07 ID:8Bz1l0sk0
いいぞー

270名無しさん:2025/02/23(日) 22:14:50 ID:uMroyrPI0
まだ読めてないけど投下ペースすごい!
追いつくぞー

271名無しさん:2025/02/24(月) 20:58:57 ID:MhqGGWoU0
追いついたぜ
内心や関係性の描写が丁寧でみんな好きになれた。続きが待ちどおしい
ところであの名作が基礎?になっているという了解でいいのかな

272 ◆vcE6GeyAY2:2025/02/27(木) 09:17:35 ID:5g8rHrZI0
>>269
ありがとうございます。
続きも期待していただけると嬉しいです。


>>270
思いつくがままに書いてるので投下ペースは結構曖昧です。
早い遅いとかありますか?
もしあれば教えてくれるとすごく助かります…


>>271
一章読んでいただいてありがとうございます。
物語のベースの作品はあります…
凄く好きなのですが、全被りしないようにはしたいなとは思ってます。
先の事が分かってると面白くないと思うので。
自分も読んでて楽しめるようにしたいなと思います。
期待していただけると励みになります。

273名無しさん:2025/02/28(金) 23:15:53 ID:Mp4Vd6pE0
>>272
投下ペースは作者の都合第一でいいと思うけど、投下分が読み終わってから更新が来ると付いていきやすいな
1章は自分としては早いと感じた

274名無しさん:2025/03/06(木) 23:57:28 ID:Lsr3vNzs0
楽しみにしてるお

275名無しさん:2025/03/10(月) 05:47:28 ID:N9u5t9.A0
してる

276名無しさん:2025/06/11(水) 02:37:56 ID:Q2yqvG4Y0
楽しみにしてるよ


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