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彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」
172
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 19:27:42 ID:us4X0nqI0
彡(-)(-)「チュウ……ネズミのキャラか……」
彡(゚)(゚)「ええかもしれんな」
彡(-)(-)「耳を大きく特徴的にして……」
彡(゚)(゚)「ハハッとか言わせとけば流行るとちゃうんか?」
( ;´-ω-` ) .。oO(そんな適当なキャラ…流行るわけないじゃん)
彡(-)(-)「けど、遊ぶだけってのはあまりに軟弱や……」
彡(-)(-)「それにせっかく復元するなら歴史の要素を入れな勿体ない」
彡(-)(-)……
173
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 19:28:09 ID:us4X0nqI0
彡(゚)(゚)「せや、職人学校をここに作ったらどうやろ」
彡(゚)(゚)「それも中世の恰好させて住まわせたらどうや」
彡(゚)(゚)「客も呼べるし、文化も保存できる……」
彡(゚)(゚)「入場料を徴収して、職人の給料に回せば生計も営める」
彡(^)(^)「一石三鳥やんけ!!」
彡(^)(^)「客はこの数世紀の時が止まった島へ観光にくるんや!!!」
彡(-)(-)「けど、人に見られるんやから職人の質の担保が必要や……」
彡(-)(-)「職人を目指す奴なんて気性が荒いのばかりやからな……」
174
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 19:28:31 ID:us4X0nqI0
(´・ω・`) .。oO(すごい偏見…いったいボクをなんだと思ってるんだろ)
(´・ω・`)「あのさ、ならマイスター試験を導入したら?」
彡(゚)(゚)「マイスター試験ってなんや?」
(´・ω・`)「あのね職人の技量を見定める試験でね……」
(´・ω・`)「高い技術力を持っているか評価するの」
彡(゚)(゚)「ほう、そんなもんが実際にやられとるんか……」
(´ᴖωᴖ`)「ボクも受けることになると思うんだ」
彡(-)(-)「なるほど、なるほど……すると他に必要なもんは…」
( ;´-ω-` )「って聞いてないし……」
175
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 19:28:58 ID:us4X0nqI0
アドルフの都市改造計画には他にも
リヒテンベルクの山に鉄道を通し、ホテルを建てる案や
ウィーンのステファン大聖堂を眺めることができる鉄骨製の展望台
ドナウ川に掛かるアーチ状の橋
天に向けて愛剣ノーテゥングを振り上げる英雄ジークフリート像
彡(-)(-).。oO
と大きいモノから小さいものまで上げればキリがないほどあった
ボクはこんな大胆で遠大な計画はただの空想ゲームでしかないと思っていた
「これからは地下鉄の時代や」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・`)
176
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 19:29:34 ID:us4X0nqI0
(´・ω・`) .。oO(でもアドルフの考えを聞いているうちに……)
ボクは彼の妄想に魅了されていた
彼の考えのおもしろいところは
一つのアイディアを理解すると他のアイディアも連鎖的に理解できたことだ
彼の一つのアイディアは別のアイディアに繋がっていて
またそのアイディアは次のアイディアを生み出していた
アドルフのアイディアの集合体はとても規則的で体系的
まるで建築のかたちをとった作曲のようだった
♪♪♬ \(゚)(゚)ミ(´-ω-`)
177
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 19:29:57 ID:us4X0nqI0
今回はここまで
178
:
名無しさん
:2024/06/12(水) 20:11:05 ID:u1Wkb8mc0
乙津
179
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 20:54:09 ID:EkFYmAns0
乙
すげぇおもろい
180
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:09:47 ID:3Y2hUdK.0
彡(゚)(゚)「なんや 今日は劇場やっとらんやんけ」
( ´-ω-` )「そっか残念…じゃ帰ろうか」
彡(-)(-)「しゃあないな…」
彡(゚)(゚)「ん!?」
(;´・ω・` )「今度はなんだよもう…」
彡(>)(<)「宝くじやん! 買ったろ!」
彡;(゚)(゚)「あら…金がない…」
彡(゚)(゚)「クビツェク!お前も半分出せや!」
(;´・ω・` )「ええ〜! 只でさえ小遣い少ないのに…」
181
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:10:26 ID:3Y2hUdK.0
彡(^)(^)「当たった金でワイらが民族記念館を改修するで! 」
彡(>)(<)「クゥ〜! 夢が広がってきたで!」
彡(゚)(゚)「邸宅も作るで! 二階にワイのアトリエを作って」
彡(゚)(゚)/「地下にはクビツェクの音楽室や!」
(`・ω・´)「あっ…」
(´^ω^`)「いいねぇそれ」
彡(^)(^)「せやろ そうとなればさっさと買いにいくで!」
彡(゚)(゚)「おばちゃん、一枚貰うで!」
彡(-)(-)「ど れ に し よ うかな…神様のい う と お り」
彡(゚)(゚)ノ「よし!これや!!」
182
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:10:49 ID:3Y2hUdK.0
ボクとアドルフは大いに夢をふくらませた
愛、熱狂、大胆なアイデア
若いボクらには何でもあった
彡(-)(-)(´-ω-`)
ただこれまではお金がなかった
彡(^)(^)(´^ω^`)
でも欠けていたピースが埋まろうとしている今
ボクたちの前に障害はもう何もない
183
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:11:34 ID:3Y2hUdK.0
彡(゚)(゚)「新築を建てる案はええが費用がかかり過ぎるで」
(´・ω・`; )「みすぼらしい服で豪邸に住むことになるね」
( ;´-ω-` )「かっこわるい…」
彡(゚)(゚)「せや! 中古物件を買って改造するのはどや!?」
(´^ω^)「それ名案だね!」
彡(^)(^)「よっしゃ 場所決めに行くで!」
(´^ω^`)「行こう行こう!」
184
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:12:02 ID:3Y2hUdK.0
(;´・ω・` )「うーんこの辺りは周りが家ばかりだね」
彡(゚)(゚)「次や次!」
(´•ω•)「ここいいんじゃない? 程よく町を見渡せるよ!」
彡(•)(•)「……」
(´・ω・`; ) .。oO(あっ……)
近所に学校があった…
( ;´-ω-` )「ここは学校の通学路があるから芸術活動に支障が生じるね」
彡(-)(-)「せやな」
185
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:12:28 ID:3Y2hUdK.0
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフは街を走りまわった
そして遂に見つけた
ウアファールキルヘン通り二番にあった家の三階
ドナウ川に近く、緑の優雅な丘陵を見渡せる最高の立地
ボクたちはひっそり忍び込み、引っ越しの計画を立てた
186
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:12:53 ID:3Y2hUdK.0
彡(^)(^)「ここにワイの作図机を置くで!」
(´^ω^`)「じゃあボクはこっちにピアノを置くよ」
彡(゚)(゚)「カーテンとその飾りは任せるで!」
(´ᴖωᴖ`)「ふふふ 伊達に家具職人見習いをやってないからね」
(*>ω<*)ゞ「任せてよ!」
ボクはもう夢中になって試案した
(`・ω・´)「できた どうだいアドルフ」
彡(゚)(゚)「おお、ええな! 堅実で妥当や!」
彡(^)(^)「よっ 大将!」
187
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:13:28 ID:3Y2hUdK.0
(´・ω・`)「ボク宝くじが当たったら家の手伝いをやめるよ!」
彡(゚)(゚)/「止めてまえ止めてまえ」
(´ᴖωᴖ`)「たまには旅行にも行こうね」
彡(-)(-)「せやな」
彡(^)(^)「ウィーンへ行こうや! 劇場に行ったり講義を聴いたりするで!」
彡(゚)(゚)「でも生活スタイルは今と同じや!」
彡(゚)(゚)/「上品かつ堅実にいくで!」
彡(^)(^)(´ᴖωᴖ`)
宝くじ。それも一等に当選するとボクたちは確信していた
188
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:14:09 ID:3Y2hUdK.0
( ¯灬¯ )「クビツェク、椅子の脚をとっておくれ」
(`・ω・´)っ「はい父さん」
ガラガラ
( ¯灬¯ )「ん、だれだ? 納品日は明後日の筈だが…」
彡(゚)(@)「クゥー! ク、ク、クビツェクーーー!!!」
(。゚ω゚)「ア、アドルフ!!?」
アドルフの手にはくじが握られていた
彡()()「ンゴォォォォォォォォ!!!!」
彡(●)(●)「人間の騙されやすさにつけ込む国家主導の投機!」
(´・ω・`) .。oO(ああ…そうか)
( ´-ω-` )駄目だったんだね…
189
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:14:49 ID:3Y2hUdK.0
彡()()「善良な市民を食い物にする公然の詐欺!!!」
彡(•)(•)「たかだか十や二十の民族の寄せ集めの糞国家が〜〜!!〜〜!!」
彡(●)(●)「ハプスブルク家の婚姻政策から生まれた怪物!!」
名言製造機のアドルフの口はこれでもかと稼働していた
実際には、二人の哀れな若者がなけなしの金を騙しとられた
ただそれだけの話
彡;(゚)(゚) ( ;´-ω-` )
190
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:15:23 ID:3Y2hUdK.0
でもアドルフは自分に非があるとは思いもしていないようだ
一等を得るのは当然の権利であると思っていた
彡;(゚)(゚)「オーストリアなんて信じたワイが馬鹿やった…」
彡;(゚)(゚)「ふぅ…ふう…」
彡(゚)(゚)「くそが、気分直しに橋のスケッチにでもいくでクビツェク!」
(´・ω・`)「うん、付き合うよ」
( ¯灬¯; )「なんだこいつ…」
191
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:15:57 ID:3Y2hUdK.0
ボクたちはドナウ川に向かった
ドナウ川を流れる水の上には、何か自由で前に進みたくなる雰囲気があった
まるで自分がそうでありたいと願うように
自らの国を嫌うこの若き民族主義者は熱心に橋をスケッチしていた
(´・ω・`) 彡(゚)(゚)/
( ;´-ω-` ) .。oO(って宝くじを外したくらいで大げさだよね)
192
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:16:20 ID:3Y2hUdK.0
今回はここまで
193
:
名無しさん
:2024/06/13(木) 21:37:22 ID:ZIiQpnFo0
乙
194
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 19:47:01 ID:hmNDrhVQ0
乙
名言製造機笑った。頭良いのに変なところでつまずくんだな
195
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:07:34 ID:OY0sudec0
一九〇六年の五月から六月にかけて
アドルフはウィーンに滞在していた
( ¯灬¯ )「おーいクビツェク、ヒトラー君から絵葉書が届いているぞ」
(´ᴖωᴖ`)「え、ほんと!?」
『絵葉書を送る。ずっと便りを出さなかったことはすまないと思っている。
僕はとても元気で、今はあちこちを見て回っている。
明日はトリスタンを見に行き、明後日はさまよえるオランダ人という具合だ。』
(`・ω・´) .。oO(ふむふむ…)
(´^ω^`)いろんな劇を見れて楽しそうだなぁ
196
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:08:12 ID:OY0sudec0
『全てがとても素晴らしいのだが、僕はもうリンツが恋しい。
今日は市立劇場に行く。尊敬するご両親によろしく。
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(`・ω・´) .。oO(むむ…)
きっとこの『リンツ』っていうのはそのままの意味じゃない!
アドルフは慣れ親しんではいるけど、田舎のリンツに限界を感じていたはずだ
それに『恋しい』という……この表現…
(`・ω・´) .。oO(わかった!)
きっとこの『リンツ』は『ステファニーJ(„❛ꇴ❛„)』のことだ!
( ;´-ω-` ) .。oO(全くもう…)
気恥ずかしいからって……
こんな回りくどい表現をして
197
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:09:00 ID:OY0sudec0
『建物の内部に感動はしない。
建物の外面の力強い威厳が芸術の記念碑的厳粛さを建物に及ぼすのであり、内部ではその威厳よりも感嘆を覚える。
力強い音の波が室内をうねり、風のざわめきが波打つ音のすごい洪水に消え失せるときにこそ、崇高さを感じ、内装を飾る金やビロードのことはわすれてしまう。
尊敬するご両親に宜しく。アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(´・ω・`) .。oO(ふむふむ)
いろいろとぎこちなくて過剰な表現が目立つけど
君がとてもステキな体験をしたことはなんとなく分かったよ(´ᴖωᴖ`)
198
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:09:36 ID:OY0sudec0
リンツ駅
ボクはアドルフを迎えにきていた
(´ᴖωᴖ`)「おかえり、アドルフ」
彡(^)(^)「おおクビツェク! 」
彡(>)(<)「ウィーンはホンマによかったでぇー!」
彡(゚)(゚)「流石ステファニーを生んだ町や!」
彡(゚)(゚)「あそこの建築を見て音楽を聞けばワイも都会人や!」
彡(-)(-)「クビツェク…ワイは決心したで…」
彡(゚)(゚)「ワイはウィーンへ行く」
199
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:10:08 ID:OY0sudec0
アドルフの家
彡(゚)(゚)「母さん! ワイはウィーンへ行くで!」
彡(^)(^)「ウィーンで芸術を学ぶんや!」
(*^◯^*)「駄目よ!」
彡;(゚)(゚)「なんでや!」
彡;(゚)(゚)「費用はワイが親父から相続した分を使うんやからええやろ!」
(*^◯^*)「そういう勝手なところがお父さんそっくり!」
(*^◯^*)「それにもう、知り合いのパン屋さんに仕事の斡旋を頼みました!」
彡;(゚)(゚)「ファ!?聞いてへんでそんなこと!」
(*^◯^*)「言ったら反対するでしょ!」
200
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:10:48 ID:OY0sudec0
彡(•)(•)「当たり前や!」
彡(•)(•)「それも、よりにもよってパン屋やと!」
彡;(゚)(゚)「パンを売ってパンを得るなんて…」
彡;(゚)(゚)「本末転倒もいいとこやろ!!」
(*^◯^*;)「なにを訳のわからないことを…?」
(*^◯^*)「アドルフ!」
(*^◯^*)「あなたは二年前に学校を止めてから、ずっとブラブラして!」
彡;(゚)(゚)「ぶっ、ブラブラぁ!? それは聞き捨てならんで!」
彡;(゚)(゚)「ワイはいつも芸術家になるため努力しとったんや!」
201
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:11:19 ID:OY0sudec0
(*^◯^*)「この際だから、はっきり言うわ!」
(*^◯^*)「芸術家なんて不安定で軽率なものお母さんは認めないわ!」
彡(◦)(◦)「!?」
( ;´-ω-` ) .。oO(…外にいても聞こえる)
もしかしたらと思って様子を見に来たけど
案の定、修羅場になってるよ……
202
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:11:43 ID:OY0sudec0
彡(•)(•)「何を言っとんじゃ!」
彡(•)(•)「ワイはちゃんと大学にいって勉強するんや!」
彡(゚)(゚)「学校やぞ学校!!」
彡(゚)(゚)「どや!? 学生なら世間体も悪くないやろ!」
(*^◯^*;)「で、でもクビツェク君みたいに音楽ならともかく絵なんて…」
(*^◯^*;)「それに、ラウバルさんだって反対だって言ってたわよ」
(*^◯^*;)「芸術家を目指すなんて気狂いの沙汰だって!」
(;´・ω・` ) .。oO(あ、おばさんダメだよ…)
アドルフにそれは禁句だよ
203
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:12:08 ID:OY0sudec0
彡(•)(•)「あんな小役人風情に芸術の何がわかるんや!!」
彡(•)(•)「そうか、あいつに何か吹き込まれたんやな!」
彡(●)(●)「許せへん!いっぱつ かましに行ったるわ!!」
(*^◯^*;)「や、やめて!アドルフ!!」
:(´ºωº`): .。oO(アワワワワ)
ボ、ボクの出る幕は無さそうだ…
今日のところは帰ろう…
204
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:13:07 ID:OY0sudec0
(;´・ω・` )「このマットレス、ずいぶん注文が込んでるね…!
(;`・ω・´)「ぐぐ…」
( ¯灬¯; )「ああ…今日いっぱいはかかるな…」
ガラガラ
彡(゚)(゚)「クビツェク……」
(;´・ω・` )「あ、アドルフ…ごめん、今は少し忙しくて…」
彡(-)(-)「ワイは明日、出発する……」
彡(゚)(゚)「一緒に駅まで来てくれや」
(。゚ω゚)「明日!?随分急だね」
205
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:13:30 ID:OY0sudec0
彡(゚)(゚)「そんじゃ、仕事頑張ってな…」
彡(-)(-)「おじさんも、無理をなさらずに頑張って下さい」
( ¯灬¯ )「ありがとう、アドルフ君」
彡(-)(-)「ほな…また…」
夜
( ;´-ω-` )「やっと終わった…!」
(`・ω・´)「アドルフの家に行ってみよう…」
┗(・ω・´)┓三三3
206
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:14:00 ID:OY0sudec0
(;´・ω・` )「ごめんください」
(*^◯^*;)「あ クビツェク君!アドルフが帰ってこなくて!」
(;´・ω・` )「ああ、きっと森にいるんだと…」
( ;´-ω-` )「それで…あの…」
(*^◯^*)「アドルフからはもう聞いているの?」
(;´・ω・` )「えっ、あ、はい…」
:( *^◯^*;):
クララおばさんは戸惑っていた
いつもはこんなことないのに
今日は必死になって詰め寄ってきた
207
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:14:26 ID:OY0sudec0
:(*^◯^*;):は語った
「アドルフは高校も卒業していないのよ」
「それなのに、ウィーン行ってどうするつもりなの?」
「画家になるの?絵なんて一円にもならないのに?」
「いったいどうやって生活をしていくつもりなの!?」
「援助なんてできないわ!」
「私にはアドルフだけじゃなく、パウラもいるのに!」
(;´・ω・` )「妹さん、体が弱いんでしたね」
:(*^◯^*;):「そうよ、でもアドルフはそんなことまったくお構い無し…」
(*^◯^*;)「まるで世界に自分一人しかいないかのように我が道を進んで!」
(* ◯ *)「うぐ…」
突然、クララおばさんは胸を押さえしゃがんだ
208
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:15:04 ID:OY0sudec0
(。゚ω゚)「お、おばさん!?」
(*^◯^*;)「最近はもう…体の調子が悪くて…!」
(;´・ω・` )っ㌧㌧「し、しっかり…!」
(*^◯^*;)「クビツェク君…お願い」
(*^◯^*;)「私の体はそう遠くない日に駄目になる気がするの…」
(*-◯-*;)「アドルフは孤独なの…」
(*^◯^*)「だからこれからも一緒にいてあげて…!」
(;´・ω・` ).。oO(おばさん…)
209
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:15:35 ID:OY0sudec0
翌日 アドルフの住むアパートの前
階段の上からクララおばさんと女の子のすすり泣く声が聞こえた
そしてトントントンと軽快な足音と共にアドルフが降りてきた
(´・ω・`) .。oO(あ…目に涙がにじんでる…)
でも、指摘なんてしない…
何も言わずアドルフのトランクに手を差し出した
ずしッ
(。゚ω゚) .。oO(重っ!)
いったいなにが入っているんだろう?
210
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:16:00 ID:OY0sudec0
彡(-)(-)「母さんはもう一切反対しない」
彡(゚)(゚)「ワイは行くで」
(´・ω・`)「あれ、おばさんは?」
彡;(゚)(゚)「親が子を見送るなんて恥ずいやろ!」
(´-ω-`)「そっか…」
リンツ駅
彡(-)(-)「あいつ…あの糞親父だってウィーンに行った」
彡(゚)(゚)「そして成功して母さんとも結婚できたんや!」
彡(-)(-)「ワイだって きっとできる…!」
彡(-)(-)「…」
211
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:16:32 ID:OY0sudec0
(´・ω・`)……
大都市ウィーンは数えきれないほどの可能性に秘められていた
成功して頂点に上がる可能性も……
失敗して奈落に落ちる可能性も……
優しくもあり、残酷でもあるウィーン
すべてを受け入れ、すべてを拒むウィーン
ウィーンはやって来る者にすべてを賭けることを要求する
内気で臆病なボクは憧れることしかできない
それが大都市ウィーンなんだ
212
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:17:11 ID:OY0sudec0
彡(゚)(゚)「クビツェク! お前もこいや!」
(。゚ω゚)!!
(´ᴖωᴖ`;)「ははっ、またまた…」
彡(゚)(゚)「クビツェク! これは冗談やない!」
彡(゚)(゚)「本気や!お前このままやと一生そのままやぞ!」
(´•ω•) .。oO(うっ……!)
彡(•)(•)「ワイは知っとる!」
彡(-)(-)「お前が日々、努力していることを…」
彡(-)(-)「どんなに疲れていても夜遅くまで勉強しとることを…」
彡(゚)(゚)「後はお前が勇気をだすだけや!」
(´・ω・`) .。oO(アドルフ…)
213
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:17:46 ID:OY0sudec0
彡(゚)(゚)「せやから、来い!クビツェク!」
ポー ドアが閉まります
彡(-)(-)「ほな……待ってるで…」
プシャー 発車します
(´・ω・`)
( ´-ω-` )……
(`・ω・´)!!!
214
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:18:29 ID:OY0sudec0
( ¯灬¯ )「おかえりクビツェク… そうか、ヒトラー君は行ったか」
(;`・ω・´)「父さん…ボク…」
( ¯灬¯ )「みなまで言うな お前の頑張りはヒトラー君から聞いている」
(´・ω・`)「え…」
( ¯灬¯ )「お前のやりたいこともな」
(´•ω•`).。oO(アドルフ…あんなこと言って)
父さんを説得してくれていたんだ…!
215
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:19:07 ID:OY0sudec0
( ¯灬¯ )「家を避けていたお前が親友を見送った後すぐここに来た…!」
( ¯灬¯ )「それだけでもう私は理解した」
(;`・ω・´)「父さん…! じゃあ…!」
( ¯灬¯ )「ああ…ただし、あと一年の修行を終えてだ」
v( ¯灬¯ )「勿論、音大の受験勉強と平行でな」
(´;ω;`)「うん…うん…やるよ…勿論やるよ…!」
216
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:19:36 ID:OY0sudec0
『アドルフへ
君のおかげで、父さんの許可が貰えたよ
宝くじの夢は叶わなかったけど
同居して二人、ウィーンで学生生活を送る夢は果たせそうだね。
あと一年で、君に追い付くよ。
それまで、抜け駆けして有名になったりしてちゃ駄目だからね!
それじゃあ体に気をつけて。
アウグスト・クビツェク(´・ω・`)』
217
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 20:19:59 ID:OY0sudec0
今回はここまで
218
:
名無しさん
:2024/06/14(金) 21:21:10 ID:a7BI/P4s0
乙です
219
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 00:02:43 ID:1Hoz5le60
この辺がターニングポイントかな?
220
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 02:16:49 ID:zLfNmaag0
おつ
221
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 14:57:23 ID:pJ0OTtus0
一九〇七年十月
アドルフがウィーンへ行って数週間がたった
ボクは仕事と音楽の勉強で忙しい日々を送っていた
( ´-ω-` )……
なのにボクの心は暗く落ち込んでいた…
アドルフがそばにいないことがこんなに辛いなんて……
222
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 14:57:51 ID:pJ0OTtus0
┗(›ω‹`;)┓三三3
走っていた
クララおばさんとアドルフのことを話したかった
そうすれば少しは気がまぎれると思った
┗(›ω‹`;)┓三三3 Σ(„❛⌄❛„)し
途中、ステファニーとすれ違った
彼女はボクが一人でいることに驚いているようだった
223
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 14:58:23 ID:pJ0OTtus0
ガチャ
(´・ω・`)「おじゃまします」
(*^◯^*)「あらクビツェク君!」
(´^ω^`)「おばさん 元気そうでなによりです」
(*^◯^*)「ありがとう」
(*-◯-*;)「ところで……」
(*^◯^*;)「アドルフは上手くやっているのかしら?」
(*-◯-*;)「なにもお便りがなくて…」
(。゚ω゚)「おばさんのところにもですか!」
( ;´-ω-` )「実はボクのところにも来ていなくて…」
(*^◯^*;)「大丈夫かしら…なにか事故にでもあってたりしたら…!」
(´・ω・`)……
224
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 14:58:46 ID:pJ0OTtus0
(ꐦ`•ω•´) .。oO(なにやってんだよアドルフ!!)
( ;´-ω-` )皆を心配させて……
(´ᴖωᴖ`;)「だ 大丈夫ですよ きっと!」
(`・ω・´)「きっと…そう勉強に忙しいんですよ!」
(`・ω・´)「それに新しい環境に馴染むのに時間がかかってるんですよ!」
(´ᴖωᴖ`)「だってあのアドルフですもん」
(*^◯^*)「そ そうよね…あのアドルフですもんね フフフ」
225
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 14:59:08 ID:pJ0OTtus0
その後、アドルフから手紙が届いた
『僕はウィーン第六区のシュテゥンパー通り二十九番の三階十七号室
ツァクライス婦人のもとに下宿している。
尊敬するご両親によろしく。アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
( ´-ω-` ) .。oO(…この最低限しか書かない頑な沈黙)
これまでアドルフが沈黙するのは
彼のプライドが邪魔しているときだった…
無事みたいだけど、やっぱりなにかあったんだ……
226
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 14:59:41 ID:pJ0OTtus0
( ¯灬¯; )「こ、これは…」
(。゚ω゚)「はえ〜」
注文書にはベットが五十床とあった
新築された婦人科病棟で使うみたいだ
こうして数週間、ボクは仕事漬けの日々が続いた
(´・ω・`)「おばさん、暫く顔を見せられなくてすいません」
(* ◯ *)「だ、だれ…誰なの……?」
(。゚ω゚)「お、おばさん!?」
数週間ぶりに見たクララおばさんの顔はやつれ、弱りきっていた
227
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:00:10 ID:pJ0OTtus0
(*-◯-*;)「あ、ごめんなさい……いらっしゃい…クビツェク君」
(*^◯^*)つ「ほら見て…アドルフから手紙が来てね……」
(*^◯^*)「アドルフのウィーンの大学生活はとても充実…」
(* ◯ *)「ゴホッゴホ」
(´・ω・`; )「無理しないで!おばさん…」
(`・ω・´;)「返事を書くのが大変ならボクが代わりに書きますよ!」
(*-◯-*;)「…それは駄目」
(*-◯-*;)「私の体調を知ったら、きっとアドルフは帰ってくるわ…」
(*^◯^*)「やさしい子だから……」
(*-◯-*;)「それに…勉強しているアドルフの邪魔をしたくないの…」
(´・ω・`; )「おばさん……」
228
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:00:36 ID:pJ0OTtus0
(´・ω・`; ) .。oO(一体どうすれば…)
小さな妹さんは毎日学校
アドルフの義理の姉さんは妊娠中で……余裕はない
その夫のラウバルさんは…
アドルフのウィーン行きの件で不機嫌らしいし…
( ;´-ω-` ) .。oO(どうしたらいいんだろう…?)
やっぱりアドルフに知らせたほうがいいんじゃないのかな…
でも…おばさんはダメだって言ってる
229
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:00:59 ID:pJ0OTtus0
(*-◯-*;)「悩ませちゃってごめんなさい…」
(*^◯^*;)「お医者様に相談するから大丈夫よ…」
(*^◯^*)「クビツェク君…また遊びにいらっしゃいね」
(´・ω・`; )「は、はい」
クララおばさんの言葉に押され、うしろめたい気持ちで帰路についた
ボクになにかできることはないのかな…
230
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:01:41 ID:pJ0OTtus0
( ;´-ω-` )「ってことなんだよ…どうにかならないかな?」
(∗ 'ω' ∗)「大変ね…私も時間があるときは様子を見に行くわ!」
( ¯灬¯ )「ダメだ!」
( ¯灬¯ )「頼まれてもないのに援助をするのは無作法にあたる」
(´・ω・`)「…」
(´•ω•).。oO(困っている人を助けることの何が悪いんだよ!)
(ꐦ`•ω•´)この頑固親父!!
231
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:02:21 ID:pJ0OTtus0
数日後
(;´・ω・` )「よし、次はマットレスに詰め物をして…」
ガチャ
彡(゚)(゚)「……」
(。゚ω゚)「アドルフ、帰っ」
彡;(゚)(゚)「医者は不治の病や言うとった……」
アドルフの顔は透き通りそうなほど青白く、目はくもり、声はカスカスだった
彡;(゚)(゚)「不治の病てなんや?」
彡;(゚)(゚)「不治なわけないやろ、母さんはまだ四十七やぞ!」
彡;(゚)(゚)「医者に治す能力がないだけやんけ!」
232
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:02:58 ID:pJ0OTtus0
彡;(゚)(゚)「医者はどうしていいかわからなくなると……」
彡;(゚)(゚)「不治の病なんて言い出すんや!!」
彡;(゚)(゚)「考えてもみろや!」
彡;(゚)(゚)「化学がもっと発達していたら母さんの病は治ったはずや…」
彡;(゚)(゚)「治る病なんや!!」
彡(●)(●)「それを不治やとぬかしよってあのやぶ医者が!!」
233
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:03:27 ID:pJ0OTtus0
(゚)(゚);ミ
アドルフはつらそうに熱心に語っていた
でもそれはボクにではなかった。医者にでもなかった
青白く興奮して激しく動揺している少年と対面していたのは……
ψ(ヽ’ん`)ψ (゚)(゚);ミ
死神だった
234
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:03:48 ID:pJ0OTtus0
(´・ω・`)「ボクに何かできることはある?」
彡(-)(-)「……」
彡(゚)(゚)「母さんの面倒を見るために、ワイは暫くリンツにいる」
(´・ω・`)「君に家事なんてできるの?」
彡(゚)(゚)「必要になれば、人間は何でもできるもんや」
彡(-)(-)「ほな……」
アドルフは一人、去っていった
235
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:04:21 ID:pJ0OTtus0
(´・ω・`) .。oO(アドルフはああ言ってたけど)
家事を単調で退屈な作業だって見下していたのに
本当にできてるのかな…?
( ;´-ω-` )「無理だろうなぁ きっと三日坊主…」
アドルフの家
(´・ω・`)「お邪魔します」
(;´・ω・` )「あれ、誰もいない」
(・ω・`;≡;´・ω・)
「クビツェク、ここや!」
(´・ω・`)?
彡(゚)(゚)「クビツェク、下や」
236
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:04:51 ID:pJ0OTtus0
(。゚ω゚)!!!
(;´・ω・` )「ア、アドルフ…床にひざ立ててなにしてるの…?」
彡(゚)(゚)「なに言っとんのや? 掃除に決まっとるやろ 見てわからんか」
(。゚ω゚) .。oO(嘘…あの、あのアドルフがエプロン着けて床を磨いてる)
(*^◯^*)「ふふふ、クビツェク君が驚くのも無理ないわ」
\(*^◯^*)/「でもご覧の通り、アドルフは何でもできるのよ!」
彡(゚)(゚)「まったく、人をなんやと思っとるんや…」
アドルフは別人のようになっていた
237
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:05:31 ID:pJ0OTtus0
彡(゚)(゚)「今日はなに食べたいんや?」
(*^◯^*)「あり合わせでいいわよ…」
彡(-)(-)「いいわけないやろ…」
彡(゚)(゚)「今日はシチューにするわ」
(*^◯^*)「この前も食べたじゃない…」
彡(゚)(゚)「ええやん。シチュー好きなんやろ?」
(*^◯^*;)「そうだけど…」
彡(^)(^)「なら決まりや」
彡(゚)(゚)「クビツェク お前も食ってけや」
(;´・ω・` )「あ、ありがとう…」
あらゆるしがらみから解放されたようだった
238
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:05:56 ID:pJ0OTtus0
彡(゚)(゚)ノ「ほれ 出来たで!」
(*^◯^*)「ん〜おいしい」
( ¯•ω•¯ ) .。oO(そんな……)
今まで料理してこなかったアドルフの料理がおいしいなんて…
パクッ
(。゚ω゚)!!!
(´^ω^`)「おいしい!」
アドルフがそばにいることをクララおばさんは何より喜んでいた
239
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:06:35 ID:pJ0OTtus0
(◎―◎)「うん 症状はよくなっているね!」
(*^◯^*)「ありがとうございます先生」
(◎―◎)「親孝行な息子さんが帰ってきてくれたからかな」
(*-◯-*;)「ええ、もっと前からこれだったらよかったのに」
彡;(゚)(゚)「うるさいわ!」
アドルフは心から愛情を込めてクララおばさんを介護していた
(*-◯-*;)「よっこいっ…」
(* ◯ *)「あ痛たた」
彡(゚)(゚)っ「無理すんなや ホレッ」
アドルフはスッとクララおばさんの腰に手をすえる
240
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:07:12 ID:pJ0OTtus0
(´・ω・`)……
アドルフは献身的に母クララに尽くしていた
本人は絶対に認めないけど……
アドルフは父親アロイス・ヒトラー似だ
頑固で意固地なところなんてそっくりだ
でも、彼の奥底……本当の内面は母親クララに似て
優しさを持っていた
そして気づけばもう十二月も末
(´・ω・`)「あ、雪…もうそろそろクリスマスだ」
241
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:07:59 ID:pJ0OTtus0
十二月二十日の夕方
(´・ω・`)「それでは、ボクはこの辺で…」
(*-◯-*;)「……」
(´・ω・`)「アドルフー!? 聞こえてるかーい!?」
「屋根裏からでも聞こえるでー! ほななー」
(´・ω・`)「うん バイバーイ!」
(´・ω・`)……
( ´-ω-` )「それでは、お大事に…」
242
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:08:50 ID:pJ0OTtus0
(*-◯-*;)「……クビツェク君」
(´・ω・`)「はい」
(*^◯^*;)「お願い…アドルフと友達のままでいてね……」
(*-◯-*;)「あの子はもうひとりぼっちになってしまうから…」
(´;ω;`)「……はい」
ボクは目に涙をためながら約束した
翌日
クビチェク家
ガチャ
彡(゚)(゚)………
彡(゚)(゚)「夜中に母さんが死んだ」
243
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:09:45 ID:pJ0OTtus0
埋葬は十二月二十三日に行われた
(*^◯^*)
┏┛墓┗┓ ( ;ㅿ; ) (゚)(゚)ミ (´;ω;`)(∗ 'ω' ∗)
小さなパウラはすすり泣き、その横でアドルフは落ち着いていた
しかし、彼のその目は悲しみを隠しきるには大きすぎた
244
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:10:17 ID:pJ0OTtus0
葬儀は厳粛に行われた……
参列者は家族と隣人のみでみすぼらしさが感じられた
(∗ 'ω' ∗)「明日はクリスマスだもの……」
(∗ 'ω' ∗)「時間を空けられない主婦もたくさんいるのよ」
(´;ω;`)「うん…」
クララ・ヒトラー
夫アロイス・ヒトラーの隣りに眠る
( ・෴・) (*^◯^*)
┏┛墓┗┓┏┛墓┗┓
245
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:10:54 ID:pJ0OTtus0
(∗ 'ω' ∗)「これからどうするの?」
彡(-)(-)「叔父のラウバルのところに…」
(∗ 'ω' ∗)「そう…みんな辛いとは思うけど、こういう時こそ…」
(∗ 'ω' ∗)「家族とクリスマスを過ごすことが何よりだと思うわ」
彡(-)(-)「そうですね」
彼は別れ際に、無愛想に言った
彡(-)(-)「あんな小役人の所へは行かん」
(´・ω・`)「それなら一体どこに行くつもりだい?」
彡(-)(-)「……」
(´・ω・`)「ボクの家で一緒にどうだい」
246
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:11:27 ID:pJ0OTtus0
彡(゚)(゚)「ありがたいが、遠慮しとくで」
彡(-)(-)「ワイは…」
アドルフはとたんに目を輝かせ
彡(>)(<)「J(„❛⌄❛„)のところにおるで!」
\( )ミ「じゃっ!!」
と背を向け駆けていった
(´・ω・`)……
( ´-ω-` ) .。oO(もう、強がったりして…)
いまだに名乗ってもいないのに行けるわけないじゃん
きっといつものように一人、森の中で考え込むんだろうな…
後になってアドルフはこの時のことを話してくれた
247
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:12:19 ID:pJ0OTtus0
(。゚ω゚)「え!!本当にステファニーのところに行こうとしたの!?」
彡(-)(-)「まあ…いろいろあって止めたけどな…」
アドルフが語ってくれたのはこれだけだった
クリスマスイブの夜
彼は何を感じ、考え、悩んでいたかは……
話してくれなかった
248
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:13:25 ID:pJ0OTtus0
今回はここまで
249
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 15:44:28 ID:/hiZhynM0
おつ
250
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 16:49:43 ID:th6kp8aA0
おつ
251
:
名無しさん
:2024/06/15(土) 20:54:44 ID:JHAmHAu20
乙
252
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 14:58:00 ID:3qGiw/Ko0
一九〇八年二月
ウィーン駅
ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ…
( ; ›ω‹ )「あう…あう…」
駅の人の多さにボクは戸惑うしかなかった
勇気を振り絞り、前に出ようとしても
(# ゚Д゚)「どけ」
( ;´-ω-` )「す、すいません…」
(# ゚Д゚)「邪魔だ」
:( ;˙꒳˙;):「あう…」
(# ゚Д゚)「Fack You!!」
:(´ºωº`):「あわわわ」
人々は怒鳴りながらボクを元の場所に押し戻してしまう
253
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 14:58:47 ID:3qGiw/Ko0
(´;ω;`) .。oO(怖い……か…帰りたい…)
アドルフは一体どこにいるんだろう…
迎えに来てくれるって言ってたのに
彡(゚)(゚)ノ「おーいクビツェク、ここやー!」
(。゚ω゚)「アドルフ!」
(´^ω^`)「ああよかった…」
( ;´-ω-` )「一生ここをさまよい続けるのかと思ったよ…」
彡(゚)(゚)「おおげさやで 全く相変わらずやなぁ」
(´・ω・`)「そういう君はすっかり都会に馴染んでるみたいだね」
グレーの冬用コートにグレーの帽子、象牙の握りのついたステッキ
こっちでも相変わらずアドルフの服装はキチッとしてるなぁ
254
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 14:59:12 ID:3qGiw/Ko0
彡;(゚)(゚)「トランクでかすぎるやろ…完全なお上りさんやんけ……」
(´ᴖωᴖ`;)「はは…お母さんが色んなもの詰めこんでさ」
ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ…
彡;(゚)(゚)「とりあえずこッから出るで 五月蝿くてかなわんわ」
( ;´-ω-` )「うん、ぜひともそうしたいね…」
彡(゚)(゚)ノ「ほないくで」
アドルフが住むアパートに向かった
歩くこと数十分
255
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 14:59:34 ID:3qGiw/Ko0
彡(゚)(゚)「ここが今のワイの住み家や」
(´・ω・`)「あれ…予想以上に綺麗なところだね…」
彡(-)(-)「表向きだけや」
ガチャ
(。゚ω゚)「うわっ、石油くさっ!!」
彡(゚)(゚)「大家は留守みたいやな、後で紹介したる」
彡(゚)(゚)「まあ、入れや」
256
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:00:04 ID:3qGiw/Ko0
アドルフの部屋は紙だらけで
ろくに足の踏み場もないような有様だった
彡(゚)(゚)「少し休憩しようや」
(´^ω^`)「食べ物、沢山持ってきたよ」
彡(^)(^)「お、まじでか!」
ガサーとアドルフはスケッチをどかし、場所を確保した
(;´・ω・` )「アドルフ そんながさつに絵をどけていいの?」
彡(゚)(゚)「べつにかまへん」
彡(゚)(゚)/「それよりメシや!」
(`・ω・´)「そうだね それじゃあいくよ」
257
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:00:34 ID:3qGiw/Ko0
ジャジャーン
(´ᴖωᴖ`)「まずはジャガイモのパンケーキ」
彡(^)(^)「お、ドイツ家庭料理の代表格やな!」
彡(-)(-)「母さんが作ってくれたのを思い出すで……」パクッ
彡()()「あ〜甘さが抑えてあって塩味が染みとる…」
(´ᴖωᴖ`)「だから肉料理にも合うんだよね」
そんなわけで次は〜
(*>ω<*)「はいローストポーク」
彡(゚)(゚)「肉食うの久しぶりや!」ガブッ
彡(>)(<)「あ〜この歯応えとパンケーキのふっくら感がええな」
彡(^)(^)「ベストマッチやで!」
258
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:01:14 ID:3qGiw/Ko0
そして締めは〜
(´ᴖωᴖ`)「ブフテルン菓子 バニラソース付」
彡(⦿)(⦿)「お、ワイの好物やん!」
彡(-)(-)「おばさん 覚えとってくれたんやな…」モグー
彡(-)(-)「この甘み…食感…チェコ生まれのものとは信じられん…」
彡(゚)(゚)「美味や」
彡(^)(^)(´^ω^`)
それから、ボク達は王様のようにたらふく食べた
彡(^)(^)「家庭の味に、そしてクビツェクのウィーン進出に乾杯や!」
(´^ω^`)「かんぱーい!」
カツーン
彡(^)(^)つ”*∀∀*”⊂(´^ω^`)
259
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:01:52 ID:3qGiw/Ko0
彡(゚)(゚)「そういえば、ステファニーは今どうしてるんや」
(。゚ω゚)「あ……」
彡(•)(•)「特命を持たせたよな?」
( ´-ω-` )「……」
たしかに、ボクはアドルフからステファニーを監視するよう特命を受けていた
彼の頭の中では次のような筋書きができあがっていた
260
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:02:13 ID:3qGiw/Ko0
J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフがいなくなったことを心配する)
↓
J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフに何か不幸が起きたかもしれないと心配する……)
↓
J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフが病気になったのではないかと心配する……)
↓
J(„❛⌄❛„) .。oOもしかしたらすでに、アドルフは死んでしまったのではないかと……)
そして居ても立ってもいられなくなったステファニーは
慌てて駆けだし、橋を渡り、ボクの家を訪れ
J(„❛ꇴ❛„)「お友達に何か起こったのでしょう?」
と聞きに来るというものだった
261
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:02:35 ID:3qGiw/Ko0
(´ᴖωᴖ`;) .。oO(あり得ないけどね)
それに実際になにも起きなかった
まあ、報告できるようなことは手紙にして四ページぐらいはあるけど
いちいち説明するのも面倒だし……適当にごまかしておこう!
彡(゚)(゚)「貴様…任務を怠ったな…」
(。・ω<)ゞ「テヘッ」
彡(●)(●)「ちっ、極刑に値する過ちやぞ」
262
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:03:04 ID:3qGiw/Ko0
夕方
彡(゚)(゚)「クビツェク、今から宮廷劇場にいくで!」
( ;´-ω-` )「ええ…今日はもう休みたいんだけど…」
彡(•)(•)「ウィーンに来て、宮廷劇場も見ずに眠れるわけないやろ!」
彡(゚)(゚)ノ「はよ行くで!」
┗(゚)(゚)ミ┓三三3 (‘・ω・`; )
アドルフはさっさと歩いて行った
(´・ω・`) .。oO(うーん、この感じもひさびさだなぁ)
彡(゚)(゚)「なにやっとるんや!はよ、こいや!!」
(´・ω・`)「うん」
263
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:03:26 ID:3qGiw/Ko0
宮廷劇場前
(。゚ω゚)「おお、ホールからもうリンツのとは比べ物にならないや…」
彡(-)(-)「大理石の欄干、ビロードの絨毯、金色に化粧された天井…」
彡(゚)(゚)「これが大都市のなせる技や」
それから、教会、聖堂、塔と……
大都市の豪華絢爛な建物を見て回った
リンツのものとは何もかもが桁違いだった
(´-ω-`)「まるで別の惑星に連れてこられたみたいだ」
264
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:03:46 ID:3qGiw/Ko0
(¬ω¬)チラッ 彡(゚)(゚)
ひときわ青白く華奢で大きな目
アドルフはまるで宇宙人のよう
きっとボクはこの宇宙人にさらわれて…洗脳されて……
彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「この先に収容所があるんや…」
彡(●)(●)「ぶちこんだろか…?」
(。゚ω゚) .。oO(こころを読まれた!!)
265
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:04:19 ID:3qGiw/Ko0
彡;(゚)(゚)「たくっ 見惚れすぎやで、真夜中になってもうた!」
(`・ω・´;)「なにいってんだい アドルフの方が見惚れてたくせに!」
彡(^)(^)「すばらしい芸術は何度見てもいいもんや!」
こうしてボク達は帰宅した
不機嫌な管理人にチップを払うはめになったけど
彡(-)(-)「ちっ、足下見おって…」
266
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:04:42 ID:3qGiw/Ko0
部屋
彡(゚)(゚)「でな、クビツェク、ケルントナー通りの風景は…」
( ˘ω˘ )「うん…うん…Zzz」
彡(゚)(゚)「疲れ果てて寝おった」
彡(-)(-)「相変わらず貧弱な奴やで」
気づけば、眠っていた
この日はあまりに色々なことがありすぎた
家族との別れ、列車の旅、喧騒、宮廷劇場、雑踏、裏路地、・・・
そして明日は、新しい部屋探し
それもピアノを弾けるところじゃないといけないから
(´-ω-`) .。oO(大変そ…Zzz)
267
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:05:03 ID:3qGiw/Ko0
今回はここまで
268
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 15:14:23 ID:18vPXPwI0
乙
269
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 23:39:02 ID:qiaBfScU0
乙
270
:
名無しさん
:2024/06/16(日) 23:54:22 ID:WcnVyAP20
乙
食事シーンを見ると親近感湧くな
そして収容所というワードにドキッとする
271
:
名無しさん
:2024/06/17(月) 18:53:45 ID:VOxsAUbw0
翌日
(´・ω・`; )「うーん、やっぱりないね…」
(´-ω-` ; )「ピアノを置いていいかって聞くとどこからも苦い顔される…」
彡(゚)(゚)「まっ、当然やな」
彡(゚)(゚)/「駄目で元々や 根気強くいくで」
(´・ω・`)「うん、そうだね」
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
それからもボクとアドルフはウィーン街を巡ったが
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