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( ゚д゚ )絵描きとヴィオラのようですミセ*゚ー゚)リ
304
:
名無しさん
:2024/12/20(金) 05:25:32 ID:GwUyoSTg0
ミセ* ー )リ「……もういっこ、念のために言うんだけど」
( ゚д゚ )「ん?」
ミセ* ー )リ「…分かってるとは思ってるけど、一応、その……」
口のすぐ前までプリンを運んだが、妻は食べようとせずに俯いたまま。
何だろうかと手を少し引っ込め、彼女の言葉に耳を傾ける。
最近はこんな風に二人でゆっくり話すこともなかった。今回は良い機会だろう。そう思い、黙ったまま二の句を待つ。すると、少し躊躇いがちに妻はゆっくりと口を開いた。
ミセ* ー )リ「――寂しがってるのは子どもたちだけだなんて、思わないで、よね」
305
:
名無しさん
:2024/12/20(金) 05:27:17 ID:GwUyoSTg0
コトンと、小さな音が鳴った。
テーブルに力なくスプーンと、一口サイズのプリンが転がる。
すぐに拭くための手も動かないまま、僕はじっと妻の顔を見つめていた。
ミセ;*゚ー゚)リ「ちょ、ちょっと、零さないでよ」
( ゚д゚ ;)「ご、ごめん…今日、一番、ビックリしたから」
端にあったウェットティッシュを手に取り、慌ててテーブルの上を拭く。
既にプリンの容器の中は、僅かに残されたカラメルが揺れるだけであった。
ミセ*゚ー゚)リ「カラメル…勿体ないし、捨てるのもアレだし、飲んじゃうわ」
( ゚д゚ ;)「えっ、これも?」
ミセ*-o-)リ「炬燵から手出すと寒いのよ。ほら、はーやーく」
一瞬だけ見せてくれた恥じらう様子から一転、妻の顔がすっかり見慣れた平常のものへと変わる。
手を炬燵から出さないまま口だけを開き、ねだる様は子猫や雛の類だ。
306
:
名無しさん
:2024/12/20(金) 05:28:41 ID:GwUyoSTg0
……ふと、小さな悪戯心が芽生えた。
思い返せば、二人目が生まれてからは特にそういうこともしていない。
それについさっき、やたらと可愛らしい言動で心を惑わされたばかりだ。
父としてはいくらでも情けなくなる覚悟はあるが、妻と一対一の夫としてはこのままというのも少し悔しい。
( д )「…もうちょっと口閉じてて、零れちゃうから」
妻の口が更に小さくなったことを確認して、プリンの容器を手に取った。
そして彼女の口に近付けることなく、音を立てずにかつ迅速に、中に入っているカラメルを自分の口へと流し込む。
容器を置き、絹のような手触りの髪と頬をさらりと撫でつつ首の後ろに手を回す。
何か違和感を覚えたのだろう。妻の目がうっすらと開かれそうになった、その瞬間。
被せるように、唇を重ねた。
307
:
名無しさん
:2024/12/20(金) 05:29:49 ID:GwUyoSTg0
ミセ;* - )リ「――っ!?」
途端に慌てふためく妻。だがお構いなしに、彼女の口内へと甘ったるいカラメルをゆっくりと流し込む。
溢れないように舌を絡めながら、自分から逃げられないようにしっかりと彼女の華奢な体を抱きしめたまま。飲み込みやすいよう、少しだけ自分の方が上になるように傾けつつ。
最初の方だけ聞こえた小さな呻き声も、瞬く間にささやかな水遊びみたいな音に変わる。
妻の後頭部に回していた右手を移動させ、喉の部分にそっと押し当てる。カラメルが彼女の喉を通るたび、握ればたちまち折れてしまいそうな細く白い首がびくびくと跳ねるのが分かる。
繋がっていたのは果たして数秒か、数十秒か。互いの口内に何もなくなったことを舌で確認した後、ゆっくりと妻の唇から口を離した。
ミセ;* Д )リ「――っ、は、はぁっ…」
水面から浮き上がったかのように呼吸が荒くなっている。
お風呂上りみたいな紅潮した頬と、少しの潤いを携えたとろんとしている瞳。
ちょっとした仕返し程度のつもりだったのだが、どうやら効果は十二分にあったようだ。
308
:
名無しさん
:2024/12/20(金) 05:31:24 ID:GwUyoSTg0
( ゚д゚ )「……僕も一応、念のために言うんだけど」
彼女の背中に回した左腕から力は抜かないまま、しっかりと目を見て口を開く。
ずっと昔、とある女性をメインに描いた絵に、作家コメントとして書いた言葉。
その後、付き合う時も、プロポーズした時も、決まって必ず口にした言葉。
( ゚д゚ )「――大好きです、ミセリさん」
口にしたことは人生でもほんの数回。にもかかわらず、不思議と口馴染みのあるフレーズ。
そう簡単に口にすべきではないと分かっていても、何度だって伝えたくなる、心臓が痛くなる言葉。
ミセ;*゚ー゚)リ「……!」
妻の目が一瞬だけ大きく見開かれる。
その後、どこか泣きそうな顔をしたかと思えば、ぽすんと僕の胸に彼女の額が乗せられる。
ミセ;* ー )リ「……私も」
ミセ;* ー )リ「ちゃんと、大好きだからね。ミルナの、こと」
顔は上げられないまま、心臓に直接言葉が届けられるみたいな声が響く。
下を向く。初心な少女みたいにゆっくりと顔を上げた妻と視線が重なり、どちらからともなく笑い合う。
309
:
名無しさん
:2024/12/20(金) 05:32:06 ID:GwUyoSTg0
明日は別に休日じゃない。
次の朝だってきっと我が子たちの寝顔に後ろ髪を引かれながら家を出て、仕事に追われて、子どもたちが寝静まった夜中にやっと帰ってくるに違いない。
絵の仕事だってあるから、次に家族との時間をちゃんと取れるのはもっと先になるだろう。
それでも。
家に帰ってくれば、妻がいるなら。子たちがいるなら。
どれだけ仕事が辛くても。忙しくても。休みがなくても。
明日も頑張れそうだと、そう思った。
〜おしまい〜
310
:
名無しさん
:2024/12/21(土) 21:37:03 ID:Ut5tbChI0
イチャつく二人が見れて嬉しい反面なぜ本編の二人にこの幸せを与えなかったのかという作者への憎悪が募る
311
:
名無しさん
:2024/12/26(木) 12:32:01 ID:kZgPeFIA0
やっときてて嬉しい乙乙
クリスマスに読んでたら即死してた 甘すぎる
312
:
名無しさん
:2024/12/27(金) 23:55:50 ID:rlhj7NDc0
乙乙
こたつある家良いな
>ミセ#゚―゚)リ「連絡の一つくらいも送れないくらいに?」
ここリアルだ…
313
:
名無しさん
:2024/12/28(土) 11:46:17 ID:85gQAMmU0
子どもが寝静まってからイチャつく夫婦かわいい
短くない?もっと書いてくれてもいいのよ
314
:
名無しさん
:2024/12/28(土) 23:58:01 ID:VXjBPzuA0
乙乙!連絡よこさない夫にキレる妻の描写リアルで好き
ところでこのいちゃラブ夫婦になるまでの経緯を描いた番外編はいつ?
315
:
名無しさん
:2025/05/01(木) 23:51:06 ID:IUAn214Q0
1周年おめ
誰がなんといおうとあなたの作品好きだよ
316
:
名無しさん
:2025/06/11(水) 09:32:49 ID:HHjpCKR20
乙乙
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