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指輪は婚姻を依り代にするようです
69
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:25:08 ID:LsIKYsNU0
フィレンクトは工房のドアを開けた。
(‘_L’)
(‘_L’) ……
(‘_L’) くっさ
フィレンクトは残っていたラーメンの汁を排水溝に捨て、窓を開けた。
70
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:26:07 ID:LsIKYsNU0
4.愛で買える金
71
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:28:52 ID:LsIKYsNU0
でぃは部屋に上がり込み、部屋に干してある布団カバーをちらりと見て、ベッドに座り込んだ。
(#゚;;-゚)
タカラはノートパソコンが置いてある机の前の、ゲーミング用チェアに座った。
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) 何でさ 私に良くしてくれるの?
( ,,^Д^) 命の恩人ですから
(#゚;;-゚) 昨日も言ったけど 原因はそもそも私なんだよ
(#゚;;-゚) 私や指輪に関わるのは危険だって 流石に分かったでしょ
(#゚;;-゚) どうして?
( ,,^Д^)
タカラは考えるそぶりも見せず、でぃの目を見た。
( ,,^Д^) あなたに惚れたんです
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 私って 愛の告白を受けるの初めてなんだけど
でぃは動揺せずに、かといって嫌悪を滲ませることもなかった。
( ,,^Д^) 光栄です
72
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:30:54 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) ……
(#゚;;-゚) そうやって さらりと言うものなの?
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) ムードのいい店を知ってますよ
(#゚;;-゚) 信用できないって言ってるの
でぃの声が上ずる。
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) ……助けてもらったのは 私も だから
(#゚;;-゚) こんな言い方はしたくないけど
( ,,^Д^)
でぃは逡巡したように口を開いたり閉じたりした。
少し眼も泳いでいる。
(#゚;;-゚) 胡散臭いの あなた
( ,,^Д^)
73
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:33:01 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) ごめん自分で思うより 嫌な言い方に なった
( ,,^Д^) いや そうではなく……
タカラは少し俯いた。
( ,,^Д^) 僕は助けた覚えがないんですが
(#゚;;-゚) ……爆弾から 守ってくれたでしょ
( ,,^Д^) あぁ……
( ,,^Д^) いま思うと あなた方なら自力で何とか出来たかと
(#゚;;-゚) ……そうかもね
(#゚;;-゚) それと マトマトを退かせてくれたから
でぃは耳に掛かった髪をかき上げた。
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) さっきの 女の人ね
( ,,^Д^) ……それも なぜか急にやめてくれたっていう 感じかと
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 私だけじゃ どうしようもなかったから
( ,,^Д^) ……はあ
74
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:34:52 ID:LsIKYsNU0
両者の間に会話が途切れた。
でぃはもう壁の方に顔を向けている。
( ,,^Д^) お茶でも淹れますか?
(#゚;;-゚) あの……さっき言ったこと まだ結論が出てないと思うんだけど
( ,,^Д^) 何です?
(#゚;;-゚) 私はまだ あなたを信用してないの
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) しかし 泊まっていただけるのでは?
(#゚;;-゚) ……泊まりはするけど
( ,,^Д^) お食事もご一緒してくれると
(#゚;;-゚) それも 前 そう言ったけど
75
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:36:22 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) あのさ……あなたって どういう人なの?
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 会社員です デジンレオ株式会社の
(#゚;;-゚) ……何をしてる会社?
( ,,^Д^) まあ ソフトウェアとかを 作ってるとこです
(#゚;;-゚) へぇ……
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 名刺ある?
( ,,^Д^) ありますけど
タカラがカバンから名刺入れを取り出し、名刺を両手でつまんで、でぃに向かって頭を下げた。
( ,,^Д^) よろしくお願いいたします
(#゚;;-゚) はい
でぃは座ったままで名刺を受け取った。
( ,,^Д^) どうするんです?
(#゚;;-゚) 調べてもらうの 情報屋に
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) どういう方です?
(#゚;;-゚) さあ 着ぐるみ着て 声も変えてるから
76
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:38:26 ID:LsIKYsNU0
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) でぃさんはどういう方なんです?
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 私は伊藤でぃ
(#゚;;ー゚) ふ
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) ごめん 自己紹介もまだだったんだね
( ,,^Д^) ああ 僕は砂尾タカラです
(#゚;;-゚) うん
でぃは名刺をひらひら振った。
( ,,^Д^) あ
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 無断欠勤になってる 今日
(#゚;;-゚) あぁ
( ,,^Д^) 電話していいですか?
(#゚;;-゚) どうぞ
77
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:40:20 ID:LsIKYsNU0
(‘_L’) カタカタ
(‘_L’) っかしーな
从リ ゚д゚ノリ ガラガラ
从リ ゚д゚ノリ 邪魔する ぞい
(‘_L’)
(‘_L’) 何か?
从リ ゚д゚ノリ いや お師匠さんはどした?
(‘_L’) こっちには来てませんよ
从リ ゚д゚ノリ お見舞いに来ただけか?
(‘_L’) まあ
从リ ゚д゚ノリ あぁ〜
从リ ゚д゚ノリ んじゃ また
(‘_L’) 何しに来たんです?
从リ ゚д゚ノリ いや 凄い人なんだろ お師匠さん
从リ ゚д゚ノリ 何か 儲け話でも出来んかなと思って
78
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:42:18 ID:LsIKYsNU0
(‘_L’)
(‘_L’) ありますよ 儲け話
从リ ゚д゚ノリ
从リ ゚д゚ノリ お前さんが?
(‘_L’) ちょうど その算段を付けてるとこでね
从リ ゚д゚ノリ いやあ 遠慮しとくよ
フィレンクトは微かに目を見開いた。
(‘_L’) 何故だ?
从リ ゚д゚ノリ もう忘れたか? こないだ押し付けてきたヤツ 天然じゃなかったじゃんか
(‘_L’) あれは 私も騙されたんだ
从リ ゚д゚ノリ そもそも現物は?
(‘_L’) これからだ
从リ ゚д゚ノリ いや〜 手に入れてからだな 話は
(‘_L’)
(‘_L’) それでいい
从リ ゚д゚ノリ じゃ
(‘_L’) ……
79
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:43:31 ID:LsIKYsNU0
( ・3・) お おお 無理しないでいい 無理しないで
( ・3・) おお じゃあ 休み明けに有給 依頼 忘れんなよ
( ・3・) うん じゃあ はい お疲れ様
( ・3・) ピッ
( ・3・)
( ・3・) ……
80
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:45:07 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) いいの? 休んじゃって
( ,,^Д^) とても心苦しいです
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) そうなんだ ごめんね
( ,,^Д^) 冗談です
(#゚;;-゚) ……
(#゚;;-゚) で……どうするの? 今日は
( ,,^Д^) ご一緒してもよいですか?
(#゚;;-゚) 良いけど
( ,,^Д^) ランチも行きましょうか
(#゚;;-゚) 私は別にいいんだけど
(#゚;;-゚) よく食欲あるね
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) でぃさんが一緒なので
(#゚;;-゚) ……
81
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:46:16 ID:LsIKYsNU0
∪゚ェ゚∪ いらっしゃい
(‘_L’)
(‘_L’) 何か 広告出てたんですって?
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ 何の?
(‘_L’) 指輪の
∪゚ェ゚∪ 150
(‘_L’)
(‘_L’) 広告の情報に金出すのか?
(‘_L’) 広告の意味わかるか?
∪゚ェ゚∪ 不要な時に広まらないのも広告の役目だ
(‘_L’)
∪゚ェ゚∪ どうする?
フィレンクトはコインを机に乱暴に置いた。
情報屋は端末をひっくり返してフィレンクトに見せる。
82
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:47:13 ID:LsIKYsNU0
(‘_L’)
フィレンクトはそれをまじまじと見て、写真を指さした。
(‘_L’) この男は?
∪゚ェ゚∪ 30
(‘_L’)
(‘_L’) 調査中だな?
∪゚ェ゚∪ ノーコメント
(‘_L’) ……じゃあ 伊藤でぃの情報
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ 1470
(‘_L’) また来る
情報屋が答えるか答えないかの前にフィレンクトは踵を返していた。
∪゚ェ゚∪ ……
83
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:48:45 ID:LsIKYsNU0
フィレンクトの鼻先に人影が現れた。
(#゚;;-゚) お……
(‘_L’) ……
フィレンクトは素知らぬ顔で横をすり抜けた。
( ,,^Д^)
フィレンクトはタカラの背中をにらみ、去っていった。
∪゚ェ゚∪ いらっしゃい
(#゚;;-゚) ……この会社の情報 ある?
∪゚ェ゚∪ ……んー?
情報屋は手渡された名刺を見ながら端末を弄った。
∪゚ェ゚∪ 15
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 何です?
(#゚;;-゚) 何も情報がないっていう事だと思う
( ,,^Д^) ……なるほど
( ,,^Д^) 十五万ですか?
でぃは懐から硬貨を取り出した。
(#゚;;-゚) これが十五枚
(#゚;;-゚) 現金との換算レートは 日によってまちまち
(#゚;;-゚) 大体最近は100倍で 1500かな
( ,,^Д^) へえ お安い
84
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:50:47 ID:LsIKYsNU0
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ タダで喋ってやろうか?
_,
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 何故です?
∪゚ェ゚∪ 交換条件ってやつだ
∪゚ェ゚∪ あんたが 自分の事を話す
∪゚ェ゚∪ 指輪付きでな
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) でぃさん
_,
(#゚;;-゚) ……
∪゚ェ゚∪ 営業がてらサービスしてやる
∪゚ェ゚∪ さっき機神の曾孫弟子が アンタの情報を買いに来た
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) この義指の作者 フィレンクト
( ,,^Д^) ああ
∪゚ェ゚∪ どうするね?
( ,,^Д^) そう言われても 話すことなんてないですが
(#゚;;-゚) ちょっと待って
(#゚;;-゚) そもそも この人を知らないって事ね
∪゚ェ゚∪
(#゚;;-゚) 今日はそれを聞きに来ただけだから
(#゚;;-゚) じゃ
( ,,^Д^) では
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ ……
85
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:53:22 ID:LsIKYsNU0
タカラは道で立ち止まった。
( ,,^Д^) あの
(#゚;;-゚) 何? ご飯に行くんじゃないの
( ,,^Д^) いや さっき気になって触ってみたんですけど
( ,,^Д^) 薬指が 取れなくなってるんですよ
(#゚;;-゚)
でぃは自分の義指を取り外し、嵌め直した。
(#゚;;-゚) 別に 私のは変わらないけど
( ,,^Д^) 血でひっついたんですかね
86
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:54:13 ID:LsIKYsNU0
タカラは取り外そうとして力を込めた。
(#゚;;-゚) ちょっと あんまり無理に
( ,,^Д^) キュポ
義指には指輪が引っ掛かっていた。
( ,,^Д^) あれ
タカラの手から義指と指輪がすっぽ抜けた。
でぃが俊敏な動きで受け止めようとすると、義指から煙が噴射した。
(#゚;;-゚) わ
義指はそのまま空高く昇って行った。
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^)
_.
(#゚;;-゚) ……やられた
( ,,^Д^) すいません
(#゚;;-゚) いや こんな手を使うなんて思わなかった
( ,,^Д^) フィレンクトさんの仕掛けですかね
( ,,^Д^) 前と同じ状況ですか?
_,
(#゚;;-゚) んー……
(#゚;;-゚) とりあえずフィレンクトの工房に行くよ
(#゚;;-゚) 指輪については 歩きながら説明する
87
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:55:22 ID:LsIKYsNU0
从リ ゚д゚ノリ ……
(‘_L’) どうです 本物でしょう
从リ ゚д゚ノリ いや それは確かだと思うけど
从リ ゚д゚ノリ 片方だけじゃ値はつかんよ
女が拡大鏡から目を離して、指輪を机に置いた。
(‘_L’) やはり
从リ ゚д゚ノリ じゃ また来い
(‘_L’) 協力してほしいんです
从リ ゚д゚ノリ
从リ ゚д゚ノリ 何で?
(‘_L’) 向こうは二人いるので
从リ ゚д゚ノリ じゃあ やめときなさいな
(‘_L’) 半額でどうです
女はフィレンクトの目をじっと見つめた。
88
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 20:57:15 ID:LsIKYsNU0
从リ ゚д゚ノリ 一応聞いとくけど どういう奴らが持ってた?
(‘_L’) 女の方は顔に痣 伊藤でぃ
从リ ゚д゚ノリ 伊藤……
(‘_L’) 男の方は 軟派そうなニヤけ面で
(‘_L’) 三日前までは 魔に関わっていない 一般人 かと
女の表情が緩んだ。
从リ ゚д゚ノリ 伊藤ペニサスの事は 知っとる?
(‘_L’)
(‘_L’) 知りません
从リ ゚д゚ノリ G県の元 名家 その党首
(‘_L’) そっち関係の?
从リ ゚д゚ノリ ま そやね
从リ ゚д゚ノリ この比翼の指輪の 持ち主と思われてる
(‘_L’)
从リ ゚д゚ノリ 昔見た品目帳ではな そうなっとった
(‘_L’) はあ……まあ どうでもいいです
(‘_L’) やらないんですか?
从リ ゚д゚ノリ
从リ ゚д゚ノリ ま やろか
89
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:00:30 ID:LsIKYsNU0
四話目の投下おわりました
続けて五話目の投下を始めます
90
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:03:29 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) あの指輪は家を出る時に貰ったの
(#゚;;-゚) たぶん 手切れ金がわりにね
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) あまり辛い話なら 言わなくてもいいですが
(#゚;;-゚) ……えっと
(#゚;;-゚) あの指輪は 比翼の指輪とも呼ばれてて
(#゚;;-゚) 二人の装着者が精神的な繋がりのもと
(#゚;;-゚) 様々な強化や恩恵に預かれる っていうものなの
タカラは早足のでぃに着いていくのに、若干息が上がりつつある。
( ,,^Д^) 比翼の鳥ですか? それにしては簡単に外れますね
(#゚;;-゚) 離婚 契約破棄は楽だけど たいてい薬指はそのままなんだよ
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) 心は最初の人のものになるって事 永遠に
( ,,^Д^) ……
(#゚;;ー゚) 狂った契約でしょ
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 嬉しいです
(#゚;;-゚) そう
91
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:05:02 ID:LsIKYsNU0
( ,,^Д^) いや ちょっと待ってください
でぃは立ち止まった。
(#゚;;-゚) ……疲れた?
( ,,^Д^) 休みたいのはそうですが
( ,,^Д^) 急がないと 不倫されるのでは?
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 私が付けてる間は あなた以外に付けられない
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) 裏を返せば 私から奪って揃えないと 価値がない
( ,,^Д^) ……じゃあ 彼の住処に行くのはまずいのでは?
(#゚;;-゚) 交渉で片を付けるの
(#゚;;-゚) 面を付き合わせないと 成功したことないから
( ,,^Д^) ……交渉
( ,,^Д^) 指輪の価値次第という気がします
(#゚;;-゚) 1500ぐらいかな
( ,,^Д^) 僕が出しますよ
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) その話は後でね
92
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:07:21 ID:LsIKYsNU0
从リ ゚д゚ノリ にじゅうさんまん
(‘_L’)
从リ ゚д゚ノリ 現金に直すと二千万か
(‘_L’) 工房を立て替えても お釣りが来る
从リ ゚д゚ノリ
从リ ゚д゚ノリ 山分けだぞ
(‘_L’)
从リ ゚д゚ノリ 私の手間賃も含めてないから もうちょっと減るぞ
(‘_L’) ……
从リ ゚д゚ノリ 嫌なら今からでも降りるから 査定代出せ
(‘_L’)
(‘_L’) いや やる
93
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:09:21 ID:LsIKYsNU0
でぃは工房のドアを開けた。
(#゚;;-゚) ……
(#゚;;-゚) おじゃまします
( ,,^Д^) おじゃまします
でぃは工房の中を見渡した。
(#゚;;-゚) ……
( ,,^Д^) 独特の匂いがしますね
(#゚;;-゚) 待たせてもらおうか
94
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:11:18 ID:LsIKYsNU0
( ,,^Д^) ……戦闘になるんですかね
(#゚;;-゚)
_,
(#゚;;-゚) ごめん そうか 連れてくるべきじゃなかった
( ,,^Д^) 喧嘩の方は からきしでして
( ,,^Д^) 教えていただけませんか
(#゚;;-゚) ……
(#゚;;-゚) 私は 格納 展開 凝固の術を使ってる
( ,,^Д^) はあ
(#゚;;-゚) 指を格納したのは 服にしまってる密閉した袋の中に 滑り込ませたの
(#゚;;-゚) 展開はその逆 俗にいう転送魔法の一種
(#゚;;-゚) 私は自分の体の近くにしか干渉できないし
(#゚;;-゚) 生物的なものは 自分の一部以外は抵抗が強すぎたりするから
(#゚;;-゚) 攻撃手段は自分の血を凝固させて使ってるの
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) 槍は まあ師匠が居るから それで戦い方を教わった
95
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:12:41 ID:LsIKYsNU0
( ,,^Д^) 魔法って すぐ覚えられます?
(#゚;;-゚)
_,
(#゚;;-゚) いや……うーん
(#゚;;-゚) 転送魔法は なぜか得手不得手があるんだよ
( ,,^Д^) はあ
(#゚;;-゚) いま 右手から空気を入れて 左手から空気を出してる
(#゚;;-゚) 触ってみて
タカラはでぃの左手を触った。
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) たしかに そよ風が
(#゚;;-゚) もう止めたから離して
タカラはでぃの左手を離した。
(#゚;;-゚) 何か つながってるような感じ した?
( ,,^Д^) 特には
(#゚;;-゚) じゃ 多分ダメだね
( ,,^Д^) うーん……
96
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:13:55 ID:LsIKYsNU0
(‘_L’)
从リ ゚д゚ノリ おるんか?
(‘_L’) いちゃついてるな
从リ ゚д゚ノリ おお 他人様の家で
(‘_L’) とにかく
(‘_L’) 俺が引き付ける 裏口から入って 奇襲を仕掛けろ
从リ ゚д゚ノリ 指輪を奪えばいいんだろ
(‘_L’) 血糊は拭きたくない
(‘_L’) 出来れば指だけで済ませてくれ
(‘_L’) じゃ 行ってくる
从リ ゚д゚ノリ ほい
97
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:15:32 ID:LsIKYsNU0
フィレンクトは工房に入った。
(‘_L’)
(#゚;;-゚) 来た
( ,,^Д^)
(‘_L’) いらっしゃい
(‘_L’) この間は どうもご迷惑を
(#゚;;-゚) 指輪は?
(‘_L’)
(‘_L’) ああ 義指が飛んできましたよ
(‘_L’) すみませんね 魔が差した時の仕掛けが残ってたみたいで
(#゚;;-゚) 出して
タカラはでぃをじっと見つめている。
(‘_L’) いやあ 自分で組んでおいてなんですが
(‘_L’) 指輪と義指が取り外せなくなりまして
(‘_L’) いま同業者に 信頼できる同業者にですね 相談に持って行って
フィレンクトはタカラを見やった。
(‘_L’) 手元にないんですよ 申し訳ないです
(#゚;;-゚) ……
98
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:17:11 ID:LsIKYsNU0
タカラの後ろから女が躍り出た。
(;,,^Д^) ッ! でぃさん!
(#゚;;-゚) !
でぃは振り返りざまに指輪の根本を爪で切り付けられた。
(#゚;;-゚) ……!
从リ ゚д゚ノリ
女は勢いでそのまま飛びのき、入口を背にして構えた。
(#゚;;-゚)
(;,,^Д^)
タカラはでぃの様子を伺いながら、女からも目を離さない。
(#゚;;-゚) 指輪は取られてない
从リ ゚д゚ノリ ……
(‘_L’) おや 盗人ですね
(‘_L’) 店の外でやって欲しいものですが
(#゚;;-゚) グルなんじゃないの?
(‘_L’)
(‘_L’) 心外な
99
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:18:09 ID:LsIKYsNU0
从リ ゚д゚ノリ ……いや アカン 指輪と内臓がつながってる
从リ ゚д゚ノリ 術具と体が紐づいてるパターンだわ
从リ ゚д゚ノリ 殺さないと取れない
フィレンクトは真顔で閉口した。
(#゚;;-゚) 誰に喋ってんの?
从リ ゚д゚ノリ フィレンクト お前に言ってんのじゃ
(‘_L’)
(‘_L’) 勘弁してくれよ
从リ ゚д゚ノリ お前だけ逃げ道用意すんのは ナシやろ
でぃはタカラの腕を引いて壁際に寄った。
(‘_L’) わかった 分かった
フィレンクトは机の上の銃を拾い、義手にコードを繋げた。
100
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:22:03 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) 逃げれそうなら逃げて
(;,,^Д^)
でぃは槍を生成してタカラの前で立ちはだかった。
(‘_L’) 実質二対一だ
(‘_L’) 殺されたくなかったら さっさと指輪を渡せ
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) いやだ
从リ ゚д゚ノリ
女がでぃに迫る。
でぃは槍を振るが、女は跳び上がって回避する。
女は落下中に、でぃを足で蹴り飛ばした。
(#‵;;-゚) い……
床に置かれた品々を砕きながら床に転がる。
(;,,^Д^) でぃさん!
フィレンクトは目の前に転がってきたでぃに向かって、銃を連射した。
でぃは逆方向に転がり、飛んで避ける。
101
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:23:27 ID:LsIKYsNU0
(‘_L’) 動くな
でぃが体勢を立て直すと、タカラが銃を突きつけられていた。
(#゚;;-゚) ……
(‘_L’) さ 渡せ
(;,,^Д^) ……だ ダメです 無駄ですよ
(‘_L’) なに?
(;,,^Д^) 僕は 既に 指輪の契約をしました
(;,,^Д^) もう一般人じゃない
从リ ゚д゚ノリ
(‘_L’) ズレた事を言うな だからといって契約者であることに変わりはない
102
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:24:13 ID:LsIKYsNU0
タカラはフィレンクトに近づいていく。
(;,,^Д^) 僕は仮住まいを提供しただけです
(;,,^Д^) でぃさんが僕を見捨てる理由はいくらでもあります
(‘_L’) おい 近づくなよ
(;,,^Д^) 一度は契約破棄を言い渡されました
(;,,^Д^) 僕を見捨てて逃げれば
タカラは銃口を胸に当てた。
(‘_L’) ……
(;,,^Д^) 後であなたたちを闇討ちすればいい あるいは
(;,,^Д^) あなたの敵対組織にでも指輪を売り込めばいい
103
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:27:56 ID:LsIKYsNU0
フィレンクトはタカラの顔を伺ってから、少しでぃに注意を向けた。
(#゚;;-゚) ……
从リ;゚д゚ノリ ……バカ!
タカラはフィレンクトの膝を蹴り上げた。
( _L ) ……ッ
よろけたフィレンクトが銃を数発乱射した。
タカラは目を細めながら、続けざまに頭に拳をたたき込んだ。
でぃは女に向かって突進した。
从リ;゚д゚ノリ チ……ッ
女は裏口の方に逃走した。
でぃは裏口を注視していたが、すぐにフィレンクトを押さえつけているタカラに近づいた。
104
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:29:15 ID:LsIKYsNU0
( _L ) ……
(;,,^Д^) !
タカラがフィレンクトの上から飛びのく。
(;,,^Д^) 腕が!
立ち上がるフィレンクトの義腕が赤く色づいていき、湯気を発し始めた。
(‘_L’)
フィレンクトは腕をタカラ達の方に構えた。
でぃが一歩踏み出すと同時に、タカラがでぃの前に腕を広げた。
(‘_L’) 燃えろ!
フィレンクトの腕から後ろ向きに火炎が放射された。
( ,,^Д^) ……
(#゚;;-゚) ……
(‘_L’) ……?
腕からの火炎放射を止め、後ろを振り返る。
すると一つの魔道具がフィレンクトの上半身を巻き込んで燃え上がった。
(#゚;;-゚) 出るよ
声にならない叫びを背に受けながら、でぃはタカラの腕を引いて店を飛び出した。
105
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:30:38 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) ……
でぃが出てきてすぐに、工房の方を伺っている。
(#゚;;-゚) 来た
工房から炎上している人影がこちらに走ってくる。
でぃは槍を作って構えた。
( ,,^Д^) ……でぃさん
(#゚;;-゚) なに
( ,,^Д^) 僕の血を使えば 火を消せませんか?
(#゚;;-゚)
でぃは槍を球に変えていく。
左手で後ろ手にタカラの左手を掴む。
(#゚;;-゚) 変なところで お人好しなんだね
でぃはバランスボールほどの血で出来た水球を投げつけた。
フィレンクトから火と水が衝突する音が聞こえて、彼はそのまま呆然と立ち尽くした後、その場に倒れ込んだ。
106
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:31:47 ID:LsIKYsNU0
タカラは近くの公園で消防に電話をかけた。
( ,,^Д^) ええ ○○番地です
( ,,^Д^) よろしくお願いします では
(#゚;;-゚) ……
でぃは顔面蒼白の状態でタカラの腕にしがみ付いていた。
(;,,^Д^) どうしたんです?
(#゚;;-゚) うまく 出来なかった 殆ど私の血液だったんだと思う
(;,,^Д^) 救急車 呼びますか?
(#゚;;-゚) ……水飲む
タカラが連れ添う形で水飲み場まで連れて行き、
でぃは時折せき込みながら、水分を摂取した。
(#゚;;-゚) 寝かせて
(;,,^Д^)
107
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:33:10 ID:LsIKYsNU0
( ,,^Д^) ふん!
タカラはでぃを気合と共に持ち上げた。
(#゚;;-゚) ……
ベンチまで連れて行き、寝かせた。
(#゚;;-゚) 膝枕
( ,,^Д^)
タカラはでぃの上半身を抱え上げ、滑り込んで膝に頭を乗せた。
(#゚;;-゚) 左手
タカラが左手を所在なさげにでぃの顔の前に浮かせると、
でぃは自身の左手を絡めて頬に押し付けた。
( ,,^Д^) ……すみません
(#゚;;-゚) 何が……?
( ,,^Д^) 僕が助けようなんて わがままを言ったせいで
(#゚;;-゚) ……そっちなんだ
( ,,^Д^) すみません 他にも何か
(#゚;;-゚) でぃさんが僕を見捨てる理由はいくらでもあります
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) しかしアレは あわよくば でぃさんが逃げても良いと伝えるために
(#゚;;-゚)
でぃはタカラの手に少し力を込めた。
(#゚;;-゚) 演技だったんだよね
( ,,^Д^) いや でぃさんが逃げられれば 最悪それでいいと
(#゚;;-゚) ふぅん……
108
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:34:48 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) ……さっきの人だ
公園の入り口から、女が近づいてくる。
从リ ゚д゚ノリ ……
(#゚;;-゚) 私を持ち上げて走れる?
( ,,^Д^) やってみますよ
从リ ゚д゚ノリ あ ちょい待ち ほれ
女は何か煌めくものを投げつけた。
でぃは一度それを貫こうと針を射出したが、投擲物の中心を通り抜けた。
( ,,^Д^)
タカラは投擲物を右手で受け止めた。
( ,,^Д^) 指輪だ
(#゚;;-゚) ……どういうつもりなの
从リ ゚д゚ノリ いやな もともと殺すつもりなんて無かったんじゃ
从リ ゚д゚ノリ 指を切るか 脅しで奪えれば良かった
(#゚;;-゚) ……
从リ ゚д゚ノリ 一つ盗まれた時点で 荒事専門の奴らに頼らんかったちゅう事は
从リ ゚д゚ノリ あんただって 脛に傷あるんだろ
( ,,^Д^) ……
从リ ゚д゚ノリ 売りたくなったら来てくれ
从リ ゚д゚ノリ お高くさせてもらうわ
从リ ゚д゚ノリ ま 無いだろうけど
女は公園から出て行った。
109
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:35:56 ID:LsIKYsNU0
(#゚;;-゚) ……
( ,,^Д^) あの
(#゚;;-゚) 昔の事 気になる?
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 気に なりますね
(#゚;;-゚) そのうち話すよ
(#゚;;-゚) それより 指輪
タカラは差し出された右手の、人差し指と親指の間に指輪を挟んだ。
でぃは絡めていたタカラの左手の薬指に指輪をはめた。
( ,,^Д^) ありがとうございます
(#゚;;-゚) ……ん
でぃは名残惜しそうに左手を離し、上体を起こした。
( ,,^Д^) もう大丈夫ですか?
(#゚;;-゚) たぶん
(#゚;;-゚) ……ご飯に行きたい
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 何が食べたいですか
(#゚;;-゚) さかな
110
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:36:53 ID:LsIKYsNU0
5.引き合う孤独を
111
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/21(日) 21:41:33 ID:LsIKYsNU0
五話投下おわりました
次は明日投下する予定です
感想レスありがとうございます
励みになってます
112
:
名無しさん
:2024/04/21(日) 22:19:15 ID:TRRBfK7k0
乙です。
明日も楽しみ!
113
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:15:25 ID:GMlVQDW.0
六話投下します
114
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:18:36 ID:GMlVQDW.0
閑静な住宅街の一角に、平日の真昼間からインターホンが鳴った。
( ^ω^)
鳴らした男が鳴らした家の外観を見上げる。
男が柔和な笑顔を保ったまま数分待った後で、ゆっくりと老年に近い女性が扉から顔を覗かせる。
lw´‐ _‐ノv 何か?
( ^ω^) いや〜 どうもですお
( ^ω^) 警察ですお
lw´‐ _‐ノv
女性は表情を動かさなかった。
( ^ω^) 砂尾タカラ君の事で お話が
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv 何でしょう?
115
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:19:46 ID:GMlVQDW.0
( ,,^Д^) お疲れ様です
( ・3・) お ちょっと待て
( ,,^Д^) 何です?
( ・3・) ハナ金だぞ 飲みに行かん?
( ,,^Д^) いや すみません 明日予定があるので
( ・3・) そっか
( ,,^Д^) じゃ お疲れ様です
リi、゚ー ゚イ`! お疲れ様でーす
( ・3・) お疲れ様
大上は数分ほど使って机の上のものを片付けた。
リi、゚ー ゚イ`! じゃ 私も 失礼します
( ・3・) お疲れ
( ・3・)
( ・3・) ……
116
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:21:15 ID:GMlVQDW.0
大上はビル街を歩いている。
リi、゚ー ゚イ`!
マト#>Д<)メ ちょっといいですか?
リi、゚ー ゚イ`!
大上は一瞬動きを止めたが、気づかなかった振りを装い、横をすり抜けようとした。
マト#>Д<)メ 砂尾タカラの事を お聞きしたいんですが
大上はマトマトの言葉が言い終わるまでには、彼女の方に顔を向けていた。
リi、゚ー ゚イ`! 今の彼女さん?
マト#>Д<)メ
マト#>Д<)メ いえ 恋人の……友人です
117
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:22:29 ID:GMlVQDW.0
6.恋する事を
118
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:24:00 ID:GMlVQDW.0
タカラが寝袋の中で目を覚ますと、まずベッドの方に目を向けた。
( ,,^Д^)
でぃの寝息に耳をそばだてつつ、務歯を一つ一つ開くように慎重にファスナーを下ろした。
合成繊維の擦れる音を立てないよう寝袋から抜け出し、
台所に向かってやかんに水を注ぎ、火にかけ、カップにドリップコーヒーの袋を置いた。
やかんから湯気が昇る頃には、でぃはベッドから起き出した。
(#゚;;-゚) おはよ ちょっとごめん
でぃはタカラの後ろをすり抜けてトイレに入った。
でぃが出てくると、タカラは振り返ってコーヒーをカップを渡した。
( ,,^Д^) おはようございます
(#゚;;-゚) ありがと
でぃが椅子に座ってコーヒーをこまめに飲むのを眺めつつ、タカラは自らもコーヒーを啜った。
( ,,^Д^) 今日は どうするんですか?
(#゚;;-゚) ……マトマトと戦ったとこに行こうと思う
(#゚;;-゚) 確認したいこともあるし
( ,,^Д^) 確認したいこと
(#゚;;-゚) えっと……
(#゚;;-゚) あなたが爆弾を抱えた時 どのくらい飛んだんだろうと思って
119
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:25:26 ID:GMlVQDW.0
大上は店に入り、手を振るマトマトを認めて近づいてきた。
マト#>Д<)メ 来ていただけないかと思いました
リi、゚ー ゚イ`! また会社の前で張られても困るし
マト#>Д<)メ ご迷惑をかけて 申し訳ありません
リi、゚ー ゚イ`! いいんだけど
大上は対面に座ってカバンを隣の席に置いた。
リi、゚ー ゚イ`! 何の話だっけ?
マト#>Д<)メ 砂尾タカラの事を
リi、゚ー ゚イ`! ……はいはい
リi、゚ー ゚イ`!∩ すみませーん
从゚_'゚) はい
リi、゚ー ゚イ`! アイスコーヒーを一つ
リi、゚ー ゚イ`! あなたは何か?
マト#>Д<)メ もう頼みました
リi、゚ー ゚イ`! そう
リi、゚ー ゚イ`! じゃ 以上で
从゚_'゚) はい
リi、゚ー ゚イ`!
マト#>Д<)メ
リi、゚ー ゚イ`! 付き合ってたの
120
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:27:43 ID:GMlVQDW.0
男は出された茶を一気に飲み干した。
( ^ω^) ごちそうさまですお
lw´‐ _‐ノv
女は反応を返すこともなく、自らの茶をちびちびと舐めている。
( ^ω^) 息子さんの事を お聞かせ願いたいのですが
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv 最近は 電話もかけてこないので 何も
( ^ω^)
( ^ω^) 最近というのは?
lw´‐ _‐ノv さあ 一年か 二年か
( ^ω^) ……では 息子さんの近況などは 知らないと
lw´‐ _‐ノv はい
( ^ω^) 最後に会ったのは?
lw´‐ _‐ノv ……四年 ほど前ですかね
( ^ω^) その時はどんな様子でした?
lw´‐ _‐ノv いつもと 変わりません
121
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:28:51 ID:GMlVQDW.0
( ^ω^)
( ^ω^) いつもは どのような
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv 会ってみれば 分かりますよ
女の雰囲気が和らぎ、男は眉根を寄せた。
( ^ω^) この方たちを知っていますか?
男が懐から取り出した写真はフィレンクト、指輪を投げ返した女、マトマトのものだった。
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv 知りません
( ^ω^) そうですか ご協力ありがとうございますお
男は急いだ様子で席を立ち、足早に家を出て行った。
女は玄関から出ていく男を見送った後、席に戻って茶を飲み続けた。
122
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:30:00 ID:GMlVQDW.0
でぃは鉄骨を指し示した。
(#゚;;-゚) ここから あそこに飛んだんだよ
( ,,^Д^)
でぃの立っている位置から鉄骨の先までは、優に10メートルはある。
( ,,^Д^) 信じられませんねぇ
(#゚;;-゚) だろうね
( ,,^Д^) しかしまあ 落ちながらも進んで爆弾に追いついたと考えると 不自然ではないんですかね?
(#゚;;-゚) うーん……
(#゚;;-゚) 加速 筋肉か脚力の強化 浮遊
(#゚;;-゚) 何かピンとくる?
( ,,^Д^) いやあ 別段
(#゚;;-゚) ……うーん
(#゚;;-゚) じゃあ 得意な術は後にして
(#゚;;-゚) とりあえず ランニングしようか
123
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:31:55 ID:GMlVQDW.0
大上はコーヒーを飲んでから、長い沈黙を破った。
リi、゚ー ゚イ`! 一緒に仕事した時だよ
リi、゚ー ゚イ`! とりあえず何とか落ち着きましたね って言った後に告白されて
リi、゚ー ゚イ`! 付き合ってくださいとか 真正面から言うの 成人してから聞いたことなかったから
リi、゚ー ゚イ`! ちょっと 面白いかなって
マト#>Д<)メ
マト#>Д<)メ それで
リi、゚ー ゚イ`! ……
リi、゚ー ゚イ`! この歳で 恋人になるってことはさ
リi、゚ー ゚イ`! それなりに お互い 下心があるもんじゃん
リi、゚ー ゚イ`! いや ごめん 他の人の事は分からないけど
マト#>Д<)メ
大上はマトマトの多少しかめた顔に、口を近づけた。
リi、゚ー ゚イ`! 一度も 誘われなかった
124
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:33:14 ID:GMlVQDW.0
潜めた声を紡いだ後に、大上は背筋を伸ばして笑った。
リi、゚ー ゚イ`! こっちから誘えばさ 喜びはするんだよ
リi、゚ー ゚イ`! でもねぇ……
リi、゚ー ゚イ`! 恋愛を 楽しんでる感じでもなかったし
リi、゚ー ゚イ`! 同僚としての尊敬も感じられて
大上はそこで備え付けられたミルクを加えた。
マト#>Д<)メ 彼は 男として不適格だったと?
リi、゚ー ゚イ`! ……ふふふ
マト#>Д<)メ 何か 失礼な事を言いましたか?
リi、゚ー ゚イ`! ううん
大上はコーヒーを飲んだ。
リi、゚ー ゚イ`! いい人なんだよ
リi、゚ー ゚イ`! 結婚を考えたくらい ほんのちょっとね
マト#>Д<)メ
リi、゚ー ゚イ`! でも 私じゃないな っていう
マト#>Д<)メ ……それは どうして
リi、゚ー ゚イ`! 何となく分かるんだよ
リi、゚ー ゚イ`! コイツは……心ここにあらずだって
125
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:35:02 ID:GMlVQDW.0
男は新聞を大きな机の上に広げている。
八個の椅子が並ぶテーブルが、一人の男だけの占有となっている。
イレ - -)' あの
この図書館の司書であろう女性が男に話しかける。
( ^ω^) お?
イレ - -)' そろそろ その 学生が来る時間帯なので
( ^ω^) すいませんお
男は口で謝りながら、新聞を片付けるそぶりを見せなかった。
イレ - -)' ……
女はあきらめた様子で、元居た場所に戻っていった。
男はそれから数十分、数多の新聞紙を睨みつけていた。
( ^ω^)
それから意を決したように立ち上がり、新聞を少しぞんざいな扱いで元あった場所に戻して、図書館を出て行った。
126
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:36:29 ID:GMlVQDW.0
タカラは息を切らしていた。
(#゚;;-゚) ……
(;,,^Д^) はあ はあ
(#゚;;-゚) 肉体強化でないのは 間違いないかな
(;,,^Д^) そのようで
(#゚;;-゚) 休憩しよっか
(;,,^Д^) はい
二人は廃墟に戻って、コンビニで買ったサンドイッチなどを食べ始めた。
( ,,^Д^) でぃさんは どうやって得意 不得意に気が付いたんです?
(#゚;;-゚) ……んー
でぃは懐からコインを一つ取り出して上に投げ、左手でつかんだ。
そして右手も握りこぶしを作り、タカラの前に差し出す。
(#゚;;-゚) どっちでしょう
( ,,^Д^) 左ですよね
(#゚;;-゚) はい
でぃは両手を開く。
右手にコインが入っている。
(#゚;;-゚) こういうことが 起こったの
( ,,^Д^) なるほど
127
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:38:10 ID:GMlVQDW.0
男は住宅のインターホンを鳴らした。
( ^ω^)
(;;・∀・;;) はい
( ^ω^) どうもですお
(;;・∀・;;) 誰さん?
( ^ω^) K県の警察ですお
(;;・∀・;;) ?
( ^ω^) 10年ほど前の炉度教団の会館を買い上げた件についてお聞きしたいんですお
(;;・∀・;;)
(;;・∀・;;) あれ もしかして 魔術関連の方?
( ^ω^)
( ^ω^) そうですお
(;;・∀・;;) へえ…… なんか上手く繋がんないけど
(;;・∀・;;) 上がってよ
( ^ω^) どうもですお
128
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:39:59 ID:GMlVQDW.0
タカラの右手は空を切った。
そこにあったはずのでぃの左腕は、タカラの胴体を抱え込んで押し倒した。
( ,,^Д^) うわ
(#゚;;-゚) ……
タカラの腹に座ったまま、でぃは廃墟の方に顔を向けた。
(#゚;;-゚) ちょっと 待ってて
でぃはそのまま立ち上がって廃墟に向かって、すぐに戻ってきた。
( ,,^Д^) どうしました?
(#゚;;-゚) マトマトが来るって
( ,,^Д^) はあ
(#゚;;-゚) じゃ それまでにもう何回か
( ,,^Д^) いや あの
(#゚;;-゚) なに
( ,,^Д^) でぃさんが相手では あまり本気になりづらいです
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) じゃ 筋トレだね
129
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:42:41 ID:GMlVQDW.0
男は溜息をついた。
( ^ω^) じゃあ 自滅ですかお?
(;;・∀・;;) はたから見ればね
( ^ω^) ……
(;;・∀・;;) 教主は収監されてるはずだから そっちに聞いた方が良いかもね
( ^ω^) ? 詐欺で引っ掛けたなら 10年そこそこで出てくるのでは?
(;;・∀・;;) 再犯だよ
(;;・∀・;;) といっても空き巣や万引きだがね
( ^ω^)
( ^ω^) ありがとうございますお
130
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:46:34 ID:GMlVQDW.0
でぃは馬乗りになってタカラの腕立て伏せの負荷になっていた。
マトマトはでぃとタカラを見つめたまま、しばらく静止していた。
マト#>Д<)メ ずいぶん仲良くなったみたいですね
でぃはタカラが上体を下げた際に降り、マトマトに向き直った。
(#゚;;-゚) 何かあったの?
マト#>Д<)メ いや……大した話じゃないんですが
マト#>Д<)メ 砂尾タカラに話があって
(;,,^Д^) ……何でしょう
タカラは極めて遅い動作で立ち上がり、肩で息をしながら返事をした。
マト#>Д<)メ 別に咎めるつもりもないんですけどね
マト#>Д<)メ 大上さんから 忘れらない女性がいらっしゃると お聞きしました
131
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:48:04 ID:GMlVQDW.0
タカラの息が止まった。
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) そうなの
(;,,^Д^) いや……
マト#>Д<)メ お嬢様の事が遊びでないなら 私も文句はありませんが
(;,,^Д^) いやいや まさか!
(;,,^Д^) それに その女性って誰の事です?
マト#>Д<)メ 御記憶にないと?
(;,,^Д^)
(;,,^Д^) ない ですね
(;,,^Д^) 大上さんから 本気に見えないみたいな事を 言われたのは覚えてます
マト#>Д<)メ
(#゚;;-゚) 大上さんって?
マト#>Д<)メ この人の元カノです
(#゚;;-゚) ふぅん……
でぃはタカラから視線を外し、部屋の隅を眺めた。
(;,,^Д^)
(;,,^Д^) いや ホントに……覚えがないんですよ
132
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:49:20 ID:GMlVQDW.0
男がガラスの向かいに居る相手をにらんだ。
(::゚:゚:)
( ^ω^) どうも
(::゚:゚:) お前は?
( ^ω^) K県警 魔術関係のものですお
(::゚:゚:) ふむ
( ^ω^) 砂尾タカラという名前に聞き覚えは?
(::゚:゚:) ……まあ 珍しくない苗字だな
( ^ω^)
( ^ω^) では砂尾シュールは?
男は砂尾シュールの写真を取り出して、相手に見せた。
(::゚:゚:)
(::゚:゚:) 信者に居た 記憶がある
133
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:51:36 ID:GMlVQDW.0
( ^ω^)
( ^ω^) 何をさせてたお?
(::゚:゚:) G県の伊藤家を知っているだろう
( ^ω^) ……
(::゚:゚:) 今はもう完全に没落貴族だ
(::゚:゚:) しかし あの時 あの家は盛り返しつつあった
(::゚:゚:) 表沙汰にはなっていないが 大きな仕事を片付けたようでな
( ^ω^) さっさと要点を言えお
(::゚:゚:) ……伊藤家の娘を絆すため 何人かの信者の子供を遊ばせた
( ^ω^)
(::゚:゚:) ウチの運命論を利用した教えも 親を説得するのに相性がよかった
(::゚:゚:) あの娘と お宅の息子が結ばれれば幸せになれる などと言って
(::゚:゚:) しかし
(::゚:゚:)
( ^ω^) ……なんだお
(::゚:゚:) 娘は死んだ
( ^ω^)
(::゚:゚:) 二人居た方の片方がな もう片方は顔も知らん
(::゚:゚:) それから私は落ちた
(::゚:゚:)
(::゚:゚:) 万引きの話も必要か?
( ^ω^)
( ^ω^) いや どうもだお
134
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:54:01 ID:GMlVQDW.0
六話投下終わりました
続けて七話投下します
135
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:55:39 ID:GMlVQDW.0
でぃは情報屋の扉を開けて入ってきた。
∪゚ェ゚∪ ……なんだ
(#゚;;-゚) 仕事ない?
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ もう一回 言ってくれ
(#゚;;-゚) 仕事 ない? 私にできるやつ
∪゚ェ゚∪
(#゚;;-゚) いくらなの
∪゚ェ゚∪ ……言いたい事は いくつかあるが
∪゚ェ゚∪ まずお前 尾けられたな
(#゚;;-゚)
でぃは入口を振り返った。
男が塞ぐように立っている。
( ^ω^) どうもですお
136
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:56:35 ID:GMlVQDW.0
( ・3・) ……
リi、゚ー ゚イ`! おはようございます
( ・3・) おはよう
リi、゚ー ゚イ`!
ぼるじょあは左手全ての指を使って、ペンを握り込んでいた。
リi、゚ー ゚イ`!
大上は何も見なかったように自分の席に着いた。
137
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:57:40 ID:GMlVQDW.0
∪゚ェ゚∪ 雇われか
( ^ω^) おお 情報屋は話が速いお
(#゚;;-゚) ……なに? 雇われ?
∪゚ェ゚∪ 目の前に本人が居るんだ サービスしといてやる
∪゚ェ゚∪ こいつは警察における 魔術を専門にした部署の 派遣だ
(#゚;;-゚) ああ
(#゚;;-゚) 派遣制度が あるんだ
( ^ω^) まあ 僕のことは良いお
( ^ω^) 伊藤でぃさん
(#゚;;-゚)
( ^ω^) 砂尾タカラの事 知りたくないかお?
でぃは男の顔をじっと見つめた。
∪゚ェ゚∪ なにか分かったのか?
( ^ω^) 君には言ってないお
(#゚;;-゚) ……私は
( ^ω^)
(#゚;;-゚) 彼が話すまで 聞くつもりはない
( ^ω^)
( ^ω^) 伊藤しぃという女の子が居たおね
( ^ω^) 彼は 彼女の仇を取るつもりだお
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) は?
138
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 21:59:18 ID:GMlVQDW.0
( ^ω^) N県S市の炉度教会館における 伊藤しぃ惨殺事件
( ^ω^) 砂尾タカラは そこに居たんだお
(#゚;;-゚)
( ^ω^) 彼は伊藤しぃへの作られた恋慕を利用され
( ^ω^) さらに伊藤家そのものを逆恨みで潰そうとしている
(#゚;;-゚) ……話が見えない
∪゚ェ゚∪ そうだ 順を追って説明しろ
( ^ω^)
( ^ω^) 公園に行くお
(#゚;;-゚) ここでして
( ^ω^) ……この情報屋が タカラにバラすかもしれんお
( ^ω^) そこまで信用してるのかお?
(#゚;;-゚) あなたよりはね
∪゚ェ゚∪
情報屋は端末を操る手を止めた。
139
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:00:08 ID:GMlVQDW.0
( ^ω^) ……
( ^ω^) タカラはN県S市の隣の市に生まれたお
(#゚;;-゚) それは 本人から聞いた
( ^ω^) 母親が炉度教の信者だったことは?
(#゚;;-゚) 知らない
( ^ω^) 母親は 金銭的な面では熱心な信者とは呼べなかったお
( ^ω^) だからこそ 伊藤家の力を求める教主に息子を差し出したお
( ^ω^) 伊藤しぃを篭絡する 遊び相手の一人として
(#゚;;-゚)
でぃは男の顔から眼をそらし始めた。
さらに足は落ち着きなく動いている。
140
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:01:12 ID:GMlVQDW.0
( ^ω^) あなたが あの時 現場に居たかどうかは知りませんお
( ^ω^) しかし いつも通りの招待に応じた伊藤しぃは
( ^ω^) 信者たちの前で殺された
(#゚;;-゚) うん
( ^ω^) ……教主の狙い通りでなかったのは明白だお
( ^ω^) 教主は今 再犯で刑務所に居るお
(#゚;;-゚)
でぃは息を吸い込んで、深く項垂れた。
男はその様子を見てから続ける。
( ^ω^) ここからは完全に推測だけど
( ^ω^) 彼は伊藤家に問題があったんだと考えたんだお
( ^ω^) だから あなたを見た時に 利用できると判断したお
(#゚;;-゚) ……
( ^ω^) 彼は真相を明らかにし
( ^ω^) 事によっては伊藤家を襲撃すると思うお
141
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:02:44 ID:GMlVQDW.0
(#゚;;-゚) ……言いたいことは 分かった
( ^ω^)
(#゚;;-゚) しぃ……か
妹の名前を呼びながら、視線は床の上を漂っている。
そのうち目を細め、睨みつけるかのように見つめていた。
( ^ω^) 彼に高岡組の話をしてくれないかお?
(#゚;;-゚) ……
( ^ω^) 高岡組はこの辺りの 暴力という手段を持つ輩だお
( ^ω^) もちろん 術師もいるお
( ^ω^) その組が伊藤家を襲撃するという 嘘情報を流すお
∪゚ェ゚∪ ……どういう狙いだ?
情報屋が少し身を乗り出しつつ口を挟んだ。
( ^ω^) もちろん それで高岡組を探ったりしたら 有罪という事だお
∪゚ェ゚∪ 砂尾タカラが 他人に頼るとは限らん
( ^ω^) だとしたら なおさらだお
( ^ω^) 砂尾タカラは情報を掴み 計画を早めるはず
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 分かった
でぃは男の顔を見ずに答えた。
( ^ω^) ありがとうだお
( ^ω^) 嘘の集会場所だお
男はでぃにメモを手渡して、店を出て行った。
142
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:04:02 ID:GMlVQDW.0
(#゚;;-゚)
∪゚ェ゚∪ 話すのか?
(#゚;;-゚) ……話すよ
∪゚ェ゚∪
でぃはメモを摘まみながら見つめていたが、焦点は床の方に合っていた。
∪゚ェ゚∪ 言いたいこと 二つ目だ
∪゚ェ゚∪ ここは職業斡旋所じゃない
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) ……じゃあ そういう情報は売ってないの?
でぃは情報屋の方に振り向いた。
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ 売ってるが
(#゚;;-゚) ……
143
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:05:02 ID:GMlVQDW.0
∪゚ェ゚∪ 俺のところに来る雑用なんざ 高岡組が一枚噛んでるものばかりだ
∪゚ェ゚∪ ケツ持ちも そこだしな
∪゚ェ゚∪ そういうのを 彼氏が許すなら 教えてやる
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) ありがと 帰る
∪゚ェ゚∪ おう
でぃは店を出て行った。
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ サービスには ほど遠いが
144
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:05:43 ID:GMlVQDW.0
タカラが会社から出てくると、道の反対側から手を振る人影を見つけた。
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚)ノシ
タカラが車に気を付けながら近づくと、でぃはタカラの袖をつかみ、数秒もすると離した。
( ,,^Д^) どうしたんです?
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 帰ったら 話がある
( ,,^Д^)
それからタカラとでぃは連れ添って歩いた。
道中に会話はなかった。
タカラは駅に着き、財布を開いた。
( ,,^Д^) 切符代です
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) いいよ
でぃは懐から小銭入れを取り出して切符代を払い、共に電車に乗った。
145
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:07:21 ID:GMlVQDW.0
家に着くとでぃはベッドに座り、無言で家主の着替えを待った。
( ,,^Д^) ……話って何でしょうか?
部屋着に着替えたタカラに向かって、メモを差し出した。
(#゚;;-゚) 私の実家を 襲おうとしている人たちが居るんだって
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) 情報屋に教えてもらって これが 今日の集会所のメモ
タカラはメモを見て言った。
( ,,^Д^) ……ご実家に 連絡は取ったんですか?
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) いやもう 縁を切った家だから
( ,,^Д^) しかし……
146
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:08:27 ID:GMlVQDW.0
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) あんまり 気負わずに聞いて欲しいんですが
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) うん
( ,,^Д^) 家が残っている というのと家族が生きている というのと
( ,,^Д^) 当たり前すぎて いざ無くなるとショックを受ける
( ,,^Д^) そういう事って あると思うんです
( ,,^Д^) 僕は……僕も 偉そうなこと言えないんですけど
(#゚;;-゚) ……うん
( ,,^Д^) 僕はでぃさんが ご実家でどういう生活をして
( ,,^Д^) ご家族と どう接していたか 知りません
( ,,^Д^) だから 他人の意見として聞いてください
( ,,^Д^) でぃさんは これを知らせずにいて 後悔しませんか?
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) あの
( ,,^Д^) ボク よく 詐欺師みたいだって言われるんです
( ,,^Д^) だから……
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 僕の意見に 従わなくても いいです
( ,,^Д^) ご実家に居る方の声を聞きたくないなら やめてください
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) ……ん
147
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:09:33 ID:GMlVQDW.0
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) でぃさんも 出歩くのは危ないでしょうから 今日はサッサと寝ましょうか
でぃは口の開閉を繰り返した。
タカラは気づかずに立ち上がり、スイッチの方に近づく。
(#゚;;-゚) ……もう一つ いいかな?
( ,,^Д^) 何でしょう?
(#゚;;-゚) 私は 代わりじゃないよね?
( ,,^Д^)
タカラはでぃに背中を見せたまま動けなくなった。
でぃはその様子を見守っていたが、すぐにしびれを切らした。
(#゚;;-゚) ごめん
( ,,^Д^)
タカラはでぃが隠れた布団を剥がし、強引に肩を抱き、痣と唇に口づけした。
(#゚;;-゚)
(;,,^Д^)
タカラは自らの所業にショックを受けたかのようにしばらく固まっていたが、
やがてでぃを離して、距離を取った。
(;,,^Д^) すみません
(#゚;;-゚)
でぃは焦らすように、あるいは自らの覚悟を試すかのように、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。
148
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:10:43 ID:GMlVQDW.0
男はメモに書かれた建物に入る道の前で、車の乗り込んだまま時折舟をこぎながら待っていた。
数十分ごとに車から出て、周りの様子を伺い、また座席に座り体を抱え込んだ。
( ´ω`)
( ´ω`) ……
男は既に二回の職務質問にあっていた。
男はさらに数時間ののち、車を動かして去っていった。
149
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:11:41 ID:GMlVQDW.0
7.あの花に口づけを
150
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:14:06 ID:GMlVQDW.0
七話投下しました
続けて八話の投下を開始します
151
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:15:40 ID:GMlVQDW.0
タカラはベッドから落ちた。
でぃはその音で体を強張らせた。
(#゚;;-゚) ……大丈夫?
(;,,^Д^) 大丈夫です
タカラは起き上がって伸びをした。
(#゚;;-゚) ごめんね 狭くして
( ,,^Д^) いえ こちらこそ起こしちゃいましたか
(#゚;;-゚) もう起きてはいたよ
でぃは大きくあくびをした。
(#-;;ㇿ-) ふゎ
(#゚;;-゚) おはよ
( ,,^Д^) おはようございます
152
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:17:33 ID:GMlVQDW.0
男が店に入ってきた。
∪゚ェ゚∪ いらっしゃい
( ´ω`)
∪゚ェ゚∪ ご注文は?
( ´ω`) 砂尾タカラに情報を渡したかお?
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ 20
男はためらいなく支払った。
∪゚ェ゚∪ 何も言ってない 俺はな
( ´ω`) はー……
∪゚ェ゚∪ シロか?
( ^ω^) まだ 分からないお
153
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:18:48 ID:GMlVQDW.0
大上はタカラの席に近づいてきた。
リi、゚ー ゚イ`! 砂尾さん
( ,,^Д^) はい?
リi、゚ー ゚イ`! この画像って何で作るんです?
( ,,^Д^) ああ……このソフトです
リi、゚ー ゚イ`! 申請要るんですか?
( ,,^Д^) いや インストールの必要ないので
リi、゚ー ゚イ`! へー
リi、゚ー ゚イ`! URL送ってくれます?
( ,,^Д^) ……はい 送りました
リi、゚ー ゚イ`! ありがとうございます
リi、゚ー ゚イ`!
大上が立ち退く気配が感じられないので、タカラは振り返った。
リi、゚ー ゚イ`! 指輪はないんですね
大上はタカラの左手に注目していた。
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) ああ マトマトさんから聞いたんですか?
( ,,^Д^) まだちょっと 届けも出してないんで
リi、゚ー ゚イ`! あ すみません 立ち入った事を
リi、゚ー ゚イ`! じゃあ ありがとうございました
( ,,^Д^) いえいえ
154
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:20:25 ID:GMlVQDW.0
でぃは情報屋の店に入った。
(#゚;;-゚)
∪゚ェ゚∪ ……いらっしゃい お嬢さん
(#゚;;-゚) 高岡組以外の仕事はないの?
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ その話か
∪゚ェ゚∪ そもそも何で仕事が欲しいんだ?
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 共働きなんて珍しくもないでしょ
でぃは早口でまくし立てた。
言い訳がましい口調を聞き、情報屋は思わず鼻で笑う。
∪゚ェ゚∪ じゃあ 俺の仕事を手伝ってもらおうか
(#゚;;-゚) ……
(#゚;;-゚) 客に仕事手伝わせていいの?
∪゚ェ゚∪ あー……
∪゚ェ゚∪ 簡単にいつも通り というのもなんだが
∪゚ェ゚∪ やる事は単なる情報提供だ
(#゚;;-゚)
∪゚ェ゚∪ 情報を集めて 情報を売る
∪゚ェ゚∪ 違うのは 俺が方向性を定めるって点だな
(#゚;;-゚) ……なるほど
155
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:21:42 ID:GMlVQDW.0
女が病室に入ってきた。
/ ゚、。 /
(//L’)
(//L’) ……
/ ゚、。 / 災難だったね
(//L’) …………
/ ゚、。 / ちなみになんだけど
/ ゚、。 / あの建物 身元保証人 私だったんだよ
(//L’) ……知ってます
/ ゚、。 /
/ ゚、。 / 知ってますじゃねえだろ
まるで遠慮のない怒気をはらんだ声に、フィレンクトは動じなかった。
/ ゚、。 / ……あなただって 病院で騒ぎたくないよね 普通
(//L’) そうですね 説教は後でお聞きしますよ
/ ゚、。 /
/ ゚、。 / 今ここで殺せば……死体の処理には困らないのかな
(//L’) そんな訳ないでしょ
156
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:23:06 ID:GMlVQDW.0
男は赤ん坊を抱いていた。
( ^ω^)
( ・ω・) おー おー……
( ^ω^) 久々に抱いたのに泣かないおね
川 ゚ -゚) 腹が減った時と 出した時と 起きた時しか泣かない
( ^ω^) 欲望に忠実な奴だお
女は台所で作業をしている。
男は変顔をしながら、あまり反応を返さない息子に困っていた。
川 ゚ -゚) 今日はよかったのか?
( ^ω^) 何がだお?
川 ゚ -゚) いつも休日も働いてるじゃないか
( ^ω^) まぁー……調査してるやつが 善良な奴だったみたいだから 大丈夫だお
川 ゚ -゚) そんなものか
女は食洗器のスイッチを入れた。
( ^ω^) ばぁー
( ・ω・)
( ・ω・) ……おー
157
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:24:22 ID:GMlVQDW.0
女は窓際の席に座り、窓の方を眺めた。
/ ゚、。 / 彼女さんから連絡をもらったよ
(//L’)
(//L’) 誰の事を言ってんだ?
/ ゚、。 / 何か 利発そうな子だったよ
(//L’) ギコ子か?
/ ゚、。 / ……そんな名前だったかな
(//L’) 何か 儲け話を持ち掛けられなかったか?
/ ゚、。 / ……? 別に
(//L’)
(//L’) まだ固められてる段階か
158
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:26:09 ID:GMlVQDW.0
/ ゚、。 / それより 比翼の指輪の事
/ ゚、。 / 何で黙ってたの?
(//L’)
(//L’) どこまで聞きました?
/ ゚、。 / どこまでって
/ ゚、。 / 彼女が止めようとしたけど 客の指輪を強引に奪おうとしたって
(//L’) ……
/ ゚、。 / 危険だから回収しようとしたんでしょ?
(//L’)
(//L’) まあ そうです
/ ゚、。 / 向こうさんにどういう事情があったにせよ いま檻の中じゃなくて良かったね
女はフィレンクトの外れている義手を見た。
/ ゚、。 / あの指輪ね……魔道具じゃないと思うんだよ
(//L’)
/ ゚、。 / 性質が呪いに似てる
/ ゚、。 / 契約する時 履行してる最中 破棄した後
/ ゚、。 / 何をしても 依存心と所有欲を掻き立てる
(//L’)
/ ゚、。 / 関わらない方が良いよ
159
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:27:34 ID:GMlVQDW.0
でぃは思わず聞き返した。
(#゚;;-゚) ……猫探し?
∪゚ェ゚∪ まあ信用を得る前の仕事としては 妥当だろ
(#゚;;-゚) へぇ
(#゚;;-゚) 今までの情報は?
∪゚ェ゚∪ これだ
情報屋はでぃに端末の画面を見せた。
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 流石に写真は撮ってくよ
∪゚ェ゚∪ 好きにしろ
でぃは携帯で写真を撮った。
∪゚ェ゚∪ 何もなくとも 三日後には経過報告をしに来い
(#゚;;-゚) 了解
160
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:29:03 ID:GMlVQDW.0
オフィスに電話が鳴った。
ぼるじょあが億劫そうに取る。
( ・3・) はい こちらデジンレオです
(:::::::::::::::) 『お世話になっております 株式会社めら蓼の伊藤です』
(:::::::::::::::) 『砂尾タカラさんは居らっしゃいますか?』
( ・3・) ……砂尾は本日 すでに退社しました
(:::::::::::::::) 『……』
(:::::::::::::::) 『そうですか では日を改めます』
(:::::::::::::::) 『失礼します』
ぼるじょあは切断音を聞いてから、ゆっくりと受話器を置いた。
( ・3・)
( ・3・) めら蓼……?
( ・3・) 伊藤……
161
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:30:01 ID:GMlVQDW.0
でぃはタカラの家のドアを開けた。
( ,,^Д^) おかえりなさい
(#゚;;-゚) ただいま
( ,,^Д^) 夕飯 買ってきちゃいましたよ
(#゚;;-゚) うん 見たよ ありがと
(#゚;;-゚) 遅くなってごめん
( ,,^Д^) いえ
でぃが手を洗い、うがいをするのをすり抜けて、タカラは電子レンジに弁当を突っ込んだ。
( ,,^Д^) 今日は何をしてきたんです?
(#゚;;-゚) 情報屋の仕事を手伝ってた 猫探し
( ,,^Д^) はあ なるほど?
(#゚;;-゚) 収穫はなかったから 明日も行くよ
( ,,^Д^) お疲れ様です
タカラはでぃに送った弁当の写真を再度見せた。
( ,,^Д^) お弁当はどっちを食べます?
(#゚;;-゚) ……今日は別に どっちでもいいかな
162
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:31:38 ID:GMlVQDW.0
マトマトは人の居ない小道で舌打ちした。
マト#>Д<)メ チッ
マト#>Д<)メ ……
彼女が先ほどから眺めている端末の画面には、通話を求める表示がいつまでも消えない。
マト#>Д<)メ ふー……
長い溜息をして数秒後に、通話開始ボタンを押した。
端末からは明るい声が響いた。
(:::::::::::::::) 『もしもし!』
マト#>Д<)メ 何でしょう?
(:::::::::::::::) 『いやあ!』
(:::::::::::::::) 『でぃさんは見つかったかな?』
マト#>Д<)メ
マト#>Д<)メ 急にどうしたんですか?
通話先の相手はしばらく黙った。
(:::::::::::::::) 『見つかったかと聞いたんだけど』
マト#>Д<)メ
マト#>Д<)メ まだです
(:::::::::::::::) 『じゃ 見つかったら教えてくれ!』
通話は途切れた。
マトマトは先ほどより大きなため息をついてから、
でぃにメッセージを送り、歩き始めた。
163
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:32:44 ID:GMlVQDW.0
男はベビーベッドの方をちらりと見て、食卓に向き直ってから缶ビールを一口だけ飲み込んだ。
( ^ω^)
( ^ω^) 何て言うんだったかお
川 ゚ -゚) なにが?
( ^ω^) あの ベビーベッドの 上で回ってるやつ
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) ベッドメリーか?
( ^ω^) ああ そうだお
男は気のない返事をしてから、またビールを口にした。
川 ゚ -゚) 聴覚と視覚を刺激するらしい
( ^ω^) …………
目の前の女の言う事を聞いているそぶりも見せずに、男の視線は中空をさまよっている。
( ^ω^) 出てくるお
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) 酒の入った状態でか?
( ^ω^) 電話するだけだお
そう言って男は外に出た。
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) ふー……
川 ゚ -゚) いつまで若いつもりなんだ
164
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:34:31 ID:GMlVQDW.0
( ^ω^) もしもし
∪゚ェ゚∪ 『誰だ?』
( ^ω^) 警察だお
∪゚ェ゚∪ 『……』
∪゚ェ゚∪ 『雇われか 何でこの番号を知ってる』
( ^ω^) コネだお
∪゚ェ゚∪ 『悪いが今日はもう終わりだ』
( ^ω^) 特急料金だお
( ^ω^) 伊藤家に催眠系を得意とする術師は居るかお?
∪゚ェ゚∪
∪゚ェ゚∪ 『ちょっと待て』
男の耳元に物音がしばらく聞こえていた。
∪゚ェ゚∪ 『……伊藤しぃだ』
( ^ω^)
∪゚ェ゚∪ 『伊藤しぃにそういう記述がある ローカルな噂話だが』
∪゚ェ゚∪ 『おかげで少し余計な支払いをしたぞ 経費込みで倍の金を持ってこい』
∪゚ェ゚∪ 『明日だ』
( ^ω^) 分かったお どうもだお
男は電話を切った。
( ^ω^)
( ^ω^) ……
165
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:36:09 ID:GMlVQDW.0
でぃは裸のまま携帯の画面を付けた。
(#゚;;-゚) ん……
( ,,^Д^)
画面を見て微かに顔をしかめるでぃを、タカラは興味深そうに眺めている。
(#゚;;-゚) なんか 家の人が私を探してるみたい
( ,,^Д^) そうなんですか?
( ,,^Д^) 追い……出されたのでは?
(#゚;;-゚) そう なんだよね
(#゚;;-゚) ……
( ,,^Д^) 明日は ココに居た方が良いんじゃないですか
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) ずっと世話してもらいっぱなしだし
(#゚;;-゚) あなたの力になりたいんだけど
( ,,^Д^) ……それはありがたいんですが
(#゚;;-゚) 大丈夫だよ
(#゚;;-゚) 私は帰らないから
( ,,^Д^)
タカラはでぃを抱きしめた。
166
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:37:15 ID:GMlVQDW.0
男は呼び出し音を聞きながら、辛抱強く待ち続けた。
(;;・∀・;;) 『……もしもし?』
( ^ω^) すみません 夜分遅くに
(;;・∀・;;) 『いや 何か用かね?』
( ^ω^) 一つだけお聞きしたいんですお
( ^ω^) 伊藤しぃの死体は 見つからなかったんですおね?
(;;・∀・;;) 『……』
(;;・∀・;;) 『そうだ あるのは多量の血液だけで』
(;;・∀・;;) 『致死量で かつ遺伝情報も一致したため 状況的に死亡と判断された』
( ^ω^) 仮に……
( ^ω^) 双子の血液が混ざったものだったとしたら 両方生きている可能性はありますかお?
(;;・∀・;;) 『……私は専門家ではない が』
(;;・∀・;;) 『有り得ない話ではないだろうな』
( ^ω^) 分かりましたお ご意見ありがとうございますお
(;;・∀・;;) 『どういたしまして 失礼するよ』
男は通話の切れた画面を眺めた。
( ^ω^)
( ^ω^) 伊藤でぃの方かお……?
167
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:38:33 ID:GMlVQDW.0
でぃは暗闇の中で動き、横で寝ている男の頬に口づけをした。
そして自嘲を含んだ笑みをタカラの横顔に向けながら、呟いた。
_,
(#゚;;ー゚) 私でも いいよね
彼女はタカラの体に額を擦り付けるようにして、布団に潜った。
168
:
◆O7/3vokCH2
:2024/04/22(月) 22:39:52 ID:GMlVQDW.0
8.いやおうもなく月日がめぐり
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