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( ,,^Д^)プラスチックの心臓が痛いようです 最終話
386
:
名無しさん
:2025/07/21(月) 00:34:31 ID:bamU65K20
自分の手元に遺った彼女の物は、振り返ってみるとそう多くはなかった。
彼女の私物は木製の小箱に全て収まってしまう程度の数しかなかったし、クローゼットに未だかかっているレディースの服も、自分が身に付けられる類の物じゃない。
肌身離さず身に付けられるような彼女の物は、未だ自分の胸の奥で拍動を重ねる心臓を覗くと、これしかなかった。
夜桜が舞ったあの春の日。いつの間にか、手元にあった髪飾り。
自分は男だ。髪飾りを付ける習慣などない。
髪を伸ばしてみようかと思ったが、勤めている会社の規則でそれも出来ない。
そんなこんなで困っていたある日、髪飾りの材質が特殊な金属であることに気が付いて、ふと思い立ったのだ。
「そうだ。指輪にしてしまおう」と。
アイデアが浮かんでからの行動は早かった。
信頼できて腕のある職人を探し、自分と彼女の分の指輪を二つ作った。
一つは手紙と共に送り、もう一つは自分の指に着けることにした。
左手の薬指にした理由は、まぁ、そこしかないと思ったから。
もし彼女がいたのなら、なんと言ったのだろうか。
喜んでくれたのだろうか。それとも、呆れたのだろうか。年単位の時が経っても未だに執着し続ける自分を見て、彼女はどんな顔をするのだろうか。
勝手なことをしている自覚はある。こんな話をしたところで誰も分かってくれない。もしかしたら彼女にすらも引かれてしまうかもしれない。
だけど、そもそも先に勝手なことをしてきたのは向こうだ。
キッチンの壁を焼き、物を捨て、散々こちらを振り回した挙句、心臓を押し付けてきて、いなくなった。
ならば、こちらが勝手に生涯を誓ったところで特段問題はないだろう。彼女がしてきたことに比べたら可愛いものだ。
387
:
名無しさん
:2025/07/21(月) 00:35:50 ID:bamU65K20
薬指で光る指輪を確認してから、再び玄関へと戻る。
向かうのはいつもと同じ、あの大木がある公園。
先日買ったばかりのスニーカーを履き、鞄の中身をチェックしてから、ドアノブに手をかける。
外に出ると、すっかり昇りきった太陽が眩しく輝いていた。
後ろ手で玄関に鍵をかけ、一度だけ深呼吸をする。
澄んだ早朝の空気が肺を満たし、心臓の鼓動が少しゆっくりになる。
休日の朝、柔らかな陽の光に包まれた街並みが驚くほど綺麗に見える。
なんとなく、初めて彼女と出会った夏日のことを思い出した。
〜おしまい〜
388
:
名無しさん
:2025/08/05(火) 22:20:37 ID:yJuy4IZ20
『バッティングセンター』 19/99
o川*゚ー゚)o「マスター、手軽に野球が出来る場所ってここですか?」
(,,^Д^)「そうだよ、バッティングセンターっていうんだ。俺もあんまり来たことないけど……」
(,,^Д^)「ここにお金入れるとあの機械からボールが飛んでくるんだよ。ストレス発散とかによく使われてるらしい」
o川*゚ぺ)o「えぇ〜機械が投げるんですか?私がテレビで見た野球はちゃんと人が投げてたのに…なんだか物足りないです!」
(,,^Д^)「手軽さ重視だからな。ほら、上の方に『ホームラン』って書かれたマークあるだろ?あそこのボールを打ち返すと景品が貰えるんだ」
o川*゚ワ゚)o「景品……わぁ!魚沼産コシヒカリ5kg!?めちゃくちゃ太っ腹じゃないですか!」
(,,^Д^)っl「あそこをピンポイントに狙って打ち返すってプロでも難しいらしいから、景品も豪華なんだろ。ま、とりあえず一回やってみな。結構楽しいから」ハイ、バット
o川*^ー^)oっl「よ〜し!お任せくださいマスター、今日の夜からはお米が美味しくなりますよっ!」
389
:
名無しさん
:2025/08/05(火) 22:21:45 ID:yJuy4IZ20
/◎ ) =| )ウイーン
o川*゚ー゚)o「ほほう、アレがピッチングマシーン……同じロボット同士ですが手加減はしませんよ!この第三世代アイである私が、あなたの性能を見極めてあげましょう!」
(,,^Д^)「キュートー!頑張れー!」
o川*^ー^)o「はーいマスター!見てて下さいね!今から甲子園球児もバットを捨ててグラウンドから逃げ出すレベルのプレーを披露してみせますから!」
/◎ ) =| )ノ○ ウイーン
(;,^Д^)「いや別にそこまでは求めてない……って、おいキュート!前向け前!」
o川*゚ー゚)o「へ?」
(;,^Д^)「もうボール飛んでくるぞ!」
/◎ ) =| )ノ三三○ ビュン!!!←140キロ
390
:
名無しさん
:2025/08/05(火) 22:22:18 ID:yJuy4IZ20
o川*゚ー゚)oっ○「あぶなっ」 パシッ
(;,^Д^)「は?」
Σ/;◎ ) =| )
o川*゚ぺ)oノ⌒○「なんですか、私がマスターとお喋りしてる途中に……イマドキ、機械でも空気読めなきゃスクラップ行きの時代ですよ?」ポイッ
(;,^Д^)「いや……キャッチじゃなくて、バットで打つゲームなんだけど……」
o川*゚ー゚)o「へ?これでアウトじゃないんですか?」
(;,^Д^)「普通の野球じゃないからコレ!バットで打った時の爽快感を味わう遊びなんだよ!」
o川;゚Д゚)o「え〜それじゃあ本当にお手軽野球もどきじゃないですか!ゲッツーとかないんですか!?」
(;,^Д^)「ないわ!てか最初からそういうゲームだって言っただろポンコツ!」
391
:
名無しさん
:2025/08/05(火) 22:23:30 ID:yJuy4IZ20
/◎ ) =| )ノ三三○ ビュン!!!←160キロ
o川;゚ー゚)oっl「えいっ……!あぁもう、バットには当たるのに全然ボールが飛ばない!」コンッ
(,,^Д^)「なんだかんだ160キロに上がったボールにも毎回絶対当ててるの凄いな……」
o川;゚ー゚)o「野球選手の体の使い方なんてプログラムされてませんし…あぁもう!」
o川;- -)o「私があんなボールを射出することしか能のない機械に負けるなんてあってはなりません!マスターの前で恥をかく訳には……!」
/◎ ) =| )ノ三三○ ビュン!!!
o川;゚ー゚)oっl「ええいっ……あぁ、違う方向に飛んじゃった!次が最後の一球……どうすれば……!」コンッ
(*,,^Д^)「おっ、結構飛ばせるようになってきたな。いいぞキュートー!」
392
:
名無しさん
:2025/08/05(火) 22:23:57 ID:yJuy4IZ20
o川*゚ー゚)o「………まてよ?」ピコン
o川*゚ー゚)o(……要するに、あのホームランの所にボールが当たればいいんですよね)
o川*゚ー゚)oっー「………」コトン
(,,^Д^)「お、おいキュート?バット置いて何してるんだ?」
o川*゚ー゚)o「……」ジッ
(;,^Д^)「……まさかアイツ、そのまま――」
/◎ ) =| )ノ三三○ ビュン!!
o川*゚ー゚)oっ○パシッ
o川* ー )oっ"○"ググッ…
o川*>ー<)oノ三三三○「えいっ!!」ビューン!!
<パッパラー! ホームラーン!!
(;,^Д^)「やりやがった……」
393
:
名無しさん
:2025/08/05(火) 22:24:45 ID:yJuy4IZ20
o川*゚ワ゚)o「わーい!見てましたかマスター、ホームランです!凄くないですか!?」
(,,^Д^)「今のをホームランって言えるお前のメンタルが凄い」
o川*゚ー゚)o「え?だって要するにあそこにボールをぶつければいいお話ですよね?」
o川*^ー^)o「じゃ、ホームランの音鳴ったし、景品のお米貰ってきますね〜!」
o(^ワ^*川三ピュー!!
(,,^Д^)「いや多分お前は……ってもういないわ」
〜数分後〜
o川*゚ー゚)o「ズルですって」
(,,^Д^)「だろうな」
〜おしまい〜
394
:
名無しさん
:2025/08/06(水) 07:42:06 ID:S9TCfWJo0
乙
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