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川 ゚ -゚) ブーン系小説&イラスト練習総合案内所

954名無しさん:2024/08/08(木) 23:38:36 ID:ELa1ZuvU0

墓石だ。
とても、馴染み深い名字が刻まれたもの。

一旦荷物を地面に置いた後、持ってきていたペットボトルの水をかけ、持参して布巾で丁寧に磨く。
目立つ汚れは見当たらないが、毎年やっていることだ。やらなければ決まりが悪いし、何より申し訳なくもある。
これなら彼女も文句を言わないだろうというレベルまで磨いた後、僕は墓石の前に胡坐をかいて座り、ゆっくりと口を開いた。

(´・ω・`)「……久しぶり。ごめんな、今年はちょっと遅くなった」

(´・ω・`)「まぁ、霊園が閉じるまでは時間あるし…うん、今年も、5時間くらいはお喋り出来そうだ」

(´・ω・`)「これ、いつもの花。毎年大変なんだぞ、この時期にデンファレを買うのって」

デンドロビウム・ファレノプシス。彼女が一番、好きだった花。
基本的には今頃の花だが、花屋で綺麗なものを見繕うとなると難しい。それも、8月という盆真っ只中のシーズンでは特に。
ただ育てるだけでなく、花を買うことの大変さも、大人になって知ったことだ。

(´・ω・`)「あとは…はい。今年の誕プレ」

(´・ω・`)「同い年の、女性の同僚からアドバイス貰って買ったんだ。色はまぁ、俺が選んだけど…ほら、お前、水色好きだったろ」

昨日の夜、大急ぎで駆けこんだ百貨店で買った、よく分からない横文字のブランドのバッグ。
まぁ、これはあくまで一度直接見せにきただけ。今日が終われば例年通り、彼女の部屋だった場所に送る予定だ。
またこれを持って移動しなければならないと思うと中々億劫だが、仕方ない。直接見せないまま渡す訳にもいかないので。




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