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( ・∀・)救出の魔法使いたちのようです(´・_ゝ・`)
1
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:00:43 ID:YCcuTBs.0
(´・_ゝ・`)こちら2スレ目です
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1636275535/l30
(´・_ゝ・`)前スレはこちらです
2
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:02:43 ID:YCcuTBs.0
────遠い遠い昔、天には太陽が二つありました。
.
3
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:04:31 ID:YCcuTBs.0
( α∀α)………もう少し角度を変えてみるかな
殺風景な荒野の中で、少年は天に向かって弓を引きました。
放たれた矢は空へ飛んでいくと、しばらくしてぽとりと落ちました。
( α∀α)………だめか
( α∀α)力が足りないんだ、もっと力があれば……
( ・∀・)ねえ、何してるの?
へたりこんだ少年に、同じくらいの年齢の子供が問いかけました。
その眩しい光のような髪色をした子供はどこからともなく現れて、人懐っこそうな笑顔を浮かべていました。
( α∀α)……太陽を落とすのさ
( ・∀・)太陽を?
( α∀α)おかしな話と思うか
( ・∀・)うーん…ちょっと面白い、とは思うかな。ところでその武器はなあに?
( α∀α)弓と矢さ。僕が発明したんだぞ
4
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:05:29 ID:YCcuTBs.0
( ・∀・)どうしてそれで太陽を落とそうとするの?
( α∀α)アレをどうにかしなけりゃ、そのうちみんな干上がって死んでしまう…だからどんなに馬鹿げた事でもやろうとしてるんだ
( ・∀・)でもその武器じゃあムリだよ。ヒトの力は天の者には届かないもん
( α∀α)…そんなことがどうしてお前に分かるんだ?
( ・∀・)わかるさ。だって僕はモラルーナ、太陽の神の息子なんだもの!
( α∀α)…はは。冗談にしては笑えないし、嘘としては随分とお粗末だな
( ・∀・)む、信じてないね!ほら!
モラルーナの掌に橙の輝きが宿り、その不思議な光に少年は驚いてモラルーナの言葉を信じるほかありませんでした。
(;α∀α)な、お前は…いったい…
( ・∀・)だから言ったでしょ。太陽の神の息子なんだって
5
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:06:25 ID:YCcuTBs.0
(;α∀α)本当に……本当に、お前は…
( ・∀・)神様でござい
(;α∀α)なら、ここにその太陽の神を呼び出せるか!?
( ・∀・)できるよ。でも、どうして?それで射るつもりかい?
(;α∀α)違うんだ、ただ会わせてくれるだけでいい。話があるんだ!
( ・∀・)いいよ。でも、そのためには扉を描かないといけない。手伝ってくれるかい?
( α∀α)ああ!なんだってやってやるとも!
6
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:08:23 ID:YCcuTBs.0
「───私に何の用ですか、モラルーナ」
( ・∀・)僕じゃないよ。こっちの海の子さ
( α∀α)…ここに、太陽の神が来たのか?
( ・∀・)ああ。見えないかな?
( α∀α)声だけは聞こえるが…
( α∀α)…太陽の神、お前に頼みがある!
「頼み?」
( α∀α)太陽を降ろして欲しいんだ!たった一つだけでもいい!
( α∀α)急に二つに増えてからずっとお前達はあそこに昇りっぱなしだ、村の水源もみな枯れた、草も木も…食べるものは何一つない。妙な病気だって流行り始めた
( α∀α)弱い者から死んでいく。………僕の母様も、いずれ。だからどうか…せめてほんの僅かな時でいい、その姿を隠してくれ
「それはできません」
(#α∀α)何故だ!
「天の理がそう示すからです」
(#α∀α)その御大層な理とやらのためにこの世界がどうなってる!?それが人が大勢死んでいく理由になるものか!
7
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:09:32 ID:YCcuTBs.0
(#α∀α)どうした!?神よ!答えろ!
( ・∀・)………あ、もう帰っちゃったよ
(;α∀α)!?もう一度だ、もう一度呼び出してくれ!また頼んでみれば…
( ・∀・)残念だけど、きっと何度やっても答えは同じさ。父さんは正しい。天の理は変えられないよ
(#α∀α)それがどうした!正しい事だから、母様が死ぬのを黙って見ていろと言うのか!?
( ・∀・)
( α∀α)…何が神の子だ。こんな時に何も出来ない、何もしてくれない神なんて…いるもんか……
( ・∀・)…………………
( ・∀・)その弓矢、借りてもいいかな
( α∀α)…………………いやだ
( ・∀・)だいじょうぶ。きっと返してあげるからさ、だから今日はもう帰りなよ。ほんの少し待てば…君にも見せてあげられるさ
( α∀α)な、なにを…
8
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:09:56 ID:YCcuTBs.0
( ・∀・)……救いってやつ
.
9
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:10:48 ID:YCcuTBs.0
( ・∀・)ねえ、父さん。お願いがあるんだ
「何ですか、モラルーナ」
( ・∀・)…バラバラにして殺した海を生き返らせてくれないかな。それと、太陽を一つ降ろして
「海の子に何を吹き込まれたかは知りませんが、すでに答えは示したはずです」
( ・∀・)じゃあ僕の答えを突きつけてあげよっか
「その玩具は?」
( ・∀・)弓と矢っていうんだって。僕の力を加えれば、父さんだってただじゃあ済まないよ
「私に逆らうつもりですか?」
( ・∀・)そう聞こえなかった?
「海の子を生かしたところで同じ争いと同じ滅びを繰り返すだけ、私達にとっても、海にとっても手間が増えるだけだというのに…」
10
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:12:30 ID:YCcuTBs.0
「…そうまでして何故貴方は海の子の願いを叶えようとするのですか?」
( ・∀・)………………………
( ・∀・)コケにされると黙ってられないみたいなんだ、僕。それにさ
( ・∀・)気まぐれで命捧げてみるのも、なんか…良いかなってさ
「……………………………覚悟が出来ているなら、それもいいでしょう。その望みを叶えてあげます…ただし、代償がある」
( ・∀・)代償?
「貴方の魂はこれから天の子にも、海の子にも交わる事の出来ない狭間の子として永遠の時を彷徨うのです」
( ・∀・)ワア 楽しそう
「我が息子ながら貴方の事が時々、というかまったく理解が出来ません」
( ・∀・)んふふ。喜ぶかな、あいつ…
11
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:13:29 ID:YCcuTBs.0
( α∀α)
( α∀α)……………雨
そう少年が呟いた時、天空からぽとりと弓が落ちてきて少年の額にぶつかりました。
( α∀α)…今更遅いんだよ、神様
( α∀α)何もかもが
12
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:14:06 ID:YCcuTBs.0
モラルーナの骸は冷えて固まり、やがて小さく天に浮かびました。
しばらくして、冷たい夜にしか見ることのできないそれを誰かが「月」と呼ぶようになりました。
残ったモラルーナの魂は──────
13
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:14:42 ID:YCcuTBs.0
『('A`)残響の魔法使いたちのようです』
その1
『瘴気はここにあり』
14
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:15:57 ID:YCcuTBs.0
急な呼び出しを受け、ブーン・ホライゾンはシベリア魔法局内を歩いていた。
それほど急ぐ必要は感じられなかった。
アニジャからの誘いとなると最初は怯える気持ちの方が強かったのだが、近頃は「伝書騎士にでもなってソウサクへ飛んでいけ」と勝手な造語で雑用を押し付けたり、「ヴィップ料理を作れ」だの「特に用は無いが話し相手に付き合え」だのと緊急性の低いものが増えてきたのでブーンも気が緩みきってしまっていたのだ。
( ^ω^)我ながら不思議なもんだお…
今までずっとヴィップという世界の中で過ごしてきた自分が、ずいぶんとシベリアでの生活に慣れきってしまった。
それも少なからずアニジャの力によるものが大きいのだろう。
それか、彼個人ではなくこの国全体の明るい空気感のせいかもしれない。
15
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:16:57 ID:YCcuTBs.0
ブーンはふいに一人の少年がこちらへ向かって来るのに気づいた。
髪の毛を後ろで縛って、服装も素肌を多く露出した身軽そうな格好。寒くないのだろうかとブーンは思った。
( ^ω^)(といっても上に立つアニジャがあの格好だし…それに倣う者が居てもおかしくはないのかも)
(=*゚ω゚)ノあ、あのっ、ブーン・ホライゾンさん!
ブーンは笑顔でこくりと頷いた。
少し観察してみると、まだ10代そこらであろう年齢を考慮してもシベリア人にしてはやけに細く、初々しい印象を受ける。
(=*゚ω゚)ノアニジャ様からも一目置かれる勇敢なる騎士!あの、僕…以前から貴方のご活躍を耳にしていました!お会いできて光栄だよぅ…です!
( ^ω^)……………お?
思わずきょとんとしてしまった。
もともとブーンの目にしてきたシベリア人の多くは他者との距離感が近く「客人」と呼ぶ者も居れば「ブーン」と呼び捨てにする者もいて、たとえ年齢差があっても相手と対等に話をしていたからだ。
故にこの少年が向ける尊敬の眼差しは彼にとってはほんの少し珍しいものに思えた。
( ^ω^)ありがとう。正直な話、こうしてまっすぐ褒められることなかなか無いから…今すぐ踊りだしそうなくらいには嬉しいですお
ブーンは軽く手を差し出して、少年と握手を交わした。
「わあ…」と嬉しそうな声を上げるその姿に、ブーンは暖かい気持ちを覚えた。
16
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:18:25 ID:YCcuTBs.0
( ^ω^)お名前を聞いても構わないかお?
(=゚ω゚)ノは、はい!イヨウ・ヘイワードと申しますよぅ!
( ^ω^)うんうん、響きの良い名ですお
(=゚ω゚)ノあ、あのう…よろしければ、少しお時間をいただけませんかよぅ
随分ともじもじした様子だった。
シベリアの魔闘家が騎士である自分に頼みそうなこと、となると選択肢は少ないだろう。
( ^ω^)稽古ですかお?
(=゚ω゚)ノは、はい!あの、ブーンさんは19人の魔闘家を同時に相手して全員に勝ったと聞いて…是非僕もお相手をと!
( ^ω^)誰が言ったかは知らないけどそれフツーにめちゃめちゃ尾ビレなんですお…実際は6人に勝てたけど後は囲まれていいようにボコボコだったお
( ´ω`)アニジャが「なんだなんだ、人気者じゃないかお前さん…ふむ。全員相手してみるか?」なんて言い出してあれよあれよと戦わされてそこからが地獄…
そう呟くと、容易にその光景が想像できたのかイヨウの顔がみるみる青くなった。当事者よりも深刻そうな顔をするので思わず苦笑する。
( ^ω^)あはは、ぼくもずっとそんな感じでしたお…
(;=゚ω゚)ノそ、それでも逃げなかっただけ凄い事だよぅ……です
( ^ω^)ありがとう。…それと、お互い楽な言葉遣いで行こうお
17
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:19:32 ID:YCcuTBs.0
( ^ω^)…イヨウくんはどうして強くなろうとするんだお?
訊ねてみて、そう大した器でもないのに自分がアニジャのような物言いをしていることに内心ちょっと可笑しく思う。
イヨウは少し照れながら言った。
(=゚ω゚)ノ僕は…まだ小さいし、技も未熟だし…国や世界とまではいかなくても…せめて家族を守れるような立派な戦士になりたいんだよぅ
(=゚ω゚)ノ…やっぱりスケール小さいかな?
( ^ω^)ううん。守るべきものがしっかり見えているなら、君はもう充分に立派だお
(´<_` )夢の大きいヤツや人格的に優れている方が殴り合いで勝つなんて理屈はないからな
(=゚ω゚)ノオトジャ様!お身体はもう大丈夫なのですか!
(´<_` )派手には動けんが、好き勝手に歩き回れる程度には大丈夫だ
18
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:20:59 ID:YCcuTBs.0
( ^ω^)…………
(´<_` )ふむ、先程の言葉は信念や信仰を尊ぶヴィップ人には癪に障る物言いだったかな?
( ^ω^)…ただ信じて待ってるだけじゃ結果はついて来ない、それは分かってるお。だから…伸ばせる限りは手を伸ばしてみるつもりだお
(´<_` )…フッ。呼ばれてるんだろう?兄者には話を通しておく、行け
( ^ω^)感謝するお。それじゃイヨウ、一緒に稽古へ行くおー!
(=゚ω゚)ノはっ、はい!
(´<_` )…染まってきたじゃないか
19
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:22:02 ID:YCcuTBs.0
(=゚ω゚)ノありがとうございました!
( ^ω^)おっおっお。君が良ければ、またぼくと一緒に鍛えないかお?
(*=゚ω゚)ノ………!はいっ!
( ^ω^)ノシ また明日おー!
(=゚ω゚)ノシ はい!また明日だよぅ!
( ^ω^)………強い子だおね
去って行く背中に手を振りながら、しみじみと頷く。
シベリア人の持つバイタリティには目を見張るものがある。ソウサク人にしてもそうだが、彼らは厄災の脅威に対して恐怖心が比較的薄いように感じることが多い。
普段表に見えないようにしているだけ、とも言えるがシベリア人は特に戦いに関しては前向きな印象を受ける。
( ´_ゝ`)よっ。なかなか様になってたじゃないか、ブーン師匠?
アニジャがニカリと皮肉っぽい笑みを浮かべて背中をばしっと叩いた。
( ^ω^)生ぬるく映ったかお?
( ´_ゝ`)いや?騎士と魔闘家じゃ身体の動かし方も違うからな。脚の使い方の指南に絞ったのは良い判断だった
20
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:23:02 ID:YCcuTBs.0
(´<_` )「両足は人が生まれながらに持っている二本の剣だお」か。確かにあれくらいの年頃なら俺や兄者のように叩き潰すことより鋭く研ぎ澄ますことに意識を向けるべきだな
( ^ω^)あはは、ぼくの取り柄と言えばそれくらいだし。それに彼に向いてる使い方がなんとなく分かったからアドバイスしただけだお
( ´_ゝ`)なるほど、ブーンは足専門か
(´<_` )その性癖わからんでもないぞ……
(;^ω^)からかわないで欲しいお
21
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:24:07 ID:YCcuTBs.0
( ^ω^)…シベリアに初めて来た時からずっと考えていた事があったお
(´<_` )む
( ´_ゝ`)当ててやろうか。『生まれながらにして病弱だったり、戦いを好まない人間はこの国でどう過ごし、どう扱われているのだろうか』そんなとこだろ?
( ´_ゝ`)別に何も変わらんさ。共にシベリアで生まれた同胞であることも、生きるために戦っていることにも、違いはない
アニジャの言い放ったことはブーンにとってほぼ正解だった。
彼らの価値基準は強さという曖昧なものさしであり、その評価も単純な戦闘能力の高さであったり、精神面であったり人によって異なる。
結局の所自分が気にいるか、気に入らないかという単純なもので、彼らの純粋さやシベリア人としての誇りを重んじる高潔な精神は素晴らしいものだとブーンは思う。
だが。
22
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:25:22 ID:YCcuTBs.0
( ^ω^)…強者こそが全てとされる世界が理想とは少し前のぼくには到底思えなかったお。それこそヴィップよりも余程欺瞞に満ちた国だとすら考えていた
( ^ω^)でも、ただ拳を交わすだけじゃない。家事にたたき売りや呼び込み、食事、遊戯、学問だって…なんでもかんでも勝負にして、負けても「次こそは!」「流石だ!」「まだまだ!」って笑ってる人達を見ていると……悪くないなって思えた自分がいたんだお
( ^ω^)決定的だったのはイヨウくんだったお。あの子のまっすぐな目を見たとき…懐かしくて、暖かくて、嬉しくて…「なんか、良い」と思えた反面自分がひどく矮小に思えたんだお
(´<_` )……イヨウの手を取った時、お前は奴に対する憐れみでその行動に出たのか?
( ^ω^)うーん、そこんところはこれっぽっちも考えてなかったお
(´<_` )ならば上出来だ
( ´_ゝ`)何も恥じることは無い。素直に胸を張るがいい、騎士様よ
( ^ω^)……ありがとうだお
23
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:26:35 ID:YCcuTBs.0
( ´_ゝ`)…『“次”さえあるならば敗北の味もまた糧』確かに我らが宿したシベリア魂にもそう刻まれている
( ´_ゝ`)だが全てのシベリア人がそうとは言えん。己の劣等感を認めるまでは行っても乗り越えられぬ者、それ以前の段階でこぼれ落ちてヴィップへ逃げ出す者も当然いる
(´<_` )……遥か昔、そんな連中は淘汰されてきたがな
( ^ω^)………………
( ´_ゝ`)歴史的に見てもシベリア人が愚かな民族では無かったとは到底言えまい。実際にヴィップやソウサクに戦争を仕掛けたり、魔抜けを率先して排除しようとしていたからな
(´<_` )厄災に蹂躪されて初めてシベリア人全体が己を弱者であると認め、次の段階へと進む道を見据える事ができた。その点では厄災にも感謝すべきかもしれんな
24
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:27:35 ID:YCcuTBs.0
( ´_ゝ`)シベリア人が闘争よりも競争と相互研鑽を尊ぶようになるまでどれほどの屍が積まれたかは分からん。だが、確かな事がある…我々人類全体が今この世界から這い上がる事を要求されているということだ
( ´_ゝ`)お前とて例外ではないぞ、ブーン・ホライゾン?
アニジャの傷だらけの指がブーンの胸を指した。
( ^ω^)もとより承知の上だお!
( ´_ゝ`)よろしい。ソウサクだけでなく、ヴィップも正式にこれから我々と協力して厄災との戦いに挑む事になる。つまりお前がこれからすべきは…
(´<_` )里帰りだな
( ^ω^)言い方
25
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:28:42 ID:YCcuTBs.0
( ФωФ)こうしてソウサク国が何事も無く一月を終えられたのは喜ぶべきことである
( ФωФ)されどワシはこれを後に「奇跡の9月」などと称するつもりはないのである
( ФωФ)人類の恒久なる存続を手にするためにワシはソウサク魔法局の諸君らにより一層の活躍を期待するものである!
26
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:29:31 ID:YCcuTBs.0
('A`)…………
| ^o^ |きげんわるいですね
('、`*川ロマネスク王の演説聞いてからずっと頬杖ついてむくれてんね
('A`)別に。あーだこーだ文句つけるわけじゃないけどさ、なんか引っかかるなーって
| ^o^ |おや?
('A`)…どうせなら恒久なる平和って言えば良いじゃんか。結局ロマ王は魔抜けや奴隷階級の人間の事が後ろめたいのさ。レモナ様の事だって臭いものに蓋だしな
('A`)フィレンクトが草稿書きゃあ良いんだ。あのおっさんならある程度マシになる
(´・_ゝ・`)あの人の仕事をこれ以上増やさないであげて下さい
('、`*川そのうちヴィップへの門が開きさえすればその辺多少マシにはなりそうだけど…思えば血の厄災もだいぶ静かだよねー…
27
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:31:08 ID:YCcuTBs.0
('A`)厄災に覚醒するとされる人間にも事前に接触する必要があるよな…
| ^o^ |かりにせっしょくしたとして なんといえばいいのでしょう
| ^o^ |あんたそのうちばけもんになるからおとなしくこちらにきょうりょくしろ、とかいうつもりですか?
('A`)ただの自殺もいいとこじゃねーか
('、`*川最悪すぎ
(´・_ゝ・`)今こうしている間にも厄災の方から先手を打たれてる可能性だってありますし…それこそレモナ様のように周期表に載っていない人間が狙われることもありますからね…
28
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:32:10 ID:YCcuTBs.0
('A`)でもさ。それだけ天の厄災ってのも追い詰められてるって言えるんじゃねえの?
| ^o^ |ない
('、`*川ない
(´・_ゝ・`)ありません
(;'A`)…だ、だってさ、だってさ!島の厄災9体全滅させたんだぜ!?それにソウサクもシベリアも一ヶ月なんにも無かったんだぜ!?もうちょいプラス思考しても良いじゃん!?
| ^o^ |メタてきないみで あなたにはとてもにつかわしくないはつげん
(´・_ゝ・`)周期表のこの先のスケジュール見ます?
(;'A`)
('、`*川…私が厄災のボスだとして、手駒を一気に失ったら本腰入れて潰しにかかる準備するだろうなー
(;'A`)…………………………
| ^o^ |おばかさん
('、`*川おバカちゃん
(´・_ゝ・`)厄無し脳無し身長無しの三拍子ですね
('A`)………………………………………………
('、`*川あ、考えるのやめた
| ^o^ |もどってきなさい
29
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:33:39 ID:YCcuTBs.0
(;'A`)……だ、だからって踏み出さなきゃ何も見えねえだろ。俺みたいにとりあえず厄災候補の人間を仲間に出来れば…
(´・_ゝ・`)まあ、それも良いんじゃないですか?踏み出した先が奈落でなければ
('、`*川…今月の方針はハッキリさせとかなきゃね
| ^o^ |そういうことです
(*'A`)みんな…!
(´・_ゝ・`)そこまで人員割けませんが?
('、`*川とりあえず術式製作はこっちに任せて。頑張れ少年達よ〜
(;'A`)おい。おい!
| ^o^ |わたしも?
('、`*川真面目な話、全滅しても困るし。大人数で行っても警戒されるだろうから、大魔導師に応援を頼みたい所だね
(´・_ゝ・`)シベリア・ヴィップとの会談に向けての遠征に便乗する形で申請したい所です。となれば…
('A`)…テンプター。目的地はここで決まりだな
30
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:34:41 ID:YCcuTBs.0
(`・ω・´)…兄上はまだ見つかっていないか
( ゚∀゚)未だ報告はありませんな。しかし閣下は何故ショボヌール…熱風の厄災の捜索をトソン・ツァムールに任じたのです?
(`・ω・´)不服か?
( ゚∀゚)いえ?ですがトソンが生粋のショボヌール派だったことは事実でしょう
(`・ω・´)ジョルジュは彼女をまだ信用していないようだな…
( ゚∀゚)彼女の身体には全幅の信頼と敬愛を寄せておりますがね
(`・ω・´)それだ、それ。周りにとんでもない誤解をされそうな言葉を進んで選ぶのはやめたほうがいいぞ
( ゚∀゚)あいにく不真面目が性分であり、信念ですから
31
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:35:36 ID:YCcuTBs.0
( ゚∀゚)落ち延びた一部の騎士は悪魔崇拝者の集団に成り下がったと聞きますし、トソンは真面目にヴィップに尽くしてる方だとは思いますがね。裏で何を考えているやら…
(`・ω・´)……トソンが私を殺すならば、とうにやっている。本質というものはそれだけのことではないかな?
( ゚∀゚)閣下はお優しいですな。いざその連中と剣を交える時になってもなおその手を差し出すおつもりで?
(`・ω・´)……人間の形を保っているなら救いようもある
( ゚∀゚)そうなりますな。信じる事を諦めるのはヴィップ人にとって最も忌むべき行為です
32
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:36:32 ID:YCcuTBs.0
( ゚∀゚)失礼いたしまーす
( ゚∀゚)(…とは言うが、全ての厄災とその眷属を斬り伏せんことには平和は戻って来ない。騎士達の意識の統一は必要だろうな)
( ゚∀゚)(しかしシャキン閣下も今更な事に悩まれるものだ。この城を制圧した時にも貴方は鬼神の如き気迫でヴィップの同胞を叩き伏せ、斬っていたではないか)
( -∀-)……だからこそ、だろうな
( ゚∀゚)相手が化け物ならば斬る覚悟が出来ているだけマシだが、ブーン・ホライゾンならどう言うかな…
(゚、゚トソン 独り言がお好きなようで
( ゚∀゚)ブーンがシベリアに行ってから話し相手に困っていてな。君が付き合ってくれるなら、俺も一人芝居せずに済むんだが
棘を含んだトソンの口調にジョルジュはすました顔でやり返した。
(゚、゚トソン 何度も言っているはずですが、そのような態度を取り続ける限り私は貴方と語る舌を持ちません
( ゚∀゚)おや?今日仕掛けてきたのはお前さんだぜ?
言い終えて、冗談めかして眉を持ち上げる。
トソンは不機嫌そうに顔を反らして続けた。
33
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:37:48 ID:YCcuTBs.0
(゚、゚トソン …あなたは私以上にショボヌール閣下の影に囚われているように思えます
( ゚∀゚)確かに俺は通せるならできるだけ我を通す主義だ。が、表に立つのはシャキン様さ
(゚、゚トソン 傀儡にする気だと?
( ゚∀゚)そう見えるか?シャキン様は確かに優柔不断な所はあるが、決断すべき時にはハッキリ自分の答えを見出してくれる。俺が御せるお人じゃない
( ゚∀゚)やるつもりならとっくに君の部下を疑わしきは罰せよと拘禁なり粛清なりしているさ。進言した所でシャキン様がやるわけはないがな
( ゚∀゚)一応言っておくと、俺は覇権に興味はない。誰がトップに立とうが、人がラクに過ごせるヴィップが出来るならばそれでいいとさえ思っている
( ゚∀゚)が、一つだけやらねばならぬ事もある。俺の故郷を…数多の生命を見捨ててチリも残さず消し飛ばした奴、それに従う連中にキッチリと血の支払いはさせてやる
( ゚∀゚)もっとも、支払えるだけの血が奴らに通ってるかは甚だ疑問だがね
(゚、゚#トソン………………
34
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:39:18 ID:YCcuTBs.0
( ゚∀゚)まァ、そういう点ではショボヌールの正体が化け物だったことは喜ばしいことだ、これ以上ないほど正当な理由でブチ殺すことが出来るからな!
(゚、゚#トソン 復讐心と我欲の塊、ヴィップ人の恥が…!
トソンが鋭い目で剣を向けた。
苦虫を噛み潰したような、安い挑発に乗った自分を戒めるような表情にジョルジュはカカカと乾いた笑い声を発した。
( ゚∀゚)己が欲望を満たすことの素晴らしさを知らねば相手に幸を施す事など出来んさ。そういう意味では俺はこれ以上ないほどヴィップ人らしいと思うがね?
(゚、゚#トソン 私は完全にシャキン閣下を認めたわけではない…!だが、貴様がヴィップを歪ませる芽となるなら私は閣下のため、聖タナシンの名の下に貴様を躊躇なく斬る!
( -∀-)……おk、ご立派な発言と揺れに俺は敬意を表す。それがわかっているなら俺は君に安心して背中を向けるし、君を斬らない
(゚、゚#トソン ………………っ
35
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:40:05 ID:YCcuTBs.0
*(‘‘)*あーあ……今日もあたしの占い、お客さん来なかったなー
*(‘‘)*当たる方だと思うんだけどな…
( ^ω^)『…辛いことがあろうとくじけてはいけませんお。聖タナシン様はいつでも君を見守っておりますお』
*(‘‘)*…がんばろ
頬をぱしぱしと叩き、歩きだす。
ひらひらと赤い羽根が頭上を舞う。ヘリカルはそれを見てふと手に取ってみた。
*(‘‘)*わあ……綺麗……
黄色いグラデーションが炎のようで、何か勇気と幸運を与えてくれそうだ。
嬉しそうにそれを胸にしまい込むと、目の前にどさりと190cmほどの巨躯が落ちてきた。
*(;‘‘)*わ、わっ…何!?何!?あの、大丈夫ですか!?
ヘリカルは驚愕しながらもその男へ駆け寄った。するとヘリカルはある違和感に気がついた。
男の手がごわごわして赤い。それどころか、体表も同じように真っ赤である。
( ゚;;∋゚)人の子よ、それを……返せ………!!
*(;‘‘)*きゃああああーーーーーーーっ!!!?
36
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:41:29 ID:YCcuTBs.0
ヴィップ国及びテンプターへ出発する日が来た。
ドクオはきょろきょろと周りを見回した。
ブーンはヴィップ人だから、一度帰る機会としてはちょうど良いのかもしれない。
アニジャやフィレンクトも当然国の代表として出発する。闇の門を作るために一度足を運んでおく、という理由もあるのだろうが。
テンプターへ同行する大魔導師はキュート隊長だった。
守りに長けたシュール隊長と攻めに長けたモナー隊長を残す事でソウサク国をなんとか守る、という考えでの人選だろう。実際こちらもいざという時のアタッカーは必要だ。ワタナベもそれに同行するらしい。
('A`)(ソウサクにはフサ達もいるしな………)
('A`)そこまではいいとして……なあブーム、ありゃなんだ?
| ^o^ |おおきなドアをかかえているようにみえますが
( ^ν^)メガネの遺産、魔法の扉。こいつの最終調整はヴィップで行わなきゃ意味がないんでな、とりまウチらも同行するってわけ。んでヤマサキお前は荷物持ち
37
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:41:57 ID:YCcuTBs.0
(;^^)ニュッケンさん!!尋常じゃなく重いんですけど!!!ちょっとは手伝ってくださいね!!
( ^ν^)落としたりぶつけたり壊したりしたらケツ蹴り上げるからなー
(;^^)無茶苦茶だ!!!!ていうかなんで僕一人だけ!!!!!
('A`)あー…テンプター行くまでになるけど俺、持つよ。大丈夫か?
| ^o^ |てをかそう
(;^^)あ……ありがとうございます、ありがとうございますっ……!!!!これからも僕に優しくしてくださいね!
('A`)普段どんだけ粗雑に扱われてるんだおまえは
( ^ν^)ケラケラ
38
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:45:09 ID:YCcuTBs.0
( ´_ゝ`)ん?やけに数が多いと思ったらお前ら、テンプターに行くのか?
o川*゚ー゚)oこれからのために、ちょっとした賭けにね。無事に済むに越したことはないけど
( ´_ゝ`)…別に止めはしないんだがなあ
从'ー'从テンプターに何かあるんですか?
( ´_ゝ`)いや…うーん……妙な土地なんだよ、あそこは。ヴィップもシベリアも不干渉だし……
| ^o^ |まためんどうなことになりそうですね?
('A`)今更だろ………ていうか嬉しそうだな
| ^o^ |うふふ りょこうするのはじめてですから
('A`)あー…ホント、ホント羨ましいよお前のそういうとこ
| ^o^ |うふふ〜
( ´_ゝ`)(此度の遠征…ヴィップで戦地に行ったまま戻って来ない姉者を見た、という噂も確かめたくはあるが……)
39
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:46:56 ID:YCcuTBs.0
──────
──
( ・∀・)「天国ってのはもっと綺麗なとこにあると思ってたけど、ここは随分暗くて陰気だね」
爪'ー`)y‐まったくだ。俺が気分転換に遊びに出たくなる気持ち、わかったろ?
( ・∀・)「まあね」
|゚ノ ^∀^)……私が一度手を叩いたら紅茶、二度はコーヒーだと言ったはずですが?
レモナの指先から発した血液の刃が、土の人形の首をはねた。
人形は切り落とされた頭を抱えると、ぐちゃりと音を立てて元の位置に戻して申し訳なさそうに去っていく。
( ∵)スタスタ………
( ・∀・)「うわ…ゴーレムを顎で使ってる。あれも一応僕らと同じ神様だろ?」
|゚ノ ^∀^)完全な再生に時間がかかる以上、彼も配下のアンデッドとなんら変わらぬクズですわ
( ・∀・)「久しぶりだねレモナお嬢様。随分と艶っぽい見た目になったようだ」
|゚ノ ^∀^)うふ、フィレンクト様の血のおかげですの
( ・∀・)「なるほどね……ところで資料で見たショボヌール・オプトマユは40そこらの中年だったはずだが、随分とお若いんだね」
(´・ω・`)ボクの見た目に何か文句があるというのか?時の厄災……
( ・∀・)「うん?ふふ……自分がもっとも無敵だった頃、素晴らしきかな過ぎた青春…人を捨ててまでそれにしがみつく哀れな男。なかなか芸術的だと思ってさ」
40
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:47:40 ID:YCcuTBs.0
(#´※ω※`)神を愚弄するかあぁぁッ!!
( ・∀・)ニコヤカ〜
爪'ー`)y‐おいおい、ここには神しか居ないぜ?チビおっさんよ…
【+ 】ゞ゚)モラルーナ君もやめたまえ。我々は同じ使命を持った同士なのだから
(´・ω・`)!オサム様……
( ・∀・)「モララーだよ」
( ・∀・)(騒いでみたがギョロ目がそうそう止めに入ることもないか…こいつが一応のサブリーダー格か?)
( ・∀・)「同士ねぇ…それなんだが、一応ここを組織とするなら便宜上呼び名は必要だろう?いつまでも厄災ってのも耳触りが良くない」
【+ 】ゞ゚)ふむ…
41
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:48:16 ID:YCcuTBs.0
|゚ノ ^∀^)組織?ごめんですわね。命令するならまだしも命令されるのは性に合いませんの
( ・∀・)「まあ僕らは衝動を満たすためだけに生きているようなもんだからねえ。獣と同じ」
(#´・ω・`)言葉に気をつけろよ貴様……一度我々が定めたならば、お前も滅ぼされる対象になるということを覚えておくんだな…
( ・∀・)「こっちのセリフ。他の連中もそうだが僕の力はワカ…天の厄災と同格だと思って欲しいね」
(#´※ω※`)言うに事欠いて貴様ァ!!
( ・∀・)「瞬間湯沸かし器め」
爪'ー`)y‐…………『イノセント』。それでどうかな
42
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:49:11 ID:YCcuTBs.0
( ・∀・)「イノセントか。悪くないな、皮肉が効いてて」
(#´※ω※`)勝手に決めるな!!
( ・∀・)(立場的にこいつはゴーレムの次だな、警戒しなくていい)
【+ 】ゞ゚)まあ好きに呼べばいいだろう。ただモラルーナ君…君のもう一つの要求には、我々は相応の成果を求める
( ・∀・)「だから名前違うって…成果?」
【+ 】ゞ゚)貴方の国の大魔導師を一人二人殺害して来るんだ。信頼の証には充分だろう?
( ・∀・)「…お安い御用さ」
43
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/14(月) 20:50:22 ID:YCcuTBs.0
爪'ー`)y‐……ショボンは子供に戻りたい欲望、レモナっちは逆に大人に…そこで気になってたんだがモララー。お前の姿はどういう感情が反映されてるのか、少し気になるな
( ・∀・)「んー僕?どうかな……話し相手が欲しいとか…かな?わかんないや」
( ・∀ ∀・)ズニュ
( ・∀ A・)グニュ
( ・∀ w・)グバッ
「二枚舌は」( ・∀ ∀・)「生まれつきだし…」
( ・∀ ∀・)ニコヤカ
続く
44
:
名無しさん
:2022/03/14(月) 21:40:14 ID:EO3pgc5c0
も、モララー!!!!!!
45
:
名無しさん
:2022/03/15(火) 02:39:26 ID:I2g9DUZ60
乙乙乙
46
:
名無しさん
:2022/03/15(火) 03:25:35 ID:tu3gP3lw0
待ってたよ乙
もう完全に人間じゃなくなったか…
47
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 13:13:02 ID:h3yt/n/o0
乙
時の厄災になっちまったか……
とは言えまだ理性は残ってるっぽいが
48
:
名無しさん
:2022/03/19(土) 08:13:56 ID:NcDph9II0
追いついた。色々言いたいがまだ見ぬ国のことが気になってしょうがない。あとモララー奇形って珍しいAAだな…あれを最後に見た作品はなんだったっけな
49
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:14:06 ID:0qdCjEb.0
( ^ω^)これは…
(*'A`)すっっげぇぇーーー!なんだよこれ!なんだよこれ!
| ^o^ |ほええ
暗いシベリアの地下都市にドクオの叫びが響いた。ブーム、ヤマサキと一緒に支えていた魔法の扉を手放して真っ先に目の前にそびえる長く巨大な鉄の塊へ駆け寄る。どうやら人が乗り込める作りになっているらしい。
興味津々な様子でその感触を確かめるドクオに対して、キュートやワタナベの表情はいくらか慣れた様子だった。
(‘_L’)ふむ。君たちはヴィップからの帰りで乗った事があったんだったな
从'ー'从いつ見ても圧倒されますけどね…あはは
( ´_ゝ`)この列車は広大な地下都市の各居住区を移動するためのものだ。当然シベリア領内を出るとこまでは行けないが、まともに地上をせかせか歩いて行くよりは余程距離を稼げる
o川*゚ー゚)o……これ、ソウサクにも作れるかな。ちょっと構造が気になる
从'ー'从キュートちゃんなら本当に出来ちゃいそうだね〜
50
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:15:28 ID:0qdCjEb.0
( ^ν^)シベリア特有の技術じゃねーよな、これ。旧人類の遺産ってヤツ?
( ´_ゝ`)ほう、鋭いな。その通りだ…無論この地下都市もな。元々あったものを見つけて勝手に使わせてもらっているだけに過ぎんよ
( ^ν^)だろーなー。脳ミソ筋肉の国だし
鼻先で返したニュッケンの不遜な態度をアニジャはむしろ好ましく思った。舌の戦もまたシベリア人の彼にとっては楽しむべき勝負の一つに過ぎず、片頬を叩かれれば両頬をより強く殴る事で応えるタイプの相手は彼の最も好む人種だったからである。
(;^^)ニュッケンさん!!
( ´_ゝ`)気にするなソウサク人よ、事実だ。それにしても諸君らのそれは随分とひ弱そうに見えるが、いい鍛え方を教えてやろうか?
( ^ν^)結構。パワープレイの世渡りなら慣れてる
ニュッケンはアニジャの一撃をひらりと躱すようにあっさりと返し、二、三頭を掻いて列車へと乗り込んだ。
それを見てアニジャは満足そうに軽く口を歪めた。
( ^ν^)(……っぱソウサクにずっと居ても手がかりは少ねえわな。巨鯨の厄災といい、核といい…もう少し旧人類について知る材料は集めたいが……ま、そこんところはキョーミの範疇として)
( ^ν^)とっとと終わらせて巨神作りてえんだよなぁ……
51
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:16:12 ID:0qdCjEb.0
o川*゚ー゚)o…大丈夫かな、シュー姉
最初こそテンションを上げて乗り込んだドクオ達であったが、真っ暗であまり代わり映えしない景色が続き少々退屈さが車内に充満していた。
ブームが先程まで背負っていた大きな鞄からがさごそと何かを取り出して見せる。
| ^o^ |いっしょにどうですか
('A`)トランプか。ちょうどいいかもな
( ^ω^)ババ抜きしようお!
('A`)いいね。キュート隊長達は?
从'ー'从やるやるー!ね、キュートちゃん?
o川*゚ー゚)oうーん…
从'ー'从考えるのも大事だけど、リラックス出来るときにしといた方が良いと思うよ?
o川*゚ー゚)o…そうかもね
川 ゚ 々゚)ハッ!あたしに勝てると思うかァー!?
( ^ω^)こんな殺る気満々でトランプに臨む人初めて見たお
( ´_ゝ`)良いぜ。受けて立ぁぁーーーつッ!!
( ^ω^)あんたもいたおね
52
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:17:00 ID:0qdCjEb.0
6名でのババ抜きが始まった。
フィレンクト、ニュッケン、ヤマサキは参加しなかったが「敗者には罰ゲームが必要だろう」「今日一日語尾ピヨとかでよくね?」などと楽しげに茶々を入れながら見守っている。
アニジャ、ワタナベが真っ先に上がり舞台に残ったのは年少者3人とブーン・ホライゾンだけであった。
('A`)(語尾に「ぴよ」か…絶対ブームに一生イジられるな……4番隊の全員に知られるのだけは避けたい……ん、待てよ?)
o川*゚ー゚)o(…仮にこれブーンさんが負けたら)
('A`)(「だお」と「ぴよ」で…「ぴよだお」か…?)
o川*゚ー゚)o(それとも…「だおぴよ」?)
('A`)o川*゚ー゚)o(めっちゃ聞きたいな……)
53
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:17:59 ID:0qdCjEb.0
ドクオとキュートは結託してブーンを陥れようとしたが何巡か過ぎて策謀虚しく彼もゲームから上がり、しばらくして勝負はドクオとブームの一騎打ちへもつれ込んだ。
('A`)………
| ^o^ |うふふ〜
('A`)………
| ^o^ |おや?
(*'A`)…これだーっ!
ドクオはブームの反応を確かめ、持っていたカードを引き抜いた。
('A`)へっ、表情が変わらなくても反応が分かりやすいんだよな。ラクなもんだぜ
勝ち誇ったドクオが掲げた札はジョーカーであった。
(;'A`)!?
| ^o^ |あっがりー
o川*゚ー゚)oあーあ。せっかく見えるか見えないか程度に爪で印つけてあげてたのに〜
( ^ω^)人を嵌めようとするからこうなるんだお
| ^o^ |へっ ひょうじょうがかわらなくてもはんのうがわかりやすいんだよな
(;'A`)うっ…
| ^o^ |ラクなもんだぜ
(;'A`)……あの〜〜ブーム、ブームくん、ブーム様。もう一回勝負していただいても
| ^o^ |ばつゲームです
(;'A`)無慈悲!
54
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:19:06 ID:0qdCjEb.0
(;'A`)うぐっ、ぐぐぐぐ……
( ´_ゝ`)往生際が悪いぞー少年
(‘_L’)一人だと恥ずかしいぴよ?一緒に付き合ってあげるぴよ
( ´_ゝ`)ふむ、それも面白かろう。手を貸してやるぴよ
(;'A`)!?
o川*゚ー゚)o負けは負けだにゃん、ドクにゃん
从'ー'从ふふっ、観念するにゃん。にゃんにゃん
(;'A`)くっそ…なんでみんなそう変な方向に乗り気なんだよ…!
( ^ω^)逃げるのかぴよお?
( ^ω^)ぴよ〜〜〜〜〜〜お???
o川*゚ー゚)oくふぅ…ッwwwwwww
(;'A`)うるせえよ!これでいいぴよかこれで!
| ^o^ |しりにからのついたおまえさんにはにあいのごびだ
(#'A`)ぴよぉぉぉぉぉ!!
ワタル・ヤマサキは頬杖をついて静かに窓の外を見ていたニュッケン・ニューソックスの肩が小刻みに震えていたのを見逃さなかった。
55
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:20:21 ID:0qdCjEb.0
列車はシベリアの端まで移動すると動きを止めた。
( ^ω^)ん〜〜……やっぱり地上の空気はうまいお
ブーンが大きく身体を伸ばして深呼吸するのを見て、ドクオもその横で思わず倣ってみる。それに気づいてブーンは小さく笑った。
( ^ω^)ドクオは真似っ子だおね
('A`)そういうつもりはねえんだけど、ちょっと自分も確かめたくなってさ
( ^ω^)ぴよ
('A`)………お前マジでそういうとこキッチリしてるぴよな
( ^ω^)僕はキミのそういう所良いと思うぴよお〜〜
('A`)うるせぇな……ぴよ
おどけた調子で言ってみたが、こうして誰かと同じことをして、同じ感覚を共有することで彼は人間としての自分を再確認しているのかもしれないとブーンは思った。
ドクオは人間であり、魔法使いであり、厄災である。
こうして人に寄り添う事の積み重ねが彼を人間たらしめているのかもしれない。
( ^ω^)(実践と理解が光の繋ぎ方か…)
('A`)どうした?
( ^ω^)ん?改めてキミからは見習うべき事があるなって思っただけだお
('A`)…そりゃありがたいね
56
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:21:20 ID:0qdCjEb.0
地上に出て歩くこと数時間。曇り空が晴れて行くのを見てドクオははっきりとシベリア領内を抜けた事を理解する。
一歩踏み出してから、後ろを振り返る。色彩が失われた地平だけがただ広がっていた。
厄災の瘴気に呪われた地とソウサク国のような平穏な土地との境目が確かにある。
('A`)(ソウサクが平和かと言われればめちゃくちゃ首をひねるがな……)
('A`)そういやシベリアの飯って…
( ^ω^)魔物料理が盛んだおね。でもあんまりシベリア人が狩りたてるもんだから魔物も地上へロクに姿を現さなくなって久しいみたいだお
('A`)うへー 弱肉強食
( ^ω^)最近はトロル一匹見つけただけでもお祭り騒ぎらしいお
( ´_ゝ`)やれやれ、そんな事情まで教えた覚えはないんだがな…
( ^ω^)自主的なリサーチの成果だお
( ´_ゝ`)勤勉な胃袋で羨ましいな
('A`)よくやるぜ…
57
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:22:34 ID:0qdCjEb.0
(‘_L’)ふむ、キュート君たちとはここでお別れだな。より良い成果を期待しているよ
o川*゚ー゚)oふふ、安んじてお任せあれー!
(‘_L’)ドクオ君
('A`)…ん?
(‘_L’)お互い旅の無事を祈るぴよ!
('A`)…ばーか。今すぐくたばれクソオヤジ
(‘_L’)ふふふ
| ^o^ |おや ばつゲームは?
('A`)やめだやめ。テンプターまでもうすぐだってのにいつまでもこれじゃ締まらねえだろ
ドクオは道端に佇むウサギの石像を撫でた。
58
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:28:23 ID:0qdCjEb.0
テンプターは小さな村だ。
真夜中に足を踏み入れてからしばらくして、村人の大半が起き出して異国の来訪者を見物に集まって来るほど。
不気味な程白い顔で皆一様に固い表情をしている。こちらを警戒しているのだろう。
さらに目を引くのは彼らの耳。頭に生えた長い長いウサギの耳。それが明らかな自分達とテンプターの人間との違いと言えた。
ソウサクから来たこと、敵意はないことを伝えると村人はざわめき、やがて長老らしき人物がキュートたちの前に現れ、穏やかな笑みを浮かべた。
('A`)ラビ・マルティウスって人に会いたいんですけど
沈黙が辺りを包んだ。
注がれる視線に気まずさを感じ、ドクオは助けを求めるようにブームを見る。その表情は特に変わらなかった。
(メ長⊿老)ラビ・マルティウスは古き名、我ら三月ウサギの民を指し個の名前にあらず。……何を求めてここに来たかは知らぬが、今日はここで休んでいくといいでしょう
从'ー'从えっ
o川*゚ー゚)o…心遣い、感謝いたします
('A`)マジかよ………
| ^o^ |おやおや?
59
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:29:17 ID:0qdCjEb.0
| ^o^ |さて つみましたね
ひとまず差し出されたミルクを飲み干してブームが呟いた。
古風な雰囲気が漂うテンプターだが、コップや炊事用具などを見る限りさすがに全てが太古の暮らしのまま、というわけではないらしい。
見直した所で好き好んで住もうとは思わないが、とこの場に居る全員は考えていた。
从'ー'从まさか全員ラビ・マルティウスとはねえ…
('A`)そんなんアリかよって話だよな…一人一人話しかけたってそのうち怪しまれて叩き出されるのがオチだぞ……
| ^o^ |ではあきらめてヴィップへいくかソウサクにもどりますか?
('A`)そうはいかねえ。ここで数日後誰かが厄災として覚醒したら、確実にこの村の人達は犠牲になる
('A`)止め方なんてわかんねえけど…このままにしておくのはもっとダメだ。やりようはこれから探してく
| ^o^ |わかっているなら わたしからいうことはありません
o川*゚ー゚)oそれでこそ魔法局の一員だよ、ドクオ君
('A`)サンキュ。大魔導師からの褒め言葉は二重三重に嬉しいぜ
60
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:29:48 ID:0qdCjEb.0
(メ._⊿)相談は済んだか、客人?
背後から野太い声が響き、鋭い目つきの男の姿が焚き火に照らされる。
体格も姿勢も立派なその立ち姿に不思議とドクオは威圧感を感じなかった。
('A`)アンタは?
(メ._⊿)三月ウサギの民に名前はない。君達の身の回りの世話を頼まれている者だ
从'ー'从(…私達を探りに来た?)
o川*゚ー゚)o・・・・・・
ワタナベの視線にキュートが短く頷く。
('A`)それじゃ困るな。アンタだって家族とか兄弟いるだろ?そいつらは普段どう呼んでるのさ
(メ._⊿)『オニイチャン』、『イモウト』などと呼び合ってはいるな
('A`)それ以外は?
(メ._⊿)『お前』『そこの三月ウサギ』
| ^o^ |なんともいびつな
(;'A`)一族全員名無しさんかよ
从;'ー'从個ってものに対する意識が薄い…のかな…?
61
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:30:53 ID:0qdCjEb.0
(メ._⊿)そこにある木を見れば分かるさ。彼らには種としての名前がある。個としての名前は存在しない…されど、語り合える
男は木の実を四つほど取り、ドクオ達に投げ渡した。
(メ._⊿)生きるということは信頼を得ることだ。こうして自然の恵みの力を借りる行為、これも我々自身が種として星と心で語り合っているから成立している
(メ._⊿)我々は個という段階にはそれほど固執しない。自然、動物、人…全てが種として対等であり、尊重と調和の下に生きている。それが星と共に生きていくための手段だ
('A`)………わかるか?
| ^o^ |あまりピンとはきませんが かれらがひとつのかたまりとしていきていることは りかいしました
从'ー'从ブーンさんには残ってもらうべきだったかな…ヴィップ人が居たらもう少し分かりやすく噛み砕けたかもしれないけど…
o川*゚ー゚)o…貴方達は神と人も対等だと思う?
(メ._⊿)思うさ。我々がシベリアのように神の怒りに晒されない理由はあそこにある
('A`)……月?
(メ._⊿)そう。月の神は我々の友達さ。彼は常に我々を見ている、行く先が見えない闇の中へ迷い込んだ時には我々を照らしてくれる。故に我々も彼に恥じない行いが求められているんだ
62
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:31:19 ID:0qdCjEb.0
o川*゚ー゚)o…伝承や信仰はどうあれ、私達は神々と戦わなきゃいけないの。ここにいる人間も含めて、守らなきゃいけない
(メ._⊿)君たちは無謀だ。敵を知らずに戦うことは出来ない
('A`)アンタは知ってるってのか?
(メ._⊿)知っているさ。光を閉ざす根源…君と我々の敵は同じものではないかな、少年?
('A`)……あいにく学が無いんだ。もうちょっと理解する時間が欲しい…長いこと歩いて疲れてるし
(メ._⊿)分かった、こちらも長話に付き合わせて申し訳ない。寝床へ案内しよう
('A`)・・・・・・
63
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:32:05 ID:0qdCjEb.0
('A`)寝床ってこれか?……もたれて寝ろってか?
ドクオが指したものは非常に太い大木であった。縦長の樹洞に入れば最低限の雨風はしのげそうだが、入れて1人程度のスペースしかない。
ぼやくドクオをよそに世話役の三月ウサギは口元へ人差し指を当てると、その木に手を添えた。
すると樹洞の中に空間の歪みが生じ、奥に小さな明かりが見えてきた。
o川*゚ー゚)oこれって…!
(メ._⊿)樹木に語りかけたのさ。この人達をもてなすための空間を作ってくれ、とな
从'ー'从木の中の宿かぁ…なんだかちっちゃい頃作った秘密基地みたい
o川*゚ー゚)oえへへ、わくわくしちゃうね!早速入ってみようよワタナベさん!
(メ._⊿)一応最低限は彼に伝えたつもりだが…何しろ他の国の暮らしを知らぬ故想像力に乏しくてな。足りないものがあればこの木に言ってくれ…ただし、自然への敬意を忘れてはならない
64
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:32:31 ID:0qdCjEb.0
('A`)魔力の使い道で言えばシベリアの魔闘家よりソウサクの魔法使いに近いのか、ここの連中は…?
| ^o^ |まほうとも またちがったものかもしれませんよ
('A`)…神の御業、信仰の力ってヤツ?
(メ._⊿)誰にでも出来る事だ。星を愛しているならば
('A`)星ねぇ……
| ^o^ |とりあえずフカフカのおふとんをいただきたいですね かみさま?
('A`)こっち見んなよ。木に頼め、木に
65
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:33:01 ID:0qdCjEb.0
('A`)…ん
ドクオはふと身体を起こした。木の宿へ最初に入った時、照明もないのにこの空間全体に広がっていた黄色い光はなくなり今自分の身体は闇に溶けている。
その現実はテンプターが神秘の世界であることを充分にドクオへ再確認させた。
| ^o^ |すいみんがあさいようですね
差し込んだ月の光がブームの姿を映した。キュートは少し離れた所で寝息を立てている。
ワタナベの所在を訊ねたところ、外に出ているらしい。
('A`)ブームは?寝つけなかったのか?
| ^o^ |そんなところです というより たのしすぎてといったところでしょうか
| ^o^ |ほら
ブームが壁に手をやると、ぬるりと空間の歪みからコーラの瓶が出てきた。
| ^o^ |コーラ おいしいです ここにいればこまりません すばらしい!
('A`)なんで木がコーラ知ってんだよ……
| ^o^ |ていねいに けいいをもってつたえてあげたんですよ あじもみためも ことこまかに
('A`)それでポンポン食い物飲み物出してくれるってんならここの住人は餓死する事も無さそうだな
| ^o^ |むらのこどもたちにあげたらきっとよろこぶでしょう そうおしえたら このきもよろこんでいました
('A`)なんていうかここ向きの性格してるよなブーム。定住する?
| ^o^ |それはどうでしょう つぎがあればディさんときてみるのもいいかもしれません
66
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:33:36 ID:0qdCjEb.0
('A`)次があれば、な……
| ^o^ |……わたしたちは 10ねんご 20ねんご どうなってるんでしょうね?
('A`)…急にとてつもない未来の話をするなおい
| ^o^ |そうでしょうか?たった10ねんですよ?
('A`)たった、か………そうだよな。たった、なんだよな…
('A`)俺、改めてブームをほんのちょっぴりとだけ尊敬した気がするよ
| ^o^ |ほほう こそばゆい
('A`)10年後ね……誰にもわからないさ。わかんねえ方が良いんじゃねえかな
| ^o^ |できればみんなけんざいでありたいものです
('A`)…それが贅沢な望みになっちまう世の中と思うと、クソ食らえって感じだな
| ^o^ |まったくですね
67
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:34:09 ID:0qdCjEb.0
('A`)なあブーム。ちょっと考えようぜ…あの三月ウサギの兄ちゃんが怪しいと思わないか?
| ^o^ |さあ〜
('A`)お前な…コーラ出して遊ぶためにここへ来たんじゃねえんだぞ…
| ^o^ |というより かれのことばをきけばわかりますよ あれがいっぱんてきなテンプターのひとなのです
('A`)あいつだけが色々知ってるわけじゃなくて、他の住人たちも皆そういう感じってわけか…ますます迷宮入りだな、おい……
| ^o^ |テンプターのこどもたちはしりませんが
('A`)あー、もう…誰なんだよ、一週間後に覚醒するラビ・マルティウスは……
| ^o^ |あせらないあせらない
('A`)ばか。お前はもう少し危機感持てっつーの
| ^o^ |うふふ
('A`)…ははっ
68
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:34:55 ID:0qdCjEb.0
('A`)お、いたいた。ワタナベさん、何してんの?
水色のパイプから煙を吐いて得意げにワタナベが応える。
月の光に照らされたワタナベのその仕草はほんのちょっぴり大人っぽくて、あまり背伸びした様子を感じさせなかった。
从'ー'从これ、おばあちゃんの形見なんだ
('A`)似合ってるよ。ワタナベさんが吸う人だったのは意外だけどさ
从'ー'从えへへ。美味しさは正直あんまりわかんないんだけどね、カッコつけかな〜
('A`)良いと思うぜ。そういう大事なものがあるってのはさ
そう言って俯きながら片手でペンダントを弄ぶ。これをプレゼントした人間は両方この世界には居ない。けれど確かに彼らから教わった生きるための力は今もこの胸に息づいているのだ、とドクオは改めて自分に言い聞かせた。
69
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:35:22 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从…ドクオ君、吸ってみる?
('A`;三;'A`)ババババババ
从'ー'从あはは、そんなに〜?
(;'A`)俺は!たとえソウサクで禁止されていなくても!酒と!煙草は!生涯口にしません!!なぜならばです!!!
(;'A`)身長を!!もっともっと伸ばしたいから!!!!!!
未成年の主張の必死さが伝わったのか、ワタナベはくすくす笑いまた空へ視線を向けた。
从'ー'从…いたいた、って事は何か用があったんじゃないのかな?
('A`)そうそう、例の…ここで目覚める激流の厄災について。流石に朝一番に村人全員集めて「この中の誰かが厄災になりまーす!」とか言えるわけないけどさ
('A`)三月ウサギの長老さんに厄災……神々について一度話してみて、反応を確かめようと思うんだ。どう思う?
70
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:36:09 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从…なんで私?
素っ頓狂な声になんでと言われても、とドクオはたじろいだ。その様子をワタナベはにこにことしながら見つめる。
('A`)だって、俺ははっきり言ってアホだし…周り引っ張ろうとしても理屈がついてこないっていうか…ブームはああだろ?あいつは普段ボケっとしてるけど…どっちかってーと俺が考えをまとめてから、もう一度整えてくれるヤツだから
('A`)だから積極的に「こうしろ」って助言は聞いておきたいんだ
从'ー'从しっかりしてるよねえ、みんな…
紫色の煙が空へと溶けていく。
从'ー'从リスクは当然あるね。運が悪いと敵と見なされて村人総出で袋叩き…なんてのもあり得るかも
('A`)そうだな……でも、多分そこは恐れてちゃ駄目だと思うんだ
从'ー'从彼らが信じられるから?
('A`)まあな。悪い連中じゃなさそうだし…あいつらの論法が全部理解できるわけじゃないけど
从'ー'从なるほどな〜………
('A`)ワタナベさんは?
71
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:37:02 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从ヴィップに行った事ある私からの個人的な印象なんだけど…多分、純粋だと思うんだ。テンプターの人は
从'ー'从一つの集団が種としてまとまって…ただの「ヒト」として神や自然と調和して生きていくなんて、私達からしたら夢物語もいいとこだもん
('A`)まあ、な…どうしても綺麗事って言えちまう…
从'ー'从聞いたことがあるの、ヴィップの理念。聖タナシンの教え…『人は人であれ』ってやつ。多分…歴史のどこかで分かれちゃったと思うんだ、ヴィップとテンプターは
从'ー'从ヴィップは信仰の下に多くの人が魔力を封じて、元の人間であろうとした。テンプターの人々の祖先は生命としての在り方を突き詰めようとした…同じ調和の形でも、全然違う方向に……
('A`)んでヴィップに異教徒扱いされて、ここに流れ着いた、とか?
从'ー'从あはは、そんな感じのただの推測。そうだったら面白いかなーって
('A`)あれだけの会話でそこまで考えるのもすげえな…
72
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:37:48 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从なんとなくアニジャさんの言ってた「妙な土地」ってのも理解できたよ。純粋だけど、それがすごーくヘン!
从'ー'从神様に近づこうとしてる…というか、もっと近い距離で生きてるのにシベリア人と違って厄災の目の敵にされてないのもそうだけどさ
从'ー'从私達を囲んでた視線、今にも食らいつきそうな獣の目だった。多分…一度敵と認識されたら終わりだな、って感じ。ウサギさんのかわいい耳つけてるのにね
从'ー'从ヴィップ人の信仰心と、シベリア人の闘争本能…それがテンプター人の原始的で純粋な価値観とごっちゃごちゃになって、凄いことになってる……ってのが私の感想かなぁ
('A`)おみそれしました
从'ー'从えへへ、一度ヴィップに行ってたからここまで辿り着けるんだよ。ノーヒントじゃ絶対無理無理〜
73
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:38:49 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从ふふっ、うれしかったな…
('A`)何が?
从'ー'从ドクオ君が今、私を頼ってくれたこと。ドクオ君も、シュールちゃんも、キュートちゃんも…私より年下の子はみんな強いし、しっかりしてるからさ
从*'ー'从だからこうして頼ってもらえてすっごーーーーく、嬉しい!
('A`)へへ、なら良かったよ
从'ー'从…………憧れだったんだ〜、光の魔法使い
ぽつりと小さな声でワタナベは言った。
ドクオは不思議そうに小首を傾げる。
ワタナベだって数少ない光の魔法使いではないかと。
从'ー'从気性が荒いからさあ。ずっとずっと…小さい頃から攻撃魔法しか使えなかったんだよね〜
('A`)…ワタナベさんが?
从'ー'从そうだよ〜?普段はネコ被ってるだけかもしれないにゃあ
ドクオは口をつぐんだ。
いざという時に誰かの傷を癒やしてあげられないことの悔しさを、ワタナベの表情から察したからだ。
74
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:39:23 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从………でもね
从'ー'从アンデッドの騒ぎの後、シュールちゃんが傷ついて、キュートちゃんも自分を傷つけるような選択をしてた時……私、あの時シュールちゃんの手を取って思ったんだ
从'ー'从私でも誰かを癒せるんだ、救い出せるんだって
('A`)……分かるよそういうの。嬉しいよな
从'ー'从うふふ、ありがと。だから今はボンクラ光の魔法使いでもぜーーーーんぜん気にしてないよ!
从'ー'从それにキュートちゃんと一緒に、ドクオ君に負けないくらい強くなるんだからね!
('∀`)なーんだ、あんたも目指せシィ様思考かよ。俺だってどんどん先行くぜ!
75
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:40:14 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)…キミ、ついてくるの?
爪'ー`)退屈しのぎだよ
( ・∀・)へえ。オサム・カンオケシは僕に鈴でもつけるつもりかな?
爪'ー`)残念。いざという時は彼を絞める縄になれとさ
( ・∀・)気の毒な身だなあキミも僕も。真面目に生きてるつもりなのにまるで信用が無い…
爪'ー`)日頃の行いってやつかね。それで?手始めに誰を殺すつもりかな、モララー
( ・∀・)キュート・クルットル・スナール。まずは矛から折る
爪'ー`)y‐ほう、見せてもらおうじゃないか。国を捨てた男がどの面下げて仲間に会いに行くのか……
( ・∀・)好きで捨てたつもりはないんだけど…まあいいさ、これも僕の仕事だ
( ・∀・)やるからにはしっかりとやらなくちゃね
76
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:41:11 ID:0qdCjEb.0
(,,゚Д゚)どうした?いつもより調子が良さそうじゃないか、フサギコ!
ミ,,゚Д゚彡…別に。大魔導師欠けてマヌケどもが居ないんじゃ、嫌でも自分磨いていかねえとやってられねえだろこの国
(,,゚Д゚)…フッ、そうだな!
魔物を滅し、自らを鍛え、血と汗にまみれた一ヶ月。ロマネスク王の言うほど平穏なものではない。
だが、それでいいとさえフサギコは感じていた。
ミ,,゚Д゚彡(もっと強く、もっと、鋭く…!)
心置きなく憎めるものが、自分を立たせていたものがいつの間にか霧散してからフサギコは不思議と虚しさを感じる事はなかった。
ただ、今度こそ自分自身の生命を世界へと認めさせればいい。
それが自分なりの光の繋ぎ方であるとフサギコは忘我の境地で理解していた。
77
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:41:44 ID:0qdCjEb.0
( ´∀`)さて、一応ソウサクの防衛体制を築くためにお前も頭数に入ってもらうモナ
/ ゚、。 /……見返りは?
( ´∀`)今更それを要求するモナ?
/ ゚、。 /神様を顎で使うんだ。タダ働きってことはないだろ
( ´∀`)カキ氷三年分
/ ゚、。 /ふむ……
( ´∀`)シラネーヨをお前の召使いとする権利
/ ゚、。 /乗った
(;´ー`)あのー、ふざけてないでもうちょいまともにやりましょうよ…今大魔導師二人なんですから……てか俺の人権……
/ ゚、。 /軽い戯れさ、気にしなくていい。それに見返りならすでに充分にモナーから頂いているからね
( ´∀`)モニャ?
( ´ー`)何しでかしたんですかアンタ…
( ´∀`)モニャ〜〜〜〜〜〜〜〜
78
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:42:32 ID:0qdCjEb.0
('、`*川っし!第三段階への展開を確認っと…もうちょい魔力垂らしてみる?
ペニサスの下で魔法術式の光が仄かに輝く。
問いかけたが、デミタスの返事はない。
彼は珍しく椅子の上で静かに寝息を立てていた。
('、`*川いつの間に…寝かしといてやるか。何年寝てないんだっけ、この人……
(´-_ゝ-`)・・・・・・
('、`*川布団どこに仕舞ったっけ…あーもー散らかってて何がどこにあるか分かりゃしない…
(´・_ゝ・`)………………………いりませんよ
('、`*川ありゃ、もうちょい寝てても良いのにー。寝顔面白かったよ?
(´・_ゝ・`)不覚を取りました。もう二度と見せません
('、`*川睡眠に対して意地を張る必要ってないから。フツー死ぬから
(´・_ゝ・`)いえ…
('、`*川ほら、いいから寝る。寝〜〜〜る
(´・_ゝ・`)コーヒー淹れてきます
('、`*川こいつ…
79
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:43:18 ID:0qdCjEb.0
静けさだけが4番隊の隊舎を包んだ。夕陽に照らされてデミタスの髪がほんのり赤く染まる。
コーヒーを啜る音すら聞こえない。
ペニサスは最初こそ特にそれに対して反応は示さなかったが、やがて惹かれたようにデミタスの方を見た。
('、`*川……飲まないの?
(´・_ゝ・`)何故だか、そういう気になれなくて
('、`*川自分で淹れたくせに?
(´・_ゝ・`)30分ほどそのままなんですよ?
デミタスはコーヒーカップを両手で包み込むように持っている。その手に広がる暖かさが、彼の背筋に寒さを伝えていく。
('、`*川んなの当たり前でしょ?ウチは結界で時間が………
('、`*川
(´・_ゝ・`)
('、`*川…………出よう
(´・_ゝ・`)そうですね、座っていても仕方がありませんし…
('、`*川呼び鈴にしては規模デカ過ぎるっつーのな。行こ?
80
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:44:20 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)ニコヤカ
風邪が原因で破裂した蛇を魚と騙し売る
詐欺師( ・∀
∀・)死にかけの老いた猿を「もうすぐ死ぬ」と言って買う者がいるか?
( ・∀天頂には無垢なる黒。海原は燃え立つ金。水平線は夜空に沈む青
∀・)その事実だけが救いなのだ。……ああ、何てことだろう……
(;;・∀・;;)この世の全ての汚物よりおぞましくそれはピーマンの皮に包まれた黄色い脳髄をビュービュー吹き散らしながらただひたすらに踊り続ける摩天楼!
(・∀・ )許せるか、とキミは問うだろう
( ・∀・)そして僕は答えるだろう!
( ・∀・ )お前も!お前も!お前もッ!
( ・∀・ )僕のショーの演出の糧に過ぎない!
81
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:44:59 ID:0qdCjEb.0
『('A`)残響の魔法使いたちのようです』
その2
『ふたりルナティック・モーメント』
82
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:46:01 ID:0qdCjEb.0
('A`)…いつから木の中の宿が託児所になったんだ?
子供達の騒ぎ声にドクオはぼりぼりと頭を掻いて目を覚ました。昨夜に比べて明らかに遊具や楽器が増えて、中の空間もかなり広くなっている。
(メ._⊿)日が登った、そこはすでに君達だけの場所ではなくなったということさ。食事を用意してある、ついてきてくれ
('A`)ありがとう。ブーム達は?
(メ._⊿)すでに席へついている
83
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:47:13 ID:0qdCjEb.0
キュートは唾を飲んだ。
真っ黒い砂トカゲの干物。
そのおぞましい臭気が鼻をついた。
川;゚ 々゚)…………ねぇ、ワタナベ
从'ー'从どしたのクルウちゃん?
川;゚ 々゚)たべなきゃだめ?
从'ー'从ダメかな〜〜
川 ゚ 々゚)けち………
元々の食が細い印象に反してドクオは次々に出された食事を口へと運んでいく。
思わずマイペースに食事を進めていたブームもぎょっとした様子で彼を見ている。
o川*゚ー゚)oドクオ君すごいね……
('A`)自慢じゃないけど人生のほとんどをまともな飯食わずに過ごして来たんでな〜
('A`)それに集団の中に早めに溶け込みたいなら出された料理は美味そうに食べること。鉄則だぜ
川 ゚ 々゚)あう〜〜〜〜〜…………
从'ー'从…そうだ、いい呪文教えてあげるよキュートちゃん
o川*゚ー゚)o呪文?
从'ー'从うん、おばあちゃんから教わったものなんだけどね〜
从'ー'从『目の前にあるものは100%善意で出来ています』
('A`)とんだ高等魔法だな、おばあちゃん…
川 ゚ 々゚)ぐぐぐ……
84
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:47:53 ID:0qdCjEb.0
('A`)……ってわけ
(メ長⊿老)…厄災に激流の神か、ふむ。テンプターの人間には聞き覚えのない言葉ですな
('A`)そういうことでさ。俺達はここで産まれる厄災を…最悪の場合、殺さなきゃいけない。けど、もし通じ合えるなら…仲間として一緒に戦って欲しいんだ
o川*゚ー゚)o貴方達の神々を否定するわけじゃないけど、私達はまず人間を守りたいの
(メ._⊿)……それで上手くいくなら良いがな。君達はやはり敵に対して誤解をしている、神も人も星の一部なのに
(メ長⊿老)よいかな、人間だけでは生きていけない…生きるため…ただそれだけを戦う理念とするならいずれ貴方達もその厄災と同じ存在に成り果ててしまうだけです。我々はそういった考え方には与しない
o川*゚ー゚)o…厄災が目覚めて暴走したら、同じ三月ウサギの民は大勢殺されるわ
('A`)世界は一つ、星は人間だけの物じゃないってのはわかるよ。でも、だからってそう簡単に破滅を受け入れられるわけじゃない
(メ._⊿)落ち着け、少年。君は人の生命への誇り、そこの少女は守りし者としての誇り、我々は三月ウサギの民であることに誇りを持っている。お互いの信念に耳を傾けずに答えを急ぎすぎるのは不毛だ
85
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:49:08 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从…じゃあ質問を変えます。もし貴方達三月ウサギの民が戦うとして、何のために戦うのか?
(メ長⊿老)ここで生きていくことを認めさせるため
o川#゚ー゚)oだったら私達と!
(メ._⊿)そこに神の意思への理解はあるか?
(メ._⊿)遥か昔に…いや、今もシベリア人達異種族がしてきた事だ。一方的に相手の意思を突っぱねて、殺すためだけの戦いは
('A`)………………こっちを滅ぼそうとしてくる輩を草木のように愛したり友達みたいに理解する事なんて出来やしないよ、少なくとも今は
(メ._⊿)君と他の人間はそうではないのか?
('A`)へ?
(メ._⊿)君は限りなく人に近い位置に立ってはいるが、本質は神々と同じだろう。それが証左ではないかな
('A`)なんで分かったか知らないけど、俺はただの厄無しだよ
(メ._⊿)・・・・・・
('A`)…それに人間だって最初から集団だったわけじゃないんだ
86
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:50:01 ID:0qdCjEb.0
現地の子供達とボール遊びに興じるブームの影が夕陽の中に立つ。
すっかりと打ち解けた様子で走り回るその姿は、自分よりもよほど大きく見えた。
o川*゚ー゚)o厄災の脅威に晒されてる私達ソウサク人と、そうじゃない人間の意識の差かな…そりゃわざわざこっちの応援なんてしないよね
从'ー'从ヴィップと違って本当に一度も襲われてないみたいだしね
('A`)そういう価値観の問題じゃねえんだよな、どうにも。俺達もいつの間にか否定してやるって気が逸りすぎたのかもしれない
o川*゚ー゚)oそれでも信仰と信念の壁は大き過ぎるよ
('A`)今のままじゃあな…
ミ,,゚Д゚彡『…同じだって分かり合うのが美徳だと思うならずっとそうやってればいい。けど、それを独り善がりだって思うヤツだって居るんだ』
(メ._⊿)『我々は個という段階にはそれほど固執しない。自然、動物、人…全てが対等であり、尊重と調和の下に生きている。それが星と共に生きていくための手段だ』
ミ,,゚Д゚彡『俺は俺で居たい、誰かと違う存在で居たい。俺だけの何かを見つけたいんだ』
(メ長⊿老)『人間だけでは生きていけない…』
(メ._⊿)『光を閉ざす根源…君と我々の敵は同じものではないかな、少年?』
('A`)
('A`)………ダメだ、俺の脳のキャパ超えてら
从'ー'从いいとこ取りでみんな助け合って生きていけるなら、それが理想なんだろうけど…やっぱり小さい世界だからこそ出来ること、なのかな…
('A`)いいとこ取り、ねえ
87
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:52:10 ID:0qdCjEb.0
♪| っ ^o^ |っ♫
('A`)・・・・・・
♫♬と| ^o^ と|♫♪♪
('A`)なんでお前は後ろで踊ってんだよさっきから……
| ^o^ |ドクオがしぜんととけあうしこうのてだすけを
('A`)いらねェ
| ^o^ |むふふ
('A`)…何なのかな、人とか、個ってさ
| ^o^ |こけっこ こけこけ
('A`)うるせーぞニワトリ
| ^o^ |あまりかんがえすぎないほうがいいですよ じぶんのできるはんいでなにができるか それだけでいいのです
('A`)・・・・・・
| ^o^ |ここは りそうです りそうとはすばらしい けれど それはいつかこりかたまっていくものなのですよ
('A`)…そうだな。俺はソウサク人で魔法使いだ
('A`)守りたいもん守るよ
| ^o^ |うふふ それもおもしろかろう
88
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:53:12 ID:0qdCjEb.0
最初に気づいた三月ウサギの民が誰であったかドクオは知らない。だが地平線の彼方に見えた一筋の砂煙と共に現れた竜巻はテンプターの村人達を慄かせるには充分過ぎた。
次に空へ浮かんだ三日月が真っ赤に染まり、怪しい光を放ち始めた。
慄然とした叫び声が上がる。
「神の怒りだ」と。
混乱の中でドクオは空を見た。後方ではブームとワタナベが例の樹洞の中へ村人達を避難させている。
キュートは杖を剣に変えて臨戦態勢に入っていた。
('A`)…手をつけに来たか?
o川*゚ー゚)oだね。こうなった以上、私達でやるしかないよ
(メ;._⊿)君達は神に逆らうつもりか?
('A`)ああ。悪いけど…俺達は自分の世界を守る
(メ;._⊿)世界は一つなんだぞ、少年!
('∀`)だな!だからあんたらの居るこの場所も含めて、俺の世界だ!必ず守り抜いてやるさ!
(メ._⊿)!
('A`)必要なのはその世界の中の営みを認めること、それもわかってる!統一された意識も大事だけどな、共生なんざ結局の所一人一人の心構えからだろ!
('A`)テンプター人向けの理屈はここまで!俺達はソウサク人だ、自分達の在り方を示しても対話の場に立たない神様、気に食わない奴、降りかかる理不尽は!
o川*゚ー゚)o力の限り…!
川 ゚ 々゚)ぶっつぶす!!
89
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:54:38 ID:0qdCjEb.0
拍手がテンプターの夜空に響く。
辺りを見渡してその主を探すも、それらしき人物は居ない。
「なかなかの御高説じゃないか。さっすが主人公」
ドクオはその声に確かな聞き覚えがあった。
欠けていた月がみるみると満ちて、空に大きな顔が浮かぶ。
( ・∀・ )「おひさ」
(;'A`)…………!?
| ;^o^ |
( ∵)( ∵)( ∴)( ∵)( ∴)( ∵)( ∵)( ∴)ザッ……
突如地面が盛り上がり、三つ目の人形達がキュート達へ襲いかかる。巨神の残骸だ。
ドクオは咄嗟にその影を虚無で一気に削り取る。
すると月の輪の中から抜け出したように、緑のマントをはためかせてそれはドクオの前に降りてきた。
( ・∀・)「演出のフォックス君、ご苦労さま〜」
爪'ー`)y‐ふっ
(;'A`)…なんでここに居るんだよ、お前。なんで…
( ・∀・)「どうした?潰してやるんじゃあないのかな。やってみなよ」
| ^o^ |…しんだはずでは?
( ・∀・)「んふ。死んだことは死んだよ?人間としてね」
90
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:56:00 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)「さて、改めて大見得を切るとしようか!」
「せっかくだからセルフエコーもかけてみるよ!」( ・∀ ∀・)「よいしょっと」
( ・∀ ∀・)「「怨嗟と共に叫ぶがいい、我の名を!我が名はモーラ・モラール・マタリウス!もう一つの名を、時の」」
言い終わる前に、モララーの顔面に鉄球がめり込んだ。
突然の再会にただ茫然とするしか出来なかったドクオ、ブーム、ワタナベではない。まして三月ウサギの男でもない。
打ち込んだのは、両肩で大きく息をして立っていたキュート・クルットル・スナールである。
「酷いなあ、せっかくの見せ場を邪魔するなよキュートちゃん」( ・∀ ∀;;)「僕だって苦しいと泣いちゃうんだよ?」
o川*゚ー゚)o…この世には意思を理解する必要のない神様も居るってこと、こんなに早く証明してくれるなんてね
91
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:56:38 ID:0qdCjEb.0
o川#゚ー゚)oその顔で、その声で、シュー姉の前に現れる前にあんたは殺す
キュートの剣が彼女の身体よりも大きく形を変える。
彼女は全身に怒りを込めてそれを振りかざし、モララーへと駆け出した。
大きく振りかぶった一撃がモララーの肉体に炸裂し、吹っ飛んだ身体が惨たらしく地面へ転がる。
ドクオはその時確かに見た。
笑っていた。
叩きつけられたそれはあくまで人間を殺せるだけの力だった。
身体は衝撃に耐えきれず無惨にひしゃげて、大きく千切れ飛んだ首はどしゃりと音を立ててドクオの前に落ちてきた。
血は赤かった。
92
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:58:10 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)「鉄の大魔導師キュートともあろうものが、躊躇うなんてらしくないな」
不気味な動きと共にモララーの身体が立ち上がり、その頭部が飛んでいく。自分の身体の時間を巻き戻したのだとキュートは理解した。
( ・∀・)「それとね?残念だけどもう顔合わせは済ませてあるんだ」
o川#゚ー゚)o………!
从;'ー'从まさか…
(;'A`)待て、待ってくれ。おまえ……
| ;^o^ |
(;'A`)魔法局に………!
( ・∀・)ニコヤカ
( σ・∀・)σ アーンド~~?wwwwww
( ・∀ ∀・)カミサマ〜
93
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:58:45 ID:0qdCjEb.0
リリlw´‐ _)σ
つん、と道行く人の頬をつついてみる。
マネキンのように完全に動きを止めているのだから、道行く人という表現は正しくないのだろうか。
それはシュールにとってはひたすらにどうでもいい疑問であったが、そんなとりとめのない思考が彼女の冷静さを保つための唯一の手段であった。
こちらに近づいて来た気配に振り返る。
姿を見せたのはデミタスとペニサスだ。
lw´‐ _‐ノvお、デミちゃんペニさん。無事だったんだね…良かった…
(´・_ゝ・`)喜んで良いのかはわかりませんがね
('、`*川…時間停止の影響を受けないのは、時の結界に入ることを許可された人間だけ
lw´‐ _‐ノvこんなわかりやすいこともないね
薄く笑ってシュールは窓の外を見た。
(´・_ゝ・`)…対抗出来るのは我々だけです。後はダイオードさんと合流しましょう、厄災である彼女…彼?ならこの中でも動けるはず…
lw´‐ _‐ノvそうも言ってらんないぜ
停止したままの魔法使いを後ろへ蹴り飛ばして、シュールがデミタス達の所へ下がる。
その瞬間、シュール達の目の前の空間は跡形もなく消失した。
94
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 04:59:41 ID:0qdCjEb.0
(;´・_ゝ・`)な…
('、`;川空間を削り取るって…これ、ドックンの虚無…?
(;´・_ゝ・`)そんなわけないでしょう、彼は今テンプターに……
(;;・∀・;;)「そう。ドクオはそろそろボクが相手している頃さ」
(;;・∀・;;)「ついでに言うと、これは時空を切り裂いてるってかーんじ」
壁をすり抜けるようにモララーは現れた。
lw´‐ _‐ノv…今度は黒髪にイメチェンしたんだね
(;;・∀・;;)「似合う?」
lw´‐ _‐ノvクソみたい。それにあんた、厳密にはモラちゃんじゃないし
(;;・∀・;;)「アハハ、シューちゃんさ。数年ぶりにせっかく会えたんだからもっと楽しくやろーよ…いつもみたいにさ」
引っ掻くような仕草をすると、再び斬撃がシュールを襲い彼女の身体を完全に消し去った。
まるで最初からそこに居なかったように、跡形もなく。
(°、°;川う…うそ……
(#´・_ゝ・`)何をしたんですか
(;;・∀・;;)「僕の仕事だよ。大魔導師を殺してこいってさ」
95
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:00:31 ID:0qdCjEb.0
(´・_ゝ・`)ああ、殺されていますよ。確かに…今この瞬間にも、時の大魔導師モーラ・モラール・マタリウスは殺され続けている
(´・_ゝ・`)ですからトドメは私が刺します
何も出来ない自分に苛立ち、焦り、恐怖しながらもデミタスはその桁違いの怪物へ冷淡に言い放ち、いつも通りの死んだ魚の眼で睨みつけた。
モララーはそれを嘲笑する。
(;;・∀・;;)ムリだね。今の君達じゃ手数が足りないよ
('、`*川無理やバカバカしい事は慣れてるよ、今までだって…何度も何度も死にそうになったけどさ。そう簡単には
(;;・∀・;;)やられない、といいね
次の瞬間、デミタスの視界は白く染まった。
96
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:01:28 ID:0qdCjEb.0
──
─
('、`*川っし!第三段階への展開を確認っと…もうちょい魔力垂らしてみる?
ペニサスの下で魔法術式の光が仄かに輝く。
問いかけたが、デミタスの返事はない。
彼は珍しく椅子の上で静かに寝息を立てていた。
('、`*川いつの間に…寝かしといてやるか。何年寝てないんだっけ、この人……
(´-_ゝ-`)・・・・・・
('、`*川布団どこに仕舞ったっけ…あーもー散らかってて何がどこにあるか分かりゃしない…
(´・_ゝ・`)………………………いりませんよ
('、`*川ありゃ、もうちょい寝てても良いのにー。寝顔面白かったよ?
(´・_ゝ・`)不覚を取りました。もう二度と見せませ……ん……
('、`*川ほら、まだ眠いんじゃん
(´・_ゝ・`)いえ…
('、`*川ほら、いいから寝る。寝〜〜〜る
(´・_ゝ・`)…コーヒー淹れてきます
('、`*川こいつ…
97
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:02:08 ID:0qdCjEb.0
静けさだけが4番隊の隊舎を包んだ。夕陽に照らされてデミタスの髪がほんのり赤く染まる。
デミタスはコーヒーカップを両手で包み込むように持っている。その手に広がる暖かさが、彼の背筋に寒さを伝えていく。
想像と俯瞰で現状を再確認してみると、滑稽だとか絶望を通り越して、最早笑えてくる。
('、`*川飲まないの?
(´・_ゝ・`)・・・・・・
('、`*川ねぇ、デミタスさん
(´・_ゝ・`)………私、いつから同じ時間を繰り返してるんですか?
('、`*川繰り返し?
(´・_ゝ・`)体感は2回目です。けど…知ってるんですよ、私。完全に順応して、認識に影響が出るまで、どれだけ…………
('、`;川ちょ、ちょっと待って…話が読めないんだけど
(´・_ゝ・`)隊舎の外に出ればわかりますよ
('、`;川へ?
98
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:03:40 ID:0qdCjEb.0
(´・_ゝ・`)(………問題は、何故モララー様が同じことを繰り返しているかだ)
(´・_ゝ・`)(嗜虐趣味、練習台、暇潰し……)
(´-_ゝ-`)あるな
(´・_ゝ・`)(与太はさておき、何かしらの目的も無しにモララー様はああいうことをする人じゃない。相手がモララー様、なら…)
(´・_ゝ・`)(停止した人間を無差別に殺し回っていないだけまだ理性はあるのか…?)
(´・_ゝ・`)(わざわざ殺されに来たのなら、周りの時を止めずにそれだけの実力があるモナー隊長の前に現れて突っかかりに行くはずだが…)
(´・_ゝ・`)……殺され、たがっている?
制作した魔法術式はみな絨毯のように丸巻きで光、闇、鉄、その他、と3つほどに分類され棚に放り込んである。
デミタスは片っ端からそれを取り出して床に広げた。
('、`;川ちょ、ちょっとデミタスさん?何散らかしてんの
(´・_ゝ・`)………ああ、ごめんなさい。さっき言ったこと、全部忘れてください。それと
(´・_ゝ・`)ここから一歩も動くんじゃない。わかりましたね?
('、`;川いやいやいやいや、逆に気になるっての!
(´・_ゝ・`)…ケリは私がつけます。ホント動かないでくださいよ
99
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:05:27 ID:0qdCjEb.0
(;'A`)ブーム、逃げろ!何度塞がれても道は俺が拓く!三月ウサギ達を連れて木へ逃げろっ!!
うめき声をあげて地から這い出したゴーレムを消し飛ばしドクオは叫んだ。
ブームもそれに応え、残った三月ウサギ達に促し駆け出す。
モララーが動き出す、前に鎖がからみつく。
o川#゚ー゚)oアンタは……!
(;'A`)こっちだっ……!!
( ・∀・)「…キミのやり口はだいたい把握してるんだよね、ドクオ。中距離でも削られる、遠距離でも撃たれる、近距離だと魔力を流し込まれる。アハハ、じゃあどうしよっか?」
モララーが空間を削り取って、ドクオを引き寄せ、首を掴んでその小さな身体を持ち上げた。
(;°A°)がっ……!
( ・∀・)「空間を削り取るのがキミの特権と思った?そうでもないんだ、僕の場合は時空を歪めるって感じだけどもさ」
モララーはドクオを掴んだまま夜空へと舞い上がり、そのままゴミを捨てるかのように投げ飛ばした。ドクオの身体は猛烈な速さで墜落し、地響きとともに地中深くめりこんだ。
( ・∀・)「こうして力いっぱいに叩きつければ、意識なんて容易く吹っ飛んじまうね」
(; A )
o川;゚ー゚)oドクオ君!
( ・∀・)「んーーーー、僕が助けなければキミももっと肉体的なパワーも耐久力もあるバケモノになれたのに」
川#゚ 々゚)てめぇぇぇぇーーッ!!
100
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:06:43 ID:0qdCjEb.0
この状況を楽しむように笑うモララーに再びキュートが斬りかかる。
踏み込んだ足の感覚が薄れ、少しずつその動きが緩やかになっていく。
あと一歩、あと少し。
あと少しで潰せるのに、まともに身体が動かない。
憎々しげなその瞳を満足そうに見つめ、モララーは彼女へと歩み寄る。
从#'ー'从キュートちゃんに近付くんじゃねえーーーーーッ!
ワタナベの光線がモララーの心臓を貫こうとする、だが、避けるのは容易かった。
( ・∀・)おっと!危ないじゃないか。副官のしつけが…なってないんじゃないかい!
キュートの鳩尾に重い蹴りが入った。少女の身体が宙を舞い、どさりと音を立てて沈む。
川;゚ 々゚)ッ、は…
( ・∀・)…さて、僕を殺れるまでどれくらい時間がかかるかな
101
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:08:28 ID:0qdCjEb.0
(メ._⊿)……戦いはまだ続いているな
川._⊿)木が震えてるよ、お兄ちゃん…
| ^o^ |大丈夫。きっとなんとかなります
ブームは怯える子供達をなだめた。
樹洞の中に貼られた膜がゴーレムの侵入を食い止めているが、この木が戦闘で折れるなり燃えるなりした場合の惨事は想像に難くない。
| ^o^ |・・・・・・
どちらに目を向けても想像出来るような活路はない。穴の向こうの世界に居るのはあの人知を超えた力を手にしたモララーだ。
ドクオに「逃げろ」と言われた時、一瞬ホッとさえしていた。あのモララーを見なくて済むからだ。
そんな自分が醜く、浅ましく、情けない。
されど己にどうにかできる術があるわけでもないな、とブームの脳はぼんやりとした答えを出して平静を保とうとした。
あくまで他に比べてではあるが、調子のいい人間揃いの4番隊の中でブームは控えめな方の人間であった。
モララー、ドクオ、ペニサス、デミタス。楽しそうに騒ぐ4人を眺めていればなんとなくそれが幸せだったし、たまにドクオに年上ぶって茶々を入れる程度の過ごし方が気楽だったからだ。
誰かの後ろは自分にとっての特等席であり、そこから見える景色がブームは大好きだった。
それなのに今は後ろに控えている自分が、ただただ憎らしく思う。
102
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:10:15 ID:0qdCjEb.0
| ^o^ |自分に出来る範囲で…
| ^o^ |出来ることといえば 神様に祈るくらいですねえ
ぽつりと呟いた自分を、不思議だなあと思った。
普段自分が戦っているのが神々なのに、縋って助けてくれる神などはたしているのだろうか。
震えながら祈るテンプターの人々の顔を見渡す。年少者ほど「なぜ神は今我々に救いをもたらさないのか」と揺るぎない信仰に少しずつヒビが入っていく。ほどなくして大人にも伝搬していくだろう。
単純な好き嫌いや自分にとって得か否かで神や信仰についてふわふわと考えているブームにもそれは惨い光景に思えた。
信仰が完全に砕け散った時、彼らは歴史も、生きる意味さえ否定されてしまうのではないだろうか。
(メ._⊿)くそっ…!
世話役の三月ウサギの男が握り拳を固めている。彼も歯痒さを感じているのだろう。
| -o- |月の神か…こんなに信じてくれる人が居るんですから、せっかくなら本気出して救いを見せてくれればいいのに
(メ._⊿)・・・・・・
('A`)『…それに人間だって最初から集団だったわけじゃないんだ』
(メ._⊿)……そうだ!
103
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:13:23 ID:0qdCjEb.0
(メ._⊿)我々は神に守られて生きてきた!そして今神が、一人の少年達が戦っている!テンプターの民として、報いるのが星の友への礼儀ではないか!
| ^o^ |どうするつもりですか?
(メ._⊿)滅びの神を鎮めるのは古き知恵だけだ。だが、それには一人一人の今を生きるための心構えとやらが必要になる
(メ長⊿老)そこの三月ウサギ!
(メ._⊿)応!
(メ長⊿老)汝は変革の潮流を望むのか?
(メ._⊿)否。“俺”は人間として、テンプターの民として、種の営みを全うするのみ。そしてその思いが集まった時…“我々”は激流となる!
(メ長⊿老)良かろう。皆の者よ立てい!今こそテンプターの自然にワシらの意思を示す時だ!
104
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:14:01 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)「………さて。まだやるかい?キュート・クルットル・スナール」
o川#゚ー゚)oき、決まってるでしょ………そんなこと…!
攻撃を止めたモララーはキュートに蓄積されていく疲労と怒りを嘲笑いながらしばらく避ける事に終始していた。
キュートは剣で自分を支えて立ち上がると、もう一度、何度でもモララーへと挑みかかる。
しかし彼が揺らぐことはない。
从#'ー'从あ、あれれ〜〜…誰か忘れられてる気がするな〜……!
ワタナベは僅かに動く指先に光を収束させ、モララーの目に放った。
( ・∀・)「そりゃあ、気にする必要がないからさ。もともと目的は大魔導師だしね」
( ・∀・)「まあなんだ、日頃のストレスを晴らすにはちょうど良かろう?僕も飽きてきたし。ゴーレムくん」
モララーは地から土人形を引っ張り出すとその肩に手を当てた。
( ・∀・)「君の完全な再生にかかる時間を速めた。さあ、ここは信仰に満ち満ちているぞ?使用人の厄災はオサラバ、巨神の厄災の本領を見せてみたまえ!」
( :∴ ∵)グオオオオオオッ……………!!!
105
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:15:02 ID:0qdCjEb.0
ゴーレムの巨体がキュートたちを叩き潰そうと拳を振り上げる。
その瞬間であった。
月が青い光を放ち、木々の間から光の球が次々に這い出し、テンプターの地に風が吹き、大地は祈りに包まれ、ドクオは意識の底で多くの「神よ!」と叫ぶ声を聞いた。
そういった全てを数えるのも不可能な無数の力が絡み合い、木の中から飛び出て夜空へと駆けた一人の三月ウサギに大いなる神が重なったのだ。
(メ._⊿)うおおおおおおおおッ!!
圧縮された細い水の刃が鋭く厄災の身体を切り刻む。水は凄まじい激流へと姿を変え、達磨となった巨神の厄災を打ち上げた。
手から湧き出る魔力は三又の銛を形成し、三月ウサギはとどめを刺さんとそれをゴーレムの胸へ突き刺した。
( :∴ ∵)ゴオオオオオアアアアアッ!!!!!?
(メ._⊿)テンプターの、この世界の全ての民の生きる力だ!吸いきれるものではないッ!
流し込まれた魔力の渦に耐えきれず、厄災は粉々に砕け散った。
106
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:16:09 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)「……マジ?早すぎでしょ?即落ちじゃないか……ワカの使者じゃこんなもん?レモナ様の使用人が似合いの職場か………」
モララーは気怠げに頭を掻いた。
( ・∀・)「さて!誕生おめでとう。いや、降臨と言うべきかな?激流の厄災!ハッピーバースデー!」
(メ._⊿)祝福は感謝する。が、訂正してもらおうか。我々に宿るは激流の神!
( ・∀・)「今日はどっちだってキョーミないんだけどね〜」
| ^o^ |ぶじですか?
('A`)……おかげさまで。三月ウサギの兄ちゃんも一緒に戦ってくれるんだよな?
(メ._⊿)ああ。今こそ奴を追い祓う
o川*゚ー゚)o…それは種としての選択?それとも個として?
(メ._⊿)どちらでもないな。友としてだ
('∀`)オッケー。気に入った…やってやろうぜ
o川*゚ー゚)o…うん!
107
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:16:49 ID:0qdCjEb.0
('A`)…一つだけ分かった事があったぜ、モララー。なんで俺を単純な力でねじ伏せようとするのか……
(#'A`)お前は俺を止められないからだ!
無数の光弾を放ち、矢継ぎ早に光線で貫き、教え込まれたありったけの戦法でドクオが攻撃を仕掛ける。
モララーは不動のままそれを受け、ぱしぱしと服の汚れを払ってみせた。
( ・∀・)「…やるね。僕が死ぬ前より、ずっと強くなってる」
108
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:17:15 ID:0qdCjEb.0
(メ._⊿)汚れを落としたいなら任せてもらおうか
龍を象った水の塊がモララーに反撃の隙を与えず叩き込まれた。
すかさず背後に回ったキュートが渾身の一撃でモララーの身体を叩き飛ばす。
从#'ー'从今だ!胸だよ、ドクオ君!胸を狙えーーーッ!!
(#'A`)っしゃあーーッ!
ドクオは飛びかかって右手を突き出し、モララーへ魔力の全てを流し込んだ。
(;・∀・)へぇ……そうか、これが……ドクオ、君の光…………!ハハハハハハ!やっぱり君には救いは必要なさそうだなあ!ハハハハハハ!
ドクオの一撃は胸部に確実に決まり、そのままモララーの全身を魔力のエネルギーが駆け巡る。だが、彼は最後に大きく笑うと眩い光の中でチリも残さず弾け飛んだ。
109
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:18:44 ID:0qdCjEb.0
──
─
テンプターの地から悪しき厄災の影が消えたとき、雲間から雨が降り注いだ。
それは三月ウサギの男の身体から神が離れ、彼らに祝福を与えたようにも見えた。
(メ*._⊿)ハハハハハハ…!みんな、出てこーーーいっ!あーーっはっはっはっは!
三月ウサギの男は雨の中で嬉しそうに叫び、踊り狂った。木から一人、また一人とテンプターの民が抜け出し、雨に踊り、笑い、歌いだした。
(メ*長⊿老)ハーーーッハッハッハッハ!貴方達の神様もやるものですなあ!
三月ウサギの長老はワタナベを助け起こすと、ドクオを指差し大きく笑った。
从;'ー'从な、何…?このテンション…?
(メ*._⊿)災いは去った。テンプターも喜んでいるんだ、雨は天の恵みだ!
| ^o^ |……ふふっ
('A`)(モララーを殺ったってどういう顔してデミタスやペニサスに言えばいいんだよ…)
| ^o^ |おどりましょう?このさい
('A`)…そうだな
110
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:19:34 ID:0qdCjEb.0
从'ー'从「大丈夫?キュートちゃん」
o川*゚ー゚)o…ズタボロだけどね。大丈夫、心配ないよ
从'ー'从「ドクオ君に回復してもらったら?」
o川*゚ー゚)oだいじょうぶ。今はそういうムードじゃないしね、後で出来ることは後に回す!ふふっ、今はこうして喜びを分かち合う事が必要なんだと思うなー!
从'ー'从「えへへ〜〜 一安心」
从'ー ∀・)「「これで無事天国へ連れていけるね!」」
o川;゚ー゚)oなっ…!
从;'ー'从キュートちゃん!!
モララーが手をかざすと、キュートの姿がたちどころに消失した。
| ;^o^ |なんで……………
(;'A`)キュート隊長を!!
从#'ー'从どこへやったァ!!!!!!!
(メ._⊿)……!
( ・∀・)消えてなくなったよ
111
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:20:28 ID:0qdCjEb.0
「ん、ん、ん〜?なんだいなんだい。震えちゃってさ。そんなに不思議かい?」( ・∀
∀・)「モララーの弱点は胸!何度も何度も避けていたから胸だと思ったのに!跡形もなく光と一緒に消えたから完全に討滅したと思ったのに!!」
( ・∀ ∀・)「「あーーーーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!!」」
( ・∀・)「……はぁ〜あ。信じすぎるってのもよくないぜ」
从#'ー'从てめぇぇぇぇッ!!
( ・∀・)「おっと!こっちもまだ色々ショーへの下準備があるんでね。君達ばかりに付き合ってられないんだ」
( ・∀・)「時が経てばまた会えるさ。じゃあね〜〜〜!」
そう言い残して、モララーは降りしきる雨の中へ消えていった。
(# A )………クソッ
(#°A°)クソぉっ!!クソォォォォォォッ!!!!!!!!!!!
从#'ー'从うあああああああーーーーーーっっっ!!!!!!!!!!
112
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:21:59 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)「………頃合いかな。シューちゃんが殺しに来るか、デミさんが殺しに来るか」
∀・)「…あ、別の僕死んだ」
「マジで?まあドクオならやるかあ」( ・∀
(´・_ゝ・`)魔法術式。シャドーダイブ
モララーの影からデミタスが現れ、続けざまに複数の風の刃で彼を切り裂いた。
( ・∀・)「……あはは。思ったより早かったね」
(´・_ゝ・`)役者としてシナリオの変更を要求しに来ましたよ。同じ演出ばかり繰り返しても単調ですから
(´・_ゝ・`)…それに、シュール隊長やペニサスさんの前にあなたの死体を晒すのは気が重いですし?
( ・∀・)「言うね。それじゃあ単調ついでに君にも消えてもらうとするかな」
113
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:23:03 ID:0qdCjEb.0
(´・_ゝ・`)……先ほどの独り言やシュール隊長の言動で薄々変だなとは思ってましたが、貴方本当に何者なんですか?どの時間軸で生き、どのモーラ・モラール・マタリウスとして喋ってるんです?
( ・∀「時間なんて小さな問題だよ、永遠なる存在にとっては…」
∀・)「まあ僕はその時間をオモチャにして自由自在好き勝手に飛び回ってるんだけどね!」
モララーが手をかざし、空間を切り裂く斬撃がデミタスへ飛ぶ。
(´・_ゝ・`)魔法術式、反射鏡
( ・∀ ∀・)「おっと!君、卸したやつ使ってたっけ?」
(´・_ゝ・`)正攻法ではいかなくとも、確実にブチ殺すために……貴方の作った全てを刻んでここに来ましたよ
( ・∀・)そっかそっかあ…………
( ・∀・)なあ、デミさん
114
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:24:26 ID:0qdCjEb.0
( ・∀・)…今の君なら、僕が
( ・∀・)黄色黄色黄色黄色赤赤赤赤赤赤赤赤赤緑緑緑緑黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒金緑赤緑赤赤赤赤赤赤アか赤赤赤赤赤赤黒赤赤アカ赤あか
( ・∀・)袋詰めの群馬県から進化した豚の脳髄がさざめく川辺のツクシの台風を殺す見込みです:78
( ・∀・)根源に至る青き世界に胎内に宿した憎むべき泳ぐ牛乳を歌う少女!
( ・∀・)国際洗濯バサミ協会の腐った氷菓子がもたらす怒りの日!
(;;・∀・;;)ハハハハハハ!虚ろな魔弾の裏側へ迷い込んだ杜撰な夜明け前!
∀・)最悪の夕べに捧げる箱の中身は数億の潤い岩に走る鉄道が如し
( ・∀救済に至るラクラ道は根源の問にににににに真意に電撃さえ落城の羽、清く崩壊するやさしさと星のモニター!
(;・∀・)蜒輔?雉ュ縺代r縲∝享縺。縺ォ蟆弱>縺ヲ縺上l繧九?縺壹□
(;・∀・)蜒輔↓蜃コ譚・縺ェ縺?%縺ィ縲√ラ繧ッ繧ェ縺ィ荳?邱偵↓鬆シ繧薙□繧
( ・∀・)黒い緑、砂…そしてメス豚。時計の毛髪からからから鏡降る正午、卵焼きの底の見えない悲しみは宇宙の7番目がグッド乙女だね!50ノットの心穏やかなティヨーレは街にきらめく二等辺三角形を愛せり!アハハハハハハハハハ!
115
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:26:30 ID:0qdCjEb.0
辛うじてモララーと認識していたものが、もうデミタスの目にはおぞましい何かとしか映らなかった。
饒舌に穏やかでろくでもない言葉を紡いでいたその唇からは、意味の通らないわけのわからない言葉だけが発せられている。
それはもはやモーラ・モラール・マタリウスではなかった。
(;´・_ゝ・`)あ、貴方は………貴方は………!!
慄き後ずさった瞬間を見逃さず、モララーはデミタスを時空の彼方へ完全に消し飛ばした。
( ・∀・)「……ああ、ごめんよ?カッコつけてないとまともに喋れなくってさあ」
( ・∀・)「……ありゃ、聞いてないか」
( ・∀・)「…おっかしいなぁ、ワカの奴が規制でもしてるのかな?フザけた生き方してるとフザけた事しか喋れなくなっちゃうよん。みんなも気をつけようね」
( ・∀・)「……さて、このくらいで言い訳つくかな」
116
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:28:55 ID:0qdCjEb.0
('A`)ブーム、闇の門開くからワタナベさん連れてきてくれ
(メ._⊿)……行くのか?
('A`)とりあえず…ソウサクに戻ってからこれからを考える。あんたはここに残るんだろ?
(メ._⊿)ああ。激流の神の力はこの土地によるものだ、申し訳ないが力にはなれないと思う
(メ._⊿)…それにテンプターもこれから少しずつ変わっていく。俺はここで様々な研究をして、より良い種として自分を磨いていきたい
| ^o^ |ざんねんです
(メ._⊿)そう言うな。いずれ人と人が完全な調和を果たした時、我々の力が必要になる。その時は必ず激流の神も、俺たちも力を貸すよ
('A`)ありがとな、三月ウサギの兄ちゃん…
(メ._⊿)これからはラビ・マルティウスさ
('A`)…なげーからラビか三月ウサギでいい?
(メ._⊿)好きにするといい。それが自由だ
117
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/21(月) 05:30:11 ID:0qdCjEb.0
('、`*川………デミタスさん?デミタスさーん
('、`*川デミタスさーーん………どこ探してもいないし………
('、`*川急に何考えちゃってるんだろあいつ。隊舎も散らかしっぱなしで誰が掃除すると思って…
lw;´‐ _‐ノvペニさん!!
('、`*川ん、シューちゃん隊長。デミタスさん見なかった?
lw;´‐ _‐ノvモラちゃんは!?モラちゃん何処行った!?
('、`*川…あの、モララー隊長はもう
lw;´‐ _‐ノvそうじゃない!来たんだよ、モラちゃんが厄災になって!!そんであんたたちを消しに来るんだ!!居ないってことはデミちゃんももう消されてる!!
('、`*川………は?
('、`*川えっ、いや待って急に何
('、`*川うそ、うそうそ、ウソじゃん?いくらなんでもそんな
('、`*川……………………………………マジ?
lw;´‐ _‐ノvシューちゃん、こういう時嘘つかないんだよ…………………
('、`*川…………なんて??????????????
続く
118
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 06:04:28 ID:0mi7dzgQ0
乙。
119
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 12:25:47 ID:YRp4FprM0
ショックで泣き崩れるとかじゃなくて、世界のためにもモララーのためにも、ちゃんと倒さないといけないという選択できるのはみんな流石だな
乙!
120
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 22:03:05 ID:/k9ujLaI0
三月ウサギが出るのはまた一年後か……
121
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 22:05:56 ID:2DtdsIkk0
おつおつ
どっくんがしっかり主人公しててよい
122
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 23:42:56 ID:k7R6xO7g0
かつての仲間がクソ強くて手強いの良いよね。
123
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:23:45 ID:UgpyCCvc0
>>98
フツーに4つが3つになってたり修正忘れの誤字が酷いですね、すみません……
21話投下します
124
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:24:44 ID:UgpyCCvc0
('A`)…悪ぃ、ワタナベさん。一応4番隊隊舎に直で繋げさせてもらった
从'ー'从ううん、大丈夫…自分で帰れるから
(#゚;;-゚)…おかえり
| ^o^ |ただいまかえりました
('A`)あれっディ、フサ……手伝い?
ミ,,゚Д゚彡暇なもんでな
(#゚;;-゚)「ここにいろ」と命令を受けた。だが、私自身そうしたいからここに居るのかもしれない
('A`)サンキュ、助かる。デミタスはどうした?
( ー 川…デミタスさんはモララー隊長に消されたよ。つい昨日の夕方にね
(;'A`)
| # ^o^ |
( 、 川
从'ー'从
125
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:25:18 ID:UgpyCCvc0
从'ー'从…こっちもキュートちゃんが消されたよ
ミ,,゚Д゚彡あのチビ隊長が?
| ^o^ |なかば ふいうちでした
ミ,,-Д-彡そりゃそうだろうな。真っ向勝負であのチビ隊長が負けるわけはねえんだ
('A`)…悪気ないんだろうけどなお前、そのチビ、チビって連呼するのやめろよ。わりとマジで
| ^o^ |・・・・・・
从'ー'从あはは、そうちっちゃな事に怒ってられないよ。寂しくもなったし、ちょっと疲れたかな…
('、`*川あーあ…大魔導師も三人かあ……どうしろってのよこの国……
从'ー'从ペニちゃん?
('、`*川なんすか……
从'ー'从どうにもならないかもしれないけど…今は顔上げてて欲しいな
('、`*川キツいです
从'ー'从…そうだよね
126
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:27:01 ID:UgpyCCvc0
( ´ー`)5番隊隊長、鉄の大魔導師キュート・クルットル・スナール、及び4番隊副官デミタス・モリオカウルの死亡が確認されました
はっきりとした声で告げたものの、シラネーヨ・グラントの内心の天秤は少なくとも楽観には傾いていなかった。
現在魔法局の司令をやっているのは今3番隊の執務室に座っているモナー・マエモゼムである。
2人の友人を失い、今またその友人と敵対する事になった男にかける言葉があるとしたら何であろうか。
自分が出来ることといえば、何であろうか。
沈黙に耐えられず、暫し目が泳ぐ。
( ´ー`)……最大限好意的な解釈をするなら、シュルルド・ライスィ・スナールの錯乱ってことも
( ´∀`)あるわけねえだろ
( ´∀`)それは分析じゃなくて単なる逃避モナ
(;´ー`)そっすね…我ながらクソみてえな失言でした…
視線が鋭く突き刺さり、唾をごくりと飲んでシラネーヨは小さく返した。それ以上モナーは彼を咎める事はなく、面倒げに頭を掻いた。
( ´∀`)・・・・・・
( ´∀`)そのシュールは?
( ´ー`)「警備兵だけじゃ頼りにならんから6番隊の人員も回して魔法局守る」だそうです。ナベちゃんもそれに賛同して5番隊動かして…なんつーか……タフっスよあの子ら
( ´∀`)5689回の周回か。それだけあんなヤツの相手させられてたら嫌でもこんな現実に慣れるモナ
127
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:28:23 ID:UgpyCCvc0
( ´ー`)隊長。奴らの狙いが大魔導師にあるなら次の狙いはヴィップです、フィレンクト隊長の救援に向かった方が良いのでは…
( ´∀`)で?ソウサク国を空けるモナか?
( ´∀`)フィレンクトさんだって伊達に長生きしちゃいないし、あそこにはアニジャもいる…
(;´ー`)でも4番隊の『停止した時間の中で動けるのは限られた人間だけ』ってのを信じるならあそこにはその対象が一人もいませんぜ
( ´∀`)・・・・・・
( ´∀`)…少し疲れた、外の空気吸ってくるモナ
(;´ー`)あ、あの!隊長!!
( ´∀`)あ?
(;´ー`)一人で無茶だけは勘弁してくださいね!そういう時いくらでもこっちが引き受けるんで!
( ´∀`)バカか?
(;´ー`)バカです!空気の読めぬ酒飲みのバカですとも!
128
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:29:23 ID:UgpyCCvc0
(;´ー`)だから俺に出来ること、はっきり教えてください!何だってやってやりますから!
( ´∀`)(大魔導師が欠けてる今無茶できるわけねえだろ、って意味なんだが)
(;´ー`)そりゃああんたがもっと完璧で俺たちを導いてくれる人間なら俺だってこんなこと言いませんよ!こんな疑問持たずに素直に「ほえーやっぱモナー隊長はスゲーや」ってへーコラ仕事してます!
(;´ー`)でも今のあんたには誰かが必要なんだ!それは俺じゃないかもしれないけど!それでも力になってやりてえんスよ!俺だってサダコさんから3番隊の副官継いでるんスからね!
( ´∀`)
(;´ー`)だからマジ、その冷たい目やめてくれませんかね………色々と胸がキツいんで……
( ´∀`)
( ´∀`)お前がまず、何をすべきか…………それは多分、自分で分かってるはずモナ。ならばそれに従え
( ´∀`)お前だけじゃなくて、ソウサクの全員が…これからどうすればいいか問われてるモナ。モナはこれから考える
129
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:30:32 ID:UgpyCCvc0
( ´∀`)『あんたがもっと完璧で俺たちを導いてくれる人間なら』か
(*´∀`)…っふ、クククッ……あの野郎、ホントにおれの事を軽んじてる。おれは奇跡の子だぞ、奇跡の子……ふふ………
(#-@∀@)『なんの変哲もなく過ぎゆく日常が、予測や防壁の準備なんてする暇もなく不可視の攻撃で消滅させられるかもしれないんだぞ!!?』
( ´∀`)不可視の攻撃者は来たよ、アサピー
( ´∀`)どうせならモナも巻き込んでくれれば良かったのに
lw´‐ _‐ノv…いや、モラちゃんはそういうやつだよ、いつだって
( ´∀`)シュール……
lw´‐ _‐ノv感傷に浸ってる所ごめんなさいよ。大魔導師もフィーさん入れて3人になっちまったからさ
130
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:31:36 ID:UgpyCCvc0
( ´∀`)確かにキミの言う通りかもしれんモナ。アレはそういうやつだって、嫌ってほど分かってはいたモナ
lw´‐ _‐ノvモナー隊長はさ。モラちゃん倒すの?
( ´∀`)いや?モナはあいつを助けるつもりでいるモナ
lw´‐ _‐ノv
( ´∀`)意外モナか?
lw´‐ _‐ノvうん。難しいと思うよ
( ´∀`)『モナーならきっと迷わず僕を殺してくれる』なんてあいつの身勝手な幻想に過ぎんモナ
( ´∀`)……ま、タチの悪い魔物に囚われるのとはワケが違うってのもちゃあんと分かってるモナけどな
lw´‐ _‐ノv意地っ張りだよね、モナさんって
( ´∀`)悪いがおれは別にあいつの思い通りになんかなってやるもんか、みたいな事は考えてないぜ。取り残されたとも思ってない
131
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:33:15 ID:UgpyCCvc0
( ´∀`)しかし答えを急ぎすぎるのもつまらん。おれは今まで何事も分かった風な生き方をしてきたが最近、ようやくそういう思考もできるようになった
( ´∀`)たとえ完璧なハッピーエンドに出来なくても、魂だけでも、モララーとアサピーとサダコとおれたちで足掻き続けてやるのさ
( ´∀`)それがおれたちの時代への決着のつけ方なんだ
lw´‐ _‐ノv時代かぁ…ずっりぃなあ、やっぱ。同世代ってのは
( ´∀`)関係ない
( ´∀`)モナは思い出を穢されるのが我慢ならんだけモナ。キミにだって、キミの好きだった時間への決着のつけ方があるはずモナ
lw´‐ _‐ノv…そうさね。潰れないようなるべく気楽に、いざって時の覚悟はしておくつもり
132
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:34:07 ID:UgpyCCvc0
( ´∀`)シュール。生きる軸は1本である必要はないモナ
( ´∀`)世界のためにそうせねばならない選択、己の意地……どちらを選んでも、後悔はつきまとうモナ
( ´∀`)どうせ後で悩むなら最初から後悔しない選択肢をいくつか用意しておけ。殺すにしろ生かすにしろ…
lw´‐ _‐ノv決断を迫られる時までは、希望は多く束ねてた方がいい。わかってるよ
( ´∀`)・・・・・・
lw´‐ _‐ノv・・・・・・
( ´∀`)ならば良いモナ。キミにも軸となってくれる者、残される者はあるのだから
lw´‐ _‐ノvだね。モラちゃんのことも…戦う前に、キュートが何故殺されたのか聞いておかなきゃね
lw´‐ _‐ノvそれまでは、呪いに引っ張られる予定も潰される予定もないかな
lw´‐ _‐ノvそれでいいやね、キュート…………
133
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:35:59 ID:UgpyCCvc0
『('A`)残響の魔法使いたちのようです』
その3
『巻き戻せない時間』
134
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:37:31 ID:UgpyCCvc0
(`・ω・´)君に再び会えたこと、嬉しく思うぞアニジャ・ニジンスキー・サスガータ
( ´_ゝ`)俺もだ、シャキン。どうだ?バカ兄の上に立った感想は
(`・ω・´)己が未熟を恥じる日々さ。だが、やりがいはあるな!
( ´_ゝ`)結構。ヴィップもいくらか空気が良くなったじゃないか
( ゚∀゚)一回り大きくなったな、ブーン?胸が
(;^ω^)もうちょい全体的に人を見てくださいお……むしろ締まった方だし……
(‘_L’)さて。はじめまして、シャキン・オプトマユ公…私は闇の大魔導師、フィレンクト・シェフェルトンです。よろしく
(`・ω・´)こちらこそよろしく。ソウサク国歴戦の猛者たる貴方にお会いできて光栄です
(;‘_L’)ああっ、とんでもない…無駄に歳を重ねているだけですから私は
( ^ν^)(それがスゲーんだけどな)
135
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:38:32 ID:UgpyCCvc0
不安は際限なく肥大していく。
一度脚を取られてしまうと、どこまでも引きずり込まれてしまう。
それをねじ伏せるには「今考えてもどうにもならない」と開き直りに頼るほかなく、状況の変化を待っていられる程の時間もない。
4番隊の重い空気にもどこか慣れてしまっている自分が居ることにドクオは面白くなさそうに吐息した。
('A`)(面白い面白くないで片付く問題なら…どれだけ良いんだろうな…)
テーブルに黒、白、紫のコーヒカップが並べられる。青は冷えきったコーヒーを入れたまま出しっぱなし、黄色は戸棚へ仕舞ったままだ。
| ^o^ |ドクオ ペニサスさん
ふとブームが沈黙を破り、ドクオは口元に運びかけた手を止めた。
| ^o^ |私、この世界が好きです。ここを守りたいです、ここに居たいんです……駄目でしょうか?
ドクオは黙って小さく首を横に振った。
('、`*川あんだけ苦労したんだもん。今更また解散なんて選択肢ないでしょ
| ^o^ |ですね……
136
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:39:46 ID:UgpyCCvc0
('、`*川今考えなきゃいけないのは、多分……モララー隊長が何を考えてるかだと思う。予測を立ててかからないと、次に誰がやられるか…
('A`)わかるわけねえじゃん
(#'A`)つーかみんな自分勝手なんだよ!!デミタスは一人で戦いに行って消えるし!モララーはわけわかんねえことするし!ちょっとは説明してくれても良いだろうが!?
('、`*川ドックン
(#'A`)何?
('、`*川そこで一回深呼吸しなさい
('A`)深呼吸?後でいくらでもやるよ。今は…
('、`#川はい吸ってえええええ!!
(;'A`)スーーーーーーッ!!!
('、`#川吐いてえええええええ!!!!!
(;'A`)ハーーーーーーーーーッ!!!!!!
('、`*川ん、ご苦労さま。こういう時こそ落ち着いて、じっくりね
('、`*川…こういう時、抱えてる事はドックンが先に言ってくれるから助かるね…みんなでヴィップ行こうって言ったのにさ。ホントろくでもないや
137
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:41:55 ID:UgpyCCvc0
| ^o^ |おそわれたのはシュールたいちょうもおなじですが なぜキュートたいちょうと デミタスさんだけだったのかというのがもんだいです
('A`)キュート隊長を殺ったみたいに、やろうと思えば俺たちなんかいつでも殺せたはずだしな
| ^o^ |あなたにすくいはひつようないと そういってましたね
('A`)…ここで足掻いてもがき続けて死ねってか?
| ^o^ |さいごはどうかわかりませんが
('A`)お前…信じたいのか?モララーのこと。あいつは今……
| ^o^ |ドクオはしんじられないんですか
静かな呟きにドクオは唇を噛む。
('A`)…わかんねえ。何もわからなくなっちまったかも
('、`*川信じる信じないはともかく、何か企んでるのは確かだね…
('A`)曰く、ショーへの下準備らしいからな
138
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:42:48 ID:UgpyCCvc0
('、`*川…とりあえず、選択肢は3つ。作る、戦う、テンプターみたいにまた誰か覚醒前の人間を探す
| ^o^ |しきりますね りんじたいちょう
('、`;川わわわわっ、無理だから、隊長とか!ただ今そうするしかないから言ってるだけだから……無理だよ…
('A`)俺はアリだと思うぜ。こういう時、締める役は必要になる
('、`*川いやいや、ていうか強さ順で言えばドックンでしょうに?ドックンがリーダーやろうよ
('A`)いや俺、戦う時前に出る方だからさ。計算とか全体へ指示とか出来ないし
| ^o^ |ねんれいのじゅんでいえば ペニサスさんが
('、`;川う……キミら役不足って言葉知ってる…?
('A`)んな言葉知ってたらモララー死んだ時にとっくにウチ解散してるだろ。な?
| ^o^ |かもしれません
139
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:43:39 ID:UgpyCCvc0
('A`)やれるよ、ペニサスさんなら。……頼む
| ^o^ |わたしからも
少し考え込むようにペニサスは長い前髪を人差し指でくるくると弄った。
('、`*川…………まあワタナベさんの言ってたこともわからんでもない。ていうか…今、なんとなく分かっちゃったかも
('、`*川ディちゃん、フサくん、ドックン、ブームちゃん……こんだけしっかり立ってる子達がいるのにさ。なっさけないったらありゃしない
('、`*川ここで生きてる以上はちゃんと示してあげなきゃね。見捨てない大人、置き去りにしない大人が居るってこと…
('、`*川きっとワタナベさんも、同じ気持ちなんじゃないかな
| ^o^ |あの わたしいちおう18なんですけど
('A`)黙ってろ
| ^o^ |おくち ちゃっく
140
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:44:34 ID:UgpyCCvc0
('、`*川……はぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ、やれやれ……
('、`*川仕方ないな〜、やってやろうじゃん。でも、あんまし期待しないでよ?無理な時はメチャクチャ無理って言うからね?
('A`)三人揃ってやっとこさ一人前なんだ。足場は任せといてくれよ
| ^o^ |わたしたちふたりのちえでは かならずどこかでいきづまりそうですし
('A`)ボンクラのガキどもだからな
| ^o^ |たのんだぜ おふくろさんよ
('、`*川せめてお姉様でお願いしたいぞ、少年諸君……
('A`)で、方針は?
('、`*川影が近寄ってくるなら今は戦う、ってより立ち向かうかなー
('、`*川……アテにしてるよ?
141
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:45:57 ID:UgpyCCvc0
( ゚;;∋゚)ムッシャムッシャ
*(‘‘)*(あ、鶏肉も食べてる………)
( ゚;;∋゚)……人の子よ
*(;‘‘)*ひゃ、ひゃい!何でしょう!
( ゚;;∋゚)……………………………美味い
*(;‘‘)*(美味いんだ……)
*(;‘‘)*(羽根返してお弁当あげたら静かになったけど……この人…人?大丈夫なのかな…)
( ゚;;∋゚)我は人に非ず…我は飛焔の神……クックル…………!
*(;‘‘)*か、神様!?だったらますますケガなんて放っておけない…!
( ゚;;∋゚)………?
*(;‘‘)*だ、だって私、ヴィップ人だもん!お友達が傷ついてるのに無視するなんて聖タナシン様に怒られちゃうもん!
142
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:46:38 ID:UgpyCCvc0
( ゚;;∋゚)……………聖タナシン?
*(;‘‘)*そ、そうだよ!私達の神様!知らない?
( ゚;;∋゚)知らぬ。偽神…人の理から外れし者…この国には多すぎる……奴等を滅ぼすまでは死ねん………!
*(;‘‘)*と、とりあえず手当て…いや、家に連れて帰ったらお母さんに怒られる……
( ゚;;∋゚)滅ぼさねば…ならぬ……!奴等の存在全て…それこそが秩序…!
*(;‘‘)*なんか変なスイッチ入ってる!ど、どうしよう……どうしよう……!
( ^ω^)『困ったらぼくに相談するといいですお。でもこれからしばらくはシベリアに行くから………そうだ!きっと力になってくれる人が居ますお!』
*(‘‘)*……よし!
( ゚;;∋゚)クェェ………!!
143
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:47:21 ID:UgpyCCvc0
ξ゚⊿゚)ξで、連れてきたってわけ?
*(;‘‘)*はい………
ξ-⊿-)ξはぁ…あのね。ウチはある程度主義主張に対してはフリーよ、客なんか選んでらんないし多少の乱痴気騒ぎは許すわ。暴力沙汰や妙な因縁つけてくる奴等は勘弁だけど。相談事があるなら精一杯力になる、ブーンの友達ならなおさらね。でも………
ζ(゚ー゚*ζ雇うにはちょっと身長でかくて目立ち過ぎるかなあ……赤さがすごいし………
ξ#゚⊿゚)ξ赤さはどうでもいい!雇う方向で考えてんじゃないわよ!それ以前よそれ以前!面倒なんか見きれないって言ってんの!
ζ(゚ー゚*ζでもここまでよく連れてきたね〜。目立ったでしょう?
*(;‘‘)*慌てて家から持ってきたお父さんの服やら帽子やら着せてなんとかしました
ξ#゚⊿゚)ξ聞け。聞〜〜〜〜〜〜け。ちょっとデレ下がってなさい
144
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:48:35 ID:UgpyCCvc0
(゚、゚トソン というわけで、ヴィップ騎士団・シベリア・ソウサク魔法局は正式に共同防衛体制を形成し厄災の対処にあたります
( ゚∀゚)よっ!
( ´_ゝ`)待ってました!
(゚、゚トソン タチ悪い酔っぱらいみたいなノリやめてください。それと、私達にも正式な名称が必要になります
( ´_ゝ`)『アニジャ・ニジンスキー・サスガータとゆかいな仲間達』
(`・ω・´)却下、個人色が出すぎる
( ´_ゝ`)ふむ。『全国津々浦々神様ツバペッペの会』
(‘_L’)死ぬほどダサいよ
( ゚∀゚)どうせなら万人が湧き立つものにしたい所ですな。『シャキン・オプトマユと勇敢なる戦士団』だとか
(゚、゚#トソン 却下、却下、却下!話を聞きなさいこのアホ眉毛!
( ´_ゝ`)まったくだ、誰が頂点かという話でもないだろう…英雄崇拝も甚だしい
(`・ω・´)『アニジャ・ニジンスキー・サスガータとゆかいな仲間達』の君が言えた台詞か?
( ´_ゝ`)てへ
145
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:50:13 ID:UgpyCCvc0
( ゚∀゚)ケラケラ
(゚、゚#トソン まったく貴方はこの場をいったい何だと思って…!
(;‘_L’)まあまあ。名称だけ奇を衒ってもそれが勝利に大きく作用するわけでもないさ…
(‘_L’)無難に三国合同厄災対策本部。縮めて『厄対』で良いのではないかな
(`・ω・´)心遣いに感謝します、フィレンクト・シェフェルトン…私も彼の意見に賛成する。アニジャ、どうか?
( ´_ゝ`)まぁシベリアも文句はない。良いんじゃない?
146
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:50:42 ID:UgpyCCvc0
( ^^)調整、終わりました。これでヴィップ行きも楽になりましたね
( ^ν^)その扉を無事に持って帰らねえことにはまだしごおわとは言えねーぞ、ほら持て
(;^^)ほんと僕ばっかり酷使する……
( ^ν^)別にお前だけじゃねーし。俺は身内には基本的に平等だよ
(;^^)平等に奴隷だと思ってるんでしょ
( ^ν^)当たり。フィレンクトのおっさんが会議終わるまでの辛抱だ、とりま時間潰しにメシいっとく?
( ^^)あーヴィップ料理!一度食べてみたかったんですよね〜!良いんですか?
( ^ν^)おごる
( ; ) ^^
( ^ν^)顔真っ白になってんぞ
147
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:51:16 ID:UgpyCCvc0
(; )にゅ、にゅにゅにゅ、にゅにゅ………ニュッケンさん…………!
( ^ν^)あ?
(; )悪いものでも食べたんですか!?
( ^ν^)今から食いに行くんだよバカ
(; )頭どっかに打ちつけたんですか!!??
( ^ν^)ねーよ。打ちつけてやろーかー?手頃な鈍器お前が持ってるし…
(; )厄災でも降ってくるんじゃないですか!!!???
( ^ν^)…ほーお?そうかそうかそんなに嫌か、俺と食事に行くのが。じゃ知らね…扉抱えてぼっち飯やってろ
(;^^)いえ、お供させていただきます!!お供させていただきます!!!お見捨てなく!!!!!!!!!
( ^ν^)最初からそう言えカス
148
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:51:55 ID:UgpyCCvc0
( ^ω^)〜♪
( ^ν^)…ん、ヤマサキ。あいつ何つったっけほら、ヴィップの素早さ全振りデブ筋肉
(;^^)ブーン・ホライゾンさんですよ。ちゃんと名前覚えてあげてくださいね…絶対怒られるから……
( ^ν^)あいつ確かメシにうるさかったよな?4番隊のヒヨッコと話してたろ
( ^^)ドクオくんです
( ^ν^)……あいつ追っかけるか?正直何も知らねーヤツだが一応舌は信頼できそうだぞ
( ^^)追えると思います?神速の騎士とか言われてるらしいですよあの人
( ^ν^)街中でトップスピード出すアホが居るわけねえだろバカ
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブンブンブーン!
(;^^)うわスゴ…綺麗に避けながら人の少ないとこ小走りしてる……
( ^ν^)アホだったかー
149
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:53:20 ID:UgpyCCvc0
気分も足取りも羽根のように軽かった。
久々の故郷。久々の声、久々の街、久々の空気。全てがブーン・ホライゾンの気分を高揚させて彼の身体を突き動かす。
最優先で目指すゴールは久々の安息。
鼻歌交じりでようやく一軒の店に辿り着き、少し驚かせてやろうかなと酒場のドアをゆっくりと開いていく。
(*^ω^)むっふっふ……ただいまだおー!ツンー!デレちゃーん!
ξ゚∋゚)ξあら、ブーン。……おかえり
ζ(゚∈゚*ζおかえりなさーい
( ゚∋゚)・・・・・・
( ^ω^)
( ^ω^ )
(^ω^ )
(;°ω°)!!!!!???????!?
150
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:54:47 ID:UgpyCCvc0
久々の幼馴染みの姿。
黄色い羽根飾りのついた帽子。
可愛らしくもやや間抜けな嘴。
適当に引っ張り出されたらしき鳥の置物。
その光景で異様な存在感を放つ、台の上で腕を組み立つ赤く筋骨隆々な一人だけクオリティの違う鳥人。
ブーンは思わず目を丸くしたまま立ちすくんでしまった。
(;^ω^)いつからここは鳥家族になったんだお………
ξ゚∋゚)ξあんたトリカに妙な偏見持ってない?
(;^ω^)いやだって、あれ厄災……
ζ(゚∈゚*ζ神像です
( ^ω^)神像…………………………???
ζ(゚∈゚*ζだって鳥フェアですから
デレの口から出た返事は問いかける自分の方がおかしい様に思えてくるほどにあっさりとしていた。もう一度、まじまじと観察する。
( ゚∋゚)・・・・・・
無理がある。
否。
無理しかない。
ξ゚∋゚)ξうん、まあ…そういうこと。少し…頼っても、いい?
( ^ω^)も、勿論。遠慮なんかいらないお!
151
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:56:17 ID:UgpyCCvc0
店の奥へ通してツンは軽く手を盾に振って座るよう促しながら自分も椅子へ腰を下ろした。
( ^ω^)なんでアレが?
ξ゚⊿゚)ξさあね……『神を崇める儀式だからそこに立ってて』って言ったら大人しくなったわ
( ^ω^)パネェ
ξ゚⊿゚)ξ考えたのはデレだけどね……
( ^ω^)フツーにやめさせてもっと然るべき場所に隠した方がいいお
ξ゚⊿゚)ξ乗っておいてなんだけど、同感
( ^ω^)昔からあほちゃんだったお
ξ゚⊿゚)ξありゃもう治んないわ
ツンも自分も適応力は高い方の人間だとブーンは思っていた。が、彼女や自分をもってしても驚きや呆れ以前に疲れが全身から滲んでいる。
ξ゚⊿゚)ξそれと、あんたを頼って来た子よ。ほら
ツンに連れられて少女がおどおどとした瞳でこちらを見据える。
占い師の子だ、とブーンは思い出した。
*(;‘‘)*あ、あの…お久しぶりです。ブーンさん
( ^ω^)お久しぶりですお。……なんとなく成り行きは理解できたお
ξ゚⊿゚)ξ察しが早くて助かるわ
152
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:56:59 ID:UgpyCCvc0
( ^ω^)今はほとんど空いてるから良いものの、ここには騎士だって出入りするんだお…迂闊なことは
ξ゚⊿゚)ξ匿ってるなんて知られたら最悪殺されるわね。ショボヌールの言いがかりの時と違ってこっちが100パー黒なんだから
( ^ω^)シャキン閣下は…そんなこと、しないお…
ξ゚⊿゚)ξ自信ないんだ?
(;^ω^)前例がないケースなんだお
ξ゚⊿゚)ξ…今はああして大人しくしてるけど、そこらに解き放ったら絶対ヤバいわよ
*(;‘‘)*滅びがどうとか偽神がどうとか言ってますし
(;^ω^)偽神?
ξ゚⊿゚)ξヴィップにはいっぱい居るんだって
(;^ω^)…………!
153
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:58:03 ID:UgpyCCvc0
( ^ω^)…ぼくは、ヴィップの騎士だお。報告すべき事はちゃんと報告する、けどこの場所も、この国も守る
*(;‘‘)*ブーンさん…
( ^ω^)b 大丈夫。任せておいてほしいお
ξ゚⊿゚)ξあんたさ
( ^ω^)お?
ξ゚ー゚)ξ……決断早くなったよね
( ^ω^)ぼくだっていつまでもぐずりのブン坊愚じゃないお
ξ゚⊿゚)ξばか。騎士様なんだからそれくらいじゃなきゃ困るわよ
( ^ω^)手厳しい…
154
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 22:59:36 ID:UgpyCCvc0
がらりとドアを開けると、見覚えのある顔にブーンは気がついた。
彼らもブーンが出てきたのを見てこちらへ寄ってくる。
(;^^)あはは、どうも。こんにちは……
( ^ω^)…ワタル・ヤマサキさんとニュッケン・ニューソックスさんだったかお?列車ではあんまり喋ってなかったけど
「ほら、やっぱり普通覚えてるんですよ」とヤマサキが軽く肘でニュッケンを小突く。
ニュッケンは瞬時に頬へ向けて強くエルボーを返すと、ブーンへ近寄ってニカリと笑った。
( ^ν^)……この店、メシ美味い?
ブーンはこの奇妙な男の悪戯めいた笑顔に一瞬きょとんとしていたが、ニュッケンの視線がドアの隙間へ向いていることに気付くとすぐに彼の身体を優しく押し出した。
(;^ω^)ぜんっっっぜん!!オススメしませんお!!!!!もっと他にいい店を知ってますお!!!!!
( ^ν^)分かった分かった押すな押すな押すな
155
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:00:29 ID:UgpyCCvc0
ブーンは慌てた様子で適当なレストランまで二人を案内するとそのまま走り去ってしまった。
仕方がない、と肩をすくめてニュッケンはそこで食事を済ませることにした。
( ^^)美味し〜い!さすがメシウマの国!!ソウサクとは文字通り一味も二味も違いますね!
( ^ν^)クソ食レポ乙。そうノンキもしてらんねーぞ
( ^^)へ?
( ^ν^)ブーンだよ。あいつがマジテンパってるの見てなんとも思わなかったワケ?
(;^^)あー、言われてみれば…
( ^ν^)さっきの店にクックルが居た。サイズはいくらか小さくなってはいたがな
ヤマサキが思わず吹き出しそうになる口を抑えてゲホゲホとむせた。
(;^^)なんで……
( ^ν^)こっちが聞きてーし
156
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:02:01 ID:UgpyCCvc0
すっかりとたいらげてしまったヤマサキに対してニュッケンの食事のペースは遅かった。
一つ一つ肉をゆっくり胃に収めながらニュッケンは行儀悪く話を進める。
( ^ν^)あいつが俺たちにクックルを知られたくないってことは、あの店の連中はブーンの知り合い。好きでクックルを匿ってると見たね
( ^ν^)で。とっとと逃げてったってことは…「やっべ気づかれた」と店へ相談に戻って叱られてるか……上司に当たり障りのない報告をしてる
(;^^)?でもあの人は店にクックルが居ることを知られたくないんじゃ……
( ^ν^)だからだよ。開示するのは「街中でクックルを見た」とか「おそらくヴィップに厄災がまだ潜んでる可能性がある」くらいだろうな。いつだっけか…レモナ王女もここに居たんだろ?
( ^ν^)その論法で行くなら騎士様も嘘はほぼついてない事になる。自己保身の言い訳もつく
( ^ν^)ブーン自身はそこまでクックルを信用してない。が、店の連中には何かしらの恩がある………しかし国に逆らうことは出来ないので自分の身に疑惑がかからないような情報だけを渡す
( ^ν^)んで、ヴィップを警戒体制に持ち込んで運良く別の厄災が引っかかればそれで良し……かねぇ?
(;^^)……なんでそんな分かるんですか?
( ^ν^)あの超速饅頭マンがお前並にわかりやすいからだよ
157
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:03:30 ID:UgpyCCvc0
ぽかんと口を開けたままニュッケンの話を聞き終えて、ヤマサキは恐る恐るといった表情で問いかけた。
(;^^)ニュッケンさんはどうするんですか?
ニュッケンはグラスの赤ワインを空にすると、ぐっと身を乗り出してヤマサキを見た。
思わずヤマサキは「ひっ」と声を上げた。
( ^ν^)…お前、俺が何かすると思うか?
(;^^)思います……メチャクチャ、絶対、100%、ロクなことしない……必ず僕を巻き込んで何かやらかす…………
( ^ν^)ハハ、わかってんじゃん
ニュッケンは上機嫌な様子でヤマサキを指差すと、スンと顔から熱が冷めたように沈黙しフォークをステーキへ勢いよく突き立てた。
( ^ν^)クックルを捕獲する
(;^^)…はい!?
( ^ν^)あのちっこいのがゴーレムみたいな肉片なのか本体なのかは知らねえがな。あいつの肉体は新しいロマキングの素材として最高なんだよ。逃す手なくね?
158
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:05:50 ID:UgpyCCvc0
( ^ν^)曖昧な報告じゃ流石に上も動かせない…が、こっちは半信半疑の状態に後から「クックルが潜伏している場所を見つけた」と言える立場にある
( ^ν^)となれば腰上げるしかねーだろ?あの白ブタランナーを先に行かせたのもそういうわけだ
(;^^)性格悪っ………
( ^ν^)サンキュー
(;^^)褒めてないです……っていうかそんな事してクックルが暴走でもしたらどうするつもりなんですか……?
( ^ν^)しらね
(# ^^)ニュッケンさん!!
159
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:08:49 ID:UgpyCCvc0
( ^ν^)まァ高望みだってのは理解してるよ。せめて保護観察くらいに持ち込んでデータ取れたらそれで満足……ってのがタテマエ
(;^^)ホンネは?
( ^ν^)解剖してェ
(#^^)ちょっと!!
( ^ν^)だァ〜うるせーな。性ってヤツなんだよ、こういうのは………
( ^ν^)あの魔力の虹とかディとかな……ビジョンが一度浮かんじまったら、そこにチャンスを見つけたら……もう止められねえんだよ
(;^^)……もしかしてニュッケンさん、いつかの死骸の厄災も利用するつもりなんじゃ
( ^ν^)あ、わかる?
(;^^)日頃振り回されてるし巨鯨の厄災相手にしてた時の反応も見てますからね!僕にだって多少のパターンは読めます!絶対やめてくださいね!!
( ^ν^)ハッ、ハハハ……どうかね。メガネを越えるにしたって、時間もそんなにねーからな……
(;^^)(僕に、この人を止めることが出来るのだろうか………………)
(;^^)(それ以前にこの人の衝動を、その糧となる存在を止めることが許されるのだろうか……………?)
160
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:10:10 ID:UgpyCCvc0
宮殿のようなその空間に戻るたび、モララーは苦虫を噛み潰したような顔をする。
気持ちはわかる、とフォックスも大きく息を吐く。
誰の趣味か、と考える必要はないだろう。おそらくレモナ元王女の意向ではないかと呟くとフォックスは「俺も新入りなもんでね」とぼかした。
( ・∀・)「さて。命令通り大魔導師は殺したよ、これで僕も多少の信頼は勝ち得たんじゃないかな?」
(´・ω・`)…消したのは誰だ?
( ・∀・)「鉄の大魔導師、キュート・クルットル・スナール」
(;´・ω・`)あの小娘をか…?
( ・∀・)「ああそっか、ふふ…見てきた見てきた。キミはあの子達に邪魔されてヴィップを追い出されたんだったね」
【+ 】ゞ゚)よろしい。君の神としての生を改めて祝福しよう、モラルーナ君
( ・∀・)「いい加減名前覚えてくれます?」
161
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:10:59 ID:UgpyCCvc0
( ・∀・)「…それに、ここまでやってのけたんだ。あのギョロ目が褒めてくれても良いんじゃないのかなあ」
【+ 】ゞ゚)君は本当に恐れを知らないな
( ・∀・)「そう見えてるなら結構」
【+ 】ゞ゚)天啓はいずれ来るさ。少なくとも時計の針は動いた、終末と創生の時は近い…!
( ・∀・)「ハイハイ。で、レモナは?」
(´・ω・`)…ふふ、すでに手駒を動かして行動を開始しているよ。キュート・クルットル・スナールが消えたなら都合が良い、僕の手間が省けるからな
(´※ω※`)ふふふ、ハハハハハ……!シャキン、シベリアの悪魔ども……奴等は神を愚弄した報いを受けるのさ!
爪'ー`)y‐逆恨みが激しいタイプだな
( ・∀・)「よくまあヴィップ率いて生きれたもんだ」
モララーとフォックスは顔を見合わせて小声で言った。
162
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:12:53 ID:UgpyCCvc0
月を見ながらモララーはふとフォックスへ話しかけた。
( ・∀・)「なあ、フォックス。僕は最近、少し考えていることがあるんだ」
爪'ー`)y‐ほう。暇潰しに聞いてやろうじゃないか
( ・∀・)「僕を産んだロクでもない女の台詞さ。そいつが言うには『人間には神によって許された善なるエゴと決して許されざるもう一つのエゴが存在する』だそうな」
( ・∀・)「これに則って言うならば、僕の行いはワカには許されている。が、僕は僕自身の行動に未だ許せないという気持ちを抱いているんだ」
爪'ー`)y‐あまり幻滅させないでほしいな。お前は人間じゃない、よってその人間のルールには適用されない
( ・∀・)「それさ。『私は神だ』という理屈だけで、どうしてその行いが正当化される?…この世に特別なんてものは存在しないのに」
( ・∀・)「無論人間にしてもそうさ。これは正しい行いだと信じ、屍を踏み越えて進む。誰がそれを正しいと決めた?」
163
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:14:01 ID:UgpyCCvc0
爪'ー`)…バカバカしい。結局の所、悪が存在しなければ確固たる善も存在し得ない…そういう話がしたいんだろ?
( ・∀・)「キミとは気が合うね」
爪'ー`)ショボヌールあたりは『脆弱なヒトの価値観と崇高なる我々の使命を混同するとは』とかなんとかカッカしそうなもんだがな。ヤツも昔はヒトだったろうに…
爪'ー`)y‐それで?お前はどちらの立場でその善行とやらを行うつもりなんだ
爪'ー`)y‐この星を蝕む悪たるヒトを滅ぼし新たな創生の礎となるか、それとも傲慢な理屈を振りかざし人間を排除しようとする神々を滅ぼすか…さて、どっちだ?
( ・∀・)「はっはっは、キミねえ。僕が人間のためにここの神々をだまくらかして裏切るようなヤツに見える?」
爪'ー`)…ほう、違うのか?
( ・∀・)「ちがうね」
( ・∀・)……曰く、僕は『生まれてくるべきでは無かった』らしいからな。せいぜい世界に唾でも吐いて憎たらしくその命を全うしてやるのさ
爪'ー`)y‐まあ、それも良いんじゃないか。俺は世界が派手にメチャクチャになってくれればそれで構わない。面白おかしくやってくれりゃあそれでいい
( ・∀・)「キミも欲望を捨てられない身だなあ」
爪'ー`)y‐そうか?ふふ…残念ながら、器はそう変わらんらしい
164
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/03/30(水) 23:15:49 ID:UgpyCCvc0
@@@
@#_、_@
( ノ`)……一つ聞く。妹者や他の魔闘家を殺ったのはアンタか?
∬´_ゝ`)ん?いやいや、ちょっと違うかね。正確にはソウサクの王女様……
@@@
@#_、_@
( ノ`)……アネジャ、アンタもとっくに死んでんだろ。シベリアの大拳者なら潔く負けた事を認めて眠るんだね
∬´_ゝ`)クククッ……シベリア、シベリア。二言目には誇りと伝統ね。聞き飽きた
∬´_ゝ`)力のあり方にこだわってたら生きちゃいけないね。私はここに居る、母さんもここに居る。戦う理由なんてそれで充分じゃあないかい?
@@@
@#_、_@
( ノ`)…違いない
二人は静かに口角を上げると、荒野に高笑いを響かせた。
@@@
@#_、_@
( ノ`)来な、小娘
∬´_ゝ`)くたばれ、ババア
続く
165
:
名無しさん
:2022/03/30(水) 23:38:20 ID:hjqrUC8w0
おつつ
シラネーヨとフォックス好きだなあ
166
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 01:52:38 ID:Fe9/bn9Y0
今回も面白かった…
アネジャとハハジャの戦いやばそう
おつ!
167
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 07:42:55 ID:vMiaUzqY0
乙です
168
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 13:00:35 ID:M5sWhmpU0
母者登場アツ!!!!!!楽しみにしてる
169
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 13:23:51 ID:z7r0nAOM0
ニュッケンはねじ曲がりすぎて何処向いてんのかよく分からんな……
だがそれがいい
170
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:25:48 ID:yQaBWtFg0
∬´_ゝ`)…………なあ
∬´_ゝ`)…………………変わらんもんだね、畜生も、人も、神も。命っつうもんは軽い軽い
∬´_ゝ`)大仰な説明も要らず、蟻でも潰すようにサクッと消えちまう
∬´_ゝ`)しかしだね、よーく分かるのさ。アンタの言い草はよ
@@@
@#_、_@
( ノ`)『もう一度聞いておこうか。アネジャ、アンタはシベリア人の誇りを何と心得る?』
∬´、ゝ`)『糞さね。他国との共存、相互研鑽、反吐が出る。武術は殺してナンボさ!どうせ殺るなら人なんてチャチな枠組みの中じゃあ退屈だからね、敵は多い方が楽しいだろ?』
∬´_ゝ`)・・・・・・
∬´_ゝ`)…………神との喧嘩か
∬# _ゝメ;;)
∬´_ゝ`)弱者は淘汰される、それだけのこと……満足だろ?
171
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:26:53 ID:yQaBWtFg0
|゚ノ ^∀^)そろそろ感傷も終わりましたか?娘殺し
∬´_ゝ`)……おうさ。散々人のガキ弄くり回されたからねえ…すぐそこに居る小娘もついでに潰すつもりだよ
|゚ノ ^∀^)図に乗ってはいけませんわね
∬´_ゝ`)ほーう……何かするつもりかい?
|゚ノ ^∀^)あら?そう怖い顔をしないでくださいまし。せっかく若返らせた顔が台無しですわよ。私はただお話したいだけですの、ね?
|゚ノ ^∀^)ほらぁ…ひ、ざ、ま、ず…けっ…♡
∬´_ゝ`)……っ!へえ、やるじゃないか。催眠か何かかい?この私を動けなくするたあ大したもんだ
|゚ノ ^∀^)ええ、必要なのは強く優秀な下僕…それも逞しいシベリア人の…♡そこのボロクズは最初から貴方を釣るための餌に過ぎませんわ、ホホホ
∬´_ゝ`)ハハハハ…!いいねえ、アンタ、分かりやすいよ!そういう力だけで身体が追いついてないガキは…
∬#´_ゝ`)いくらでも見てきたッ!
女は身体を縛る見えない鎖を粉々に砕き、全体重を乗せた一撃をレモナへと放った。
しかし、その拳はレモナの眼前で止まる。
∬´_ゝ`)…避けないんだね。ますます気に入ったよ
|゚ノ ^∀^)避ける必要なんてありませんわ、貴方に私を殺すことなど不可能なのですから
∬´_ゝ`)……ハハ、いいだろうよ。下僕でもなんでも好きにしな。こんなものに生かされるとは思わなかったが……どうせなら敵は多い方が楽しいからね
∬´_ゝ`)ただ、ペットの躾には気をつけな。噛みつかれたって知らないからね
172
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:28:08 ID:yQaBWtFg0
フィレンクトのここ2日の動向は忙しなかった。
ニュッケン、ヤマサキが運んできた扉の調整に付き合い、シャキンやアニジャと一通りの会議を終えて疲れ気味に肩を落としその翌日ソウサク国へ一時的に帰還すると、今度はキュートとデミタス戦死の報告に頭を抱えることとなったのである。
(‘_L’)奇跡の9月、悲劇の10月か………
( ´∀`)まだ始まったばかりで勝手に題名を決められても困るモナ
<ヽ`∀´>人型の厄災が潜伏している以上、闇の門は一つきりに絞るべきニダな。今はいくつかのゲートからシベリアまで自由に移動できるが…
(,,゚Д゚)そこを奴らに突かれたらおしまいです。内側から食い破ってくださいと言っているようなものですから
(‘_L’)そこはシベリア、ヴィップとも討議した。まだまだ浮かれてもいられないからね
('、`*川隊長の件もありますし、今まで以上にいつ何が来るか分からなくなってますから…
(;‘_L’)モララー君………不可視の襲撃かぁ………うぐぐぐ……
<ヽ`∀´>(“どうすれば”を堪えてるニダな…立場上……)
( ´∀`)現状は右往左往せざるを得ないモナ
(;‘_L’)せめて彼らの居場所が分かれば3カ国で攻勢にも出られるんだがなあ……
173
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:28:53 ID:yQaBWtFg0
( ´∀`)居場所と言えばクックルの対応はどうするモナ?
(‘_L’)状況が特殊だからね、ヴィップもこちらの答えを聞いてから行動したいそうだ
('、`*川一応第7から捕獲作戦の案が出てるんですけど…コレはちょっと〜…ってとこがありまして
(‘_L’)そうなんだよねぇ……神を閉じ込める檻なんて世界のどこにもなかろう
( ´ー`)……あのォ、それなんですけど。対話とか……できませんかね?
シラネーヨの提案にモナーは苦々しく首を振って答えた。
(;´ー`)で、でも海の連中って一枚岩じゃあないんでしょ?ダイオードさんみたく会話ができるなら、どうにかならないっスか?
174
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:29:46 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノv…会話が出来てもわけがわからん時もあるさね
<ヽ`∀´>ダイオードだって気まぐれでこちらの味方についただけ。それを忘れてはならんニダ
(;´ー`)で、でも俺たち人類は…
<ヽ`∀´>確かに海から生まれた。だがウリ達はその海からの“やり直し”でここに存在し、今また脅威に晒されている
<ヽ`∀´>ましてクックルが奴等の言う海より来たりし者である確証は一つもないニダ。デミタスくんの推測だけでは動けん
(,,゚Д゚)・・・・・・
(;´ー`)も、モナー隊長……
( ´∀`)ゴーレムもバハムートも、奴にとって最優先で滅ぼすべき対象だったに過ぎない。結果として一部の行動が我々には味方に見えていただけモナ
(;´ー`)うぐっ………
175
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:30:36 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノvおニューの靴下の報告を信じるなら、クックルは小さくなって弱ってる
从'ー'从じゃあ討滅するなら今………
lw´‐ _‐ノvって普通は思うんだけどあのトリさんだしな〜。迂闊な事はできないね
シラネーヨは暫し反論を考え込んで、助けを求めるようにモナーを一瞥すると諦めて沈黙した。
その途切れた声を繋ぎ止めるように咳払いした者はギコ・ネルク・ゴウラであった。
(,,゚Д゚)俺はデミタスに賭けるべきだと思います
('、`*川!
(,,゚Д゚)クックルが潜伏しているのはヴィップの酒場。戦うにしても市街地の被害は確実なものとなる…ならば、穏便に済ますに越したことはないかと
(,,゚Д゚)クックルは今もなお沈黙している。奴が人類に敵意を持った傲慢な神であるなら、人間に保護されるなど我慢ならないのでは?
176
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:31:44 ID:yQaBWtFg0
<ヽ`∀´>………うむ、納得がいく理屈ではあるニダな
lw´‐ _‐ノv現状がこれ以上ない証左か、それもまた善哉。6番隊は賛成しちゃうぜ
从'ー'从ツンちゃん達に迷惑もかけられないしな…5番隊も意義無しです
( ´ー`)しかしギコっちが賛同してくれるとは思わなかったな。相手、仇だろ?
(,,゚Д゚)……拘りに雁字搦めにさせられてる内は前に進めませんから
( ´∀`)(ウチのバカが言いたくても言えない縋りたいけどほぼ無理な案を出してシュールとニダーが整理、ギコが押し通す…)
( ´∀`)(困りはしないけどフィレンクトさんが戻って来ても基本的に頷く以外にモナの仕事はないモナな〜)
モナーは満足げに大きく伸びをした。
177
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:32:36 ID:yQaBWtFg0
( ´∀`)クックルがこちらの戦力になってくれるかはさておき、やってみる価値はあるモナね。3カ国から代表者を出すとして誰が行く?
( ´ー`)あー、それ俺が。言い出しっぺですし
( ´∀`)却下
(;´ー`)何故ッ
( ´∀`)ヤな予感がするモナ。つーかお前がここに居てもらわんとモナの仕事が増えるモナ
('、`*川ダイオードさんは確定じゃないですかね?
(‘_L’)確かに。同じテーブルにつける大きさになってくれたとはいえ私達を対等と見なしてくれるかは疑問だからな……
(‘_L’)最初だけご機嫌取りに行っても上手く行くとは思えないし、私がそのまま出るとするかな
lw´‐ _‐ノv……あのさ、フィーさん。少しワガママ言っていいかな?
178
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:33:16 ID:yQaBWtFg0
('、`*川…ってわけで、シューちゃん隊長がヴィップに行くみたい
(;'A`)なあ、本当に大丈夫なのかよ…それ…
('、`*川ダイオードさんとディちゃんも同行するからまあ…ヤバい時には霧で逃げれるね
ドクオは何も言わず怪訝な顔でペニサスを見た。
「クックルが生存している」という事実には散々絶叫を済ませた後だったので、その後の報告に対してのリアクションは自然と言葉少なくなってしまった。
| ^o^ |ともだちになれるなら それはすばらしいことです
なれるなら、と念を押すように言ってブームがドクオの肩に手を置いた。
('A`)……友達ねぇ
ブームの発言は正しいようにドクオには思えた。ドクオ自身、勘のようなものでクックルは他の厄災と何かが違うとは密かに思っていた。
しかし自分は間近で見たのだ。シィが炎に焼かれて消える所を。
あの神の怒りがこちらに向いた時、その力を抑えきれなくなった時、待っているのは救いようのない破滅なのではないか。
きっとそれは、かつての自分に対して周りが抱いていた感情なのではないか。そう思うと気が重かった。
じっと掌を見つめて考える。魔法使いと名乗ってはいるが、自分の身体の中から湧き出る力は人では無く化け物のそれだ。
179
:
名無しさん
:2022/04/14(木) 23:33:28 ID:lRMgJJXQ0
わくわくしてきたゾ
180
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:34:07 ID:yQaBWtFg0
('A`)(……モララーが、みんなが信じてくれたから俺は今ここに居られる……だから、俺もみんながそうしたように出来るなら………けど、どこかで……恐れている自分がいる)
('A`)(繋ぐべき手ではある、これから先俺たちが生きていくために必要な灯ではある……けど……繋いだ瞬間に燃え移ってみんな灰になるかもしれない………でも……)
迷走を続け知恵熱を出す前にドクオは立ち上がり、ぱし、と頬を叩いてブームとペニサスへ向き直った。
('A`)……俺もヴィップへ行く
('A`)今の状況でソウサクの戦力を低下させるのは危ないってのも分かってる…けど、そうしたいんだ。頼む
| ^o^ |いっといで
('ー`*川まあ厄災の研究も4番隊の仕事の内だしね。いいんでない?
(;'A`)う、うん……えらくすんなりだな…もっと怒られるかと思ったぜ俺
('、`*川こんなんを臨時隊長に選んだのはキミらだかんねー。そりゃもう勢い任せよ、はっはっは
181
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:35:03 ID:yQaBWtFg0
| ^o^ |まようよりうごく それがわかってるならわたしはいうことなしです
('、`*川ウチはギリギリで立ってる人が多いからねー。息抜き出来るならそれに越したことはないよ
('A`)ごめん、色々迷惑かける
| ^o^ |うふふ いまさらでは?
('、`*川さんざ街に光線ぶっ放して迷惑かけてタダ働きの身だもんねドックンは
(;'A`)マジにずっとそれ弄るよなアンタら!
('、`*川あはは……それが今のドックンに必要な事なら、私達はそれを尊重するしちゃんと信じて待ってるから。上手くやるつもりではあるんでしょ?どっかの誰かみたいに消えんのはナシだからね
| ^o^ |わたしはここで ふたりをささえることにします
| ^o^ |くれぐれもむりはせぬよう
('A`)…ありがとな。ちょっと支度してくる
182
:
名無しさん
:2022/04/14(木) 23:35:23 ID:lRMgJJXQ0
主人公力◎
183
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:35:52 ID:yQaBWtFg0
( ^ν^)コンチ。ブームいるか?
('、`*川あ、ニーソッ君
( ^ν^)ニューソックスだよ
| ^o^ |せんぱい どうしたんですか?
( ^ν^)ま、色々とな。とりま必要なもんをかき集めてる最中
('、`*川……クックル絡み?それとも術式?
( ^ν^)両方。別にメガネみたいにあれこれ無茶な発注はかけねェよ、いつか魔法局の連中かき集めて時間停止の術式作ったろ?アレくれ
('、`*川あーはいはい、魔法の登録ね。ちょっと待って用意するから
( ^ν^)ちげーよ。本体だ
| ^o^ |ほえ?
('、`*川あのさ…あんた、何やる気?
184
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:36:57 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノvんえぇぇ〜〜〜〜〜ェ〜〜
lw´‐ _‐ノvあ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
遠吠えじみた声が6番隊隊舎に響いた。
風船に針で小さな穴を空けたみたいに一気に気が抜けて行くのがわかる。
lw´‐ _‐ノv(…………キュートのこと、本当は苦手だったのにな)
───
──
─
……兄さんが死んだ時、あの子ははっきり物心ついてなくて一番ぎゃあぎゃあ泣いてたくせに、一番立ち直るのも早かった。
キュートが生まれてしばらくはあまり兄さんも家に帰って来なかったし、もともとあの子はずうんと重たくのしかかる思い出に潰されずに済む身だったんだ。
だからこそ、私はキュートの事を本気で憎んだし、羨ましいって心の底から思った。
一ヶ月もしない内にニコニコ周りに笑いを振り撒いて、当たり前のようにお母さんから魔法を教わって、兄さんの事なんてカラッと忘れて当たり前のように楽しく過ごしてるキュートが憎かった。
適性的に苦手な分野の多い自分と似たようなもんなのに、特殊属性なんてモノで全部チャラに出来るキュートが嫌いで嫌いで仕方なかった。
でも、自分に一番きらきらした目を向けてくれたのもキュートだった。
185
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:37:19 ID:yQaBWtFg0
o川*゚ー゚)o『すごいすごい!ねーねーシュー姉!どうやったらシュー姉みたいにいろんな魔法が使えるようになるの!?』
lw´‐ _‐ノv
o川*゚ー゚)o『キュートちゃんにもおしえて!』
それはね、誰かに認めて欲しくて頑張ってたからだよ。
誰も持ってない物があるおまえが嫌いで嫌いで仕方なくて、生きるのつまんねーって思うのやめて、『名門スナール家の出涸らし』なんて称号跳ね除けたかったから。
気を遣ったような褒め言葉じゃなくて、どんなに小さな事でもまっすぐに褒められたかったから。
なんて言えるわけなかった。
こんな眩しい目をして、何も着飾ることのない言葉をくれる子に。
lw´‐ _‐ノv『…練習、一緒にやる?』
o川*゚ー゚)o『…うん!!やるー!』
少し頭を撫でてやると、弾けるみたいにはしゃぐキュートを見て余計に思ったんだ。
ああいう明るい振る舞い方とか、年相応の無邪気な顔って、どうやればいいんだっけってさ。
186
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:37:45 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノv『キュートの鉄魔法はさ。他の魔法みたいに派手じゃないけど…イメージ次第でいろんな物を創れるでしょ?それ、凄いことだと思うんだ』
lw´‐ _‐ノv『持続力もそう。いつも遊んでるケン玉とかさ…魔力が少ない内は何かを生成してもすぐ消えちゃうのに、ずーっとあるじゃん?』
o川*゚ー゚)o『…これ、消えちゃうの?』
lw´‐ _‐ノv『フツーはね』
『なあんだ、良かった〜』なんて笑いながら隣にちょこんと腰掛けるのを見て、ちょっと苦笑いしちゃった。
皮肉かましたつもりなんだけどさ。
lw´‐ _‐ノv『だからさ。いろんな魔法を使えるようになるかどうかはアンタのイメージと応用力次第。頑張んなよね』
o川*゚ー゚)o『イメージ?』
lw´‐ _‐ノv『例えばさ、私は指輪だけどキュートは杖で魔法出すじゃん?その杖にでっかい刃を生やして剣にしちゃうの。あそこの木よりでっかいやつ』
187
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:38:16 ID:yQaBWtFg0
o川;゚ー゚)o『えーーっ!あんな大きいの持てないよ!』
lw´‐ _‐ノv『んじゃ持てるようになろう。鉄魔法で手袋みたいなやつ作ってさ、それをはめると魔力が増幅されて大人の数十倍パワーが出せるようになる』
lw´‐ _‐ノv『それででっかい魔物もドカーン!』
紙とペンを急いで持ってきて、サッと分かりやすく描いて見せる。
それっぽいホラ吹いてるだけなのにキュートはずっと嬉しそうに『スーパーキュートちゃんだー!』とか騒いですぐさま私の空想を真実にしてしまう。これまた当たり前のように。
そうしてあの子は屈託のない笑顔でこう言うんだ。
o川*゚ー゚)o『えへへ、これでキュートちゃん、シュー姉を守れるつよい魔法使いになれるね!』
o川*゚ー゚)o『やっぱりシュー姉はすごいや!』
鉄の手袋をはめ空に剣を軽々かざしたキュートを見て、キュートの口から出た“なんてことない言葉”を聞いて、嫌な汗がどっと出たんだ。
ずっと欲しかったものが手に入って、嬉しくて嬉しくて仕方ないのにさ。
目からギリギリこぼれ落ちないように、頑張って耐えたんだ。
えらいでしょ。
188
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:39:17 ID:yQaBWtFg0
嬉しくて泣きそうになったのって、きっとそれが初めてだったと思う。
2回目は、粘り勝ちでフィーさんを負かして大魔導師になった時。
試験を受けたのはキュートも同じで、結果は速攻でモナさんに圧勝。
クタクタになって闘技場で仰向けに寝転がったままそれを聞いた時、ホント敵わないと思った。
( ・∀・)『シューちゃん、お疲れさま』
o川*゚ー゚)o『これで揃って大魔導師だね!』
( ・∀・)『おめでとう、よく頑張ったね。諦めずに勝ちをもぎ取りに行く姿、かっこよかったよ』
力の入らない身体を支えてもらってやっとこさ立った時、何か全部溢れちゃって。
二人ともすっくと立派に立ってるのにさ。
やっと大魔導師になれたってのに、なっさけなくってねえ。
───
─
lw´‐ _‐ノv(───だからもうちょっと、二人みたいに誰かを支えてあげられるような強い大魔導師目指したんだけどさ)
lw´‐ _‐ノv(ブレないように、って考えてても上手くいかないもんだよね……)
lw´‐ _‐ノv(シィおねえちゃまが死ぬ前とか、そもそもクルウちゃんが生まれたのだってそう。私が不甲斐ないから)
lw´‐ _‐ノvいけねえいけねえ、人間動きを止めると悪い方に引っ張られるな。っけね〜
lw´‐ _‐ノv……まだまだ歩みを止めるつもりはないかんね。ネバギバネバギバ
189
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:39:49 ID:yQaBWtFg0
(#゚;;-゚)隊長
lw´‐ _‐ノvん、ディ。身支度済んだ?
(#゚;;-゚)完了している
lw´‐ _‐ノvえらいぞ〜〜〜
にっと笑いかけて、心配そうな表情をしたディの頬を撫でる。
掌に伝わる感覚は冷たく、ディは瞳に迷いの色を浮かべながらただこちらを見据えていた。
(#゚;;-゚)……先程、妙な声を上げていたが
lw´‐ _‐ノvあーアレ?お騒がせしちゃったね。色々あってつい発散したくなってさ
lw´‐ _‐ノvシューちゃんの習性その9、疲れたらちょっと大声出したくなる時があります。メモっときな
(#゚;;-゚)了解した
ディはすぐさまペンと手帳を取り出した。
lw´‐ _‐ノv勤勉でよろしい。今度新しいのをあげようね…
190
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:40:36 ID:yQaBWtFg0
(#゚;;-゚)ありがとう。……それと隊長、おにぎりを作っておいた。何も食べてないだろう?
lw´‐ _‐ノv中身は?
(#゚;;-゚)わかめだ
lw´‐ _‐ノv善哉。あんがとよ
(#゚;;-゚)…少し、形が悪いかもしれない
lw*´‐ _‐ノvでもこれで勇気が出るよ
申し訳無さそうに目を伏せるディに、被せるように言った。
ディは少し間を置いて「そうか」とだけ答えると、少し微笑んだように見えた。
lw´‐ _‐ノvん、いいこいいこ。形が悪くたって中身がマシならそれでいいのだ
(#゚;;ー゚)……子供扱いはやめろ
lw´‐ _‐ノv生後数ヶ月の身で14歳相手にナマ言うんじゃないよ
(#゚;;ー゚)ふふ
lw*´‐ _‐ノvんへへ。可愛い笑顔、板についてきたじゃん?
191
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:41:22 ID:yQaBWtFg0
(#゚;;-゚)…何故ヴィップ行きを希望した?
lw´‐ _‐ノv私が守りに向いてるからかな。いざって時のためにさ…それにディなら水属性も使えるでしょ?
(#゚;;-゚)使えるが……隊長はクックルとの対話は失敗すると考えているのか?
lw´‐ _‐ノvうんにゃ?そこはあんまし考えてないかな。勿論可能性として無視は出来ないけど
lw´‐ _‐ノv人型の厄災居るじゃん?フツーに暴れ回るデカい連中と比べてあいつらはどうも動きがキナ臭い。連中の立場に立つなら、クックルが人間の味方になっちまうと……
(#゚;;-゚)なるとどうなる?
lw´‐ _‐ノvこまる
(#゚;;-゚)困る………?うむ、困る。困る…………
192
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:42:33 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノvあの火力を敵に回すのも厄介だしね。メチャメチャにしたいだろうけど……
(#゚;;-゚)下手に怒らせると、自分が危ない
lw´‐ _‐ノv正解。それもあるし、奴等は多分ヴィップを火の海にはなるべくしたくないはず
(#゚;;-゚)……どういう事だ?
lw´‐ _‐ノv信仰だよ。4番隊の報告書のおかげで少しずつ分かってきた…あの連中は人の信じる心や土地に宿る思いを食い物にしてるのさ。崇められてる対象が自分でなくても恩恵は受けられるらしい
lw´‐ _‐ノvゴーレムの急速な再生、テンプターの地に宿りし者、ヴィップに来てたレモナ王女、自分に都合良くヴィップを管理してたショボなんたら……どいつもこいつも裏には概ね信仰って言葉がついて回る
(#゚;;-゚)……クックルがヴィップに流れ着いたのもそこで回復するためか
lw´‐ _‐ノvかもね。人間が居てくれないと困る神様も居るってよりは…準備のために利用してるだけってのが正しいかな?勝手に搾るだけ搾って、目的が済んだら別に死のうが構わないってワケ
(#゚;;-゚)では、もし人型の厄災がヴィップで大規模な殺戮に出た場合は……
lw´‐ _‐ノv…事態がヤバくなったってことだね。準備が済んだってことなんだからさ
193
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:43:21 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノv……『テンプターの自然に宿る者の強さから考えると、より多くの人間達から長年信仰を集めてきた聖タナシンの力は人間の計り知れない領域にある』ってのがペニさんの考えみたい
(#゚;;-゚)ヴィップの、創造の神……
lw´‐ _‐ノvなるべくブチ当たりたくは無いんだけど…例の伝承的には完全に天の側なんだよね……
lw´‐ _‐ノv勝てると思う?
(#゚;;-゚)…勝たなければ生き残れない
lw´‐ _‐ノvだよね〜。よくわかってらっしゃる
(#゚;;-゚)そこに私の生まれた意味がある
lw´‐ _‐ノv……そうかい。そういうわけで…相手がクックルって状況だから比較的事は大きくできない、お互いにね
lw´‐ _‐ノvだからもし想定外があった場合、必要なのは攻めよりも守る役回復役なワケ。民間人を危険に晒す可能性もあるからね
(#゚;;-゚)……回復魔法には自信がない
lw´‐ _‐ノv魔法使いは度胸。なんでもやってみるのさ
(#゚;;-゚)む……
194
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:44:45 ID:yQaBWtFg0
lw´‐ _‐ノv……ま、そこらへんがあたしの方便ってヤツかな〜
(#゚;;-゚)他に狙いがあるのか?
lw´‐ _‐ノvん、まあね。先に言っとくけど仇討ちしに行くわけじゃないよ?そこまでおバカちゃんじゃないし
lw´‐ _‐ノv……昨日、夢を見たんだ。モラちゃんと、キュートの夢……ついさっきも……こびりついたそれを思い出してた
(#゚;;-゚)・・・・・・
lw´‐ _‐ノvそういう夢を見たことよりも………起きた時、縋っちまってる自分が居た事が一番キツかった
lw´‐ _‐ノv引っ張られるなって、なんとか立っていようって胸張ってた癖に…目が醒めて、どこにいるの…って…
lw´‐ _‐ノvいないはずの誰かを探して…暗い部屋ン中キョロキョロしてさ……夢だったんだって受け止めた時、悔しいやら悲しいやらアホ臭いやら…
自嘲するようなシュールの姿に、ディは彼女が帯びた底知れぬ寂寥が広がってそのまま時さえ止めてしまいそうに感じた。
(#゚;;-゚)恥じる事ではない。キュートは貴方の家族だ
引き止めるように手を握り、はっきりと思ったままを口に出す。伝わってくる掌の温かさにシュールは優しげな笑みを返した。
lw´‐ _‐ノvうん…大丈夫。だからさ、こういうの吹っ切るには時間経つの待ってるよか早めに動き出した方が良いかなって。あたしのワガママ…ヴィップに行けば、会えるチャンスはあるからさ
(#゚;;-゚)・・・・・・
(#゚;;-゚)(………死か)
(#゚;;-゚)(アサピエーラが死んだ時、私はどう思っただろう…?ただ現実へ追いつけずに、不思議に思いながら佇んでいただけかもしれない……)
195
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:46:11 ID:yQaBWtFg0
( ^ν^)さて。上も結論出たみたいだしあんまチンタラしてられねえわな…ペース早めに行けよモブどもー
(;^^)……あの、ニュッケンさんは動かないんですか?
( ^ν^)俺は他にやることあんだよ
(;^^)というか本当にクックル無視してロマキング4号作るんですね……あんだけ前フリしたもんだから上の決定とか無視して捕獲決行しようとするのかと……
( ^ν^)出すモンは出したしそれで却下されたなら仕方ねーだろ?それに……
(;^^)……それに?
( ^ν^)魔法の扉のサンプル第7にあるしな
(;^^)
(;° °)ウワーーーーーーーーーーッ!!!!!?
( ^ν^)前も思ったけどお前驚き方が面白い
196
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:47:15 ID:yQaBWtFg0
(;° °)ウワーーッ!!ウワーッウワーーッ!!!ウ
( ^ν^)リアクションは1回でいンだよ
(;° °)もごご……っぷはっ、そそそそそそれって、やろうと思えばいつでも出来るって事じゃないですかちょっと!!
( ^ν^)そうだが?
(;^^)そうだが?じゃないですよ!!
( ^ν^)プランの一つとしてクックルをパーツの一つとして取り込むってのはあるけどな。まァ一応それナシでも成立するようには作るつもり
(;^^)だいたいこんな状況で巨神作る必要あるんですか!?それも厄災の死骸を巨神に改造するなんて罰当たりなことしてあの焼き鳥の偽神滅ぶべしメーター急上昇した…………ら…………………
( ;^^)
( ^ν^)
197
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:47:58 ID:yQaBWtFg0
怯えるようなヤマサキの視線と、冷たいニュッケンの視線が真正面でかち合った。
(;^^)あの、ニュッケンさん………ひょっとしてどの選択肢でも……最初から…………
( ^ν^)大魔導師二人殺ってるヤツを信用出来るほどお人好しじゃないんでな
(;° °)ウ
( ^ν^)うるせぇ
(;° °)もごごごーーーーーーーーっ!!!
(;° °)…っぷは、ちょっと、ちょっと待ってくださいニュッケンさん!一回、一回脳を落ち着かせましょう!?
( ^ν^)テメーが落ち着け
( ^ν^)………魔法術式、時間停止
198
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:49:05 ID:yQaBWtFg0
抜け出すようにしてその場を離れ、地下研究室へと急ぐ。
止まったままの世界は静かで、ほんの少し落ち着くなと思った。
上の判断に不服はない。どちらにせよクックルというリスクを抱えるのは確かなのだから。
( ^ν^)(……だが、アレのご機嫌伺って巨神の製造を今後凍結させるってのは勘弁だな。クックルだけに頼って奴が倒れたらどうする?)
( ^ν^)(アテになるかも分からんクックルを取るよりも……あれは討滅した方が今後のためになる)
時間は一秒でも惜しい。ただ、このまま停止させるにしても魔力の限界という問題がある。
( ^ν^)複合属性弾や光波防壁装置みたく術式を使って…個人の魔力に頼らず時間を止めるための装置を作る、まずはこれが一つ………
( ^ν^)どうすっかな…術式をそのままエネルギーの塊として使うか?いや、それよりもこれを解析して……特殊属性そのものを固形化して製造するか?……あっそうだ、ディだ。あいつがある…
199
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:50:26 ID:yQaBWtFg0
クックルは魔術核や巨鯨の厄災の火力でも討滅出来なかった。
だが、生命の維持にその力の大部分を使っている今ならば奴が巨大化しても倒せる可能性はある。
少しずつ勝機は見えて来ているのだ。
その結果を掴み取るためならば、手段は最善である必要はない。
( ^ν^)(今取るべき選択肢は最短だ。それで俺たちが生き残れるなら…全てを利用して、どんな事でもやってやる)
眼前に佇む、目指すべき場所。
ゆっくりとその扉に手をかける。
触れようとしなかった、真の天才が残したもの。そこに魔術核のデータは残っていない。
だが、それでも道を開く何かがここにあると確信していた。
( ^ν^)魔科学に不可能はないんだろ?ちょっと力貸せよ
『音声確認が必要です』
ニュッケンはその声に澱みなく言い放った。
( ^ν^)“世界で唯一無二の天才、最高の科学者の名はアサピエーラ・ガデライト”
200
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:51:50 ID:yQaBWtFg0
(;^ω^)正直すまんかったーーー!!
叫び声が静かな夜を切り裂いてブーン・ホライゾン一世一代の土下座がマッキンナーの酒場の床へと炸裂した。
宙を舞う白鳥が如く美しく弧を描いて滑り込むように平伏すそのフォームはまさしく芸術としか言いようがない技であったが、ツンデレール・マッキンナーの反応は呆れたように溜息を吐くだけであった。
ξ゚⊿゚)ξまぁ…なんか、そんな事だろうなと思ったわ
(;^ω^)上手く情報切り取って立ち回るつもりがトントン拍子で全部バレてしまったお……もうしわけねえもうしわけねえ……
ξ゚⊿゚)ξ…案外それでよかったかもね。あんたが嘘つくことなかったんだから
(;^ω^)…お、怒んない?
ξ゚⊿゚)ξ怒らないわよ。それにシャキンさんならそう短絡的な事はしないんでしょ?
(*^ω^)おっおっ、それはもう自信を持って言えるお
ξ゚⊿゚)ξなら良いじゃない。ほら顔上げる!
( ^ω^)応!
201
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:53:29 ID:yQaBWtFg0
( ^ω^)クックルは?
ξ゚⊿゚)ξおとなしいモンね…今はヘリカルちゃんが世話してる。結構傷ついてたからこっちで手当てはしておいたわ。効くかは分かんないけど……
( ^ω^)その善意は無駄にならないと思うお。きっと神様だって善意で接したら善意で応えてくれるはず…
ξ゚⊿゚)ξリターンはまだ何ももらってないけどね。普段相手してる神様連中よりタチ悪いわよ
軽口に苦笑を浮かべると、ドアベルがカランカランと音を立てた。
デレの「いらっしゃいませ」という声にふと振り向き、ブーンとツンはそこに立っていた男の姿に驚いた。
( ´_ゝ`)よう、ツンお嬢。お久しぶり
ξ;゚⊿゚)ξどうも、シベリアの魔闘家さんだったわよね。その隣の方は……
(`・ω・´)シャキン・オプトマユだ。そう恐縮しなくてもいい、プライベートだからな
( ´_ゝ`)ブーン!奢るぞ、シャキンが。お前さんもどうだ?
(;^ω^)は、はい…ご一緒させていただきますお……
202
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:55:57 ID:yQaBWtFg0
(`・ω・´)…というわけで、我々はソウサク国の提案により対話という手段を取ることにした。明日到着次第こちらで行う
ξ;゚⊿゚)ξここでやるわけ!?
( ´_ゝ`)無理に連れ出して刺激するのも面倒だろ?
(`・ω・´)……申し訳ないが、それしか方法はなかった
ζ(゚ー゚*ζあっ、そういうことなら……ハイこれ!
カウンターで話を聞いていたデレはがさごそと何かを取り出すと、早足でテーブルへ駆け寄りアニジャとシャキンへ手渡した。
( ´_ゝ`)・・・・・・
( ´∋`)スチャ
(`・∋・´)……………失礼、デレさん。これは……何かな…?
ζ(゚ー゚*ζあの神様と話し合いするんだったら、それなりに親しみやすい格好した方が良いですよ!
花が咲いたような笑顔の前にアニジャは爆笑し、シャキンは「ふむ…」と一言漏らすと腕を組んで真剣に嘴とトサカの飾りをつけたままの会談を検討し始めた。
ξ;-⊿-)ξ下がってなさいアンタは……
ζ(゚ー゚*ζえーなんで!絶対上手くいくよ!ほらすごい似合ってるじゃん!
ξ;-⊿-)ξ似合う似合わないとかじゃないのよあんた
( ´∋`)…っふふ、こんな会話をソウサク人が聞いたら腰を抜かすだろうな……
(`・∋・´)ありがとう。大切に使わせていただこう
(;^ω^)やめといた方がいいですお……
203
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:57:07 ID:yQaBWtFg0
( ´_ゝ`)…今更言うのもなんだが、シベリアはヴィップへ独自に諜報員を出していてな。ショボヌール達人型の化け物どもに関して調査をさせていたんだ
( ´_ゝ`)すると妙な情報を拾ってな?ウチの姉者がヴィップに居たらしい、と……
(`・ω・´)特徴は?
( ´_ゝ`)ふむ。俺を長髪にして、俺をもっとシュッとくびれさせて、俺から可愛さを無くしたような女だ
(`・ω・´)……君は自分のことを可愛いと思っているのか?
( ´_ゝ`)え、感じない?全身から溢れ出る可愛げ
( ^ω^)残念ながら雄臭さしか…
( ´_ゝ`)そうか……残念だ……そういう格好で大酒飲みなもんだから結構目立つと思うんだが、知らぬかな?
ζ(゚ー゚*ζ見覚えはないかなー
ξ゚⊿゚)ξ一度見たら忘れないわよそんなの。一応聞いておくけど歳は?
( ´_ゝ`)今年で41
204
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/14(木) 23:58:22 ID:yQaBWtFg0
(`・ω・´)41歳……待て、確か君の母親も姉も現役の魔闘家だろう?お母様はいくつなんだ…?
( ´_ゝ`)ん?76のババアだ
(;^ω^)そんな人が厄災と戦いに遠征へ……?
( ´_ゝ`)姉者にしてもだが見た目も肉体も若いままだから年齢はそれほどアテにならん。シベリア人は魔力の使い方がヴィップ人ソウサク人とは違うからな
ξ゚⊿゚)ξだいぶ高齢出産なのねあんたのお母さん……
( ´_ゝ`)妹者産んだ直後に即「魔物殺しに行くから支度しな」だからもうああいう生き物だ。偉大だとは思うが、少々背中が大きすぎて追いつくのに苦労する
( ^ω^)そんな強い人ならアニジャ達に国任せて厄災狩りにいくおね……
( ´_ゝ`)シベリア領が平穏無事なのが良い便りと思ってはいたがな。こういう噂が流れてるとなれば話が違ってくる
205
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:00:14 ID:pZKAkyD.0
( ´_ゝ`)………母者が居る以上、シベリアの魔闘家が逃げ出してくる必要は無いんだ。それに一人きりで生き残ってしまったならヴィップより先にシベリアへ顔を出すべきだろ?
(`・ω・´)つまり君の姉は……
( ´、ゝ`)……我らが偉大なる母や他の大拳者を殺し、厄災の身に堕ちている可能性が高いということさ
(;^ω^)そんな……そんな事を、アニジャはなんで嬉しそうに……
( ´、ゝ`)血の問題かもな。少なからず俺は、この時代を楽しんでいる……良い意味でも悪い意味でも
( ´_ゝ`)ヴィップ、ソウサクと関わるようになってシベリアの白い大地が新たに色づいて行く未来を想像するのはとても楽しい時間だ。だが……姉者の件を考えると胸の奥が妙に疼く
( ´_ゝ`)…そんな男に国を任せられるはずもない。俺は弟者のもう一つの腕くらいがちょうど良いのだ
(`・ω・´)アニジャ、君は…
( ´_ゝ`)ふふ。俺は今、抜け駆けをしに此処にいるのかもしれん
206
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:02:09 ID:pZKAkyD.0
「今日は貸し切りかな?」
ζ(゚ー゚*ζあ、いえいえ通常営業です。どうぞどうぞ〜
酔いが回ってからしばらくして、ふと聞こえてきた声にアニジャは目を遣った。
それまで気配も感じさせず、ドアベルも鳴らさずに入ってきたその存在の来訪に目が醒めたような感覚さえしていた。
青白い肌をした男はアニジャへ視線を合わせ、赤い瞳を猫のように細めてフッと微笑んだ。
【+ 】ゞ゚)ヴィップ、シベリア……ふむ。ソウサク国の代表者は居ないのか?
( ´_ゝ`)シャキン
眉をひそめ、戦うぞと促す。こくりと頷き立ち上がるとシャキンは剣を抜いてみせた。
同時に静かだった店の奥からドタドタと足音が響き、それは彼らの前へ姿を現した。
( ゚∋゚)・・・・・・!
( ´_ゝ`)クックル…!
ξ;゚⊿゚)ξちょ、ちょっと…!店内よ……!?
( ゚∋゚)
(;^ω^)言ってる場合じゃないお、ツン!ヘリカルとデレを連れてぼくと避難するんだお…!
【+ 】ゞ゚)そう血気に逸るな諸君。クックルも聞きたまえ。今日は挨拶をしにきただけに過ぎん
【+ 】ゞ゚)どうしても、と言うなら此処で争っても構わんがね。一杯貰おうかな
207
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:04:02 ID:pZKAkyD.0
挑発するように見つめ返す男の不敵さに隠された底知れぬものを鋭敏に感じ取り、アニジャは自分の背中を流れる嫌な汗を感じながら手に力を込めた。気に入らない匂いだ。
クックルも同じ様子でその男を見据える。
(`・ω・´)ならば聞こうか。お前は…お前たちは何者だ?
【+ 】ゞ゚)俺はオサム・カンオケシ。天より来たりし者、君たちが呼ぶ人型の厄災…イノセントを統べる者だ
( ´_ゝ`)神気取りの化け物の集まりの癖に随分ふざけた名前をつけるもんだな
フン、とその言葉を鼻先であしらう。
オサムはまるで表情を変えず、不気味に佇んでいる。
【+ 】ゞ゚)神気取りね。その傲慢は君たちにこそ相応しいのではないかな、シベリア人?
( ´_ゝ`)ほざくか。……焼き鳥の旦那が黙ってるって事は貴様、マジモンの奴らしいな?
208
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:04:52 ID:pZKAkyD.0
(#`・ω・´)何故ヴィップで蠢く、何が目的だ!
【+ 】ゞ゚)ここは聖地だ。愚かなる者が滅び…天より我らの神が降り立ち、ここから新世界が創生される
( ´_ゝ`)要は餌場だろう。大仰な言い回しをするんじゃない
【+ 】ゞ゚)おや、申し訳ない。だがあいにく君の程度に合わせて説明するのは手間がかかる、我慢していただこうか
(#´_ゝ`)お預けは嫌いでね。いますぐその喉食いちぎって黙らせる……!
ζ(゚ー゚*;ζどうどう、どうどうどう…
( ´_ゝ`)馬扱いはやめてもらおう。……ホント度胸がヤバいなキミ?
209
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:06:27 ID:pZKAkyD.0
【+ 】ゞ゚)この際だ、質問は歓迎しようじゃないか。君たちも無駄な戦いは本意ではあるまい
【+ 】ゞ゚)もっとも、お前がこうも聞き分けが良い奴になっているとは思わなかったよクックル。君とてこの長い長い繰り返しには飽き飽きしていたはずだろう?
少しばかりの静寂を破って、クックルが前に出た。
射るように睨みつけ、すっと掌を差し出す。瞬間、炎を宿した拳がオサムの身体に叩き込まれた。
( ゚∋゚)星は星より産まれし者が管理すべき…!それこそが…秩序………!
(;´、ゝ`)(こいつ……!)
ζ(゚∀゚*ζ(喋れるんだ…!)パァァ
吹き飛んだオサムの身体はドアを突き破って酒場の外へ転がった。
ξ;゚⊿゚)ξちょっ……あんた……結局壊してんじゃないのっ!
手元の新聞紙を丸めてツンが思い切りクックルの尻をはたいた。
( ゚∋゚)人の子よ。…………痛いぞ
(;^ω^)嘘つけお……
210
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:08:38 ID:pZKAkyD.0
( ´_ゝ`)あの男は…
(`・ω・´)消えたようだ、本当に顔見せだけらしい……
( ´_ゝ`)ふざけやがるな。……おい、クックル
( ゚∋゚)
( ´_ゝ`)今の一撃、まさしく見事。内へ注ぎ込む魔力は全力で、外へ解き放つ力は最小限に……素晴らしい拳であった
( ´、ゝ`)俺は信心なぞドブに捨てた国の民だが……今度ばかりは素直に神の慈悲に感謝する。ありがとう
( ゚∋゚)・・・・・・
( ´_ゝ`)良ければ後日、お前と言葉で語り合いたい
ξ゚⊿゚)ξ(……無礼って域超えてるわね) ヒソヒソ
( ^ω^)(神様のケツしばくツンほどじゃないお) ヒソヒソ
( ^ω^)(シベリア人らしいというかなんというか…)
211
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:10:47 ID:pZKAkyD.0
( ゚∋゚)・・・・・・
( ゚∋゚)人の領域を越えようとする者よ、お前と我が居るべき場所はここではない
( ´_ゝ`)…心置きなく殺りあえる場所で、ってか?
( ゚∋゚)悪しき力はシベリアに訪れようとしている
( ´_ゝ`)・・・・・・
(;´_ゝ`)…集まっている、ではなく?
( ゚∋゚)奴が来る前に、この傷を癒やさねばならぬ……
そうアニジャに言うと、クックルは店の奥へと姿を消した。
追う気にはなれず、アニジャは立ち尽くした。脳内で何度もクックルの言葉が反覆する。
( ´_ゝ`)………酔いが醒めた。俺はシベリアに戻るぞ、シャキン
(`・ω・´)我々も動く。いつかの借りだ、ジョルジュと第2師団を貸し出そう
( ´_ゝ`)必要ない
(;`・ω・´)しかし…
( ´_ゝ`)温存しておけ。下手に数を揃えた所で意味を成さない相手かもしれん
( ´_ゝ`)(抜け駆けの罰が当たったかもしれんな、弟者よ……)
212
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:12:47 ID:pZKAkyD.0
『キュート』
真っ白で何もない世界に入り込んで、私はその声がする方へ向かってよたよた歩いていく。まったく覚えがないものの、その空間の匂いを懐かしいと思った。
足場は妙に不安定で、砂のような感触がした。
額から汗がたらりと流れるのを感じで、そこに照りつける太陽がある事に気がついた。
どこからかけたたましくベルが鳴り、白い空間へ食い破るようにヒビが入っていくつかの画面が現れる。
ノイズ混じりの映像の中で、奇妙な怪物達が咆哮を上げる。
『『キュートちゃん』』
小さい女の子の甲高い声と、女の人の声が重なって、周囲の画面がこちらに迫ってくる。
ずっとずっと真っ白い景色が広がっていたのに、いつの間にか自分が立っている場所は暗く細長い通路になっていた。
壁に映る、モザイクがかかった人の顔。
しばらくして、通路の奥に扉が見えて来た。
開いてみると気が遠くなりそうなほど高く、螺旋階段が続いている。
踊り場もない。他の階へ出る扉もない。窓も、光もない。
ずっと遠く、先程の通路から声がした。
男の声だった。
「キュート、そこから先へ昇ってはいけない」
213
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:14:57 ID:pZKAkyD.0
('A`)残響の魔法使いたちのようです
その4
『掴めないDは“誰かの心”のD』
214
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:15:21 ID:pZKAkyD.0
.
215
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:16:09 ID:pZKAkyD.0
o川゚ー゚)o
目を覚ますと、景色はあまり夢で見た最初の光景と代わり映えしないように感じた。
部屋には窓がなく、白い壁に覆われていてどこか薄汚れている所と修繕したような真新しい所の境目が目立つ。
部屋は片付いており、ベッド以外の物は無いと言っていい。
足を降ろすと、何か紙を踏んづけた。
機械の設計図らしい。よく見ればそれは部屋中に我が物顔で散在している。
〘キュー、目が覚めたか?早く研究室へ来るんだ〙
突如として聞こえてきた声にキュートは振り向いた。
夢の中で聞こえた女性の声ではない。
どこで見ているかは分からないが、それは自分の様子を事細かに観察しており頭を掻いたとか欠伸をしたとか、自分の日常のありとあらゆる部分を常に切り取っていく。
されどその存在に対してキュートは不快感を覚えず、むしろ安心感さえ抱いていた。
o川゚ー゚)oわかった、クーおねえちゃん。少し待ってて
216
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:17:07 ID:pZKAkyD.0
まず指示されたのは、図面に目を通すこと。
部品が持つ役割、形状、構造を理解し頭の中でイメージを形成する。
o川゚ー゚)o・・・・・・
ゆっくりと手を伸ばし、力を込めていく。
生成された数多くの部品一つ一つが生き物のように動き出して、人間の骨格のような物が組み上がる。
「すごい力ですね……」
その様子を上のフロアで観察しながら一人の研究員が驚きの声を漏らした。
川 ゚ -゚)7000万年ぶりに現れたESP能力者だ。あれくらいはやってもらわなければ困る
「資源不足に喘ぐ我々にとっては神の如き力ですよ」
川 ゚ -゚)発言には気をつけろ。他の神の存在を認めるような真似はするな
「すみません。しかしあのレベルの能力者をよく制御出来ましたね」
川 ゚ -゚)ノイズを除去すれば容易いことさ。可愛いだろ、私の妹は
川 ゚ -゚)計画が順調に進めば我々は…あと3年以内に地球を奪還することも可能だ。“出来損ない”に頼ることもない、新たなる時代に相応しい無敵の兵隊が出来上がる
「7000年前の遺産…あの技術については未だ解析不可能な所が多くありますからね…」
川 ゚ -゚)人為的に神を作る力……多くの科学者がそれに挑み、その影に追いつけずにこの宇宙の中で死んでいった……あともう少しだ。もう少しで……試作型が完成する
217
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:19:36 ID:pZKAkyD.0
クール・スナールはばたりと倒れ込んだキュートの身体を抱き起こしその長髪を数回撫でた。
川* ゚ -゚)キュー、嗚呼、キュー…お疲れ様。君のような妹を持って私は本当に幸せだよ。こうして私のために毎日毎日甲斐甲斐しく尽くしてくれる君は本当に愛おしい。ちなみに先程のボディに関してだが、もう少し運動能力を向上させたい。なに簡単さ後で私の部屋に来たまえ。ネジ一本からじっくりと教えこんであげるよ。後で、というのはこれから君の肉体の複製実験に移らせてもらうからなんだが検査着はもう私が今すぐ脱がせてしまおう。手間が省ける。キュー、おまえは私達の世界に救いをもたらす存在なんだ。これからも私の役に立っておくれよ
ぼやけた意識を叩き起こすようにまくしたてる姉の言葉はほとんど理解出来なかったが、キュートはとりあえず「はい」と答えた。
次に目が覚めた時、傍らにあったのはカプセルの中に入れられた細い一本の腕だった。
自分の右腕と見比べて、ぼんやりと思考を動かす。
川 ゚ -゚)本物みたいだろう?皮膚も筋肉も毛細血管も神経も、全てキューそのままに作られているんだ。今はまだ腕だけだし流石にキューの持つESP能力まではコピー出来なかったけど、我々には数百年と溜め込んだ出来損ないのデータがあるからね。特殊な脳波をエネルギー源として、炎を生成する事が出来るんだ。このサンプルは彼女に使う予定だけれど、ゆくゆくはこいつを人間に移植するだけで我々はESP能力者となれるんだ。素晴らしい未来がやってくるぞ、キュー。君の持つ才能は世界を幸福にするんだ。地球に巣食うウジ虫を一掃して、新しい世界を作るためにこれからもずっと一緒に頑張ろう!
o川゚ー゚)oごめん、息継ぎして
川 ゚ -゚)ああ、すまなかった。つい興奮してしまうんだ、でもキューが
o川゚ー゚)oヒートに会ってくる
遮るようにキュートはベッドから降り、検査着を羽織った。
218
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:20:36 ID:pZKAkyD.0
受付のロボットの手にIDカードを乗せ、認証コードを読み込ませる。
クーお姉ちゃんと一緒に兵器開発、クーお姉ちゃんと実験、クーお姉ちゃんとカウンセリング、クーお姉ちゃんとお勉強、エトセトラ。そんな一日の定められた過ごし方の中にもう一つ項目が会った。
「ヒート」と呼ばれる脳髄と、1時間程度の会話をすること。
ドアが開くと、大きなクーの映像が部屋の中に映し出されていた。
ぷかぷかと容器の中に浮いた脳が、それを見ていた。
川 ゚ -゚)〘ヒート、いいかい?君はもうすぐその円柱形の入れ物から出られる〙
川 ゚ -゚)〘自分の脚で太陽の下を思い切り走れるんだ。水の中を泳ぐ事だって、脳波をコンピューターに繋がない遊びだって出来るんだ〙
川 ゚ -゚)〘素晴らしい事だろう?姉さんはお前のために頑張るから、楽しみに待っているんだぞ〙
同じような台詞が、ずっと再生され続けている。
219
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:21:04 ID:pZKAkyD.0
o川゚ー゚)oヒート
|::━◎┥『キュー?そこに居るんだね!!おはよーー!!』
o川゚ー゚)oおはよう。24時間ずーっとこれ見てるの?
|::━◎┥『だってクーおねえちゃん最近来てくれないんだもん、仕方ないよ!こんなに待ってるヒートちゃんってなんて健気な妹なんでしょう!!』
o川゚ー゚)oうん、お姉ちゃん……だいぶ忙しいみたい。けどプロジェクトは順調みたいだよ
|::━◎┥『ねえねえ、今度新しい録音データ持ってきてよ!!ヒートちゃんクーおねえちゃんに会いたい会いたい会いたぁぁーーーーい!!!!』
o川゚ー゚)o我ながらうるさい姉と妹に挟まれたなあ…
o川゚ー゚)o…………お姉ちゃんって、もっと静かでユルかった気がするんだけど
220
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/04/15(金) 00:22:12 ID:pZKAkyD.0
|::━◎┥『キューはまだ頭がこんがらがってるんだよ!ESP能力の暴走事故でずっと昏睡状態だったんでしょ?』
o川゚ー゚)oうん。だから制御するためにお姉ちゃんと研究してるんだけど……
|::━◎┥『でも良いなあ、キューは身体があるんだもんね!ずっとお姉ちゃんと一緒に居られるんだもん、羨ましい〜〜!』
o川゚ー゚)oでも…まだ時間がかかりそうなんだ。プランは出来てるって言ってたけど
|::━◎┥〘でもヒートちゃん待つよ!!いつになっても構わない!早くクーお姉ちゃんやキューと手を繋ぎたいからね!!〙
|::━◎┥〘それにキューは開発でお姉ちゃんの役に立ってるんでしょ?それじゃあ私はお姉ちゃんのために戦う方を選ぶよ!戦って戦ってみんなで地球に帰るんだー!!〙
o川゚ー゚)oうん、早くできるといいね……
o川゚ー゚)o(お姉ちゃんにその気は多分、無いんだろうけど……)
o川゚ー゚)oヒート
|::━◎┥『なーにー?』
o川゚ー゚)o私、頑張ってお勉強するからね。ヒートのために…
続く
221
:
名無しさん
:2022/04/15(金) 07:07:54 ID:CwvBKh9s0
乙です
222
:
名無しさん
:2022/04/15(金) 07:25:21 ID:9fttQEXc0
おつ!
223
:
名無しさん
:2022/04/15(金) 14:57:59 ID:G0lfmwDg0
乙
なんか今までの世界が根底から覆りそうなシーンが最後に投入されたな……。これ時間軸何処だ?
224
:
名無しさん
:2022/04/15(金) 18:27:59 ID:hBkfnpoA0
乙
七千万年以上前から存在している何かとシュールの姉妹のキュートに何の関係性があるのか 続きが楽しみすぎる
225
:
名無しさん
:2022/04/16(土) 01:04:28 ID:UUIVDuWs0
最後まさかの展開はじまった、楽しみすぎる
おつ!!
226
:
名無しさん
:2022/05/10(火) 05:58:18 ID:fgjsFHXo0
まだかなまだかな〜
227
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:38:52 ID:MV4nlSV60
( < >< >)
爪'ー`)y‐
爪'ー`)なあワカ。次は何が欲しい?
爪'ー`)生者を裂く長い爪か、虫けらを踏み潰す大きな足か、渇望へ届く長い腕か…
爪'ー`)望みがあるならなんだって創ってやるぜ。楽しーー……く、ぶっ壊してくれるんならさ
爪'ー`)y‐
爪'ー`)y‐もっとも、モーラ・モラールが生きている以上、すでに歪みは見え始めてるかもしれんな
228
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:39:56 ID:MV4nlSV60
( ^ν^)あ゛〜………アタマいて〜な〜
魔力切れを起こし、彼は疲労感と共に地下研究室の床へ寝転んだ。
ニュッケン・ニューソックスが研究し完成させた時間停止装置は、彼が本来想定していた効果をもたらさなかった。失敗に終わったわけではなかった。むしろ成功と言ってもいい。
ニュッケンが作った装置はただ時間を止めるだけではなく、彼とその周囲の空間を一時的に世界から切り離してしまうのである。
彼はこの結果を好ましく思った。
( ^ν^)一応、多少寝てても余裕はあるな。スイッチ切れば戻れるし
( ^ν^)メガネならもっと早く作れたんだろうがな……ま、これで自分の身削らなくても作業は出来る
( ^ν^)………やっぱヤマサキ手足に連れてきた方が良かったかな。独り言が増えて仕方ねえや
( ^ν^)けどあいつ絶対鬱陶しいからな。ヤメテクダサイネ〜とかピーチク言って
( ^ν^)……とりあえず、厄災来るまでにやれることは全部やっとかなきゃあな
( ^ν^)とりま次。制御装置いっとくか……
( ^ν^)要領はドラグーンと同じ、脳髄に魔力を流し込んで支配下に置ければいい
( ^ν^)……問題は、その支配下に置くボディが厄災ってとこなんだが
229
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:40:37 ID:MV4nlSV60
「ドクオさーーん!」
呼び止める声にドクオは振り向いた。
小柄で童顔、少年のような見た目をしていて彼の正確な年齢は捉え難い。
息を荒げる男は第7科学研究所の研究員、ワタル・ヤマサキ。歳は27歳である。
(;^^)はぁ…はぁ…よかった、まだヴィップへ出てなくて!
('A`)お、ヤマサキさん
(*^^)ヤマサキ“さん”……さん………!くううぅっ………!
俯いてしばらく唸るヤマサキに「噛み締めるほど普段雑な扱いされてるのかよ」とドクオは声に出さずにぼやいた。
('A`)なんか急ぎの用事なんじゃないの?
( ^^)あ、あはは…失礼しました。第7で新しく作ったものがありまして…ちょっとお時間くださいね!
('A`)…作ったモノ?
230
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:41:31 ID:MV4nlSV60
( ^^)という《ビーーーーーーーーーーーーーー!!》わけでー!!
( ^^)お二人の《ビーーーーーーーーーーーーーー!!!》魔力をー!!
( ^^)この装置に《ビーーーーーーーーーーーーーー!!!!》登録してくださいねええええええええーーーー!!
(#'A`)うるっっっっっせぇな!!!!!!!
/ ゚、。 /……承知した
《ビーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!》
( ^^)……ハイ、できました。これで誤作動の心配も無し、範囲設定も心置きなく最大にできますよ!ありがとうございます!
('A`)…で、なんだよこれ?俺たちを呼ぶってことは厄災絡み?
( ^^)むっふっふっふ、その名も『厄災警報機』です!ある一定の数値を超えた魔力を感知すると大音量で鳴り響く仕掛けになってます
( ^^)非常に大雑把ではありますが感知した魔力の位置を知らせる事もできます、これで厄災相手の迎撃戦・遭遇戦に大いに役立てますよー!
('A`)…周期表もアテにならないこと多いしな。しかしホント…魔科学ってなんでもアリだな……
231
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:43:38 ID:MV4nlSV60
( ^^)まあ、おおまかなアイデアはアサピエーラ所長のメモで、僕やディさんが詰めてったものなんですけどね…ドラグーンの修理・改良や魔法の扉と並行でしたから実用化に随分時間がかかりましたよ。やっぱりあの人は天才です
('A`)…そういやさ、4番隊にアンタらの副官…副所長か?…が来てたんだけど。なんかやってんの?
(;^^)あー…ニュッケンさん、昨日から姿見えないんですよね…………地下研究室探してもまるごと空っぽで………
(;^^)こうして警報機やらドラグーンの修理やら「やっとけ」って丸投げでして…探すアテもなく…
/ ゚、。 /…一つ言っておこうか
/ ゚、。 /どうやらここには妙な仕掛けがかかっているようだ。性質は私の霧に近い
(;'A`)もしかして…モララー…?
/ ゚、。 /違うね。瘴気の残滓が無いのはわかるだろ?
(;^^)ここに居るって事ですか…?すみません、もう少し探してみます
(;^^)それと、ヴィップでの会談、気をつけてくださいね。ここに引きこもってるなら心配はいらないと思うけど……
(;^^)ニュッケンさんはそういう人じゃ、そういう人じゃないんですけど………何が起こるかわからないんで……
('A`)アンタも苦労してんな……
232
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:44:20 ID:MV4nlSV60
戦況はほぼ一騎討ちであった。砂が隊員達の身体を飲み込み、無数の大樹の槍が一つ一つ、ディの光線でかき消えていく。
ニダーは二人の少女を見据え、わざとらしく咳払いをして叫んだ。
<ヽ`∀´>隊長ー!ディ!戦闘訓練が長引き過ぎるニダよー!そろそろ切り上げて欲しいニダー!
甲高く響いた大声にシュールは右手に込めた魔力の流れを止め、ふっと力を抜いた。
ぷつりと緊張の糸が切れ「やっと終わった」と隊員達がへたり込む。
lw´‐ _‐ノvおっかさんがなんかいってら
(#゚;;-゚)…それを言うならお父さんでは?
いつもの調子で冷淡に答えるディにシュールは人懐っこく微笑んだ。
lw´‐ _‐ノv口うるさいのは似たようなもんさ
(6モДブ)副官殿は声でけーからすぐわかるなー
lw´‐ _‐ノvディと足して割りゃボリュームの釣り合いが取れるんだがね
233
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:45:07 ID:MV4nlSV60
<ヽ`∀´>「出かける前に一つ厳しく」とは進言したが思った以上にやってくれたものニダな…
lw´‐ _‐ノvんふ、たまにはいいさ。今の内にニダちゃん並みに厳しく訓練しとかないと普段のノリからの落差で文句出るしね〜
伸びた隊員達を見やり、親指で示す。
(#゚;;-゚)…並みとは言うがな。普段の私やニダーの指導より余程激しい戦いぶりだったと思うぞ
<ヽ`∀´>まあ、ウチの若い連中はデカブツ相手はこなせても人間サイズ相手の経験はまだまだ。やれる内に仕上げておく必要があるニダ!
<ヽ`∀´>それにたった一日の留守でも油断は出来ないニダ。ここで得た経験が有るか無いかで、もしもの時に立ち回る術も変わるというもの
lw´‐ _‐ノvそゆこと。お留守番、頼んだよ
<ヽ`∀´>お任せを。ウリも副官、しっかりと6番隊を守りきってみせるニダ
234
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:46:57 ID:MV4nlSV60
ひらりと手を振るシュールを見送り、ニダーはその背中について行こうとするディを呼び止めた。
(#゚;;-゚)何だ
<ヽ`∀´>今回は極力、任務という意識は置いて隊長に接して欲しいニダ。なるべく息を入れる機会は必要ニダからな
(#゚;;-゚)ふむ……確か、以前メモに書いたはず。その応用だな
(#゚;;-゚)「“了解した”より“わかった”で行け」……だろう?
<ヽ`∀´>結構。よく学んでるニダね!
(#゚;;-゚)………偉いか?
<ヽ`∀´>えらいニダ
(*#゚;;-゚)
235
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:47:30 ID:MV4nlSV60
| ^o^ |おまたせしました クラーケンの唐揚げと角ウサギのステーキ それとオムライスです
| ^o^ |くるしゅうない
| ^o^ |スカしおる
| ^o^ |しかしゆうたろうがまほうきょくをやめてからレストランをひらいていたとは おどろきです
| ^o^ |どうしておしえてくれなかったんですか?
| ^o^ |……ブーム こんなに頼んで 払えるだけのお金を持ってきましたか?
| ^o^ |しゅっせばらいで
| ^o^ |そういうとこやぞ
| ^o^ |おさななじみりょうきんで
| ^o^ |そういうとこやぞ
| ^o^ |とてもおいしいです まいにちたべられるあじです かくごのじゅんびをしておいてください
| ^o^ |ともだちもつれてきます せんでんもします だんたいさまぶちこまれるたのしみにしておいてください
| ^o^ |ありがたいけど 金はちゃんと払え
| ^o^ |あ デザートにさくらんぼパフェもください
| ^o^ |こいつ……
236
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:48:44 ID:MV4nlSV60
| ^o^ |どうですか 魔法局の方は
| ^o^ |ほんのすこし ばたばたしていますねえ
| ^o^ |ですが いちばんつらかったじきよりはマシ といったかんじです
| ^o^ |相変わらずふわふわとした事ばかり言いますね君は
| ^o^ |うふふ あいあむ みすてりあす ぼーい……
| ^o^ |そのオトボケ面で格好をつけてもあまり意味はないですよ
| ^o^ |コックさんなら もうすこしころもをきせるどりょくをしてください
| ^o^ |あまり包んだ言い方が過ぎるとクドい味になるので
| ^o^ |むむむ てごわいやつ
| ^o^ |…街でも噂になっているんですよ、大魔導師が欠けてモララー隊長が裏切ったって。大丈夫なんですか?
| ^o^ |ふむ
| ^o^ |うらぎってはいないとおもいます キャラクターがおかしくなっただけで
| ^o^ |そっちの方がヤバいのでは?
| ^o^ |うふふ〜
237
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:49:33 ID:MV4nlSV60
| ^o^ |……うつむいていられないのはずっとかわりませんが ドクオもペニサスさんも すこしだけまえむきになったようなきがします
| ^o^ |ほんの、すこしだけですけど。私は、4番隊のみんなとああして軽いやりとりをする時間が好きです
| ^o^ |昔はロクでもない環境だと思っていましたが 君が気楽そうなら何よりですよ
| ^o^ |わたし自身は そうお気楽でもないのですが
| ^o^ |おや?
| ^o^ |最近、妙な焦りを覚える事があるのです
| ^o^ |私の世界は今もずっと美しいままです、けど…時々、狭く小さく感じてしまうのです。昔はもっと広々として、どこまでも広がる夢がありました
| -o- |今はなんだか…力不足です。みんな大好きなものでいっぱいです、けど…同じくらいに大事なものが増えすぎて、つい脇に追いやってしまうものが増えがちというか
238
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:50:07 ID:MV4nlSV60
| -o- |身近な小さな世界を守るだけで精一杯になってしまう自分に、歯がゆさを感じます。それもちゃんと守りきれているとは言い難い
| ^o^ |偉そうに人に「自分の出来る範囲で頑張ればよろしい」なんて言っておきながら、私は結局その言葉に欠片も納得していないのですねえ
| ^o^ |ブーム
| ^o^ |しかしまあ こういうよのなかでも かわらずおいしいごはんがたべられるのは しあわせですな
| ^o^ |そう言って貰えるとやりがいもありますよ
| ^o^ |私は魔法局からばっくれた身です。その選択を 後悔はしていません
| ^o^ |わりと寂しかったです
| ^o^ |まあ そう言わずに
239
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:51:50 ID:MV4nlSV60
| ^o^ |パレードの時、人は誰もが最前列のきらびやかな者達を見るでしょう。後ろの方で小太鼓を叩く一介の楽団員の事など、取り立てて気にする者は居ません
| ^o^ |でも私は、こうして小さな小さな幸せを届ける仕事を始めてから「そういう生き方も悪くないんじゃないかな」と思えるようになりました
| ^o^ |この店は私の世界です。どんなに小さくても、私の大切な世界。身の丈に合った戦いも良いものだと思いました
| ^o^ |ユウタロウ
| ^o^ |勿論、これは私が辿り着いた答えです 君にもそうあれとは言いません
| ^o^ |世界が狭苦しく感じてきたのなら押し広げてゆくも良し、そこで立派に咲けるよう努力するも良し。君らしく自由であれば良いのです
| ^o^ |あなたは今、停止した世界の中ではなく「今日」に居るのですから。自分の思う好きに従って動けば良いのではないですか?
| ^o^ |やりたいこと やったもんがち というやつですな
| ^o^ |あなたがたに頑張ってもらわないと ウチの店も商売どころではないですからね
| ^o^ |…ふふ ふふふふ ふはははは
| ^o^ |ゆうたろう おかわり!しゅっせばらいで!
| ^o^ |どうして良い話で終わらせてくれないんですかね君は
| ^o^ |げんきがでたらおなかがすきました! しゅっせばらいで!
| ^o^ |はいはい。期待しておきますよ
240
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:52:47 ID:MV4nlSV60
最低限の荷物を詰めた手提げ鞄を持って、魔法局内を歩く途中でドクオは見慣れた茶髪の少年へ声をかけた。
振り返ると、その少年は「お前か」と一瞬苦虫を噛み潰したような顔をしてから不敵に唇を歪ませた。
フサギコである。
('A`)よう。訓練帰り?
ミ,,゚Д゚彡まあな。お前はそんな所で何をボサッとうろついてんだよ、ヴィップ行きはどうした?
('A`)時間ある内に色々済ませておこうと思って。第7行ったりシィ様の墓参り行ったりしてさ、ヴィップ行きはこれから
ミ,,゚Д゚彡忙しいこったな
('A`)…そういや、たまに墓場でギコとは会うがお前を見たことは一度もないな
ミ,,゚Д゚彡ハッ、兄貴と一緒にすんな。墓参りなんざいちいち軟弱な真似してられっかよ
(#'A`)……あのなあ、フサ。強い弱いとかの話じゃねえだろ、そういうのは…
ミ,,゚Д゚彡あれが逃げ場でなくて何なんだよ?散々縋っておきながら偉そうなツラしたってお前ら説得力がねえんだ
241
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:53:59 ID:MV4nlSV60
('A`)…………かもなあ。けど、そりゃあ理屈と強がりだよ。じゃあお前、一度もあそこに行かないつもりか?
ミ,,-Д-彡行くにしても、節目だな
ミ,,゚ー゚彡……全部が終わった時か、大魔導師になった時だ
('∀`)おおっ!大きく出たねえ、ミスター思春期〜
ミ,,゚Д゚彡うっせ
斜に構えた笑みと不機嫌と張り詰めた様子が主な表情の大部分を占めるフサギコにしては珍しい年相応の笑顔であったが、ドクオはそれを特にあげつらう事はなかった。
242
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:54:46 ID:MV4nlSV60
ミ,,゚Д゚彡そういうお前だって今から同類のとこへ媚び売りに行くんだろ?スケールでかくて何よりだな
('A`)媚びを売るってわけじゃあないよ。俺達だって理由も分からないまま殺されたくはないし、無駄な犠牲も出したくない
('A`)クックルを味方につけるってのもきっと、俺がここに居るのとはワケが違う
ミ,,゚Д゚彡…怖くはないのか?
('A`)怖いさ。みんな怖がってると思うよ
('A`)知らない奴は、誰だって怖い。でも…少しでも相手を知れるなら結構じゃないか
('∀`)それに、この世界を守るのが俺たちの仕事だろ?倒すのだけじゃあなくてさ
ミ,,゚Д゚彡…まあ、必要な一歩だろうよ。…………上手くいくと良いな
('∀`)おうさ。土産物のリクエストがあれば今の内に聞いておくぜ
ミ,,゚Д゚彡いらねェ
243
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:55:32 ID:MV4nlSV60
lw´‐ _‐ノvっつーわけで、ヴィップ城内でございますわよ
(#゚;;-゚)……メシウマの国
lw´‐ _‐ノv堪能するにしてもそこらへんは後回しやね〜
(#゚;;-゚)うむ
/ ゚、。 /ドクオ、感じるかな?
('A`)何を?
/ ゚、。 /この地に満ちる意思の流れさ。我々にとって、良き力の源と言えよう
('A`)……あんまり。ただ、空気は悪くないんじゃないかな
(#゚;;-゚)力を得られないということは…神としてはドクオは不完全ということか?
('A`)ありがたいね。信仰だなんだって胡散臭い神輿、第一ガラじゃねえし
(#゚;;ー゚)君は魔法使いだものな
('A`)そういうこと
244
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:56:45 ID:MV4nlSV60
( ゚∀゚)お待ちしておりました。案内役をさせていただきます、ジョルジュ・グルーチ中佐です。ようこそヴィップへ
lw´‐ _‐ノv名乗るほどの者じゃあございやせんがソウサク国は地の大魔導師、シュルルド・ライスィ・スナールにござんす。よろしくちゃん
( ゚∀゚)これはどうも、ご丁寧に
( ゚∀゚)(…この俺をもってしても終ぞ掴みきれなかったダイオード氏はともかく他は初めて見る顔だな…うむ、若さに満ちた良き大きさをしている)
眉の濃い男は、気障な仕草で一例すると一瞬視線を少し降ろして感じ入ったように腕を組んだ。
30代半ばに見えるが、目尻に寄った皺はある種の雄の色香と狡さを感じさせる。ブーンとはだいぶ印象が違う、初対面でこう思うのもなんだが妙に油断ならない男だとドクオは警戒した。
(;'A`)(胡散臭いとかうんぬん言ってたの、聞かれたかな…)
/ ゚、。 /心配は不要だと思うよ
(;'A`)へ?
/ `、、 /……あれは、あほうだから
ダイオードは小声で囁きかけた。
245
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 05:58:41 ID:MV4nlSV60
('A`)あのォ、ブーン・ホライゾンって奴は?
( ゚∀゚)城内には不在だが、彼に何か?
('A`)友達なんだ。少し会いたくなってさ
( ゚∀゚)なるほど。若く良き友が出来た、とは聞いていたが君であったか…ブーンはよく子供に好かれるらしいな
('A`)…………俺、今子供扱いされた?
(#゚;;-゚)されたな
(;'A`)お……おれ、俺15歳なんだぞ!ダイオード除けば最年長なんだぞ!?
lw´‐ _‐ノvでも一番ちまっこいよね
('A`)ウツダ……
( ゚∀゚)ははは、15歳が最年長か…
lw´‐ _‐ノvま、ウチの国も遠足やピクニック気分であちしらを出したわけじゃないさ。実力は信用してもらいたいね
( ゚∀゚)勿論。ですが、むしろ道中は遠足気分程度でいてもらったほうがありがたい
( ゚∀゚)わざわざ遠くからこのヴィップに来ておいて覚えて帰るのが私のハンサム顔と燃えるトリ頭だけでは味気無いというもの。なるべく楽しんでいただきたいのですよ
(#゚;;-゚)……とのことだ。遊ぼう隊長
lw´‐ _‐ノv急に言われてもな〜〜〜〜。お姉さんシリアススイッチ入れてんねんけど
(;゚∀゚)(些かペースを掴みかねる相手だな、この女性は………)
/ `、、 /慣れだ
246
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:00:55 ID:MV4nlSV60
lw´‐ _‐ノvギンギロギンにさりげなく〜
/ ゚、。 /一個もさりげなくはない
('A`)買いすぎじゃねえかな……
lw´‐ _‐ノv道中はノンキでオッケーつったのは眉無いナイトだもの。こいつが俺のやり方
( ゚∀゚)(確かに眉は省略されているが)
lw´‐ _‐ノvソウサクで売ってるアクセサリーはどうしても魔力増幅器の側面がデカいしさ。ミスリル不使用でかわいらしいデザインのは珍しくてねぇ
( ゚∀゚)…よくお似合いです。が、些か重装備が過ぎますな。主に首周り
lw´‐ _‐ノvトリさんビビらすには強い見た目がいいだろ?
/ ゚、。 /それが通れば苦労はしてないだろうキミ達
('A`)威圧する必要はないし、主張強すぎだってば。ディもなんか言ってやれ
(#゚;;ー゚)………隊長が楽しそうなら今はそれでいいと思う
('A`)まあ気を抜けってのはわかるけどさあ
(#゚;;-゚)(…購入した物は残った6番隊の皆やキュート隊長の分も含まれているのだろうか?)
247
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:01:57 ID:MV4nlSV60
( ゚∀゚)……というのが現状でして
lw´‐ _‐ノvイノセントね〜。しゃらくさいな
(#゚;;-゚)敵の輪郭が見えただけでも充分な進歩と言えるだろう
lw´‐ _‐ノvね。ストレートかましやすくて結構じゃないか
( ゚∀゚)かざした拳が敵を捉えられれば、の話ですがね。こちらが件の酒場です
カラン、とドアベルが鳴る。
ζ(゚ー゚*ζいらっしゃいませー!
シュールとダイオードは悠々と足を進め、ディはドアを閉める前にぺこりとお辞儀をした。
ドクオは店内に入るなりぎょっと驚いて硬直した。
視界へ真っ先に入ってきた巨漢は、静かに着席したままぴくりとも動かずただ沈黙を守っている。
( ゚∋゚)・・・・・・
その巨漢はクックルだった。
やたらに目立つ赤い体毛が、屈強な肉体が、異様な存在感を放っている。
('A`)久しぶり…って軽い挨拶する仲でもないか
(#゚;;-゚)これからだな。快く握手が出来るかどうかは
lw´‐ _‐ノvこんちゃーッス
/ ゚、。 /軽いなキミは
( ゚∀゚)(………ソウサク人ってやつはどういう精神構造をしているんだ?)
248
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:02:59 ID:MV4nlSV60
/ ゚、。 /・・・・・・
( ゚∋゚)・・・・・・
('A`)・・・・・・
(;'A`)(威圧感がすごい……!)
/ ゚、。 /(どうも心が読めんな…)
lw´‐ _‐ノv白米おかわり
ζ(゚ー゚*ζかしこまりましたー!
張り詰めた空気を一瞬だけぱあっと明るくさせた軽やかな声に、ドクオは怪訝そうな顔をした。
('A`)(なんだあの人……)
/ ゚、。 /あほちゃんだ。…さて、ヒトにしばらく触れた感想はどうかな、クックル?
( ゚∋゚)…………何も変わる所はない。特にそこの半端者の居る国は
ζ(゚∀゚*ζ(身内相手だと流暢なんだ……!)
ξ゚⊿゚)ξなんでこの状況ずっと面白がってんのかねあの子は
*(;‘‘)*さあ……
('A`)(半端者……って、俺か…?だろうな…精神的にも、能力的にも…)
( ゚∋゚)・・・・・・
249
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:04:55 ID:MV4nlSV60
lw´‐ _‐ノvまあ、ククル君が毎回ウチの国にカッカするのも仕方ないことさね
lw´‐ _‐ノv我々としても、自衛手段としてあのデカブツに頼らざるを得ない部分がある。その上でこんなことを頼むのもなんだが…
lw´‐ _‐ノvまぁ、単刀直入に行こうか。ソウサク国だけでなく人類全体に赦しをいただきたい
( ゚∋゚)・・・・・・
lw´‐ _‐ノv天との戦いが終わるまで見届けてくれるだけでいい。無駄な争いは互いに避けたいんだ
lw´‐ _‐ノv終われば全て廃棄するし、今後は巨神じゃなく「巨人」と呼称するっちゅうことで……なんとかならんかしらね、偽神メーター
( ゚∋゚)…ダイオードと言ったか。お前が居ながら何故気がつかない?
( ゚∋゚)あの国も同じだ。今までの螺旋の中に現れたヒトと同じ轍を踏まんとしている
まるでそこにいるシュールの存在を認識していない、そんな調子でクックルは言った。
シュールはそれを見て呆れたように一息つくと、「どうぞ」とダイオードへ手を差し出す。
頷いてダイオードは答えた。
/ ゚、。 /…危険因子が無視出来ぬのは承知だ。その上で、今のヒトにならば我々の管理はそれほど必要でないと判断した
/ ゚、。 /まして断ずるべきは、人間を手駒として要らぬ災禍を撒き散らす天にあるのではないか…ということだよ
250
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:05:56 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)海から生まれし者の中でも、やはりお前はヒトに近しき者のようだ
/ ゚、。 /調停者として公平さに欠く、と?
( ゚∋゚)否。だが、些か物事を語るには刻んだ時が浅いと言わざるを得ない
lw´‐ _‐ノv(急にマウント取ってきたな。神様にも年功序列とかあんのかね…)
(;'A`)(……もしかして、ダイオードも遥か昔に人から目覚めたケースか?)
/ ゚、。 /…的外れだ、ドクオ。私は霧より生まれた、元々人間だったわけではない
( ゚∋゚)ならば何故我が鳥人と呼ばれる形で、お前がヒトに似た形で生まれて来たのか。考えたことはないか?
( ゚∀゚)……ふむ、そういえば先程「螺旋」と表現したな?
ξ゚⊿゚)ξあ、それ。前に来た変なオヤジも長い長い繰り返しとか言ってたわね
/ ゚、。 /……この星の歴史は私が知っているよりずっと長い、ということかな
( ゚∋゚)是。海の神は己を象りて神々を創り、ヒトを創った。海から生まれた我々もまた己の特徴の一部を象りて動物を創った…
251
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:07:08 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)だが、ヒトは海の神にもっとも近い容姿をした自分達こそが星の支配者だと驕り我らを模した生命を家畜としてきた
( ゚∋゚)故に最初の滅びがやって来たのだ
ζ(゚ー゚*ζえ、ええと……要するに、クックルさんって鶏肉の始祖?
ξ゚⊿゚)ξばか。「肉」はいらないのよ
('A`)(神の姿ありきの生物のルーツ……そう考えれば…三月ウサギの連中の長い耳も不思議なことじゃないな……)
( ゚∋゚)それまではまだ良い。再び地に満ちてもまだヒトはその愚かさを捨てる事が出来なかったのだ。ヒト同士で何度も殺し合い、輪廻の果てに海さえ枯れさせた
( ゚∋゚)天の神々すらヒトを狩らんと己の分身たる異形の者を地へと放ったというのに、海はヒトに赦しを与え続けたのだ
(#゚;;-゚)…それで生態系が崩れ、魔物の類がこの星に出現したのか
lw´‐ _‐ノvダイオードも、世界のバランスを守るために山に引きこもってシベリア人の殺戮を行っていたはずだね
/ ゚、。 /いかにも。人の理から外れた者は新たな争いを産む…故に私は“人間”だけを残してきた
( ゚∀゚)まったく…聞けば聞くほど自分の教えられてきた歴史が如何に短いものであったか思い知らされるな…
lw´‐ _‐ノv(……魔法も派手な闘争心も取り上げられてきたヴィップは自分達に都合の良い人間の苗床ってわけか)
252
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:09:01 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)その時点で我らは怒りを覚えていた……挙げ句が現在の混沌だ
( ゚∋゚)ヒトの姿に驕った者達は天からの誘いにより今や海から与えられたヒトの形すら捨て去らんとしている
( ゚∋゚)滅ぼす理由としては充分過ぎるのだ
lw´‐ _‐ノvそりゃおカタいよ。一部のタチ悪い連中だけを見て人類に見切りをつけるのもまた傲慢じゃあないのかいトリさん
( ゚∋゚)・・・・・・
lw´‐ _‐ノvキャッチボールの意思すらねえのか?
( ゚∋゚)ことさら許し難きはそこの紛い物だ
(#゚;;-゚)!
lw´‐ _‐ノv……ディが?
253
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:09:39 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)遥か昔と変わらぬ。自らの存在に驕り、果ては生命を創造し、身勝手に神の領域へと踏み込むヒトの愚かさの象徴
( ゚∋゚)禁忌に触れし者、そこから生まれし許されざる命…
(;#゚;;-゚)違う…アサピエーラは………!
( ゚∋゚)秩序を乱す者、存在することが罪
(#'A`)待てよ…!
lw´‐ _‐ノvドクちゃん、そこまで
(#'A`)わかってる…わかってるよ、けど…けど、良いのかよ!良いのかよ!?
lw´‐ _‐ノv…よかないよ。まあ落ち着けって
lw´‐ _‐ノvクックル
( ゚∋゚)
lw´‐ _‐ノv神だ人だって御託はこの際どうでもいい。ディは第7の子で…私が預かった家族だ
lw´‐ _‐ノvそんなたった一人の子へ何億人分の身に覚えのないツケ乗っけて悪し様に罵るのは、理不尽ってもんだよ
254
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:10:36 ID:MV4nlSV60
こちらを射抜くような視線にも怯えず、シュールは淀みなく、はっきりとした声で言った。
俯きながら拳を握っていたドクオもその声にはっと顔を上げてクックルを見た。
( ゚∋゚)・・・・・・
('A`)(………クックルの姿に重なって、いくつかの影が見える)
( ・∀・)( ゚∋゚)
('A`)(猜疑心)
(*゚ー゚)( ゚∋゚)
('A`)(喪失と苦痛)
ミ,,゚Д゚彡( ゚∋゚)
('A`)(悔根)
('A`)( ゚∋゚)
('A`)(俺自身が持つ、恐怖と…憎しみ…)
( ・∀・)『それだけではないはずだろう?』
言い聞かせるようにドクオの脳裏に声が響いた。
ほのかな温かみに後ろ髪を引かれている自分に、背筋がぞくりとした。
255
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:12:15 ID:MV4nlSV60
(*゚ー゚)『駆け引きは大事よ、ドクオ。けれど、譲れないものまで都合でうずめてはいけない』
(‘_L’)『いいかな?問われているのは君自身だ。その怒りも、此処に同行しようと決断した時の純粋な気持ちも、希望を守ろうとする心も、君が持つ力…』
(‘_L’)『信念とは幾多の矛盾により構成されるものさ。さて……今すべきは、何か?』
('A`)(魔抜けで厄無し、光と闇…ぐちゃぐちゃの俺、あるがままの俺…それでも示す…)
('A`)(無理に飲み込む事はない、ぶつけるべき物は…ここで吐き出す…!)
(;'A`)クックル!
( ゚∋゚)・・・・・・
(#'A`)無視されたって言ってやる!聞け!
256
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:14:40 ID:MV4nlSV60
('A`)正直、ここに来て良かったと思う。俺たちが今この世界に居る理由も、重みも改めて分かった
('A`)…少なからず、星との信頼関係なんてものがテンプターだけの幻想でない事も知れた。嬉しいことだよ
('A`)一部の神様もそりゃあ「何度やっても無駄だ」って思うのも分かる。けど……俺たちはこうして同じ場所で、言葉を交わす機会が得られた
/ ゚、。 /………ふむ
(#゚;;-゚)ドクオ
(#'A`)過去から学ぶのは必要だよ…でもそれだけじゃ、それだけじゃ駄目なんだ。今を生きてんのは俺たちだ、だから……!
(メ._⊿)『そこに神の意思への理解はあるか?』
(#'A`)…………そこに余地があるなら、理解しあえるはずなんだよ!
257
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:15:25 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)・・・・・・
(#'A`)アンタは怖いし、正直黙って聞いてりゃ上から目線過ぎてイラつくし、シィ様の仇だって気持ちを完全に捨てきれるわけじゃない
(#'A`)まして友達を侮辱するヤツは許せねえ!けどなあ!
| ^o^ |『ともだちになれるなら それはすばらしいことです』
(#'A`)こうして同じ場所に立てれば、可能性は生まれるはずだ!人間だって…神様だって!互いに導きあって、変わって行けるはずだ!
(#'A`)アンタらの理屈はよく分かった!だからこそ過ちは繰り返させない!この星の海だって…俺たちを信じてやり直す機会をくれたんだろう!?
( ゚∋゚)…………!
(;'A`)ぜーっ…ぜーっ…
lw´‐ _‐ノvおみずのむ?
(;'A`)飲む……
258
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:16:07 ID:MV4nlSV60
('A`)なあ、クックル……今までの歴史の中だってマシな人間はいくらでも居たはずだ。だから海も…たとえ自分の命が枯れ果てた時でも、希望を捨てなかった
('A`)神の視点から見れば飽き飽きした長い長い、何千何億の周回の一つかもしれない。けど、俺たちからしたら歴史なんてたかだか数百年……始まったばかりなんだよ
('∀`)…………変わって行く前からそんな風に突っぱねられたり、切り捨てられたらさあ。たまらないよ
/ ゚、。 /(…やや青く不安定だがモナーと似た男だな。混じり気のない物言いをするものだ)
( ゚∋゚)……ふむ
( ゚∀゚)(愛想のない返答だが、クックルがこの場で初めて視線を動かし、ダイオード氏以外に言葉を返した…)
( ゚∀゚)(…もっともヴィップ人とは会話に応じてくれるあたり、以前からボコったり焼いたり何度も傷を負わせているソウサク人がことさら嫌われているだけかもしれんが)
( ゚∀゚)(なかなかどうして、若き力というやつは……)
259
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:17:13 ID:MV4nlSV60
lw´‐ _‐ノv少しだけ時間を貸して。お互い信じ合うための時間を……私たちもこの星の生命として生き残りたいんだよ
( ゚∋゚)・・・・・・
ξ゚⊿゚)ξだいたいそんなに人が嫌いならここに黙って留まることないでしょ
ξ゚⊿゚)ξこの場所で身分はないわ。あんたも肩書きにふんぞり返ってないで少しは耳を傾けなさいな
('A`)あんた……
ξ゚⊿゚)ξ口を挟むようでごめんなさいね
ξ゚ー゚)ξけど、ウチとしてもここで派手な喧嘩は困るの。それだけ
ζ(゚ー゚*ζお貴族様でも神様でもお腹いっぱいになれば嬉しいのは一緒ですし
ξ゚⊿゚)ξ世の中アンタくらい単純なら良いんだけどね…
260
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:18:05 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)………浅いな、人の子らよ
('A`)…こっちも生きるために散々殺しあってる身だしな。ぬるい理屈なのも矛盾を孕んでる言動だってことも理解してる
( ゚∋゚)貴様の国が今していること、そのものが秩序に反する。神を従え、神を作り変えんとしているではないか
('A`)従えるとか従えないとか、上下じゃないんだ…!分かってくれ!
( ゚∋゚)貴様の意思は承知している。だが、それとは話が別だ
(;'A`)……えっと?
(#゚;;-゚)…お前が言いたいのは、研究中の死骸の厄災の事だろう
( ゚∋゚) ))
261
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:18:36 ID:MV4nlSV60
( ゚∋゚)あれは災いしか産まん。禁忌の力がお前達の手元にある限り…ヒトは己で滅びの道を選ぶことになる
( ゚∋゚)我もまた、秩序によってその力を行使せねばならない
(#゚;;-゚)だったら引き返してやり直す。まだ開発途中なら…今、それが出来る。ニュッケンには悪いが
( ゚∋゚)・・・・・・
(#゚;;-゚)……人間として、この星に生きる生命として……応えさせてくれ、頼む
( ゚∋゚)……………よかろう。ならば、まずは降りかかる災いを己で跳ね除けてみろ
(;'A`)待っ、逃げ……!
大きな音を立て、クックルは扉を蹴破ると大空高く飛び去った。
ξ#゚⊿゚)ξドアって概念が無いのアンタは!!!!!!!!!!!!
ζ(゚ー゚*ζ嘴の飾り、使い損ねちゃったな………
262
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:19:11 ID:MV4nlSV60
ξ゚⊿゚)ξはー、何が災いよ。跳ね除ける暇もなく壊しちゃってもう…修理費、騎士団持ちよね?
( ゚∀゚)無論
(#゚;;-゚)しかし、クックルを逃したのではこの場の意味が…
( ゚∀゚)意味はあったッ!
ジョルジュは大きく声を上げて立ち上がり、ドクオの肩へ手を置いた。
( ゚∀゚)特にお前さん、ブーンが友と呼ぶだけはあるな!恐れを抱きながらもよく言った。大したものだ
( ゚∀゚)ひとつ俺からも礼をさせてもらおう。なに、色を知りたい年頃だろう?いい店を知っている
(;'A`)いっ、色!?
(#゚;;-゚)……何色だ?
lw´‐ _‐ノvピンクやんね
(#゚;;-゚)…………ピンク??
lw´‐ _‐ノv知らなくてよい
( ゚∀゚)はっは、冗談だ
263
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:21:08 ID:MV4nlSV60
( ゚∀゚)だがクックルとて殆ど回復が済んだ身、事を荒立てようと思えばいくらでも出来た。少なくとも諸君らに良き感情は持っていなかったようだしな
( ゚∀゚)だが、そうでない結末を迎えることができた。君たちの功績だ
(#゚;;-゚)そうだな。……ドクオ、感謝する
(*;'A`)よせって。別に言ったのは俺だけじゃないよ、頭の中でわーっと浮かんで来た連中の言葉にそれっぽくモララーとフィレンクトの真似を重ねてめちゃくちゃに吐き出しきっただけさ
/ ゚、。 /
(^A^)『どう うまれたかより どういきていくかです』
('A`)…みたいな。ブームなら、この場に居たらまっすぐに言うよ。絶対
(#゚;;ー゚)よく似ている。…ありがとう
264
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:21:51 ID:MV4nlSV60
/ ゚、。 /……照れ隠しが下手な少年だな、彼は
lw´‐ _‐ノvま、そういうことにしといたげてよ。一応クックルを戦力に加えるんじゃなくひとまずは対話を成功させる事が大事だからさ
lw´‐ _‐ノv…ディもドクちゃんも、よくやってくれたよ。サンキュね
(;'A`)成功、でいいのかな………正直、どっと疲れたぜ………
('A`)(…あの時の声は、俺の想像や記憶の中のものに過ぎない)
(;'A`)(けど、モララーの声は…あいつの声は、確かな温かみと、存在感があった)
(;'A`)(必死になって熱くなってる内に、錯覚しただけなのか…?)
265
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:22:24 ID:MV4nlSV60
/ ゚、。 /…さて。あまりそう休んでもいられないのではないかな?
lw´‐ _‐ノvわかってる。クックルがああ言ってる以上は、ソウサク国にも何か来る
lw´‐ _‐ノv……もう来てるかもしれないけどね
/ ゚、。 /ソウサクだけとも言えない。そこのキミが案じている事、ブーン、シャキンとやらがここに居ない事……その答えはシベリアにもあるのだろう?
( ゚∀゚)流石は霧の調停者。プライバシーも何もあったものではない
( ゚∀゚)シベリアの大拳者からは支援を断られたが、上手く煽り立てたおかげか皆それでもといきり立ってな
lw´‐ _‐ノvで、体よく追い出したと
( ゚∀゚)はっはっは、人聞きの悪い言い方ですな。祭りの入場券を他に譲って留守番役を仰せつかったのですよ
266
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:23:50 ID:MV4nlSV60
(;'A`)祭りって…正気かよ、厄災相手に!何だってシベリアだけで…!
lw´‐ _‐ノvましてシャキンさんはトップだろ?
( ゚∀゚)故に都合が良い。友の危機に己が身を捧げばシベリアに恩も売れる、英雄としての箔もつく
( ゚∀゚)空いた席に座っただけ、と見下していた弟が英雄の道を歩めば歩むほどコンプレックスを刺激された垂れ眉は尻尾を出してくるはず。それを掴んで引っこ抜く
( ゚∀゚)もっとも、利用出来るのは外だけにあらず。我関せずと引きこもるかシャキン派不在の今こそ功を上げようとする貴族連中もその対象にある
( ゚∀゚)シャキン閣下やブーンは義によって立ち、俺は利と自由を取るわけです
('A`)……小賢しいんだな、あんた
( ゚∀゚)そう、策謀とも言えぬ小賢しい便乗さ。上手い話には率先して乗る主義でね
( ゚∀゚)裏があろうとブーンとシャキン閣下ならそれを跳ね除けると踏んでの博打さ。ソウサク人も分の悪い賭け事が好きと聞いたが?
('A`)まあね
('A`)(モララーと同種の男だな、この人は。演出家気取りのタイプ……)
267
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:24:32 ID:MV4nlSV60
.
268
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:25:09 ID:MV4nlSV60
川 ゚ -゚)知能テスト、及び鉄を司るESP能力の解析は順調です。後はこのまま、彼女が“ヒート”に手をつければ…第一段階は達成されます
川 ゚ -゚)片方だけ贔屓されれば、もう片方への憐れみと苛立ちは自然と生まれるものです
川 ゚ -゚)彼女の精神から分離させた、キュートの闘争本能の一部……そして今“キュー”に記憶させている知識、戦闘術。最早彼女の全ては私の支配下にあります
川 ゚ -゚)たった一機の兵士が蓄積されたデータを引き出すことで鉄の兵隊を増やし続け、圧倒的な力で敵を殲滅することも可能なのです
川 ゚ -゚)これさえあれば、我々も出来損ないに頼る必要はありません。悲願であった地球への帰還も、いずれ……
〘複製人間だけを生かせばいい。オリジナルのキュート・クルットル・スナールは殺せ〙
川;゚ -゚)は?いえ、その…キューにはまだ利用価値があります。せめてあの複製脳髄に身体を与えるまで……
269
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:26:22 ID:MV4nlSV60
〘ならん。もう一つ“キュー”を造れば良い!ソウサク人は神に歯向かう危険因子だ、まして妹、弟など…大魔導師など侮れるものか!〙
川;゚ -゚)ですが彼女の記憶はいつでも都合の悪い部分だけ消去出来ます。反抗心を抱かせるのはあくまでシナリオ!ヒートが完成した後に処理をすればまた元のキューに戻るのです!
川;゚ -゚)あれはキュート・クルットル・スナールなどではありません!私のキューは!!
〘クール・スナール!!〙
川;゚ -゚)はい!
〘汝が従うのは科学か!神か!?〙
川;゚ -゚)………っ、か、か…
川;゚ -゚)……神です
270
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:26:48 ID:MV4nlSV60
o川゚ー゚)o(………白い部屋だから、わかりやすい)
キュートはベッドの下に落ちた一本の毛を取った。深い黒で、やや青みがかった自分の髪の毛とは違う。
〘おはようキュート。いい朝だな〙
o川゚ー゚)oおはよう、クーおねえちゃん。……昨日、何かした?
〘いいや?何か不思議なことでもあったかな〙
間を置いた答えだった。カードを差し込み、個室を出る。深くため息をついてからキュートは聞こえないようにぼそりと呟いた。
o川゚ー゚)o過保護も、ほどほどにね
271
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:27:46 ID:MV4nlSV60
|::━◎┥『あ、キュー!来てくれたんだね!!嬉しいなーー!ねえねえ、今日は何があった!?』
o川゚ー゚)o変わらないよ。機動兵器と人造人間の模擬戦…データの記録…それから改良と、ESP能力の試験……
o川゚ー゚)oクーおねえちゃんは、私の身体から複製した部分を使って改造兵士を作りたいんだって
|::━◎┥『難しいことばかり言うなあーー』
o川゚ー゚)oヒートは?
|::━◎┥『よくぞ聞いてくれました!!今日はね!今日はね!クーおねえちゃんの録音データを聴いてたよー!!一日中でも飽きないね!!』
o川゚ー゚)o……なんだ、ヒートも同じかあ
|::━◎┥『えへへーー!おんなじ!キューとおんなじ!!一緒だね!!』
o川゚ー゚)oそう、毎日毎日同じことの繰り返し……
272
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:28:36 ID:MV4nlSV60
|::━◎┥『ねえねえキュー、地球ってどんなところかな?』
o川゚ー゚)o……ずっと昔、7000万年前に此処に居る人達を捨てた星なんだって。この星と違って、人工じゃない緑と青い空があるんだよ
|::━◎┥『うーーーーん、人工の緑もヒートは見たことないからなー』
o川゚ー゚)o私だってそうだよ
ぼやいてキュートは暗い天井を仰ぎ見た。
ふとたらりと頬を流れた涙の意味が、キュートには分からなかった。
しばらく押し黙ったキュートの様子に、心配そうな声が響く。
|::━◎┥『ねえねえキュー、どうしたの?黙っちゃったの?帰っちゃったの?』
o川゚ー゚)oううん、なんでもない。ここにいるよ
273
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:30:00 ID:MV4nlSV60
きっと自分達は、ここを出る事はないのだろう。子供らしく夢を見続けるヒートは脳髄のままの姿で、二度と目覚めることはないのだろう。
クール・スナールによって監視、盗聴されている現状から逃げ出す術は心の中へと深く沈んで行く他無い。
されどキュートはそうひ弱でもなかった。
o川゚ー゚)o…おねえちゃんは、きっとヒートに手足をつけるつもりは無いわ。きっと、ずうっと
|::━◎┥『………?わかんない、キュー。ヒートちゃんはわかんないよ、キューの言ってること』
o川゚ー゚)o不思議に思った事はないの?事故に遭って脳だけになった妹を放ったらかしにして、なんでおねえちゃんは会いに来てくれないんだって
|::━◎┥『わかんない、わかんない。わかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんない!!』
o川゚ー゚)oこのままだと、貴方はずっとここに閉じ込められちゃうの。それに、私も……
|::━◎┥『嘘をつくな!!キューはうそつきだ!!わるいこだ!!おねえちゃーーん!!キューが嘘をついたーーー!!!!!!うわーーーーーーーーーん!!!!!!!!!』
o川゚ー゚)o静かに。私なら…私なら、ヒートに目も、耳も、手足も……自由に動ける身体をつけられるの
o川゚ー゚)oねえ、ヒート……一緒にここじゃない所……地球へ行きたくない?
|::━◎┥『…………………………』
274
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:30:32 ID:MV4nlSV60
.
275
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:32:17 ID:MV4nlSV60
おぼつかない足取りで、彼は歩いていた。
何かの影を追うように歩き続けていればきっと自分は夢から覚め、その手に追い求めた時間を取り戻せるのではないかと錯覚さえしていた。
(´・_ゝ・`)……別に来ることを楽しみにしていたわけではないが、地獄というものは意外にきらびやかなんだな
(´・_ゝ・`)天国だとしたら、より一層拍子抜けというものだ………
デミタスは呆然と鉛色の空を見た。
少し視線を下ろすとモノクロの世界が一変し、街の光が目に突き刺さる。
彼が目を覚ました時、そこは薄暗い建物と建物の隙間だった。
目に映る景色はシベリアともヴィップとも違う。ましてや慣れ親しんだソウサクの地とも感じられない。
建物の独特な形状、規模を見るにこの世界はかなり高度な科学力を持っていることが分かる。
だが、それが自分の居た国と比べてどれほどの力を持っているのかは想像することすら出来なかった。
彼にとってそれらは不安を煽る巨大な化け物でしかなかった。
276
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:33:56 ID:MV4nlSV60
そしてしばらくの痛ましい行進の後、彼は自ずと自分が置かれている状況をうっすらと理解し始めた。
自分は死んでいないこと。
ここは自分の居た世界とは違うこと。
そして。
( ・∀・)『んふ。だからね、僕はこの生命をかけて精一杯働いて、働いて…そして天の向こうの神様を殴りに行くつもりだ』
( ・∀・)『泥水を啜ってでも、君達を置き去りにしてでも、ありとあらゆる犠牲を払ってでもね』
( ・∀・)『それでもついて行きたいなら、僕の賭けに乗りなよ』
(´・_ゝ・`)あのニヤケ面め……ふざけた芝居を打ちやがって……本気で狂ったかと狼狽えた自分のなんとアホらしいことか……
(´・_ゝ・`)…モーラ・モラール・マタリウスの賭けが終わっていないなら、自分はまだ……副官として、果たすべき役割がある、はず……
(´-_ゝ-`)……奇妙だな。そうでも思っていないと、今までの生に悔いがありすぎると…今になって感じるなんて……
(´-_ゝ-`)もう一つ奇妙なのは…この不眠症の燃費最悪な身体が……久方ぶりに眠気を感じていることだな………
(´-_ゝ-`)…っ、また目が覚めたらわけのわからぬ状況に、なんてこともある…術式を使って影に溶け…安全な所で眠らなければ………
(´-_ゝ-`)ドクオ、ペニサスさん、ブームくん……
(´-_ゝ-`)モララー様
(´-_ゝ-`)……答えは要りません。けど、一つ聞いていいですかね……?
277
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:36:21 ID:MV4nlSV60
('A`)残響の魔法使いたちのようです
その5
『呟いたDは“何処ですかここ”のD』
続く
278
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/05/22(日) 06:43:55 ID:MV4nlSV60
>>221-226
いつも乙レスありがとうございます、すごくニコニコしております おまたせしました
フツーに忙しかったりドエロ祭り書いたり読んだりしてました。すごくたのしかったです。
おまけ:ソウサク魔法局
https://imgur.com/a/Xn5pg0R
279
:
名無しさん
:2022/05/22(日) 11:43:22 ID:IW8MD1nI0
いっぱいだ!!!!!!
280
:
名無しさん
:2022/05/22(日) 13:13:31 ID:0uMxVjxg0
ドクオの主人公力がゴリゴリ上がっていく
281
:
名無しさん
:2022/05/24(火) 12:49:28 ID:JspZQGzM0
乙
過去関わってきた人たちの言葉がリフレインするやつめっちゃ好き
白飯食える
282
:
名無しさん
:2022/07/04(月) 03:43:39 ID:Ei5uRBIw0
面白すぎて困る
283
:
名無しさん
:2022/07/31(日) 21:26:33 ID:tPKcWbf.0
暑いし全裸待機を継続
284
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:31:08 ID:aI/OghIA0
私はいつまで動いていられる?
私はいつまで貴方のために戦えばいい?
何処まで行けば私は逃げられる?
きっと明日、また明日。きっと何かが変わる
そう呟く度に積み上げられていく、生まれを同じにした者の屍
その繰り返しで、終わりはいつ来るのだろう
わかっています、私が仕えるべき存在、私の時を動かしてくれる存在、私に心を与えてくれる存在───それは、魔法使い。
それはいつ現れるのですか?
それはいつ私に新たな生を授けてくれるのですか?
どうかこの愚かな魂の入れ物に答えをください、
【エーエー】。
.
285
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:33:12 ID:aI/OghIA0
( ・∀・)いやはや随分お待たせしてしまったね。ホントごめんなさい
( ・∀・)
( ・∀・)「……あはは!『うわ出た』って顔しないでおくれよ。仮にも死して尚世界に油汚れの如くこびりつき今もスレッドタイトルに居座る身だ」
( ・∀・)「さて諸君!可能性はあらゆる世界に変化をもたらす。例えば僕が今見ている世界、キミが今見ている世界も多くの可能性が作り上げた一つの形」
( ・∀・)「同じような顔した人が居ても、何かがズレている事もあったりして……」
( ・∀・)「僕たちがこれから新しく見る景色も、ある種多くの人間の選択が重なり、交わって、捻れて、産まれたもの」
( ・∀・)「遠く離れ空から世界を眺めてみれば、時も空間も超越して…色々な人の姿が見えてくる」
( ・∀・)「姿形、生き様も様々だが……抗う者、諦める者──極端に言えば、皆そのどちらか……」
( ・∀・)「さあ、ここからより世界は広がっていくよ。キミ達を中心に、キミ達一人一人を主役に!」
( ・∀・)「こんな世界に飛び込みたくはない?残念。そう言葉にした時点で幕は上がってしまうのさ」
286
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:35:59 ID:aI/OghIA0
意識がはっきりとしていく。
隣に立つモララー様の姿は私よりいくらか背が高い。きらきらと金色の瞳を輝かせて、舞台の上に立つ人間を注視している。
私はまだ10代の私として立っていた。
見覚えのある場所だった。魔法局入りたての頃に、モララー様に連れられて初めて訪れた劇場。どうしてここに私を連れて来たのか、その理由は知らない。
まして自分がどうして素直について行ったのかも覚えていない。
劇場は満席で、私は石の柱に背中を預けていた。
自分が生まれるよりずっと昔の、今よりもっと魔抜けに厳しいソウサク国をモデルとした劇作家の話。
ある日突然魔力をなくした劇作家は魔抜けの身という理由だけで投獄され、3日後には処刑される事になった。
魔抜けというだけで。
これは物語の時代背景が、魔法使いと魔抜けの戦争が終わったすぐ後の設定だからだろう。
きらびやかな暮らしから突き落とされ絶望の淵に立たされた劇作家は、理不尽への怒りの全てを活力に変え半日で書きかけの脚本を完成させた。
そして声の限りに地の文を読み上げ、歌い、己が身に主役の、端役の、風景の姿を宿す。
己の生きた証を少しでも残そうと、同じく死を前にした者へ向けて自分の物語を演じてみせる。
劇作家と共に詰め込まれていた囚人達。
名を奪われ、未来を奪われ、希望を奪われ、ただの魔抜けとして番号で呼ばれる囚人達。
彼らは劇作家を奇異の目で見ながらも、目の前で繰り広げられる演劇にどこか惹かれていく。
287
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:37:02 ID:aI/OghIA0
「足掻かねばならぬ、立ち上がらねばならぬ。……そして、刻まねばならぬ!私の生を!時が私を食らう前に!」
主役の台詞が死を目前にした劇作家の足掻きと重なる時、囚人達の目は輝く。
一人、また一人と囚人達は「俺も歌う!」「僕も舞う!」と劇作家に駆け寄り、狂気の炎へ薪を焚べる。
劇作家は喜んで配役を決めていく。囚人達も嬉しそうに、その身に別の存在を宿していく。その中には勝手にシナリオを変える者も居た。
劇作家はムッとしてノートを見るが、これまた嬉しそうに「無い台詞」で応えるのだ。
そうして物語は歪に変化しながらも、美しい輝きを宿していく。一人一人が魂の仮面を被り、固着させて新たな姿を描き出す。
他者から定義された自分の価値を跳ね除けるために、自分で自分を新たに定義していく。
人々の姿に絶望はなかった。
劇中での彼らの観客は別の牢屋の囚人達。
そして私達もまた同じ囚人として彼らを見ながら次第に熱を持ち始めた。
288
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:38:23 ID:aI/OghIA0
ラストシーンだ。
処刑される直前に、衛兵に名前を呼ばれた劇作家はそれを否定し名乗りを上げた。
それは彼が紡いだ物語の主役の名だった。
囚人達も同様に各々の役を名乗り、次々に己が人生の彩りを高らかに歌った。
屈しない人々の歌だった。
そして彼らの演劇は盛大に幕を下ろした。
私達は喝采で彼らを見送った。
舞台上で躍っていた人間は全て死んだ、三流の悲劇。自らの運命に納得がいかない狂人達が、世界に握りつぶされただけの話。
結果だけ見ればそういうつまらない評価になる。けれど不思議と後味の悪さはなかった。
彼らは最後まで表現者として輝き、生きていた。それだけのことだ。
一人の役者に向けて黄色い声が上がる。
後で知った事だが、彼も劇中の囚人と同じように魔抜けの境遇らしい。
彼は声援に反応を示さなかった。それどころか他の役者もどれだけ褒められても皆同じようにしていた。
そこには誇りと彼らの生への敬意があった。
私は劇作家役の俳優へ、劇中の名前で「ありがとう」と感謝の叫びを贈った。
遠く離れた場所に立つ私に、彼は手を振り返してくれた。
隣に立つ、私をここへ連れてきた男を見る。
とてもにこやかな笑顔だった。
その時私はきっと年相応の、いやもっと幼い少年のように、自由に笑えていたのだ。
そこで目を覚ました。
289
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:39:33 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)(…時間の流れもわからない)
(´・_ゝ・`)(……今更か。体感的には3ヶ月ほど寝ていたような気さえするな)
ゆっくりとデミタスは目を開き、軽く身体をほぐした。頬を伝わる風の冷たさだけは以前居た場所と変わらない。
振り返るとどことなく焦げた匂いがする。
(´・_ゝ・`)(星の光が届くということは地下都市の類ではなさそうだが)
(;´・_ゝ・`)……っ
ぎりりと走る痛みに額を押さえる。原因は自ずと理解できた。
今の自分の身体には数多の高等魔法が全て記憶されている。
言ってみれば宝の持ち腐れ、不必要な荷物を山程背負ったまま坂道を登るようなもの、負荷もかかって当然だ。
魔法術式。
今まで自分が過ごしてきた居場所を守り、残された者達で新しい道を切り拓くための力。
己のテリトリーが壊れる前に、誰かに壊させてしまう前に、一人でモララーとまともに戦うための策。
目の前に立ったそれをモーラ・モラール・マタリウスではなくただの化け物と認めた時、それは脆くも崩れ去り今や頭痛の種と化している。
(´ -_ゝ-`)……上手くいかないものだな
どうにもならないことへ、「どうにかできたのではないか」と呟くのは趣味ではない。
静かに横たわる闇を睨んだ。
290
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:40:38 ID:aI/OghIA0
こう放り出されてみると、己の身以外何もない。
軽やかに先を行く影も、ぼやきながら自分のすぐ後ろに続く影も、微笑みながら朗らかについてくる影も、先へ先へ手を引こうとする小さな影も、ここには居ない。
今、己を導く者の名があるとしたら、それは───
(´・_ゝ・`)……あの野郎
誰にともなく咳払いをする。
(´・_ゝ・`)はぁ……やめたらどうだ、デミタス・モリオカウル。未練がましい
だが、この状況に対して何かしらの鍵があるとするならそれはモララーにある。
それを頼りに、今は歩き出すほかない。当てずっぽうで此処に飛ばされただけだとしたら、それこそどうにもならない。
光る奇妙な文字の書かれた看板を見て、そもそも言語が自分の居た場所とは違う事を理解する。これでは情報をかき集めるのも難航するだろうな、とどこか他人事で思う。
(´・_ゝ・`)ドクオ、ペニサスさん、ブームくん……彼らは無事でいるだろうか……
291
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:42:29 ID:aI/OghIA0
('A`)残響の魔法使いたちのようです
その6
『モラえもん デミ太のフルストレス時空伝』
292
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:43:59 ID:aI/OghIA0
しばらく彷徨った後、街の通りらしき場所に出た。
誰も彼も、雪のように真っ白い服をしている。自分の服装は少し目立つかもしれないが、溶け込めないほど浮いているわけではなさそうだ。ただ、そこらの悪意に自分が鈍いだけかもしれない。
ギャオ~~。
(´・_ゝ・`)・・・・・・
間抜けな音の場所は自分の腹だ。身体は性根よりはいくらか正直に出来ているらしい。
魔物の遠吠えにも似ていて、自分にこんな音が出せるのかとデミタスはつい視線を落とした。
「縺薙l縲√≠縺偵k!」
視線の先で少女が自分を見上げ、パンを差し出している。
やはり自分の知っている言語とは違うが、「これをあげる」と言いたいのはわかった。
(´・_ゝ・`)ありがとうございます、とても助かりました…
軽く屈んで目線を合わせ、一度頭を下げてからありがたく頂戴する。
一口かじってみると、少女は未だこちらをぼんやりと見上げたままだ。
訝しむような、そんな目をしている。
(´・_ゝ・`)(タダで、とはいかないものな)
ごそごそと身を探ってみると、飴玉を一つ見つけた。
いつ貰った物かは覚えていないが、誰から貰ったかは覚えている。
4番隊のペニサ・スイートゥ。
ポケットに放り込んで結局気にもしないまま、見知らぬ世界まで連れてきてしまった。
293
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:45:30 ID:aI/OghIA0
飴玉を差し出すと少女はうっすらと笑い、何処かへと駆け出していく。
(´・_ゝ・`)・・・・・・
(´・_ゝ・`)まあ、別にお礼が欲しいわけじゃないんですけど……
ぽつねんと立っていると、老婆がデミタスの方に寄ってきて嬉しそうに何かを語りかけてきた。
手に持っている薬物らしきものを自分に渡そうとしているのだろう。その周りで、何人かの男女が自分へ注目の視線を送っている。
「次は私だ」と。
それほど自分は飢えたみすぼらしい者に見えるのだろうか?それとも施しを返してくれる存在として見ているのか。
期待をされても価値のあるものなどもう無い。
こう囲まれると少し厄介だ。
294
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:46:56 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)申し訳ありませんが、私は貴方達の言葉がわからないのです
無駄かもしれないが、一言彼らに告げておいた。一礼し自分を指差し、相手を指差し、首を振るジェスチャーをつけたまではよい。
デミタスは予想していなかった反応に少しぎょっとした。
老婆が嬉しそうに目を見開いたのだ。
懐から小さなペンダントを出し、少し弄ると自分の手に無理やり押し付ける。
「首にかけろ」というジェスチャー。
戸惑いながら身につけると、周囲の声が変わった。
先程まで意味のわからなかった彼らの言葉が、はっきりと理解できる。
「どうです?これで聞こえるでしょう」
(´・_ゝ・`)!はい、聞こえます
「いやあ、それはよかった…」
295
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:48:45 ID:aI/OghIA0
「良かったなあ、お兄さん!」
(´・_ゝ・`)ああ、ハイ……ありがとうございます……?
「旅行者かい?俺が案内をするよ!」
(´・_ゝ・`)あの、そもそも此処は
「今夜の寝床は決めた?」
(´・_ゝ・`)まだですが…
朗らかな声が四方八方から聞こえる。
自分の声と、相手の声を翻訳する力があるらしい。
しばらくその場に立って一人一人返事し終わると、急に辺りが静まり返った。
人々の笑顔が急激に温度を失っていき、代わりに視線がある一点を焼き尽くすかのように集まる。
薄い皮の下に透ける敵意。
光のない、ただ異物を見る瞳。あからさまに間違った行動をした者を見る目。
当惑していると、ずっと静かに黙り込んでいた老婆が憤怒の形相で叫んだ。
「お前の“優しさ”はどうしたあ!」
.
296
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:50:18 ID:aI/OghIA0
「お前の優しさはどうした」
「お前の優しさはどうした」
口々に責め立てる声、冷たく重いものもあれば、怒りに満ちて今にも襲いかからんとしているのも居る。
市民の一人が妙な端末を操作すると、けたたましい警報が鳴り響く。
身に纏った風で無理やりに人々の中を押し通りその場を逃げ出したデミタスの後ろで、騒ぎ立てる声と警報に混じって異音──機械の音が空を裂いた。
(;´・_ゝ・`)!
デミタスは振り返り空を行く金色の装甲に覆われた機械人形らしきものを見た。
彼らがまたがるその乗り物は、硬い鋼に覆われていていくつかの火砲を装備している。だが魔竜のように幅を取る翼はない。むしろ箒のように直線的でシンプルなフォルムだ。
あまり魔科学の知識がないデミタスも思わず言葉を失ってしまうほどに、その乗り物は奇妙で神秘的で、かつおぞましい存在だった。
彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)
『?ʕ???m?F』『?C???M?????[??』『?s??ID?m?F?ł???』
機械人形達の不自然な発音はデミタスが所持しているペンダントの翻訳にかからない。
通報を確認し駆けつけた彼らの瞳に宿るのはイレギュラーを徹底的に排除しようとする敵意だ。
デミタスもそれを理解していたが、一度振り返って見た彼らの容姿はデミタスの焦りを一瞬だけ和らげた。
(;´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)(………マーマン族?)
その機械人形達は実際とても半魚人に似ていた。
297
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:51:24 ID:aI/OghIA0
(;´・_ゝ・`)(風魔法を使えば、加速して振り切れる…!)
彡(゚)(゚)『謗帝勁縺吶k繝ウ繧エ繧ゥ繧ゥ繧ゥ繧ゥ繧ゥ繧ゥ??シ?シ?シ』
次々に発砲音が背後で響く。相手が何を言っているかはわからないが、冷たい敵意の不愉快さは伝わってくる。
咄嵯に弾を避けそのまま跳躍したデミタスは魔法靴で夜の空を駆け、建物の屋上を跳び、空を滑るように飛ぶ。
(;´・_ゝ・`)(この調子で風を纏ったまま動いていれば……)
(;´ -_ゝ-`)(死ぬな……!)
肉体は一切悲鳴を上げずひたすらに動き続ける。弱音を吐くのは心と魔力だけだ。
絶え間ない連続射撃、反撃を許さず嵐のように襲う致命の弾丸。風の防壁がこれを弾くが魔力が切れた瞬間に自分の身体は蜂の巣だ。
執念深く追ってくる敵は三機、それもいずれ数が増えていくだろう。
建物の屋上を飛び移り、また一歩踏み出した瞬間、背後で爆発音が轟いた。
あの乗り物の火砲だ!
逃げなくてはならない。
空へ、また空へ、焼かれる前に一歩でも早く!
(;´・_ゝ・`)(──いや、策はある。奴らをまとめて葬る策は…!)
298
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:52:52 ID:aI/OghIA0
彡(゚)(゚)『謗帝p勁』
回り込んでデミタスの前に現れた機械人形に笑みを返してデミタスは垂直に降下した。反射的に機械人形達もそれを追って飛行する。
(#´・_ゝ・`)そうだ、追って来い……!こちら以上のスピードを出してくれても構わない!私は………!
(#´・_ゝ・`)影に飛び込むまでだ!
(#´・_ゝ・`)魔法術式でぇーーっ!
凄まじい加速をつけて眼前に広がる地面と衝突する直前に、デミタスの姿が一瞬にして闇に溶けた。闇魔法シャドーダイブ!方向を変えられずそのまま追手は全て地面に激突し、爆発と共に砕け散る!
ゆらめく炎を背に追跡者の死亡を確認しデミタスの身体が再び影へ沈んでいく。
最後に左手だけを地面から出し、無言で中指を立ててから、トプンと音を立てて。
299
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:54:17 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)(センス無い名前の魔法だが使い勝手が良い…ただ影に逃げ込んだり、飛び込み先の指定は出来ても影に溶けたまま移動は出来ないのは不便)
(´・_ゝ・`)(特殊属性を持たない魔法使いでも使えるように擬似的に再現されたもの……本物の闇の魔法使いのように自由自在とはいかないか)
(´・_ゝ・`)(小刻みに睡眠出来る安全地帯があるのはありがたいが……あまり長居もできないな)
「お兄さん、随分と薄汚れてるねえ…それによく見りゃ寒そうな格好をしてる。スープでもどうだ」
(´・_ゝ・`)平気です、温かい心の持ち主ですので。お気遣いなく
(´・_ゝ・`)……お返し出来るほどの優しさも持ち合わせていませんから
デミタスは名も知らぬ浮浪者にぽつりと呟いた。薄汚れているのは貴方達ではないのか。
そんな言葉が浮かんだが、口に出すのも億劫なので浮かべたままにしておこう。
白い服装の人々、いっそわざとらしいほどの欺瞞に満ちた不自然なデザインの建物に包まれた街。
不自然な気遣い、不自然な悪意、不自然な金色、不自然な光。
デミタスはなるべく暗い夜空を見ることにしていた。
今日は月が見えないらしい。穢れもとっ散らかったものもなく、広々としている。
しかし眺めれば眺めるほど、自分の身体から湧き出た絵の具がどろりと渦巻き景色を雑然としたものに変えていく。
そこに悪い感情はなかった。
300
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:55:17 ID:aI/OghIA0
('、`*川『雨やーばい。超土砂降りだよ、ドッシャドシャ』
(´・_ゝ・`)『雨の降り具合を「ドッシャドシャ」って言う人初めて見ました』
('A`)『俺の人生みたい』
(´・_ゝ・`)『雨ごときでそんな重く考えないでください』
('A`)『ヤなもんは嫌だ。やる気出ねえし俺もう横になっちゃうもんねー』
('、`*川『右におんなしー』
(´・_ゝ・`)『モララー様』
( ・∀・)『いいんじゃない』
(´・_ゝ・`)『……たかが空の機嫌がそんなに心に作用するものなんですか?』
( ・∀・)『まあね。僕は雨も好きだけれど、晴れの方を人は好むだろう。欠点も多いけど、その分得も多いから』
( ・∀・)『でも曇りはキライだなあ』
(´・_ゝ・`)『そんなもんですか』
( ・∀・)『そんなもんだよ。……空はいいヤツだよ、デミさん』
(´・_ゝ・`)『友達みたいな口ぶりですね』
( ・∀・)『ふふっ…みたいな、というかそのものさ。……僕の友達は大なり小なり、皆空に近い。君たちもね』
( ・∀・)『自分が空っぽの時に見上げると満たしてくれるし、心がごちゃつけば空っぽにしてくる…空は天邪鬼なやつだけど、そこが好きなんだ』
301
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:55:58 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)『……私には分からない感性です。ところでブームくんは?』
('A`)『何かスキップしながら外出てった』
( ・∀・)『ひとしきり遊んだらそのうち戻ってくるよ。みずもしたたるいいおとこです、って調子で』
('A`)『あっちもあっちで感性独特だよな……』
( ・∀・)『冷えて帰ってくるだろうし、シチューでも作って待ってようかな。さてと』
(´・_ゝ・`)『やめてください』
('、`*川『マジやめたげて』
('A`)『俺より料理の腕酷い癖にやる気出すんじゃねェ』
( ・∀・)『おおう 袋叩き』
302
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:57:19 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)空、か……
(´・_ゝ・`)(この場合私は空っぽな人間と責務やしがらみを抱えた人間……どちらになるのだろうか)
ぼんやりと見つめていた暗く色とりどりの空を、白が穢した。
少しばかりきらびやかな服を着て、わざとらしい神聖さを狙った滑稽な羽飾りをつけた巨大な男の姿が映し出されている。立体映像だ。
( ゚¥゚)『我が愛すべき民よ、心優しき民達よ。私は君たちの主ニール・セモナーである。侵入者が国境ゲートを破壊した。しかし怯えることはない。武装兵士Y-93型が至急対処する。正義は絶対に屈しない』
( ゚¥゚)『私はこの国のあらゆるものを守りたい……どんな小さな生命でも』
( ゚¥゚)『侵入者……もとい、来訪者へ。これを聞いているならば速やかに投降したまえ。その瞬間我が国は、我が民は君を家族として歓迎しよう』
( ゚¥゚)『それでも抵抗の道を選ぶならば、私は君達を暖かな眠りへと誘うだろう。せめてもの優しさだ』
(´・_ゝ・`)(何故だろう……気取ったクドい言い回しの人間は今まで多く見てきているのに……)
(´・_ゝ・`)(なんだか異様にカンに障る)
(´・_ゝ・`)国境ゲート……
そんなもの壊したかな、という感想がまず最初に来るのは蛮族への第一歩だ。派手に逃げ回っていたものだから、周りの被害などさっぱり考えていなかった。
多分心当たりはない。ならばもう一人、誰かこのろくでもない国の外の人間が反抗心を片手にこの世界を訪れたのだろう。きっとそうに違いない。
303
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 06:58:29 ID:aI/OghIA0
(´ -_ゝ-`)・・・・・・
デミタスは立ち上がる。
確かに空はほんの少し、心の疲れから自分を救ってくれたかもしれない。しかし、心から好きになれたというわけではなかった。
(´・_ゝ・`)……遠くで余裕そうにふんぞり返りやがって
ずっと見上げる者ではいられない。
救われたままでは終われない。
ぼんやりと浮かんだのは流れ星ではない。戦火の光と、空を行く鉄の塊。
あの場所へ追いつけば、道は拓ける。
デミタスは空へ手を伸ばし、雲を掴むような動作をした。
雲間に隠れた真実があるならば、どんなに遠くにあっても必ず見つけてやる。
その月光を曝け出させてやる。
天使の翼など持ち合わせていない。それでよいのだ。
前へ踏み出し、舞台へ飛び出すための足がある。空へ届けと己の背を押す風がある。
諦めの悪さがソウサク人の持ち味だと誰かが言った。血がそうさせているのか?
今なら違うと答えられる。
これは己の力だ。己のエゴだ。デミタス・モリオカウルという一人の役者のアドリブに過ぎない。
デミタスは奈落から舞台へ舞い上がった。
304
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:00:58 ID:aI/OghIA0
街の上空を藍色の飛行機が舞う。
前後に座席が備え付けられているが、乗員は一人だ。
(゚A゚* )また強い魔力の反応が出た…こっち近づいてるな?っし、ツキがこっちに向いてきたで……!
(゚A゚* )それもまずこのカトンボだかマーマンだかを蹴散らしてからやけどな!
彼女の名はノー。頭には人の耳と獣の耳がついている。
操縦桿を強く握り、機銃から弾をでたらめにばらまいていく。
(゚A゚* )ひとォつ!ふたァーーつ!最後に……!
彡(゚)(゚)『縺サ縺ェ縲√∪縺溪?ヲ窶ヲ』
(゚A゚;* )チッ……避けるなァ!!ったく!!コラァ!!空気読まんかいこんボケが!!
兵士の一人が乗機を捨て跳躍した。
主翼へと着地した兵士を必死で振り落とそうと加速するが、抵抗むなしく腕から露出した火器がノーに向けられた。
前方から新たに4機の追手が迫る。
これまでか、と目を瞑った時、激しい突風が彼女らを揺さぶった。
藍色の飛行機はバランスを崩し、後方へ投げ出された兵士達を高速回転する無数の風の刃が待ち構えていた。
兵士達の全身を粉々に切り刻み雪のように夜空へと散らせていく。
ノーは宙に浮かぶ魔法使いの顔を見て、まず叫んだ。
(゚A゚;* )うっっっそやろ!!!!
(´・_ゝ・`)どうも
(゚A゚;* )思ったよりとっぽい顔してるんやな魔法使いって!!
(´・_ゝ・`)……何を期待していたか知りませんが、多分私の姿が貴方の現実です
305
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:02:32 ID:aI/OghIA0
(゚A゚* )だぁぁ、クソッタレ!ここまで来て片道なんか勘弁やっちゅうに【エーエー】めポンコツつかましおってから!
一度調子を落とした後、一気に機能不全に陥った飛行機はそのまま墜落してしまった。
デミタスは彼女の独特な言葉遣いに目を丸くしていた。
(^A^* )まーなにはともあれアンタが暴れてくれたおかげで助かった!いやホンマにおおきになありがとう!
(´・_ゝ・`)どういたしまして
(´・_ゝ・`)(感謝なんてこんなもので丁度良いんだ)
(゚A゚* )しっかしアレやな、ノッポさんやんな自分。身体つきも良えし匂いも文句無い。アテに出来そうや
(´・_ゝ・`)まあやたら大きい方と自覚はありますが。それと質問があります
(゚A゚* )奇遇やな。ウチもアンタに聞きたいことあってん、はいせーのっ
「ソウサク国って知っとるか?「知ってますか?」
306
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:03:48 ID:aI/OghIA0
デミタスは驚きに目を見開いた。
ノーは「っしゃ」とガッツポーズを取る。
(゚A゚* )おう、自分……この時代の人間やないな?
(´・_ゝ・`)ええ。ある程度事情を知ってそうで今とても安心していますよ。それで…ここはどこなんですか?ソウサク国はどうなってます?
(゚A゚* )ここはダット。でぇ、アンタの知りたがっとるソウサク国やけど
(゚A゚* )とっくに滅びとる……7000万年前にな
(´・_ゝ・`)……ありがとうございます。まあ、そんな年数出されたらイマイチショックを受けないというか、「そりゃそうだ」というか。…割り切れるだけ良かった
(゚A゚* )まァ、ウチがアンタの立場でもそう言うやろな。けどそれで終わりじゃあウチ正直めっちゃ困んねん
(´・_ゝ・`)困る?
(゚A゚* )【エーエー】が言うとったんや!『シベリアの太陽』『時の結晶』『神薙の大太刀』!奇跡をもたらす力、魔法文明の三大秘宝!
m9(゚A゚* )その鍵はソウサク国の魔法使いにあり!っちゅうてな!
(゚A゚* )ソウサク国はこの時代にはもうあらへん。そやけど、確かに今もソウサク魔法局は砂の嵐の中に存在してんねや……時の結晶もきっとそこにある!
(´・_ゝ・`)
307
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:04:19 ID:aI/OghIA0
(^A^* )いやー正直ホッとしたわ!魔力の反応ポツーン出たの見てあちこち飛び回っても出会うのは出来損ないばかりやったしな
(^A^* )な?ここまで教えたんや。流石になんか知っとるやろ?なあ?
(´・_ゝ・`)
(´^_ゝ^`)……ふ、ふふ、あははははははは!はあそうですか、三大秘宝!時の結晶!アハハハハ!ハはハハハはハハはハハ!そうですかそうですか!
(´・_ゝ・`)ごめんなさい全部初耳なんですけど
(゚A゚* )うおおびっくりした…えらい情緒不安定やな自分
(´・_ゝ・`)ストレスがものすごい勢いで蓄積されてきてますね。危険域です今
308
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:05:29 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)はぁ…そうだ、一つ思い出しましたよ。そのめちゃくちゃな口調……ワーウルフ族でしょう?
(^A^* )きゃははは!ご明察!そや、自己紹介もまだやったな!
(゚A゚* )お控えなすって、あ、お控えなすって!
(´・_ゝ・`)……オヒケエナスッテ?
(゚A゚* )早速のお控えありがとうさん、手前生国はオオカミの里にて産湯を使い、姓名の儀マノン・ノー・ロームスと発します!
(´・_ゝ・`)あー……それですよ、それ。魔物の世界からも人間の世界からも爪弾きで……人間の真似事出来てるつもりの色々混ざった妙な言語を使う種族の話。絵本のとぼけた敵役に引っ張りだこでしたね
(´・_ゝ・`)(……でも、彼らは遠い昔の存在だったはずだ。魔物だけでなくソウサク、シベリア、ヴィップ……3カ国からも迫害され、絶滅させられたと)
(^A^* )まァそこまで知ってくれてるなら話は早いな、気軽にノーちゃんで頼むわ。んでアンタの名前は?
(´・_ゝ・`)デミタス。ソウサク魔法局4番隊副官……デミタス・モリオカウルです
(^A^* )きゃはははは!なんや屠殺される前の豚みてぇな名前しおってから!
(´・_ゝ・`)あーそういう目をしてるとよく言われま……えっ名前 えっ
309
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:06:46 ID:aI/OghIA0
(゚A゚* )ほんでな、最初アンタの魔力の反応は感知してたねんけどこれがまーパチパチ点いたり消えたりして面倒臭くてな。相棒乗ってダーと行ってバーと確保してドーッ次行こ思てんのに
(´・_ゝ・`)落ちましたね乗り物
(゚A゚* )そやねん。こんなけったいな所すぐトンズラこきたい所なんやけどな、いつの間にかこんのテッカテカした連中がぎょうさん囲んでらっしゃるやろ
彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)
(゚A゚* )まァ逃げ道ないわな。そこでウチは考えたわけですよ、魔法使いサンにさっきの腕前をお見せしてもらいたいナ〜〜って……
(´・_ゝ・`)イヤです
(゚A゚* )イヤか〜〜そっかイヤかあ
(゚A゚;* )イヤ!?
(´・_ゝ・`)ええ、これでも前置きで結構やりあって消耗してるんですよ。今もちょっと頭痛いですし。貴方こそ一応は魔物でしょう?頑張ってください
(゚A゚* )……アンタな、ここで戦ってケリをつけなきゃ永遠に追い回されるで?
(´・_ゝ・`)ケリ、つくんですか?
(゚A゚* )あ?
310
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:08:09 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)つくならやりますよ。けど別にここで暴れたってどうにかなる、ってわけでもないですからねえ。居るのは雑兵、元を絶たなきゃ何も変わりませんよ
(´^_ゝ^`)だったらいっそ捕まりましょうか
両手を上げたデミタスは、銃を構えて周りを囲む兵士達の前に出た。
懐からハンカチを取り出し、軽く振って見せる。
(゚A゚;* )ちょっ待っ、何さらしてけつかんどんねんこのノッポ!そんなんやらかしたらネズミ袋!ネズミ袋やぞ!
(´・_ゝ・`)なんですかそれ。……白旗が世界共通だとありがたいんですけどねえ。この国妙に白に拘ってるきらいがありますし
(´・_ゝ・`)見てるんでしょ?我々は投降します。礼節と優しさを持って迎えていただきたい
僅かな沈黙の後、兵士達の身体からはっきりとした男の声が聞こえてきた。
『では、ご案内させていただこうか』
311
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:09:06 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)(“家族”に手錠で歓迎する国か)
迎えに来た地上車はデミタスにとって初めて見る乗り物であったが、既に大した感動はなかった。
(゚A゚* )ったくイヤやなあ運転荒すぎるでどこが歓迎やねんクソァ!
(´・_ゝ・`)ならわざわざ揃って捕縛されなくとも抵抗するなり逃げるなりすれば良かったじゃないですか。付き合う義務も無いし
(゚A゚* )アホ。命の恩人ほなサイナラって見捨てるほど性根腐っとらん
(^A゚* )それにウチが居ないとノッポさん、多少困るやろ?
(´・_ゝ・`)……そうですね。お互い今後に多少関わってきますし
(^A^* )なー!こんなクソッタレな所に一人なんざごめんやて!
(゚A゚* )……どうせ後でドンパチやるんやからな?せやろ?
(´・_ゝ・`)わかってるなら静かにしててください
312
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:10:43 ID:aI/OghIA0
まず捕まってみてあの天使のなり損ないと表現したい羽飾りの男に会い、情報を集めてから自らの『優しさ』をぶつけ、二人が乗っても苦労しない空飛ぶ大きな乗り物を奪取する。
それがデミタスの思惑だった。
だが、こうして地上車に揺られている間にもデミタスはこんな連中に自分の運命の一部を委ねている事に筆舌に尽くし難い不快感を感じていた。
一度気に入らないという感情を持つとそれはどんどん肥大化していく。
ノーの抱く嫌悪感はもっともだと思う。
(´・_ゝ・`)(7000万年後の科学力だ。大きな空飛ぶ乗り物くらい期待したいものだが……無かった場合どうするべきか?木でもあれば箒を作れるが……)
落ち着いて眺望してみても、緑は一つもない。やかましく光るだけしか能がなく、温かい人の営みの色彩は乏しいと言わざるを得ない。
だんだん景色にすら腹が立ってきている自分がどこか可笑しい。今なら「不機嫌」というタイトルの絵のモデルとなれそうだ。
313
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:11:28 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)……ところで貴方は手に入れてどうするんです?三大秘宝。世界の主にでもなりますか?
(゚A゚* )お前も立体映像に出てきたヤツ見たやろ?こんな辺鄙な場所統べるだけでもあんなおもんない顔になるんや。いるかそんなもん
(´・_ゝ・`)それはそう
(゚A゚* )ウチは朝日が欲しい。それだけや
(´・_ゝ・`)……素敵な願いですね
(^A^* )きゃははは!コレ、洒落とちゃうかんな!
(´・_ゝ・`)【エーエー】なる存在については?
(゚A゚* )……ウチの故郷オオカミっちゅうんやけどな、そこに遺跡があってな。そいつよう知らんけどその中にあのボロ飛行機を置いてったんや
(゚A゚* )飛行機には三大秘宝についてのメッセージが残されてた。声以外はな〜んもわからへん、残念!
(´・_ゝ・`)なるほど……誰かのイニシャルですかね
(゚A゚* )心当たりあるか?
(´・_ゝ・`)いえ……
314
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:13:08 ID:aI/OghIA0
地上車が停まった所には塔が不遜にそびえていた。不遜に、というのはあくまでデミタスの主観である。
デミタスが通された部屋は案の定の色彩で、ここまでくると彼の黒い目に興味の光は灯らなかった。もっとも、同じような目をした人間はこの室内に多く居た。
彼らは病衣のような服を着て、膝を抱えてこちらを見ている。
囚人だ。
(゚A゚* )いやーまったく殺風景でステキなインテリアやな!心が泥水で洗われるわ
(´・_ゝ・`)ルールがあれば当然反する者もいる…か。ここで待っていろと。ふざけてますね
(゚A゚* )チッ。どいつもこいつも辛気臭いツラしてけったいなやっちゃ……待合室にしちゃ狭すぎるで
(´・_ゝ・`)少しの辛抱でしょう。どうせまたすぐに迎えは来ますし……
デミタスはそう口にすると、周りの囚人の顔を見比べた。無垢な幼児のような顔をして涎を垂らし何も喋らない者。怯え、警戒心、諦念を抱く者。
彼らの差異の背後に「洗脳」という言葉が強く自己主張する。
ここにいる囚人の多くは、人であった事を忘れて何かの歯車にされているのだ。辛うじて人の姿を保てている者も、魂が擦り切れかけている。
315
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:14:03 ID:aI/OghIA0
この醜悪な現実を隠さないということは、半ば向こうもこちらの思惑を分かっているのだろう。
ただ、それは敵が自分達を侮っている証拠でもある。
「どうだ、我々に逆らう者の未来はこうなるのだぞ。無論君達もだ」そう高らかに見せつける。
それが通用するのは、力の差に敗北感を植え付けられた者だけだ。
相手は所詮「この数を相手に戦い続けても無駄だ」と早々に諦めた人間だと、戦意があったとしてもたかが二人だと、そう舐め腐っている。
ノーがこちらを見る。それにこくりと頷く。
そうだ、せいぜい余裕をこいているがいい。
ニール・セモナー。
奴は戦いを知らない。
316
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:14:56 ID:aI/OghIA0
デミタスとノーが呼び付けられたのはそれから数分後であった。
兵士はもう一人囚人を伴って現れた。機械の腕が、壊れた玩具を放り投げるように囚人の身体を捨てて行く。
誰もが無抵抗で無関心だった。
ノーとデミタス以外は。
ノーは自らの膂力で、デミタスは風で手錠を破壊して立ち上がった。
一発の銃声が兵士の頭を弾き飛ばす。烈風が敵を切り裂く。
ゴトン、と落ちた頭部を踏み砕いてノーは太い舌打ちの音をたてた。
(゚A゚* )ほないこか
(´・_ゝ・`)あーあーもー、すぐ手が出るんですから。行き先どうするんですか
(゚A゚* )ハッ、簡単簡単!諺くらいは知っとるやろ?
(´・_ゝ・`)「「馬鹿と卑しい豚は高い所に登る」」(゚A゚* )
(´・_ゝ・`)我々は馬鹿の位置ですね
(^A^* )きゃーはははは!ホンマやな!
(´・_ゝ・`)ていうか武器使うんですね。ワーウルフ族だから徒手空拳かと思ってましたよ
(゚A゚* )ちょっとした事情っつーヤツや
(´・_ゝ・`)それ、貴方の願いに関係あります?
(゚A゚* )ある。全部終わった後で話すわ
317
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:15:49 ID:aI/OghIA0
デミタスは振り返り囚人達を一瞥した。
これは優しさなどではない。
自己満足であり、当然の権利だ。
(´・_ゝ・`)ここで朽ちたいですか?
返答は無い。
(´・_ゝ・`)生きたいなら……時に食い殺される前に、自分という役を全うしたいなら……ここを出ませんか?
少年が一人、立ち上がってデミタスの瞳を見つめた。
(´・_ゝ・`)追手は任せてください、一人残らず壊していきますから
(゚A゚* )そういうこった。待ってても明日は来いへんぞ
少年の瞳に僅かに火がゆらめき、表情に生気が宿っていく。
自分が薪を焚べる必要もないだろう。デミタスは微笑みながら小さく頷いた。
(´・_ゝ・`)いきましょう
少年の背に続き、一人、また一人と囚人達が駆け出していく。
少年は振り返り、デミタスに笑いかけて言った。
「ありがとう、魔法使いさん」
(´・_ゝ・`)……どういたしまして
318
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:16:52 ID:aI/OghIA0
湧き出る追手を撃つ、裂く、壊す。放つ魔力に僅かに水の力を加えて溶かし殺す。
数多の選択肢の中から一つだけの結果に向かって、雑兵どもが押し寄せてくる。
壁がある。壊す。名伏し難く度し難いオブジェが視界に入る。壊す。隔壁が下りる。壊す。雑兵に囲まれる。ノーが柱を振り回す。
頭部の重みに耐える日々を終えたいくつかの機械人形が、自らの顔写真と番号を空に映していく。
遺影の真似事だろうか。
無感動に、無造作にデミタスは辺りに高等爆裂魔法を放ちながら進んだ。製作し、記憶した術式の一つだ。
豪華に飾り付けられ城めいた室内を掃除し終えたノーとデミタスは最上階へ続く階段を登り、扉の前で立ち止まる。
扉の先に感じる気配。───ニール・セモナー。
二人は堂々と鉄の扉を蹴破った。
319
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:18:01 ID:aI/OghIA0
ダットの街は静かだ。
とても静かに、清潔に、秩序の下に動いている。その中心で破壊と暴力が吹き荒れている事を無視したなら。
街を眺めていた男は振り返り、野蛮な侵入者に向けて「ようこそ」と手を広げた。
(´・_ゝ・`)どうも。まだ歓迎を受けてないんですけど
(゚A゚* )おう、まるで喰い足らん。隠してるならはよ出せや
( ゚¥゚)……強欲だね。流石は大いなる過ちの時代から来た男だ
(´・_ゝ・`)それほどでも。ついでにちょっと知識欲を満たしたいのでいくつかインタビューを行いますね
( ゚¥゚)手短にしてくれたまえ。長々と蛆虫をのさばらせておくほど時間に余裕がないのでね
320
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:18:46 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)先程の大いなる過ちとは?
( ゚¥゚)簡単なことさ。三種の神器を使い、彼らは神々の加護を拒んだ
( ゚¥゚)超エネルギー物質・シベリアの太陽……同じく、時の結晶……そして聖剣・神薙の大太刀……
( ゚¥゚)その力を束ねた結果が7000万年経った今も地球に広がる闇だ。実に愚かだと言わざるを得ないなキミの仲間は
(´・_ゝ・`)……あ、薄々気がついてましたが勝ってるんですね一応。そこだけはちょっと安心です
(゚A゚;* )安心しとる場合かーーッ!!
(´・_ゝ・`)失礼。質問を続けましょう
321
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:20:12 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)何故この国の民は「優しさ」に拘り異端者を排斥するんですか?
( ゚¥゚)「優しさ」によりこの国が成り立っているからさ。ある時造られた人のプラスの感情を収集しエネルギーへと変換するマシン……これがダットを動かしている
( ゚¥゚)ダットは奇跡の国と呼ばれるに相応しい世界だ。いまだかつて人類が到達したことのなかった愛と平和……それが此処にある
(゚A゚* )ほざけボケ
( ゚¥゚)我が国以外の世界では、相変わらず闇への恐怖が広がり続けている……まさに我々は楽園に住む天使なのだ……
(゚A゚* )ノッポさん
(´・_ゝ・`)どうせ結果は同じですから抑えてください
( ゚¥゚)互いを労り、助け合い、笑顔を交わす……それは世界で最もクリーンなエネルギーとなり、人の健やかな暮らしを育み続ける……理想的な心優しき国だ。争いを生み出す種となる利己的な人間など、存在しない
(´・_ゝ・`)なるほど。自分の為にならない優しさなんてものを積み上げてきたから、この国はこんな汚物の山になったんですね
( ゚¥゚)フ……
(´・_ゝ・`)それであの囚人達は何です?
322
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:22:52 ID:aI/OghIA0
中央に置かれた玉座に座り、セモナーは不敵な笑みを浮かべてタブレット型端末を操作した。
巨大な映像が白い壁に投影された。
首から下をカプセルに入れられた男が映っている。
嫌だ、嫌だ、死にたくない。彼の叫びは認められず、無慈悲に蓋が閉じられた。
( ゚¥゚)我が国ではいかなる犯罪も起こってはならない。あらゆる犯罪者、反抗的素質を持つ者には…私が脳にチップを埋め込み新しい命を与える
映像が切り替わり、生気を無くした男や積み木遊びに興じる女性、並んで教育を受ける大人達が映る。
セモナーはその映像に歩み寄り、頬擦りをした。
( ゚¥゚)はぁ……アハハハ、美しいだろう?私の子供達だ。明日のダットのためにこの無垢なる存在を私は守らねばならない。どのような脅威からも……
323
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:23:57 ID:aI/OghIA0
( ゚¥゚)彼らは利口な子供であり、良い役者達だ。ちゃんとこのダットのために学ぶべき事を学び、再び世界に応えてくれる……
( ゚¥゚)そして君達も、この国という舞台に上がってもらう。三大秘宝を手に入れてこの世界の闇を晴らしたいと言うならば私は喜んで協力しよう……悪くない話だろ?
(´ _ゝ `)・・・・・・
(゚A゚;* )……ノッポ?
知っているぞ、この苛立ちは。
いつかの私の影がいる。
モララー様が死んだ直後の、彼らの居場所を身勝手な理屈で奪おうとした私に似ている。
いや、それよりも、もっと苛立つのは────
( ^¥^)ハハハ!そうさ、そうとも!キミ達の力は我がダットの救いとなり、世界の救いとなるのだ!共に未来を造ろう、救世主デミタス・モリオカウル!
(´・_ゝ・`)救世主?はあ、そうですか。お断りします
(#´・_ゝ・`)……貴方の目の前に居るのは厄災みたいなもんですよ
324
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:25:31 ID:aI/OghIA0
( ゚¥゚)残念だよ。この清廉なる場所をキミ達の血で汚すことになるとは……やれ
彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)彡(゚)(゚)
(゚A゚* )チッ……来るで、デミタス!
(´・_ゝ・`)……デミタス・モリオカウルの役割は、舞台に立つ私が決めること
(´・_ゝ・`)なんとなくわかりましたよ。己の命に、役割に誇りを持てない人間、終わりを前に立ち上がらない人間……まして他人の生を奪いながら身勝手な救いとやらを押し付ける人間なんて、私は嫌いです
(#´ _ゝ `)……そういうことなんで
(#´°_ゝ°`)モララー!!!!!!!!!!!厄災倒すために取って戻って来いってんだろォ!!!!?三大秘宝!!!!!!!!!やってやろうじゃねえか!!!!!!!!!
(゚A゚;* )!?
(#´°_ゝ°`)アンタに託されたからじゃねえ!!!!アンタに託された俺の!!アンタが作った俺という存在の誇りのためにやるんだ!!!!!!!
(#´°_ゝ°`)先に結末を見せたからには今だけじゃなく未来も変えてやるって覚悟が!!こんなバカげた世界にはさせないって覚悟が!!!!!アンタにはあるんだろうなァ!!!!!!!!?あァ!!!!?
(#´ _ゝ `)……だったら、信じるよ。信じて足掻いてやろうじゃないですか
325
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:28:19 ID:aI/OghIA0
(; ゚¥゚)ヒッ……ヒィぃ………!?
ただ信じて道無き道を行く。
果たしてこの道が正しい道なのか、間違った道なのか、それは誰にもわからない。
人生という道を、家族、友人、知人、見知らぬ人達と手を取り合い、そしてすれ違い、私は戦い、そして進んでいく。
時には道端に座り込んでいる人を励ますのも、逆に道端に座り込んだ私が励まされるのも、それもまた道中の一つの光景なのだろう。
生と死は表裏一体。己の生の答えがわかるとすれば、それは戦いを終えて本当に最期の時を迎えた時だけなのだろう。
それ故に私は、目の前の鉄屑に囲まれて震える男の生を肯定したくないのだ。
自ら戦わぬ男に、人の立ち上がる意思を奪って得意気にしている男に救いなど与えてやるものか。
それは神にも等しい傲慢だろう。
だが。
私は救世主などではない。
時を操り、人々が歩む道のためにその身と周囲の人間を勝手に捧げるような魔法使いではない。
虚無の力を携えて、人から継いだ光を世界に解き放つ小さな魔法使いなどではない。
清廉潔白など糞喰らえ。
私は4番隊の副官、デミタス・モリオカウル。それだけでいい。それをやり通す。
この状況に文句は尽きないが、道で躓く彼らを支えるための仕事に私は誇りを持っている。
326
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:30:13 ID:aI/OghIA0
一発の銃声が響いた。
痛みはデミタスの肩から走っていた。
血が流れ出しているが、それでも歩みを止める理由にはならない。
(´・_ゝ・`)・・・・・・
(゚A゚;* )デミタスーッ!!
(; ゚¥゚)は……ハハハ……ハハハハハハ……!魔法使いといえど、銃弾は弾き返せてもレーザーは弾けまい……!
(´・_ゝ・`)……なんだ、やればできるじゃないですか
自己陶酔を捨てた、優しさや綺麗事など存在しない浅ましい抵抗。
それでいい。生きようとしているなら、私も生きるために貴方と戦う。
ソウサク国に居た頃から変わらない理屈だ。
(; ゚¥゚)そうさ、悪は罰せられる!悪は滅びる!惨たらしくな!せめて美しく死なせてやるのは私の優しさ、私からの救いなのだ!貴様は私には勝てない、正義に勝てない!所詮古代人、科学の力の前には……!
(´・_ゝ・`)……どうしようもないヤツだ
──────風が吹いた。
327
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:31:12 ID:aI/OghIA0
( ¥)
舌の根を見る。乾いていない。
白いダットの建物の床に、欺瞞の上に今も傲慢が流れ続けている。
それは自分の傲慢なのか、彼の傲慢なのか。デミタスにはわからない。
ただ一つ言える事は、彼は自らの役に殉じて自由になった。それだけだ。
(´・_ゝ・`)……神々を相手に戦ってたんですよ、私の時代の人間は
その生を肯定も否定もせず、デミタスは流れる血を見下ろしていた。
(゚A゚* )……満足したか?
(´・_ゝ・`)へえ。結構まともな感性してるんですね
(´・_ゝ・`)「これでこの国は救われるな!」なんてほざこうものなら私は一人で出発するつもりでした
(゚A゚* )ぶっ飛んどるなー。正直アンタが目ぇカッ開いたあたりからビビりまくってたで
(´・_ゝ・`)……ストレスがね、溜まってたんですよ、すごく。でももう大丈夫です、行くべき道は見えましたから
328
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:33:15 ID:aI/OghIA0
(゚A゚* )……さっき、「秘宝を取って戻って来る」つったな?
(´・_ゝ・`)ええ。それ……多分私の時代に必要なものだと思うので
(゚A゚* )やったらウチと終着点は同じやな!アンタの時代に行けば、ウチも朝日が見られるっちゅうことやろ!?
(´・_ゝ・`)はあ、そうなるんですかね…?
(^A^* )っしゃあ!ええな、ええなあ!利害の一致!これからウチらは共に旅するパートナーや!!きゃは!
(´・_ゝ・`)(戻る手段は一切考えてないんですけど、まあ良いかな……楽しそうだから……)
(´・_ゝ・`)まずは格納庫を探しましょう
(゚A゚* )ほえ?格納庫ォ?
(´・_ゝ・`)次の舞台に飛ぶ翼を探すんですよ。貴方のヒコーキ?アレ落ちちゃったじゃないですか
(^A^* )せやなー!よっしゃ、そうと決まれば早速探索や!なんてったってこの時代の機械使えるのウチだけやからな!バリバリ頼ってくれな!
(´・_ゝ・`)……そこらへんはアテにしていますよ。ほんとに
329
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:37:07 ID:aI/OghIA0
(´・_ゝ・`)あの時助けたダットの囚人達、無事に過ごせるといいのだが……
(゚A゚* )人類はそこまでヤワやない。なんだかんだしぶとくこの国も残る、文化もいつか自然な形に変わるやろな
(´・_ゝ・`)……あの、ところでノーさん。コレ本当に動かせるんですか?
(゚A゚* )ん?なんか心配か?
(´・_ゝ・`)いやだってこれ……さっき乗ってたヒコーキよりも数倍大きいじゃないですか
機械を操作し終えたノーは、くるりと操縦席の椅子を回転させて応えた。
(゚A゚* )まァ飛空艇は操縦すんの初めてやな!!あッ飛空艇って知らんよな、空飛ぶフネや!!
(´・_ゝ・`)あー……なんか私の行く道が凄い勢いでぼやけてきた気がします……
(゚A゚* )モーマンタイモーマンタイ!要するに強いエネルギーを辿る!幸い精度いい探知機積んでるみたいやしな
(^A^* )それにソウサク国への道筋はアンタが知ってるやろ?ホレデジタル地図〜
(´・_ゝ・`)……あの、7000万年ですよ?地形も変化してるに決まってるじゃないですか。パッと見でもじっくり見ても一切分かりませんよ
(゚A゚* )じゃあ何をすんねんお前
(´・_ゝ・`)ちょっと暴れすぎて頭痛が酷いので今日はもう寝ます
(゚A゚* )ええけど塔のハッチ開いたしもう発進するで?
(´・_ゝ・`)……食料庫もあるしご飯作ります
(゚A゚* )いやだから今から発進するんやて、おもくそ揺れるで?安定して飛べるまで結構かかるわ
(´・_ゝ・`)あーじゃあなんだ、これから歴史に思いを馳せますよ。どういう道筋辿って今に流れついたのか……興味もありますしね
(゚A゚* )おー馳せとき馳せとき
330
:
◆vkc4xj2v7k
:2022/09/13(火) 07:40:16 ID:aI/OghIA0
(´ -_ゝ-`)(長い休暇だと思えばいい、デミタス・モリオカウル……)
(´ -_ゝ-`)(私のやるべき事を貫き通した先に、きっと……)
( ・∀・)『それでもついて行きたいなら、僕の賭けに乗りなよ』
('、`*川『また戻って来ないと承知しないから』
('A`)『まだヴィップ観光も行ってないしな!』
| ^o^ |『わたしは ここがすきですから』
(´・_ゝ・`)(──私の立つべき、戻るべき舞台がある)
続く
331
:
名無しさん
:2022/09/13(火) 15:16:32 ID:5t47MvdM0
乙です
332
:
名無しさん
:2022/09/13(火) 21:48:03 ID:05LT1ypc0
おつおつ。いまみんながどのような状況にあるか、一覧が欲しくなるな
333
:
名無しさん
:2022/09/13(火) 22:50:21 ID:AaTHLoRM0
>>317
の少年に微笑むデミタス、めっちゃ良い
やっぱりデミタスも救出の魔法使いたちの一人なんだなぁ。
乙、次回も期待
https://downloadx.getuploader.com/g/3%7Cboonnews/251/666D5742-3C33-4147-B8BB-48D3243388CB.jpeg
334
:
名無しさん
:2022/09/13(火) 22:54:17 ID:I5us7BHA0
おつ
デミデミの有給消化
335
:
名無しさん
:2022/09/15(木) 00:54:16 ID:F3C/7lT.0
乙乙
336
:
名無しさん
:2022/09/15(木) 22:37:55 ID:Fdk.VglU0
おつ
こうやって徐々に間隔が空いていって失踪に至るんよな
337
:
名無しさん
:2024/03/24(日) 11:51:16 ID:oAt7WapU0
もう来ないのかなぁ
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