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切り落とされた首の話
8
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 22:20:12 ID:S/RA0zHE0
街道には危険が多い。
飢えた野犬の群れや山賊化した難民は勿論、
整備不足の路面に車輪を取られ、馬車が横転してしまう事故も少なくない。
護衛を雇う事ができる商人や上流階級の貴族でもなければ、
動物除けの匂い袋をぶら下げ、積み荷は抑えて「旨みのない獲物」を演出し、
路面に気をつけながら慎重かつ迅速に、天に祈りを捧げて通行するのが作法である。
爪'ー`) (……まあ、何かあったらその時に考えれば良い)
金持ちと貧乏人。今のフォックスの立場は間違いなく後者だ。
だというのに、当の本人はのほほんとしたものである。
両家の生まれに恵まれた才覚。幼い頃から危機感とは無縁に生きてきた。
事実、片道3日と言われた西の漁村への道程も、
馬の疲労度を見極めた速度調整と路面状況を読みきったルート選択により、
初日の夕方にして道半ば、中継地点となる街にまで到達しようとしている。
爪'ー`) (思ったより早く着きそうだな。一日くらいゆっくりして行くか?)
高い能力と、それをを台無しにしてしまう精神性を持ち合わせていたのが彼の最大の不幸と言えるだろう。
爪'ー`) 「……ん?」
もうすぐ街が見えてくるという所で、フォックスの目に異物が映った。
進行方向の路面を塞ぐように野犬の死骸が転がっている。
爪;'ー`) 「うへえ、こいつは躱して進むのは無理だな」
フォックスは死骸の前で馬車を止めて考え込んだ。
無理矢理轢いて通っても良いが、「肉と骨でできた塊」は案外頑丈だ。
車輪に何か起こってしまえば修理に余計な金がかかる。
爪;'ー`) 「しょうがないにゃあ……」
背に腹は代えられない。
深いため息とともにフォックスは馬車を降り、死骸の排除に取り掛かった。
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