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切り落とされた首の話

3名無しさん:2021/10/23(土) 21:59:57 ID:S/RA0zHE0
【執行官と放蕩息子の話】

端的に言うと、遊び過ぎて金が無かった。

フォックスは生来の浪費家であり、計画性を著しく欠いた楽天家である。
酒を買い、女を買い、女を喜ばすための贅沢品を買い漁る。
干魃によりあらゆる物の値段が上がった後も振舞いが正されることはなかった。

結果、名家と呼ばれる実家からの決して少なくない仕送りも使い果たし、
日々の食事にも事欠くほどに彼の懐事情は困窮を極めていた。
そんな彼にとって、古い友人からの突然の呼び出しは喜ぶべき出来事だった。

爪'ー`) (これで次回の仕送りまで持たせられるな)

相手も決して裕福な身の上ではないが、それでも自分は招待される側である。
軽い食事と一、二杯の酒を望んだとしても責められることは無いだろう。
あわよくば数日分の食事代を借りることもできるかもしれない。
打算に満ちた腹の中を隠そうともせず、フォックスは友人宅のドアを叩いた。

( ゚д゚ ) 「……ああ、来てくれたか」

爪'ー`) 「お招きに預かり感謝するよ、ミルナ。本当なら手土産の一つでも持ってくればよかったんだが」

( ゚д゚ ) 「思ってもいないことを言わなくていい」

( ゚д゚ ) 「まあ、上がってくれ。飯も酒も普段より上等なやつを用意してある」

爪*'ー`) 「そうかい? 悪いな、へへ」

もしもフォックスがもう少し思慮深い人間であれば、
この妙に物分りの良い友人に対して警戒の念を抱いていただろう。
しかし、彼の性分がそれを許さない。彼の心は既に晩餐の皿の上にあった。


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