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切り落とされた首の話

11名無しさん:2021/10/23(土) 22:24:01 ID:S/RA0zHE0
昔から影が薄い人間だと言われていた。
どれだけ頑張って働いても要領の良い奴らに功績を奪われる。
干魃による不況で雇い主から「口減らし」に遭い、仕事を失ったのもそのせいだと考えている。

だが、今は自分の影の薄さに感謝したい気持ちだった。
男はこっそりと少女の背後に忍び寄り、足元の鞄に手を伸ばす。
ちらり、横目で様子を伺うが、少女がこちらに気付いている様子はない。

(;'A`) (音を立てるなよ……さり気なく、自然にすり替えるんだ)

あの間抜けな御者も出し抜いた自分だ。これくらいどうということはない。

横目で少女を見る。まだ動く様子はない。

少女の鞄に手をかけて持ち上げる。少女はまだ気付いていない。

(;'A`) (後は俺の鞄を置いて、バレないうちに逃げるだけだ!)

片手で抱きかかえていた鞄を体から離し、少女の鞄が有った場所に設置する。
静かに、そして素早く。鞄の下敷きになった雑草が折れ曲がる音さえ、酷くやかましく感じられた。

とうとう、生首の入った鞄から指を離す。
横目で少女を見る。

ζ(゚ー゚*ζ

少女は、前屈みになったドクオの顔を見つめていた。
生気のない瞳が一瞬、鞄の中の生首と重なって見えた。


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