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【女神転生】ノーライフノットキングのようです(・血・)
71
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 22:59:55 ID:wm/pKi2Y0
翌日朝。
(・ハ・)「では、留守を頼んだぞ」
(・<_,・。)「ふぉふぉふぉ。任せておけ」
ラン ゚ -゚)「はい」
四人の次に年長のランに、おさない子供達を任せ、五人はシンジュクへ歩き始めた。
(・e・)「街の中ですかい?」
(・ハ・)「ああ。街の地下ではなく上階には、外で生きていけないような悪魔達が身を寄せ合って暮らしている。
残酷とは思うが、そいつらで慣れておけ」
ディーは模造刀をギュッと握った。
イーは釘付き棍棒のスパイクロッドを肩に乗せてイキっている。
ジャックは名前通り、アタックナイフの柄の中身を空洞にして身軽にしたジャックナイフ。
アヤメはありったけの回復道具をリュックに抱える。
(・ハ・)「まだ交渉はしなくていい。俺のやり方を見ていろ。
お前らが力をつけてから、悪魔との会話をさせるからな」
(・d・)「はい」
(・j・)「来た!」
地霊コボルトがスパイクロッドを掲げて走ってくる。
(・e・)「目には目を!歯には歯を!」
この一年間で、コトワザを言えるほどには賢くなったようだ。
お互いのスパイクロッドが交差し、ぶつかり合う。
(・ハ・)「埒が明かん。一旦引いて転ばせろ」
(・e・)「はい!」
あえてロッドごと身を下げる。
力を入れすぎていたコボルトがつんのめって前のめりに倒れる。
(・e・)「おらっ!おらっ!」
ひたすらぶっ叩き、頭を陥没させ、灰になるまで徹底してやる。
(・殺・)「これが…戦い…」
(・e・)「へへっ、どうです?」
(・ハ・)「いい感じだ。模擬戦闘で一番馬鹿力なだけある」
72
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:00:16 ID:wm/pKi2Y0
「ムド!」
(;・j・)「えっ…」
親父が立ちはだかり、御守りで呪殺魔法を吸収する。
御守りは砕け散った。
(・j・)「うわあああああ!!」
恐怖と怒りで、ジャックは俊足で馬型の堕天使、ガミジンの四肢の健を切った。
「ぎゃあああ!いっでえええええええ」
(・d・)「油断するな!」
模造刀で首を狙う。
硬すぎて切り落とせない。
ガミジンが暴れ、模造刀が刺さったまま吹き飛ばされる。
(・e・)「もうひとおし!」
イーがロッドで叩き、無理矢理刀を押し込める。
首の斬り落としが一丁出来上がり、ガミジンは絶命し灰をぽろぽろとこぼす。
(・ハ・)「危なかった。恐らく今のガミジンがここ一番の格上だ」
砕けた御守りを踏みすり潰す。
シュウウ…と呪力が漏れる。
(・殺・)「お師匠、今のは…?」
(・ハ・)「今のは一撃必殺の呪い魔法、ムドだ。
マトモに喰らえば一発であの世逝き。
呪いの力で殺されれば、いかな金丹でも治せない」
(・d・)「そんな危険な魔法があるんですね」
(・ハ・)「ちょっと下に降りよう」
親父についていき、東口から西口に移動する。
「力こそ全て!ガイア神殿へようこそ」
(・ハ・)「こいつら全員の治療と、ペンタグラムとタリスマンを20個づつ」
「金を十分持ってくるのだ。この世に混沌をもlたらさん」
(・d・)「全員治療完了しました」
腕を組んだガイア司祭のもとから立ち去った。
73
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:01:00 ID:wm/pKi2Y0
(・d・)「ガイア神殿もなるべく利用はするな。
メシア教は薬を混ぜた洗脳をするが、ガイア教は魔による力を注ぎこんで混沌中毒にさせてしまう。悪気はないんだろうが」
(・d・)「四人で分けろ。
ペンタグラムは一人が喰らった魔法をそのまま反射、さっき使ったタリスマンは呪殺吸収硬化を持つ。
ペンタグラムは応用が利くが呪殺を反射しても吸収回復はできん。うまく使いこなせ」
(・殺・)「わかりました」
アヤメは両手に五芒星と御守りを持ち、違いをよくよく目に焼き付ける。
狩りが再開された。
(・ハ・)「倒した悪魔はデビルアナライズ機能で情報を見られるはずだ。
できれば暗記しておけ。敵は勉強を待ってはくれないからな。」
(・d・)「はい!」
手早くささっとガミジンの情報を見る。
呪殺反射、魔法全体に強い。
物理にも僅かながら耐性があるようだ。
自分の力がまだ弱いのもあるが、一撃で首を落とせなかったのはそのせいか。
地霊コボルトは物理攻撃に耐性こそないが、火炎、氷結、電撃といった温度魔法に強いらしい。
「地」霊だけに、特に電撃はアースのように受け流してしまうのだろう。
おそらく他の地霊族も似たような感じに違いない。
フクロウの顔をした堕天使アンドラスに斬りかかる。
翼を斬り、たじろいだところで腹を一閃する。
数時間戦いを終え、夕刻になろうとしていた。
(・ハ・)「闇夜の魔物は恐ろしい、と言う。成果物を持ち帰ってずらかるぞ」
(・e・)「ラジャ!」
手早く荷物をまとめ、シンジュクを後にする。
ラン ゚ -゚)「ジャック兄さん!」
(・j・)「ラン!無事だったか!」
ラン ゚ -゚)「大丈夫よ。悪魔一匹来てないわ。
今日は子供達と薬草を摘んで、傷薬に調合していたの」
(・ハ・)「よくやったな、ラン。
お前は医療班リーダーに任命する。まだ一人だけだからリーダーも何もないがな」
ラン ゚ -゚)「ありがとうございます」
74
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:01:21 ID:wm/pKi2Y0
夏が過ぎて秋。
エンブリオン結成初めての、悪魔の襲撃があった。
いつも通りシンジュクでの狩りを終えたディー達は驚愕する。
地霊ブッカブーなどの低級悪魔の死体が血の海と共に乱雑していたのだ。
(;・j・)「ランは!?」
ラン ゚ -゚)「無事よ」
血まみれのマンティコアに抱き守られ、返事をした。
(・<_,・。メ)「数時間前じゃったかのう。
行き場を失った雑魚どもが森に入ってきた。
そこまではいいんじゃが、ニンゲンの匂いに気が付いたようでな」
(・ハ・)「一体たりとも逃しちゃいないだろうな?」
(・<_,・。メ)「当たり前じゃ。
悪態をつくのはやめとけ、このひよっこが!」
ガァと吠え、乱暴に、誇らしげに尻尾に刺さった死体を抜き捨てる。
途端に灰になった。
他の悪魔もグズグズと崩れ落ちていく。
ラン ゚ -゚)「ありがとう、マンティコアさん。
おかげで私も無傷だし、子供達も地下にいて無事でした」
頭を下げ、傷口に薬を塗る。
(・j・)「『ワシの傷は大したこたぁない。下級からの攻撃なんぞ舐めれば治る』と言ってるよ。
マンティコアさん、僕からもありがとうございました」
(・ハ・)「じじいの心配はいい。心配事はこれからだな。
秋を過ぎ冬になると、外の悪魔もマグネタイトや肉を求めてやってくるかもしれん。
防護策を考えよう」
(・ハ・)「ディー、お前はスマホでキョウさんに連絡を取ってみてくれないか。
俺はガラクタどもをいじってみる」
言って、この一年間で拾い集めたマシン達の修理に取り掛かる。
他の幹部は怯えて泣いている子供達をなだめたり、夕食の準備に取り掛かる。
ここ一年でバラエティも増えた。
古米のおにぎりに、疑似小麦粉で作ったパン。
浮浪児として生きてきた子供達には大きな喜びだった。
夜、簡易ライトをつけながら作業をしている親父に、アヤメがおにぎりを持って行った。
(・ハ・)「ありがとう、お前も早く寝なさい。明日から新しい狩場だ」
75
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:01:46 ID:wm/pKi2Y0
( ■∀■)「ヒョッ」
見慣れた顔が、聞きなれたひょうきんな声を出して朝早くやってくる。
(・ハ・)「お待ちしておりましたキョウさん。それは…」
緑基調のマシンに乗りながら、色とりどりの鉄を引っ張ってやってきていた。
( ■∀■)「そこにたんまりたまってる…クククッ、我ながら最高センス!
T95CPの上位互換、T95Dの最新モデルだよ。
知り合いの科学者に無理矢理言ってもらってきた。
去勢済みだから即戦力として使えるぜ。それっ」
マシンの中からパーツをバラバラと投げてよこす。
( ■∀■)「回路やらの互換性はコイツと大差ないはずだ。
俺はそこまで甘やかさねぇから、とりあえずお前が解析して修理しな」
(;・ハ・)「じゅうぶん甘やかしてくれてるじゃないですか。ありがとうございます
ホブゴブリン、マンティコア」
親父は一礼しつつ、鉄類の運搬に仲魔を召喚する。
( ■∀■)「紐は切って構わねえぜ。ジャック」
すぐさま、十八番のジャックナイフ捌きでマシンと鉄を繋ぐものを両断した。
二体の巨魔が紐を引っ張り、ビル近くの奥へ置く。
( ■∀■)「あれでバリケー…砦を作るんだろ?
まったく夕方に無茶な連絡してきやがるぜ。
ディーの坊主だからまだ許したけどよォ」
ケケケと笑う。
( ■∀■)「メシアの連中も鉄を集めるのに必死みたいだ。
かっさらわれないうちに、また持ってきてやるよ。
とりあえず今日は疲れたからこっちで寝るわ」
(・ハ・)「キョウさん、ありがとうございます。
朝食も食ってってください」
アヤメとランが子供達を起こし、朝食の支度を手伝わせる。
「いただきます!」
( ■∀■)「ヒョウッ、少々味は落ちるが米なんざ食ったのは久々だなぁ。いいもんだ。
炊くのにも電力使うんじゃないか?」
(・ハ・)「大丈夫です。キョウさんから頂いたマハジオストーンで蓄電してありますから。
それにいざとなればシンジュクからこっそり盗電できるように地下配線も敷いてあります」
76
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:02:07 ID:wm/pKi2Y0
(・ハ・)「さて、今日からシンジュク入口は卒業だ。
その東のイチガヤ、ヨツヤ方面でやる」
(;・d・)「…」
(・ハ・)「そう、お前らと最初に出会った場所だ。
トラウマ払拭にもちょうどいいだろう、
それに個々の戦い方は板についてきたが、集団戦はちくはぐだ。
統率について学んでいこう」
( ■∀■)「ヒョウ!いってらっしゃい!」
五人に弁当を投げる。
( ■∀■)「小さなドクターの嬢ちゃんが作ってくれたんだ、味わってくえよー!」
マンティコアとホブゴブリンは昨日の事を考え、防衛に残しておいた。
警戒して歩きながら親父は話す。
(・ハ・)「ゆくゆくは幹部のうち一人を防衛の指揮にまわすかもしれん。
他のおさない子供達は戦えもしないし、万が一医療幹部のランが斃れれば一気に守りは瓦解する。
冬の前にある程度た稼いで、食糧を貯えねばならんしな」
(・d・)「はい、親父!」
(・ハ・)「各自、銃の準備はしてきたな」
ディー、イーはアサル?MP5マシンガン。
ジャックはかつての警察組織の基本武装、ニューナンブ。
アヤメは更に小さな拳銃を持っていた。
(・e・)「ジャックもアヤメも小っせえ銃でやんの!だっせー!」
指をさして冗談で笑い飛ばす。
(・j・)「僕は銃よりナイフ捌きの方が得意なの、知ってるくせに」
(・ハ・)「こら。アヤメのデリンジャーを馬鹿にするもんじゃない。
女性がよく暗殺用に使う銃だ。昔たくさんあった映画というものにもよく出ていた。
最近は話を聞かないが、人間専門の伝説のバウンティハンター、サラも愛用していたらしい」
(・d・)「バウンティハンター?」
(・ハ・)「賞金稼ぎだ。依頼を受けて標的を倒し、お金を受け取るんだ」
(・e・)「おもしれえ!将来は悪魔のバウンティハンター部隊でも立ち上げようかな?
悪魔に恨み持ってる奴なんざごまんといるだろ」
77
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:04:25 ID:wm/pKi2Y0
(・ハ・)「ははは、それは頼もしいな。
ここら辺は凶鳥フリアイという不吉を呼ぶという鳥の住処だ。
総じて鳥族には近接の武器による攻撃は不利だ。空を飛ぶからな。
銃で撃ち倒し、仕損じたら落としたところをぶったぎるんだ。
アヤメはとりあえず銃はいい。マハストーンを投げてけん制を頼む。
マハジオ、マハブフのストーンは当たれば敵を凍り付かせたり感電させて動きを止められる」
(;・殺・)「や…やってみます。」
袋の中にはどっさりと色とりどりの石が入っていた。
マハラギとマハブフは自分達で妖精ジャックフロスト、ランタンのコンビを狩って集めたものだが
マハジオストーンは前々から蓄電用に兄貴に買い付けをお願いしていたものの一部だ。
(・ハ・)「だが堕天使べリス…そう、初めて狩りに行った日に襲ってきたやつだ。
あいつにマハラギストーンは投げるな。吸収されて元気になってしまう。
逆にそれ以外には存分に使え。獣系には銃と火がよく効く」
さっそく凶鳥フリアイ達が出た。
ディーとイーはマシンガンを乱射する。
翼だけ撃たれて落ちてきたものはジャックがとどめを刺す。
勇敢に突っ込んでくるものはアヤメがおそるおそるストーンで凍らせる。
外した場合は親父がライフルでフォローしてくれた。
(・ハ・)「散開!」
邪龍コカトライスが大挙して襲ってくる。
(・ハ・)「奴らは麻痺爪による引っかきと石化噛み付きをしてくるぞ!
分断されてそれら状態異常になったら死んだものと思え!」
思わぬ高レベル悪魔の襲来に、親父も参加した。
五人で取り囲み、銃を撃ち、燃える石を投げる。
灰のなかからいくつか、ディストーンを見つける。
(・d・)「店で売ってるだけじゃないんですね」
(・ハ・)「大概は誰かががこうやってたまたま拾ったものをジャンク屋に売って日銭に変えてるのをまた売ってるだけだがな。
地味にディス系のなかであれだけ高いから助かるよ。
だがこれが必要となる局面は、もう既にこちら側が壊滅に近いと思った方がいい」
(・ハ・)「それと龍族は耐久力が高い。
基本的に長期戦は覚悟して、弱点があるならそれをついて早めに処理しろ」
邪龍ワームのテールスイング攻撃で、イーが吹き飛んだ。
すかさずアヤメが回復し、親父がライフルで眉間を撃つ。
(;・e・)「うっ…ちくしょう…」
(#・d・)「だあああああああああああ!」
78
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:04:48 ID:wm/pKi2Y0
それでも倒れぬ巨大ミミズの口の中に、ディーが刀を突きさし貫通させる。
幾多もの戦いをし、いつの間にか午後を過ぎていた。
(・ハ・)「飯にしよう」
親父が周りを見渡して言う。
途中で仲魔にした魔獣ストーンカに見張りを命じる。
自分の分のおにぎりを分け与える。
(・d・)「見張りが増えましたね、親父。
でもなんでいきなりそいつを…?」
(・ハ・)「魔獣ストーンカは前に話した妖獣アツユと違い、ストレートな強さを持つ。
こいつが発するバインドボイスで全員金縛りになんてなれば、全滅は免れん」
(・d・)「バインドボイスにバインドボイスで対抗をするって事ですか?」
(・ハ・)「お前らにもそのうちわかる」
(・e・)「ふうん」
(・ハ・)「ウン万マッカは稼げたな。節約すれば冬は越せるだろう。
もう今日は引き払って、シンジュクで買い出しをしていこう」
(・e・)「また小遣いっすか!?」
目を輝かせる。
(・ハ・)「まぁ1000マッカな。あと毎度言うが酒はまだ禁止」
(・j・)「ははは!」
シンジュク地下街にやってきた。
ディーとアヤメは入場料はかかるが広いクラブで少し贅沢な食事を楽しんだ。
イーは相変わらずまだ手が出ない武器に目を輝かせる。
ジャックは親父と一緒に食糧の買い出しに出た。
「買わないならジロジロ見るな」
(・d・)「これはなんですか?」
「ガキにはわかんねぇのか。ニワトリの卵だよ。孵化間近のな」
(・殺・)「ニワトリ?悪魔かしら」
(・d・)「親父に連絡を取ってみよう」
79
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:05:10 ID:wm/pKi2Y0
COMPによる通信で親父を呼ぶ。
両手に買い物袋を抱えたジャックが細身できつそうに歩く。
(・ハ・)「ニワトリの卵というのは本当か!?
大破壊で淘汰されたと思っていたが…」
ぼろを着た男が大声でがなる。
「本当さ。買わないなら帰れ」
(・ハ・)「いくらだ」
「一万マッカポッキリ。これでどうだ」
(・ハ・)「高い賭けだな。いいだろう、乗った」
代金を払い、ディーに大きな卵を渡す。
(;・d・)「わとと」
大荷物はストーンカに乗せ、一同は帰る。
(・ハ・)「帰ったら、暖房器具あったっけな…?
それで孵化まで待つ」
(・e・)「えっ帰ったら卵料理にするんじゃないんですか!?」
(・ハ・)「はは、気が早いな。
ニワトリっていうのは大破壊前に人々の食糧供給を担っていた生き物でな。
こいつが孵化してメス、つまり女の子だったら卵を産む。
そしたら…わかるな?」
(・e・)「卵食い放題!?」
目を輝かせよだれを垂らす。
(・ハ・)「ふふ、そうなるな。
卵は栄養価も高いから病人が出てもいい薬になる。ランが喜ぶぞ、ジャック」
(・j・)「それはいい土産ですね!」
帰り道、森入り口周辺1キロは焼け野原と化していた。
(・ハ・)「何があったんだ!?キョウさんがいるから中は大丈夫だと思うが…
これだけの火炎を使えるのなら相当の大物悪魔だぞ…」
親父が真っ先に走る。
(;・d・)「親父!待ってください!」
80
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:05:30 ID:wm/pKi2Y0
( ■∀■)「よヒョウッ」
汚れの一片もないマオカラースーツを着た兄貴が涼しい顔でマシンに座っていた。
(・ハ・)「キョウさん!?外の様子は一体!?」
兄貴の背後には、更に大量の鉄があった。
( ■∀■)「ガラクタ集めがてら、そこらの雑魚どもをフッ飛ばしてきたのよ。
これで当分、森周辺に悪魔はわいてこないはずだぜ」
(;・ハ・)「しかしこれだけ目立つ事をすれば…」
( ■∀■)「安心しな。ちゃんとシブヤのターミナル経由で来たし
焼き払った後は焼け残ったグールのコスプレしてう゛ーう゛ー言いながら這って森に入ったから。
カモフラージュは完璧よ」
(;・ハ・)「グールはそんな口調じゃないでしょう確か…」
( ■∀■)つ「あ、すまん。召喚権返すわ」
(・く・)「アニキ!」
(;・ハ・)「ん!?まさかキョウさん…」
( ■∀■)「そ。一旦おでぶちゃんと契約して魔力底上げしてやってから表にマハラギオン一発ぶちかましたの」
陰陽系のデビルサマナーは仲魔の能力をブーストできると聞いたが。
マカカジャを最大までかけてから、魔力が切れるまで連発してもああはならない。
この人はどれだけ底無しなのか?
親父は内心、戦慄していた。
ラン ゚ -゚)「皆さんお帰りなさい。あれ、ディーさんそれは?」
(・d・)「ああ、ニワトリっていう悪魔じゃない鳥の卵さ。
こいつが産む卵は栄養がいいから病人に最適なんだって」
ラン ゚ -゚)「それは助かります!まだまだ痩せ気味の子もいるから…」
( ■∀■)「ん〜?それマジにニワトリの卵かぁ〜?
贔屓目に見てもダチョウの卵に見えるんだが」
(;・ハ・)「き、きっと、放射能の影響で突然変異した種なんですよ」
やはり親父は兄貴には頭が上がらない。
(・ハ・)「さあ、暖房の前に置いておいて、夜は抱いて寝てやろう。
とりあえず飯だ」
早めの夕食をとり、その日は寝た。
81
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:06:13 ID:wm/pKi2Y0
翌朝。
(・ハ・)「しばらく数日間は狩りは休みとする。
みんなできる範囲で、鉄を利用し砦を作り上げよう」
(;・く・)「うんしょ、うんしょ」
朝早くから、ホブゴブリンがタルカジャをかけながら鉄を森入り口の付近に埋めていた。
仲魔を含めた皆で定刻通りにおにぎりの朝食を済ませ、皆ができる範囲での作業を始めた。
兄貴は早朝にはいなかった。本当に神出鬼没だ。
幼い子供達は少しづつ穴を掘り、そこにタルカジャがけのディーとイーが穴に鉄を埋める。
アヤメは暖房の前で卵を抱き、ジャックは専用ナイフで鉄の溶接面をなめらかにしている。
ゴーグル付きマスクを被った親父が、マハラギストーンで鉄をいい塩梅に溶かしつつ溶接していく。
ランは昨日兄貴に教えてもらったという医術を必死に復習していた。
焼け野原を作るついでに、どこかから多少の医療器具も調達してくれたらしい。
ラン ;゚ -゚)「いつ怪我人が出るかわからないんだから、今のうちに…!」
親父と相談し、あまり物音が響かない一階最奥の空き部屋が医療室になった。
ある程度ビル回りに鉄を並べると、
(・く・)「マハラギオン!」
ホブが手加減をした火炎で一斉に溶接してしまった。
ひとまず囲いの砦は完成した。
(・ハ・)「みんなお疲れ。昼にして午後は休みだ」
あらかじめ作っておいた塩パンをたいらげる。
(・d・)「ひとまず完成したね。あとは何が必要か…」
(・e・)「秋のうちにもっとためこんでおきてぇな」
(・j・)「そういえば使われていない鉄の高台がありましたよね?
あれを見張り台にするのはどうでしょう」
(・ハ・)「まぁ、おいおいな。
それとジャック、飢え死にしそうな浮浪児を見かけたら保護する事を任命する。
冬になる前でないと手遅れだ」
く(・j・)「了解しました」
(・殺・)「これからお世話が大変になるね。
あ、孵化したんだ。今寝室に寝かせているよ」
(・d・)「すごいな!」
82
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:06:35 ID:wm/pKi2Y0
子供達がワイワイ遊ぶ中、幹部と親父は地下寝室へ赴く。
「ピィピィ!」
ラン ゚ -゚)「かわいい!これがヒヨコですか?」
(;・ハ・)「あ、ああ…。だが色がピンク?
大破壊よりはるか前、俺が生まれる前に流行っていたというカラーヒヨコならともかく…
普通ヒヨコは黄色のはずだ
それにやはり、でかすぎる」
(・e・)「突然変異?ってヤツじゃねーの?」
(・j・)「ご飯は何をあげればいいのかな」
(・d・)「確かあの胡散臭い売り屋からマニュアルもらってたな。
小さいうちは保温して、煮た穀物をあげればいいってさ」
(・ハ・)「大破壊前は専用の配合飼料なんかも売ってたんだがな。
無事に育つのを祈るしかないか。
幹部アヤメ、頼む」
く(・殺・)「了解しました!」
その日からアヤメは自室にありったけの湯入りの容器を持ち込み、大事に保温した。
「腹が減った!」とピィピィ鳴いた時には起きてご飯を与えた。
子供達が増えてからというもの、幹部たちには私室が与えられた。
各々二階に一部屋づつもらっている。
子供達は地下が自室兼寝床だ。
アツユ狩りで毛皮をしこたま作っているので、敷布団にも困らない。
(・d・)「アヤメ」
(・殺・)「ディー。どうしたの?」
(・d・)「いや、急に顔が見たくなって」
(・殺・)「ふふ。顔だけじゃないでしょ?」
(・d・)「ああ。いいか?」
ディーはアヤメの胸に顔をうずめ、抱きしめる。
(-d-)「なんかヒヨコを育てているアヤメを見てると、お母さんってこういうのかなって」
(・殺・)「かもね」
今度はディーがアヤメの上を脱がせ、吸い付いた。
83
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:06:55 ID:wm/pKi2Y0
三年目。
餓死者も凍死者も出ず、無事に冬を越せた。
数日おきにイチガヤ周辺で狩りを続け、マッカと食糧を備蓄しておいたおかげだった。
兄貴がきてくれる頻度は減った。
それでも時たま、甘いものを土産に持ってきてくれたり
幼い子達の下着類を調達してくれたりした。
(#・e・)「だーっ!ニワトリどころかコカトライスじゃねーか!
鳥じゃなくて龍!龍ですよーっ!」
イーが地団太を踏んでいた。
半年以上育てた結果、体色はピンクのままで頭に兜のようなものとトサカが生えていた。
そして龍族のあかしともいえる、立派な緑の尻尾までついていた。
(;・ハ・)「トサカだけは合ってたな…
今度シンジュクで業者に会ったら抗議して返金してもらうか」
(・殺・)「でも外で見るコカトライスより目つきが険しくないし、丸っこくてかわいいですよ。
今朝卵を産んでたんですが、ほら」
業者から買ったものと同じサイズの卵を持ってくる。
(・d・)「アヤメが一生懸命お世話したからだよ、きっと。
外の邪龍コカトライスと区別して、コカトリスって呼ぼう」
(・j・)「万が一やられるとまずいから、防衛用としては使えないね」
ラン ゚ -゚)「でもこれだけの大きさがあれば、子供達全員にちょっとした卵料理が作れるわね。
それに病人が出た時に卵粥が作れるわ」
ランはあれからも兄貴が遊びに来るたびに医術や民間医療というものの勉強を教わってたらしい。
( ■∀■)『俺は一流大学で色んな学科学びまくってたからな!
窮屈な旧ニホンと違って成績良けりゃ飛び級もすぐだし博士号ももらえる!ヒョウ!』
要するに兄貴はあのナリでも、とても頭がいいということなのだろう。
親父曰く、そういう頭がとびぬけていい人の事をインテリと呼ぶらしい。
ラン ゚ -゚)「それとキョウさんが、卵を産ませるなら栄養とカルシウム必須だっていうから。
骨型の悪魔の骨をいっぱい持ってきてくれました。
これを砕いてすり潰せばいいって」
(;・ハ・)「まるで鳥博士だな」
早速朝食で硬い卵を割って焼いてみた。
フライパンを何回も使ったが、全員に小さな卵焼きを振舞う事が出来た。
(・殺・)「子供達もおいしいおいしいって好評で、よかったわ」
84
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:09:57 ID:wm/pKi2Y0
コカトリスはデビルチルドレンのを想像してください。(未プレイの方はググってみてね)
真Ⅰのコカトライスは厄介な特技持ちなのに低耐久、貧弱耐性のせいでかみ合わなくてかわいそうな子。
でも3Dだとやたらでっかくて威圧感マシマシ。
85
:
名無しさん
:2021/11/08(月) 00:47:14 ID:p/dCuzhA0
乙!
86
:
名無しさん
:2021/11/08(月) 16:22:00 ID:W1Zr0OZA0
乙です
87
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:44:31 ID:E1owwmEc0
幹部たちが会議室のテーブルに腰を落ち着ける。
(・ハ・)「さて、今日はお前らにいよいよ悪魔交渉を教えに行く」
(・d・)「やった!ついに!」
(・ハ・)「嬉しいか?」
(・e・)「お師匠とようやく少し並べるんだ!嬉しくないわけがねえ!」
(・ハ・)「悪魔というのは恐れすぎてもナメられるし、侮りすぎても隙を突かれる。
常にバランスを保ち、接していくのだ」
(・d・)「はい」
(・ハ・)「俺とて交渉に失敗し手痛い目を見る事はある。
俺が知る中で、悪魔を無理矢理捻じ伏せてしまう悪鬼はキョウさんくらいだ」
(・j・)「兄貴が…ですか?」
(;・ハ・)「そう…あの人は少なくとも、俺と出会ってから一度も傷ひとつ負っていない。
悪魔を瞬殺してしまうからというのもそうだが、不意打ちを受けても後ろに目がついてるようにカウンターで仕留める
まるで戦いを踊りのように楽しんでいる」
(・殺・)「お師匠のように強い人でも失敗する事はあるんですね…」
(・ハ・)「アヤメは今回は見学としておく。
その管の使い方は、今度キョウさんに教わるといい」
(・殺・)「はい」
マンティコアとホブゴブリン、兄貴の手土産のマシンを守備にまわし、シンジュクへ発った。
(・ハ・)「いいな。外の悪魔とは交渉するな。オザワのオフィスや地下の悪魔ともだ
お前らにはまだ荷が重すぎる」
シンジュク入口すぐの弱小悪魔と交渉を試してみることにする。
スカウターをセットし、近くの地霊コボルトに『TALK』コマンドを選び話しかけてみる。
「ニンゲンか?今日の俺は気分が悪いんだ!
今すぐ地獄に送ってやるぜー!」
ロッドを振り回し暴れてくる。
ドン。
一発、威嚇射撃する。
「ぐ…もう一度チャンスをやろう」
88
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:44:53 ID:E1owwmEc0
上から目線が妙にむかつくので、また銃を構える。
「わあ、今のは無し。俺が悪かった!
な、何でも致します!」
コボルトは土下座し、一方的にCOMPに入ってきた。
(;・d・)「え…?」
あっさりすぎた。
(・ハ・)「ここらの悪魔は弱く、外の悪魔に駆逐されて追われた身だからな。
かと言ってお前ら子供にいきなり話相手をさせるわけにもいかん。悪魔だからな。
ここ一年ほど狩りという名目で修行させていたのはその為だ」
(・j・)「なるほど!」
(・ハ・)「実力差がついてくると、ああやって悪魔を服従させてタダで仲魔にできるわけだ」
(・殺・)「なんかかわいそう…」
(・ハ・)「大概は実力差がありすぎると、そそくさと逃げようとする。
今のはあいつから向かってきたんだ。自業自得だ」
悪魔情報を見る。ラクカジャとスクカジャという魔法を持っている。
親父がディーのコンプを覗き込んで、アドバイスを授ける。
(・ハ・)「そうだ、まだ教えていなかったがな。
膠着した状況を打破する、または格上の敵に挑むのならカジャ系を使え。
味方全員の能力を一時的に上げてくれる。俺もよく大破壊前にそれで局面を切り抜けた。
持つ悪魔は少ないが、敵の能力を下げてしまうンダ系も揃えておくと役に立つだろう」
(・d・)「なるほど。ホブゴブリンもマカカジャを持っていましたね」
(・ハ・)「いい観察力だ。その好奇心は役に立つ。忘れるな。
ギンザというところにはホブゴブリンの大群がタルカジャマカカジャとマハラギオンの波状攻撃を仕掛けてくるぞ。
俺の連れているのは合体で作ったんだがな」
次々と悪魔を脅して仲魔にしていった。
「ひぎっ…お、オイラはそんなつもりじゃあ…
みんなを愛しています、お許しください!」
(・d・)「カジャ、ンダ系の魔法持ちが多いみたいですね」
(・ハ・)「だがそのままでは弱すぎて戦力にならんな。
下に行くぞ」
(・殺・)「あ、ここ、回復道場!」
89
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:45:15 ID:E1owwmEc0
(;・d・)「…の隣だね。こんな施設だったのか」
(■┏┓■) 「悪魔が集いし邪教の館へようこそ。久しいな」
(・ハ・)「ああ」
(■┏┓■) 「捨て子でも拾ったのか?ずいぶんと多人数で…」
(・ハ・)「まぁな。こいつらに悪魔合体を頼む」
(■┏┓■) 「まかせておけ。
おお、なかなかのバリエーションではないか。
色々な悪魔が作れるぞ」
(・殺・)「悪魔を合体して別物にしてしまうのですか?なんかかわいそう…」
(・e・)「お前そればっかりなのな」
(・ハ・)「案ずることはない。大抵の悪魔は力に貪欲で、合体で強くなるのをむしろ望んでいる。
悪魔によっては、かわいい悪魔と合体させてくれと自分から懇願してくるのもいるほどだ」」
(■┏┓■) 「さて、ためしに何かやってみるかね?」
(・ハ・)「といっても弱小同士ではたかが知れてるが」
(・d・)「精霊だ。精霊を作ってみたいです」
(■┏┓■) 「ほう、初めてにしては目の付け所がいいな。
精霊は様々な技能を持ち、精霊以外と合体させるとより強い同種族にランクアップもできる。
ランクダウンもしてしまう場合もあるがな…」
(■┏┓■) 「では、合体させるぞ」
次々とデータを送り、堕天使のガミジンとアンドラス、ジャックブラザーズが液体に溶けていく。
そして魔法陣からは…
「私たちは精霊フレイミーズとエアロス。今後ともよろしく」
(・d・)つ「こちらこそよろしく」
精霊二体の希薄な手を両手で取り、握手を交わす。
「ニンゲンは救われねえんだよ…お前もそう思うだろ?」
(・d・)「ああ…救われないな」
「だから、俺が救ってやるって」
笑顔で堕天使アンドラスが仲魔になった。
90
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:45:35 ID:E1owwmEc0
(・ハ・)「悪魔の機嫌がよければこんな時もある。
爺さん系悪魔は酒を持っていると交渉が捗るぞ」
合体に早速ハマり、次々と悪魔を仲魔にしていく。
ジャックは己の腕を信じるようで、脆弱でも補助魔法を多く持つ仲魔を作る。
イーはひたすら力が強そうな悪魔を作る。
アヤメは…
(;・殺・)「むううううう…!」
兄貴の師事も待たず、管による吸引を試していた。
マグネタイトに引き寄せられ、スポッと、コボルトが吸い込まれていった。
「オレの力に惚れ込んだってワケか…
かわいいくせに見る目あるじゃねえかよ。
よっしゃ!腹ぁくくって仲魔になってやるぜ!」
(;・ハ・)「おお。それが正しい使い方なのかわからないが、すごいな」
続いて近くのインプも吸い込む。
「そんなに強くスッたら、アタマがのびちゃうじゃないか!」
(;・殺・)「ごめんね。次からは加減するから」
各々が集めた悪魔を合体させる。
「わたしは悪霊 シェイド 今後ともよろしく…」
(■┏┓■) 「いきなりダーク悪魔とは渋いのう。
合体法則がD2アプリとは違うから気を付けるんじゃぞ」
(;・e・)「悪霊かよ…趣味悪くね?」
(・j・)「でもシバブーやら便利な魔法を持っているよ」
ディーは手頃な妖精と堕天使で天使エンジェルを光臨させた。
サラサラヘアーと簡素な服、清楚な顔、まさに天使。
(・殺・)「綺麗!ねぇ、エンジェルさん私がもらってもいい?」
(・d・)「構わないよ(君の方が綺麗だよ、アヤメ)」
後で帰ったら告白しよう。
はしゃぐアヤメ。かわいい。
ドリアード「悪魔でも、アイしてくれる?」
(・d・)「ああ」
91
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:46:20 ID:E1owwmEc0
女悪魔もアヤメに譲った。
幹部が男所帯のエンブリオンでは、いい友達になれるかもしれない。
(・d・)「そうだ、精霊合体も試してみよう」
みんなの下級悪魔と照らし合わせて、邪教の主にデータを見せてもらう。
悪魔の種族との組み合わせによって、ランクが上下するようだ。
(・e・)「すげえ!筋肉がかっこいいぜ!」
ジャックが拠点の改築に使えそうで作ったブラウニーと精霊の組み合わせを見る。
ヘラクレスと相談し、あえてリンゴ園を抱え持つことになった誇り高き大巨人アトラス。
(;・e・)「こっちはD2で見た通り、全身武器って感じですげえ!
アイアンフィストって特技使われたらどんな悪魔も砕けそうだぜ!」
胸部に豹の頭、人間でいう頭頂部には剣を刺し拳に棘を生やした地獄の豹公フラロウス。
(・j・)「タルカジャが使えて攻撃力も高い…鬼に金棒ってやつですかね?師匠」
風神ヴァーユの子であり、ヴィシュヌ神の化身の英雄ラーマと共に戦った妖魔ハヌマーン。
(・殺・)「エンジェルさんとはまた違う感じだけど、かわいくて強そう!」
全身金で尻尾をはためかせ、緑の鬣と羽根を戴く智天使ケルプ。
(・殺・)「それにほら、兄貴の持っている悪魔に似てるわ!」
ランダム三身合体では、褐色でいかにも強そうな、いや強そうという次元を越えた鬼女が現れる。
(・d・)「これみんな、合体させてください!」
(;■┏┓■) 「残念じゃが、お主らの今の力量では手に負えんよ」
(;・ハ・)「いずれもその種族の最上級悪魔だろうな。
俺ですら仲魔にするのはまだまだ無理なのだ
無理に従えても、反逆されて殺されるのがオチだろう」
(・ハ・)「それと今のうち伝えておくとな、人間と悪魔の合体もできるのだ。
だが絶対に自分で体で試そうとするな。
ガイア教徒とっこうたいなんかは、よくやろうとするな。
合体して人間と悪魔の合わさったものができることは、できる」
(;・d・)「何か裏がありそうですね」
(・ハ・)「そう、人間は肉体も精神も悪魔より遥かに脆弱だ。
合体しても、人間側の精神が破壊されるか悪魔側に吸収されてしまうのがオチだ。
悪魔の意識を掌握できたとしても、その確率は千か万分の一だろう。
ゆめゆめ、自分がその特別な人間などと思うな。
驕るな」
92
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:51:07 ID:E1owwmEc0
吉祥寺でたまたま見つけたランダム三身合体で、まだ見ぬ高レベル悪魔を見て興奮するのは真Ⅰプレイヤーの通る道。
最下級悪魔をランクダウンさせてオーバーフローで最上級悪魔の合体結果を見て驚愕するのも、きっと通る道。
なお、ショボン達のセーブデータを使って実際にシンジュク入口で色々作ってみました。
93
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:56:30 ID:E1owwmEc0
なお、真Ⅲでバフォメット、魔神Ⅱでアスモデウスを合体結果で見て興奮したクチでもあります。
メガテニストの方の中には好かない人もいると思いますが、某異聞録ではいきなりLV88の大物が出てきたりしましたね。
真Ⅴにも序盤から結果で魅せてくれる高レベル見掛け倒し悪魔がいるのを楽しみにしています。
switch届きました。ヒョウッ!
94
:
名無しさん
:2021/11/09(火) 01:10:49 ID:8pB55H520
乙!
95
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:48:55 ID:jCgkNQ4I0
帰り際、ストーンカに先頭を任せながら親父が話す。
(・ハ・)「焦る事はない。徐々に力をつけて、強い悪魔を手にしていけばいい。
それと、交渉の際にはマッカとマグネタイトを忘れるな」
(・d・)「散々狩りをした後に、気のように出てきてCOMPにたまるアレですか?」
(・ハ・)「そうだ。悪魔はこの世界にいる時は生体マグネタイトがないと肉体を維持できん。
超高位悪魔や実体のない悪霊は別のようだが」
(・ハ・)「実力差がそんなにない悪魔は、脅しや威嚇で従いはしない。
仲魔になる見返りとしてそれらを要求する事が多い。
やりすぎるな。マッカは悪魔召喚に必須の報酬にもなる。
マグネタイトも仲魔を連れ歩いて行動するのに必要なものだ。」
親父が腕をやると、マグネタイトが少量ずつ減っていくのがCOMPの表示でわかる。
(・ハ・)「そして宝石なんぞ求められたら断り、相手が怒ったら諦めるふりをして引き留めさせろ。
宝石はこの時代では貴重な財源だ。マニアに売ればマッカになる」
(・d・)「わかりました。ゆめゆめ渡しはしません」
戻り夜になり、アヤメの自室。
(・殺・)「ねえディー。お師匠から何か悪いお話を聞いてない?」
(・d・)「どうしたんだい、いきなり?」
(;・殺・)「昔からよく変な夢を見るの。特に最近は。誰かが死んでしまう夢」
(・d・)「ぞっとしないな」
(;・殺・)「エンブリオンは大丈夫よね?崩壊したりしないよね?」
(・d・)「君の予知夢がどうだかは分からないが、俺はみんなの事を守る。
アヤメの事も、これまでも、これからも」
(^殺^)「ありがとう」
(・d・)「正直に言うよ。アヤメは天使エンジェルより美しい。約束通り、いずれ結婚しよう」
幽鬼おしちを狩って出たアメジスト─安らぎ、平穏の石をこっそり手渡す。
(・殺・)「大好きよ、ディー」
(・d・)「俺もだ」
アヤメの胸により深く顔を押し付け、抱き合った。
96
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:49:17 ID:jCgkNQ4I0
冬のある日の事だった。
貯蓄は十分だが、数日ぶりに狩りと悪魔集めに赴いた時だった。
昼間にランから切羽詰まった叫び声がした。
(;・j・)「ラン!ランが危ない!」
(・d・)「待て!一人で駆けだすな!」
五人は息継ぎをしつつ急いでシンジュクを出る。
拠点は惨劇にと絶望に飲み込まれようとしていた。
十体以上もの邪鬼ウェンディゴの群れ。
飛び散っている肉片と子供達の死体。
恐らく、昼間のうちに子供達を遊ばせていたうちに襲撃されたのだろう。
鬼類は人の匂いや血を特に好むという。
寒い寒い冬には、氷結魔ウェンディゴの恰好の暴れ舞台だった。
(;・く・)「えいっ!えいっ!」
ホブゴブリンが巨体で数人子供達を庇いつつ、マハラギオンで確実に邪鬼に致命傷を与えていく。
しかし魔力が切れればそれでチェックメイトだ。
マンティコアは体中に凍傷を負いつつ、必死に一体一体を噛み砕き、刺していく。
(#・j・)「ランぅぅぅぅぅぁ!」
ジャックが補助魔法の得意なアーシーズを召喚して各種カジャをかけさせる。
(・e・)「アクアンズ!全部吸収してやれ!」
水の精霊を召喚するが、持つのは電撃を跳ね返す特性だった。
仕方なく電撃と回復魔法による補助をまかせる。
(・殺・)「エンジェル!ドリアード!」
回復が得意で耐性に優れた二体を呼び、ひたすら怪我人や仲魔の回復を任せる。
(;・ハ・)「畜生が!」
親父はひたすら機銃を撃ち、弾が尽きれば七聖剣で斬りにまわる。
しかし一番の頼り手のマンティコアは身をかばうので精一杯。
鍛え抜かれた腕と膂力で数体の中に潜り込んで切り捨てる。
だが後続の群れがやってきてブフーラを浴びせかかる。
(・d・)「親父ですら駄目なのか…兄貴もいない…もう駄目か…?」
97
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:49:43 ID:jCgkNQ4I0
「諦めるな!」
威厳のある声が聞こえる。
(・南・)「南部隊、彼らを援護するぞ!」
「了解!」
緑の軍服を着た厳つい男が指示を出す。
軍用トラックから出てきた部下達が一斉掃射で鬼達を薙ぎ倒す。
指揮を取る男の腕前もすさまじかった。
アサルトライフル一発一発でヘッドショットを決める。
強すぎる増援に逃げ出すウェンディゴ達。
(メ・ハ・)「一匹たりとも畜生どもを逃がすな!」
(・<_,・メ)「わぁっとるわい!」
砦入り口を飛び越え、残党に無数の麻痺針を撃ち込む。
(・く・メ)「よくもおおおおおお!!」
謎の男達の奇襲の隙にマカカジャをかけ終えたホブゴブリンが、麻痺した一団をマハラギオンで溶かす。
(・<_,・メ)「ワシを巻き込むんじゃないわい!危ないのう」
獣特有の俊敏さでとっさに巻き添えを避ける。
(・南・)「君達のような民間人が、いったいどうしてこんなところに居を構えて?」
ディー達はいきさつを説明した。
(・南・)「そうだったのか。子供達を育てつつ悪魔に戦いを挑むとは…
いや、大したものだ。その若さで。
しかし女の子連れで悪魔退治とは、あまり賛成できないな。
危なすぎる」
(・ハ・)「これは我々の問題だ。加勢はありがたいが口を出さないでもらいたい。
それにあなたは何者だ?」
(・南・)「ああ、これは失礼。名乗るのが先だったな。
私は南一等陸佐、自衛隊悪魔討伐部隊の任務にあたっている身だ」
98
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:50:34 ID:jCgkNQ4I0
(・ハ・)「この時代に自衛隊が残っていたというのか!?」
(・南・)「一応大破壊からの生きのこりがいる。
リーダーらしき方よ、きっと私の言い様に気分を害されたと思う。
しかし、子供が悪魔を倒すなどという事は
到底簡単にできるものではない。
我々の部隊の規模ではとても追いつかないであろう。
残念な事だが、シェルターに引きこもった上層部はそれが分かっていないのだ・・・」
ため息をつく南。
(・南・)「だが、果たせぬと分かっていてもやらねばならぬ。
それが、ニホンを守る我々の使命だからだ。
…うむ、何も言うな。君達にも色々理由があるらしいからな。
止めはしない。だが。決して命は無駄にするな。
いいか、必ず、生きて会おう。
いざとなれば少し北の、ゾウチョウテンの社に身を隠すといい」
南部隊はいくつかのレーションやカンパンを残し、去っていった。
(・殺・)「こんな時代にお師匠や兄貴以外にもこんな立派な人がいるなんて…」
(;e;)「「ちくしょう!ちくしょう!俺にもっと力があれば!」
飛び散る肉片の前で地団太を踏んで泣き叫ぶイー。
(・e・)「…そうだ、それだ」
(・j・)「イー、君も生きのこった怪我人の手当を…」
(・e・)「俺は行くぜ。邪教の館に」
(・ハ・)「この非常時に、何のためにだ」
(・e・)「へへへ、力を得るんだよ。俺がありったけの悪魔と合体する。
今の俺の仲魔どもじゃ役に立たないようだからな」
ディーの鉄拳が飛ぶ。
(・e・)「ぐはっ…何すんだよ!」
(#・d・)つ「馬鹿野郎!今まで何のために、三年間歯ァ食いしばってやってきたんだ!
みんなで生き残っていくためだろう!
親父の忠告を忘れたか!」
(;e;)「ちくしょう!ちく…ぢょう!」
(-ハ-)(…本当は俺の役目なんだが、すまんな。ディー)
99
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:12:10 ID:QUsKNLBE0
ラン ;゚ -゚)「幸いというべきか、身体欠損した子は皆死んでるわ…
私は出血がひどい人に輸血をしてみます、兄さん。
でも血液型を測定する機械も薬剤もないからわからないの。
だからいちはばちかになるわ」
(;・j・)「ああ、頼むぞ」
(・ハ・)「死んでしまった奴らは火葬にするしかないな。
悪霊や幽鬼などの恰好の憑代になるからな…」
(・殺・)「死体、私が貰ってもいいですか?」
(;・e・)「何考えてんだ!イカれてんぜ!
やっぱりこの女、頭がおかしいな」
(・d・)「イー!気が立つのはわかるが言いすぎだ!
アヤメ、どうする気なんだ?」
(・殺・)「邪教の館よ。
何もしないより、いいじゃない」
(・ハ・)「何か考えがあってのことだろう。
俺も行く。マンティコアとホブは回復し次第、警護に当たってくれ。
イーは仲魔を出したまま見張り番。ジャックはランのそばにいてやれ」
(・j・)「了解です」
腕に半透明の管が刺し込まれた、シガツという少女が運ばれていく。
ジャックはランと一緒に担架を運ぶ。
ストーンカにリヤカーいっぱいの肉片を運んでもらい、三人で発つ。
血の匂いにつられてやってきた凶鳥を険しい目と銃口を向けて親父が追い払う。
(■┏┓■) 「邪教の館へようこ…ここは死体安置所でもないのだが?」
(・殺・)「街の中でも同じ反応をされたわ。ここでは子供の死体なんて見慣れてるでしょうに
おじさま、悪魔と人間の合体自体はできるんですよね?」
(■┏┓■) 「ああ。できるが」
(・殺・)「これらは今日悪魔に襲われて死んだ私達の仲間です。
無念が消えないうちに…」
(■┏┓■) 「悪魔と死体の合体か。
興味はそそられるが、ちゃんと悪魔ができるかの保障はできんぞ」
(・殺・)「構いません。お願いします」
「わたしは悪霊レムルース。今後ともよろしく…」
100
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:12:54 ID:QUsKNLBE0
人の頭に細い手足がついた、もじゃもじゃの悪魔が仲魔になる。
(■┏┓■) 「ほう。アンデッド系とは相性抜群のようじゃな。
たまたまかもしれんが」
(・殺・)「今後とも、よろしくね。
おじさま、無理をありがとうございました」
深く礼をする。
(■┏┓■) 「いや、構わんよ。
酔狂で貴重なデータが取れた」
(・ハ・)「相変わらず邪教の親父っていうのは悪趣味だな。まったく」
ディーは真意を測りかねていた。
エンブリオンの仲間。
苦痛を経由して死んでいった仲間を悪魔合体に使うなんて!
(;・d・)「おい、どこに行くんだ。
そこは親父に行くなと言われていた─」
メシア教会横、地下街の更に地下への扉。
シンジュクの中でも特に、オザワオフィス以上に禁じられた地。
(・ハ・)「俺同伴ならなんとかなるだろう。
奥にはオザワの信頼する仲魔が番を張っているが、手前までなら大丈夫だろう。
何をしようとしているんだ?」
地下には外ほどではないが、シンジュク入り口よりは強い悪魔がぞろぞろといた。
親父の威嚇で怯まぬ者は容赦なく倒した。
否応なしに、ディーも親父も仲間の死のはけ口が欲しかったのかもしれない。
そのうち、悪霊レムルースの群体が現れた。
(・ハ・)「悪霊、ゾンビには話など通用せん。倒すぞ」
親父が対幽鬼悪霊用に聖水をかけた七星剣を握る。
(・殺・)「お師匠、待ってください」
管からレムルースを出す。
そして敵がざわめき始める。
一斉に涙を流し、仲魔のレムルースと握手をしたりする。
そしてやがて、紙のこすれたような声で
「仲間ヲ タノム」
と言い残し、少なくないマッカを手渡して崩れ落ち蒸発した。
101
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:13:30 ID:QUsKNLBE0
(・ハ・)「信じられん…悪霊なんぞとコミュニケーションを取れるなど…」
(・殺・)「何故かわからないけど、この地下にも無念で成仏しきれない霊がいっぱいいるのがわかります。
オザワがどんな非道な事をしているのか知らないけど、悪魔に守られている奥には相当数の死体があるはず」
(・d・)「アヤメ…?」
(・殺・)「『悪』霊」なんて言われているけど、生前のそれに惨い事をして悪霊にした者こそ真の悪だわ。
霊的存在という意味では、自然から生まれた精霊と肉体的にはそう変わらないもの」
翌日。
夜明けまで付き添っていたランが泣き出し、アヤメが静かに泣いた。
シガツの脈が止まったのだ。
ラン; -;)「ああ!輸血なんかしない方がよかったのかもしれない!
きっと、血液が違ったんだ!」
(・j・)「ラン…」
親父は泣きじゃくるランの肩に手をかける。
(・ハ・)「お前はよくやってくれた。誰もお前を責めはしない。
むしろ最善を尽くしてくれてちょっとでも長く生きられたんだ。
シガツもきっと喜んでいるだろうよ」
ラン ; -;)「お師匠っ…先生!?」
( ■-■)つ「慰問金だ。ひとまずこれで足りるか」
兄貴がいつの間にか医療室内にいた。
珍しく笑顔ではなく、マッカの札束を親父に押し付ける。
(・ハ・)「カネの問題ではない!強すぎるアナタにはわからないのか!?」
( ■-■)「なんだと…」
親父がカッとなって殴りかかる。
その拳をわざと紙一重でかわし、腕が折れそうなほど締め上げる。
(;・ハ・)「うぐぐぐぐ…!」
( ■∀■)「俺に当たるなよ。金はいくらあっても損はねぇ。
それよか、これ以上犠牲を抑える為に最善を尽くすことだ。
お前もわかってたはずだよな。ガキが増えすぎると、その肉を狙うクズ悪魔だって寄ってくるって」
(;・ハ・)「う…」
102
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:13:50 ID:QUsKNLBE0
( ■∀■)「ハリボテでも砦を作っておかなかったら、もっと被害は増えてたはずだぜ。
ジャック、死傷者何人だ」
(・j・)「死者9人です。傷だけ負った者はいません」
( ■∀■)「この先、もっと助けを求めるガキの声が増えるはずだ。
全員拾って守るつもりなら、もっと防護策やできる事を考えな。
お前が自棄でどうすんだ。おっぱいの嬢ちゃんなんかもう動き出してるぜ」
アヤメはディーと一緒に、シガツの死体を運び出していた。
(;・ハ・)「何を…」
(・殺・)「お師匠。ストーンカを貸してください」
力なくCOMPをいじり、アヤメに付き従わせる。
マンティコアもついてきた。
(・<_,・。)「美味そうな肉じゃのう。…冗談じゃ」
リヤカーを獣達に引かせ、南のシブヤに向かう。
(#・e・)「うでに覚えのあるヤツァでてきやがれー!」
森から離れた場所で、イーがボロボロになりながら悪魔との戦いをしていた。
「い…遺体ご供養の依頼で?」
顔を引きつらせるメシア教徒を無視し、邪教の館に向かった。
(■┏┓■) 「シンジュクのから話は聞いておるぞ。死体合体マニアがおるとな」
話は早い。アヤメはシガツに手を合わせ、合体素材用のシリンダーに入れた。
( ■∀■)「ククク、俺に向かって『邪魔をするな』が第一声だった生意気野郎が今やガキを率いる大将ねぇ」
ソファのカウチに腰かけて葉巻を吸う。
(・ハ・)「…歳は俺のほうが上じゃないですか」
( ■∀■)「お前と同じ名前だったから、あそこまで気にかけてんのか?
命なんて毎日毎秒生まれては死んでいく。この世の中では特にな。
わざわざガキなんて一から育てて熱心なこった。
俺にはまるで、何かの贖罪でもしてるかのように思えるぜ。
なぁ、『ディー』さんよ」
103
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:15:00 ID:QUsKNLBE0
ある日、ジャックに留守を任せてシンジュクに買い出しに行った時だった。
親父はあの日から「全て俺の責任だ」が口癖になり、眠る間もなく機械整備をしていた。
兄貴の知り合いだという科学者を派遣してもらい、大規模な改造をしたりもしている。
(□月□)「この私、D.rバクタにできない事があるという科学的根拠はないのだぁ!」
(-□〇□-)「ヘイ!メシア教徒狩りのボランティアでーす」
悪名高いガイア教徒の狂犬、しょけいライダーの一団だ。
バイクで脅しをかけ、金品、更には命まで強奪するチンピラ。
(・d・)「俺達がメシア教徒でないことは、恰好でわかるはずだが」
(-□〇□-)「どうかな?ガキにしてはいいもんぶらさげてんじゃねーか。
あのおっさんも最近見ないし。ここらで灸をすえておこうと思ってよ」
(・d・)「お灸だと?俺達が何をした」
(-□〇□-)「へへへ。弱いくせにハンドベルトコンピュータなんて持ってよう。
ちょっと見せてくれよ。ついでにシマ荒らしの迷惑料として…」
(・d・)(なんてくだらない!悪魔には手も足も出ないくせに)
(・殺・)「テンタラフー」
アヤメが詠唱すると、うねった不可視の波がライダー達を襲った。
(-□〇□-)「あひゃひゃはひゃ!」
(;-□〇□-)「お前ら、どうしたんだ!?」
(・殺・)「次はマハザンマで精神ではなく身体を壊しますよ。本気です」
(-□〇□-)「目がイッてるメスガキだぜ!逃げるぞ!」
リーダーらしき男は仲間を引っ張ってバイクで逃げて行った。
(・e・)「やりい!置いてったバイクは換金しようぜ」
(・殺・)「移動手段として使うのもいいかもね。一旦持って帰ってお師匠に相談しましょう」
拠点に戻ってきた。
(・d・)「親父。なぜなんでしょうね」
(・ハ・)「何故、とは?」
(・d・)「悪霊ですら同族を思いやりました。でも人間同士は殺しあって足を引っ張ってばかり」
104
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:15:32 ID:QUsKNLBE0
今日は真Ⅴ発売日だヒャッハー!
イズンちゃんイズンちゃん!
105
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 22:02:22 ID:QUsKNLBE0
4年目。
ある一団がイチガヤ方面を、トラックを飛ばし悪魔から逃げていた。
(・五・)「もっとスピード上げて!ボクがやる!」
男勝りな女の子が、運転手の男を押しのけてハンドルを握る。
「馬鹿言ってんじゃねえ!しょけいライダーどもに奪われてガソリンもろくにねえんだぞ!」
(-□〇□-)「ヒャッハー!ついでに命もいただこうかぁ!」
悪魔に便乗し、しょけいライダー達もジャッカルのように狐を追う。
(・五・)つ「追い込まれた狐は、ジャッカルより狂暴だよ!
何の動物か知らないけどね!」
少女が助手席から貧相なマシンガンを撃つ。
まともに頭に喰らい、ロクデナシが一人転倒する。
(-□〇□-)「てめぇー!」
怒り心頭のライダーリーダーが、ドラゴンATMを投げつける。
爆発で窓が割れ、後部座席に乗っていた狙撃手が燃える。
(・五・)「テメェはこっちが言いたいよ!ガソリンに引火したらどうすんだ!」
黒いタンクトップ一丁の少女は応戦し、次に投げられてくる投擲物を撃ち狙う。
手ごと爆発し、ライダーのうち一人が喚きながら転倒する。
途端、獰猛な魔獣のうち一体の標的がそれに変わる。
断末魔をあげながら食われていく。
(・五・)「追いつかれたら次の獲物はボクらだよ!どこか街に逃げ込んで…」
「シンジュクは既に支配者がいるって話だぜ!受け入れてくれるわけがねえ!」
(;・鼠・)「追いつかれちゃうっすー!」
後部座席の前方に転がっていた、出っ歯の男が悲鳴を上げる。
(-□〇□-)つ「オラァ!」
鉄パイプ銃が撃たれ!後部のタイヤがパンクする。
「やったらぁー!」
元運転手が拳銃を持ち特攻するが、あえなく悪魔の群れに踏みつぶされる。
(;五;)「ボクは最期まで戦う!こんな奴ら相手に…」
「悪党、成敗ッ」
106
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 22:02:46 ID:QUsKNLBE0
(・五・)「え?」
トラックを取り囲んでいたライダーと悪魔達が、ニヤけながら三体の戦車に轢き潰される。
三体が一斉掃射で上空の妖鳥、凶鳥を片づける。
銀のT95CPが二体と、T95Dが一体だ。
確か奴らは警視庁がかつて作り、大破壊によるショックで手に負えなくなり暴走し
地上で悪魔人間問わず攻撃を仕掛けてくる虐殺マシンのはずだ。
(・d・)「地上型の数が多いな」
(・e・)「合体だ!」
(・j・)「単調すぎますよ!」
(・d・)「いや、一気にカタをつけた方がいい。人が狙われてる」
人型のマシンT93Gが戦車の一体の中から躍り出る。
三体の戦車が可変し、銀のマシンが腕のような変形をする。
緑のマシンは脚のようになり、T93Gを中心に結合していく。
(・d・)「チェンジ!オオツキィー!ワンッ!」
人型ロボを頭部とし、全長3メートルはありそうな巨大ロボットが砂煙と共に立ち上がる。
一蹴りでアツユを一体飛ばし潰す。
両腕の前腕にあたる部分から出てきた機銃が、邪龍ワームどもを蜂の巣にする。
(;・五・)「す、すごい…」
出っ歯の少年と共に、トラックの中に戻り震えあがる。
ミキサーの歯のような掌が、タムズを握り潰し投げ捨てる。
(・d・)「プラズマァッシャー!」
掌の奥から、破魔矢を原動力とした光線を放つ。
いやしきグールどもを蒸発させる。
ブッカブーの群れがブフーラの連発で脚を凍らせる。
(#・e・)「うざってぇ!」
片腕から出てきたイーが、マハラギストーンをありったけ投げつけて黙らせる。
(・d・)「来るぞ!」
邪龍ワームが互いを喰らい始め、やがて無数の触手を持つ怪物になった。
さながら龍王ヤマタノオロチの出来損ないのようだ。
(・五・)「うげぇ!なんだあれ…」
107
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 22:11:16 ID:QUsKNLBE0
鉄の拳でしょけいライダーどもの残党を握り潰していたロボに触手が迫る。
絡め取られ、押し倒され衝撃が来る。
(;・j・)(;・e・)「うわあっ!」
(-□〇□-)『マたてめぇらか!邪魔ばっかりしヤがって!
ハラ決めたゼ、決着つけてヤる!ナメられたままじゃなア!』
以前見逃したしょけいライダーチームのリーダーだろう。
ワーム群に自ら喰われ、意識を融合させている。
(・d・)「オォープンゲットォ!」
ディーがボタンを押し、緊急回避を作動させる。
マシン達は分離し、触手を無理矢理千切り飛ばす。
『いでえいでえいでえいでいでいでおおおおお』
(・d・)「手数はあっちの方が上だ!
パワーで一気に押しつぶせ!」
(・e・)「了解!
オオツキ、チェンジ、スリー!」
マシンが再び集結する。
今度は銀のマシンがキャタピラの両足になり、緑の太い腕が現れる。
「ムド!」
フリアイの一羽がねばつく梵字を当てる。
(・e・)「マシンに呪いなんざ効く科学的根拠はないのだぁ!」
フリアイをリーチ差で殴り潰す。
キャタピラの推進力で一気に突進し、ワーム融合体の顔にナックルを入れる。
(;・e・)「でぉやあああああああああああああ!」
『いでえいでえお前らオマエハにクダ…喰ってやる喰ってやる喰ってやるるるるる』
しょけいリーダーは哀れにも自我を侵食され、自己崩壊し始めているようだ。
手あたり次第に機体の隙間から触手を侵入しようとしてくる。
ジャックの悲鳴が上がる。
(#・e・)「ハンマーァ!パンチ!」
両腕を固め、渾身の降り下ろしを喰らわせる。
触手の顫動が徐々に止まり、うめき声と共に巨大な炎が上がり灰ができあがり始める。
(;・五・)「た…助かった…?」
108
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 23:17:05 ID:QUsKNLBE0
しばらく更新が遅れるかもしれません。
真Ⅴ、フィールドの荒れっぷりがすごくて魅了のバステ入りました。
真Ⅰの大破壊後を3Dにしたら、こんな感じだろうなと。
https://www.youtube.com/watch?v=v08Qfrj07jA
今回の戦闘はこれを1.25倍にでもして聞いてください。
耐性に優れたマシンが電撃以外でやられる科学的根拠はないのだ!
109
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:32:46 ID:H6GnHuAs0
三年目も終わり、四年目の始め、旧ニホンでいう正月を迎えた頃だった。
仲間達を喪った哀しみも徐々に癒え、エンブリオンは冬前に更に大所帯になり50人を越していた。
親父の提案で、希少度の高いもち米を買いそれを蒸して餅というものを作っていた。
これを固め、鍋に入れて色々なものと混ぜたものを「雑煮」といい、年始めにはこれを食べるのが昔の習慣だったらしい。
何故わざわざ柔らかく仕上がった餅を硬くしてしまうのか、ディーにはいまいち意味がわからなかったが。
年の終わりは、ディーとアヤメは自室で抱き合い、吸い付いた。
( ■∀■)「ヒョウッ!あけましておめでとさん!」
兄貴が、紙の小さな袋にマッカ札を入れたものをエンブリオンメンバー全員分作って持ってきた。
(・ハ・)「俺の分もですか…年上なんだけどなぁ」
( ■∀■)「お前も三が日くらい休めよぉ。爆田のジジイもヤサ帰ってゆっくりしてるぜ」
(・<_,・。)「ワシらも休んでいいのかのぉ。いつもいつも防衛と運搬で疲れるわい」
(・く・)「マシンも休ませてやらないとな!」
(・ハ・)「キョウさんには本当に感謝しています。ドクターを紹介してくれたおかげで…」
( ■∀■)「堅苦しいのはいい。ヤれよ」
兄貴は大袋の中からどっさりと、剣になりそうにない木の板とカイトを取り出した。
ハゴイタという板で玉を打ち合い勝負し、凧と言われるカイトを糸で引っ張っり、うまく風に浮かせて遊ぶのだそうだ。
兄貴の周りに子供達が群がり、遊び方を教わると夢中になってやり始めた。
(・ハ・)「…俺も久々に、やるか」
兄貴に誘われ、親父もやり始めた。
ディー達も。
( ■∀■)「そういや嬢ちゃん、悪霊を降ろししまったんだって?
それで正気を保ってるってなかなかだな!ヒョウッ
おっと、俺はこれでも土をついた事はねぇ!」
(;・ハ・)「テニスじゃないんですよ!」
隕石の如き勢いの玉を撃ち出して勝負を終わらせる。
(・殺・)「ええ。悪霊ファントムです」
管から、美しい緑色の歪んだ顔の霊が顔を出す。
だが苦痛に歪んだ顔ではない。
「アヤメ イッショニ イル タノシイ。 チカラ カス」
110
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:33:07 ID:H6GnHuAs0
( ■∀■)「ほう。ここまで忠誠度…いやその言葉は嫌いだ、懐かせるとはねぇ。
歴代ライドウのお付きのクソ猫の座右の銘は『仲魔と仲間をはき違えるな』で、
仲魔を道具として割り切るのを推奨してたようだが。
それじゃあオザワの腐った糞や、悪魔を使い捨ての爆弾扱いしたっていう初代葛葉狂死と変わりねぇ。
召喚にマッカやマグを払うし合体にも使う契約上の関係とはいえ、
仲魔は粗末にしたくねぇもんだな。
もっとも、初代狂死の我武者羅すぎる狂った生きざまはソンケーしてるんだがな」
(;・e・)「そうだ、アヤメ姉。改めてごめん。
姉ぇの気持ちも知らず、『頭のおかしい女』なんて…」
(・殺・)「もういいのよ。一月に一度土下座に来られてもこっちが困っちゃうわ」
アヤメは苦笑する。
(・殺・)「それにやっぱり、死体とはいえ仲間を悪魔合体素材に使うなんて…」
(・j・)「それはある意味において、とても有効的な手段だ」
子供達が新鮮な遊びに興じているなか、幹部たちは次々と集まってきた。
(・d・)「どういう意味だ、それは」
(・j・)「死体を火葬して灰にして肥料にするというのも、『燃やす』というリソースが発生する。
土葬というのも悪霊の類が憑依しないように聖水をかける手間と費用、
新鮮な血と死体の臭いに敏感な種の悪魔に拠点を嗅ぎつけられる可能性がある。
死体という『痕跡』を丸々残さず、戦力も強化できるなら一石二鳥…」
(#・e・)つ「ジャックてめえ、アヤメ姉の気持ちを…」
イーが詰め寄って胸倉を掴む前に、ジャックナイフを素早く出して牽制した。
(・j・)つ「こんな事は言いたくない。だがエンブリオンの存続の為だ。わかってくれ」
最初のウェンディゴ襲撃以降、たびたび住処を追われた悪魔の襲撃があった。
少数の死者を出しつつ、それらを切り抜けてきたジャックの目つきは冷徹なものに変わりつつあった。
更に兄貴に精力的に勉強や効率のいい組織運営方を学び、もはやエンブリオンの参謀(ビショップ)になりつつある。
( ■∀■)「瓦割り〜」
兄貴が二人の頭をチョップで軽くはたいた。
( ■∀■)「三が日くらいは暗い話はなしにしようや。
頭切り替えて考えねぇと、ぶっ壊れちまうぞ」
(・ハ・)「あの手法はアヤメが自分で決めた事だ。それを俺は止めはしなかった。
つまりリーダー公認ということだ。
ガキどもの死に意味を持たせるためにも、そういう弔いもアリだとは思う」
111
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:33:28 ID:H6GnHuAs0
(・ハ・)「そういえばドクターは?こんな時だからこそ礼はしたいのですが…」
( ■∀■)「一斉に餅を食うって聞いて、『餅が詰まらない科学的根拠はないのだ!』って元警視庁のラボにこもりっぱよ。
ちゃんと研究費は余分に渡してあるから気を遣うなよっ」
三が日が過ぎた後。
子供達は自室や寝室で休ませておいた。
(・ハ・)「さて、これで無事に四年目を迎えた事になる」
(・d・)「はい!新年もよろしくお願いします」
(・ハ・)「さて、お前らへのお年玉がある」
(・月・)つ「そんな科学的根拠はないがな」
バクタ博士が、豪快に大きな布を取り払う。
(・j・)「これは…」
(・e・)「防衛用のマシンじゃねえか。これがなんなんだよ爺さん?」
(・ハ・)「爺さんはやめろ。偉大なる恩人だ。
お前らにはこの三機に乗って戦ってもらう」
(;・j・)「ば…馬鹿な!
確かに生身で戦うよりは安全ですが、もし故障や最悪爆発があったら…」
(・月・)「そんなアクシデントがないという科学的根拠は」
(・d・)「ないって言うんでしょ。ドクター」
(・月・)「話の腰を折るなぁぁ!
いいか、これはただのマシンではない。
男のロマン、合体ができるのだ!」
(・d・)「合体?邪教の館にでも行くのですか?」
(・ハ・)「ドクター、彼らに言ってもわかりませんよ。
何せこの時代には、モデルとなった漫画やアニメがないんですから。
メシア教徒の説法放送や広告なら腐るほどありますがね」
(・月・)「よろしい。ではオートパイロットで見せよう」
博士がリモコンを押すと、倉庫から鉄塊が三つ出て行った。
そして外に出ると、形状を徐々に変形させ人型になる。
足元には元マシンのタイヤがローラーブレードのように付いている。
112
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:33:48 ID:H6GnHuAs0
「すげー!なんだあれ!」
「ピカピカのでかい悪魔ー!」
主に男の子達が防空壕から頭を出し、顔を輝かせている。
ラン ゚ -゚)「今は外に出ちゃだめよー!」
二階の医療室から、ランが子供達に呼びかける。
(・ハ・)「こんな時代でも、男は変形物や変身物への憧れがあるのか。
何か遺伝子に刻み込まれてるのかもな…フッ」
巨大な人型ロボが、半膝立ちで立っている。
(・月・)「これは私が大破壊前に思い浮かべていた、マシンの限界を越えた究極形態だ。
生半可な悪魔なら踏みつぶせるし殴り殺せる」
https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/shinmegamitenseiif/attach/263/885/0274.gif
(・d・)「しかし人型にしては、頭部がないようですが…」
(・月・)「ああ、これは合体機構なしで当時想定していたものだ。
私の肉体を頭部、中核とし直接制御する。
だが流石にそれでは人間部分を狙い撃ちされて終わるわな」
(;・j・)「欠陥品じゃないですか!そんなもので悪魔と戦えと!?
ブレインとしてはこんなものは承認できませんね」
(・月・)「お前の意見など聞いておらん。
チェーンジ、オオツキィー、ワンッ!」
ドクターが大声を出すと、巨大な人型が分離し三つの戦車に戻る。
そこに等身大のマシンT93Gが躍り出る。
それを中心に再合体が始まる。
(・d・)「おお…」
ちゃんと頭部のついたロボットが姿を現す。
鉤爪状の腕を振りかざし、第二の監視塔予定地の地面を大きくえぐる。
(;・e・)「すげえ!この力ならみんなを守れる!
これが俺達のものになるんですか?」
(・ハ・)「最初の大襲撃で思った。このままではいけないと。
しかし焦って力を手に入れるのもいけない。
故に、悪魔合体に頼らない『護る』力をキョウさんに相談したのだ」
(・月・)「御立派だがまだフレームだけで完成形ではない。
これから操縦を覚え、必要に応じて装備を追加して整えていく」
113
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:34:26 ID:H6GnHuAs0
(・ハ・)「キョウさんによると、アヤメには超能力者の兆しがあるようだ。
頭部となるコアにはアヤメの念を少し補充しておく」
(;・d・)「アヤメを…コアに?」
(・月・)「安心せい。命を注ぎ込むということではない。
超能力者が日常で漏らす過剰な念力を注いでおくということじゃ。
ハンバーグでいうつなぎというところか。
科学的根拠はないがな!だって私の専門外だもん!」
次の日から、三人の訓練と装備の調整が始まった。
どのような技術か、操縦レバーやスイッチなどはなく音声認識で変形、分離するようになっていた。
厳しめの訓練のせいで、衝突する事もしばしばあった
(・月・)「お前の頭が悪い科学的根拠はある!」
(#つ・e・)つ「うるせーくそじじー!」
殴りかかったイーを、プラズマを帯びた博士の右腕が殴り飛ばす。
ずっと巨大な包帯で隠されていたものは、ハサミ状のメカアームだった。
(・月・)「言っただろう。このマシンは私の考えうる究極の完成形だと。
私は大破壊前に研究していたのよ…自分の体でな!」
遊びに来ていた兄貴以外、皆引いていた。
(・月・)「その馬鹿力を活かさんか!お前の短刀はオオツキスリーじゃ!
他の形態と違い、走行とパワーを特に重視したものだ!
ジャックのオオツキツーは飛行スピード型だが火力が足りん!
オープンゲット、つまり分離を活かして悪魔の弱点を突け!」
(・e・)「チェンジオオツキ!スリー!
いいじゃねえか!気に入ったゼ!」
無骨な人が付いた巨大戦車のような体躯に惚れこむ。
( ■∀■)「何とかとハサミは使い様ってな。
イーは直情だけど正義感あっていいと思うぜ」
(・ハ・)「そうですね。暴走気味になるのがタマにキズですが」
( ■∀■)「問題なのはジャックだな。
少し物事について冷ややかになりすぎじゃねー?
そのうちエンブリオンの為なら、仲間殺しでも平気でしそうなテンプルナイトみたいな目だぜ。
お前もここずっと作業しすぎだ。目にクマできてんぜ、そろそろあいつらに任せて少し休めよ。
何のための幹部指名よ?」
ラン ゚ -゚)「そうです。お師匠、ここ数か月休みを取っていません。医療室で休養と栄養を取ってください」
(#・月・)「よし!仕上げにプラズマ・パワーの投入だ!」
114
:
名無しさん
:2021/11/14(日) 03:50:03 ID:qMGcUu260
乙!
115
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/15(月) 21:56:03 ID:ddb0iw8o0
ご愛読ありがとうございます。
学園の悪魔使い、ぼった…新装版買いました。
結局デビチルも全巻紙も電子も買っちゃうもんなァ…
やっぱり人間が悪魔にザクザク殺されていく無常さは
https://sm.ign.com/ign_jp/screenshot/default/02-25_re2e.jpg
https://www.4gamer.net/games/368/G036838/20210830016/SS/027.jpg
https://sm.ign.com/ign_jp/screenshot/default/01-3-p3-01_ffpx.jpg
('A`)「しかしショウヘイとかいう奴、まだ会ってはいないがかなり小物臭いな。
悪魔は不幸しか呼ばんから狩るといいつつ、女悪魔はべらせてイキってやがる。
刀使いなら、モノも腕もナマクラじゃないかどうか一度お手合わせしてみてェもんだぜ」
http://blog-imgs-62.fc2.com/c/h/e/chemrea/2014021223483170a.jpg
レインはショウヘイさんをパクったわけではありませんッ!
そもそも思いっきり楽しむ為に前情報ほぼ仕入れずプレイしているので。
元ネタは超マイナーなメガテン小説のキャラをベースに、某ライダーのカイザを悪魔合体した感じです。
カオスヒーローと戦えるDLCが欲しい…
116
:
名無しさん
:2021/11/16(火) 22:04:58 ID:VRDjVrV.0
乙!
117
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/18(木) 22:35:47 ID:eBWhILH60
ご愛読ありがとうございます。
投下できず続きで申し訳ないですが、一日一レスは書くように心がけています。
( <●><●>)「そういう場でないのはワカッテマスが、少し愚痴を書かせてください」
二次創作とはいえ書き手が人を批判するのもどうかと思うのですが…
D2の新シナリオもやっぱり正直アレでした…
やはり味方人間のメイン人数が多すぎると、各々に見せ場を作らなければと思って冗長のグダグダになってしまうのでしょうか。
3人で旅する真Ⅰが一番バランスがいいと思います。
イキリ大司教のモナークも、これのどこがifだ!とつまらなすぎてクリア後にカード割りました。
メガテン始祖の西谷先生と伊藤龍太郎先生は尊敬していましたが、泥船に乗せられてしまってかわいそうだと思いました。
学園の悪魔使い復刊は、真Ⅴ記念と同時にモナーク如きにこれが本物だと現実を見せつけるというのもあったのかな、と今は思います。
真Ⅴは少しづつしか進められてないですが、今のところ面白いです。
真Ⅳの尻すぼみ感がなく、ハードでやっていると少しのミスでぶっころなので悪魔との命の殺りあい感があっていいです。
悪魔もデザインがいい!
真Ⅲまでのメガテンをドキドキしながら初見プレイしていたのを思い出します。
反省がちゃんと活かされているな、待った甲斐があったなと感じています。
明日には5年目突入くらいまで怒涛で書き溜めてICBMの如く投下できればと思います。
今後ともよろしく…
118
:
名無しさん
:2021/11/18(木) 23:46:06 ID:aZPOpK.s0
正直長く楽しみたいからゆっくりしていってね
119
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/19(金) 21:06:09 ID:ZdS1ai6I0
ありがとうございます。ゆっくりしてるぜ!
今日は部分月食は、メガテン的には悪魔の反応どうなんでしょうね。
120
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:51:41 ID:REAIZM..0
(・ハ・)「実戦はもう問題ないな。
トラックは牽引し、ガソリンはマシンに」
(・j・)「生きのこったのは二人だけか。オオツキ1号、3号にの乗せていってくれ」
(・e・)「大層な口聞くじゃねえか。てめぇはどうすんだ」
(・j・)「私には私でやる事がある。突っかかるな。
チェンジ!オオツキツー!」
霊鳥のような姿に合体変し、中波したトラックを釣り上げる。
シンジュクに戻る途中で、カメラがズームされる。
離れの小さな森に、赤きマントを外した邪鬼ウェンディゴ数十体の群れがある。
(・j・)「先日に偵察悪魔を出したところ、奴らは何者かの飼い悪魔ということが判明した。
ここで繁殖、増殖を繰り返して尖兵を増やしていると思われる」
(・d・)「何をする気だ?
あの数相手では親父を含めてもきついぞ。
それに動きを封じる氷結魔法の使い手ということを忘れるな」
(・j・)「あの周辺に爆薬をいくつか包囲するように埋め込めさせておいた。
これも私の小遣いの自費から出したものだ。エンブリオンには影響はない」
オオツキ2の腹部が開き、いくつもの地獄玉が降り注ぐ。
(#・j・)つ「鬼(イレギュラー)がぁぁぁ!」
連鎖爆裂で一瞬のうちに草、木が燃え盛り更地になる。
すぐさま溶けていくもの、溶けかけたり大やけどを負いながらも灰をこぼし逃げようとするもの。
(#・j・)「逃がすかァ!」
ありったけの破魔矢ビームを投下。完全にトドメを刺す。
(;・鼠・)「う、うわああああ!降ろしてくれえええええええええ!」
出っ歯の少年は機内で暴れる。
(・d・)「落ちつけ。これから君達を我々の拠点に連れて行く」
拠点。
(・d・)「ようこそ、エンブリオンへ」
(;・五・)「よ、よろしく…」
二人の子供はおぼつかなげに会議室のソファに座る。
121
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:52:03 ID:REAIZM..0
(・五・)「ぼ、ボクはサ…」
(#・e・)つ「どういうつもりだ勝手な事すンじゃねぇ!」
二人の自己紹介が始まる前に、頬を殴る鈍い音が鳴った。
(・j・)「よりにもよって君にそんな事を言われるとはね」
吹き飛ばされたジャックが静かに立ち上がり、
(#・e・)「もし逃がした奴がいたらどうすんだ!
ステルス機能?ってのもないし拠点に帰るのも丸見えなんだぞ!」
(・j・)「私が自力でマッカを貯めて実行した作戦だ。
奴らが集まってエサを一斉に食い始める時間は把握している。
何も考えずに君みたいに直情でやったと思うかね」
(・e・)「てめ…」
(・d・)「二人ともやめろ。二人ともビビってる。
イーも今後悪魔掃討をする時は親父や俺、兄貴やドクターがいれば誰かに相談してくれ」
(・j・)「すまない。喰われた中には私の教え子もいたのでな。
今後また育てた者が犠牲になったら時間の無駄だと判断した」
冷徹に言いつつ、握る手が震えているのを一人だけ見逃さなかった。
(・d・)「いきなりすまない二人とも。あれが日常茶飯事だし、二人は実は仲はいいんだ。
落ち着いてからでいいから、自己紹介と出身地、何故逃げる事になったらいきさつを教えて欲しい」
ソファに座ったまま、両手を組んでディーが諭す。
(・鼠・)「オ、オイラはネズミと言いやす!
き、金の女がいきなり現れてみんなおおおおおおおお鬼に…」
タンクトップの女がネズミと名乗る少年をゲンコツで上から殴る。
(#・五・)「アンタは挙動不審りすぎなんだよ!
ボクが説明する…スーハー…」
(・五・)「改めて、僕はサツキ。
まずは助けてくれてありがとう。
五月に生まれたからこんな名前らしいんだ」
金髪の少女は深呼吸をしてタンクトップをめくり顔の汗を拭く。
対してないが、下乳が見えそうだ。
(・j・)「で?」
(・d・)「急かすな」
122
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:52:24 ID:REAIZM..0
(・五・)「ボク達はアカサカに、小さいけど地下コロニーを作って暮らしていたんだ。
ある時、メシア教のシスターが来たんだ。訪問っていうのかな?
食糧とか色々くれたよ」
(・ハ・)「シブヤ支部からの支援か?唐突だな」
(;・五・)「でも今日の朝にいきなりでかい音が響いたと思ったら…思ったら…」
サツキは声を詰まらせる。
(;・五・)「コロニーの半分くらいが、鬼になってて、噛まれた奴も顔が変わって鬼に…」
─
「救済よ!愚かな者たちに救済を!」
(・・・)「ククク!」
(;・五・)「シスター!助けてください!」
「助けてあげるわ…見苦しく生きている貧しい浮浪児は…
死ねばいいのよ!」
サツキの隣の少年の頭が爆ぜる。
(;・五・)「そんな…」
(・黒・)「下がれ!」
コロニーリーダー、クロエが銃を乱射する。
(・・・)「テトラカーン」
黒き悪魔が障壁を張ると、ありったけの銃弾がクロエを襲う。
戦闘慣れはしているらしく、顔面だけは手で覆う。
だが血が全身をしたたる。
(;・黒・)「武器庫に走れ!トラックに乗れ!」
銃をサツキに放り投げ、ナイフで黒い悪魔に斬りかかる。
黒悪魔はすんでで避け、住人だった鬼を差し向ける。
数体はナイフ捌きで首を切って無力化したが、背後の鬼に肩を噛み付かれ血が滲む。
(;・五・)「クロエ姐ぇー!」
(;・鼠・)こっちでやんす!
ありったけの武器を持ち越した仲間を連れたネズミに先導され、緊急避難ダクトを通る。
(φ黒・)「ああああああああああ…ガアアアアアアア…逃げロ…」
123
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:52:47 ID:REAIZM..0
(;五;)「クロエ姐を置いていくなんて!」
先頭のネズミの背をポカポカと叩く。
(;鼠;)「いつもみたいに力が入ってないでやんすよ。
せめて逃がしてもらったオイラ達が生き延びないと…」
「ぎゃーあ!」
殿の子供が鬼の腕に引き込まれ、ずり落とされる。
(;・鼠・)「早く逃げるでやんす!
ハンスが先に行ってトラックの発進準備をしているはずでやんす」
地下エレベーターに、トラックのエンジンをかけた大人の男が待機していた。
「遅いぞ。早く乗れ!」
エレベーターが昇降し、地上に出る。
カモフラージュ用の土が吹き飛ぶ。
(;・五・)「これからどうすりゃいいのさ」
「シブヤに向かって、保護してもらうついでにあの狂人シスターのやった事について問い詰める。
本当はシナガワ本部に行きたいんだが、瓦礫の山が越えられん」
(;・鼠・)「誰かいるでやんす!」
しばらく走らせると、バイクに跨った複数の人影が現れる。
(;・五・)「避難者かな?一緒に逃げよう!」
「馬鹿野郎!ガイアのクソ野郎どものしょけいライダーだ」
(-□〇□-)「よう。ここを張ってりゃいい獲物があるってリークがあったよ。
今日はあの糞生意気な女リーダーもいないようだな?え?」
「ごちゃごちゃうるせえ!」
ハンスがトラックを急発進させ、ライダーの一人を跳ね飛ばす。
(-□〇□-)「やってくれたな!お代はてめぇら全員の首だ!
男はオザワに売ってガキは臓器用に卸し、女は俺らの慰みモンだァ!」
リーダーが銃でむき出しのエンジンタンクに穴をあける。
そのまま走り去る。悪魔もわらわらと追ってくる。
「希望は…ないのか…
いや、行けるとこまで行くぜぇぇぇ!」
124
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:53:09 ID:REAIZM..0
─
(;五;)「そこで、そこで、助けられて…
ハンスも皆も…うううううう…あああああ!!!」
(;鼠;)「クロエ姐ェ…!ラット、マウス…!」
二人ともおいおいと号泣しはじめた。
(#・五・)「助けてもらってありがとうだけど、今からコロニーに戻る!」
(・d・)「何をするつもりだ?」
(#・五・)「みんなの仇を取る!まだ生きのこってるヤツもいるかもしれないんだ!」
(・e・)「面白れぇ!俺も乗るぜ!」
(・d・)「ラン、鎮痛剤と鎮静剤を。医療室に運んでくれ」
ディーが少女を押え、部屋の隅に控えていたランが首筋に慎重に薬を打つ。
(・五-)「君達もあいつらの手先!?うっ…」
(・d・)「まず落ち着いて疲れを癒せ。ネズミ君と言ったな。
君も疲れているところすまないが、コロニーの見取り図はあるか」
(;・鼠・)「武器以外は置いてきちゃったから今、書くでやんす」
サツキはあっという間に眠りについた。
ラン ゚ -゚)「あら、キョウ兄貴に連絡取れるかしら」
搬送中に、少女のタンクトップから突起が浮き出ているのを見た。
(・e・)「どういうつもりだディー兄ぃ。生存者を助けたくねぇのか」
(・d・)「親父、俺の判断は間違っていると思いますか」
(・ハ・)「策もなくいきなり突っ込むのは無謀だ。鬼…悪魔だろうが、がどれだけ強いかわからん。
感染能力があるようだから、無策で突撃してエンブリオンメインメンバー全滅は避けたい」
(・j・)「同感です。私も数か月かけてウェンディゴどもを一掃する機会を待った」
(・ハ・)「それに恐らく…人間としての生存者はいない。
深夜の次に無防備な朝方の突然の奇襲、そしてリーダーが閉じ込められたままとなれば猶更だ」
会議室を重い沈黙が覆う。
125
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:53:31 ID:REAIZM..0
翌日。
(^五^)「ふースッキリした!」
朝食の古米チャーハンを貪りながら、サツキは笑顔ではしゃぐ。
(・j・)「熱くなってすぐ冷える。まるで鉄だな。
イッポンダタラという悪魔がいれば、さぞいい材料にされていただろう」
食事のあと、神出鬼没な兄貴が女悪魔に採寸を測らせていた。
( ■∀■)「ヒョウッ!新顔さんのお出ましかい」
(・ハ・)「キョウさん、ご無沙汰しております」
( ■∀■)「嬢ちゃん、上級悪霊とうまく共生してるみてぇだな。
ファントムは強い魔法を持つが魔力がからっきしですぐ弾切れだ。
そこを嬢ちゃんの強い魔力で補って、それを俺から教わらずにやるとは、ヒョウッ!」
(・殺・)「そ、そんな、私はそんな…」
アヤメが赤面する。ディーの心にまた黒いものが走った。
(・五・)「…わかった」
昼前に会議室。
(・d・)「今すぐ突撃しても返り討ちにあうのがオチだ。
慎重にメンバーを選定し、二日後に行ってみる。
君には悪いが、不利と思えば一時撤退も考える」
(・鼠・)「力を貸してくれるだけでも、ありがたいでやんす」
ネズミが一礼した。
(・d・)「かしこまらなくていい、よかったら我々エンブリオンに─」
(・j・)「早計だ。これ以上無駄な食い扶持を増やすのは」
(#・e・)「てめぇ」
ラン ゚ -゚)「兄さん。エンブリオン、いや師匠が私達を見返りなしで受け入れてくれた事を忘れないで」
(・j・)つ「私は無駄に怪我人が出て、お前の負担が増えるのも危惧しているんだよ」
ジャックはかわいい妹の頭を撫でる。
(・e・)「まるでお前マシンにでもなっちまったみたいだな」
126
:
名無しさん
:2021/11/21(日) 02:44:06 ID:p8k9qAuA0
乙!
127
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:43:09 ID:vTVKzP0.0
(・j・)「悪魔相手に人間の感情丸出しで接する君よりマシだよ。さて」
ジャックは目を細めて二人を睨みつける。
(・j・)つ「選定は師匠、私を含めた三幹部、お前達二人とする。
そしてサツキとやら、我々幹部やリーダーがアカサカに赴くとして、どれだけ罠でない保障があるのかな。
お前達二人が悪魔の擬態でないとも限らない」
ナイフを向ける。
ラン ;゚ -゚)「兄さん!」
(・五・)「これでいいのかな」
おもむろにジャックに近づき、ナイフの切っ先を二の腕に当てる。
細く、赤い血が流れる。
(・鼠・)「サツキ!?」
(・五・)「ボク達は悪魔なんかじゃない。赤い人間の血が流れてる。
なんならこの血を調べてくれても構わないよ」
(・j・)「結構だ。ラン、血液の採取と成分分析を」
ラン #゚ -゚)「止血が先でしょ!」
ランは急いで腕に包帯を巻く。
滴り落ちる血を薬剤入り試験管に入れるのも忘れない。
管を揺らし掻き混ぜる。
懐からありったけのマッカをテーブルに出す。
(・五・)「これがボクらの有り金全部だ。
コロニーに行けば、まだ少しはマッカも物資もあるはずだよ」
(・j・)「持ち込んできた銃も、使い慣れた一丁以外は置いていけ」
(・五・)「ボク達が裏切ったり逃げ出したりしたら、即撃ち殺してくれてかまわない」
(・j・)「当然だ」
(・d・)「すまないが、今回アヤメは防衛も兼ね、マシンに魔力を込めておいてくれ。
アカサカにいる相手が膂力のある鬼族だとすると、体力的に不利なのもある」
(・殺・)「…了解」
ラン ゚ -゚)「解析できたわ。悪魔の血は混じってない」
128
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:43:36 ID:vTVKzP0.0
夜、ディーの自室。
(・殺・)「ねぇ、私も行かせてよ」
今夜はアヤメがディーの胸板に縋りついていた。
(・d・)「駄目だ。誰かが残って防衛していないといけない」
(・殺・)「…わたし、最近また夢を見るの。
たくさんの子供達が死んだ夢」
(・d・)「俺の事もかい?」
(・殺・)「…」
身体を離し、目を背けてうつむく。
(・d・)「俺は命に代えても君を死なせるわけにはいかない。
頼む、わかってくれ」
今度はディーがアヤメに抱きついて胸に顔をうずめる。
最近は女性としてのラインがくっきりしてきて、何かこみあげてくるものがある。
(・殺・)「私だって同じよ。あなたや皆を死なせたくないから悪霊の力、子供達の力を身に着けたの」
朝。
(・ハ・)「おい」
(;・d・)「…」
一団の群れの後ろを、合体用ではないマシンがゴツゴツを音を立ててついてくる。
(・殺・)「マシンに念を込めるのは、朝方早く終わらせてきました。
ホブゴブリンさんの他に、エンジェル等の私の仲魔を置いてきたから防衛は大丈夫」
(;・d・)(朝ベッドにいなかったのはそういうことかよ)
(・ハ・)「…まぁついてきてしまったものは仕方ない。
今日は新月、幸いにも悪魔は沈静化する…と思いたい。
ネズミ君、あのマシンくらいなら昇降機に入るか」
(・鼠・)「小型トラックが入るくらいだから大丈夫でやんす」
(・五・)「見えてきたよ!」
129
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:43:57 ID:vTVKzP0.0
明らかに不自然に溝がついた地面が見える。
サツキが手慣れた手つきでスイッチを押すと、隠し扉が開き昇降機が上がってくる。
(;・e・)「ひっ!」
(・d・)「どうした」
(;・e・)「い、いやいきなり鬼がお出迎えかと思ってたから拍子抜けしただけでい…」
(・j・)「君にも怖いものがあるんですね」
(・e・)「う、うるせぇっ!」
イーを皮切りに、各自武器を構え突入する。
鬼の感染を防ぐため、サツキも流石に肌の露出を抑えた重装備になっていた。
電気のついていない薄暗いコロニー内は予想以上に不気味だった。
(・ハ・)「妙だな。COMPのエネミーソナーにも気配がない。セーフティの青のままだ
コロニーの人員はどれくらいだったんだ?」
(・鼠・)「100人前後だったと思うでやんす」
(・d・)「うちのエンブリオンと同程度かそれ以上の規模がお隣のお隣にあったなんて!」
灰の塊はそこら中に散らばっている。
(・ハ・)つ「そこだッ!」
幽鬼ガキに筋肉をつけたような『鬼』が飛び掛かってくるのを、親父は銃撃で腕を吹き飛ばした。
しかしすぐさま立ち上がってくる。腕が瞬時に生えてくる。
(・五・)「それっ!」
サツキが頭を撃ち抜いて追い打ちをかける。
(・五・)「ごめんね…」
(・ハ・)「どういうことだ?」
(・五・)「クロエ姐が戦ってたのを少し見たのを思い出した。
胴体にいくら撃ち込んでも、弾を吐き出して傷が治ってしまうんだ」
(・j・)「頭を破壊しないと不死ということか。まったくウェンディゴの方がまだマシだな。
余計な事を持ち込んでくれたものだ」
(・e・)「へっ、お前もやる気満々だから来たんだろ!」
130
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:44:17 ID:vTVKzP0.0
(・j・)「戦況が不利になっても撤退しなさそうな馬鹿がいるから仕方ないだろう」
(・殺・)「本当に仲がいいわね」
アヤメが殿のマシンの中から笑う。
「ウガアアアアア!」
(#・e・)つ「オラっ!」
飛び出してきた鬼の頭をロッドを陥没させる。
「ア゛あああああああああ…ヤメテ…」
(・d・)「待て。攻撃の気配がない。何か変だぞ」
「タスケテ…タスケ…」
(;・五・)「イザク!何があったの!」
(;・ハ・)「おい!」
どうやら仲が良かったメンバーだったのだろう。
噛まれて感染するのを恐れず、瀕死の鬼の肩を揺さぶる。
「クロエネエと…シンプが…コワい…」
「リカーム」
「ヒギャアアアあ!?」
サツキと話していた鬼が紙のように身体をくしゃりと曲げ、消滅する。
「あーあ、失敗でしたか。申し訳ないですお」
(・d・)「誰だ!」
剣を構え、ディーが肉薄する。
その前に腹に一撃を喰らい、少し吹き飛ばされる。
(黒^Ω^)「落ち着いてくださいお。神の祝福を」
肌の黒い神父がニコニコしながら立っていた。
131
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:44:39 ID:vTVKzP0.0
鬼のいないエリアに結界を貼り、話をする。
(黒^Ω^)「いやあ、この地で異様な気配を感じて駆けつけたのはいいですが閉じ込められてしまってましてお」
神父は頭をかき、バツが悪そうに笑う。
(・五・)「妙に入口が見えるようになっていたのはあんたの仕業か。
灰になっている鬼もあんたの仕業?」
(黒^Ω^)「いやあ、私はガクガクと震えているのが精々でしたお。
悪魔達は殺しあってああなったみたいですお」
(;・鼠・)「鬼達が同士討ちを!?」
(・ハ・)「未感染者がいなくなって見境なくなったか、飢えて喰らいあったか。
この数日間、あなたは生き延びていたというのか?」
(黒^Ω^)「ご覧の通り、気配を消したり結界魔法だけは得意なんですお。
さっきの人、救えなくてごめんなさいお」
蘇生魔法リカームは、真の奇跡とされているサマリカームより数段劣る。
死者を蘇らせるのに失敗すればロストする。
体力のないものに使った場合の末路は、金丹と同じだ。
(;五;)「いや、イザクも楽になれたと思う。
ありがとう、神父様」
サツキが感謝を述べる一方、ディーは銃口を握っていた。
(・d・)「得体が知れねぇな。黒人とやらならともかく、
漆黒の人間なんてこの近辺じゃ見た事もねぇ。
あんた何者だ」
(黒^Ω^)「ほう。さっきのアレを根に持っているのですかお?
聖職者に銃を向けるとは。気に入りましたお。
私はナイトウ神父。ナイ神父と気軽に呼んでくれても構いませんがお」
(黒^Ω^)「そうそう、ひときわ巨大な鬼が他の鬼を屠りながら奥へ向かっていきましたお。
襲ってくる前に逃げた方がいいですお」
(・e・)「冗談だろ坊さん!逃げるのはきれえなんだよ!」
(・j・)「鬼の特性が他の悪魔と著しく違う為、その巨大な鬼がどれだけの力があるのかだ。
鬼は軒並み殺害されていてサンプルも取れない。分が悪いようなら撤退を」
(・d・)「ああ、わかっている。死ぬか感染して鬼になれば元も子もないからな」
アヤメを、守る。生きて、帰る。
(・鼠・)「奥と言えば…物資庫でやんすね」
132
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:45:03 ID:vTVKzP0.0
ひときわ広い物資庫。
(φ黒φ)「ア嗚呼アああああああ!」
(・五・)「アヤメ姉…やっぱりか…一番強かったもんな…」
(φ黒φ)「怖い怖いコワいクルナ来るな食いtuくなア嗚呼あああああ!ァ」
右腕は骨と化していたが、異様に巨大化していた。
腹部と胸部には蠢くものがある。
崩れかけた脚で駆け、腕を振りかぶる。
(・ハ・)「サモン!マンティコア!」
素早く指をCOMPに伸ばし、妖獣を召喚する!
(・<_,・。)「悪魔遣いがあらいんじゃぁ!」
蠍の尻尾で骨巨椀を押し返す。
(φ黒φ)「ア嗚あゝあああああ!!!!!!!」
マンティコアが押されている。
(・<_,・。)「なんてぇ馬鹿力ぢゃ!援護せんかぁ!」
(・e・)「おうよ!」
マシンガンを矢鱈めったら撃ちまくる。
頭に当たり裂けるが、すぐさまチンケな通常弾は弾き飛ばされて排出される。
ストーンカが召喚され、マンティコアと正反対に突進して押しつぶすが、腹部の触手に叩かれる。
(;・鼠・)「あ…あ」
(・ハ・)「蟲毒のごとき戦いの中で独自進化したのか!?
あの人が『生前に』どれだけ立派だったかは分からんが、今は『鬼』だ!その事実は受け入れろ!」
仲魔達に魔石を使いつつ、腕の一振りの囮になって避け続ける親父。
(・d・)(どこまでも果てしなく、続く人間同士の争い。
また明日も俺は殺しながら彷徨うのか)
急に虚しくなり、鋭い骨の先に胸を差し出してしまいたい気持ちになった。
ストーンカが貫かれて炎を上げはじめる。急いでCOMPにRETURNのコマンドを打つ親父。
(・殺・)「みんな離れて!」
アヤメがマシンの機銃をブチ放つ。
133
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:45:23 ID:vTVKzP0.0
様々な物資と共に、クロエが蜂の巣にされていく。
(φ黒φ)「守るマモルまもらなきゃア嗚呼あああああああ!!!!!!!!!!!」
崩れた右足を潰し、とてつもない再生能力でマシンに迫り猛攻の骨攻撃をかます。
マシンが金属音を立ててたわみ、アヤメが悲鳴をあげる。
(・d・)「クソが触るああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
ヤケクソにアタックナイフを腹部に突きさす。
(φ黒φ)「ぐえア嗚ああああああまもるまもまも」
振り向きざまの一撃を、きりもみ回転で咄嗟に避ける。
この状況で生きのこっている自分に、自分に驚愕する。
手ごたえのあるシナリオなら、いつか自分を死に場所に導くだろう。
死んでいないなら、今は死ぬ時じゃない!アヤメを置いて!
(・<_,・。)「無茶しおって!悪魔なら感染しないからええものの!」
足を捻って倒れる身体をゴツゴツした獣の体が支え背に乗せる。
(つ・j・)つ「くらえ!」
両手から次々とマハブフストーンを投げつけるジャック。
イーに降り下ろされた骨の腕が凍り付く。
(;・e・)「なんだ参謀様よォ!不利な時は撤退じゃなかったのかよ!」
(・j・)「勝機は見えた。胸部、腹部だけ再生が極端に遅い。
頭部は無敵だがあそこが実質中枢だと判断する。」
(・e・)「そうかよッ!」
スパイクロッドで凍った骨を砕く。
怯んだ隙にマンティコアが尻尾で胸部を貫く。絶叫が上がる。
(;鼠;)「うああああああああああ!!」
投げナイフをひたすら投げ、注意を逸らす。
(・殺・)「テンタラフー!」
いつの間にかマシンから降りたアヤメが、うねった波をクロエの頭部にブチ当てる。
(・黒φ)「ぎイあああああ!?…ネズ…ミ?」
(#・d・)「うおああああああああああ!!!!!!!!!」
無銘の刀を腹部に突き立て、力任せに引き裂く。
134
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:45:52 ID:vTVKzP0.0
2メートルはある巨鬼はついに斃れた。
コアを散々に弄ばれ、再生可能エネルギーも残っていないようだった。
(φ黒・)「サツキ…か…?そうか…悪魔に…あのシスターに…」
異形の眼で愛しき弟子を見上げる。
目が人間のものと鬼のものに交互に変わる。
(・黒φ)「混乱魔法で、逆に意識を戻してくれたのか…ありがたい。
自分が強い、このまま皆をまもって行けると慢心してこのザマか…グっ!」
とっさに左腕でナイフを降り下ろす。
(;・五・)「しまっ…」
クロエは蠢きつつある自分の腹部をナイフで掻きまわした。
顔色が大きく変わり牙が生えつつある。
人間としての生が終わり、完全に鬼になりつつあるのだ。
(φ黒●)「サツキ…自分がなくなっていくのがコワい。
気がクルいそうだ…
私の意識が…残ってる討ちにィィィ”!!!!!!!!!!!」
(黒^Ω^)「アーメン。哀れな子羊に神の導きを。リカー」
(・d・)つ「手を出すな」
いつの間にか現れていたすまし顔の神父の頭に、ディーが銃を当てていた。
(黒^Ω^)「ふふふ。二回目ですかお。面白い。ではおやりなさいな、救済を!」
(φ鬼φ)「是異状はもタンぞ…!
私の屍を越えてイケー!強クなれー!」
(五)「先に地獄で…」
かつてもらった、秘蔵のドラゴンATMを取り出す。
何歩か下がる。
投げる。
(;五;)「待ってやがれええええええええええええええええ!」
怒りに任せて投げつける。
私はお前達だけでも守れただろうか…?
そんなつぶやきが聞こえた気がした。
物資庫が燃える。
一行は無慈悲に内部炎上していく基地、いや墓地を去る。
135
:
名無しさん
:2021/11/23(火) 20:16:36 ID:a0fHS5co0
乙!
136
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/26(金) 07:11:02 ID:Fe/YYh7Y0
イズンちゃん!イズンちゃん!
137
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/27(土) 00:53:56 ID:LkHkT0rs0
マリンカリンとテンタラフー喰らって取り乱しました。
失礼致しました。
やっとガーターベル…イズンちゃんとクー・フーリン仲魔にできたので執筆の方進めていきたいと思います。
序盤までやった感想ですが、真Ⅰと真Ⅲの最高の悪魔合体って感じで楽しいです。
真Ⅲでテンポ重視の為に削られ気味だった悪魔会話が豊富で楽しき。
今後ともご愛読ヨロシク…
138
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/28(日) 11:39:51 ID:QCdsk55U0
(・j・)「で、どうするね」
テーブルに肘をかけるジャック。
(・五・)「何がさ」
拠点に戻り、会議室に主力メンバーが集まる。
(・j・)「君達の処遇だ。ここに吸収されるか、出ていくか。
シンジュクに行くか、ロッポンギに行くか。
シンジュクならひもじさと引き換えに生きてはいける。
ロッポンギは大破壊後しばらくは歓楽街だったそうだ。
今はどうなっているか知らんが、女の方は売春婦として生きていくのも」
大地震でも起きたかと思うほど、テーブルが揺れる。
イーが両拳を叩きつけていた。
(#・e・)「テメェいい加減にしろ!人の心ってもんがねぇのか冷血ロボット野郎が!」
ジャックが崩した肘をかけなおす。
(・j・)「イー、君がその二人の食い扶持を背負うというなら置いていてもかまわないよ。
年端のいかん子達はともかく、私達と同程度の年齢の者をタダ飯喰らいさせるほど自費も慈悲もない。
動けるマシンを一機オシャカにしかけてしまった事もある。コロニーに残っていたマッカでは到底足りないぞ。
まぁこれはアヤメの独断だから免責とするが、今回は何のメリットもない戦いだった」
(・五・)「…つまり何が言いたいの?」
(・j・)「能なしなら出て行ってもらいたい、と言えばわかるかな」
(・五・)「行くよ、ネズミ。ここまで言われてしがみつくなんてあり得ない!」
(;・鼠・)「え、ああ…」
サツキがネズミの手を取って立ち上がる。
(・d・)「待て。サツキ、君、ライフルは使えるか。遠距離対応用のものは」
(;・五・)「動いてない獣族くらいなら遠くから狙える。スコープありなら」
(・d・)「それなら結構。女狙撃手が欲しかったところだ。
失礼な話ではあるが、女と侮って隙を見せる敵も多い。
そしてネズミも自分のいた基地とはいえ、見取り図の書き方と隠し経路の把握は見事だった。
それらがなければ俺達は脱出時に蒸し焼きか酸欠になっていたかもしれない。
よかったらエンブリオンで暮らさないか」
ディーは両手を差し出す。無言で二つの手が強く握り返された。
(・d・)「ジャック、色々言いたい事はあるが、吸収って言い方はやめろ」
139
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/28(日) 11:40:12 ID:QCdsk55U0
く(^d^)「ジャックフロストにマハブフストーンを投げて無駄にした事を思い出してしまう」
深夜。
ディーは親父の執務室に来ていた。
よく整理された部屋だ。
(・d・)「親父。どうしました」
(・ハ・)「まぁ、かしこまるな。ここに座れ
夜遅くですまんな。明日はゆっくり寝る事についやせ」
ベッドを指さす。
(・d・)「失礼します」
こまめに干しているのか、布団はふわっけがあり多少心地いい。
(・ハ・)「ここから見えるか?」
親父は机の上のパソコンのディスプレイを少し傾ける。
金の王冠を被った顔のない悪魔が、鬼と化した人間を中途半端に切り裂いてまわっている。
再生能力と傷付けられた怒りにより、理性をなくした鬼同士で殺しあいが始まる。
(;・d・)「ひどい…これは?」
(・ハ・)「ネズミが防衛用のカメラの録画メモリを引き抜いてきた。
カメラ自体は壊されていたらしいが、見事な手際と判断だ。
彼は偵察役とするといい。逃げ足も速いしな」
(;・d・)「なるほど…あっ!」
顔のない邪悪な神がくぐもった笑いを上げ、カメラにヘラのような手を向けて映像が途切れる。。
握り潰されたのだ。
(・ハ・)「奴は何もかも分かっている。わかっていてあえて人間を弄ぶのだ」
(;・d・)「これを俺達や誰かが見る事を予想してあえて…?」
(・ハ・)「そうだ。そしてこれは俺の罪でもある」
(・d・)「どういうことです?」
(・ハ・)「以前キョウさんが話してくれたかな?
お前らに出会う前の俺達の仲間、というか連れ合いのうちに、クトゥルー信者がいてな。
邪神など災いしか投げつけてこないというのに、よりにもよって主神と従者を呼んでしまった…」
親父は一瞬言葉を途切れさせた。
(・ハ・)「キョウさんは召喚者もろとも主神を瞬殺したが、俺は従者を逃がしてしまった。あの黒いのがそれだ」
140
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/28(日) 11:40:40 ID:QCdsk55U0
(;・d・)「でも兄貴は、逃した悪魔はいたことはないって…」
(-ハ-)「黒き神は俺の討伐担当だった。キョウさんは担当以外は追わない。それ以外は気まぐれが発動だ」
フッ、と自嘲気味に嗤う。
(・ハ・)「そこで、だ」
電子チップを二枚、ディーに投げて寄越す。
(;・d・)「これは、COMPのメモリーチップ」
(・ハ・)「挿せ」
拡張用挿入口に挿す。
『なんじゃい、契約が変わったわい!今度はおっさんじゃなくて小童かい』
『アニキぃ…?』
(・d・)「マンティコアとホブゴブリンの声…?」
(・ハ・)「お前に預けておく。そいつらで皆を護れ」
アヤメの夢を思い出す。皆が死ぬという予知夢だ。
(;・d・)「どういうことです…?」
一息置いて、親父は重い声で話し始めた。
(・ハ・)「俺は、あの黒い悪魔を探し狩る」
(;・d・)「えっ…俺も行きますよ!親父の役に立つはずだ!」
(・ハ・)「これは大人の責任、俺の責任だ。
こればかりはお前らを巻き込むわけにはいかない」
(・ハ・)「俺は一人戦う、そんな生き方がいい。
俺は信じた。そう俺の力だけを…
あの頃、自分だけの力だけが全てだった」
(-ハ-)「でもお前達がいて…新しい『教える』喜び、『護る』戦いを知った」
(・d・)「親父」
(・ハ・)「これからはまた、一人きり戦場に行く。
元に戻っただけだ」
(;・d・)「無責任じゃないですか!」
141
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/28(日) 11:41:00 ID:QCdsk55U0
(・ハ・)「お前に最近の陣頭指揮を任せたのは、ある意味抜き打ちテストだ。
お前は見事に揉めるメンバーを諫め、先陣に立ち、戦った。新リーダーよ」
(;d;)「親父ィ…」
(^ハ^)「泣くな。男だろ。もう16か17だったか?」
腕で涙を拭う。
(・ハ・)「それにずっと離れるわけではない。まずは奴の情報を集める。
文献も探し求め、奴の弱点を徹底に突いて今度こそ狩る」
(;・d・)「…」
(・ハ・)「サツキ達のいたコロニーが壊滅したのはある意味、俺の責任だ。
彼女らには申し訳ないと思っている。いずれ様子を見て幹部にしてやってくれ」
(・d・)「しかし、なんで俺をリーダーに?」
(・ハ・)「アヤメはサイコメトラーだ。まだ少し自分のカンに頼りすぎるきらいがある。
イーは激情家だし、ジャックはあれ以来自分を冷徹にしすぎているフシがある。
ランには代えが利かないし、幹部の中でお前が適任だと思ったからだ…それに」
(・d・)「それに?」
(・ハ・)ニア「あれを見ろ」
部屋の隅の木箱を指す。
(・ハ・)「オオツキロボ開発と同時進行で、キョウさん秘蔵の武器を解析して
デチューン…つまり弱体化して複製したものだ。
俺がいない間、未曽有の危機がきたら迷わずあれを使え。
機械仕掛けとはいえ鍛冶なんてしたのは始めてだ。
俺の銘は入ってないが、二振りとない剣だ」
(・ハ・)「それに…俺はお前を贔屓していたと思う。
俺も名前が『ディー』だからな」
(・d・)「!」
(・ハ・)「もちろん皆には平等に接してきたつもりだったがな」
く(・d・)「光栄です、親父!」
部屋のドアの向こうで聞き耳を立てる者が一人。
(・j・)「…なんで僕じゃないんだ…一番冷静で頭がいいのは…」
142
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/28(日) 11:41:50 ID:QCdsk55U0
某ホテル跡。
綺麗に修復されている。
暗黒召喚師の重鎮二人が会食をしている。
( ■∀■)「クソゲルガー、何の用だ。てめえの顔なんて見たくねぇっての」
( ´)Д(`) 「ククク、そう言うなよ葛葉キョウイチさん。
ジャン・ユーの糞爺がくたばって随分経つから、そろそろ決めておこうと思ってよ。
俺とアンタの二大巨頭、どっちが最高幹部から総統になるかをな」
肥え太った男が、大量の護衛を背に大きな鶏肉のグリルをメインとしたフルコースを貪り食べている。
サングラスの男の食事は、小さなカップに鶏肉の欠片が入ったものだけだ。
( ´)Д(`) 「アンタ鳥が好きだったろう?遠慮なく食えよ」
デブは食べかけの肉入りの唾をスープに吐き飛ばす。
( ´)Д(`)「きったなくて食えねえか?じゃあいらねえよな?」
傍らの髑髏付き錫杖を使い、カップを薙ぎ倒す。
見えない動きで飛び散るスープを躱す。
( ■∀■)「考え事を邪魔すんじゃねえ!」
フォークを投げる。
( メ)Д(`) 「目がぁぁぁぁ!」
( ■∀■)「耳だ!」
テーブルを横にひっくり返し、両手の手刀で耳を削ぐ。
( メ)Д(`) 「ぎゃああああああ!殺れ、てめえらあああ!!」
デブの背後には、二人の男と血だまりと肉塊があった。
(⌒▽⌒)
(`Д´)
サングラスの男は足で杖を砕き潰す。
それを見せる為に片目だけ潰したのだ。
( ■∀■)「豚鼻!
読み違えたな。俺は鳥を食うのが好きなんじゃねえ…
鳥を愛でるのが好きなんだよッ!ヒョホホホホォッ!」
デブ男の鼻を潰し、狂気の笑いをあげて壁際に磔にし、素手で殴る、裂く、潰す。
醜く肥大した喉から出る断末魔を、あえてすぐに止めさせはしなかった。
143
:
名無しさん
:2021/11/28(日) 22:25:36 ID:E/9XTgoU0
乙
144
:
◆MxHvQqijkA
:2021/12/04(土) 22:01:12 ID:v5E9w4vE0
(・c・)『じゃあ兄ちゃん』
(・d・)『あ?』
(^c^)『最後に薬、ありがとう』
(;・d・)『おい!戻れ坊主!シィィィィ!!!!!』
( ゚c゚)『ディー兄ちゃぁぁあああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!』
あの日の爆発音。
(・・・)『罪から目を逸らし、逃げ続けたければそうすればいい。
だがあの子供達がどうなるか、お前は知っているはずだな?
契約を交わした以上、お前は私の物だ。宿命の糸に操られし人形だ。
待っているぞ。待っているぞ…』
(;・ハ・)「ハッ!」
銃を構える。夢だった。
いやに脂汗をかき、ベットと寝巻がベトベトになる。
(;・ハ・)「糞が!」
ガキどもには一度も見せた事がない憤りを、銃を投げ飛ばして発散する。
あいつを守ってやりたかった。楽しげにゲームの話をしながらどこか悲しげで寂しげなあいつを。
なのに俺はしくじった。
一度目は三十年前、二度目は【奴】の召喚時。
だから俺は逃げ出した。ガキどもを拾ってママゴトを
しかし三度目はクロエの…
やるべき事は一つだ。
犯した罪と引き換えに命が欲しいならくれてやる。
闇に堕ちろというなら同じ土俵に登ってやろう。
だが、ガキどもだけは…
未来への希望達が生きるこの世界だけは、奴の好きにはさせはしない。
【奴】は俺を完全にナメている。
かつての仲間の居場所を潰し尽くしたのが挑発と挑戦だろう。
だが、容易く眷属に堕ちる気はない。
ちっぽけな俺の総てと引き換えに、油断しきったあの嘲りが浮かぶような貌なき貌を!
【奴】の世界もろとも壊し尽くす!
(・ハ・)「…行くか」
服を着替え、腰に七星剣を携え、夜が明けないうちにそっと「家」を出る。
145
:
◆MxHvQqijkA
:2021/12/14(火) 21:01:27 ID:CgETzR8Q0
永い間お待ちさせてしまい申し訳ありません。
イズン狂を極めたいのと、体調不良精神バステでしばらく休載します。
(?'A`? ) いやー参ってるところにリアルメシア教の救済勧誘はきついっす、休載だけに
146
:
名無しさん
:2021/12/14(火) 21:12:25 ID:mlOxet7.0
お大事に!!!!!!
147
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/05(火) 22:52:39 ID:4ezJCqR.0
あれからどれほど経っただろうか。
「親父」がいなくなってから、ディーが暫定の指導者として戦っていた。
何も悪魔との交戦だけが戦いではない。
シンジュクでの交易、拾ってきてから少し大きくなってきた子供達への防衛指導。
兄貴も最近姿を見せてくれていない。
代わりに変な神父が常駐するようになった。
(黒^Ω^)つ「よくできましたお」
ジャックが勉強を任意で教え、授業に出た子供達には褒美に神父が菓子を配っていた。
(・d・)「ありがとうございます内藤さん。最初は疑ってしまって申し訳ない」
(黒^Ω^)「いいんですお。私も子供達の相手は楽しいですからお。
ところで、このエンブリオンという組織名に意味はあるんですかお?」
(・d・)「卵とかそういう意味だったような気がします。
行き場のない子供達がこれから巣立っていけるような場所…
創設者達はどう思ったかわかりませんが、俺はそういう組織にしたいと思っています」
(黒^Ω^)「ほうほう。子供達が大事なんですおね。
それはそれは…」
神父がより深い笑顔を見せる。
(・五・)「ボス、今日の狙撃訓練終わりました」
数人の子供達を引き連れてサツキが報告に来る。
(-d・)「お疲れ様。隊のみんなで休んでくれ
それとボスはやめてくれ、俺はあくまで暫定だ」
頭を掻いて照れる。
(・五・)「悪魔狩りなだけに?あははっ」
お互いに大笑いする。
(;・d・)「夜の見張りは俺がす…」
くらっと眩暈がして、倒れかけた。
サツキが咄嗟に支えてくれる。
(・e・)b「ディーのアニキ、今日は俺の当番だぜ」
向こうからやってきたイーがサムズアップして肩を叩く。
(;・d・)「そう…だったかな」
(・e・)「アニキ最近動きすぎだぜ。少し安静にしてた方がいいんじゃないの」
148
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/05(火) 22:53:07 ID:4ezJCqR.0
(・d・)「そうするか。すまんが任せたぞ」
ラン ゚ -゚)「リーダー、少し頑張りすぎです。2日はゆっくり休んでくださいね」
ランから睡眠薬をもらうと、自室に戻った。
(・d・)「アヤメ」
(・殺・)「ディー、くたくただね」
アヤメがベッドに腰かけて足をぶらぶらしていた。
(;・d・)「おっ」
ふらつき倒れかける。
アヤメが胸で支える。
(;・d・)「すまんな」
(・殺・)「少し気を張りすぎなんじゃないの?お師匠がいなくなったからって全部背負うことないのよ」
(;・d・)「アヤメの胸も張ってるな。このまま寝てしまいたいようだ」
冗談を言いながら、睡眠薬を水で流し込む。
アヤメに抱かれながら、少し感情を吐く。
(・d・)「結局、俺達は子供なんだ。あんな正直胡散臭い神父に頼らなきゃいけない程に」
(・殺・)「それはそうよ。私達中核メンバーはおおよそまだ16よ。
大破壊前ならコウコウ?っていうのに通っている頃」
(・d・)「大破壊前なら18歳で大人扱いになるっていう法律が決まりかけてたらしいな。
あと2年でエンブリオンを立派な大所帯にしないとな」
(・殺・)「今日はこっちはいいの?あっ…」
アヤメの胸元をまさぐり、口に舌を入れる。
(;・殺・)「うぐっ…うっ!」
(・d・)「すまん。書庫にあった本に書いてあったキスっていうのを試してみたんだが…」
(・殺・)「もっと優しく。やってみようよ」
二人でベッドの上に座り込み、改めて再挑戦する。
しばらくするとがくんと糸の切れた人形のように倒れ込み、アヤメを押し倒してしまった。
ランの睡眠薬が効いてきたようだ。
149
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/05(火) 22:55:54 ID:4ezJCqR.0
なんだこの官能小説もどき(セルフプリンパドン引き)
本調子ではないですがリカームしました。
これから食いしばりからデスカウンターをかましていきますのでコンゴトモヨロシク…
150
:
名無しさん
:2022/04/05(火) 23:42:59 ID:pHJfpOYs0
otsu
151
:
名無しさん
:2022/04/05(火) 23:46:32 ID:s.hspgVU0
おつつ
152
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/06(水) 23:17:19 ID:QTmH2m8o0
目を覚ました時には二日後の深夜だった。
スマホの時計でわかった。
(-殺-)「zzz…」
アヤメが隣で寝ている。
様子を見ていてくれいたのだろう。
(;・e・)「アニキ、大変…うわぁ!
なんでアヤメ姉まで!?」
(-d・)「どうした。」
(;・d・)「あ、いや、これはなんだ…ずっと寝てたみたいだから心配だったみたいだ」
(・j・)つ「そんな事より緊急事態だリーダー。正体不明の悪魔がシンジュクからアカサカ付近に現れた。
巨躯で辺りを破壊し始めている。
我々のアジトまで侵攻してくる可能性もあるが。どうする
試しに数人送り込んだが、対人、対通常悪魔の戦術が効かず踏みつぶされた」
ジャックがイーを押しのけて入ってきた。
(:・e・)「そうなんだよ!銃もろくに効かねえ!魔法石をブン投げてもダメだった!」
(#・d・)「お前ら!なんで未熟な戦士を向かわせた!」
(・j・)つ「これを見て欲しい。遠目から撮影してもこの大きさだ」
https://pbs.twimg.com/media/DlcKuvGUcAEMcF6.jpg
(;・d・)「おぞましいな…」
(・j・)「ウェンディゴの群れも周囲にいる。部隊を編成しても焼け石に水だろう」
(・d・)「わかった。オオツキロボで出る。整備は大丈夫か」
(・e・)「おう!定期的にじじいに見てもらってるから大丈夫なはずだぜ!」
(・d・)「装甲が貫通される可能性もある。できるだけ防具を着込んで先に搭乗していてくれ。
すぐに俺も向かう」
(・j・)「了解。念のためにサツキの仕込んだ狙撃部隊も呼び出しておく」
二人は早足で出て行き、スウスウと寝息を立てるアヤメを一瞥する。
防具を着込んで歩きつつ、厳重にカギをかけた親父の部屋に入る。
木箱を開ける。
153
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/07(木) 23:01:49 ID:OyahfsWY0
(;・五・)「そんな!困るよ!ボクの部隊を囮に使うなんて…」
(・j・)「追い出されたいか?それに別に特攻して死ねというわけではない。
遠方から狙撃して奴の弱点部位を探ればいい」
ドックに着くと、サツキとディーが言い争いをしていた。
(・d・)「ジャック!さっきも言ったが仲間を…」
(・j・)「仲間ではない。仲魔だ。
数人ではなく数体と言うべきだったな。語弊があったのは謝る。
私の部下達に交渉で手に入れさせた弱小悪魔を送り込んだのだ」
(;・d・)「しかし仲魔も仲間のようなものだ。無暗に使い潰すなんて…」
(#・e・)「とにかく行こうぜ!シンジュクをブッ潰されたら元も子もねえ!
ジャックの野郎をぶっ飛ばすのはその後でいいだろアニキ!」
(・d・)「ああ。そうだな
…サツキ、無理はしなくていい。巨大悪魔の取り巻きをそこそこやってくれれば」
(・j・)「まずはオオツキロボでウェンディゴの群れを一掃する。それから巨大悪魔と交戦だ。
側面や遠方から後方部隊が援護。プランは急造だがこれでいいか、リーダー」
(・d・)「ああ、行くぞ!」
三体のオオツキマシンが飛ぶ。
ホブゴブリンはサツキ隊につき、コカトライスは家の防衛にまわす。
(・d・)「チェンジ!オオツキ、ワン!」
人型になったメカが空中からマハラギストーンを濃縮させ放つ。
紫の邪鬼の軍団は一瞬にして溶けつきた。
(・j・)「やはり本体に魔法攻撃は効果が薄いようだ」
着地したオオツキロボと巨大悪魔は二倍ほどの差があった。
火炎を意にも介さずシンジュクビルを触手で破壊している。
(・j・)「行け」
ジャックが無線機で指示すると、地下街入口からとっこうたいとしょけいライダーの軍隊がやってくる。
各々突っ込む、銃を乱射するなど応戦するが抵抗むなしく触手に絡めとられて嫌な音を立てて喰われていく。
154
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/07(木) 23:02:30 ID:OyahfsWY0
(;・e・)「うげ」
(・d・)「まさか…仲魔っていうのは…」
(・j・)「奴らは金さえ払って契約すれば従順な仲魔となる。これも作戦の一環だ。
シンジュク周辺にのさばるチンピラも一掃できて一石二鳥。
逃げろ!シンジュクの街から遠ざかれ!」
凡庸なガイア教徒の脚力では触手から逃げることはできない。
全力疾走するライダーのバイクは貫かれ、爆炎とともに焼けた肉となる。
(・e・)「見てられねえぜ!チェンジ!オオツキスリー!」
戦車型のメカが太い腕で悪魔を殴りつける。
「わしゃしゃしゃ」
(・j・)「オープンゲット!」
ジャックが合体を解除する。
先ほどまでの場所に、衝撃で大穴が空いていた。
(・j・)「このマシンはワンオフ物だ。粗末に破損させるな」
(・e・)「おらおらこっちだぜ!獲物はよぉ!」
戦車で触手を撒く。
(・j・)「チッ」
ジャックが空中用に改装されたメカで機銃を撃つ。
悪魔の巨大な羽が穴だらけになる。
だが徐々に穴が塞がれていく。
(・d・)「そうか。異様な耐久だけではなく、再生能力も高いんだ」
(・j・)「アナライズ、未完成だがデータを送る。
先ほどの異様な衝撃波に加え、麻痺毒を持つ牙、触手を巻きつけての破壊攻撃が主なようだ。」
(・e・)「要は近付かなきゃいいんだろ!」
イーが戦車で体当たりをしつつヒットアンドアウェイで寸分の見切りを発揮する。
(・j・)「マグレに頼るのは危険だ。もっと注意深く」
尖ったトサカの生えた人鳥の群れが現れた。凶鳥フリアイだ。
次々と悪魔に突っ込んで喰らわれていく。
(・d・)「ダーク悪魔同士で戦いを…?」
155
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/07(木) 23:02:51 ID:OyahfsWY0
(・j・)「縄張りを荒らされて周辺の悪魔も怒り心頭のようだ。少し離脱しよう」
次々と触手に貫かれていき牙で砕かれるフリアイ達。
地霊ブッカブー達もやってきてブフーラの応戦をする。
一瞬触手が凍り、吹き飛ばされる。
コクピットに設置してあるスマホで悪魔に呼びかける。
(・d・)「近付きすぎてもやられる!できるだけ遠距離から放つんだ」
『あぁ?契約もしてねえのに俺様達に命令なんぞ…ギャ』
一体が氷結のつぶてを触手に上乗せで返されてミンチになる。
(・d・)「死にたいのか!このままではこの一帯が奴に食われるぞ!」
恐慌に陥ったブッカブー達は逃げまどいつつブフーラを放っていく。
突如、通信が入った。
ラン ゚ -゚)『リーダー、ランです。今は家からリモートで戦いの様子を見ています。
あの悪魔は、捕食する度に徐々にですが大きさを増しているようです。
あまり野良の悪魔に餌食になられても困るかも』
(・e・)「流石ドクターオペレーター。無事帰れたら悪魔のキスの一つでもしてやっかな」
(・j・)「殺すぞ」
(・d・)「ジャック、マハブフストーンとマハジオストーンの残量はどのくらいだ」
(・j・)「キョウ氏からの供給が絶たれている今、そう余裕はない。
それに一発づつ撃っても焼け石に水というのはリーダーが実感しているはずだが」
(;・e・)「ええい!なんとかならねえのかよ!」
(・d・)「ん?これは…
ジャック、マハブフストーンを一発づつ、違う部位から当ててみてくれ」
(・j・)「リーダーの提案には従うが…」
ジャックは空中からマハブフストーンを投擲してゆく。
頭、羽、触手、腕。
一瞬だけ凍り付くが、すぐに動き始める。
ラン ゚ -゚)『兄さん。やはり頭が一番効果的なようね。コンマ程度の差だけど』
(・d・)「フリアイさん、これ以上は退いてくれ。
人と悪魔として普段争っている仲だが、ここで奴の餌になられても寝覚めが悪いんだ」
『あら、アイツにいっぱい食べられた仲間達の仇は取ってくれるのかしら?』
156
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/07(木) 23:03:12 ID:OyahfsWY0
(・d・)「ああ、約束する」
『いいわ、言う事聞いてあげる。次に会う時には倍返しね!』
フリアイの一団は足早に去っていった。
(・e・)「ケッ、逃げ足だけ早いでやんの」
触手に絡め取られた戦車を、ジャックの機銃が援護する。
(・j・)「余り手間をかけさせないでほしいな」
(;・e・)「今回は感謝してやらあ!」
ドンッ。
赤い触手の目玉に、一発の銃弾が炸裂した。
「うごおおおおおじゅるる」
(;・五・)『サツキ隊、援護します!』
(・d・)『今のは通常弾か?ショットシェルか?』
(;・五・)『エンブリオンのお金で神経弾買っちゃった!ごめんね!』
(;・e・)『バカヤロー!あれ地味に高いんだぞ!
俺だって自腹で買って大事に使ってんだぞ!』
(・d・)『この際不問だ。毒針弾はあるか』
(・五・)『一応あるけど、ちょっとだけだよ。
悪魔相手なら睡眠効果で動きを封じられる神経弾の方がいいからね』
(・d・)『そのままスナイパーライフルで交互の弾を目玉に当ててみてくれ。
危なくなったらすぐに退避を』
(・五・)『了解!』
数百メートル先の高台からひたすら目玉を狙い撃つ。
多少再生能力が落ちているような気がした。
残った多数の目玉がギロリとサツキを見つめた。
睨んだのではなく、見つめた。
そのままノロノロと接近していく。
(・d・)「チッ!」
メカを降り、マンティコアを召喚して背に飛び乗る。
157
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/07(木) 23:03:34 ID:OyahfsWY0
(・j・)『リーダー』
(・d・)『恐らくはフリアイ達の放った防御破壊魔法、ラクンダが効いているんだ。
俺のマシンは回避優先の自動操縦にしてある。そっちの指揮はお前が取れ』
(・<_,・。)「久々の呼び出しじゃの。ワシに何か妖怪」
(・d・)つ「これで奴の触手を片っ端から滅多斬る。俺を乗せて奴の周りを旋回してくれ」
忍び寄る触手を、ジャックがマハブフストーンを投擲して凍らせる。
そこを切り取っていく。
(・j・)つ「絶止正棒(ゼットセイバー)!」
親父の部屋の木箱にある一振りの剣を持ち出していた。
未曽有の危機がきたら迷わずあれを使え、と言われていたが…
命を燃やせ、怒りを燃やせ。今がその時だ。
やっと形になってきたエンブリオン。
その希望を奪い去る者はどんな奴も許さない。
魂が震える、発ち上がるんだ。
機械で作ったと親父は言っていた。
普通の剣と違い、エネルギーの刃でよくしなる。
強靭だったはずの触手がバターのようによく斬れる。
マンティコアはスレスレのところで攻撃を回避する。
尻尾からの麻痺針で牽制もしてくれた。
(#・<_,・。)「ウオオオオオオオオオオ!」
噛み付こうとしてくる悪魔をバインドボイスで怯ませる。
知性があるかわからないが、触手をだいぶ切り落とされた事で弱気になってはいるようだ。
「ごにょおおおおおおおおお!」
突如、悪魔が家に向かって動き出した。
接近戦を挑んでいたディーは降り落とされそうになり、マンティコアに拾われる。
(・d・)『イー!』
(・e・)「チェンジ!オオツキ!スリー!」
素早く合体し、パワー重視の戦車ロボで足止めをする。
(;・e・)『サツキ!早く逃げやがれ!』
(;・五・)『わ、わかった!』
サツキは駆け足で要塞へ向かう。教え子たちは連れてきていなかったようだ。
158
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/07(木) 23:04:07 ID:OyahfsWY0
悪魔が下半身の触手を地面に刺し込む。
肉体の損傷が大幅に回復していく。
(;・d・)『イー!早く引っこ抜け!地面から生気を吸うつもりだ!』
(#・e・)『どおおおりゃあああああ!!』
ギシギシと嫌な音を立てながらも、巨椀が悪魔を薙ぎ倒す。
(・d・)『ジャック!ありったけの氷をぶちこんでやれ!』
(・j・)『!?』
(・d・)『マンティコア!俺を奴の口の中に思いっきり投げ飛ばせ!』
(;・<_,・。)「おいおいお前さんなぁ…」
(・d・)つ『勇気はあるか!希望はあるか!信じる心に!
明日のために戦うのなら!
今が!その時だァ!』
ディーが襲い来る牙を易々とバターのように斬り、口の中に突入する。
(・j・)『オープンゲット!』
合体を解除し悪魔の真上に浮かんだジャックは、全てのマハブフストーンをビームにして撃ち出す。
流石の巨大悪魔も数分は凍り付かざるを得なかった。
(・e・)「おい!アニキが中にいたんだぞ!」
(・j・)「リーダーの決定だ」
数分後、徐々に悪魔の表皮が内側から切り裂かれていく。
悪魔の上顎を寸断して出てきたのは、ディーだった。
(;・e・)「アニキィ!」
(・d・)b「シメは頼むぜ」
(・e・)「チェンジオオツキスリー!
渾身の!ハンマーパンチッ!!」
氷漬けの悪魔の体は粉々になった。
灰にはならず、大量の禍々しい色のマグネタイトが放出、分散されていく。
(・鼠・)『こちらネズミ!ウエノからジオンガストーン諸々仕入れてきたでやんす!』
(;・d・)(;・e・)(;・<_,・。)「「「おせーよ!!!」」」
159
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/10(日) 23:49:16 ID:gkzOBLmY0
(・j・)つと(・e・)
約束の殴り合いをする。
意気揚々と帰還する一行に、緊急通信が入る。
(・d・)『こちらディーだが。何かあったか』
『リーダー!子供達がいきなザザ…り…』
(;・j・)「ラン!」
ジャックは低飛空スレスレで単独でマシンを飛ばす。
道中のブッカブー達が寸断される。
(;・d・)『何があった』
『一部の子供達に角が生えて…他の子供達を…うう…
アヤメさんは念動力で抑えようとして、私は個室に隠れて…ごめんなさい』
(;・d・)『アヤメが前線に!?』
AI操作にマシンを任せ、マンティコアを全力疾走させる。
(;・e・)つ「二人とも焦りすぎだぜ!
サツキ乗れ!」
自分の戦車にサツキを引っ張って乗せる。
(;・e・)「うー、俺のが一番ノロいんだよなぁ…
お前を乗せてるから余計にな」
(#・五・)「自分から乗せといて!」
銃口でイーを思いっきり殴る。
(;・e・)「ばかやろばかやろ!誤射で殺す気か!
漫才やってんじゃねーんだぞ!」
家に真っ先に到着したジャックが銃を構えつつ城門を抜ける。
中庭でネズミが魔法石を投げて必死に謎の悪魔に対抗している。
(・j・)『リーダー。悪魔の襲撃だ。小柄で角が生えている。』
ディーは嫌な予感がした。
160
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/10(日) 23:49:38 ID:gkzOBLmY0
マンティコアが俊足で爪を降り、悪魔を切り裂く。
(・j・)「リーダー」
(・d・)「これは…アカサカシェルターで見た鬼そっくりだ…
頭を噛み砕け!」
マンティコアは再生途中の鬼の頭を噛み砕く。
おぞましい脳漿が飛び散る。
(・<_,・。)「まっず!」
マンティコアはペッペと吐き捨てる。
(・j・)「アヤメとランの通信が途絶えた。リーダーは中へ頼む。
イーが来るまで私達が凌ぐ。」
銃を構えてネズミと並ぶ。
まさか。
ディーの脳裏に嫌な予感が再び。
あの巨大悪魔の散ったマグネタイトは自分のスマホに吸収されなかった。
ではどこに行ったのだ?
(・d・)「マンティコアもここで迎撃だ。
外から便乗して悪魔が襲ってくる可能性もあるからな」
むき身の剣を片手に行く。
建物の中には子供達の死体と散らかった臓物が散乱していた。
(;・殺・)「みんな元に戻って!」
ホブゴブリンが盾になり、アヤメが鬼達に念を送っている。
(:・く・)
肉体と斧をぶんぶんと振り回して鬼を牽制する。
(;・殺・)「お願いホブゴブリンさん!殺さないで!」
(:・く・)「わかってる。でもこれ以上はキツイぜ」
(d)「マハラギオンだ」
(;殺・)「やめて!」
(・d・)「マハラギオン!」
161
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/10(日) 23:49:58 ID:gkzOBLmY0
スマホで強制命令を出す。
鬼達の引っかきに耐えきれなくなったホブゴブリンが炎を出す。
(・d・)「タルカジャ」
炭化した鬼達を、強化魔法をかけた剣で首をひたすら刈り取る。
(;殺;)「なんで…」
(・d・)「アカサカで見たはずだ。
ああなってしまってはもう…」
(・d・)『ラン、応答できるか。今そちらに行く。
どこにいる』
『二階の角部屋にいるわ…複数の音が扉を叩いてる』
泣き崩れるアヤメをホブゴブリンに任せ、二階へ上がる。
階段で背後から飛び掛かる鬼の頭を銃撃で砕く。
(・d・)「あそこか!」
親父からもらっていたデータに載っていた、幽鬼ガキにそっくりな鬼が扉をドンドン叩いている。
手榴弾を抱えた鬼が一体向かって来る。
腹を蹴り返し、ソードオフショットガンを手榴弾に命中させ大半の鬼を一掃する。
銃を投げ捨て、息のある鬼を剣で切り裂き室内のドアを開く。
(・d・)「ラン。無事か」
『アニキ!取り逃した奴が建物に向かっていきやがった!
気ィを付けてくれ!』
ラン ;゚ -゚)「ありがとうございますリーダー。
兄さんは?」
ランは複数の子供達と抱き合い、震えていた。
ラン ゚ -゚)「よかった。
みんな眠っている間に急に…子供達が急に」
(;・d・)「今は話さなくていい。
うぐっ」
鬼がショットガンを持ち、撃ったのだ。
ラン達を散弾から背中で庇う。
幸い最近はいい防具をつけていたので、致命傷にはならなかった。
振り向きざまに滑り込んで首を斬る。
(・d・)「さよならだ」
162
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/10(日) 23:50:19 ID:gkzOBLmY0
夜明けの10時ごろ、幹部会議が始まった。
生き残ったある程度の年齢のメンバーは、鬼達による破損個所を悪魔達と一緒に補修している。
(・j・)「私の隊では10人行方不明になった」
鬼達は恐らく子供達が変異したものだろうが、灰になってしまい身元がわからない。
故に行方不明者として扱うしかなかった。
(・e・)「俺のとこは15人だな」
(・鼠・)「地下の寝床もひどいもんでやんす。
逃げ出せた子はいるけど血まみれで臭いでやんすね」
(・d・)「アヤメのところでは6人だそうだ。」
(・j・)「彼女はどこにいる。そしてあの神父も」
ランに手当てされながらディーは続ける。
ランの医療班では犠牲は出なかったようだ。
緊急時があればライフラインの自分達はすぐ避難できるように日頃から教えていたおかげだろう。
(・d・)「アヤメはショックで自室にこもってる。
あの神父は姿を見ないな。ラン、何か知らないか」
ラン ゚ -゚)「深夜だったからわからないわ。
死体がないということは、どさくさに紛れて逃げられたのかもしれない」
(・j・)「サツキの隊では行方不明者は一人だけ、恐らくリーダーを撃った者だろう
よく鍛えた結果がこれとは皮肉だな?」
(・五・)「…」
(・d・)「やめておけ。どこの隊でも犠牲者が出たのは事実なんだ。
それにサツキはこれで二度目だ。トラウマになっていてもおかしくない。
ラン、ありがとう」
自分で巻いた下手な包帯を巻きなおしてもらい、立ち上がる。
(・e・)「アニキ、どこへ?」
(・d・)「アヤメと話をしてくるよ。それと各自、今回の事で遺恨は持たない事」
そしてランに耳打ちをする。
(・d・)(すまないが手が空いてる時でいい、神父が持っていた菓子があれば解析を頼みたい。
あのアホっぽくてお人好しな人を疑いたくはないが、万が一ということもありうる。
悪魔学に精通した人を呼ぶならマッカの用意をしておくから)
ラン ゚ -゚)(わかりました。秘密裏にやっておきます)
163
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/10(日) 23:50:48 ID:gkzOBLmY0
アヤメの部屋の扉をノック。
「誰?」
(・d・)「俺だ」
一言で開けてくれた。
やつれている気がする。心なしか。
(・d・)「朝食は…食べる気がまだないか?」
(・殺・)「うん…」
(・殺・)「ごめんなさい」
(・d・)「ん?」
(・殺・)「その怪我…私が躊躇わず戦えていればしなくて済んだかもしれないのに」
ベッドに座る。
(・d・)「意外と大した事はないさ。数日休ませてもらって悪魔狩りでカンを取り戻すよ。
それに多分見てたんだろ?子供達が鬼に変わる様を
仲間が悪魔になったからって即殺せなんて、躊躇するのも仕方ない」
(;殺・)「うん」
早くも半泣きになっている。
(・d・)「ここだけの、あとランとの間だけの話なんだが。
アカサカと今回の件の原因は徹底的に洗うつもりだ。」
(;殺;)「やはり元凶がいるの?」
(・d・)「サツキが助けを求めに来た時の話だと、悪意ある人間か悪魔が噛んでいる可能性が高い。
この家も正直人が頻繁に出入りしているから、いくらでも隙はあるといえばある。
これからは客人にも検問を設置するしかないのかもな…」
(;殺;)「悔しい…悔しいよ…何もできない私が…!」
今回はアヤメがディーの胸に飛び込んだ。
(・d・)「俺もだ。所詮まだ俺達も子供だから。
じっくり、もっと力をつけないといけない」
幼少期編 完
164
:
名無しさん
:2022/04/11(月) 10:45:58 ID:Hx01HWos0
乙
165
:
名無しさん
:2022/04/11(月) 22:09:45 ID:YG4CyVVg0
おつ
166
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/14(木) 22:31:35 ID:HpJybzAY0
鬼の惨劇から約2年後。
(・D・)「お疲れ様です」
城門前まで来た商人と、護衛のメンバーを出迎える。
スマホをかざし本人認識をして、取引を始める。
デビルアナライズを流用したものだ。
人間に化けていないか、殺されて成り代わられていないか、悪魔の因子を持っていないかのチェックだ。
「今回はこれとこれとこれですね。一万マッカでどうでしょう」
古米と多少の肉、少量の酒がトラックに積まれている。
(・D・)「これだけの数を調達してくれたんだ。倍出しますよ
超えた範囲はバレない程度に小遣いにでも」
「ありがとうございます。護衛までつけていただいて」
(・D・)「店主によろしく伝えておいてください。もう慣れましたか?」
「いやあまだまだ。買取品の査定も勉強中でして」
男は照れくさそうに頭を掻く。
シンジュクを出禁になったエンブリオンの為にジャンク屋の店主が孤児を拾い、出張販売用と店番として雇ったのだ。
(・D・)「せっかくです。食事でもlされていかれますか?」
男は手を横に振る。
「いえ今回は遠慮しておきます。早く帰らないと親父にどやされるし、ちょっと酒も飲みたいんですよ
本当に申し訳ない。」
男はメンバーに連れられ、空荷のトラックに乗せられていった。
朗らかな顔で手を振ると、リーダーらしき顔に戻り近くのメンバーに指示を出す。
(・D・)「食糧の検品を頼む」
「了解しました」
敬礼をすると、メンバーはリヤカー一杯の食糧を運んでいく。
酒はディーの手の中だ。
自室に戻る。
(・D・)「さて、どうしたものかな…」
今回買取に出せる戦利品はなかった。
ジリ貧だ。
粗悪な酒を煽りながら、掌を額に当て今後の事を考える。
そして、ほんの1,2か月前の事を思い起こしていた。
167
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/14(木) 22:31:56 ID:HpJybzAY0
ある時、気分転換にアヤメと二人でシンジュクをぶらついていると、数人の男に囲まれた。
白制服に警棒、オザワ配下の私設警察達だ。
その中心にいる長官が口を開く。
「抵抗は無駄だ。オザワ様が話があるという。ついてきていただけるかな?」
(綾゚ -゚)(どうするの、ディー?
私のテンタラフーで撹乱して逃げられるけど)
(・D・)(ここで騒ぎを起こしたらシンジュクに来れなくなるかもしれない。
ここは従っておくのが得策だ)
ディーとアヤメは両手を上げる。
私設警察ディーに軽く身体チェックを行う。
次はアヤメの版だ。
いやらしい顔つきで、丸みを帯びて女性らしくなったアヤメに手を伸ばす。
まずはノースリーブのジャケットの胸のファスナーに手をかける。
すかさずディーが腕をつかんで押し返す。
(・D・)「彼女は武器を何も持っていない。銃オンチでね。
彼女に触っていいのは俺だけだ」
(綾゚ -゚)「あっ…」
ディーが素早くアヤメの体をまさぐる。
頭、胸、腰、脚、全てに触れていく。
特に膨らんだ胸には少し力を入れた。
(綾#゚ -゚)「ちょっと痛い…!」
(・D・)「すまない。これでいいかな?」
苦虫を噛み潰したような顔をして、長官が口を開く。
「いいだろう。抵抗すれば即座に射殺させてもらう」
そのまま南東のクラブを横に通り、連行される。
喧騒が外からでも聞こえる。
(・D・)(俺達が孤児で虐げられてる間、こいつらは毎日楽しく過ごしてたんだよな。
オザワに媚びを売って、シンジュクから出られないまま)
南西のオザワのオフィスに向かう。
オフィスビル内には悪魔がうようよいる。
威嚇する豹の悪魔や冷ややかな視線をアヤメに向けるガイア教徒の女。
しかし私設警察が同行しているからか、敵としては認識されないようだ。
ドロドロの緑色の、人間を合わせたような何かが蠢いていたりする。
「ようこそ。デートの途中申し訳ないね」
168
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/14(木) 22:32:20 ID:HpJybzAY0
( ・ノ∀・)「私はオザワ。知っているかもしれないがこのシンジュクを…」
(・D・)「まずこいつらをどうにかしてくれませんか。銃を向けられていると気分が悪い」
俺はもう18だ。
自分が生まれた日はわからないが、親父に拾われた日を誕生日としていいだろう。
大人同士で対等な話ができる。
( ・ノ∀・)つ「下がりなさい」
スーツにガウンを羽織ったセンス最悪の出で立ちで、ワイングラスを傾けて言う。
私設警察達が一礼してオフィスを出ていく。
(・D・)「要件はなんでしょう」
( ・ノ∀・)「君達の保有するマシンを無償で譲っていただきたいのだよ」
心臓がどくりと鳴った。
(・D・)「何のことでしょうか」
( ・ノ∀・)「とぼける必要はない。
シンジュク外部に取り付けてあったカメラに記録が残っていた。
度々、シンジュクを守ってくれていたようだね。
特に一年半前の巨大な悪魔との戦いは実に素晴らしかった。
テンプルナイトの群れですら」
(・D・)「…それがどうして、譲渡する事に繋がるのですか?」
( ・ノ∀・)「否定はしないのだね。
いいかね、君達のような無知な若者には過ぎた力は危ないのだよ。
私達の方が有意義な使い方ができる」
(・D・)「あれは我々が自分達を守る力です。
あなた方の物にはなりません。
シンジュクに脅威がまた迫れば出撃しましょう。
手を引いていただきたい」
オザワのこめかみがピクッと動き、歯をむき出して笑う。
( ・ノ∀・)「大した自信だな。
君達がシンジュクを守るといっても何ができる。
君らの巣穴は知らんが、シンジュクまで遠くからやってくる間に犠牲者は出るのだぞ?
私の治めるシンジュクにあのマシンを納めれば、即座に防衛に移れる。
君達をヒーローとあがめる民も出ている。それを聞かれれば私設警察にお灸をすえられてしまうのにな。」
(・D・)「…何が治めるだ。支配だろ」
( ・ノ∀・)「民に希望を与えてそれを奪う。ずいぶん非道い事をしてるんだよ。君達はッ!」
169
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/14(木) 22:32:42 ID:HpJybzAY0
ディーは壁に思いっきり拳を叩きつける。
と(#・D・)「お前らはなんだ!私設警察を使って俺達に使って暴力を使ってたじゃねえか!」
( ・ノ∀・)「暴力に頼り使うような暴徒になる前に教育をしてあげているだけ…
…ん?お前達はまさかシンジュクの浮浪児出身か?」
(・D・)「そうだ!俺達はまだ幼い頃に私設警察に殴られ虐げられ人売りに投げられた!
どうにか生き延びてこの数年、自分達の力で生きて来たんだ!」
(綾;゚ -゚)「ディー、熱くならないで」
せき止められていた鬱憤は止まらない。
(・D・)「シンジュクから逃げ出して撃ち殺された大人達も幼い目でよく見て来た!
この彼女なんか私設警察に辱められそうになった!」
( ・ノ∀・)「ほう。シンジュクからの脱走者か。それはいけないな。
私の素晴らしいオフィスに来る途中、汚らしい肉塊を見なかったかね?」
(・D・)「まさか…貴様」
( ・ノ∀・)「そう。シンジュクの掟を守れなかった者たちの末路。
屍鬼コープスだよ。
そしてここまで話したということは…わかるね?」
扉を開けて私設警察達がなだれ込んでくる。
入口に集結する奴らを次々とサブマシンガンで掃射する。
血だまりの中から警棒を拾い、長官を殴り飛ばす。
(#・D・)「やれるものならやってみろ!」
次は悪魔達が押し寄せてくる。
「あらぁ、いい男ねぇ。いただきま」
幽鬼マンイーターがオザワ側から噛み付いてくる。
(綾゚ -゚)「テンタラフー!」
アヤメが両手をかざし、悪魔達を昏睡させる。
(;・ノ∀・)>「むっ…精神干渉か!」
オザワもたまわず耳を塞ぐ。
ディーがマンイーターの頭を足で思いっきり砕き、オザワに詰め寄る。
(・D・)「!」
オザワが懐から出した拳銃を咄嗟に避ける。
170
:
◆MxHvQqijkA
:2022/04/14(木) 22:33:15 ID:HpJybzAY0
( ・ノ∀・)「私には悪魔召喚の心得もあってね。それっ!」
ボロマントを纏った悪鬼が数体、壁として立ちふさがる。
「マハーブフ!」
寒波の連続に腕、脚がかすかに凍る。
(;・D・)「く…」
( ・ノ∀・)「そっちの彼女はいい体をしているね。
最上級のマンイーターにして私の愛人にしてあげよう」
「マハー…」
「マハジオンガ!」
氷結の渦を、雷撃が打ち消し貫いた。
躍り出てきたのは、ハイレグアーマーにマントを羽織った女性だった。
オフィス入り口をチラリと見ると、焼け焦げた悪魔達が徐々に灰と化していた。
長官はへっぴり腰で逃げ出していく。
( ・ノ∀・)「また君かね救世主様。いい加減しつこいんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ドルミナー」
肉の壁達は感電から立ち直った途端に昏睡して倒れ込んでしまった。
ξ゚⊿゚)ξ「貴方たちは早く逃げてください!トラポート!」
(綾;゚ -゚)「な、なに!?」
二人の姿が徐々に消えていく。
( ・ノ∀・)「散々君には煮え湯を飲まされたものだが、もう終わりだよ。
君はこの悪魔に勝てない
救世主伝説はここで幕を閉じるのだ!」
気付けばシンジュク地下街の出口にいた。
(・d・)「どけっ!乗れ!」
いきなり現れた人間を見て呆然としているしょけいライダーを蹴り倒し、バイクを奪う。
アヤメを後ろに乗せて、フルスロットルで爆走する。
突風で体についた氷が溶けて飛び散っていく。
(綾゚ -゚)「つめたっ」
逃避行は、数十分が数時間にも感じられるような必死さと緊迫感だった。
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