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それは砕けし無貌の太陽のようです

65 ◆HQdQA3Ajro:2021/10/16(土) 00:33:09 ID:jePDeZ3M0


「あ」

照出が、咳き込んでいる。首を押さえて、苦しそうに。
手が、熱かった。感触が、まだ、てのひらの裡に残っていた。
絞める、締まっていく、感触が。俺は、いったい、何を――。

「てる――」

「それでも」

欠けた所のない顔で、照出が俺を見て、言った。


「……それでも私、あなたが好きです」


理性が、飛んだ。

「お前らなんかより……」

浮かび上がりかけていた想いが、沈んだ。


「キツネの方が、よっぽど――!」


月明かりに伸びた影が、動いた。影はその姿を移動させ、影の主とともに部屋から消えていった。
静かな音が、けたたましく響いていた。衣の擦れる音が、床の踏まれる音が、世界中に響き渡っていた。
それで、それから……玄関扉が開いて――閉まった。


.


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