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それは砕けし無貌の太陽のようです

53 ◆HQdQA3Ajro:2021/10/16(土) 00:27:35 ID:jePDeZ3M0
               ※


「海の向こうからね、来るんですよ、商売人が。金と鉛とネタを担いで」

……。

「親父が存命なら、許しゃしなかったでしょう。
 でもね、息子ってなぁ、父親の後追いじゃ満足できんのですよ」

……。

「親父が偉大であればある程、親父と違う形で自分を立てなきゃならん、なんとなれば殺さにゃならん。
 そうでもなけりゃ不安で不安でたまらない。いつまで経っても自分で自身を愛せない。
 本能でそう、理解しているんですな」

……。

「私もね、判らなくはないんですよ。男ですからね、私も。しかしね、連中はダメです」

……。

「連中の頭にゃ、銭勘定しかない。人間が、おらんのですよ。人を見て、けれどまるで見ちゃおらんのですよ」

……。

「それじゃ、いかんのですわ。こんな稼業に身をやつしているからこそ、忘れちゃいかんのです。
 自分が何を相手にしているのか。目の前の相手に、自分が何をしでかそうとしてんのか。
 人間を、顔を、直視した上で仕事しなけりゃならない」

……。

「私ァね、そう教わったんですよ。亡くなった先代から。何事も、愛がなきゃあいかん。
 愛がなきゃあ、人間おしまいだァ……ってね」

……。

「なあトラよ。お前さんもそう思うだろう?」

「はいキツネの兄貴。俺もそう思います」

「そうかいそうかい。……お前はホント、不器用だねぇ」

「恐縮です。……そうでしょうか?」

「自覚のなさがその証明さね。なあ先生……先生も、そう思いやしませんか」

……。

「なあ、先生」


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