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それは砕けし無貌の太陽のようです
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◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:25:38 ID:jePDeZ3M0
「……もしかして、照出から聞いていないんですか」
不愉快さを隠さない声で、高良はいった。
まるでこの質問をする俺の方こそ非常識であると詰めているかのように。
「あいつならもう、先生の担当にはもどりませんよ」
心臓が、縮んだのを、感じた。
どういうことだと問いかける前に、高良が話を続ける。
「もう辞めるんですよ、あいつ。まだ在籍はしてますけど、任せてるのは事後処理だけで」
のどの奥が張り付く。眼球が乾く。「なぜ」。俺はそう、絞り出すように問いかける。
不満を前面に表して、高良はこともなげにそれに答えた。
「結婚ですよ結婚。寿退社ってやつです」
これだから女は困るんですよ、計算が立たなくて。うちの娘も最近すっかり生意気になりまして――。
電話口の向こうで、高良が文句を言い続けていた。しかしそれらの言葉はもう、俺の耳へと入らない。
俺は、見上げていた。ここしばらくの間――半年程の間、意識せずにすんでいたものを見つけて。
天井から吊り下がっている“その人”を見上げて。
『おまえはわるくないよ』
俺にはもう、かつて太陽であったそれの声しか聞こえなくなっていた。
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