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それは砕けし無貌の太陽のようです
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◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:24:08 ID:jePDeZ3M0
気が滅入った。照出の代理で来たというこの盛岡という男といると、とかく気が滅入った。
まず、覇気がない。常に茫漠と幽鬼のような態度で、返事をしても「はぁ」だの「へぇ」だの
こちらの言葉を理解しているのかいないのか、全般的に気力が感じられない。
新作の構想について話しても褒めるでもなく貶すでもなく、お任せしますの一点張り。
「先生は、どうして小説なんか書いてるんですか」
そのくせ、余計なことだけは聞いてくる。
「私も昔は、書いてたんですよ。アマチュアですが。
それなりに読まれて、それなりにちやほやされて。まあ、悪い気はしませんでした」
聞いてもいないことは話してくる。
「プロになることも、考えなくはありませんでした。
それなりに読まれてましたから、それなりに稼いでいけるんじゃないかと思いまして。
でも、やめました。なんだか急に、アホらしくなって」
抑揚も感情もない、不気味な声で。
「私の中には、何もなかったんです。
ちやほやされるのも、金を稼ぐのも、別に作家にならなくとも得られるものです。
むしろ作家なんかより他の職を目指したほうが、そんなものもっとずっと簡単に手に入れられて、
おまけに安定も得られる。そう思った時、判ったんですよ。私は別に、小説が好きな訳じゃないんだと。
小説に対する思い入れなんて、何もなかったんです」
情熱の失せた声で。
「それで結局人生設計諸々失敗して、今はこんなしがないサラリーマンなんぞしてるわけです。で、先生」
憐れむような声で。
「先生は、どうして小説なんか書いてるんですか」
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