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それは砕けし無貌の太陽のようです
46
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◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:23:43 ID:jePDeZ3M0
それにしても、遅かった。
いつもであればとっくのとうに、様子を見に来たと顔を出していておかしくない時間だ。
人を待たせて、何を道草食っているのか。またぞろ木から降りれなくなった子猫でも救出しているのか。
それとも迷子を交番まで届けているのか。いずれにせよどうせ、弱者の救済にでも勤しんでいるのだろう。
まったく、あいつの性向にも困ったものだ。待たされる者の身にもなってもらいたい。
インターフォンが鳴った。ようやくか。俺は努めて冷静を装い、玄関へと向かった。
シミュレートは充分に行った。いかなる会話パターンにも対応できるようルートを分析し、
目的へ導くためのフローチャートも確実なものへと練磨した。そして辿り着いたひとつの解法。
肝心なのは、初手だ。初手で流れをつかめば、後はどうとでもなる。逆説的に、初手を逃してはならない。
扉を開き、最初に放つ一語。その言葉を脳内で反芻し、俺は扉を開く――。
そこには、見知らぬ男が立っていた。
「お世話になっております先生。照出の代理で参りました、したらば出版第三編集部の盛岡と申します」
俺の目論見は、どうやら初手から躓いたようだった。
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