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それは砕けし無貌の太陽のようです
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◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:22:28 ID:jePDeZ3M0
照出は語った。
「慰められれば慰められるほど私、つらかった。いっそ責めて欲しいって、何度も思った。
だって私、お父さんの声を無視したんです。自分は何度も助けてもらっておいて、
ぎりぎりで発したお父さんの訴えを、“くるしい”を分かち合う最後のチャンスを、
私は無視しちゃったんです。誰がどんなに慰めてくれたって、
私がお父さんよりその日限りの遊びを優先したのは絶対の事実なんです」
己について。
「みんなが本気でやさしくしてくれてることは、判るんです。だからなおさら私、嫌だった。
みんなの応援に応えて、ありがとう、私はもう元気だよって、そう笑って返したかった。
でも、できなかった。やさしくされて、腹がたった。みんなにじゃない。私自身に。
それで、わかっちゃったんです。私、自分のこと、嫌いになっちゃったんだぁって」
己の価値観について。
「嫌いで嫌いで、消えちゃえばいいのになぁって、毎日そんなふうに思ってました」
己の価値観の変異について。
「――そんな時です。先生の『太陽を見上げた狼』と出会ったのは」
価値観を変じる、その切欠について。
「あのね、先生。できれば笑わないでほしいんですけど……
『太陽を見上げた狼』を読んで私ね、感じたんです。これは、私に宛てた本なんだって」
その出会いについて。
「真剣に、そう感じたんです。それで――」
その奇跡について。そして――。
「……なんだか全部、赦せる気がしたんです」
赦しに、ついて。
照出は語った。とつとつと語った。
自らが自らとして形成されるに至った、その足跡について、語った。
彼女は自らの足跡を、自らを形成したその人物に向けて、語った。
語ってくれた。
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