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それは砕けし無貌の太陽のようです
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:
◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:21:33 ID:jePDeZ3M0
「先生、ここは……?」
照出の質問に答えぬまま、俺はそこへ登り始める。小高く盛り上がった丘。
この場所が町で唯一の総合病院から一望できることを、俺は知っている。
丘を登る。群生する木々が林立する林へと入っていく。
照出はこのような自然に分け入ると想定していなかったのか、些か歩きにくそうに俺の後を追っていた。
登るペースを落とした。
外に比べ差し込む光は少ないはずなのに、陰鬱に沈む町よりもむしろ静謐な輝きを感じさせる緑の海。
似ているようで確と異なるそれぞれの樹木。時の流れの緩やかな場所。
あの時から、何も変わらぬ場所。先生が生きていた、あの頃から。
しかし。
『ささやいてくれたんだ、彼女の方から。ぼくに会いたかったって』
緑の中心で、俺は立ち止まった。行く宛を失って。俺にはそれを、見つけられないから。
『おかしいかな――』
それは『先生の木』であって、俺の木ではないから。
「先生……?」
「昔」
ささやきなど、俺には聞こえないから。
「男が一人、ここで首をくくったんだ」
だから俺は、見つけられずにいた。今も――。
「首を、くくったんだ」
今も、先生の死を見つけられずにいた。
「太陽が……」
先生の死のその先を、見つけられずにいた。
見つけることなど叶わぬと、ずっと、ずっと、そう思って生きてきた。
だが――。
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