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それは砕けし無貌の太陽のようです
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:
◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:02:07 ID:jePDeZ3M0
「――でも!」
鋭い、“でも”。
「『太陽を見上げた狼』は、大好きです!」
“でも”に続いた、言葉。
「何度も……何十回も読み返して、今でも読み返してしまうくらい、大好きなんです」
「……へぇ」
理解を示す返答をしておきながら、俺の心象は先程よりも強く波立つ。
あ……、と、声が漏れた。気配を、感じた。見上げる。目の前にあるもの。
『俺の木』。『俺の木』から、垂れ下がっているもの。吊るされているもの――
“その人”と、視線を、交わす。
『おまえはわるくないよ』
「せ、先生! どうされました!」
慌てふためいた高良の声。立ち上がっていた。立ち上がって、見上げていた。
そこにはなにもない。何も見えない上空。視線を下ろす。腰の高さ程度しかない、『俺の木』。
自重によってやや左へ曲がっているそれ。吊るされているものなど当然ない。
そこにはもう、誰もいない。誰も。誰も。
先生。
背後で高良が、部下を叱りつけていた。
部下の言葉が俺のへそを曲げさせたとでも思ったのか、
他者を責めることでノミの心臓を鎮めようとしているのか、はたまたその両方か。
どうでもよかった。高良のことなど、どうでもいい。考慮すべきは、唯一つ。
裁定は下された。照出麗奈――この女は、信用に値しない。
こいつもやはり、“編集”だ。
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