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それは砕けし無貌の太陽のようです
3
:
◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:01:36 ID:jePDeZ3M0
「ほら照出くん、ぼうっとしてないで君ももっとアピールしなさい」
偉そうな声での命令。はんっ、今度は部下への転嫁か。
「はい! ……編集長、アピールって何をすればいいんでしょう?」
「そんなこと、予め考えておきなさいよ!」
オカマ野郎がきいきいと、傲岸不遜に喚き出す。どこまでも醜い。
初めて出会ったあの時から、まるで変わっちゃいない。俺が作家となったばかりの、あの頃から。
高良に連れてこられた女は入室時の威勢はどこへやら、
はいはいはいと社会人らしいその場しのぎの返事を繰り返すことしかできなくされている。
不憫と言えば不憫だ。こんな保身と出世欲が人皮を被って這い回っているような
男の部下になってしまったのだから。これ以上の不幸もそうありはしない。
けれどこれも、結局の所はポーズだろう。哀れを誘って居たたまれなくさせるためのポーズ。
知っているんだ、お前の手口は。同情など、するものか。
……同情は、しないが。
「……『煙火の断頭』」
「え?」
どうせ断っても、埒が明かない。折れるのはいつも通り、俺の方だ。
だったら――。
「『煙火の断頭』は、読んだか」
少しでも知っておいた方が、懸命だ。
「あ……は、はい! 『煙火の断頭』! 読みました!」
「どう感じた」
これから側をうろつくネズミが、どの程度のものなのか。
「私には、そのぅ……」
どの程度の、害獣なのか。
「ちょぉっと、むつかしくって。えへへ……」
笑い声。誤魔化すような、情けのない。見なくても目に浮かぶ。不誠実に歪んだ、その顔。
唾棄すべき小人の処世術。だが、構いやしない。初めから、期待などしていなかったのだから。
判った、勝手にしろ。背中を向けたまま、俺はそう、言おうとした。
言おうとしたのだ。しかし言葉は、直前に掻き消された。
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