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それは砕けし無貌の太陽のようです
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◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:10:57 ID:jePDeZ3M0
「先生! デパートの王様は地下なのですよ!」
鼻息荒く力説する照出は、上階ではあれだけかわいいおもしろいと叫びまわっていながら
何も購入せずにいたくせに、地下に降りた途端人が変わったように目につく菓子を片端から買い漁り始めた。
ひとつひとつ小綺麗に包装された菓子共が並び重なり積み積まれ、
照出の手の裡でそれらはけばけばしい色調のパターンを形成している。
「もちろん食べるんですよ、先生と私で。お菓子パーティです!」
胸焼けがした。
「あ、先生。あっちなんでしょう。すっごい行列」
山のような菓子を抱えながら器用に俺の袖をつかみ、行列の側へと小走りに照出は近寄る。
そこで売られているのはどうやら話題のシュークリームだそうで、
最後尾には三〇分待ちの札が掲示されている。
列に並んだ女どもの、ぺちゃくちゃと品なく囀り合う様が姦しい。
たかがシュークリーム如きに、なにをこんな馬鹿げた真似を。
「『シュークリームなんてどこで買っても同じだろ』……なーんて思ってますね、先生?」
懐へ飛び込むように、照出が身を詰めてきた。
顔は見ない。が、見上げてきているのは、判る。
「ふっふっふ……判りますよそれくらい。もう二週間も一緒ですからね! ふふん!」
なんで得意げなんだこいつ。腹が立つ。
二週間かそこらで理解できるくらい俺のことを、底の浅い人間だとでもいうつもりか。
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