[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
| |
それは砕けし無貌の太陽のようです
18
:
◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:09:47 ID:jePDeZ3M0
「先生ほら、見てないで一緒に来てください! すっごい迫力ですよ!」
それでも俺は拒絶せずに、照出麗奈に付き合った。何故か。決まっている。
それは偏に、判らせてやりたかったからだ。お前の行為は、無意味なただの自己満足に過ぎないと。
俺は変わらない。このようなママゴトで、俺という個人が変じることは一切ない。
畢竟それは、無為に過ぎず。書けない俺は、書けないままに、ただ時間のみを浪費する。
となればそれは、社への損失と意味を変ずる。いつまでも待つなどと嘯いた高良であるが、
その心根が口ほどに気長でないことを俺は知っている。やつは、何が何でも書かせようとするだろう。
例えそれが、法に抵触する方法であろうとも。何故ならやつは――“編集”なのだから。
「先生どうですか? 楽しめてますか? 私? 私は――」
照出麗奈も、同じだ。大言壮語に啖呵を切ったこの女も、所詮は同じ穴の狢の編集だ。
逼迫すれば、仮面を外す。能天気の仮面を取り去り、秘めた本性を顕とする。
気づいていないなら、自覚させる。己が如何に醜悪で、利己的な生き物であるかを。
お前が如何に――“編集”であるかを。
「……えへへ、とっても!」
化けの皮を、剥いでやる。
それが俺の、この馬鹿げた享楽に付き合う、ただ一つの理由だ。
「くるしい時は、デパートです!」
というわけで今日は、市内の総合デパートへと連れてこられていた。
平素に比して身体を酷使せぬぶん気の楽な苦行かと思ったが、
その予想は余りに短絡であったと反省せざるを得ない。
なぜ人は、人間は、この世にこれほど存在するのか。
間引いても構わないだろう、半分程度。その方が息もしやすく、空もまた晴れ渡るだろうに。
「先生、上から見ていきましょう!」
俺の気疲れを知ってから知らずか、照出は常に同じく生を振りまき、陰に沈む俺の心魂を辟易させた。
この二週間、俺なりに観察して判明したことが、幾つかある。
ひとつ、照出麗奈の行動力は、どうやら底なしらしい。
俺と同じように各地を飛び回り、俺とは比べるべくもなく物事に熱狂興奮してきたはずのこの女はしかし、
疲れの気配のその片鱗すら表しはしなかった。
その小柄な体躯のどこからこの無尽蔵なエネルギーが生み出されているのか、不思議でならない。
「あ、なつかしいこのおもちゃ。ちょっと前に、すっごい流行ってましたよね。くるくるくるーって。
……え、知らない? 先生、知らないんですか? あはは、おかしー!」
ひとつ、おもしろくもないことにもやたらと笑う。
本当に、脳の一部がどうにかなっているんじゃないかと思うほどに、笑う。
エネルギーの豊富さと併せて、俺にはまったくついていけない。
しかし、俺がついていけているか否かなど、照出にとって問題とはならなかった。何故ならば――。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板